JP2020156470A - 非特異増幅が抑制された核酸増幅法 - Google Patents

非特異増幅が抑制された核酸増幅法 Download PDF

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Abstract

【課題】 一酵素系1ステップRT−PCR反応において非特異増幅の発生を抑制して、核酸増幅反応の特異性を向上させることを目的とする。【解決手段】 本発明は、以下の工程:(1)試料に対して、反応液中終濃度が0.2ng/μL以上6ng/μL以下になるように調整された多糖類と耐熱性DNAポリメラーゼとを含む一酵素系1ステップRT−PCR反応液を添加する工程、及び、(2)反応容器を密閉後、1ステップRT−PCR反応によって試料中の標的RNAの存在の有無を検査する工程、を含むことを特徴とする、試料中の標的RNAの有無を検査する方法を提供する。好ましくは、多糖類としてヘパリン又はその塩を使用するのがよい。【選択図】 なし

Description

本発明は、核酸増幅の分野に関する。より具体的には、ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、以下PCRと表記する)を利用した、非特異増幅が抑制された核酸増幅法に関する。
核酸増幅法は数コピーの標的核酸を可視化可能なレベル、すなわち数億コピー以上に増幅する技術であり、生命科学研究分野のみならず、遺伝子診断、臨床検査といった医療分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等においても、広く用いられている。
代表的な核酸増幅法は、PCRである。PCRは、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの解離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって、試料中の標的核酸を増幅する方法である。アニーリングと伸長を同温度で、2ステップで行う場合もある。
核酸増幅法を利用した検査の対象となる試料は目的に応じて様々である。ゲノムDNAを対象とした遺伝子診断であれば侵襲性が低く採取が容易な試料、例えば、口腔内粘膜細胞や血液である。感染症原因菌の検出であれば、原因菌が存在しうる試料すなわち、尿、喀痰、糞便、血液、鼻腔液、膣分泌液などである。食品衛生検査であれば食品、あるいは食品取扱者から採取された糞便や尿、環境衛生検査であれば土壌や河川水、雨水、海水などの環境水、製造設備等の拭き取り物などである。
PCRなどの核酸増幅反応では、使用する試料中に存在する夾雑物質等が原因で非特異増幅が起きてしまう場合がある。また、例えば、プライマーが目的としない誤った配列にハイブリダイズしてしまうことや(プライマーのミスマッチアニーリング)、プライマー同士が会合してプライマーダイマーが生じてしまうことがあり、このような場合には誤った配列を鋳型として核酸増幅反応が起こり、意図しない非特異増幅産物が作られてしまう場合がある。このようなミスハイブリダイゼーションによる非特異増幅反応は、PCR反応液の成分組成が最適でない場合(例えば、反応液中の特定成分の量が過剰である場合)などに起こり易い。そのため、PCRにおいて、非特異増幅を抑制し、目的産物を特異的に増幅させることが求められている。
これまでに非特異増幅を低減させる方法が、数多く報告されている。例えば、増幅条件(アニール温度を高める、サイクル数の減少、酵素の種類変更、dNTP濃度の減少、Mg濃度の減少、鋳型DNA濃度の減少など)の至適化、プライマーのデザイン変更、抗体やアプタマーを利用したホット・スタート法の利用、特異性が高まるとされる修飾オリゴヌクレオチド(PNAやLNAなど)の利用などが知られている。さらに、PCRの特異性を向上させる薬剤として、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ホルムアミド、グリセロール、ベタインなどが報告されてきた(特許文献1、2)。これらの薬剤は核酸の融解温度を低下させることで、核酸の増幅効率を向上させることが知られている。
しかしながら、上記の方法を用いても非特異増幅を低減させる効果は限定的であり、非特異増幅を低減させることが可能な、更なる有用な核酸増幅方法が求められていた。
特許4761265号 特許4300321号
本発明の目的は、非特異増幅の発生を抑制することで、試料中の標的核酸を効率よく増幅させることができる新たな手法を提供することである。
本発明者らは、上記事情に鑑みて鋭意研究を行った結果、一酵素系の1ステップRT−PCR反応液に特定量の多糖類と耐熱性DNAポリメラーゼとを共存させることにより、非特異増幅を抑制できることを見出した。
代表的な本発明は、以下の通りである。
[項1] 以下の工程を含むことを特徴とする、試料中の標的RNAの有無を検査する方法:
(1)試料に対して、反応液中終濃度が0.2ng/μL以上6ng/μL以下になるように調整された多糖類と耐熱性DNAポリメラーゼとを含む一酵素系1ステップRT−PCR反応液を添加する工程、及び、
(2)反応容器を密閉後、1ステップRT−PCR反応によって試料中の標的RNAの有無を検査する工程。
[項2] 前記多糖類が、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性多糖類である、項1に記載の方法。
[項3] 前記多糖類がヘパリン及び/又はその塩であることを特徴とする項1又は2に記載の方法。
[項4] 前記多糖類の反応液中終濃度が0.2ng/μL以上4ng/μL以下となるように調整されていることを特徴とする項1から3のいずれかに記載の方法。
[項5] 前記一酵素系1ステップRT−PCR反応液における前記耐熱性DNAポリメラーゼの総量が4.2ng/μL以上である項1から4のいずれかに記載の方法。
[項6] 工程(1)において核酸の分離精製処理も加熱処理も行っていない試料を用いる、項1〜5のいずれかに記載の方法。
[項7] 前記工程(1)及び(2)が同一容器で行われることを特徴とする項1から6のいずれかに記載の方法。
[項8] 工程(2)において反応容器を密閉後、一度も蓋を開閉することなく1ステップRT−PCR反応を実施することを特徴とする項1から7のいずれかに記載の方法。
[項9] 工程(2)において、PCRサイクル反応の前及び/又はPCRサイクル反応中に、試料中で核酸を露出させるため及び/又はPCR反応においてホットスタートPCRを行うために熱処理を実施することを含む項1から8のいずれかに記載の方法。
[項10] 前記熱処理が、60℃以上であり、かつ1秒以上の加熱を行うことを特徴とする項9に記載の方法。
[項11] 試料が血液試料、糞便試料、及び/又は拭き取り検査試料である項1から10のいずれかに記載の方法。
[項12] 試料が水、生理食塩水または緩衝液に懸濁された試料懸濁液である項1から11のいずれかに記載の方法。
[項13] 試料が試料懸濁液の遠心上清である項1から12のいずれかに記載の方法。
[項14] 前記標的RNAがエンベロープをもたないRNAウイルス由来の核酸であることを特徴とする項1から13のいずれかに記載の方法。
[項15] RNAウイルスがノロウイルスである項14に記載の方法。
[項16] ノロウイルスがGI型かGII型であるかの判別が可能であることを特徴とする項15に記載の方法。
[項17] 前記耐熱性DNAポリメラーゼがFamily Aに属するDNAポリメラーゼであることを特徴とする項1から16のいずれかに記載の方法。
[項18] 前記耐熱性DNAポリメラーゼが、Taq、Tth、Z05およびそれらの変異体からなる群から選択される少なくとも一種の逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼであることを特徴とする項1から17のいずれかに記載の方法。
[項19] RT−PCR反応液が、検出対象の標的RNAの検出領域に対応するプライマー対をさらに含む項1から18のいずれかに記載の方法。
[項20] RT−PCR反応液が、検出対象の標的RNAの検出領域に対応するハイブリダイゼーションプローブをさらに含む項1から19のいずれかに記載の方法。
[項21] 前記一酵素系1ステップRT−PCR反応液が、更に1mM以上の2価陽イオンを含む、項1から20のいずれかに記載の方法。
[項22] 一酵素系1ステップRT−PCR反応において非特異増幅を抑制する方法であって、RT−PCR反応液において終濃度が0.2ng/μL以上6ng/μL以下となるように調整された多糖類と耐熱性DNAポリメラーゼとを共存させることを特徴とする、方法。
[項23] 項1〜22のいずれかに記載の方法に用いるための一酵素系1ステップRT−PCR反応用組成物であって、RT−PCR反応液中終濃度が0.2ng/μL以上6ng/μL以下となるように調整された多糖類、及び耐熱性DNAポリメラーゼ、を含むことを特徴とする、一酵素系1ステップRT−PCR反応用組成物。
[項24] 項23に記載の一酵素系1ステップRT−PCR反応用組成物を含むことを特徴とする、試料中の標的RNAの有無を検査するためのキット。
本発明によって、1ステップRT−PCRにおいて非特異増幅を抑制でき、標的核酸を高効率に増幅することができるので、非常に微量な核酸であっても高感度に検出することが可能となる。さらに、本発明は、核酸の単離精製処理も事前の加熱処理も行っておらず夾雑物質を多量に含む試料であっても高感度な検出が可能である。
事前に精製されたノロウイルス合成RNAに対する一酵素系1ステップRT−PCRによる低コピーRNAの検出において、耐熱性DNAポリメラーゼ量による影響を検討した結果を示す図である。 事前に精製されたノロウイルス合成RNAに対する一酵素系1ステップRT−PCRによる低コピーRNAの検出において、ヘパリンナトリウムを添加した場合の影響を検討した結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態を示しつつ、本発明についてさらに詳説する。
本発明の試料中の標的RNAの有無を検査するための方法は、少なくとも以下の工程を含むことを特徴とする:
(1)試料に対して、反応液中終濃度が0.2ng/μL以上6ng/μL以下になるように調整された多糖類と耐熱性DNAポリメラーゼとを含む一酵素系1ステップRT−PCR反応液を添加する工程、及び、
(2)反応容器を密閉後、1ステップRT−PCR反応によって試料中の標的RNAの有無を検査する工程。
本発明の上記検査方法によれば、非特異増幅を効果的に抑制することが可能になるので、非特異増幅を招きやすい条件での検査(例えば、夾雑物質を多量に含むような試料を用いる場合、DNAポリメラーゼの量が多い場合等)においても良好な検査結果を得ることができるという利点がある。
本発明の上記検査方法は、RT−PCR反応を、逆転写反応とPCR反応とを別々の工程で行う2ステップ法ではなく、逆転写反応とPCR反応とを連続又は並行して一工程で行う1ステップ法で行う。本発明の検査方法において、前記工程(1)および(2)は、同一容器で行うこともできるし、前記工程(1)と(2)とを別々の容器において行うこともできる。容器の移し替えに伴う反応混合液のロスやコンタミネーションのリスクを低減でき、更にはより簡便に実施することが可能になるという観点から、前記工程(1)および(2)は、同一容器で行われることが好ましい。すなわち、工程(1)および(2)の間においては、混合液の全部または一部を別容器へ移し替えないことが好ましい。更には、工程(2)においては、反応容器を密閉後、反応容器の蓋の開閉を行わないことが好ましい。このように密閉後に蓋の開閉を行わないようにすることで、コンタミネーションのリスクを更に効果的に低減でき、より正確な検査結果を得ることが可能となる。
本発明の検査方法は、前記工程(1)において使用する一酵素系1ステップRT−PCR反応液が0.2ng/μL以上6ng/μL以下の多糖類を含むことを大きな特徴とする。従来、多糖類はPCR等の核酸増幅方法においてPCR反応を阻害する物質として知られていたものである。従って、一酵素系1ステップRT−PCR法において、特定量の多糖類を用いる場合に非特異増幅が抑制され、標的核酸を高感度に増幅し得ることは全く予想外の結果であった。
多糖類としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、代表的な多糖類として、例えばアミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、キチン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ペクチン、キシログルカン、グルコマンナン、デキストリン、シクロデキストリン、デキストラン、及びこれらの塩が挙げられる。より一層効果的に非特異増幅を抑制できるという観点から、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性多糖類を用いることが好ましい。より好ましくは、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸及びこれらの塩からなる群より選択される酸性ムコ多糖類が望ましく、ヘパリン及び/又はその塩が特に好ましい。多糖類の塩の形態としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。具体的に、ヘパリンの塩を用いる場合は、例えば、ヘパリンナトリウム、ヘパリンリチウム、ヘパリンカルシウムなどのヘパリン塩をRT−PCR反応液に添加すればよい。
上記のような多糖類を、RT−PCR反応液中終濃度が0.2ng/μL以上6ng/μL以下となるようにRT−PCR反応液に添加することが本発明の特徴の一つである。多糖類は、好ましくは、反応液中終濃度が0.2ng/μL以上4ng/μL以上となるように、より好ましくは反応液中終濃度が0.4ng/μL以上3ng/μL以下となるように、更に好ましくは反応液中終濃度が0.4ng/μL以上2.5ng/μL以下となるように調整された濃度で一酵素系1ステップRT−PCR反応液に加えられることが好ましい。このような終濃度となるように一酵素系1ステップRT−PCR反応液が多糖類(例えば、ヘパリン及び/又はその塩)を含有することで、非特異増幅を抑制でき、標的核酸を高効率に増幅することができ、非常に微量な核酸であっても高感度に検出することが可能となる。
本発明に用いる一酵素系1ステップRT−PCR反応液は、耐熱性DNAポリメラーゼを含むことを特徴とする。耐熱性とは、70℃で1分以上の熱処理を実施しても、酵素活性が半分以上低下しないことをいう。耐熱性DNAポリメラーゼとしては、Family AのDNAポリメラーゼに属するTaq、Tth,Bst,KOD,Pfu,Pwo、Tbr,Tfi,Tfl,Tma,Tne、Vent,DEEPVENTやこれらの変異体が挙げられるが、特に限定されない。本発明では、一酵素系1ステップRT−PCR反応を行うために、逆転写酵素活性を併せ持つ耐熱性DNAポリメラーゼを用いることを特徴とする。ここで逆転写酵素活性を併せ持つDNAポリメラーゼとは、RNAをcDNAに変換する能力とDNAを増幅する能力を兼ね備えたDNAポリメラーゼをいう。これまでに逆転写酵素活性を併せ持つDNAポリメラーゼとして、Thermus aquaticus由来のDNAポリメラーゼ(Taq)、Thermus thermophilus HB8由来のDNAポリメラーゼ(Tth)やThermus sp Z05由来のDNAポリメラーゼ(Z05)、Thermotoga maritima由来のDNAポリメラーゼ(Tma)、Bacillus caldotenax由来のDNAポリメラーゼ(Bca)、Bacillus stearothermophilus由来のDNAポリメラーゼ(Bst)などが挙げられ、これらの逆転写活性と耐熱性DNAポリメラーゼ活性が失われていない変異体であってもよい。また、Thermococcus kodakaraensis由来のDNAポリメラーゼ(KOD)の変異体であって、逆転写活性を有するものが知られており(例えば、RTX:reverse transcription xenopolymerase)、本発明にはこのような逆転写酵素活性を併せ持つ耐熱性DNAポリメラーゼであれば、限定されるものではない。特に好ましくは、Taq、Tth、Z05及びこれらの変異体からなる群より選択される逆転写活性を有するDNAポリメラーゼが挙げられ、なかでも高い逆転写酵素活性を併せ持つDNAポリメラーゼであるTth DNAポリメラーゼが好ましい。
本明細書において、逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼの変異体とは、その由来である野生型DNAポリメラーゼのアミノ酸配列に対して、例えば85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、なかでも好ましくは99%以上の配列同一性を有し、且つ、野生型DNAポリメラーゼと同様にRNAをcDNAに変換する活性及びDNAを増幅する活性を有するものをいう。ここで、アミノ酸配列の同一性を算出する方法としては、当該分野で公知の任意の手段で行うことができる。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができ、一例として、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、アミノ酸配列の同一性を算出することが可能である。また、本発明に用いられ得る変異体は、その由来である野生型DNAポリメラーゼのアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加(以下、これらを纏めて「変異」ともいう)したアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、且つ、野生型DNAポリメラーゼと同様にRNAをcDNAに変換する活性及びDNAを増幅する活性を有するものであってもよい。ここで1又は数個とは、例えば、1〜80個、好ましくは1〜40個、よりこのましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個であり得るが、特に限定されない。
本発明に用いる耐熱性DNAポリメラーゼは、PCR反応サイクルの高温下でも十分に機能し得る程度の耐熱性を備えている限り特に限定されないが、例えば85℃で1分以上の熱処理を実施しても、酵素活性が半分以上低下しないレベルの耐熱性を有するものが好ましい。特定の実施態様では、本発明に用いる1ステップRT−PCR反応液は、非特異的反応抑制の効果を更に高めるため、抗DNAポリメラーゼ抗体を更に含むことが好ましい。更なる特定の実施態様では、酵素の活性部位に対し、熱感受性化学修飾を施した耐熱性DNAポリメラーゼを用いることもできる。このように抗DNAポリメラーゼ抗体を更に含ませたり、熱感受性の化学修飾を施した耐熱性DNAポリメラーゼを用いたりすることで、熱処理工程によってDNAポリメラーゼの活性が回復するまでの間、すなわち反応液調製等の時間にDNAポリメラーゼの酵素活性を抑制され、ホットスタートPCRへの適用ができるので、より特異性の高い検出が可能となり好ましい。
本発明に用いる一酵素系1ステップRT−PCR反応液中の耐熱性DNAポリメラーゼの総量は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されない。本発明者の検討により、耐熱性DNAポリメラーゼの添加量を増加させると、非特異増幅が増えてしまい、目的産物の増幅量が低減する傾向があることが明らかとなっている。本発明によれば、このように耐熱性DNAポリメラーゼを多量に含む場合に発生し得る非特異増幅も効果的に抑制することが可能である。従って、一酵素系1ステップRT−PCR反応液に含まれる前記耐熱性DNAポリメラーゼの総量は、一例として、4.2ng/μL以上とすることができ、5ng/μL以上であることが好ましく、5.8ng/μL以上であることがより好ましく、8.3ng/μL以上であることが更に好ましく、例えば、12.5ng/μL以上、16.7ng/μL以上であってもよい。一酵素系1ステップRT−PCR反応液に含まれる前記耐熱性DNAポリメラーゼの総量の上限は特に限定されないが、一例として、20ng/μL以下とすることができ、18ng/μL以下とすることが好ましく、16.7ng/μL以下であっても十分に本発明の効果を得ることができる。ポリメラーゼの量は、Bradford法もしくはNanodrop(サーモフィッシャー社)により定量した値であり、ポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)から概算してもよいし、安全データシート(SDS)から概算してもよい。BSAなどのタンパク質を含む場合は、後者の2つの方法のいずれかで算出することが望ましい。
本発明において用いられる生体試料として、例えば糞便(排泄便、直腸便)、嘔吐物、唾液、血液などが挙げられるが、特に限定されるものではなく、生体に由来するもの全般を用いることが可能である。なかでも、夾雑物質を非常に多く含むためにRT−PCR反応において非特異増幅を招きやすい傾向が高い糞便(排泄便、直腸便)等の生体試料からのRNAの検出にも、本発明は有用である。
本発明の検査方法によれば、前処理として核酸の分離精製処理及び/又は加熱処理を行っていない試料(本明細書では、これを「未処理試料」又は「前処理を行っていない試料」等ということがある)であっても、試料中の標的RNAの有無を検査することが可能である。このような未処理試料は通常、PCR反応を阻害し、非特異増幅を招きやすい夾雑物質を多量に含む。本発明によれば、このような未処理試料を用いる場合の非特異増幅も高度に抑制できるので、効果的に標的核酸を増幅させることが可能となる。例えば、多量の試料を一気に纏めて処理することが望まれるような検査(例えば、ノロウイルス等の食品衛生管理検査等)では、前処理の手間を省くことができるので有益である。つまり、本発明においては、生体試料をそのまま用いてもよいし、生体試料から核酸を抽出後に試料の分離を伴う精製を行っていない試料を用いてもよいし、又は生体試料から核酸を抽出後に精製処理を行った試料を用いてもよく、前処理の有無を問わずに任意の生体試料からRNAを検出すること可能にする。
特定の具体的態様では、本発明は、これら生体試料から市販のRNA精製キットでRNAを単離したり、あるいはRNAをウイルス構造から露出させるための事前の熱処理をしたりしていない、未処理試料を用いることができる。手間のかかる前処理が不要となるため簡便であるという観点から、これらの未処理試料を用いることが好ましい。未処理試料は、例えば、目的遺伝子を含む核酸をカプシドやエンベローブ等から露出させるために、事前に加熱処理を行ったものでもよいし、そのような事前の加熱処理を行っていないものであってもよい。また、夾雑物資を除去するような分離精製を伴わない核酸抽出を行った試料であってもよい。ここで、分離精製を伴わない核酸抽出を行った試料とは、試料中で核酸を露出させた状態にすることを意味し、例えば、試料中でカプシドやエンベロープ等を破壊し、これらに内包されていた核酸を抽出して露出させること(但し、破壊後に残存するカプシドやエンベロープの断片等は除去しないこと)をいう。本発明では、このような単離精製の手間を省いて用意した試料であっても良好なPCR効率を維持し、安定して検査結果を得ることが可能となる。このような分離精製を伴わない核酸抽出処理は、前記工程(1)に先立って行うことができる。
更なる実施態様では、前記工程(2)において、PCRサイクル反応の前及び/又はPCRサイクル反応中に熱処理を実施することにより、試料中で核酸を露出させたり、及び/又はPCR反応においてホットスタートPCRを行ったりすることができる。工程(2)において熱処理を行うことにより、具体的には、検出を意図する病原性微生物(例えばウイルス)を破砕し、その病原性微生物(例えば、ウイルス)の核酸を試料中に露出させることができる。また、このように工程(2)で熱処理を行うことにより、RT−PCR反応液がホットスタートPCR法で機能し得る酵素等を含む場合には、そのようなホットスタート酵素を活性化させることが可能となる。このような熱処理は、所期の目的を達成できるような熱処理である限り、加熱温度も加熱時間も特に限定されないが、60℃以上であり、かつ1秒以上であればよく、好ましくは70℃、30秒以上、より好ましくは80℃、30秒以上、特に好ましくは85℃、30秒以上である。
本発明の検査方法では、前記生体試料は直接検出に供してもよいが、夾雑物の反応への影響を低減し、より安定した検査結果を得やすいという観点から、水、生理食塩水または緩衝液に前記試料を懸濁した試料であることが好ましい。さらに、糞便など特に夾雑物の多い試料では、遠心分離し、その上清を使用してもよい。あるいは、フィルターろ過を実施してもよい。上記懸濁に際して用いられる緩衝液としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、ハンクス緩衝液、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、HEPES緩衝液、トリシン緩衝液などが挙げられる。緩衝液のpHもまた、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、より一層確実に本発明の効果が得られ易いという観点から、好ましくは中性からアルカリ性であり、より好ましくはpH=7〜11、さらに好ましくはpH=9〜11である。
本発明における別の態様の試料としては、拭き取り検査試料が挙げられる。汚染経路の解明や施設環境等の汚染状況の把握には、ふき取り検査が有用である。本発明において、拭き取り検査とは、特に限定されるものでないが、例えば綿棒等で該当区画や設備等を拭き取り、水や緩衝液に溶出し、ポリエチレングリコール(PEG)沈澱などで濃縮した試料である。具体的な拭き取り検査の要領としては、「ふきとり検体のノロウイルス検査法の改良」(http://idsc.nih.go.jp/iasr/32/382/dj3824.html)などが例示されるが、特に限定されるものではなく、これに準ずる方法が広く含まれる。拭き取り箇所の例としては、まな板や包丁、ふきん、食器などの調理器具類、冷蔵庫の取手やトイレ、浴室のドアノブ、洗面所、厨房、トイレ、浴室などの蛇口、調理者の手や指、浴室、トイレ、洗面、手すり、居室などの施設などが挙げられる。また、拭き取り検査ではないが、環境検査として、下水試料の濃縮試料にも適用できる。
生体試料は、RT−PCR反応液に添加される前に核酸増幅反応を阻害しうる物質、例えばタンパク質を不活化する工程を含んでもよい。このようにタンパク質を不活化する場合、本発明では、不活化後のタンパク質を試料から分離精製せずにRT−PCR反応に供してもよい。不活化する工程としては、例えばアルカリ処理、有機溶媒による処理または、これらの処理を複数組み合わせた処理などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一方、これらの処理は、核酸が増幅の鋳型としての機能を保持されるような条件において行われなければならない。具体的には、アルカリ処理に際したpHは9〜11、より好ましくは10〜11の範囲が好ましい。
上記の処理を終えた試料は、試料の分離を伴うような精製を経ることなくRT−PCR反応液に添加されてもよい。前記処理により沈殿物などが生じた場合は遠心分離を行ってもよい。この場合、遠心分離に適用できる容器を用いて前記処理を行えば、試料の分離をともなう必要がないというメリットがある。
本発明の検査方法で検出対象とする標的RNA(これを、ターゲットRNA等ということがある)は特に限定されない。一般に、感染性微生物(感染症の原因となる菌又はウイルス等)に由来するRNA等を糞便等の生体試料から検出する検査は、食中毒の原因の特定、感染経路の特定、またその予防のために幅広く行われている。例えば、ノロウイルスの検査は糞便を試料とし、RT−PCR法により遺伝子を検出する方法で行われることが多い。糞便は腸内細菌、腸管上皮細胞、食物由来物質などから構成されており、夾雑物質が多量に含まれることが知られている。本発明はこのような夾雑物質を多量に含み、RT−PCR反応の阻害が懸念される試料であっても、非特異増幅反応が抑制され、良好な検査結果を得ることが可能となる。
より具体的に、糞便中のRNAを検査する検査対象例として、病原性ウイルス由来のRNAが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらのウイルスの例として、脂質二重膜に由来するエンベロープを持たない、非エンベロープ性のRNAウイルスが挙げられる。このような非エンベロープRNAウイルスとしては、アストロウイルス科ウイルス(例えば、アストロウイルス);カリシウイルス科ウイルス(例えば、サポウイルス、ノロウイルス);ピコルナウイルス科ウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス);へぺウイルス科ウイルス(例えば、E型肝炎ウイルス);レオウイルス科ウイルス(例えば、ロタウイルス)などが挙げられる。限定されるものではないが、本発明の検出方法は、好ましくはカリシウイルス科ウイルス及びレオウイルス科ウイルスの検出に有用であり、より好ましくはノロウイルス、サポウイルス、ロタウイルスの検出に有用であり、特にノロウイルスの検出に有用である。なかでも、本発明の検査方法は、GII型ノロウイルスの検査において高い効果を発揮し得るので好ましい。また、ノロウイルスである場合においては、GI型かGII型かを判別するための手段としても適用することができる。
本発明に用いられ得るRT−PCRの反応液の組成の一例としては、反応液中終濃度が2ng/μl以上6ng/μl以下となる多糖類、耐熱性DNAポリメラーゼに加えて、一方のプライマーが他方のプライマーのDNA伸長生成物に互いに相補的である2種一対のプライマー、dNTP、2価の陽イオン、1価イオン、及び緩衝液等を含み得る。さらに具体的には、本発明に用いられ得るRT−PCR反応液の組成の例としては、反応液中終濃度が2ng/μl以上6ng/μl以下となる多糖類、耐熱性DNAポリメラーゼに加えて、一方のプライマーが他方のプライマーDNA伸長生成物に相補的である2種一対のプライマー、dNTP、マグネシウムイオン又はマンガンイオン、BSA、非イオン界面活性剤及び緩衝液等を含み得る。
本発明の検査方法において、2種一対のプライマーは、標的RNAに応じて適宜選択・設計して用いることができ、特に限定されない。さらに、ターゲットとする標的RNAが亜型であることが想定される場合、縮重プライマーであってもよい。本発明に用いられ得る2種一対のプライマーとしては、例えば、エンベロープを持たないRNAウイルスの1種であるノロウイルスRNAを検出できるように設計された2種一対のプライマー、サポウイルスRNAを検出できるように設計された2種一対のプライマー、ロタウイルスRNAを検出できるように設計された2種一対のプライマー等であり得る。ノロウイルスRNA検出用のプライマーとしては、例えば、厚生労働省医薬食品局安全部監視安全課の通知(食安監1105001号)に記載のプライマー(1〜5;配列番号1、2がノロウイルスG1型、配列番号3〜5がノロウイルスG2型を検出するプライマー)が挙げられるが、これに限るものではない。
また、別の態様として、本発明は、上記プライマーが2対以上含まれる、いわゆるマルチプレックスRT−PCR反応液を用いてもよい。マルチプレックスRT−PCR反応液である場合に含まれ得る2対以上のプライマーは、任意のプライマー対のセットであり得るが、例えば、ノロウイルスRNAを検出するためのプライマー対とロタウイルスRNAを検出するためのプライマー対のセット、ノロウイルスRNAを検出するためのプライマー対とサポウイルスRNAを検出するためのプライマー対のセット、また、GI型ノロウイルスRNAを検出するためのプライマー対とGII型ノロウイルスRNAを検出するためのプライマー対のセット等を好ましい例として挙げることができる。更に、マルチプレックスRT−PCR反応を行う場合には、必ずしも全ての検出対象がRNAである必要はなく、例えば、ターゲットとして標的RNA及び標的DNAを検出することを目的とするマルチプレックスRT−PCR反応であってもよい。この場合、マルチプレックスRT−PCR反応液は、標的RNAを検出するためのプライマー対(例えば、ノロウイルスRNAを検出するためのプライマー対)と標的DNAを検出するためのプライマー対(例えば、DNAウイルスや腸内細菌由来のDNAを検出するためのプライマー対)のセットを目的に応じて含有すればよい。
増幅反応の一例としては、上記のような反応組成に、抽出若しくは精製したRNA試料、試料の分離をともなう精製を行っていないRNA試料、又はそのままの生体試料を添加し、PCRサイクル反応として、(1)DNA変性、(2)プライマーのアニーリング、(3)プライマーの伸長の熱サイクルを行う方法、あるいは(1)DNA変性、(2)プライマーのアニーリングおよびプライマーの伸長を同時に行う熱サイクル(シャトルPCR)を行う方法が挙げられるが、これに限定されない。
特定の実施態様では、本発明に用いられる1ステップRT−PCR反応液は、上記のような耐熱性DNAポリメラーゼの他、緩衝剤、適当な塩、2価の陽イオンを発生させる成分(例えば、マグネシウム塩又はマンガン塩)、反応液中終濃度が0.2ng/μL以上6ng/μL以下になるように調整された多糖類(例えば、ヘパリン又はその塩)、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、検出対象のウイルスRNAの検出対象領域に対応するプライマー対、逆転写反応中の反応阻害を抑える等の目的でRNA分解酵素阻害剤、さらに必要に応じて添加剤等を含んでいてもよい。
本発明で使用され得る緩衝剤としては、特に限定されないが、トリス(Tris),トリシン(Tricine),ビスートリシン(Bis−Tricine),ビシン(Bicine)などが挙げられ、例えば、硫酸、塩酸、酢酸、リン酸などでpHを6〜9、より好ましくはpH7〜8に調整された緩衝液であり得る。また、添加する緩衝剤の濃度としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば10〜200mM程度、より好ましくは20〜150mM程度で使用され得る。
本発明に用いられる1ステップRT−PCR反応液は、RT−PCR反応に適当なイオン条件とするために、塩(例えば、塩溶液)が加えられることが好ましい。適当な塩としては、塩化カリウム、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの適当な塩は、水等の溶媒に溶かした塩溶液の形態で、本発明に用いる1ステップRT−PCR反応液に添加されていてもよい。
本発明で使用され得るdNTPとしては、特に限定されないが、dATP,dCTP,dGTP,dTTPをそれぞれ等量含むdNTP等であり得、例えば、dATP,dCTP,dGTP,dTTPを0.1〜0.5mMの範囲内でそれぞれ等量含むdNTP、好ましくはdATP,dCTP,dGTP,dTTPをそれぞれ0.2mM程度含むdNTPであり得る。dTTPの代わり及び/又は一部としてdUTPを使用することによって、クロスコンタミネーションに対する予防処置をとることも可能である。
さらに本発明に用いられる1ステップRT−PCR反応液に含まれる添加剤としては、アミノ酸におけるアミノ基に3個のメチル基を付加した構造を有する第4級アンモニウム塩(以下、「ベタイン様4級アンモニウム」という)、0.5mg/ml以上のウシ血清アルブミン、グリセロール、グリコールおよびゼラチンよりなる群から選択された少なくとも1つを含むことが好ましい。
前記ベタイン様4級アンモニウム塩としては、ベタイン(トリメチルグリシン)、L−カルニチンなどが挙げられるが、アミノ酸におけるアミノ基に3個のメチル基を付加した構造を有する第4級アンモニウム塩であれば、特に限定されるものではない。ベタイン様4級アンモニウム塩が有する構造は分子内に安定な正、負の両電荷を持つ化合物で、界面活性剤のような性質を示し、ウイルス構造の不安定化を引き起こすものと考えられる。さらに、DNAポリメラーゼの核酸増幅を促進することが可能となり得る。好ましい前記ベタイン様4級アンモニウム塩濃度は、RT−PCR反応液中終濃度が好ましくは0.1M〜2M、より好ましくは0.2M〜1.2Mとなるような濃度である。
前記1ステップRT−PCR反応液に含まれ得るウシ血清アルブミンは、反応液中終濃度が0.5mg/ml以上となるように調整され得る。糞便等の夾雑物の多い試料では、ウシ血清アルブミンの反応液中終濃度が好ましくは1mg/ml以上となるように調整して用いることで、より良好な検出が可能となる。
前記1ステップRT−PCR反応液に含まれ得るゼラチンは、ウシや豚などの動物の皮膚や骨、腱、あるいは魚の鱗や皮に由来し、PCR酵素の安定化に寄与すると考えられている。使用濃度としては、PCR増幅を安定化する一方で、蛍光検出を妨げない程度が好ましい。好ましくは反応液中終濃度が0.1〜5%となるように、さらに好ましくは反応液中終濃度が0.5〜2%となるように調整されて用いることができる。特にゼラチンの由来については限定されるものではないが、ウシや豚由来よりも魚由来のものの方が、ゼリー強度が低く、反応液のハンドリングがよい点で好ましい。
さらには、本発明に用いる1ステップRT−PCR反応液は、当該技術分野でRT−PCRを促進することが知られる物質と組み合わせて使用することもできる。本発明において有用なRT−PCR促進物質としては、例えば、グリセロール、ポリオール、プロテアーゼインヒビター、シングルストランド結合タンパク質(SSB)、T4遺伝子32タンパク質、tRNA、硫黄または酢酸含有化合物類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ホルムアミド、アセトアミド、ベタイン、エクトイン、トレハロース、ポリビニルピロリドン(PVP),塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、酢酸テトラメチルアンモニウム(TMAA)、ポリエチレングリコール、トリトンX−100(TritonX−100)、トリトンX−114(TritonX−114)、ツイーン20(Tween20),ノニデットP40、Briji58などが挙げられるが、これらに限定されない。さらに反応阻害を低減するように、エチレングリコール-ビス(2−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)のようなキレート剤を含んでいてもよい。
特定の実施形態において、本発明の検出方法は、さらに、少なくとも1種類の標識されたハイブリダイゼーションプローブまたは2本鎖DNA結合蛍光化合物を用いてもよい。このようなプローブを用いることによって、核酸増幅産物の分析を通常の電気泳動ではなく、蛍光シグナルのモニタリングで監視することができ、解析労力が低減される。さらには、反応容器を開放する必要がなく、より一層のコンタミネーションのリスク低減が可能である。例えば、検出対象とする標的ウイルスRNAのサブタイプに対応する、それぞれのハイブリダイゼーションプローブを異なる蛍光色素で標識することによって、ウイルスのサブタイプを識別することも可能である。
2本鎖DNA結合蛍光化合物としては、例えば、SYBR(登録商標) Green I,SYBR(登録商標) Gold、SYTO−9、SYTP−13、SYTO−82(Life Technologies),EvaGreen(登録商標;Biotium)、LCGreen(Idaho),LightCycler(登録商標) 480 ResoLight(Roche Applied Science)などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明において用いられるハイブリダイゼーションプローブとしては、例えば、TaqMan加水分解プローブ(米国特許第5,210,015号公報、米国特許第5,538,848号公報、米国特許第5,487,972号公報、米国特許第5,804,375号公報)、モレキュラービーコン(米国特許第5,118,801号公報)、FRETハイブリダイゼーションプローブ(国際公開第97/46707号パンフレット,国際公開第97/46712号パンフレット,国際公開第97/46714号パンフレット)などが挙げられる。ノロウイルス検出用のプローブの塩基配列としては、厚生労働省医薬食品局安全部監視安全課の通知(食安監1105001号)に記載の配列(配列番号6〜9;配列番号6、7がノロウイルスG1型、配列番号8、9がノロウイルスG2型を検出するプローブ)が挙げられるが、これに限るものではない。さらに、ターゲットとする標的RNAが亜型であることが予想される場合、縮重配列を含んでもよい。
上述のように本発明者は、核酸の分離精製処理も加熱処理も行っていない試料を供して行う一酵素系1ステップRT−PCR反応において、反応液中終濃度が0.2ng/μL以上6ng/μL以下になるように調整された多糖類と、耐熱性DNAポリメラーゼとを共存させることで、非特異増幅を招きやすい条件で核酸増幅を行う場合(例えば、夾雑物質を含み得る未処理試料を用いる場合、DNAポリメラーゼの添加量が多い場合等)であっても試料中の核酸を効率よく増幅可能であり、RT−PCR反応の特異性が向上することを見出している。
従って、本発明は更に別の観点から、一酵素系1ステップRT−PCR反応において非特異増幅を抑制する方法であって、RT−PCR反応液において終濃度が0.2ng/μL以上6ng/μL以下になるように調整された多糖類と耐熱性DNAポリメラーゼとを共存させることを特徴とする方法をも提供する。
上記の安定性を高める方法において用いられる、多糖類、耐熱性DNAポリメラーゼ、試料等の種類や濃度等は、上述した試料中の標的RNAの有無を検査する方法と同様である。
更に本発明は別の観点から、上記のような試料中の標的RNAの有無を検査する方法に用いるための一酵素系1ステップRT−PCR反応用組成物であって、RT−PCR反応液中終濃度が0.2ng/μL以上6ng/μL以下になるように調整された多糖類、及び耐熱性DNAポリメラーゼ、を含むことを特徴とする一酵素系1ステップRT−PCR反応用組成物をも提供する。
上記の組成物において用いられる、多糖類及び耐熱性DNAポリメラーゼ、試料等の種類や濃度等もまた、上述した試料中の標的RNAの有無を検査する方法と同様である。
本発明の更なる別の一態様は、上記のような試料中の標的RNAの有無を検査する方法に用いるためのキットであり得る。具体的には、本キットは、上記のような一酵素系1ステップRT−PCR反応用組成物を含むことを特徴とする。当該キットには、本発明の検査方法の手順を記載した添付文書等が含まれていてもよい。
上記の試料中の標的RNAの有無を検査するためのキットにおいて用いられる、多糖類及び耐熱性DNAポリメラーゼ、試料等の種類や濃度等もまた、上述した試料中の標的RNAの有無を検査する方法と同様である。
以下、実施例をもって、本発明を具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
試験例1.ヘパリン非存在下における一酵素系1ステップRT−PCRにおける耐熱性DNAポリメラーゼ量の検討
(1)試料
事前に精製されたノロウイルスG1、G2合成RNA 50コピー(N=3)を各RT−PCR反応液にスパイクした。この試料は、事前に単離して精製されたRNAを反応液に添加していることから、糞便や血液などの生体由来成分の夾雑物質を含んでいない試料といえる。
(2−1)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、一酵素系1ステップRT−PCRにおける糞便存在下での酵素量の検討を実施した。
2x 反応液 (RNA−directTM Realtime PCR Master Mix(東洋紡)添付品)
50mM Mn(OAc)(RNA−directTM Realtime PCR Master Mix(東洋紡)添付品)
10x プライマー液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
10x プローブ液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
0.01μg/μl 抗Tth抗体
(2−2)酵素量
条件1 4.2ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
条件2 8.3ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
条件3 12.5ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
条件4 16.7ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
(3)反応
各条件において、Mnの終濃度が2.5mMとなるようにRT−PCR反応液を調製し、20μlずつに分注した。これをBioRad製CFX96WELL DEEPを使用して、以下の温度サイクルでリアルタイムPCR反応を実施した。54℃、35サイクルの伸長ステップで蛍光値の読み取りを行った。この反応の間、反応液を添加した容器の蓋は開閉せず、最初から最後まで同一の容器内で反応を行った。
90℃ 1分
60℃ 3分(逆転写反応)
95℃ 10秒
95℃ 1秒−54℃ 10秒 10サイクル(PCR)
95℃ 1秒−54℃ 10秒 35サイクル(PCR)
(4)結果
プローブ液(ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出―(東洋紡)添付品)ではFAMチャネルで内部コントロール遺伝子、Cy5チャネルでノロウイルスG1、ROXチャネルでノロウイルスG2を検出する。ここでは、G1、G2 RNAの増幅曲線を図1に示す。条件1から条件4について、耐熱性DNAポリメラーゼの量を増加させるに従って、G1、G2共に増幅曲線の到達蛍光強度が減少した。この傾向は、ノロウイルスGII型の検出において顕著であった。この結果は、反応液中のポリメラーゼ量が増加するに従って、非特異増幅が増加していることを示唆している。
試験例2.ヘパリン存在下における一酵素系1ステップRT−PCRにおける耐熱性DNAポリメラーゼ量の検討
(1)試料
事前に精製されたノロウイルスG1、G2合成RNA 50コピー(N=3)を各RT−PCR反応液にスパイクした。この試料は、事前に単離して精製されたRNAを反応液に添加していることから、糞便や血液などの生体由来成分の夾雑物質を含んでいない試料といえる。
(2−1)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、一酵素系1ステップRT−PCRにおける糞便存在下での酵素量の検討を実施した。
2x 反応液 (RNA−directTM Realtime PCR Master Mix(東洋紡)添付品)
50mM Mn(OAc)(RNA−directTM Realtime PCR Master Mix(東洋紡)添付品)
10x プライマー液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
10x プローブ液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
0.01μg/μl 抗Tth抗体
(2−2)酵素量
条件1 4.2ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
条件2 8.3ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
条件3 12.5ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
条件4 16.7ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
(3)反応
各条件において、Mnの終濃度が2.5mMかつヘパリンナトリウムの終濃度が1.5ng/μlとなるようにRT−PCR反応液を調製し、20μlずつに分注した。これをBioRad製CFX96WELL DEEPを使用して、以下の温度サイクルでリアルタイムPCR反応を実施した。54℃、35サイクルの伸長ステップで蛍光値の読み取りを行った。この反応の間、反応液を添加した容器の蓋は開閉せず、最初から最後まで同一の容器内で反応を行った。
90℃ 1分
60℃ 3分(逆転写反応)
95℃ 10秒
95℃ 1秒−54℃ 10秒 10サイクル(PCR)
95℃ 1秒−54℃ 10秒 35サイクル(PCR)
(4)結果
G1、G2 RNAの増幅曲線を図2に示す。条件1から条件4について、ヘパリンナトリウムが存在する場合には、耐熱性DNAポリメラーゼの量を増加させるに従って、G1、G2共に増幅曲線の到達蛍光強度は減少することなく、一定に保たれるかむしろ増加した。特に、耐熱性DNAポリメラーゼの量の増加に伴う蛍光強度の増加は、ノロウイルスGII型の検出において顕著であった。この結果は、反応液中にヘパリンが存在することで、反応液中の耐熱性DNAポリメラーゼの量が増加しても、非特異増幅の発生は抑制され、標的核酸に対する増幅反応の特異性が顕著に向上していることを示している。
試験例3.一酵素系1ステップRT−PCRにおける反応液中のヘパリン濃度の検討1
(1)試料
事前に精製されたノロウイルスG1、G2合成RNA 250コピー(N=2)を各RT−PCR反応液にスパイクした。この試料は、事前に単離して精製されたRNAを反応液に添加していることから、糞便や血液などの生体由来成分の夾雑物質を含んでいない試料といえる。
(2−1)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、一酵素系1ステップRT−PCRにおける反応液中のヘパリン濃度による影響について検討を実施した。本試験例では、上記試験例2で良好な結果を示した高濃度の耐熱性DNAポリメラーゼを含むRT−PCR反応液で評価を行った。
2x 反応液 (RNA−directTM Realtime PCR Master Mix(東洋紡)添付品)
50mM Mn(OAc)(RNA−directTM Realtime PCR Master Mix(東洋紡)添付品)
10x プライマー液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
10x プローブ液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
16.7ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.01μg/μl 抗Tth抗体
(2−2)ヘパリン濃度
条件1 0ng/μl ヘパリンナトリウム
条件2 0.2ng/μl ヘパリンナトリウム
条件3 0.4ng/μl ヘパリンナトリウム
条件4 0.8ng/μl ヘパリンナトリウム
条件5 1.2ng/μl ヘパリンナトリウム
条件6 1.6ng/μl ヘパリンナトリウム
条件7 2.0ng/μl ヘパリンナトリウム
条件8 2.4ng/μl ヘパリンナトリウム
(3)反応
各条件において、Mnの終濃度が2.5mMとなるようにRT−PCR反応液を調製し、20μlずつに分注した。これをBioRad製CFX96WELL DEEPを使用して、以下の温度サイクルでリアルタイムPCR反応を実施した。54℃、35サイクルの伸長ステップで蛍光値の読み取りを行った。この反応の間、反応液を添加した容器の蓋は開閉せず、最初から最後まで同一の容器内で反応を行った。
90℃ 1分
60℃ 5分(逆転写反応)
95℃ 10秒
95℃ 1秒−54℃ 10秒 10サイクル(PCR)
95℃ 1秒−54℃ 10秒 35サイクル(PCR)
(4)結果
G1、G2 RNAのCq値を表1に示す。ヘパリンナトリウムを全く添加していない条件1に比べて、ヘパリンナトリウムを0.2ng/μl添加した条件2におけるCq値は、G1の平均で1程度、G2の平均で4程度向上した。従って、ヘパリンナトリウムを0.2ng/μl添加した条件2では、同じ量の核酸を検出する場合、それぞれ2=2、2=16倍検出が容易になったといえる。また、ヘパリンナトリウムの添加量を増加するにつれて、Cq値が向上している。ヘパリンナトリウムを添加していない場合に比べて、G1では条件6で平均で2.5程度、G2では条件8で平均で7程度向上しており、同じ量の核酸を検出する場合、それぞれ22.5=5.7、2=128倍検出が容易になったと推測される。この結果は、反応液中にヘパリンが存在することで、標的核酸に対する増幅反応の特異性が顕著に向上し、標的核酸の検出が大幅に容易になったことを示している。従来、ヘパリン等の多糖類は、PCR反応を阻害する物質として知られていたことを考慮すると、本試験結果は全く予想外であった。そして、本試験例の結果から、核酸増幅反応の特異性向上に有効なヘパリンの濃度は、0.2ng/μl以上であることが明らかとなった。
試験例4.一酵素系1ステップRT−PCRにおける反応液中のヘパリン濃度の検討2
(1)試料
事前に精製されたノロウイルスG1合成RNA 250コピー(N=2)を各RT−PCR反応液にスパイクした。この試料は、事前に単離して精製されたRNAを反応液に添加していることから、糞便や血液などの生体由来成分の夾雑物質を含んでいない試料といえる。
(2−1)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、一酵素系1ステップRT−PCRにおける反応液中のヘパリン濃度の検討を実施した。本試験例においても、上記試験例2で良好な結果を示した高濃度の耐熱性DNAポリメラーゼを含むRT−PCR反応液で評価を行った。
2x 反応液 (RNA−directTM Realtime PCR Master Mix(東洋紡)添付品)
50mM Mn(OAc)(RNA−directTM Realtime PCR Master Mix(東洋紡)添付品)
10x プライマー液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
10x プローブ液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
16.7ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.01μg/μl 抗Tth抗体
(2−2)ヘパリン濃度
条件1 0ng/μl ヘパリンナトリウム
条件2 0.75ng/μl ヘパリンナトリウム
条件3 1.5ng/μl ヘパリンナトリウム
条件4 2.0ng/μl ヘパリンナトリウム
条件5 2.5ng/μl ヘパリンナトリウム
条件6 3.0ng/μl ヘパリンナトリウム
条件7 3.5ng/μl ヘパリンナトリウム
条件8 4.0ng/μl ヘパリンナトリウム
条件9 6.0ng/μl ヘパリンナトリウム
条件10 12.0ng/μl ヘパリンナトリウム
(3)反応
各条件において、Mnの終濃度が2.5mMとなるようにRT−PCR反応液を調製し、20μlずつに分注した。これをBioRad製CFX96WELL DEEPを使用して、以下の温度サイクルでリアルタイムPCR反応を実施した。54℃、35サイクルの伸長ステップで蛍光値の読み取りを行った。この反応の間、反応液を添加した容器の蓋は開閉せず、最初から最後まで同一の容器内で反応を行った。
90℃ 1分
60℃ 3分(逆転写反応)
95℃ 10秒
95℃ 1秒−54℃ 10秒 10サイクル(PCR)
95℃ 1秒−54℃ 10秒 35サイクル(PCR)
(4)結果
G1 RNAのCq値を表2に示す。今回の条件では、試験例3と逆転写温度の条件を変更している。逆転写反応時間を短くした場合においても、ヘパリンナトリウムを全く添加していない条件1に比べて、ヘパリンナトリウムを添加した条件2から条件9でCq値が向上した。さらにヘパリンナトリウムの濃度を上昇させて条件10とした場合には、大幅な阻害は確認されなかったものの、Cq値の向上は認められなかった。試験例3の結果も含めて総合考慮すると、核酸増幅反応の特異性向上に有効なヘパリンの濃度は、0.2ng/μl以上であれば、RT−PCR反応を阻害することなく使用することができ、0.2ng/μlから6ng/μlの範囲で、非特異増幅を抑制する効果が顕著に表れるといえる。
試験例5.一酵素系1ステップRT−PCRにおける耐熱性DNAポリメラーゼの種類の検討
(1)試料
事前に精製されたノロウイルスG1、G2合成RNA1250コピーを各RT−PCR反応液にスパイクした。この試料は、事前に単離して精製されたRNAを反応液に添加していることから、糞便や血液などの生体由来成分の夾雑物質を含んでいない試料といえる。
(2)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、一酵素系1ステップRT−PCRにおける耐熱性DNAポリメラーゼを検討した。ここで使用した2種類の耐熱性DNAポリメラーゼはいずれも、逆転写活性を有することが知られている。
(2−1)Thermus species Z05由来の耐熱性DNAポリメラーゼ
2x 反応液 (RNA−directTM Realtime PCR Master Mix(東洋紡)添付品)
50mM Mn(OAc)(RNA−directTM Realtime PCR Master Mix(東洋紡)添付品)
10x プライマー液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
10x プローブ液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
10ng/μl HawkZ05 Fast DNA Polymerase(Roche(ポリメラーゼ濃度はNanodrop測定値))
0.01μg/μl 抗Tth抗体
0.2ng/μl ヘパリンナトリウム
(2−2)Thermus acqaticus由来の耐熱性DNAポリメラーゼ
Volcano2G RT−PCR 2x Master Mix(myPOLS Biotech)
10x プライマー液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
10x プローブ液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
20ng/μl Volcano 2G DNA Polymerase(myPOLS Biotech)(ポリメラーゼ濃度はNanodrop測定値))
0.2ng/μl ヘパリンナトリウム
(3)反応
(2−1)において、Mnの終濃度が2.5mMとなるようにRT−PCR反応液を調製し、20μlずつに分注した。(2−2)において、Volcano 2G DNA Polymerase添付の取り扱い説明書に従い、RT−PCR反応液を調製した。これをBioRad製CFX96WELL DEEPを使用して、以下の温度サイクルでリアルタイムPCR反応を実施した。54℃、35サイクルの伸長ステップで蛍光値の読み取りを行った。この反応の間、反応液を添加した容器の蓋は開閉せず、最初から最後まで同一の容器内で反応を行った。
90℃ 1分
60℃ 3分(逆転写反応)
95℃ 10秒
95℃ 1秒−54℃ 10秒 10サイクル(PCR)
95℃ 1秒−54℃ 10秒 35サイクル(PCR)
(4)結果
条件1及び2のいずれの条件においても、ヘパリンナトリウムを添加してもRT−PCRを阻害することなく、G1、G2共にノロウイルス合成RNA 1250コピーを検出することが可能であった。
試験例6.一酵素系1ステップRT−PCRにおける拭き取り検体の検出
(1)試料
(1−1)拭き取り試料
不活化ノロウイルス NATtrol Norovirus GI/GII Positive Control(ZeptoMetrix、intact) 1000コピー(N=2)をプラスチック板の10cm×10cm(100cm)領域に塗布した。BDラスパーチェックTMふき取り検査用スワブ(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)と濃縮液(ノロウイルス検出キットG1/G2 −ふき取り− <3色プローブ検出>(東洋紡)添付品)を用いて、上記の10cm×10cm(100cm)領域から拭き取り検体の回収と濃縮を実施した。拭き取り検体の回収と濃縮は、取扱説明書(ノロウイルス検出キットG1/G2 −ふき取り− <3色プローブ検出>(東洋紡)添付品)に従った。濃縮後の白色沈殿を、前処理液1μL(ノロウイルス検出キットG1/G2 −ふき取り− <3色プローブ検出>(東洋紡)添付品)で懸濁して、RT−PCR反応液にスパイクした。
(1−2)スパイク試料(コントロール)
不活化ノロウイルス NATtrol Norovirus GI/GII Positive Control(ZeptoMetrix、intact) 100コピー(N=2)をRT−PCR反応液にスパイクした。
(2)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、一酵素系1ステップRT−PCRにおける不活化ノロウイルスの検出を実施した。本試験例では、上記試験例2、3および4で良好な結果を示した高濃度の耐熱性DNAポリメラーゼを含むRT−PCR反応液で評価を行った。
2x 反応液 (RNA−directTM Realtime PCR Master Mix(東洋紡)添付品)
50mM Mn(OAc)(RNA−directTM Realtime PCR Master Mix(東洋紡)添付品)
10x プライマー液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
10x プローブ液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
17.6ng/μL rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.01μg/μL 抗Tth抗体
0.5ng/μl ヘパリンナトリウム
(3)反応
各条件において、Mnの終濃度が2.5mMとなるようにRT−PCR反応液を調製し、20μLずつに分注した。これをBioRad製CFX96WELL DEEPを使用して、以下の温度サイクルでリアルタイムPCR反応を実施した。54℃、35サイクルの伸長ステップで蛍光値の読み取りを行った。
90℃ 1分
60℃ 3分(逆転写反応)
95℃ 10秒
95℃ 1秒−54℃ 10秒 10サイクル(PCR)
95℃ 1秒−54℃ 10秒 35サイクル(PCR)
(4)結果
G1、G2 不活化ウイルスのCq値を表3に示す。拭き取り試料の不活化ノロウイルス1000コピー、スパイク試料の不活化ノロウイルス100コピーをいずれも検出可能であった。従って、本発明は、拭き取り検査試料中のノロウイルスの検出にも適応可能であることが判明した。
試験例7.未精製試料を用いる場合の一酵素系1ステップRT−PCRによる検体の検出におけるヘパリン濃度の検討
(1)試料の調製
ヒト糞便16検体を10%(重量%)となるように蒸留水に懸濁した。この懸濁液を12,000rpmで5分間遠心し、上清を採取した。本試験例では、これ以上の核酸の分離精製処理も加熱処理も行わず、採取した上清をそのまま生体試料として使用した。
(2−1)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、一酵素系1ステップRT−PCRにおける反応液中のヘパリン濃度の検討を実施した。
2x 反応液 (RNA−directTM Realtime PCR Master Mix(東洋紡)添付品)
50mM Mn(OAc)(RNA−directTM Realtime PCR Master Mix(東洋紡)添付品)
10x プライマー液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
10x プローブ液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−高速プローブ検出−(東洋紡)添付品)
16.7ng/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.01μg/μl 抗Tth抗体
(2−2)ヘパリン濃度
条件1 0ng/μl ヘパリンナトリウム
条件2 0.5ng/μl ヘパリンナトリウム
条件3 1.0ng/μl ヘパリンナトリウム
(3)反応
各条件において、便懸濁液も含めたMnの終濃度が2.5mMとなるようにRT−PCR反応液を調製し、19μlずつに分注した。これらのRT−PCR反応液に対し、便懸濁液1μLを添加した。これをBioRad製CFX96WELL DEEPを使用して、以下の温度サイクルでリアルタイムPCR反応を実施した。54℃、35サイクルの伸長ステップで蛍光値の読み取りを行った。この反応の間、反応液を添加した容器の蓋は開閉せず、最初から最後まで同一の容器内で反応を行った。
90℃ 1分
60℃ 3分(逆転写反応)
95℃ 10秒
95℃ 1秒−54℃ 10秒 10サイクル(PCR)
95℃ 1秒−54℃ 10秒 35サイクル(PCR)
(4)結果
糞便中のノロウイルスG1、G2のCq値を表4に示す。標的核酸が検出されなかった場合をハイフンで示す。検体1から検体6までの6検体は、いずれのヘパリン濃度の条件でもノロウイルスが検出されなかった。検体7と検体8の2検体では、いずれの条件でもG1陽性となった。検体9から検体16までの8検体では、条件2及び条件3ではいずれもG2陽性となり、条件1では検体9及び検体13は陰性となった。検体9及び検体13は、条件2、3においてもCq値が高く、標的核酸の濃度が極めて低い検体であったことが想定される。しかしながら、ヘパリンを反応液に添加した条件2及び条件3では、このような検体であっても標的核酸を検出できており、ヘパリンを添加していない条件1に比べて、ノロウイルスの検出感度が向上していることがわかる。また、各条件におけるCq値を比較すると、ヘパリンを反応液に添加した条件2及び条件3では、ヘパリンを添加していない条件1に比べ、Cq値の平均が向上している(検出されなかったサンプルについては、Cq値を35として計算する)。従って、反応液中にヘパリンが存在することで、PCR反応の非特異増幅が抑制されて標的核酸に対する増幅反応の特異性が改善され、Cq値が向上するとともに、ノロウイルスの検出感度が顕著に向上したと結論付けられる。
本発明は、分子生物学研究、さらに臨床検査や食品衛生管理などを目的とした検査において、好適に用いられる。

Claims (24)

  1. 以下の工程を含むことを特徴とする、試料中の標的RNAの有無を検査する方法:
    (1)試料に対して、反応液中終濃度が0.2ng/μL以上6ng/μL以下になるように調整された多糖類と耐熱性DNAポリメラーゼとを含む一酵素系1ステップRT−PCR反応液を添加する工程、及び、
    (2)反応容器を密閉後、1ステップRT−PCR反応によって試料中の標的RNAの有無を検査する工程。
  2. 前記多糖類が、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性多糖類である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記多糖類がヘパリン及び/又はその塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記多糖類の反応液中終濃度が0.2ng/μL以上4ng/μL以下となるように調整されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記一酵素系1ステップRT−PCR反応液における前記耐熱性DNAポリメラーゼの総量が4.2ng/μL以上である請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 工程(1)において核酸の分離精製処理も加熱処理も行っていない試料を用いる、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記工程(1)及び(2)が同一容器で行われることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 工程(2)において反応容器を密閉後、一度も蓋を開閉することなく1ステップRT−PCR反応を実施することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  9. 工程(2)において、PCRサイクル反応の前及び/又はPCRサイクル反応中に、試料中で核酸を露出させるため及び/又はPCR反応においてホットスタートPCRを行うために熱処理を実施することを含む請求項1から8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記熱処理が、60℃以上であり、かつ1秒以上の加熱を行うことを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 試料が血液試料、糞便試料、及び/又は拭き取り検査試料である請求項1から10のいずれかに記載の方法。
  12. 試料が水、生理食塩水または緩衝液に懸濁された試料懸濁液である請求項1から11のいずれかに記載の方法。
  13. 試料が試料懸濁液の遠心上清である請求項1から12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記標的RNAがエンベロープをもたないRNAウイルス由来の核酸であることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の方法。
  15. RNAウイルスがノロウイルスである請求項14に記載の方法。
  16. ノロウイルスがGI型かGII型であるかの判別が可能であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 前記耐熱性DNAポリメラーゼがFamily Aに属するDNAポリメラーゼであることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記耐熱性DNAポリメラーゼが、Taq、Tth、Z05およびそれらの変異体からなる群から選択される少なくとも一種の逆転写活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼであることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の方法。
  19. RT−PCR反応液が、検出対象の標的RNAの検出領域に対応するプライマー対をさらに含む請求項1から18のいずれかに記載の方法。
  20. RT−PCR反応液が、検出対象の標的RNAの検出領域に対応するハイブリダイゼーションプローブをさらに含む請求項1から19のいずれかに記載の方法。
  21. 前記一酵素系1ステップRT−PCR反応液が、更に1mM以上の2価陽イオンを含む、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
  22. 一酵素系1ステップRT−PCR反応において非特異増幅を抑制する方法であって、RT−PCR反応液において終濃度が0.2ng/μL以上6ng/μL以下となるように調整された多糖類と耐熱性DNAポリメラーゼとを共存させることを特徴とする、方法。
  23. 請求項1〜22のいずれかに記載の方法に用いるための一酵素系1ステップRT−PCR反応用組成物であって、RT−PCR反応液中終濃度が0.2ng/μL以上6ng/μL以下となるように調整された多糖類、及び耐熱性DNAポリメラーゼ、を含むことを特徴とする、一酵素系1ステップRT−PCR反応用組成物。
  24. 請求項23に記載の一酵素系1ステップRT−PCR反応用組成物を含むことを特徴とする、試料中の標的RNAの有無を検査するためのキット。
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