JP2021019558A - 改良されたウイルス検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不溶性物質を含む試料から、一酵素系1ステップRT−PCR法でRNAウイルスの存在を検査する方法を提供する。【解決手段】以下の工程:(1)事前の遠心分離操作をおこなわず不溶性物質を含む試料と、分子量5〜500kDaのポリペプチド及び逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼを含む一酵素系1ステップRT−PCR反応液とを混合した混合液を調製する工程、並びに、(2)反応容器を密閉後、1ステップRT−PCR反応を実施する工程、を含むことを特徴とする、試料中のRNAウイルスの存在を検査するための方法を開示する。【選択図】なし

Description

本発明は、核酸増幅によるRNAウイルスの検出法に関する。より具体的には、事前の遠心分離操作を実施せず不溶性物質を含む試料と、一酵素系のリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)の反応液とを混合することによるRNAウイルスの検出に関する。本発明の方法は、例えば、糞便試料、血液試料、環境拭き取り試料等におけるRNAウイルスを検出することが可能である。本発明は、生命科学研究、臨床診断や食品衛生検査、環境検査等にも利用できる。
核酸増幅法は数コピーの標的核酸を可視化可能なレベル、すなわち数億コピー以上に増幅する技術であり、生命科学研究分野のみならず、遺伝子診断、臨床検査といった医療分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等においても、広く用いられている。代表的な核酸増幅法は、PCR(Polymerase Chain Reaction)である。PCRは、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの解離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって、試料中の標的核酸を増幅する方法である。アニーリングと伸長を同温度で、2ステップで行う場合もある。
RNAを分析する場合、このPCRの前段として、鋳型RNAをcDNAに変換する逆転写(Reverse Transcription;RT)を実施する。これをRT−PCRという。このRT−PCRは、(1)RT、PCRを非連続に実施する2ステップRT−PCR、(2)RT、PCRを、単一酵素を利用して連続して実施する一酵素系1ステップRT−PCR、(3)逆転写酵素とDNAポリメラーゼの2種類の酵素を利用して、RT、PCRを連続的に実施する二酵素系1ステップRT−PCRの3つに大別される。
RT−PCRのうち、遺伝子検査やウイルス検査では、処理能力の高さや、反応途中での反応容器の開閉によるコンタミネーションを回避するため、1ステップRT−PCRが好まれる。二酵素系1ステップRT−PCRでは、逆転写酵素とDNAポリメラーゼの少なくとも2種類の酵素が使用される。一方で、一酵素系1ステップRT−PCRでは、Tth DNAポリメラーゼなどの逆転写活性を併せ持つDNAポリメラーゼが利用される。しかし、DNAポリメラーゼの逆転写酵素活性は一般に、レトロウイルス由来の逆転写酵素の逆転写効率には劣ることから、二酵素系1ステップRT−PCRの方が、一酵素系RT−PCRに比べて感度が高いとされている(非特許文献1)。従って、一酵素系1ステップRT−PCRは、二酵素系RT−PCRに比べて高感度化が難しいと考えられてきた。
ウイルス検査の代表例として、病原性RNAウイルスの一つであるノロウイルスが挙げられる。ノロウイルスは、急性胃腸炎の原因となる1本鎖RNAウイルスである。感染力が強く、集団食中毒や集団感染を引き起こすことから、公衆衛生上関心の高いウイルスである。ノロウイルスはGenogroupI(GI)及びGenogroupII(GII)の2つの遺伝子群に分類される。ノロウイルスの病原体検査では、組織培養法が確立できておらず、電子顕微鏡法、ELISAによる免疫学的抗原検出法、または核酸増幅技術を利用したウイルス遺伝子の検出法が開発されてきた。このうち、日本においては、厚生労働省医薬食品局安全部監視安全課の通知(食安監1105001号)に基づくRT−PCR法が公定法として普及している。
ノロウイルスの感染の原因として主にノロウイルスに汚染された食品を飲食することによるが、ヒトの手を介した感染が多いため、調理施設、医療現場、老人介護施設及び保育園などでは定期的な検便検査が求められている。大量調理施設衛生管理マニュアルには、調理従事者等の検便検査に、月に1回以上又は必要に応じノロウイルスの流行期である10月から3月についてノロウイルスの検査を含めることが追加されている。これはウイルスに感染していても症状がでない人(健康保因者)が少なからず存在し、これらの人たちが知らず知らずのうちに感染を広げる可能性があるためである。さらに、下痢や嘔吐などの症状がある調理従事者は医療機関を受診し、ノロウイルスに感染していることが判明した場合はリアルタイムPCR等の高感度検査を実施し、ノロウイルスを保有していないことが確認されるまでは食品に直接触れる調理作業を控えるなどの適切な処置をとることが望まれている。
ノロウイルスは、ウイルスRNAゲノムが約30nmのキャプシドタンパク質からなる正二十面体の内部に封入された、キャプシド構造を有する。キャプシド構造は、ウイルスが消化管などの過酷な環境でも生存できるように、胃酸による不活性化や胆汁酸の界面活性作用等に耐性を持つ。通常の界面活性剤や70%エタノールに代表されるウイルス不活化剤では、このキャプシド構造を破壊できず、ウイルスの感染能が維持される。キャプシド構造を破壊するには、少なくとも85℃以上、1分以上の過酷な条件での熱処理が必要とされている(非特許文献2)。
従来、糞便試料からのノロウイルスの検出は、例えば糞便の10%懸濁液を作製し、遠心上清から市販のウイルスRNA抽出キットを用いてRNAを抽出・精製し、このRNA抽出液を用いてノロウイルスの検出が行われてきた(食安監1105001号)。しかし、短時間で多数の検体を検査するには、このRNA抽出作業は煩雑である。
そこで、近年、糞便試料中のノロウイルスのキャプシドを、加熱処理を含む前処理によって破壊し、ウイルスRNAを露出させた処理液をRT−PCRに供することでウイルスの有無を検出する手法が知られる(特許文献1)。この手法では、試料に前処理液を添加後、熱処理を加えることで、糞便試料や拭き取り検査の濃縮試料から事前にRNAの単離を実施せずにウイルスキャプシドを破壊し、ウイルスRNAの有無を検出できる。さらにウイルスRNAの検出までの作業を簡略化するため、加熱処理をおこなわず、糞便試料を前処理液に添加するだけでウイルスRNAを露出させ、処理液をRT−PCRに供することでさらに効率よくウイルスの有無を検出する手法が知られる(非特許文献3)。
この際、RNAの抽出を省略することで、糞便試料中に含まれる、多糖類などのPCR反応阻害物質が持ち込まれる。これらの影響を低減するような工夫がPCR反応液になされている。便試料にスパイクされたDNAを検出する際のPCR阻害は、マグネシウム存在下で夾雑耐性を持つrTth DNAポリメラーゼの使用によって、改善されることが報告されている(非特許文献4)。特許文献1に記載の方法では、前記rTth DNAポリメラーゼを使用して、夾雑耐性を強化した二酵素系1ステップRT−PCR系を利用している。
しかしながら、二酵素系1ステップRT−PCRに用いられるレトロウイルス由来の逆転写酵素は、好熱菌由来のDNAポリメラーゼに比べ、耐熱性の面で大幅に劣るとも言われている(非特許文献5)。このため、二酵素系1ステップRT−PCRでは、逆転写酵素を含む反応液に対して、ウイルス破砕のための熱処理を高温で実施することができない。従って、未処理の試料を直接RT−PCR反応液に添加し、熱処理によってウイルスのキャプシド構造を破壊してRNAを検出することができない。
特許文献1、非特許文献3に記載の方法では、逆転写酵素の失活を避けるために、前処理を施した試料に対して、RT−PCR反応液を添加する。この手法では、試料に前処理液を加えて熱処理を実施する作業と、その後のRT−PCR反応液を新たに添加する作業の2ステップを要することとなり、ウイルスキャプシドを破壊する前処理ステップに多少の手間と労力を要する。また、これらの文献において具体的に行われた方法では、RT−PCRに供する試料として、糞便試料を例えば10%懸濁液として調製した後、あらかじめ遠心分離し、回収した上清を使用している。このような糞便試料の懸濁液の調製および遠心分離の作業は、特に多検体を測定する現場において、手間と労力を要している。
とりわけ糞便検体は不溶性の固形物を多量に含んでいるため、遠心分離を実施していない10%糞便懸濁液や、そのままの糞便試料をRT−PCR反応液へ直接添加すると、反応液中に不溶性物質が多量に持ち込まれ、反応液が高濁度になる。そしてリアルタイムPCR機による測定の際、このような不溶性物質を多量に含む高濁度のRT−PCR反応液を用いると、反応液中の不溶性物質による光の散乱または吸収や、自家蛍光の影響等が起こり、RT−PCRの結果によって得られる蛍光波長の強度の大幅な低下を招き、著しい感度低下を引き起こす。
そこで、事前の遠心分離処理が行われておらず、夾雑物質等の不溶性物質を含む試料(いわゆるクルードサンプル)を、直接RT−PCR反応液に添加してRT−PCRを行う場合の不溶性物質の影響を抑制し、迅速で簡便なウイルスRNAの検出法が求められている。
特開2018−000138号公報
BioTechniques,第25巻,1998年、第230−234頁 食品衛生学雑誌、第46巻、2005年、第235−245頁 食品微生物学会誌、第35 巻、2018年、第193−198頁 J.Clin.Microbiol.,第38巻、2000年、第4463−4470頁 Nucleic Acids Research,第37巻、2009年、第473−481頁
試験例4において、糞便試料由来の不溶性物質を含む各濁度(Abs/μL)のRT−PCR反応液におけるノロウイルスの検出結果を示す図である。 試験例5において、糞便試料を直接添加した条件でのノロウイルス検出結果を示す図である。
本発明の目的は、事前に試料の遠心分離操作を行うことなく、不溶性物質を含む試料を使用する場合であっても、一酵素系1ステップRT−PCRにより、十分な感度でウイルスRNAの有無の検出を可能とすることである。
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意研究を行った結果、事前の遠心分離操作による不溶性物質の除去を行なわず不溶性物質を含む試料を一酵素系の1ステップRT−PCR反応液と混合後、直接1ステップRT−PCRを行う際に、特定のポリペプチドを共存させることで、高感度にウイルスRNAの検出が可能であることを見出した。
従来、RT−PCR反応液中に不溶性物質が多量に混在して濁度の高い反応液となると、反応液中に含まれる不溶性物質が光の散乱や吸収、自家蛍光による影響等を与え、リアルタイムPCR機での測定時に検出できる蛍光強度が大幅に低下し、著しい感度低下を引き起こすとされてきた。しかしながら、全く予想外のことに、RT−PCR反応液に特定のポリペプチドを添加すると、十分に検出可能な強い蛍光強度が得られ、検出感度の低下を克服できることを見出した。その結果、不溶性物質を含みうる糞便試料をRT−PCR反応液へ添加し、反応容器を密閉後、RT−PCRのための温度サイクルで反応を行うだけで、ウイルスRNAを直接検出可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
代表的な本願発明は、以下の通りである。
[項1] 以下の工程を含むことを特徴とする、試料中のRNAウイルスの存在を検査するための方法:
(1)事前の遠心分離操作をおこなわず不溶性物質を含む試料と、分子量5〜500kDaのポリペプチド及び逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼを含む一酵素系1ステップRT−PCR反応液とを混合した混合液を調製する工程、並びに、
(2)反応容器を密閉後、1ステップRT−PCR反応を実施する工程。
[項2] 前記混合液中における不溶性物質の濁度がOD660にて0.01Abs/μL以上である項1に記載の方法。
[項3] 前記一酵素系1ステップRT−PCR反応液に含まれる分子量5〜500kDaのポリペプチドが、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、Blocking peptide fragment(以下BPF)、及びセリシンよりなる群から選択される少なくとも1つを含む、項1又は2に記載の方法。
[項4] 前記混合液が、該混合液中終濃度で前記分子量5〜500kDaのポリペプチドとして、0.5mg/mL以上のウシ血清アルブミン、5mg/mL以上のゼラチン、5mg/mL以上のBlocking peptide fragment(以下BPF)、及び5mg/mL以上のセリシンよりなる群から選択される少なくとも1つを含む、項1から3いずれかに記載の方法。
[項5] 前記工程(1)において使用する不溶性物質を含む試料が、核酸の単離処理も加熱処理も行っていない試料である、項1から4のいずれかに記載の方法。
[項6] 前記工程(1)及び(2)が同一容器で行われることを特徴とする項1から5のいずれかに記載の方法。
[項7] 前記工程(2)において反応容器を密閉後、一度も蓋を開閉することなく1ステップRT−PCR反応を実施することを特徴とする項1から6のいずれかに記載の方法。
[項8] 前記工程(2)において、サイクル反応の前及び/又はサイクル反応中に、ウイルスを破砕してウイルス内の核酸を露出させるため及び/又は核酸増幅反応においてホットスタート酵素を活性化させるために熱処理を実施することを含む項1から7のいずれかに記載の方法。
[項9] 前記試料が血液試料、糞便試料、及び/又は拭き取り検査試料である項1から8のいずれかに記載の方法。
[項10] 前記試料が水、生理食塩水または緩衝液に懸濁された懸濁液である項1から9のいずれかに記載の方法。
[項11] 前記不溶性物質が、血液試料、糞便試料、及び/又は拭き取り検査試料に由来する項1から10のいずれかに記載の方法。
[項12] 前記ウイルスがエンベロープをもたないRNAウイルスである項1から11のいずれかに記載の方法。
[項13] エンベロープをもたないRNAウイルスがレオウイルス科ウイルスまたはカリシウイルス科ウイルスである項1から12のいずれかに記載の方法。
[項14] レオウイルス科ウイルスがロタウイルスである項13に記載の方法。
[項15] カリシウイルス科ウイルスがノロウイルスである項13に記載の方法。
[項16] ノロウイルスがGI型かGII型であるかの判別が可能であることを特徴とする項15に記載の方法。
[項17] 前記耐熱性DNAポリメラーゼがFamily Aに属するDNAポリメラーゼであることを特徴とする項1から16のいずれかに記載の方法。
[項18] 前記耐熱性DNAポリメラーゼが、Tthポリメラーゼ、Hawk Z05ポリメラーゼ、及びそれらの変異体よりなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする項1から17のいずれかに記載の方法。
[項19] 前記一酵素系1ステップRT−PCR反応液が、更に1mM以上の2価陽イオンを含む、項1から18のいずれかに記載の方法。
[項20] 分子量5〜500kDaであるポリペプチド及び逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼを含有することを特徴とする、事前の遠心分離操作を行わず不溶性物質を含む試料から一酵素系1ステップRT−PCR反応でRNAウイルスの検査を行うための組成物。
[項21] 前記組成物と前記試料との混合液における不溶性物質の濁度がOD660にて0.01Abs/μL以上である項20に記載の組成物。
[項22] 前記一酵素系1ステップRT−PCR反応液に含まれる分子量5〜500kDaのポリペプチドが、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、Blocking peptide fragment(以下BPF)、及びセリシンよりなる群から選択される少なくとも1つを含む、項20又は21に記載の組成物。
[項23] 前記組成物と前記試料との混合液が、該混合液中終濃度で前記分子量5〜500kDaのポリペプチドとして、0.5mg/mL以上のウシ血清アルブミン、5mg/mL以上のゼラチン、5mg/mL以上のBlocking peptide fragment(以下BPF)、及び5mg/mL以上のセリシンよりなる群から選択される少なくとも1つを含むように調整して配合されている、項20から22のいずれかに記載の組成物。
[項24] 前記不溶性物質を含む試料が、核酸の単離処理も加熱処理も行っていない試料である、項20から23のいずれかに記載の組成物。
[項25] 前記耐熱性DNAポリメラーゼがFamily Aに属するDNAポリメラーゼであることを特徴とする項20から24のいずれかに記載の組成物。
[項26] 前記耐熱性DNAポリメラーゼが、Tthポリメラーゼ、Hawk Z05ポリメラーゼ、及びそれらの変異体よりなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする項20から24のいずれかに記載の組成物。
[項27] 前記一酵素系1ステップRT−PCR反応液が、更に1mM以上の2価陽イオンを含む、項20から26のいずれかに記載の組成物。
[項28] ウイルスがエンベロープをもたないRNAウイルスである項20から27のいずれかに記載の組成物。
[項29] エンベロープをもたないRNAウイルスがレオウイルス科ウイルスまたはカリシウイルス科ウイルスである項28のいずれかに記載の組成物。
[項30] レオウイルス科ウイルスがロタウイルスである項29に記載の組成物。
[項31] カリシウイルス科ウイルスがノロウイルスである項29に記載の組成物。
[項32] ノロウイルスがGI型かGII型であるかの判別が可能であることを特徴とする項20から31のいずれかに記載の組成物。
[項33] 項20から32のいずれかに記載の組成物を含む、事前の遠心分離操作を行わず不溶性物質を含む試料においてRNAウイルスの存在を検査するためのキット。
本発明によって、遠心分離作業により試料中の不溶性物質を除去することを必要とせず、当該試料を1ステップRT−PCR反応液に添加後、そのまま1ステップRT−PCR反応でウイルスRNAを検出することが可能となる。更に本発明の一つの実施形態では、熱処理ステップを内包したRT−PCRも可能である。従って、本発明は特定の実施態様において、不溶性物質を含む試料中のウイルス、中でもウイルスの破砕が難しい非エンベロープウイルスの有無を検出するのにも有用である。さらに、遠心分離による不溶性物質の除去工程を含む前処理工程の省略化により、検査業務がさらに効率化することから、ウイルス感染しても症状のない被験者の検査量を増やすことができ、感染症予防にも大きく寄与し得る。また、前処理工程の省略化により反応容器の蓋の開閉作業も省略が可能となる。この結果、試他のサンプルへのコンタミネーションリスクも低減することができる。これにより、偽陽性発生リスクも抑えることができ、検査業務の精度を更に高めることができる。
以下、本発明の実施形態を示しつつ、本発明についてさらに詳説するが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の一実施態様は、試料中のノロウイルスなどのRNAウイルスの検査であって、試料を予め遠心分離して不溶性物質を除去することなく、特定のポリペプチド及び逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼを含む一酵素系1ステップRT−PCR試薬と、不溶性物質を含む試料とを混合してRT−PCR反応させることからなるRNAウイルスの存在の有無を検査するための方法である。ここで、RNAウイルスは、非エンベロープRNAウイルスであってもよく、更に、硬いキャプシド構造にRNAが保持されているRNAウイルスであってもよい。
一つの実施形態において、本発明の試料中のRNAウイルスの存在を検査するための方法は、少なくとも以下の工程が含まれることを特徴とする方法である。
(1)事前の遠心分離操作を行わず不溶性物質を含む試料と、分子量5〜500kDaのポリペプチド及び逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼを含む一酵素系1ステップRT−PCR反応液とを混合した混合液を調製する工程;
(2)反応容器を密閉後、1ステップRT−PCR反応を実施する工程。
前記工程(1)における混合液を調製する工程は、例えば、事前の遠心分離操作により不溶性物質を除去していない試料に、分子量5〜500kDaのポリペプチド及び逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼを含む一酵素系1ステップRT−PCR反応液を添加することによって行うことができる。前記工程(1)および(2)は、同一容器で行われることが好ましい。すなわち、工程(1)および(2)の間においては、混合液の全部または一部を別容器へ移し替えないことが好ましい。更には、工程(2)においては、反応容器を密閉後、反応容器の蓋の開閉を行わないことが好ましい。また、前記工程(1)で使用する不溶性物質を含む試料は、事前に水または緩衝液等にて懸濁した懸濁液であってもよく、糞便試料等の試料を1ステップRT−PCR反応液に直接添加してもよい。
本発明における検査対象はRNAウイルスであり、特に限定されるものではない。なかでも、脂質二重膜に由来するエンベロープを持たない、非エンベロープ性のRNAウイルスである。このような非エンベロープRNAウイルスとしては、アストロウイルス科ウイルス(例えば、アストロウイルス);カリシウイルス科ウイルス(例えば、サポウイルス、ノロウイルス);ピコルナウイルス科ウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス);へぺウイルス科ウイルス(例えば、E型肝炎ウイルス);レオウイルス科ウイルス(例えば、ロタウイルス)などが挙げられ、限定されるものではないが、好ましくはカリシウイルス科ウイルス及びレオウイルス科ウイルスの検出に有用であり、より好ましくはノロウイルス、サポウイルス、ロタウイルスの検出に有用であり、更に好ましくはノロウイルス、ロタウイルスの検出に有用であり、特にノロウイルスの検出に有用である。非エンベロープウイルスの多くが糞口感染などによって消化管に感染可能で、胃酸による不活性化や胆汁酸の界面活性作用等に耐性のある、堅いキャプシド構造にRNAが保持されている。
ノロウイルスは、大きく、GI型ノロウイルス及びGII型ノロウイルスの遺伝子型で分類されることが知られている。そして、GI型ノロウイルスとGII型ノロウイルスを判別することが、感染経路の推定などの疫学的データを収集する観点から望まれている。本発明のRNAウイルス検査法では、ノロウイルスの存在の有無を確認できるだけでなく、感染しているノロウイルスがGI型であるかGII型であるかの判別(鑑別)も可能であるという点で非常に有益である。
本発明において用いられる試料として、例えば糞便(排泄便、直腸便)、嘔吐物、唾液などが挙げられるが、限定されるものではなく、生体に由来するもの全般に用いることが可能であり、特に糞便(排泄便、直腸便)からの検出に有用である。本発明においては、これら試料を遠心分離工程に供して不溶性物質の除去を行う必要がないことを一つの特徴とするものである。前記試料は直接検出に供してもよいし、夾雑物の反応への影響を低減し、より安定した検査結果を得るために、水、生理食塩水または緩衝液に前記試料を懸濁した試料であってもよい。前記緩衝液としては、特に限定されるものではないが、ハンクス緩衝液、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、HEPES緩衝液、トリシン緩衝液などが挙げられる。
特定の好ましい実施形態では、本発明において用いられる試料は、事前の遠心分離工程のみならず、例えば事前に市販のRNA精製キット等を用いて試料からRNAを単離する操作及び/又は事前に加熱処理してRNAをウイルス構造から露出させる操作を実施していない試料であってもよい。本発明の方法では、このような事前のRNA単離も加熱処理も省いた試料であっても、1ステップRT−PCR反応のサイクル反応の前及び/又はサイクル反応中に熱処理を内包させて、ウイルス構造からRNAを露出させ、RT−PCR反応に供することができる。このようにして事前の核酸の単離処理も加熱処理も行っていない試料を用いることで、より一層簡便に短時間でウイルスRNAの検査が行えるだけでなく、試料のロスやキャリーオーバーによる他のサンプルへの汚染の危険性を低減することができる。特に糞便を試料とする多数の検体を処理するような検査において、その効果は顕著となる。
本発明における別の態様の試料としては、拭き取り検査試料である。汚染経路の解明や施設環境等の汚染状況の把握には、ふき取り検査が有用である。本発明において、拭き取り検査とは、特に限定されるものでないが、例えば綿棒等で該当区画や設備等を拭き取り、水や緩衝液に溶出し、ポリエチレングリコール(PEG)沈澱などで濃縮した試料である。具体的な拭き取り検査の要領としては、「ふきとり検体のノロウイルス検査法の改良」(http://idsc.nih.go.jp/iasr/32/382/dj3824.html)などが例示されるが、特に限定はされるものではなく、これに準ずる方法が広く含まれる。拭き取り箇所の例としては、まな板や包丁、ふきん、食器などの調理器具類、冷蔵庫の取手やトイレ、浴室のドアノブ、洗面所、厨房、トイレ、浴室などの蛇口、調理者の手や指、浴室、トイレ、洗面、手すり、居室などの施設などが挙げられる。また、拭き取り検査ではないが、環境検査として、下水試料の濃縮試料にも適用できる。これらの検査試料は、検査場所の汚れやほこりを多量含むことから、不溶性物質を含みうる試料において夾雑耐性を強化した本手法は、これらの検査に対して有益である。
前記工程(1)においてRT−PCRに供される試料が含みうる不溶性物質は、糞便(排泄便、直腸便)、嘔吐物、唾液、血液、拭き取り検査試料に由来するものが挙げられるが、限定されるものではな。例えば、生体に由来するもの(生体からの分泌物や排泄物等を含む)や、環境検査試料に由来するものなど、RT−PCR反応の測定時の蛍光強度に影響し得る任意の不溶性物質であり得る。特に糞便(排泄便、直腸便)に含まれる不溶性物質を含む試料からの検出に有用である。本発明の方法により測定可能な不溶性物質の濁度は、検査試料や所望される効果の程度等によっても異なるが、例えば、濁度OD660において、RT−PCR反応液が0.01Abs/μL以上である場合等を挙げることができる。当然のことながら濁度が高くなるにつれて、検査感度が影響を受ける可能性が高まるが、例えば、RT−PCR反応液中における不溶性物質による濁度がOD660にて0.1Abs/μL以上、更には、0.5Abs/μL以上、更には0.8Abs/μL以上、更には1.0Abs/μL以上、更には2.0Abs/μL以上、例えば3Abs/μL以上であっても、本発明によれば高感度な検出が可能であり好適である。RT−PCR反応液中における不溶性物質による濁度の上限値は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、一例として、5.0Abs/μL以下、好ましくは4.0Abs/μL以下、例えば3Abs/μL以下とすることができる。
水または緩衝液にて懸濁した試料の遠心分離操作の際には、遠心分離機等の装置を必要とし、反応容器の開閉作業も伴うことから、作業の煩雑化かつ作業時間を延ばす原因となる。作業現場での作業を簡略化し、迅速に検査を実施することで、さらなる感染拡大を未然に防ぐことにつながる。これに加えて、ウイルス含有検体の入った反応容器の開閉には、ウイルス及びウイルス由来RNAの飛散リスクが生じる。ウイルスの飛散は作業者の安全及び健康を脅かすものであると同時に、検査作業環境の汚染を意味する。飛散したRNAウイルスは作業場においてエアロゾル化するため、同時に検査している他のサンプルの汚染リスクが問題となっている。このため、蓋の開閉工程のないRT−PCRを用いたウイルスの存在の有無を検査方法は、作業の単純化以上の意義を持っている。
本発明の試料中のRNAウイルスの存在を検査するための方法は、一酵素系1ステップRT−PCR反応において、分子量5〜500kDaのポリペプチドを共存させることを一つの特徴とする。このように比較的高分子のポリペプチドを共存させることによって、RT−PCR反応液中に多量の不溶性物質が存在する濁度が高い反応液中であっても、高感度にウイルスRNAを検出することが可能となる。
本発明に用いられる前記ポリペプチドは、分子量が5〜500kDaである限り、特に限定されないが、好ましくは、6〜400kDaである。本明細書において、分子量を示すときは、他の意味であることが明らかでない限り、SDS−PAGEを用いて決定した値をいう。SDS−PAGEでの分子量の測定は、当該分野で一般的な手法及び装置を用い、市販される分子量マーカー等を用いて行うことができる。例えば、「分子量50kDa」とは、SDS−PAGEで分子量を測定した際に、当業者が、通常50kDaの位置にバンドがあると判断する範囲にあることをいう。また、本発明に用いられるポリペプチドは、上記分子量の範囲内のポリペプチドの混合物であってもよい。
本発明に用いられる前記ポリペプチドは、本発明の効果を奏する限り特に限定されず、複数のアミノ酸がペプチド結合で連なって形成されたタンパク質をいう。また、本発明に用いられるポリペプチドは、アミノ酸が連結されたポリペプチド構造を有する限り、例えば、熱変性等により三次元構造が解かれたような熱変性ポリペプチド(例えば、ゼラチン)等であってもよい。具体的には、本発明に使用され得るポリペプチドとして、例えば、アルブミン(例えば、ウシ血清アルブミン、ラクトアルブミン、ヒト血清アルブミン、卵由来アルブミン)、ゼラチン(例えば、魚ゼラチン、豚ゼラチン)、セリシン、カゼイン、フィブロイン等の天然由来タンパク質(天然由来ポリペプチド);Blocking peptide fragment(以下BPFともいう)、コラーゲン加水分解物、ポリペプトン、酵母エキス、ビーフエキストラクト等の合成・分解等により人為的に製造されたポリペプチド等を用いることができる。より一層優れた本発明の効果が奏されるという観点から、好ましくは、本発明に用いられるポリペプチドは、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、Blocking peptide fragment(以下BPF)、及び/又はセリシンである。少量でも高い効果が発揮され得るという観点から、より好ましくは、ウシ血清アルブミン、ゼラチン(なかでも魚ゼラチン)を用いるのが好適である。これらのポリペプチドは、1種類だけ使用してもよいし、2種類以上を組合わせて使用してもよい。また、これらのポリペプチドは、天然からの抽出や合成等の手段により調製してもよく、また市販品も好適に使用することができる。
本発明において、前記ポリペプチドの使用量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、前記不溶性物質を含む試料と一酵素系1ステップRT−PCR反応液とを混合した混合液中において、終濃度0.0001〜200mg/mLとなるような量、好ましくは0.01〜150mg/mL、より好ましくは0.1〜130mg/mL、更に好ましくは0.5〜100mg/mLで使用することができる。より優れた効果を発揮させるために好ましい量は、使用するポリペプチドの種類や所望される効果の程度等によって変動し得るが、例えば、以下のような使用量を例示することができる:
・ウシ血清アルブミンを用いる場合:RT−PCR反応液中終濃度として、例えば0.5mg/mL以上、好ましくは1mg/mL以上、より好ましくは2mg/mL以上、更に好ましくは3mg/mL以上。上限値は特に限定されないが、例えば、10mg/mL以下とすることができる。
・ゼラチンを用いる場合:RT−PCR反応液中終濃度として、例えば0.1mg/mL以上、好ましくは1mg/mL以上、より好ましくは5mg/mL以上、更に好ましくは7.5mg/mL以上、さらにより好ましくは15mg/mL以上。上限値は特に限定されないが、例えば、50mg/mL以下とすることができる。
・セリシンを用いる場合:RT−PCR反応液中終濃度として、例えば1mg/mL以上、好ましくは5mg/mL以上、より好ましくは10mg/mL以上、更に好ましくは20mg/mL以上、更により好ましくは50mg/mL以上。上限値は特に限定されないが、例えば、100mg/mL以下とすることができる。
・BPFを用いる場合:RT−PCR反応液中終濃度として、例えば1mg/mL以上、好ましくは5mg/mL以上、より好ましくは10mg/mL以上、更に好ましくは20mg/mL以上、更により好ましくは30mg/mL以上。上限値は特に限定されないが、例えば、50mg/mL以下とすることができる。
前記工程(2)におけるRT−PCRサイクルは、1.熱処理、2.逆転写反応、3.PCRの3ステップから成る。各ステップの前後に、ホットスタート酵素を活性化させるための熱処理工程を含んでもよい。1の熱処理工程では、ウイルスを破砕してウイルス内の核酸を露出させる、及び/もしくは核酸増幅反応においてホットスタート酵素を活性化させる工程を含む。これらの熱処理工程を含むことにより、ウイルスのキャプシド構造からRNAを露出(溶出)させることが可能となる。前記熱処理工程の温度及び時間は、60℃以上であり、かつ1秒以上であればよく、好ましくは70℃、30秒以上、より好ましくは80℃、30秒以上、特に好ましくは85℃、30秒以上である。2の逆転写反応の温度は、耐熱性DNAポリメラーゼの逆転写活性と、プライマー及びプローブのTm値によって決定され、少なくとも25℃以上であればよい。より好ましくは37℃以上である。3のPCRでは、[1]熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの解離)、[2]鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、[3]DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、の3ステップを含んでいればよく、[2]と[3]を同一の温度で実施して、2ステップとしてもよい。迅速なRT−PCRを実施するためには、前記RT−PCR反応に使用するサーマルサイクラーは、前記[2]と[3]のステップの伸長時間を合わせて15秒以下、より好ましくは10秒以下の測定プログラムを設定することが望ましい。なお、本明細書において「PCRの伸長時間」とは、サーマルサイクラーでの設定温度を指す。
前記混合液に添加される1ステップRT−PCR溶液は、逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼを含むことを特徴とする。逆転写活性を有するDNAポリメラーゼとは、RNAをcDNAに変換する能力とDNAを増幅する能力を兼ね備えたDNAポリメラーゼである。また、耐熱性とは、70℃で1分以上の熱処理を実施しても、酵素活性が半分以上低下しないことをいう。由来は特に限定されるものではないが、Taq、Tth,Bst,Bca,KOD,Pfu,Pwo、Tbr,Tfi,Tfl,Tma,Tne、Vent,DEEPVENTやこれらの変異体が挙げられる。これまでに逆転写活性を有するDNAポリメラーゼとして、Thermus aquaticus由来のDNAポリメラーゼ(Taq)、Thermus thermophilus HB8由来のDNAポリメラーゼ(Tth)やThermus sp Z05由来のDNAポリメラーゼ(Z05)、Thermotoga maritima由来のDNAポリメラーゼ(Tma)、Bacillus caldotenax由来のDNAポリメラーゼ(Bca)、Bacillus stearothermophilus由来のDNAポリメラーゼ(Bst)などが挙げられ、これらの逆転写活性と耐熱性DNAポリメラーゼ活性が失われていない変異体であってもよい。また、Thermococcus kodakaraensis由来のDNAポリメラーゼ(KOD)の変異体であって、逆転写活性を有するものが知られており(例えば、RTX:reverse transcription xenopolymerase)、本発明にはこのような逆転写酵素活性を併せ持つ耐熱性DNAポリメラーゼであれば、限定されるものではない。特に好ましくは、Family Aに属するDNAポリメラーゼが挙げられ、好ましくは、Taq、Tth、Z05及びこれらの変異体からなる群より選択される逆転写活性を有するDNAポリメラーゼが挙げられる。なかでも好ましくは、Tthポリメラーゼ、Hawk Z05ポリメラーゼ、及びそれらの変異体よりなる群より選択される少なくとも1つである。一酵素系1ステップRT−PCR反応液に含まれる前記耐熱性DNAポリメラーゼの総量は、一例として、少なくとも4.2ng/μL以上あればよく、5.0ng/μL以上であることが好ましく、5.8ng/μL以上であることがより好ましい。なかでも好ましくは、8.3ng/μL以上である。一酵素系1ステップRT−PCR反応液に含まれる前記耐熱性DNAポリメラーゼの総量の上限は特に限定されないが、一例として、20ng/μL以下とすることができ、16.7ng/μL以下であっても十分に本発明の効果を得ることができる。ポリメラーゼの量は、Bradford法もしくはNanodrop(サーモフィッシャー社)により定量した値であり、安全データシート(SDS)から概算してもよい。BSAなどのタンパク質を含む場合は、後者の方法で算出することが望ましい。
本明細書において、逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼの変異体とは、その由来である野生型DNAポリメラーゼのアミノ酸配列に対して、例えば85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、なかでも好ましくは99%以上の配列同一性を有し、且つ、野生型DNAポリメラーゼと同様にRNAをcDNAに変換する活性及びDNAを増幅する活性を有するものをいう。ここで、アミノ酸配列の同一性を算出する方法としては、当該分野で公知の任意の手段で行うことができる。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができ、一例として、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、アミノ酸配列の同一性を算出することが可能である。また、本発明に用いられ得る変異体は、その由来である野生型DNAポリメラーゼのアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加(以下、これらを纏めて「変異」ともいう)したアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、且つ、野生型DNAポリメラーゼと同様にRNAをcDNAに変換する活性及びDNAを増幅する活性を有するものであってもよい。ここで1又は数個とは、例えば、1〜80個、好ましくは1〜40個、よりこのましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個であり得るが、特に限定されない。
本発明に用いられる1ステップRT−PCR反応液は、非特異的反応抑制の効果を高めるため、抗DNAポリメラーゼ抗体との併用、あるいは化学修飾により熱不安定ブロック基のDNAポリメラーゼへ導入することで、1ステップRT−PCR反応を実施する前に、DNAポリメラーゼの酵素活性を抑制され、ホットスタートPCRへの適用ができることが好ましい。
本発明に用いられる1ステップRT−PCR反応液には、耐熱性DNAポリメラーゼの他、緩衝剤、適当な塩、マグネシウム塩又はマンガン塩、デオキシヌクレオチド三リン酸、検出対象のウイルスRNAの検出対象領域に対応するプライマー対、さらに必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。
本発明で使用される緩衝剤としては、特に限定されないが、トリス(Tris),トリシン(Tricine),ビスートリシン(Bis−Tricine),ビシン(Bicine)などが挙げられる。硫酸、塩酸、酢酸、リン酸などでpHを6〜9、より好ましくはpH7〜9に調整されたものである。また、添加する緩衝剤の濃度としては、10〜200mM,より好ましくは20〜150mMで使用される。この際、反応に適当なイオン条件とするために、塩溶液が加えられる。塩溶液としては、塩化カリウム、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウムなどが挙げられる。
本発明で使用されるdNTPとしては、dATP,dCTP,dGTP,dTTPがそれぞれ0.1〜0.5mM、最も一般的には0.2mM程度加えられる。dTTPの代わり及び/又は一部としてdUTPを使用することによって、クロスコンタミネーションに対する予防処置をとってもよい。クロスコンタミネーションに対する予防処置を講じる場合、Uracil−N−glycosylase(UNG)を含むことが好ましい。
更に、本発明では、一酵素系1ステップRT−PCT反応液に、2価陽イオンを含むことが好ましい。このように2価陽イオンを含むことで、より安定して高い夾雑耐性が得られ高感度な検出が可能となる。2価陽イオンとしては、特に限定されないが、マグネシウムイオン、マンガンイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、ニッケルイオン、亜鉛イオン等を挙げることができる。好ましくは、2価陽イオンとして、マグネシウムイオン、マンガンイオンを含むことが好ましい。本発明において、一酵素系1ステップRT−PCR反応液にマグネシウムイオンやマンガンイオン等を添加する場合は、マグネシウムやマンガンを添加してもよいし、これらの塩を添加してもよい。マグネシウム又はその塩としては、マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等が例示され、マンガン又はその塩としては、マンガン、塩化マンガン、硫酸マンガン、酢酸マンガンなどが例示される。このようなマグネシウム、マンガン、又はこれらの塩は、RT−PCR反応液中に1〜10mM程度加えられることが好ましい。本発明のRNAウイルス検査方法において安定的に高い感度が得られ易いという観点からは、マンガン又はその塩を含むことが好ましい。特定の実施態様では、RT−PCR反応液において1mM以上のマンガン又はその塩を含むことが好ましく、1.5mM以上のマンガン又はその塩を含むことが好ましく、2.0mM以上のマンガン又はその塩を含むことがより好ましい。
さらに1ステップRT−PCR反応液に含まれる添加剤として、アミノ酸におけるアミノ基に3個のメチル基を付加した構造を有する第4級アンモニウム塩(以下、「ベタイン様4級アンモニウム」という)、グリセロール、グリコール、及び界面活性剤よりなる群から選択された少なくとも1つを含んでいてもよい。
前記1ステップRT−PCR反応液に含まれる界面活性剤としては、トリトンX−100(TritonX−100)、トリトンX−114(TritonX−114)、ツイーン20(Tween20),ノニデットP40、Briji35、Briji58、SDS、CHAPS、CHAPSO、Emulgen420などが挙げられるが、特に限定されない。RT−PCR反応液中の前記界面活性剤の濃度も特に限定はされないが、好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.002%以上、さらに好ましくは0.005%以上で、良好な検出が可能となる。上限は特に限定されないが、一例として、0.1%以下とすることができる。
前記1ステップRT−PCR反応液に含まれるベタイン様4級アンモニウムとしては、ベタイン(トリメチルグリシン)、カルニチンなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。ベタイン構造は分子内に安定な正、負の両電荷を持つ化合物で、界面活性剤のような性質を示し、ウイルス構造の不安定化を引き起こすと考えられる。さらに、DNAポリメラーゼの核酸増幅を促進することが知られる。好ましい前記ベタイン様4級アンモニウム濃度は、0.1M〜2M、より好ましくは0.2M〜1.2Mである。
さらには、当該技術分野でRT−PCRを促進することが知られる物質と組み合わせて使用することもできる。本発明において有用な促進物質とは、例えば、グリセロール、ポリオール、プロテアーゼインヒビター、シングルストランド結合タンパク質(SSB)、T4遺伝子32タンパク質、tRNA、硫黄または酢酸含有化合物類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ホルムアミド、アセトアミド、エクトイン、トレハロース、デキストラン、ポリビニルピロリドン(PVP),塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、酢酸テトラメチルアンモニウム(TMAA)、ポリエチレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。さらに反応阻害を低減するように、エチレングリコール-ビス(2−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)のようなキレート剤を含んでいてもよい。
本発明に用いられるプライマー対としては、一方のプライマーが他方のプライマーのDNA伸長生成物に互いに相補的である2種一対のプライマーが挙げられる。また、別の態様として、上記プライマーが2対以上含まれる、いわゆるマルチプレックスPCRも挙げられる。さらに、ターゲットとする核酸が亜型からなる場合、縮重プライマーを含んでもよい。本発明でエンベロープを持たないRNAウイルスの1種であるノロウイルスを検出する場合、プライマー対の例としては、ノロウイルス検出用のプライマーとしては、厚生労働省医薬食品局安全部監視安全課の通知(食安監1105001号)に記載のプライマー記載のプライマー(配列番号1〜5)が挙げられるが、これに限るものではない。前記記載のプライマーでは、配列番号1、2によりノロウイルスG1型、配列番号3〜5によりノロウイルスG2型を検出する。検出対象のプライマー濃度としては、特に限定はされないが、RT−PCR反応液全体に対して、フォワードプライマーの濃度が0.1μM以上3μM以下であり、かつ前記リバースプライマーの濃度が0.1μM以上3μM以下であることが好ましい。より好ましくは、フォワードプライマーの濃度が0.1μM以上2μM以下であり、かつ前記リバースプライマーの濃度が0.5μM以上2μM以下である。
本発明は、別の態様としては、さらに、少なくとも1種類の標識されたハイブリダイゼーションプローブまたは2本鎖DNA結合蛍光化合物を含む検出方法である。これによって、増幅産物の分析を通常の電気泳動ではなく、蛍光シグナルのモニタリングで監視することができ、解析労力が低減される。さらには、反応容器を開放する必要がなく、コンタミネーションのリスク低減が可能である。ウイルスのサブタイプに対応する、それぞれのハイブリダイゼーションプローブを異なる蛍光色素で標識することによって、ウイルスのサブタイプを識別することも可能である。
2本鎖DNA結合蛍光化合物としては、例えば、SYBR(登録商標) Green I,SYBR(登録商標) Gold、SYTO−9、SYTP−13、SYTO−82(Life Technologies),EvaGreen(登録商標;Biotium)、LCGreen(Idaho),LightCycler(登録商標) 480 ResoLight(Roche Applied Science)などが挙げられる。
本発明において用いられるハイブリダイゼーションプローブとしては、例えば、TaqMan加水分解プローブ(米国特許第5,210,015号公報、米国特許第5,538,848号公報、米国特許第5,487,972号公報、米国特許第5,804,375号公報)、モレキュラービーコン(米国特許第5,118,801号公報)、FRETハイブリダイゼーションプローブ(国際公開第97/46707号パンフレット,国際公開第97/46712号パンフレット,国際公開第97/46714号パンフレット)などが挙げられる。ノロウイルス検出用のプローブの塩基配列としては、厚生労働省医薬食品局安全部監視安全課の通知(食安監1105001号)に記載の配列(配列番号6〜9)が挙げられるが、これに限るものではない。前記記載のプローブ配列では、配列番号6または7によりノロウイルスG1型、配列番号8または9によりノロウイルスG2型を検出する。さらに、ターゲットとする核酸が亜型からなる場合、縮重配列を含んでもよい。蛍光標識プローブの濃度としては、0.01μM以上1.0μM以下であることが好ましい。より好ましくは、0.013μM以上0.75μM以下であり、更に好ましくは、0.02μM以上0.5μM以下である。
本発明の別の一態様は、試料中のウイルスRNAの検査用キットまたは組成物であって、分子量5〜500kDaであるポリペプチド及び逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼを含有することを特徴とする、事前の遠心分離操作を行わず不溶性物質を含む試料から一酵素系1ステップRT−PCR反応でRNAウイルスの検査を行うための検査用キットまたは組成物である。
この実施態様において使用される、分子量5〜500kDaであるポリペプチドの種類や量、逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼの種類や量、プライマー又はプローブの種類や量、検査対象となるRNAウイルス等は、前記のRNA検査方法において詳述したものと同様であり得る。本発明の検査用キットは、例えば、本発明の使用方法を説明する使用説明書等を含むことができる。例えば、本発明の検査用キットは、分子量5〜500kDaのポリペプチドと、逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼとを同じ容器に封入したもの又は別々の容器に封入したものを、例えば一つの包装体に梱包し、当該キットの使用方法に関する情報を含む態様で提供することができる。
以下、実施例をもって、本発明を具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
試験例1.糞便懸濁液の調製
(1)試料の調製
ノロウイルス陰性のヒト糞便検体を50%(重量%)となるように滅菌水にて懸濁した。この懸濁液を水にて200倍希釈した。
(2)濁度(OD660)の測定
200倍に希釈した糞便懸濁液のOD660を測定した。測定結果に希釈倍率を掛け合わせ、調製した糞便懸濁液の濁度を決定した。
(3)結果
調製した糞便懸濁液の濁度は41.8Absであることを確認した。糞便懸濁液を利用した以後の検討は、該糞便懸濁液を用いた。
試験例2.不溶性物質を含んだ試料における1ステップRT−PCR
(1−1)ノロウイルス液の調製
ノロウイルスのサンプルとして、ノロウイルス検体であるNorovirus GIおよびGII Positive Control(ZeptoMetrix、intact)を利用した。G1型およびG2型ノロウイルスの各検体を、1反応当たり250、50、10コピー相当添加した。
(1−2)糞便懸濁液の添加
試験例1にて調製したノロウイルス陰性の糞便懸濁液を、RT−PCR反応液の濁度OD660が0、0.1、1.0Abs/μLになるように以下の反応液に添加した。
(2)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、1酵素系1ステップRT−PCRにおいて、反応液中のノロウイルスを検出した。
反応液
(rTaq DNAPolymerase 10xBuffer(東洋紡)添付品)
10x プライマー液
(ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
10x プローブ液
(ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
0.2mM sNTPs Mixture (東洋紡)
2mM Mn(OAc)2 (東洋紡)
4.2ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.01μg/μl 抗Tth 抗体
前記各試薬を混合して、最終液量が49μLとなるようにRT−PCR反応液を調製した。糞便懸濁液は、RT−PCR反応液の濁度が以下の条件になるように1μLずつ添加し、50μL反応系としてRT−PCRを実施した。
条件1 0Abs/μL
条件2 0.1Abs/μL
条件3 1 Abs/μL
これをBioRad製CFX96WELL DEEPを使用して、以下の温度サイクルでリアルタイムPCR反応を実施した。52℃、40サイクルの伸長ステップで蛍光値の読み取りを行った。
90℃ 1分(熱処理条件)
58℃ 5分(逆転写条件)
95℃ 1秒−52℃ 10秒 10サイクル(PCR)
95℃ 1秒−52℃ 10秒 40サイクル(PCR―蛍光読み取り)
(4)結果
糞便懸濁液を添加した条件では、ノロウイルスの検検出感度が低下した。条件2では低コピーである10コピーの検出が確認できなくなり、条件3では内部標準(IC)の検出も確認できなった。
試験例3.1ステップRT−PCRにおける添加剤の検討1
(1−1)ノロウイルス液の調製
ノロウイルスのサンプルとして、ノロウイルス検体であるNorovirus GIおよびGII Positive Control(ZeptoMetrix、intact)を利用した。G1型およびG2型ノロウイルスの各検体を、1反応当たり250、50コピー相当添加した。
(1−2)糞便懸濁液の添加
試験例1にて調製したノロウイルス陰性の糞便懸濁液を、RT−PCR反応液の濁度OD660が1.0Abs/μLになるように以下の反応液に添加した。
(2)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、1酵素系1ステップRT−PCRにおいて、反応液中のノロウイルスを検出した。使用した反応液(rTaqDNA Polymerase 10xBuffer(東洋紡))の組成は100mM Tris−HCl(pH8.3)、500mM KClである。
反応液
(rTaq DNAPolymerase 10xBuffer(東洋紡)添付品)
10x プライマー液
(ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
10x プローブ液
(ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
0.2mM sNTPs Mixture (東洋紡)
2mM Mn(OAc)2 (東洋紡)
4.2ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.01μg/μl 抗Tth 抗体
前記各試薬を混合し、以下の添加剤を含めて最終液量が49μLとなるようにRT−PCR反応液を調製した。糞便懸濁液は、RT−PCR反応液に、終濃度が以下の条件になるように1μLずつ添加し、以下の添加剤を含めて50μL反応系としてRT−PCRを実施した。
(3)添加剤
以下の添加剤を表2に記載の終濃度でRT−PCR反応液に添加した。
・ウシ血清アルブミン(以下BSA)(分子量:約60kDa、ナカライテスク)
・魚ゼラチン(分子量:約20〜25kDa、メルク)
・Blocking peptide fragment(以下BPF)(分子量:約22kDa、東洋紡)
・セリシン(分子量:約65〜400kDa、メルク)
・豚ゼラチン(分子量:約50〜100kDa、メルク)
これをBioRad製CFX96WELL DEEPを使用して、以下の温度サイクルでリアルタイムPCR反応を実施した。52℃、40サイクルの伸長ステップで蛍光値の読み取りを行った。
90℃ 1分(熱処理条件)
58℃ 5分(逆転写条件)
95℃ 1秒−52℃ 10秒 10サイクル(PCR)
95℃ 1秒−52℃ 10秒 40サイクル(PCR―蛍光読み取り)
(4)結果
添加剤無添加の条件1(NTC)においては、糞便懸濁液の濁度が1.0Abs/μLの条件下ではG1よびG2のノロウイルスの検出が不可能であったのに対し、各添加剤の添加を実施することで、それぞれ検出感度の向上効果を確認した。BPFおよびセリシンが10mg/mL以上にて低コピー検体(50コピー/反応)の検出が可能になったのに対し、BSAでは1mg/mL以上にて効果が認められ、低濃度にて効果があることを確認した。また、豚ゼラチンが15mg/mL以上にて同様の効果があるのに対し、魚ゼラチンでは5mg/mL以上で同様の効果を確認した。
試験例4.1ステップRT−PCRにおける添加剤の検討2
(1−1)ノロウイルス液の調製
ノロウイルスのサンプルとして、ノロウイルス検体であるNorovirus GIおよびGII Positive Control(ZeptoMetrix、intact)を利用した。G1型およびG2型ノロウイルスの各検体を、1反応当たり250、50コピー相当添加した。
(1−2)糞便懸濁液の添加
試験例1にて調製したノロウイルス陰性の糞便懸濁液を、RT−PCR反応液の濁度OD660が1.0Abs/μLになるように以下の反応液に添加した。
(2)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、1酵素系1ステップRT−PCRにおいて、反応液中のノロウイルスを検出した。使用した反応液(rTaqDNA Polymerase 10xBuffer(東洋紡))の組成は100mM Tris−HCl(pH8.3)、500mM KClである。
反応液
(rTaq DNAPolymerase 10xBuffer(東洋紡)添付品)
10x プライマー液
(ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
10x プローブ液
(ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
0.2mM sNTPs Mixture (東洋紡)
2mM Mn(OAc)2 (東洋紡)
4.2ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.01μg/μl 抗Tth 抗体
前記各試薬を混合し、以下の添加剤を含めて最終液量が49μLとなるようにRT−PCR反応液を調製した。糞便懸濁液は、RT−PCR反応液に、終濃度が以下の条件になるように1μLずつ添加し、以下の添加剤を含めて50μL反応系としてRT−PCRを実施した。
(3)添加剤
以下の表4に記載の終濃度でBSA(分子量:約60kDa)および魚ゼラチン(分子量:約20〜25kDa)をRT−PCR反応液に添加した。
これをBioRad製CFX96WELL DEEPを使用して、以下の温度サイクルでリアルタイムPCR反応を実施した。52℃、40サイクルの伸長ステップで蛍光値の読み取りを行った。
90℃ 1分(熱処理条件)
58℃ 5分(逆転写条件)
95℃ 1秒−52℃ 10秒 10サイクル(PCR)
95℃ 1秒−52℃ 10秒 40サイクル(PCR―蛍光読み取り)
(4)結果
BSAおよび魚ゼラチンが無添加である条件1では、G1およびG2ともにノロウイルスの検出が不可能であった。これに対し、BSAを1mg/mL以上および魚ゼラチン00005mg/mL以上を併せて添加した条件では、反応性が向上し、不溶性物質が1Abs/μL存在する状況下であっても、G1,G2ともに10コピー/反応まで検出可能になることを確認した。
試験例4.不溶性物質の濁度の検討
(1−1)ノロウイルス液の調製
ノロウイルスのサンプルとして、ノロウイルス検体であるNorovirus GIおよびGII Positive Control(ZeptoMetrix、intact)を利用した。G1型およびG2型ノロウイルスの各検体を、1反応当たり250、50、10コピー相当添加した。
(1−2)糞便懸濁液の添加
試験例1にて調製したノロウイルス陰性の糞便懸濁液を、RT−PCR反応液の濁度OD660が以下の条件となるように反応液に添加した。
条件1 0 Abs/μL
条件2 0.1Abs/μL
条件3 0.5Abs/μL
条件4 1.0Abs/μL
条件5 3.0Abs/μL
条件6 5.0Abs/μL
(2)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、1酵素系1ステップRT−PCRにおいて、反応液中のノロウイルスを検出した。
反応液
(rTaq DNAPolymerase 10xBuffer(東洋紡)添付品)
10x プライマー液
(ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
10x プローブ液
(ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
0.2mM sNTPs Mixture (東洋紡)
2mM Mn(OAc)2 (東洋紡)
4.2ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.01μg/μl 抗Tth 抗体
3mg/ml BSA(分子量:約60kDa)
5mg/mL 魚ゼラチン(分子量:約20〜25kDa)
前記各試薬を混合して、最終液量が49μLとなるようにRT−PCR反応液を調製した。糞便懸濁液は、RT−PCR反応液に、濁度が以下の条件になるように1μLずつ添加し、以下の添加剤を含めて50μL反応系としてRT−PCRを実施した。
(3) 結果
糞便懸濁液の不溶性物質の濁度が1Abs/μLまでの場合において、ノロウイルスG1、G2ともに10コピーまでの検出を確認した。また、3Abs/μLにおいて、G1でのみ10コピーまでの検出を確認し、G2では50コピーまでの検出を確認した。濁度5Abs/μL以上では著しく蛍光強度の低下が確認され、G1、G2ともに検出をすることができなかった。
試験例5.糞便試料を直接添加した条件での1ステップRT−PCR
(1−1)ノロウイルス液の調製
ノロウイルスのサンプルとして、ノロウイルス検体であるNorovirus GIおよびGII Positive Control(ZeptoMetrix、intact)を利用した。G1型およびG2型ノロウイルスの各検体を、1反応当たり50コピー相当添加した。
(1−2)糞便試料の添加
ノロウイルス陰性の糞便試料(2検体)を、竹串を使って採取し、以下の方法で調製したRT−PCR反応液に直接添加し、懸濁した。一部を分取し、濁度(OD660)が1.0Abs/μL前後であることを確認した。また、試料の採取量にばらつきが出るため、N=3にて実施した。
(2)RT−PCR反応液調製
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、1酵素系1ステップRT−PCRにおいて、反応液中のノロウイルスを検出した。
反応液
(rTaq DNAPolymerase 10xBuffer(東洋紡)添付品)
10x プライマー液
(ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
10x プローブ液
(ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
0.2mM sNTPs Mixture (東洋紡)
2mM Mn(OAc)2 (東洋紡)
4.2ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.01μg/μl 抗Tth 抗体
3mg/ml BSA(分子量:約60kDa)
5mg/mL 魚ゼラチン(分子量:約20〜25kDa)
前記各試薬を混合して、最終液量が100μLとなるようにRT−PCR反応液を調製した。糞便試料を混合後、50μLを用いてRT−PCRを実施した。残りの50μLにて濁度測定を実施した。
これをBioRad製CFX96WELL DEEPを使用して、以下の温度サイクルでリアルタイムPCR反応を実施した。52℃、40サイクルの伸長ステップで蛍光値の読み取りを行った。
90℃ 1分(熱処理条件)
58℃ 5分(逆転写条件)
95℃ 1秒−52℃ 10秒 10サイクル(PCR)
95℃ 1秒−52℃ 10秒 40サイクル(PCR―蛍光読み取り)
(4)結果
糞便検体を直接添加した条件において、不溶性物質の濁度が0.8〜1.25Abs/μLの範囲において、G1およびG2のノロウイルス50コピーの検出が可能であることを確認した。
本発明は、分子生物学研究、さらに臨床検査や食品衛生管理などを目的とした検査において、好適に用いられる。

Claims (33)

  1. 以下の工程を含むことを特徴とする、試料中のRNAウイルスの存在を検査するための方法:
    (1)事前の遠心分離操作をおこなわず不溶性物質を含む試料と、分子量5〜500kDaのポリペプチド及び逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼを含む一酵素系1ステップRT−PCR反応液とを混合した混合液を調製する工程、並びに、
    (2)反応容器を密閉後、1ステップRT−PCR反応を実施する工程。
  2. 前記混合液中における不溶性物質の濁度がOD660にて0.01Abs/μL以上である請求項1に記載の方法。
  3. 前記一酵素系1ステップRT−PCR反応液に含まれる分子量5〜500kDaのポリペプチドが、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、Blocking peptide fragment(以下BPF)、及びセリシンよりなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記混合液が、該混合液中終濃度で前記分子量5〜500kDaのポリペプチドとして、0.5mg/mL以上のウシ血清アルブミン、5mg/mL以上のゼラチン、5mg/mL以上のBlocking peptide fragment(以下BPF)、及び5mg/mL以上のセリシンよりなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1から3いずれかに記載の方法。
  5. 前記工程(1)において使用する不溶性物質を含む試料が、核酸の単離処理も加熱処理も行っていない試料である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記工程(1)及び(2)が同一容器で行われることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記工程(2)において反応容器を密閉後、一度も蓋を開閉することなく1ステップRT−PCR反応を実施することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記工程(2)において、サイクル反応の前及び/又はサイクル反応中に、ウイルスを破砕してウイルス内の核酸を露出させるため及び/又は核酸増幅反応においてホットスタート酵素を活性化させるために熱処理を実施することを含む請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記試料が血液試料、糞便試料、及び/又は拭き取り検査試料である請求項1から8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記試料が水、生理食塩水または緩衝液に懸濁された懸濁液である請求項1から9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記不溶性物質が、血液試料、糞便試料、及び/又は拭き取り検査試料に由来する請求項1から10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記ウイルスがエンベロープをもたないRNAウイルスである請求項1から11のいずれかに記載の方法。
  13. エンベロープをもたないRNAウイルスがレオウイルス科ウイルスまたはカリシウイルス科ウイルスである請求項1から12のいずれかに記載の方法。
  14. レオウイルス科ウイルスがロタウイルスである請求項13に記載の方法。
  15. カリシウイルス科ウイルスがノロウイルスである請求項13に記載の方法。
  16. ノロウイルスがGI型かGII型であるかの判別が可能であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 前記耐熱性DNAポリメラーゼがFamily Aに属するDNAポリメラーゼであることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記耐熱性DNAポリメラーゼが、Tthポリメラーゼ、Hawk Z05ポリメラーゼ、及びそれらの変異体よりなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の方法。
  19. 前記一酵素系1ステップRT−PCR反応液が、更に1mM以上の2価陽イオンを含む、請求項1から18のいずれかに記載の方法。
  20. 分子量5〜500kDaであるポリペプチド及び逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼを含有することを特徴とする、事前の遠心分離操作を行わず不溶性物質を含む試料から一酵素系1ステップRT−PCR反応でRNAウイルスの検査を行うための組成物。
  21. 前記組成物と前記試料との混合液における不溶性物質の濁度がOD660にて0.01Abs/μL以上である請求項20に記載の組成物。
  22. 前記一酵素系1ステップRT−PCR反応液に含まれる分子量5〜500kDaのポリペプチドが、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、Blocking peptide fragment(以下BPF)、及びセリシンよりなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項20又は21に記載の組成物。
  23. 前記組成物と前記試料との混合液が、該混合液中終濃度で前記分子量5〜500kDaのポリペプチドとして、0.5mg/mL以上のウシ血清アルブミン、5mg/mL以上のゼラチン、5mg/mL以上のBlocking peptide fragment(以下BPF)、及び5mg/mL以上のセリシンよりなる群から選択される少なくとも1つを含むように調整して配合されている、請求項20から22のいずれかに記載の組成物。
  24. 前記不溶性物質を含む試料が、核酸の単離処理も加熱処理も行っていない試料である、請求項20から23のいずれかに記載の組成物。
  25. 前記耐熱性DNAポリメラーゼがFamily Aに属するDNAポリメラーゼであることを特徴とする請求項20から24のいずれかに記載の組成物。
  26. 前記耐熱性DNAポリメラーゼが、Tthポリメラーゼ、Hawk Z05ポリメラーゼ、及びそれらの変異体よりなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項20から24のいずれかに記載の組成物。
  27. 前記一酵素系1ステップRT−PCR反応液が、更に1mM以上の2価陽イオンを含む、請求項20から26のいずれかに記載の組成物。
  28. ウイルスがエンベロープをもたないRNAウイルスである請求項20から27のいずれかに記載の組成物。
  29. エンベロープをもたないRNAウイルスがレオウイルス科ウイルスまたはカリシウイルス科ウイルスである請求項28のいずれかに記載の組成物。
  30. レオウイルス科ウイルスがロタウイルスである請求項29に記載の組成物。
  31. カリシウイルス科ウイルスがノロウイルスである請求項29に記載の組成物。
  32. ノロウイルスがGI型かGII型であるかの判別が可能であることを特徴とする請求項20から31のいずれかに記載の組成物。
  33. 請求項20から32のいずれかに記載の組成物を含む、事前の遠心分離操作を行わず不溶性物質を含む試料においてRNAウイルスの存在を検査するためのキット。
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