JP2016052265A - 改良されたrt−pcr反応 - Google Patents

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Abstract

【課題】核酸増幅反応において、非特異反応を低減すること。【解決手段】試料中に含まれるRNAを検出するための方法であって、少なくとも一つのデオキシヌクレオチド三リン酸ではないリン酸を含む分子存在下で、耐熱性DNAポリメラーゼ、逆転写酵素を用いてRT−PCRによる核酸増幅することからなる方法。【選択図】なし

Description

本発明は、核酸増幅によるRNAの検出法に関する。本発明は、具体的には逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)による特異性の改善された核酸増幅及び検出に関する。本発明は、生命科学研究、臨床診断や食品衛生検査、環境検査等にも利用できる。
核酸増幅法は数コピーの標的核酸を可視化可能なレベル、すなわち数億コピー以上に増幅する技術であり、生命科学研究分野のみならず、遺伝子診断、臨床検査といった医療分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等においても、広く用いられている。
代表的な核酸増幅法はPCR(polymerase chain reaction)である。PCRは、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの解離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって、試料中の標的核酸を増幅する方法である。RNAを分析する場合、このPCRの前段として、鋳型RNAをcDNAに変換する逆転写(Reverse Transcription)を実施する。これをRT−PCRという。
このRT−PCRは、(1)非共役RT−PCR、(2)単一酵素を利用する共役RT−PCR、(3)逆転写酵素とDNAポリメラーゼを利用する二酵素系共役RT−PCR、の3つに大別される。
非共役RT−PCRにおいては、逆転写及びPCR増幅がそれぞれ独立した工程で行われる。そこで、逆転写酵素、DNAポリメラーゼそれぞれに最適な条件で反応させることができる。
一方、共役RT−PCRにおいては、逆転写及びPCR増幅が単一反応混合物中で行われる。単一酵素共役RT−PCRでは、Tth DNAポリメラーゼやTaq DNAポリメラーゼなどの逆転写活性を併せ持つDNAポリメラーゼが利用される。一方、二酵素系共役RT−PCRでは、逆転写酵素とDNAポリメラーゼの少なくとも2種類の酵素が使用される。逆転写酵素としては、レトロウイルスあるいは細菌由来の逆転写酵素(例えば、MMLV(Moloney Murine Leukemia Virus)−RT (Reverse Transcriptase)、AMV(Avian Myeloblastosis Virus)−RT、HIV(Human Immunodeficiency Virus)−RT、RAV(Rous−associated virus)2−RT、EIAV(Equine Infectious Anemia Virus)−RT、カルボキシドサーマス・ハイドロゲノフォルマン(Carboxydothermus hydrogenoformam)DNAポリメラーゼなど)やその変異体が利用される。また、DNAポリメラーゼとしては。Taq、Tth,Bst,KOD,Pfu,Pwo、Tbr,Tfi,Tfl,Tma,Tne、Vent,DEEPVENTやその変異体などが利用される。
共役RT−PCRでは、非共役RT−PCRと異なり、2つの反応ステップの間に、反応液の一部を別の反応容器に分取したり、試薬を添加するような労力を必要としない上、コンタミネーションのリスクも低減できる。しかし、単一酵素共役RT−PCR法は、非共役RT−PCRよりも感度が低いことが知られる(非特許文献1)。これに対し、二酵素系共役RT−PCRは、DNAポリメラーゼの逆転写酵素活性と比べ、レトロウイルス由来の逆転写酵素の逆転写効率が高いことから、単一酵素共役RT−PCRよりも感度が高いとされる(非特許文献2)。
しかし、二酵素系共役RT−PCRは、非共役RT−PCRよりも感度が高いが、逆転写酵素とDNAポリメラーゼが干渉し、効率を低下させることが報告されている(非特許文献3)。この干渉を抑えるため、鋳型RNAの増加、逆転写酵素に対するDNAポリメラーゼ比率の増加、あるいは非ホモログtRNA、T4遺伝子32タンパク質、硫黄又は酢酸塩含有分子(特許文献1)などの使用が行われてきた。
しかしながら、鋳型RNAの増量は、サンプル量が限られる各種検査においては有効ではない。また、酵素間の干渉を調節する試薬についても効果は十分でなく、RT−PCRの効率低下や非特異産物の発生を防げない。そこで、共役RT−PCRのさらなる改善が要望されていた。
米国特許6,767,724号
BioTechniques,17,1034−1036(1994) BioTechniques,25,230−234(1998) Nucl.Acids Res.,20,1487−1490(1992) Biosci.Biotechnol.Biochem.71,1970−1978(2007) Journal of CLINICAL MICROBIOLOGY, 41, 1548−1557 (2003)
本発明の目的は、RNAを鋳型とする共役RT−PCRによる核酸増幅反応において、非特異産物の発生を低減することである。
本発明者らは、RNAを鋳型とする共役RT−PCRによる核酸増幅反応において、Tris−リン酸バッファーが共役RT−PCRにおいて非特異産物の発生を抑制することをみいだした。
さらに本発明者らは、リン酸水素カリウムなど、Tris緩衝液ではないリン酸塩についても非特異抑制効果があることを見出し、反応基質となるデオキシヌクレオチド三リン酸以外のリン酸を含有する分子の共役RT−PCRにおける非特異抑制効果を見出し、本発明を完成した。
代表的な本願発明は以下の通りである。
[項1]
試料中に含まれるRNAを検出するための方法であって、少なくとも一つのデオキシヌクレオチド三リン酸ではないリン酸を含む分子存在下で、耐熱性DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、プライマーを用いてRT−PCRによる核酸増幅することからなる方法。
[項2]
リン酸を含む分子がTris−リン酸、リン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウムの郡より選択される、項1に記載の方法。
[項3]
Tris−リン酸が50mM〜75mMである、請求項2に記載の方法。
[項4]
リン酸水素カリウムが15mM以上である、請求項3に記載の方法。
[項5]
さらに、少なくとも1種類の標識されたハイブリダイゼーションプローブまたは2本鎖DNA結合蛍光化合物のいずれかを含む、請求項1〜4に記載の方法。
[項6]
試料が、血液、尿、糞便、喀痰、鼻腔液、膣分泌液及び口腔内粘膜からなる群から選択される、請求項1〜5に記載の方法。
[項7]
少なくとも一つのデオキシヌクレオチド三リン酸ではないリン酸を含む分子、dNTP、Mg塩、耐熱性DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素を含む、特異性が向上した核酸増幅のための組成物。
[項8]
リン酸を含む分子がTris−リン酸、リン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウムの群より選択される、請求項7に記載の組成物。
[項9]
Tris−リン酸が50mM〜75mMである、請求項8に記載の組成物。
[項10]
リン酸水素カリウムが15mM以上である、請求項9に記載の組成物。
[項11]
さらに、2本鎖DNA結合蛍光性化合物を含む、請求項7〜10に記載の組成物。
本発明によって、共役RT−PCRによる核酸増幅において、非特異産物が抑制され、試料中に含まれる目的RNAの検出が効率よく、正確に行うことが可能になる。さらに、共役型RT−PCRによる検出によって、使用する試薬量の低減やキャリーオーバーのリスクの低減、労力の低減など、検査業務においてその効果は顕著となる。
各種Tris緩衝剤を用いたRT−PCRの増幅産物の比較 50〜100mM Tris−リン酸を用いたRT−PCRの増幅産物の比較 0〜20mM リン酸水素カリウムの添加効果の比較 二本鎖DNA結合色素化合物存在下でのリン酸水素カリウムを含むRT−PCR増幅産物の融解曲線解析
以下、本発明の実施形態を示しつつ、本発明についてさらに詳説する。
本発明の一局面は、検査対象試料中に含まれるRNAを検出するための方法であって、少なくとも一つのデオキシヌクレオチド三リン酸ではないリン酸を含む分子存在下で、耐熱性DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、プライマーを用いてRT−PCRによる核酸増幅することからなる方法である。
検査対象試料中に含まれるRNAとしては特に限定されるものではないが、動植物細胞由来のRNA、ウイルスや細菌由来のRNAが挙げられる。これらRNAは精製されたものであることが望ましいが、RNA精製されていない試料であってもよい。
RNAを精製しない場合、サンプルを前処理することによって、検出の効率が向上する。前記前処理工程としては、アルカリ処理、加熱処理、有機溶媒による処理または、これらの処理を複数組み合わせた処理、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一方、これらの処理は、核酸が増幅の鋳型としての機能を保持されるように行われなければならない。すなわち、アルカリ処理のpHは9−11の範囲が好ましい。熱処理の条件にはさらに注意が必要で、特にRNAを鋳型とする場合は、85℃以下、かつ2分以下が好ましい。上記の処理を終えた検査対象試料は、試料の移送をともなう核酸の分離精製を経ることなく核酸増幅反応液に添加される。前記処理により沈殿物などが生じた場合は遠心分離を行ってもよい。この場合、遠心分離に適用できる容器を用いて前記処理を行えば、試料の移送をともなう必要がない。
本発明の核酸増幅に用いられる、少なくとも一つのデオキシヌクレオチド三リン酸ではないリン酸としては、リン酸でpH調整された緩衝剤やリン酸塩などが挙げられ、ターゲット遺伝子以外の非特異的な増幅産物の発生を抑制する効果のあるものである。
本発明で使用される、リン酸でpH調整された緩衝剤としては、pH調整前にpH7を超える緩衝剤が挙げられ、特に限定されないが、トリス(Tris),トリシン(Tricine),ビスートリシン(Bis−Tricine),ビシン(Bicine)などが挙げられる。特に好ましくは、Tris−リン酸である。調整後のpHは、pH6〜9、より好ましくはpH7〜8である。また、添加する濃度としては、好ましい下限は10mM、さらに好ましくは20mM、さらに好ましくは30mM、さらに好ましくは40mM、さらに好ましくは50mMである。一方、添加濃度の好ましい上限は200mM、さらに好ましくは100mM、さらに好ましくは90mM、さらに好ましくは80mM、さらに好ましくは75mMである。この際、反応に適当なイオン条件とするために、塩溶液が加えられる。塩溶液としては、塩化カリウム、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウムなどが加えられる。Tris−リン酸緩衝液においては、PCRの効率を改善することが報告される(非特許文献4)。しかしながら、当該報告では10x濃度で110mM、すなわち1xで11mMと濃度が低く、本発明の共役RT−PCR系で見出された50〜75mMよりもはるかに低い。
本発明で使用される、リン酸塩としては、ナトリウム塩よりもカリウム塩が望ましく、リン酸二水素カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸三カリウムが挙げられる。特に好ましくは溶液が中性に近いリン酸水素カリウムであって、添加濃度の好ましい下限は10mM、さらに好ましくは12mM、さらに好ましくは13mM、さらに好ましくは14mM、さらに好ましくは15mMである。一方、添加濃度の好ましい上限は100mM、さらに好ましくは80mM、さらに好ましくは60mM、さらに好ましくは40mM、さらに好ましくは20mMである。この場合、別途、リン酸以外でpH調整された緩衝剤が加えられる。また、さらにイオン強度を最適化するため、リン酸塩以外の塩溶液が加えられる。
耐熱性DNAポリメラーゼとしては、Taq、Tth,Bst,KOD,Pfu,Pwo、Tbr,Tfi,Tfl,Tma,Tne、Vent,DEEPVENTやその変異体が挙げられるが、特に限定されない。望ましくは、非特異抑制の効果を高めるため、抗DNAポリメラーゼ抗体との併用、あるいは化学修飾により熱不安定ブロック基のDNAポリメラーゼへ導入することで、逆転写反応の間、DNAポリメラーゼの酵素活性を抑制され、ホットスタートPCRできることが望ましい。
逆転写酵素としては、MMLV−RT、AMV−RT、HIV−RT、RAV2−RT、EIAV−RT、カルボキシドサーマス・ハイドロゲノフォルマン(Carboxydothermus hydrogenoformam)DNAポリメラーゼ)やその変異体が使用されるが、これに限定されない。
本発明のプライマーとしては、一方のプライマーが他方のプライマーのDNA伸長生成物に互いに相補的である2種一対のプライマーが挙げられる。別の態様として、上記プライマーが2対以上含まれる、いわゆるマルチプレックスPCRも挙げられる。さらに、ターゲットとする核酸が亜型からなる場合、縮重プライマーを含んでもよい。
この増幅反応には、さらにdNTP、マグネシウム塩またはマンガン塩、プライマーなどが含まれる。dNTPとしてはdATP,dCTP,dGTP,dTTPがそれぞれ0.1〜0.5mM、最も一般的には0.2mM加えられる。dTTPの代わり及び/又は一部としてdUTPを使用することによって、クロスコンタミネーションの予防処置をとってもよい。マグネシウム塩としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、マンガン塩としては、塩化マンガン、硫酸マンガン、酢酸マンガンなどが例示され、1〜5mM程度加えられる。
さらに、本発明で開示されるリン酸含有分子とは別に、当該分野で知られるRT−PCRを促進するような物質と組み合わせて使用することもできる。本発明において有用な促進物質とは、ウシ血清アルブミン(BSA)、プロテアーゼインヒビター、シングルストランド結合タンパク質(SSB)、T4遺伝子32タンパク質、tRNA、硫黄または酢酸含有化合物類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ホルムアミド、アセトアミド、ベタイン、エクトイン、トレハロース、デキストラン、ポリビニルピロリドン(PVP),ゼラチン、塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、酢酸テトラメチルアンモニウム(TMAA)、ポリエチレングリコール、トリトン(Triton)、ツイーン(Tween20),ノニデットP40などが挙げられるが、これに限定されない。
本発明は、別の態様としては、さらに、少なくとも1種類の標識されたハイブリダイゼーションプローブまたは2本鎖DNA結合蛍光化合物を含む核酸増幅方法である。これによって、増幅産物の分析を通常の電気泳動ではなく、蛍光シグナルのモニタリングで監視することができ、解析労力が低減される。さらに反応容器を開放する必要がなく、コンタミネーションのリスク低減が可能である。
ハイブリダイゼーションプローブとしては、TaqMan加水分解プローブ(米国特許5,210,015号、5,538,848号、5,487,972号、5,804,375号)、モレキュラービーコン(米国特許5,118,801号)、FRETハイブリダイゼーションプローブ(WO97/46707,WO97/46712,WO97/46714)などが挙げられる。
2本鎖DNA結合蛍光化合物としては、SYBR Green I,SYBR Gold、SYTO−9、SYTP−13、SYTO−82(Life Technologies),EvaGreen(Biotium)、LCGreen(Idaho),LightCycler 480 ResoLight(Roche Applied Science)などが挙げられる。
本発明の別の一局面は、少なくとも一つのデオキシヌクレオチド三リン酸ではないリン酸を含む分子、dNTP、Mg塩、耐熱性DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素を含む、特異性が向上した核酸増幅のための組成物である。
本発明の別の一局面は、Tris−リン酸、dNTP、Mg塩、耐熱性DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素を含む、特異性が向上した核酸増幅のための組成物である。
本発明の別の一局面は、緩衝剤、リン酸化水素カリウム、dNTP、Mg塩、耐熱性DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素を含む、特異性が向上した核酸増幅のための組成物である。
本発明の別の一局面は、少なくとも一つのデオキシヌクレオチド三リン酸ではないリン酸を含む分子、dNTP、Mg塩、耐熱性DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素、2本鎖DNA結合蛍光性化合物を含む、特異性が向上した核酸増幅のための組成物である。
以下実施例をもって本発明を具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1.各種Tris緩衝剤を用いたRT−PCRの比較
・ 糞便懸濁処理液の調製
10%(重量%)となるようにヒト糞便を含む懸濁液を1ml調製した。前記糞便溶液1μlとグリシン10mM、EGTA5mM溶液4μlを混合し、85℃で1分間インキュベートした。
・ RT−PCR試料の調製
配列番号1を鋳型として人工合成したノロウイルス遺伝子RNA断片20コピー/μlとなるように水、または前記のように処理した糞便懸濁処理済液と混合し、RT−PCRの試料とした。また、ネガティブコントロールとして、ノロウイルス遺伝子RNA断片を含まない水、糞便懸濁処理済液を使用した。
(3)1ステップRT−PCR
(3−1)反応液
以下に示される組成の反応液を調製した。
75mM Tris−塩酸、Tris−硫酸、Tris−シュウ酸、またはTris−リン酸(pH7.5)
3.75mM 硫酸マグネシウム
15mM 酢酸カリウム
0.25mg/ml ウシ血清アルブミン
各0.2mM dATP,dGTP,dCTP,dTTP
0.3μM COG2Fプライマー(配列番号2)
0.3μM COG2Rプライマー(配列番号3)
(上記2種のプライマーは非特許文献5に記載の配列である。)
0.1μM 内部標準配列Fプライマー(配列番号4)
0.1μM 内部標準配列Fプライマー(配列番号5)
1000コピー 内部標準配列DNA pBR322 プラスミドDNA
0.2unit/μl rTaq DNA polymerase(東洋紡)
0.2unit/μl anti Taq high(東洋紡)
0.05unit/μl RevertraAce(東洋紡)
(3−2)反応
前記反応液45μlを(1)で処理した各試料5μlに添加した。これを以下の温度サイクルで反応した。
50℃ 5分(逆転写反応)、
95℃ 5分、
94℃ 10秒−56℃ 45秒 45サイクル(PCR)
(4)結果
図1に電気泳動解析の結果を示す。使用した前記プライマーセット(COG2FおよびCOG2R)は98bpの増幅断片を生成する。
PCR反応液緩衝剤として一般に使用される、Tris−塩酸、Tris−硫酸、さらにTris−シュウ酸では、単に水を試料したネガティブコントロール(NTC)でさえ、非特異的な増幅サンプルが顕著に発生しているのに対し、Tris−リン酸ではこの非特異的な増幅が抑制されている。この非特異抑制効果は糞便の有無に関わらず、認められた。
実施例2.Tris―リン酸濃度の比較
・ 試料の調製
実施例1と同様に、試料を調製した。
(2)1ステップRT−PCR
(2−1)反応液
以下に示される組成の反応液を調製した。
50、75、または100mM Tris−リン酸(pH7.5)
3.75mM 硫酸マグネシウム
15mM 酢酸カリウム
0.25mg/ml ウシ血清アルブミン
各0.2mM dATP,dGTP,dCTP,dTTP
0.3μM COG2Fプライマー
0.3μM COG2Rプライマー
0.1μM 内部標準配列Fプライマー(配列番号1)
0.1μM 内部標準配列Fプライマー(配列番号2)
1000コピー 内部標準配列DNA pBR322 プラスミドDNA
0.2unit/μl rTaq DNA polymerase(東洋紡)
0.2unit/μl anti Taq high(東洋紡)
0.05unit/μl RevertraAce(東洋紡)
(2−2)反応
前記反応液45μlを(1)で処理した各試料5μlに添加した。これを以下の温度サイクルで反応した。
50℃ 5分(逆転写反応)、
95℃ 5分、
94℃ 10秒−56℃ 45秒 45サイクル(PCR)
(3)結果
図1に電気泳動解析の結果を示す。使用した前記プライマーセット(COG2FおよびCOG2R)は98bpの増幅断片を生成する。
100mM Tris−リン酸では、単に水を試料したネガティブコントロール(NTC)でさえ、非特異的な増幅サンプルが発生しているのに対し、Tris−リン酸ではこの非特異的な増幅が抑制されている。この非特異抑制効果は糞便の有無に関わらず、認められた。
実施例3.リン酸水素カリウムの非特異低減効果の確認
・ 試料の調製
実施例1と同様に、人工合成したノロウイルス遺伝子RNA断片 10コピー/μlとなるように糞便懸濁処理済液と混合し、RT−PCRの試料とした。また、ネガティブコントロールとして、ノロウイルス遺伝子RNA断片を含まない糞便懸濁処理済液を使用した。
(2)1ステップRT−PCR
(2−1)反応液
以下に示される組成の反応液を調製した。
75mM Tris−硫酸(pH7.5)
3.75mM 硫酸マグネシウム
0、5、10、15、または20mM リン酸水素カリウム
0.25mg/ml ウシ血清アルブミン
各0.2mM dATP,dGTP,dCTP,dTTP
0.3μM COG2Fプライマー
0.3μM COG2Rプライマー
0.1μM 内部標準配列Fプライマー(配列番号1)
0.1μM 内部標準配列Fプライマー(配列番号2)
1000コピー 内部標準配列DNA pBR322 プラスミドDNA
0.2unit/μl rTaq DNA polymerase(東洋紡)
0.2unit/μl anti Taq high(東洋紡)
0.05unit/μl RevertraAce(東洋紡)
(2−2)反応
前記反応液45μlを(1)で処理した各試料に添加した。これを以下の温度サイクルで反応した。
50℃ 5分(逆転写反応)、
95℃ 5分、
94℃ 10秒−56℃ 45秒 45サイクル(PCR)
(3)結果
図1に電気泳動解析の結果を示す。使用した前記プライマーセット(COG2FおよびCOG2R)は98bpの増幅断片を生成する。
0〜10mMリン酸水素カリウム存在下では、ネガティブコントロール(NTC)において、非特異的増幅産物が発生しているのに対し、15〜20mMリン酸水素カリウム存在下では、非特異的増幅産物の発生が抑制されている。この非特異抑制効果は糞便の有無に関わらず、認められた。
実施例4.2本鎖結合蛍光物質存在下での核酸増幅
・ 試料の調製
実施例1と同様に、人工合成したノロウイルス遺伝子RNA断片2、10、50、250、1250コピー/μlとなるように糞便懸濁処理済液と混合し、RT−PCRの試料とした。また、ネガティブコントロールとして、ノロウイルス遺伝子RNA断片を含まない糞便懸濁処理済液を使用した。
(2)1ステップRT−PCR
(2−1)反応液
以下に示される組成の反応液を調製した。
75mM Tris−硫酸(pH7.5)
3.75mM 硫酸マグネシウム
15mM リン酸水素カリウム
0.25mg/ml ウシ血清アルブミン
各0.2mM dATP,dGTP,dCTP,dUTP
0.3μM COG2Fプライマー
0.3μM COG2Rプライマー
0.1μM 内部標準配列Fプライマー(配列番号1)
0.1μM 内部標準配列Fプライマー(配列番号2)
1000コピー 内部標準配列DNA pBR322 プラスミドDNA
0.2unit/μl rTaq DNA polymerase(東洋紡)
0.2unit/μl anti Taq high(東洋紡)
0.05unit/μl RevertraAce(東洋紡)
1xEvaGreen dye(Biotium)
(2−2)反応
前記反応液45μlを(1)で処理した各試料に添加した。BioRad社製MiniOpticonを用いて、これを以下の温度サイクルで反応した。
50℃ 5分(逆転写反応)、
95℃ 5分、
94℃ 10秒−56℃ 45秒 45サイクル(PCR)
(2−3)融解曲線解析
反応終了後、直ちに「70℃ 0.5℃/秒 90℃融解曲線解析」に供した。すなわち、70℃から 0.5℃/秒 で90℃まで上昇させた。
(3)結果
図4に融解曲線解析の結果を示す。使用した前記プライマーセット(COG2FおよびCOG2R)は、ノロウイルスG2タイプが存在すると80℃付近にピークを与えることがわかっている。また、使用した内部標準配列プライマーセットは、反応液に含まれる内部標準配列DNAのピークを85℃付近に与えることがわかっている。
この結果、2本鎖DNA結合性蛍光色素であるEvaGreen存在下でも、0コピーにおいては内部標準のみのピークが認められ、G2 RNA存在下ではG2由来のピークと内部標準に由来するピークのみが認められ、特異的な検出が行えた。
本発明は、分子生物学研究、さらに臨床検査や食品衛生管理、食品における品種の特定や遺伝子組み換えの有無の判別などを目的とした検査に用いられる。

Claims (11)

  1. 試料中に含まれるRNAを検出するための方法であって、少なくとも一つのデオキシヌクレオチド三リン酸ではないリン酸を含む分子存在下で、耐熱性DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、プライマーを用いてRT−PCRによる核酸増幅することからなる方法。
  2. リン酸を含む分子がTris−リン酸、リン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウムの郡より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. Tris−リン酸が50mM〜75mMである、請求項2に記載の方法。
  4. リン酸水素カリウムが15mM以上である、請求項3に記載の方法。
  5. さらに、少なくとも1種類の標識されたハイブリダイゼーションプローブまたは2本鎖DNA結合蛍光化合物のいずれかを含む、請求項1〜4に記載の方法。
  6. 試料が、血液、尿、糞便、喀痰、鼻腔液、膣分泌液及び口腔内粘膜からなる群から選択される、請求項1〜5に記載の方法。
  7. 少なくとも一つのデオキシヌクレオチド三リン酸ではないリン酸を含む分子、dNTP、Mg塩、耐熱性DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素を含む、特異性が向上したRT−PCRによる核酸増幅のための組成物。
  8. リン酸を含む分子がTris−リン酸、リン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウムの郡より選択される、請求項7に記載の組成物。
  9. Tris−リン酸が50mM〜75mMである、請求項8に記載の組成物。
  10. リン酸水素カリウムが15mM以上である、請求項9に記載の組成物。
  11. さらに、2本鎖DNA結合蛍光性化合物を含む、請求項7〜10に記載の組成物。
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