JP2023098185A - 標的塩基配列の検出方法 - Google Patents

標的塩基配列の検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、核酸増幅反応による標的塩基配列の検出において、標的塩基配列の検出感度を低下させることを目的とする。【解決手段】本発明の一側面に係る試料中の標的塩基配列を検出する方法は、試料を、(a)一種以上のフォワードプライマー、(b)一種以上のリバースプライマー、(c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び(d)競合オリゴヌクレオチドと混合して核酸増幅反応を行う工程を含み、標的塩基配列とその相補的配列のうち、センス配列はリバースプライマー結合領域を有し、アンチセンス配列はフォワードプライマー結合領域を有し、センス配列又はアンチセンス配列にはプローブ結合領域が存在し、競合オリゴヌクレオチドは、標的塩基配列と同じ又は相補的な塩基配列であって、ただし、プローブ結合領域に対応する又は相補的な塩基配列は欠損しているか他の塩基配列に置換されている、塩基配列を含む、方法。【選択図】なし

Description

本発明は、試料中の標的塩基配列を検出する方法に関する。
近年、生体等より得られた試料に僅かに存在する微生物、ウイルス、若しくは細菌、又は病態に伴う遺伝子変異等の検出を目的として、核酸増幅法が用いられている。核酸増幅法は高感度であるため、標的塩基配列の検出において、試料間のクロスコンタミネーション等による夾雑物の混入、類縁菌との交差反応等による、標的塩基配列以外の塩基配列が多々検出される。これを回避するために、核酸増幅反応に用いるプライマーの配列若しくは濃度を変更し、又はプライマー以外の成分若しくはその濃度を変更することができるが、これらの変更によって、標的塩基配列の十分な検出感度を維持できるかの再検討が必要となる。また、目標とする検出感度ごとに、プライマー、プライマー以外の成分、又はそれらの濃度を変更する必要があるため、非常に煩雑であり、効率的でない。
一方、核酸増幅反応を利用した標的塩基配列の検出において、種々の目的で競合オリゴヌクレオチドを用いる技術が知られている。例えば特許文献1では、等温増幅法において、プライマーとの結合について標的核酸配列と競合する鋳型核酸を用いることによって、遺伝子検査の陰性結果を迅速かつ積極的に検出する方法が記載されている。しかしながら、核酸増幅反応における標的塩基配列以外の塩基配列の検出を抑制するために競合オリゴヌクレオチドを用いる技術は知られておらず、そのような目的に合った競合オリゴヌクレオチドも提供されていない。
特開2018-33377号公報
本発明は、核酸増幅反応による標的塩基配列の検出において、標的塩基配列の検出感度を低下させることを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の塩基配列を有する競合オリゴヌクレオチドの存在下で核酸増幅反応を行うことで、標的塩基配列の検出感度が低下し、その結果、標的塩基配列よりも量の少ない夾雑物、類縁菌等に由来する塩基配列の増幅を抑制できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下の[1]~[9]を提供する。
[1] 試料中の標的塩基配列を検出する方法であって、
試料を、
(a)一種以上のフォワードプライマー、
(b)一種以上のリバースプライマー、
(c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び
(d)競合オリゴヌクレオチド
と混合して核酸増幅反応を行う工程を含み、
上記標的塩基配列とその相補的配列のうち、センス配列は、各上記リバースプライマーがアニールする任意のリバースプライマー結合領域を有し、アンチセンス配列は、各上記フォワードプライマーがアニールする任意のフォワードプライマー結合領域を有し、
上記センス配列における最も5’末端寄りの上記リバースプライマー結合領域と、上記センス配列における領域であって、上記アンチセンス配列における最も5’末端寄りの上記フォワードプライマー結合領域に相補的な領域との間、又は上記アンチセンス配列における最も5’末端寄りの上記フォワードプライマー結合領域と、上記アンチセンス配列における領域であって、上記センス配列における最も5’末端寄りの上記リバースプライマー結合領域に相補的な領域との間には、上記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズする任意のプローブ結合領域が存在し、
上記標識オリゴヌクレオチドプローブは、上記プローブ結合領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有し、
上記競合オリゴヌクレオチドは、上記標的塩基配列と同じ又は相補的な塩基配列であって、ただし、
(i)上記プローブ結合領域に対応する又は相補的な塩基配列は、欠損しているか他の塩基配列に置換されており、該他の塩基配列は、該他の塩基配列又はその相補的配列に上記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズできないように設計されており、
(ii)上記一種以上のフォワードプライマー又は上記一種以上のリバースプライマーに含まれる塩基配列に対応する塩基配列及びそれらに相補的な塩基配列以外の塩基配列における塩基は、欠失されているか他の塩基に置換されていてもよく、かつ
(iii)上記標的塩基配列に存在し得るウラシルはチミンに置換されていてもよい
塩基配列を含む、方法。
[2] 上記核酸増幅反応が、ポリメラーゼ連鎖反応又はループ媒介等温増幅反応である、[1]に記載の方法。
[3] 上記核酸増幅反応がポリメラーゼ連鎖反応であり、
上記一種以上のフォワードプライマーが一種のフォワードプライマーであり、
上記一種以上のリバースプライマーが一種のリバースプライマーである、[2]に記載の方法。
[4] 上記核酸増幅反応がループ媒介等温増幅反応であり、
上記一種以上のフォワードプライマーが、FIPプライマー及びF3プライマーであり、
上記一種以上のリバースプライマーが、BIPプライマー及びB3プライマーであり、
上記センス配列は、5’末端から3’末端の方向に任意の領域F3、F2、F1、B1c、B2c、及びB3cをこの順に有し、領域B2c及びB3cは上記リバースプライマー結合領域であり、
上記アンチセンス配列は、3’末端から5’末端の方向に、上記領域F3、F2、F1、B1c、B2c、及びB3cにそれぞれ相補的な領域F3c、F2c、F1c、B1、B2、及びB3をこの順に有し、上記領域F3c及びF2cは上記フォワードプライマー結合領域であり、
上記FIPプライマーは、上記領域F1に相補的な塩基配列を5’末端に有し、かつ上記領域F2cに相補的な塩基配列を3’末端に有し、
上記F3プライマーは、上記領域F3cに相補的な塩基配列を有し、
上記BIPプライマーは、上記領域B1に相補的な塩基配列を5’末端に有し、かつ上記領域B2cに相補的な塩基配列を3’末端に有し、
上記B3プライマーは、上記領域B3cに相補的な塩基配列を有する、[2]に記載の方法。
[5] 上記プローブ結合領域が、上記領域F2とF1の間、上記領域B1cとB2cの間、上記領域F2cとF1cの間、又は上記領域B1とB2の間に存在する、[4]に記載の方法。
[6] 上記核酸増幅反応の増幅産物を、上記標識オリゴヌクレオチドプローブの標識物質に基づいて検出する工程をさらに含む、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7] 上記標識オリゴヌクレオチドプローブが蛍光プローブであり、上記核酸増幅反応の増幅産物を検出する上記工程において、上記蛍光プローブから発せられる蛍光の強度に基づいて上記増幅産物を検出する、[6]に記載の方法。
[8] 核酸増幅反応を用いた標的塩基配列の検出において該標的塩基配列の検出感度を低下させる方法であって、
試料を、
(a)一種以上のフォワードプライマー、
(b)一種以上のリバースプライマー、
(c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び
(d)競合オリゴヌクレオチド
と混合して核酸増幅反応を行う工程を含み、
上記標的塩基配列とその相補的配列のうち、センス配列は、各上記リバースプライマーがアニールする任意のリバースプライマー結合領域を有し、アンチセンス配列は、各上記フォワードプライマーがアニールする任意のフォワードプライマー結合領域を有し、
上記センス配列における最も5’末端寄りの上記リバースプライマー結合領域と、上記センス配列における領域であって、上記アンチセンス配列における最も5’末端寄りの上記フォワードプライマー結合領域に相補的な領域との間、又は上記アンチセンス配列における最も5’末端寄りの上記フォワードプライマー結合領域と、上記アンチセンス配列における領域であって、上記センス配列における最も5’末端寄りの上記リバースプライマー結合領域に相補的な領域との間には、上記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズする任意のプローブ結合領域が存在し、
上記標識オリゴヌクレオチドプローブは、上記プローブ結合領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有し、
上記競合オリゴヌクレオチドは、上記標的塩基配列と同じ又は相補的な塩基配列であって、ただし、
(i)上記プローブ結合領域に対応する又は相補的な塩基配列は、欠損しているか他の塩基配列に置換されており、該他の塩基配列は、該他の塩基配列又はその相補的配列に上記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズできないように設計されており、
(ii)上記一種以上のフォワードプライマー又は上記一種以上のリバースプライマーに含まれる塩基配列に対応する塩基配列及びそれらに相補的な塩基配列以外の塩基配列における塩基は、欠失されているか他の塩基に置換されていてもよく、かつ
(iii)上記標的塩基配列に存在し得るウラシルはチミンに置換されていてもよい
塩基配列を含む、方法。
[9] 標的塩基配列を検出するためのキットであって、
(a)一種以上のフォワードプライマー、
(b)一種以上のリバースプライマー、
(c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び
(d)競合オリゴヌクレオチド
を含み、
上記標的塩基配列とその相補的配列のうち、センス配列は、各上記リバースプライマーがアニールする任意のリバースプライマー結合領域を有し、アンチセンス配列は、各上記フォワードプライマーがアニールする任意のフォワードプライマー結合領域を有し、
上記センス配列における最も5’末端寄りの上記リバースプライマー結合領域と、上記センス配列における領域であって、上記アンチセンス配列における最も5’末端寄りの上記フォワードプライマー結合領域に相補的な領域との間、又は上記アンチセンス配列における最も5’末端寄りの上記フォワードプライマー結合領域と、上記アンチセンス配列における領域であって、上記センス配列における最も5’末端寄りの上記リバースプライマー結合領域に相補的な領域との間には、上記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズする任意のプローブ結合領域が存在し、
上記標識オリゴヌクレオチドプローブは、上記プローブ結合領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有し、
上記競合オリゴヌクレオチドは、上記標的塩基配列と同じ又は相補的な塩基配列であって、ただし、
(i)上記プローブ結合領域に対応する又は相補的な塩基配列は、欠損しているか他の塩基配列に置換されており、該他の塩基配列は、該他の塩基配列又はその相補的配列に上記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズできないように設計されており、
(ii)上記一種以上のフォワードプライマー又は上記一種以上のリバースプライマーに含まれる塩基配列に対応する塩基配列及びそれらに相補的な塩基配列以外の塩基配列における塩基は、欠失されているか他の塩基に置換されていてもよく、かつ
(iii)上記標的塩基配列に存在し得るウラシルはチミンに置換されていてもよい
塩基配列を含む、キット。
本発明は、以下の[10]及び[11]を提供するともいえる。
[10] 試料中の標的塩基配列を検出する方法であって、
試料を、
(a)フォワードプライマー、
(b)リバースプライマー、
(c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び
(d)競合オリゴヌクレオチド
と混合して核酸増幅反応を行う工程を含み、
上記標的塩基配列とその相補的配列のうち、センス配列は、5’末端から3’末端の方向に任意の領域F及びBcをこの順に有し、アンチセンス配列は、3’末端から5’末端の方向に、上記領域F及びBcにそれぞれ相補的な領域Fc及びBをこの順に有し、
上記領域FとBcの間又は上記領域FcとBの間には、上記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズする任意のプローブ結合領域が存在し、
上記フォワードプライマーは上記領域Fcと相補的な塩基配列F’を有し、
上記リバースプライマーは上記領域Bcと相補的な塩基配列B’を有し、
上記標識オリゴヌクレオチドプローブは、上記プローブ結合領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有し、
上記競合オリゴヌクレオチドは、上記標的塩基配列と同じ又は相補的な塩基配列であって、ただし、
(i)上記プローブ結合領域に対応する又は相補的な塩基配列は、欠損しているか他の塩基配列に置換されており、該他の塩基配列は、該他の塩基配列又はその相補的配列に上記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズできないように設計されており、
(ii)上記領域F、Bc、Fc、及びBに対応する領域の塩基配列以外の塩基配列における塩基は、欠失されているか他の塩基に置換されていてもよく、かつ
(iii)上記標的塩基配列に存在し得るウラシルはチミンに置換されていてもよい
塩基配列を含む、方法。
[11] 試料中の標的塩基配列を検出する方法であって、
試料を、
(a)FIPプライマー及びF3プライマー
(b)BIPプライマー及びB3プライマー、
(c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、並びに
(d)競合オリゴヌクレオチド
と混合して核酸増幅反応を行う工程を含み、
上記標的塩基配列とその相補的配列のうち、センス配列は、5’末端から3’末端の方向に任意の領域F3、F2、F1、B1c、B2c、及びB3cをこの順に有し、アンチセンス配列は、3’末端から5’末端の方向に、上記領域F3、F2、F1、B1c、B2c、及びB3cにそれぞれ相補的な領域F3c、F2c、F1c、B1、B2、及びB3をこの順に有し、
上記領域F2とB2cの間又は上記領域F2cとB2の間には、上記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズする任意のプローブ結合領域が存在し、
上記FIPプライマーは、上記領域F1に相補的な塩基配列を5’末端に有し、かつ上記領域F2cに相補的な塩基配列を3’末端に有し、
上記F3プライマーは、上記領域F3cに相補的な塩基配列を有し、
上記BIPプライマーは、上記領域B1に相補的な塩基配列を5’末端に有し、かつ上記領域B2cに相補的な塩基配列を3’末端に有し、
上記B3プライマーは、上記領域B3cに相補的な塩基配列を有し、
上記標識オリゴヌクレオチドプローブは、上記プローブ結合領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有し、
上記競合オリゴヌクレオチドは、上記標的塩基配列と同じ又は相補的な塩基配列であって、ただし、
(i)上記プローブ結合領域に対応する又は相補的な塩基配列は、欠損しているか他の塩基配列に置換されており、該他の塩基配列は、該他の塩基配列又はその相補的配列に上記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズできないように設計されており、
(ii)上記領域F3、F2、F1、B1c、B2c、B3c、F3c、F2c、F1c、B1、B2、及びB3に対応する領域の塩基配列以外の塩基配列における塩基は、欠失されているか他の塩基に置換されていてもよく、かつ
(iii)上記標的塩基配列に存在し得るウラシルはチミンに置換されていてもよい
塩基配列を含む、方法。
本発明によれば、核酸増幅反応による標的塩基配列の検出において、標的塩基配列の検出感度を低下させることができる。その結果、標的塩基配列よりも量の少ない夾雑物、類縁菌等に由来する塩基配列の検出を抑制することができる。
図1は、ポリメラーゼ連鎖反応による標的塩基配列の検出に用いるプライマー、標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び競合オリゴヌクレオチドと、これらの設計の基となる、標的塩基配列及びその相補的配列における領域を示す。 図2はループ媒介等温増幅反応による標的塩基配列の検出に用いるプライマー、標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び競合オリゴヌクレオチドと、これらの設計の基となる、標的塩基配列及びその相補的配列における領域を示す。 図3の(A)は、実施例1における標的塩基配列(res1の部分配列、配列番号1)を示し、図3の(B)は、実施例1における標的塩基配列及び競合オリゴヌクレオチドの塩基配列の概略を示す。 図4の(A)は、実施例2及び3における標的塩基配列を含むHER2遺伝子の塩基配列(配列番号9)を示し、図4の(B)は、実施例2及び3における標的塩基配列及び競合オリゴヌクレオチドの塩基配列の概略を示す。 図5の(A)は、実施例4におけるSARSコロナウイルス2のN遺伝子における標的塩基配列(配列番号15)と、SARSコロナウイルスにおける対応する塩基配列(配列番号16)とのアライメントを示し、図5の(B)は、実施例4における標的塩基配列及び競合オリゴヌクレオチドの塩基配列の概略を示す。
本発明の一側面に係る試料中の標的塩基配列を検出する方法は、試料を、
(a)一種以上のフォワードプライマー、
(b)一種以上のリバースプライマー、
(c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び
(d)競合オリゴヌクレオチド
と混合して核酸増幅反応を行う工程を含む。
試料は、標的塩基配列を含む核酸を含む可能性のある試料であれば特に限定されず、例えば、鼻汁、鼻腔吸引液、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、唾液、血液、血漿、血清、尿、糞便、組織、細胞、培養細胞から分離した細菌若しくはウイルスを含む検体等生体試料であってよい。試料は、上記生体試料に、分離、濃縮、精製等の処理を行ったものであってもよい。例えば、試料として、上記生体試料から抽出したDNA又はRNAを用いてもよい。
本明細書において、用語「標的塩基配列」とは、後述するフォワードプライマー及びリバースプライマーを用いた核酸増幅反応により増幅される塩基配列と、かかる増幅に必要なプライマーの設計領域の塩基配列とからなる塩基配列を指す。標的塩基配列は、核酸増幅反応により増幅させるのに必要な長さを有する塩基配列であれば特に限定されず、DNAの塩基配列であってもRNAの塩基配列であってもよい。標的塩基配列の長さは、例えば、25~100,000塩基、28~10,000塩基、又は30~250塩基であってよい。標的塩基配列を含む核酸は、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。
上記(a)~(d)は、標的塩基配列とその相補的配列に基づいて設計される。標的塩基配列とその相補的配列のうち、センス配列においては、後述するリバースプライマーがアニールする任意のリバースプライマー結合領域が3’末端寄りに設定され、アンチセンス配列においては、後述するフォワードプライマーがアニールする任意のフォワードプライマー結合領域が3’末端寄りに設定される。本明細書において、リバースプライマー結合領域とフォワードプライマー結合領域を併せて「プライマー結合領域」と呼ぶ。また、センス配列及びアンチセンス配列のいずれか一方には、後述する、標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズする任意のプローブ結合領域がさらに設定される。
本明細書において、用語「相補的」は必ずしも完全に相補的であることを意味しない。例えば、「ある塩基配列に相補的な塩基配列」の範囲には、ある塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸の塩基配列が含まれる。ストリンジェントな条件は、特に限定されないが、例えば、50%ホルムアミド、5×SSC(150mL NaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハーツ溶液、及び10%デキストラン硫酸であってよい。
当業者に理解されるように、センス配列とは、タンパク質をコードする配列であり、すなわちタンパク質合成の鋳型となり得る塩基配列であり、例えば、プラス鎖型一本鎖RNAウイルスのRNA配列はセンス配列である。一方、アンチセンス配列とは、タンパク質合成の鋳型となり得ない塩基配列であり、例えば、マイナス鎖型一本鎖RNAウイルスのRNA配列はアンチセンス配列である。標的塩基配列を含む核酸が二本鎖DNAの場合、通常、標的塩基配列としてはセンス配列が選ばれる。
本明細書において、フォワードプライマー又はリバースプライマーの設計の基となるセンス配列中又はアンチセンス配列中の領域と、それに相補的なセンス配列中又はアンチセンス配列中の領域を、併せて「プライマー設計領域」と呼ぶ。いいかえれば、プライマー設計領域は、フォワードプライマー又はリバースプライマーに含まれる塩基配列に対応する塩基配列からなるセンス配列中又はアンチセンス配列中の領域と、それに相補的なセンス配列中又はアンチセンス配列中の領域を指す。「フォワードプライマー又はリバースプライマーに含まれる塩基配列に対応する塩基配列」とは、フォワードプライマー又はリバースプライマーに含まれる塩基配列を指し、ただし、センス配列又はアンチセンス配列中にウラシルが存在する場合は、フォワードプライマー又はリバースプライマーに含まれる塩基配列であって、チミンがウラシルに置換された塩基配列を指す。プライマー設計領域には、プライマー結合領域とそれらに相補的なセンス配列中又はアンチセンス配列中の領域が含まれるが、これらの領域以外の領域も含まれ得る。例えば、後述するFIPプライマー及びBIPプライマーは、プライマー結合領域又はそれらに相補的な領域(F2、F2c、B2、及びB2c)と、プライマー結合領域又はそれらに相補的な領域に該当しない領域(F1c、F1、B1c、及びB1)とに基づいて設計され、どちらの領域もプライマー設計領域に含まれる。また、本明細書において、プローブ結合領域とそれに相補的なセンス中配列又はアンチセンス配列中の領域とを、「プローブ設計領域」と呼ぶ。
当業者は、プライマー設計領域として適当な領域を、核酸増幅反応の種類に応じて、公知の文献等の開示に基づいて適宜選択することができる。
プローブ結合領域(すなわち、プローブ設計領域)としては、フォワードプライマー結合領域又はそれに相補的な領域と、リバースプライマー結合領域又はそれに相補的な領域との間の任意の領域が選択される。フォワードプライマー及びリバースプライマーが複数種ある場合、プローブ結合領域は、最も内側のフォワードプライマー結合領域又はそれに相補的な領域と、最も内側のリバースプライマー結合領域又はそれに相補的な領域との間に設定される。ここで、「最も内側」とは、センス配列及びアンチセンス配列の5’末端及び3’末端から最も離れた位置を指す。より厳密には、プローブ結合領域は、センス配列中に設定される場合、最も5’末端寄りのリバースプライマー結合領域と、アンチセンス配列における最も5’末端寄りのフォワードプライマー結合領域に相補的な領域との間に設定され、アンチセンス配列中に設定される場合、最も5’末端寄りのフォワードプライマー結合領域と、センス配列における最も5’末端寄りのリバースプライマー結合領域に相補的な領域との間に設定される。プローブ結合領域は、その一部においてプライマー設計領域と重なってもよいが、プローブ結合領域とプライマー設計領域は重ならないことが好ましい。プローブ結合領域からプライマー設計領域までの距離、より具体的には、プローブ結合領域の5’末端に最も近いプライマー設計領域の3’末端からプローブ結合領域の5’末端までの距離、及びプローブ結合領域の3’末端に最も近いプライマー設計領域の5’末端からプローブ結合領域の3’末端までの距離は、例えば、0~35塩基、0~20塩基、0~10塩基、又は1~5塩基であってよい。
プローブ結合領域の長さ(塩基数)は、例えば、5~200塩基、15~100塩基、又は20~30塩基であってよい。
当業者に理解されるように、フォワードプライマーとは、アンチセンス配列にアニールして、DNAポリメラーズによる5’末端から3’末端への伸長反応の起点を与えるオリゴヌクレオチド(好ましくはDNA)であり、リバースプライマーとは、センス配列にアニールして、DNAポリメラーズによる5’末端から3’末端への伸長反応の起点を与えるオリゴヌクレオチド(好ましくはDNA)である。フォワードプライマー及びリバースプライマーは、上記プライマー設計領域に基づいて設計され、それぞれフォワードプライマー結合領域及びリバースプライマー結合領域の塩基配列に相補的な塩基配列を少なくとも含む。当業者は、核酸増幅反応の種類に応じて、公知の文献等の開示に基づいてフォワードプライマー及びリバースプライマーを適宜設計することができる。また、フォワードプライマー及びリバースプライマーの数(種類)も、核酸増幅反応の種類に応じて、当業者が適宜決定できる。例えば、1~4種、1~3種、又は1若しくは2種のフォワードプライマー又はリバースプライマーを使用することができる。
標識オリゴヌクレオチドプローブは、標的塩基配列の増幅を検出するためのオリゴヌクレオチド(より具体的にはDNA)であり、標識物質が結合している。標識オリゴヌクレオチドプローブは、上記プローブ設計領域に基づいて設計され、上記プローブ結合領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有する。
標識オリゴヌクレオチドプローブは、例えば蛍光プローブであってよい。蛍光プローブとしては、例えば、蛍光消光プローブ(Qプローブ)及び副溝結合プローブ(MGBプローブ)が挙げられる。蛍光消光プローブに用いることのできる蛍光色素としては、例えば、BODIPY(登録商標)、BODIPY(登録商標)-FL、カルボキシローダミン6G(CR6G)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、パシフィックブルー(登録商標)、及びフルオレセイン-4-イソチオシアネート(FITC)が挙げられる。MGBプローブに用いることのできる蛍光色素としては、例えば、FAM(登録商標)及びHEX(登録商標)が挙げられる。MGBプローブに用いることのできるクエンチャーとしては、例えば、Eclipse(登録商標)クエンチャーが挙げられる。
標識オリゴヌクレオチドプローブにおけるオリゴヌクレオチドの長さは、例えば、5~200塩基、15~100塩基、又は20~30塩基であってよい。
競合オリゴヌクレオチドは、上記フォワード及びリバースプライマーとの結合について標的塩基配列と競合するオリゴヌクレオチドである。競合オリゴヌクレオチドは、DNA及びRNAのいずれであってもよいが、好ましくはDNAである。競合オリゴヌクレオチドは、標的塩基配列と同じ又は相補的な塩基配列であって、ただし、プローブ設計領域の塩基配列(すなわち、プローブ結合領域又はそれに相補的な領域の塩基配列)が欠損しているか他の塩基配列に置換されている、塩基配列を含む。ここで、他の塩基配列は、該他の塩基配列又はその相補的配列に標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズできないように設計されている。いいかえれば、他の塩基配列は、標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズできない塩基配列であって、標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズできない相補的配列を有する塩基配列からなる。競合オリゴヌクレオチドの設計において、プローブ設計領域の塩基配列は欠失させることが好ましい。ある塩基配列(例えば、上記他の塩基配列又はその相補的配列)に標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズできるか否かは、融解曲線解析等の公知の手法により、容易に判断することができる。
上記他の塩基配列は特に限定されず、その塩基配列又はその相補的配列に標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズできなければ、いかなる塩基配列であってもよい。他の塩基配列は、例えば、連続した複数のアデニンからなるポリA(ポリアデニル酸)配列であってもよく、又はプローブ設計領域の塩基配列から1つ以上の塩基を欠失させて得られる塩基配列であってもよい。
競合オリゴヌクレオチドにおいて、プライマー設計領域の塩基配列に対応する塩基配列以外の塩基配列における塩基は、欠失させるか他の塩基に置換してもよい。また、標的塩基配列にウラシルが存在する場合、競合オリゴヌクレオチドにおける対応するウラシルは、チミンに置換してもよい。さらに、競合オリゴヌクレオチドの5’末端及び3’末端には、1以上の塩基が付加されていてもよい。
核酸増幅反応は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ループ媒介等温増幅(LAMP)反応、転写媒介増幅(TMA)反応、又は核酸配列ベース増幅(NASBA)反応であってよい。核酸増幅反応は、好ましくはPCR又はLAMP反応である。
ここで、図1を参照しながら、核酸増幅反応がPCRである場合に用いられる上記(a)フォワードプライマー、(b)リバースプライマー(c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び(d)競合オリゴヌクレオチドについて説明する。
核酸増幅反応がPCR反応であり、かつフォワードプライマーとリバースプライマーをそれぞれ一種類ずつ用いる場合、センス配列におけるプライマー設計領域として、5’末端側から3’末端側の順に任意の領域F及びBcを設定することができ、アンチセンス配列におけるプライマー設計領域として、3’末端側から5’末端側の順に任意の領域Fc及びBを設定することできる。なお、図1は、標的塩基配列がセンス配列である場合を示すが、標的塩基配列はアンチセンス配列であってもよい。
当業者は、領域F及びBcとして適当な領域を、公知の文献等の開示に基づいて適宜選択することができる。各領域の長さ(塩基数)は、例えば、10~100塩基、10~50塩基、又は15~30塩基であってよい。
領域Bcはリバースプライマー結合領域であり、領域Fcはフォワードプライマー結合領域である。プローブ結合領域は、領域FとBcの間又は領域FcとBの間の任意の位置に設定される。図1において、プローブ結合領域は領域FcとBの間に存在する。
PCRによる核酸増幅において、フォワードプライマーは、領域Fcと相補的な塩基配列F’を有する。図1に示すように、塩基配列F’は好ましくは領域Fと同じ配列である。ただし、領域Fにウラシルが存在する場合、フォワードプライマーにおける対応するウラシルは、チミンに置換されてもよい。
PCRによる核酸増幅において、リバースプライマーは、領域Bcと相補的な塩基配列B’を有する。図1に示すように、塩基配列B’は好ましくは領域Bと同じ配列である。ただし、領域Bにウラシルが存在する場合、リバースプライマーにおける対応するウラシルは、チミンに置換されてもよい。
標識オリゴヌクレオチドプローブについては、上述のとおりである。図1において、標識オリゴヌクレオチドプローブは、領域FcとBの間に存在するプローブ結合領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有する。
競合オリゴヌクレオチドについては、上述のとおりである。図1において、競合オリゴヌクレオチドは、標的塩基配列からプローブ結合領域に相補的な領域の塩基配列を欠失させた塩基配列であるが、競合オリゴヌクレオチドはこの態様に限定されない。
次に、図2を参照しながら、核酸増幅反応がLAMP反応である場合に用いられる上記(a)フォワードプライマー、(b)リバースプライマー(c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び(d)競合オリゴヌクレオチドについて説明する。
核酸増幅反応がLAMP反応である場合、センス配列におけるプライマー設計領域は、5’末端側から3’末端側の順に、領域F3、F2、F1、B1c、B2c、及びB3cと呼ばれ、アンチセンス配列におけるプライマー設計領域は、3’末端側から5’末端側の順に、領域F3c、F2c、F1c、B1、B2、及びB3と呼ばれる。領域F3、F2、F1、B1c、B2c、及びB3cの塩基配列は、それぞれ領域F3c、F2c、F1c、B1、B2、及びB3に相補的である。なお、図2は、標的塩基配列がセンス配列である場合を示すが、標的塩基配列はアンチセンス配列であってもよい。
当業者は、領域F3、F2、F1、B1c、B2c、及びB3cとして適当な領域を、公知の文献等の開示に基づいて適宜選択することができる。各領域の長さ(塩基数)は、例えば、5~100塩基、10~50塩基、又は15~28塩基であってよい。領域F2の5’末端から領域B2cの3’末端までの距離は、例えば120~180塩基であってよい。領域F2と領域F3との間、及び領域B2cと領域B3cとの間の距離は、例えば、0~20塩基であってよい。領域F2の5’末端から領域F1の5’末端までの距離、及び領域B2の5’末端から領域B1の5’末端までの距離は、例えば40~60塩基であってよい。領域F1から領域B1cの間の距離は特に限定されず、領域F1の3’末端と領域B1cの5’末端とは、直接結合していてもよい。
領域B2c及びB3cはリバースプライマー結合領域であり、領域F3c及びF2cはフォワードプライマー結合領域である。プローブ結合領域は、領域F2とB2cの間又は領域F2cとB2の間の任意の位置に設定される。プローブ結合領域は、好ましくは領域F2とF1の間、領域B1cとB2cの間、領域F2cとF1cの間、又は領域B1とB2の間に設定される。図2において、プローブ結合領域は領域B1とB2の間に存在する。
LAMP反応による核酸増幅においては、フォワードプライマーとしてFIPプライマー及びF3プライマーが設計され、リバースプライマー(バックワードプライマーともいう)としてBIPプライマー及びB3プライマーが設計される。これらプライマーは公知のプライマーである。
FIPプライマーは、領域F1に相補的な塩基配列F1c’を5’末端に有し、かつ領域F2cに相補的な塩基配列F2’を3’末端に有する。図2に示すように、塩基配列F1c’は好ましくは領域F1cと同じ塩基配列であり、塩基配列F2’は好ましくは領域F2と同じ塩基配列である。ただし、領域F1c又は領域F2にウラシルが存在する場合、FIPプライマーにおける対応するウラシルは、チミンに置換されてもよい。塩基配列F1c’と、塩基配列F2’との間には、リンカーとなる1以上の塩基が存在しても存在しなくてもよい。リンカーとなる塩基は、1~500塩基、1~100塩基、又は10~70塩基であってよい。
F3プライマーは、領域F3cに相補的な塩基配列F3’を有する。図2に示すように、塩基配列F3’は好ましくは領域F3と同じ塩基配列である。ただし、領域F3にウラシルが存在する場合、F3プライマーにおける対応するウラシルは、チミンに置換されてもよい。
BIPプライマーは、領域B1に相補的な塩基配列B1c’を5’末端に有し、かつ領域B2cに相補的な塩基配列B2’を3’末端に有する。図2に示すように、塩基配列B1c’は好ましくは領域B1cと同じ塩基配列であり、塩基配列B2’は好ましくは領域B2と同じ塩基配列である。ただし、領域B1c又は領域B2にウラシルが存在する場合、BIPプライマーにおける対応するウラシルは、チミンに置換されてもよい。塩基配列B1c’と、塩基配列B2’との間には、リンカーとなる1以上の塩基が存在しても存在しなくてもよい。リンカーとなる塩基は、1~500塩基、1~100塩基、又は10~70塩基であってよい。
B3プライマーは、領域B3cに相補的な塩基配列B3’を有する。図2に示すように、塩基配列B3’は好ましくは領域B3と同じ塩基配列である。ただし、領域B3にウラシルが存在する場合、B3プライマーにおける対応するウラシルは、チミンに置換されてもよい。
標識オリゴヌクレオチドプローブについては、上述のとおりである。図2において、標識オリゴヌクレオチドプローブは、領域B1とB2の間に存在するプローブ結合領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有する。
競合オリゴヌクレオチドについては、上述のとおりである。図2において、競合オリゴヌクレオチドは、標的塩基配列からプローブ結合領域に相補的な領域の塩基配列を欠失させた塩基配列であるが、競合オリゴヌクレオチドはこの態様に限定されない。
本発明の本側面に係る試料中の標的塩基配列を検出する方法において、試料には、上記(a)~(d)とともに、DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP:dATP、dTTP、dCTP、及びdGTP)等、各種核酸増幅反応を行うための公知の試薬を混合してもよい。標的塩基配列がRNAの塩基配列の場合、試料には、逆転写酵素をさらに混合してもよい。各種核酸増幅反応を行うためのその他の公知の試薬としては、例えば、酵素反応に好適な条件を与える緩衝液又は塩、並びにジチオトレイトール(DTT)等の酵素又は標的核酸配列を安定化する保護剤が挙げられる。
DNAポリメラーゼは、核酸増幅反応の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、Bst DNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)、Bca(exo-)DNAポリメラーゼ、Csa DNAポリメラーゼ、又は大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントであってよい。
逆転写酵素は、RNAを鋳型としてcDNAを合成する活性を有する酵素であれば特に限定されず、例えば、天然の若しくは組み換えトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)、マウス白血病ウイルス(MMLV)、又はヒト免疫不全ウイルス(HIV)に由来する天然の若しくは組み換え逆転写酵素であってよい。DNAポリメラーゼとしてBca(exo-)DNAポリメラーゼ等、逆転写酵素活性とDNAポリメラーゼ活性の両方を有する酵素を用いる場合、別途の逆転写酵素を用いなくてもよい。
試料を、(a)一種以上のフォワードプライマー、(b)一種以上のリバースプライマー、(c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び(d)競合オリゴヌクレオチドと混合して核酸増幅反応を行う工程は、例えば、試料とこれら(a)~(d)を含む反応液をインキュベートすることにより行うことができる。反応液は、核酸増幅反応を行うための上述の公知の試薬をさらに含んでよい。インキュベーションの温度は、各プライマー及び標識オリゴヌクレオチドプローブが標的塩基配列に特異的にアニール又はハイブリダイズできる温度であれば特に限定されず、インキュベーションの温度及び時間(すなわち、反応の温度及び時間)は、核酸増幅反応の種類、DNAポリメラーゼの種類、プライマーの融解温度(Tm値)に応じて適宜設定できる。例えばLAMP反応の場合、通常65℃以下で60分以下である。
反応溶液中の各プライマーの濃度は、核酸増幅反応の種類に応じて適宜調整される。例えばPCRの場合、反応液中のリバースプライマーの濃度及びフォワードプライマーの濃度は、通常0.1~1μMである。LAMP反応の場合、反応溶液中のFIPプライマーの濃度及びBIPプライマーの濃度は、通常0.8~2.4μMである。反応溶液中のF3プライマーの濃度及びB3プライマーの濃度は、通常0.1~0.3μMである。FIPプライマーの濃度及びBIPプライマーの濃度は、通常、それぞれF3プライマーの濃度及びB3プライマーの濃度の8倍以上である。
反応液中の標識オリゴヌクレオチドプローブの濃度は、例えば、0.01~0.5μM、0.02~0.25μM、又は0.04~0.1μMであってよい。
反応液中の競合オリゴヌクレオチドの濃度は、試料の量(具体的には試料中の核酸の濃度)及び標的塩基配列の目標とする検出感度に応じて適宜調整される。競合オリゴヌクレオチドの濃度が高いほど、標的塩基配列の検出感度が低くなり、夾雑物、類縁菌等に由来する塩基配列の検出がより抑制される。
本発明の本側面に係る試料中の標的塩基配列を検出する方法は、核酸増幅反応の増幅産物を標識オリゴヌクレオチドプローブの標識物質に基づいて検出する工程をさらに含んでよい。増幅産物の存在が検出された場合、試料中に標的塩基配列が存在すると判定することができる。一方、増幅産物の存在が検出されなかった場合、試料中に標的塩基配列が存在しないと判定することができる。
増幅産物の検出は、核酸増幅反応終了後に行ってもよく、反応中にリアルタイムで行ってもよい。
標識オリゴヌクレオチドプローブが蛍光プローブである場合、核酸増幅反応の増幅産物を検出する工程では、蛍光プローブから発せられる蛍光の強度に基づいて増幅産物を検出することができる。例えば、蛍光プローブとして蛍光消光プローブを用いた場合、蛍光消光プローブから発せられる蛍光は標的塩基配列又はその相補的配列中のプローブ結合領域とハイブリダイズすることにより消光するため、蛍光の減少を測定することで増幅産物を定量又は検出できる。また、蛍光プローブとしてMGBプローブを用いた場合、MGBプローブが標的塩基配列又はその相補的配列中のプローブ結合領域とハイブリダイズしてDNAポリメラーゼにより切断されると、蛍光色素から蛍光が発せられるため、蛍光の上昇を測定することで増幅産物を定量又は検出できる。
本発明の本側面に係る試料中の標的塩基配列を検出する方法においては、競合オリゴヌクレオチドの存在下で核酸増幅反応を行うことで、標的塩基配列の検出感度が低下し、その結果、標的塩基配列よりも量の少ない夾雑物、類縁菌等に由来する塩基配列の増幅を抑制することができる。また、競合オリゴヌクレオチドの濃度を調整することで標的塩基配列の検出感度を調整することができるため、目標の検出感度ごとに、プライマー、プライマー以外の成分、又はそれらの濃度を変更する必要がなく、検出感度の調整が簡便に行える。
本発明の一側面は、核酸増幅反応を用いた標的塩基配列の検出において該標的塩基配列の検出感度を低下させる方法であるといえ、かかる方法は、試料を、(a)一種以上のフォワードプライマー、(b)一種以上のリバースプライマー、(c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び(d)競合オリゴヌクレオチドと混合して核酸増幅反応を行う工程を含む。試料を上記(a)~(d)競合オリゴヌクレオチドと混合して核酸増幅反応を行う工程の詳細は、上述のとおりである。かかる方法によれば、競合オリゴヌクレオチド濃度依存的に、標的塩基配列の検出感度を低下させることできる。
本発明の本側面に係る、核酸増幅反応を用いた標的塩基配列の検出において該標的塩基配列の検出感度を低下させる方法は、核酸増幅反応の増幅産物を標識オリゴヌクレオチドプローブの標識物質に基づいて検出する工程をさらに含んでよい。核酸増幅反応の増幅産物を検出する工程の詳細は上述のとおりである。
本発明の別の側面は、上記(a)一種以上のフォワードプライマー、(b)一種以上のリバースプライマー、(c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び(d)競合オリゴヌクレオチドを含む、標的塩基配列を検出するためのキットである。かかるキットは、逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、dNTP、緩衝液、塩、保護剤等、核酸増幅反応を行うための上記公知の試薬さらに含んでよい。
<実施例1>
プレミックス12.5μL、プライマーミックス2.0μL、Qプローブ0.5μL、及び競合オリゴヌクレオチド1μLの混合液に、試料として配列番号1で示される標的塩基配列(res1の部分配列)からなるDNA1μLを加え、反応液量を精製水で25μLに調整した。試料は、反応液に添加前するにサーマルサイクラーを用いて90℃で4分加熱した。反応液の組成を表1に示し、プライマー、Qプローブ、及び競合オリゴヌクレオチドの塩基配列を表2に示す。Qプローブの3’末端はBODIPY(登録商標) FL(BPFL)で標識した。
Figure 2023098185000001
Figure 2023098185000002
標的塩基配列(配列番号1)を図3の(A)に示す。図3の(A)中、プライマー設計領域を下線で示し、Qプローブと同じ塩基配列を四角で囲んだ。標的塩基配列及び競合オリゴヌクレオチドの塩基配列の概略を図3の(B)に示す。競合オリゴヌクレオチドOligo-1(配列番号7)は、標的塩基配列からQプローブと同じ塩基配列(26塩基)を欠失させて得られるオリゴヌクレオチドである。競合オリゴヌクレオチドOligo-1-comple(配列番号8)は、Oligo-1に相補的なオリゴヌクレオチドである。
リアルタイムPCR装置LightCycler(登録商標) 480 Instrument II(ロシュ製)を用いて、62.5℃で60分LAMP反応を行った。Qプローブの消光による蛍光強度の減少をモニタリングし(励起波長465nm、検出波長510nm)、所定の蛍光強度に減少するまでに要する時間(検出時間)を測定した。競合オリゴヌクレオチドとしてOligo-1を用いた場合の結果を表3に示す。競合オリゴヌクレオチドとして、Oligo-1、Oligo-1-comple、又はこれらの混物を用いた場合の結果を表4に示す。
Figure 2023098185000003
Figure 2023098185000004
本明細書中の表において、「競合オリゴ」は競合オリゴヌクレオチドを意味し、「N.D.」は不検出を意味する。表3及び4に示すように、Qプローブの塩基配列を有さない競合オリゴヌクレオチドを添加することで、競合オリゴヌクレオチドの濃度依存的に標的塩基配列の検出感度が低下した。
<実施例2>
ヒト乳癌細胞HCC1954からQiagen DNA Mini Kit(キアゲン社製)を用いてDNAを抽出した。PrimeTime(登録商標) Gene Expression Master Mix(Integrated DNA Technologies社製)5μL、Fプライマー溶液0.1μL、Bプライマー溶液0.1μL、MGBプローブ0.1μL、及び競合オリゴヌクレオチド1μLの混合液に、試料として、標的塩基配列(HER2遺伝子の一部)を含むDNAの抽出液1μLを加え、反応液量を精製水で10μLに調整した。反応液の組成を表5に示し、プライマー、MGBプローブ、及び競合オリゴヌクレオチドの塩基配列を表6に示す。MGBプローブは、5’末端にFAM(登録商標)を有し、3’末端にEclipse(登録商標)クエンチャー(MGBEQ)を有する。
Figure 2023098185000005
Figure 2023098185000006
標的塩基配列を含むHER2遺伝子の塩基配列(配列番号9)を図4の(A)に示す。図4の(A)中、プライマー設計領域を下線で示し、プローブと同じ塩基配列を四角で囲んだ。標的塩基配列及び競合オリゴヌクレオチドの配列の概略を図4の(B)に示す。競合オリゴヌクレオチドOligo-deletion(配列番号13)は、標的塩基配列からMGBプローブと同じ塩基配列(20塩基)を欠失させて得られるオリゴヌクレオチドである。競合オリゴヌクレオチドOligo-PolyA(配列番号14)は、標的塩基配列におけるMGBプローブと同じ塩基配列をポリA(20塩基)に置換して得られるオリゴヌクレオチドである。
リアルタイムPCR解析システムCFX96(バイオ・ラッド社製)を用いてPCRを行った(95℃で1分、次いで95℃で15秒と60℃で60秒を50サイクル)。MGBプローブによる蛍光をモニタリングし(励起波長450~490nm、検出波長515~530nm)、所定の蛍光強度が観察されるまでに要するサイクル数(Ct値)を測定した。結果を表7に示す。
Figure 2023098185000007
表7に示すように、MGBプローブ配列を有さない又はMGBプローブ配列が別の塩基配列に置換された競合オリゴヌクレオチドを添加することで、競合オリゴヌクレオチドの濃度依存的に標的塩基配列の検出感度が低下した。
<実施例3>
DNA抽出液として、HER2遺伝子が増幅した細胞(すなわちHER2陽性細胞)HCC1954のDNA抽出液、HER2遺伝子が増幅していない細胞(すなわちHER2陰性細胞)MCF7のDNA抽出液、又はこれらの混合液を用いて、実施例2と同様にしてPCR反応を行い、MGBプローブによる蛍光をモニタリングした。ただし、競合オリゴヌクレオチドの濃度は10又は10コピー/反応液に変更し、DNAの濃度は0.1ng又は1.0ng/反応液に変更し、PCRのサイクル数は40サイクルに変更した。所定の強度以上の蛍光が検出された場合を「HER2陽性」(+)と判定し、所定の強度以上の蛍光が検出されなかった場合を「HER2陰性」(-)と判定した。判定結果を表8に示す。
Figure 2023098185000008
本来、HER2陽性細胞であるHCC1954のDNA抽出液は「HER2陽性」と判定され、HER2陰性細胞であるMCF7のDNA抽出液は「HER2陰性」と判定されるべきであるが、競合オリゴヌクレオチドを用いなかった場合、HCC1954のDNA抽出液とMCF7のDNA抽出液の両方が「HER2陽性」と判定された。これは、PCRが高感度であり、MCF7に存在する微量のHER2を検出してしまうためである。一方、競合オリゴヌクレオチドを用いた場合、HCC1954のDNA抽出液は「HER2陽性」と、MCF7のDNA抽出液は「HER2陰性」と、正しく判定された。これは、競合オリゴヌクレオチドの添加により、HER2の検出感度が低下し、MCF7に存在する微量のHER2が検出されなくなったためである。
<実施例4>
プレミックス3.7μL、プライマーミックス0.4μL、Qプローブ0.2μL、及び競合オリゴヌクレオチド1μLの混合液に、重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス(SARS-CoV)又はSARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)のRNA抽出液1μLを加え、反応液量を精製水で10μLに調整した。反応液の組成を表9に示し、プライマー、Qプローブ、及び競合オリゴヌクレオチドの塩基配列を表10に示す。表中、「nCV19」はSARSコロナウイルス2を表し、「SARS」はSARSコロナウイルスを表す。Qプローブの3’末端はBODIPY(登録商標) FL(BPFL)で標識した。プライマーは、SARSコロナウイルス2のN遺伝子の一部を増幅させるように設計した。
Figure 2023098185000009
Figure 2023098185000010
SARSコロナウイルス2(以下、nCV19という)のN遺伝子における標的塩基配列(配列番号15)と、SARSコロナウイルス(以下、SARSという)のN遺伝子における対応する塩基配列(配列番号16)とのアライメントを図5の(A)に示す。ただし、ウラシルはチミンに置換してある。図5の(A)中、プライマー設計領域を下線で示し、プローブ結合領域を四角で囲んだ。標的塩基配列及び競合オリゴヌクレオチドの塩基配列の概略を図5の(B)に示す。本実施例で用いる競合オリゴヌクレオチド(配列番号22)は、nCV19のN遺伝子における標的塩基配列からQプローブの結合領域(30塩基)を欠失させて得られるオリゴヌクレオチドである。
LightCycler(登録商標) 480 Instrument IIを用いて、63℃で60分RT-LAMP反応を行った。Qプローブの消光による蛍光強度の減少をモニタリングし(励起波長465nm、検出波長510nm)、所定の蛍光強度に減少するまでに要する時間(検出時間)を測定した。結果を表11に示す。
Figure 2023098185000011
図5の(A)に示すように、新型コロナウイルスであるnCV19のN遺伝子はSARSのN遺伝子と類似しているため、nCV19のN遺伝子に対するプライマー又はプローブは、SARSのN遺伝子との交差反応性を示す場合がある。表11に示すよう、競合オリゴヌクレオチドを用いなかった場合、nCV19のN遺伝子中の標的塩基配列に対するプライマー及びプローブがSARSのN遺伝子中の対応する塩基配列と交差反応し、SARSのN遺伝子中の上記対応する塩基配列の増幅が認められた。一方、競合オリゴヌクレオチドを用いた場合、nCV19のN遺伝子中の標的塩基配列に対するプライマー及びプローブはSARSのN遺伝子中の対応する塩基配列と交差反応せず、nCV19の標的塩基配列のみが増幅された。

Claims (9)

  1. 試料中の標的塩基配列を検出する方法であって、
    試料を、
    (a)一種以上のフォワードプライマー、
    (b)一種以上のリバースプライマー、
    (c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び
    (d)競合オリゴヌクレオチド
    と混合して核酸増幅反応を行う工程を含み、
    前記標的塩基配列とその相補的配列のうち、センス配列は、各前記リバースプライマーがアニールする任意のリバースプライマー結合領域を有し、アンチセンス配列は、各前記フォワードプライマーがアニールする任意のフォワードプライマー結合領域を有し、
    前記センス配列における最も5’末端寄りの前記リバースプライマー結合領域と、前記センス配列における領域であって、前記アンチセンス配列における最も5’末端寄りの前記フォワードプライマー結合領域に相補的な領域との間、又は前記アンチセンス配列における最も5’末端寄りの前記フォワードプライマー結合領域と、前記アンチセンス配列における領域であって、前記センス配列における最も5’末端寄りの前記リバースプライマー結合領域に相補的な領域との間には、前記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズする任意のプローブ結合領域が存在し、
    前記標識オリゴヌクレオチドプローブは、前記プローブ結合領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有し、
    前記競合オリゴヌクレオチドは、前記標的塩基配列と同じ又は相補的な塩基配列であって、ただし、
    (i)前記プローブ結合領域に対応する又は相補的な塩基配列は、欠損しているか他の塩基配列に置換されており、該他の塩基配列は、該他の塩基配列又はその相補的配列に前記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズできないように設計されており、
    (ii)前記一種以上のフォワードプライマー又は前記一種以上のリバースプライマーに含まれる塩基配列に対応する塩基配列及びそれらに相補的な塩基配列以外の塩基配列における塩基は、欠失されているか他の塩基に置換されていてもよく、かつ
    (iii)前記標的塩基配列に存在し得るウラシルはチミンに置換されていてもよい
    塩基配列を含む、方法。
  2. 前記核酸増幅反応が、ポリメラーゼ連鎖反応又はループ媒介等温増幅反応である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記核酸増幅反応がポリメラーゼ連鎖反応であり、
    前記一種以上のフォワードプライマーが一種のフォワードプライマーであり、
    前記一種以上のリバースプライマーが一種のリバースプライマーである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記核酸増幅反応がループ媒介等温増幅反応であり、
    前記一種以上のフォワードプライマーが、FIPプライマー及びF3プライマーであり、
    前記一種以上のリバースプライマーが、BIPプライマー及びB3プライマーであり、
    前記センス配列は、5’末端から3’末端の方向に任意の領域F3、F2、F1、B1c、B2c、及びB3cをこの順に有し、領域B2c及びB3cは前記リバースプライマー結合領域であり、
    前記アンチセンス配列は、3’末端から5’末端の方向に、前記領域F3、F2、F1、B1c、B2c、及びB3cにそれぞれ相補的な領域F3c、F2c、F1c、B1、B2、及びB3をこの順に有し、前記領域F3c及びF2cは前記フォワードプライマー結合領域であり、
    前記FIPプライマーは、前記領域F1に相補的な塩基配列を5’末端に有し、かつ前記領域F2cに相補的な塩基配列を3’末端に有し、
    前記F3プライマーは、前記領域F3cに相補的な塩基配列を有し、
    前記BIPプライマーは、前記領域B1に相補的な塩基配列を5’末端に有し、かつ前記領域B2cに相補的な塩基配列を3’末端に有し、
    前記B3プライマーは、前記領域B3cに相補的な塩基配列を有する、請求項2に記載の方法。
  5. 前記プローブ結合領域が、前記領域F2とF1の間、前記領域B1cとB2cの間、前記領域F2cとF1cの間、又は前記領域B1とB2の間に存在する、請求項4に記載の方法。
  6. 前記核酸増幅反応の増幅産物を、前記標識オリゴヌクレオチドプローブの標識物質に基づいて検出する工程をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記標識オリゴヌクレオチドプローブが蛍光プローブであり、前記核酸増幅反応の増幅産物を検出する前記工程において、前記蛍光プローブから発せられる蛍光の強度に基づいて前記増幅産物を検出する、請求項6に記載の方法。
  8. 核酸増幅反応を用いた標的塩基配列の検出において該標的塩基配列の検出感度を低下させる方法であって、
    試料を、
    (a)一種以上のフォワードプライマー、
    (b)一種以上のリバースプライマー、
    (c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び
    (d)競合オリゴヌクレオチド
    と混合して核酸増幅反応を行う工程を含み、
    前記標的塩基配列とその相補的配列のうち、センス配列は、各前記リバースプライマーがアニールする任意のリバースプライマー結合領域を有し、アンチセンス配列は、各前記フォワードプライマーがアニールする任意のフォワードプライマー結合領域を有し、
    前記センス配列における最も5’末端寄りの前記リバースプライマー結合領域と、前記センス配列における領域であって、前記アンチセンス配列における最も5’末端寄りの前記フォワードプライマー結合領域に相補的な領域との間、又は前記アンチセンス配列における最も5’末端寄りの前記フォワードプライマー結合領域と、前記アンチセンス配列における領域であって、前記センス配列における最も5’末端寄りの前記リバースプライマー結合領域に相補的な領域との間には、前記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズする任意のプローブ結合領域が存在し、
    前記標識オリゴヌクレオチドプローブは、前記プローブ結合領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有し、
    前記競合オリゴヌクレオチドは、前記標的塩基配列と同じ又は相補的な塩基配列であって、ただし、
    (i)前記プローブ結合領域に対応する又は相補的な塩基配列は、欠損しているか他の塩基配列に置換されており、該他の塩基配列は、該他の塩基配列又はその相補的配列に前記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズできないように設計されており、
    (ii)前記一種以上のフォワードプライマー又は前記一種以上のリバースプライマーに含まれる塩基配列に対応する塩基配列及びそれらに相補的な塩基配列以外の塩基配列における塩基は、欠失されているか他の塩基に置換されていてもよく、かつ
    (iii)前記標的塩基配列に存在し得るウラシルはチミンに置換されていてもよい
    塩基配列を含む、方法。
  9. 標的塩基配列を検出するためのキットであって、
    (a)一種以上のフォワードプライマー、
    (b)一種以上のリバースプライマー、
    (c)標識オリゴヌクレオチドプローブ、及び
    (d)競合オリゴヌクレオチド
    を含み、
    前記標的塩基配列とその相補的配列のうち、センス配列は、各前記リバースプライマーがアニールする任意のリバースプライマー結合領域を有し、アンチセンス配列は、各前記フォワードプライマーがアニールする任意のフォワードプライマー結合領域を有し、
    前記センス配列における最も5’末端寄りの前記リバースプライマー結合領域と、前記センス配列における領域であって、前記アンチセンス配列における最も5’末端寄りの前記フォワードプライマー結合領域に相補的な領域との間、又は前記アンチセンス配列における最も5’末端寄りの前記フォワードプライマー結合領域と、前記アンチセンス配列における領域であって、前記センス配列における最も5’末端寄りの前記リバースプライマー結合領域に相補的な領域との間には、前記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズする任意のプローブ結合領域が存在し、
    前記標識オリゴヌクレオチドプローブは、前記プローブ結合領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有し、
    前記競合オリゴヌクレオチドは、前記標的塩基配列と同じ又は相補的な塩基配列であって、ただし、
    (i)前記プローブ結合領域に対応する又は相補的な塩基配列は、欠損しているか他の塩基配列に置換されており、該他の塩基配列は、該他の塩基配列又はその相補的配列に前記標識オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズできないように設計されており、
    (ii)前記一種以上のフォワードプライマー又は前記一種以上のリバースプライマーに含まれる塩基配列に対応する塩基配列及びそれらに相補的な塩基配列以外の塩基配列における塩基は、欠失されているか他の塩基に置換されていてもよく、かつ
    (iii)前記標的塩基配列に存在し得るウラシルはチミンに置換されていてもよい
    塩基配列を含む、キット。
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