JP2018000138A - 改良されたウイルス検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】試料中のカリシウイルス科ウイルスの検査方法であって、RT−PCR反応が1時間以内に終了することを目的とする。
【解決手段】逆転写酵素および耐熱性DNAポリメラーゼを含む1ステップRT−PCR反応による試料中のカリシウイルス科ウイルスの検査方法であって、RT−PCR反応が1時間以内に終了することを特徴とするカリシウイルス科ウイルスの存在の有無を検査するための方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、核酸増幅によるウイルスの検出法に関する。より具体的には、試料から核酸の単離や加熱処理することなく、試料をリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)の反応液に加え、糞便試料または環境拭き取り試料中のカリシウイルス科ウイルスの検出に関する。本発明は、生命科学研究、臨床診断や食品衛生検査、環境検査等にも利用できる。
核酸増幅法は数コピーの標的核酸を可視化可能なレベル、すなわち数億コピー以上に増幅する技術であり、生命科学研究分野のみならず、遺伝子診断、臨床検査といった医療分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等においても、広く用いられている。
代表的な核酸増幅法は、PCR(Polymerase Chain Reaction)である。PCRは、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの解離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって、試料中の標的核酸を増幅する方法である。アニーリングと伸長を同温度で、2ステップで行う場合もある。
RNAを分析する場合、このPCRの前段として、鋳型RNAをcDNAに変換する逆転写(Reverse Transcription)を実施する。これをRT−PCRという。このRT−PCRは、(1)RT、PCRを非連続に実施する2ステップRT−PCR、(2)RT、PCRを、単一酵素を利用する一酵素系1ステップRT−PCR、(3)逆転写酵素とDNAポリメラーゼを利用する二酵素系1ステップRT−PCRの3つに大別される。
RT−PCRのうち、遺伝子検査では、処理能力の高さや、反応途中での反応容器の開閉によるコンタミネーションを回避するため、1ステップRT−PCRが好まれる。一酵素系1ステップRT−PCRでは、Tth DNAポリメラーゼやTaq DNAポリメラーゼなどの逆転写活性を併せ持つDNAポリメラーゼが利用される。一方、二酵素1ステップRT−PCRでは、逆転写酵素とDNAポリメラーゼの少なくとも2種類の酵素が使用される。
逆転写酵素としては、レトロウイルスあるいは細菌由来の逆転写酵素(例えば、MMLV(Moloney Murine Leukemia Virus;モロニーマウス白血病ウイルス)−RT (Reverse Transcriptase)、AMV(Avian Myeloblastosis Virus;トリ骨髄芽球症ウイルス)−RT、HIV(Human Immunodeficiency Virus)−RT、RAV(Rous−associated virus)2−RT、EIAV(Equine Infectious Anemia Virus)−RT、カルボキシドサーマス・ハイドロゲノフォルマン(Carboxydothermus hydrogenoformam)DNAポリメラーゼなど)やこれらの変異体が利用される。また、DNAポリメラーゼとしては。Taq、Tth,Bst,KOD,Pfu,Pwo、Tbr,Tfi,Tfl,Tma,Tne、Vent,DEEPVENTやこれらの変異体などが利用される。
一酵素系1ステップRT−PCR法は、2ステップRT−PCRよりも感度が低いことが知られる(非特許文献1)。これに対し、二酵素1ステップRT−PCRは、DNAポリメラーゼの逆転写酵素活性と比べ、レトロウイルス由来の逆転写酵素の逆転写効率が高いことから、単一酵素共役RT−PCRよりも感度が高いとされる(非特許文献2)。しかし、二酵素系1ステップRT−PCRは、2ステップRT−PCRよりも感度が高いが、逆転写酵素とDNAポリメラーゼが干渉し、反応効率を低下させることが報告されている(非特許文献3)。この干渉を抑えるため、鋳型RNAの増加、非ホモログtRNA、T4遺伝子32タンパク質、あるいは逆転写酵素に対するDNAポリメラーゼ比率の増加などの使用が行われてきた。
病原性RNAウイルスの一つであるノロウイルスは、急性胃腸炎の原因となる1本鎖RNAウイルスである。感染力が強く、集団食中毒や集団感染を引き起こすことから、公衆衛生上関心の高いウイルスである。ノロウイルスはGenogroupI(G1)及びGenogroupII(G2)の2つの遺伝子群に分類される。ノロウイルスの病原体検査では、組織培養法が確立できておらず、電子顕微鏡法、ELISAによる免疫学的抗原検出法、または核酸増幅技術を利用したウイルス遺伝子の検出法が開発されてきた。このうち、厚生労働省医薬食品局安全部監視安全課の通知(食安監1105001号)に基づくRT−PCR法が公定法として普及している。
ノロウイルスの感染の原因として主にノロウイルスに汚染された食品を飲食することによるが、ヒトの手を介した感染が多いため、調理施設、医療現場、老人介護施設及び保育園などでは定期的な検便検査が求められている。大量調理施設衛生管理マニュアルには、調理従事者等の検便検査に、必要に応じてノロウイルスの流行期である10月から3月についてノロウイルスの検査を含めることが追加されている。これはウイルスに感染していても症状がでない人(健康保因者)が少なからず存在し、これらの人たちが知らず知らずのうちに感染を広げる可能性があるためである。さらに、下痢や嘔吐などの症状がある調理従事者は医療機関を受診し、ノロウイルスに感染していることが判明した場合はリアルタイムPCR等の高感度検査を実施し、ノロウイルスを保有していないことが確認されるまでは食品に直接触れる調理作業を控えるなどの適切な処置をとることが望まれている。
ノロウイルスは、約30nmのキャプシドタンパク質からなる正二十面体構造を持ったウイルスである。その中にウイルスRNAゲノムが封入される。そこで、従来、糞便試料からのノロウイルスの検出は、例えば糞便の10%乳剤を作製し、遠心上清から市販のウイルスRNA抽出キットを用いてRNAを抽出・精製し、このRNA抽出液を用いてノロウイルスの検出が行われてきた。しかし、短時間で多数の検体を検査するには、このRNA抽出作業は煩雑である。そこで、近年、糞便試料から熱処理でキャプシドを破壊し、ウイルスRNAを露出させた処理液をRT−PCRに供することでウイルスの有無を検出する手法がとられるようになった。この際、RNAの抽出を省略することで、糞便試料中には含まれる、多糖類などのPCR反応阻害物質が持ち込まれる。そこで、これらの影響を低減するような工夫が前処理剤やPCR反応液になされている(特許文献1)。
ノロウイルスを対象としたRT−PCRによる検便検査のための試薬としては、島津社製「1step RT−PCR ノロウイルスG1&G2検出試薬キットシリーズ」、タカラバイオ社製「TaKaRaノロウイルスGI/GII検出キット」、東洋紡製「ノロウイルス検出キット―プローブ検出―」などが市販される。しかしながら、糞便試料中のPCR反応阻害物質の影響が完全に解消されず、感度よくウイルスRNAを検出するのにRT−PCR反応に1時間半〜2時間の時間を要していた。そのため、効率よく多数の試料を検査するために、さらに短時間でウイルスRNAの有無を検出する方法が望まれていた。
特開2015―119656号公報
BioTechniques,第17巻,1994年、第1034−1036頁 BioTechniques,第25巻,1998年、第230−234頁 Nucl.Acids Res.,第20巻,1992年、第1487−1490頁 J.Animal Science And Biotechnology,第5巻、2014年、第45頁
本発明の目的は、1時間以内で1ステップRT−PCRにより、試料からカリシウイルス科ウイルスRNAの有無の検出を可能とすることである。
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意研究を行った結果、1ステップRT−PCRの糞便耐性を高めることにより1時間以内の1ステップRT−PCRに供することで、カリシウイルス科ウイルスRNAの検出が可能であることを見出した。
特に本発明者らは、1mg/ml以上のウシ血清アルブミン、アミノ酸におけるアミノ基に3個のメチル基を付加した構造を有する第4級アンモニウム塩、の少なくとも1つを1ステップRT−PCR反応液を用いることにより、より効率よく検出可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
代表的な本願発明は、以下の通りである。
[項1]逆転写酵素および耐熱性DNAポリメラーゼを含む1ステップRT−PCR反応による試料中のカリシウイルス科ウイルスの検査方法であって、RT−PCR反応が1時間以内に終了することを特徴とするカリシウイルス科ウイルスの存在の有無を検査するための方法。
[項2]カリシウイルスがノロウイルスである項1に記載の方法。
[項3]ノロウイルスがG1型であるかG2型であるかの判別を行うことを特徴とする項2に記載の方法。
[項4]配列番号1〜5のいずれかに記載される塩基配列を含む少なくとも1つのプライマーを含む項1に記載の方法。
[項5]配列番号6〜9のいずれかに記載される塩基配列を含む少なくとも1つの標識プローブを含む項1に記載の方法。
[項6]試料が糞便である項1〜5のいずれかに記載の方法。
[項7]試料が水、生理食塩水または緩衝液に懸濁された懸濁液である項1〜5のいずれかに記載の方法。
[項8]試料が懸濁液の遠心上清である、項1〜5のいずれかに記載の方法
[項9]試料が環境中の拭き取り検査試料を水、生理食塩水または緩衝液に懸濁し、かつ、懸濁液を濃縮した試料であることを特徴とする項1〜5のいずれかに記載の方法。
[項10]試料が85℃以上で加熱処理されたサンプルである、項1〜9のいずれかに記載の方法。
[項11]1ステップRT−PCR反応液が、アミノ酸におけるアミノ基に3個のメチル基を付加した構造を有する第4級アンモニウム塩(以下、「ベタイン様4級アンモニウム」という)、1mg/ml以上のウシ血清アルブミンの少なくとも1つを含むことを特徴とする項1から10のいずれかに記載の方法。
[項12]ベタイン様4級アンモニウム塩が、ベタインまたはL−カルニチンである項11に記載の方法。
[項13]耐熱性DNAポリメラーゼが、Taq、Tthまたはそれらの変異体から選択されることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の方法。
[項14]逆転写酵素の由来が、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)またはこれらの変異体から選択されることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の方法。
本発明によって、従来1.5時間から2時間かけて実施されていた1ステップRT−PCR反応を1時間以内に終了することができ、試料中のカリシウイルス科ウイルスの有無を検出することが可能になる。この結果、検査業務がさらに効率化することから、ウイルス感染しても症状のない被験者の検査量を増やすことができ、また、より早く健康保因者の就業を中止させることが可能となり、感染症予防にも寄与する。
1mg/mL以上のBSAの添加によりRT−PCR反応が改善することを示す1ステップRT−PCR反応の増幅曲線の図である。 1.5mg/mL以上のBSA、L−カルニチンの添加によりRT−PCR反応が改善することを示す1ステップRT−PCR反応の増幅曲線の図である。
以下、本発明の実施形態を示しつつ、本発明についてさらに詳説する。
本発明の一態様は、試料中のカリシウイルス(Caliciviridae)科RNAウイルスの検査方法であって、糞便等の試料から75℃〜100℃、より好ましくは80℃〜95℃で、30秒〜10分、より好ましくは1〜5分の熱処理を行い、キャプシドを破壊し、ウイルスRNAを露出させた処理液をRT−PCRに供する。
検査対象となるRNAウイルスは、ゲノムとしてRNAを持つカリシウイルス科ウイルスである。RNAウイルスの例としては特に限定されるものではないが、ノロウイルス属ノーウォークウイルス、サポウイルス属サッポロウイルス、ラゴウイルス属兎出血病ウイルス、ヨーロッパ褐色野兎症候群ウイルス、ベシウイルス属猫カリシウイルス、豚水疱疹ウイルス、ネボウイルス属ニューバリー1ウイルス、レコウイルス属Tulaneウイルスなどが挙げられる。
本発明の試料として、糞便(排泄便、直腸便)、嘔吐物、唾液などが挙げられるが、特に限定されるものではない。本発明におけるこれら試料は、市販のRNA精製キットでRNAを単離するような処理を行う必要が一切ないことを特徴とするものである。前記試料は直接熱処理してもよいし、夾雑物の反応への影響を低減し、より安定した検査結果を得るために、水、生理食塩水または緩衝液に前記試料を懸濁した試料を熱処理したものであってもよい。さらに、糞便など夾雑物の多い試料では、遠心分離し、その上清を使用してもよい。あるいは、フィルターろ過を実施してもよい。前記緩衝液としては、特に限定されるものではないが、ハンクス緩衝液、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、HEPES緩衝液、トリシン緩衝液などが挙げられる。さらに塩やキレート剤を含んでもよい。
本発明における別の態様の試料としては、拭き取り検査試料である。汚染経路の解明や施設環境等の汚染状況の把握には、ふき取り検査が有用である。本発明において、拭き取り検査とは、特に限定されるものでないが、例えば綿棒等で該当区画や設備等を拭き取り、水や緩衝液に溶出し、ポリエチレングリコール(PEG)沈澱などで濃縮した試料である。具体的な拭き取り検査の要領としては、「ふきとり検体のノロウイルス検査法の改良」(http://idsc.nih.go.jp/iasr/32/382/dj3824.html)などが例示されるが、特に限定はされるものはなく、これに準ずる方法が広く含まれる。拭き取り箇所の例としては、まな板や包丁、ふきん、食器などの調理器具類、冷蔵庫の取手やトイレ、浴室のドアノブ、洗面所、厨房、トイレ、浴室などの蛇口、調理者の手や指、浴室、トイレ、洗面、手すり、居室などの施設などが挙げられる。また、拭き取り検査ではないが、環境検査として、下水試料の濃縮試料にも適用できる。
本発明の1ステップRT−PCR反応液には、アミノ酸におけるアミノ基に3個のメチル基を付加した構造を有する第4級アンモニウム塩(以下、「ベタイン様4級アンモニウム」という)、1mg/ml以上のウシ血清アルブミン、の少なくとも1つを含む。前記ベタイン様4級アンモニウム塩としては、ベタイン(トリメチルグリシン)、L−カルニチンなどが挙げられるが、アミノ酸におけるアミノ基に3個のメチル基を付加した構造を有する第4級アンモニウム塩であれば、特に限定されるものではない。ベタイン様4級アンモニウム塩が有する構造は分子内に安定な正、負の両電荷を持つ化合物で、DNAポリメラーゼの核酸増幅を促進する。好ましい前記ベタイン様4級アンモニウム塩濃度は0.05M〜2Mであり、より好ましくは0.1M〜1.2Mである。
前記1ステップRT−PCR反応液に含まれるウシ血清アルブミンとしては、好ましくは少なくとも0.5mg/ml以上、より好ましくは少なくとも1mg/ml以上である。夾雑物の多い試料では、ウシ血清アルブミンの濃度が好ましくは1.1mg/ml以上でさらに好ましくは1.5mg/mL以上で良好な検出が可能となる。
さらに前記1ステップRT−PCR反応液には、DNAポリメラーゼの安定化のため、ゼラチンを含んでもよい。ゼラチンは、ウシや豚などの動物の皮膚や骨、腱、あるいは魚の鱗や皮に由来し、PCR酵素の安定化に寄与すると考えられている。使用濃度としては、PCR増幅を安定化する一方で、蛍光検出を妨げない程度が好ましい。好ましくは0.1〜5%、さらに好ましくは0.5〜2%である。特にゼラチンの由来については限定されるものではないが、ウシや豚由来よりも魚由来のものの方が、ゼリー強度が低く、反応液のハンドリングがよい点で好ましい。
前記1ステップRT−PCR反応液に含まれる逆転写酵素の由来としては、RNAをDNAに変換できれば特に限定されないが、MMLV(Moloney Murine Leukemia Virus)−RT、AMV−RT(Avian Myeloblastosis Virus)、HIV−RT、RAV2−RT、EIAV−RT、カルボキシドサーマス・ハイドロゲノフォルマン(Carboxydothermus hydrogenoformam)DNAポリメラーゼ)やその変異体が例示される。特に好ましい例としては、MMLV−RT、AMV−RT、またはそれらの変異体が挙げられる。
本発明における逆転写反応温度は、30℃以上、75℃未満であり、好ましくは35℃から65℃、より好ましくは37℃から55℃である。逆転写反応時間は、1分から10分程度で行うことが好ましい。
前記1ステップRT−PCR反応液に含まれる耐熱性DNAポリメラーゼとしては、Taq、Tth,Bst,KOD,Pfu,Pwo、Tbr,Tfi,Tfl,Tma,Tne、Vent,DEEPVENTやこれらの変異体が挙げられるが、特に限定されない。より好ましくは、Taq、Tth又はこれらの変異体の使用である。特に好ましくはTth又はその変異体の使用である。さらに、非特異的反応抑制の効果を高めるため、抗DNAポリメラーゼ抗体との併用、あるいは化学修飾により熱不安定ブロック基のDNAポリメラーゼへ導入することで、逆転写反応の間、DNAポリメラーゼの酵素活性を抑制され、ホットスタートPCRへの適用ができることが好ましい。
本発明の好ましいRT−PCR反応時間は、1時間以内、より好ましくは55分以内、
さらに好ましくは52分以内である。
本発明に用いられる1ステップRT−PCR反応液には、緩衝剤、適当な塩、マグネシウム塩又はマンガン塩、デオキシヌクレオチド三リン酸、検出対象のウイルスRNAの検出対象領域に対応するプライマー対、さらに必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。
本発明に用いられるプライマー対としては、一方のプライマーが他方のプライマーのDNA伸長生成物に互いに相補的である2種一対のプライマーが挙げられる。また、別の態様として、上記プライマーが2対以上含まれる、いわゆるマルチプレックスPCRも挙げられる。さらに、ターゲットとする核酸が亜型からなる場合、縮重プライマーを含んでもよい。ノロウイルス検出用のプライマーとしては、厚生労働省医薬食品局安全部監視安全課の通知(食安監1105001号)に記載のプライマー(配列番号1〜5)が挙げられるが、これに限るものではない。前記記載のプライマーでは、配列番号1、2によりノロウイルスG1型、配列番号3〜5によりノロウイルスG2型を検出する。
本発明で使用される緩衝剤としては、特に限定されないが、トリス(Tris),トリシン(Tricine),ビスートリシン(Bis−Tricine),ビシン(Bicine)などが挙げられる。硫酸、塩酸、酢酸、リン酸などでpHを6〜9、より好ましくはpH7〜8に調整されたものである。また、添加する緩衝剤の濃度としては、10〜200mM,より好ましくは20〜150mMで使用される。この際、反応に適当なイオン条件とするために、塩溶液が加えられる。塩溶液としては、塩化カリウム、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウムなどが加えられる。
この反応液には、さらにdNTP、マグネシウム塩またはマンガン塩、プライマーなどが含まれる。dNTPとしてはdATP,dCTP,dGTP,dTTPがそれぞれ0.1〜0.5mM、最も一般的には0.2mM程度加えられる。dTTPの代わり及び/又は一部としてdUTPを使用することによって、クロスコンタミネーションの予防処置をとってもよい。マグネシウム塩としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、マンガン塩としては、塩化マンガン、硫酸マンガン、酢酸マンガンなどが例示され、1〜10mM程度加えられることが好ましい。
さらには、当該分野で知られるRT−PCRを促進するような物質と組み合わせて使用することもできる。本発明において有用な促進物質とは、例えば、プロテアーゼインヒビター、シングルストランド結合タンパク質(SSB)、T4遺伝子32タンパク質、tRNA、硫黄または酢酸含有化合物類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ホルムアミド、アセトアミド、ベタイン、エクトイン、トレハロース、デキストラン、ポリビニルピロリドン(PVP),塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、酢酸テトラメチルアンモニウム(TMAA)、ポリエチレングリコール、トリトンX−100(TritonX−100)、トリトンX−114(TritonX−114)、ツイーン20(Tween20),ノニデットP40、Briji58などが挙げられるが、これに限定されない。さらに反応阻害を低減するように、エチレングリコール-ビス(2-アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)のようなキレート剤を含んでもよい。
本発明は、別の態様としては、さらに、少なくとも1種類の標識されたハイブリダイゼーションプローブまたは2本鎖DNA結合蛍光化合物を含む検出方法である。これによって、増幅産物の分析を通常の電気泳動ではなく、蛍光シグナルのモニタリングで監視することができ、解析労力が低減される。さらには、反応容器を開放する必要がなく、コンタミネーションのリスク低減が可能である。ウイルスのサブタイプに対応する、それぞれのハイブリダイゼーションプローブを異なる蛍光色素で標識することによって、ウイルスのサブタイプを識別することも可能である。
ハイブリダイゼーションプローブとしては、例えば、TaqMan加水分解プローブ(米国特許第5,210,015号公報、米国特許第5,538,848号公報、米国特許第5,487,972号公報、米国特許第5,804,375号公報)、モレキュラービーコン(米国特許第5,118,801号公報)、FRETハイブリダイゼーションプローブ(国際公開第97/46707号パンフレット,国際公開第97/46712号パンフレット,国際公開第97/46714号パンフレット)などが挙げられる。ノロウイルス検出のプローブの配列としては、厚生労働省医薬食品局安全部監視安全課の通知(食安監1105001号)に記載のプライマー(配列番号6〜9)が挙げられるが、これに限るものではない。前記記載のプローブ配列では、配列番号6または7によりノロウイルスG1型、配列番号8または9によりノロウイルスG2型を検出する。
2本鎖DNA結合蛍光化合物としては、例えば、SYBR(登録商標) Green I,SYBR(登録商標) Gold、SYTO−9、SYTP−13、SYTO−82(Life Technologies),EvaGreen(登録商標;Biotium)、LCGreen(Idaho),LightCycler(登録商標) 480 ResoLight(Roche Applied Science)などが挙げられる。
本発明の別の一態様は、試料中のウイルスRNAの検査キットであって、試料からウイルスRNAの精製や単離を行うことなく、ベタイン様4級アンモニウム塩、逆転写酵素および耐熱性DNAポリメラーゼを含む1ステップRT−PCR反応液に試料を加え、1時間以内のRT−PCR反応を行う、ウイルスの存在の有無を検査するためのキットである。
本発明の別の一態様は、試料中のウイルスRNAの検査キットであって、試料からウイルスRNAの精製や単離を行うことなく、ベタインまたはL−カルニチン、逆転写酵素および耐熱性DNAポリメラーゼを含む1ステップRT−PCR反応液に試料を加え、1時間以内のRT−PCR反応を行う、ウイルスの存在の有無を検査するためのキットである。
本発明の別の一態様は、試料中のウイルスRNAの検査キットであって、試料からウイルスRNAの精製や単離を行うことなく、ベタイン様4級アンモニウム塩、逆転写酵素、耐熱性DNAポリメラーゼ、1mg/ml以上のウシ血清アルブミンを含む1ステップRT−PCR反応液に試料を加え、1時間以内のRT−PCR反応を行う、ウイルスの存在の有無を検査するためのキットである。
本発明の別の一態様は、試料中のウイルスRNAの検査キットであって、試料からウイルスRNAの精製や単離を行うことなく、1mg/ml以上のウシ血清アルブミン、逆転写酵素、耐熱性DNAポリメラーゼを含む1ステップRT−PCR反応液に試料を加え、1時間以内のRT−PCR反応を行う、ウイルスの存在の有無を検査するためのキットである。
本発明の別の一態様は、試料中のウイルスRNAの検査方法であって、試料からウイルスRNAの精製や単離を行うことなく、ベタイン様4級アンモニウム塩、逆転写酵素、耐熱性DNAポリメラーゼを含む1ステップRT−PCR反応液に試験試料を加え、ウイルスの存在の有無を検査するためのキットであって、検出対象のウイルスRNAの検出領域に対応するプライマー対を含むキットである。
本発明の別の一態様は、試料中のウイルスRNAの検査方法であって、試料からウイルスRNAの精製や単離を行うことなく、ベタイン様4級アンモニウム塩、逆転写酵素および耐熱性DNAポリメラーゼを含む1ステップRT−PCR反応液に試料を加え、ウイルスの存在の有無を検査するためのキットであって、検出対象のウイルスRNAの検出領域に対応するプライマー対および検出対象のRNAウイルスの検出領域に対応する蛍光プローブを含むキットである。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1.糞便試料からのノロウイルスの迅速検出(1)
・ 糞便懸濁処理液の調製
ヒト糞便6検体滅菌水0.5mlに10%(重量%)となるように懸濁した。この懸濁液を12,000rpmで5分間遠心した。この上清1μLに前処理液(ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付)4μLを加え、85℃、1分間熱処理を行った。ノロウイルスG1、G2合成RNA 1250、250、50、25コピー、0コピー(N=2)をスパイクした。
(2)1ステップRT−PCR
(2−1)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、(2−2)に示す添加剤の検出への影響を評価した。
1xBuffer (Blend Taq(R)添付バッファー(東洋紡))
各0.2mM dATP,dGTP,dCTP,dTTP
0.2M L−カルニチン
プライマー液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付品)
プローブ液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付品)
0.1unit/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.02μg/μl 抗Tth抗体
0.05unit/μl RevertraAce(東洋紡)
(2−2)添加剤、DNAポリメラーゼ
条件1 1mg/mL BSA,
条件2 1.5mg/mL BSA、
条件3 2mg/mL BSA,
条件4 3mg/mL BSA,
(3)反応
前記反応液45μlを(1)で調製した各試料5μlに添加した。これを以下の温度サイクルで反応した。54℃の伸長ステップで蛍光値の読取を行った。
50℃ 5分(逆転写反応)、
95℃ 10秒、
95℃ 1秒−54℃ 22秒 40サイクル(PCR)
(4)結果
上記RT−PCR反応時間は60分であった。増幅曲線を図1に示す。この結果、条件1の1mg/mL BSAを含む場合、内部コントロール(IC)の増幅にバラツキが発生した。条件2以降の1.5mg/mL以上のBSAを添加することでICの増幅が安定化した。
実施例2.糞便試料からのノロウイルスの迅速検出(2)
(1)糞便懸濁処理液の調製
ヒト糞便12検体滅菌水0.5mlに10%(重量%)となるように懸濁した。この懸濁液を12,000rpmで5分間遠心した。この上清1μLに前処理液(ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付)4μLを加え、85℃、1分間熱処理を行った。また、ポジティブコントロールとして、陰性試料にスパイクしたノロウイルスG1、G2合成RNA 1250、250、50、25コピーの検出も実施した。
(2)1ステップRT−PCR
(2−1)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、(2−2)に示す添加剤の検出への影響を評価した。
1xBuffer (Blend Taq(R)添付バッファー(東洋紡))
2mg/ml BSA
各0.2mM dATP,dGTP,dCTP,dTTP
1.5mg/ml BSA
プライマー液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付品)
プローブ液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付品)
0.1unit/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.02μg/μl 抗Tth抗体
0.05unit/μl RevertraAce(東洋紡)
(2−2)添加剤、DNAポリメラーゼ
条件1 添加なし
条件2 0.1M L−カルニチン、
条件3 0.2M L−カルニチン、
条件4 0.3M L−カルニチン、
条件5 0.4M L−カルニチン、
条件6 0.5M L−カルニチン、
(3)反応
前記反応液45μlを(1)で調製した各試料5μlに添加した。これを以下の温度サイクルで反応した。54℃の伸長ステップで蛍光値の読取を行った。
50℃ 5分(逆転写反応)、
95℃ 10秒、
95℃ 1秒−54℃ 22秒 40サイクル(PCR)
(4)結果
上記RT−PCR反応時間は60分であった。Ct値を表1に示す。表中の空欄は陽性シグナルが検出されなかったことを示す。この結果、条件1のL−カルニチンを含まない場合、内部コントロール(IC)の増幅が遅く、バラツキも発生した。条件2以降の0.1M以上のL−カルニチンを添加することでICの増幅が安定化し、検体7のG2陽性の検出も可能となった。
実施例3.糞便試料からのノロウイルスの迅速検出(3)
・ 糞便懸濁処理液の調製
ヒト糞便12検体滅菌水0.5mlに10%(重量%)となるように懸濁した。この懸濁液を12,000rpmで5分間遠心した。この上清1μLに前処理液(ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付)4μLを加え、85℃、1分間熱処理を行った。また、ポジティブコントロールとして、陰性試料にスパイクしたノロウイルスG1、G2合成RNA 1250、250、50、25コピーの検出も実施した。
(2)1ステップRT−PCR
(2−1)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、(2−2)に示す添加剤の検出への影響を評価した。
1xBuffer (Blend Taq(R)添付バッファー(東洋紡))
1.5mg/ml BSA
各0.2mM dATP,dGTP,dCTP,dTTP
プライマー液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付品)
プローブ液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付品)
0.1unit/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.02μg/μl 抗Tth抗体
0.05unit/μl RevertraAce(東洋紡)
(2−2)添加剤、DNAポリメラーゼ
条件1 添加なし
条件2 0.3M L−カルニチン、
条件3 0.3M ベタイン、
(3)反応
前記反応液45μlを(1)で調製した各試料5μlに添加した。これを以下の温度サイクルで反応した。54℃の伸長ステップで蛍光値の読取を行った。
50℃ 5分(逆転写反応)、
95℃ 10秒、
95℃ 1秒−54℃ 22秒 40サイクル(PCR)
(4)結果
上記RT−PCR反応時間は60分であった。Ct値を表2に示す。表中の空欄は陽性シグナルが検出されなかったことを示す。この結果、条件1のL−カルニチンやベタインを含まない場合、内部コントロール(IC)の増幅が遅く、バラツキも発生した。条件2以降のL−カルニチンやベタインを添加することでICの増幅が安定化し、検体7のG2陽性も検出可能となった。
実施例4.糞便試料からのノロウイルスの迅速検出(4)
(1)糞便懸濁処理液の調製
ヒト糞便20検体滅菌水0.5mlに10%(重量%)となるように懸濁した。この懸濁液を12,000rpmで5分間遠心した。この上清1μLに前処理液(ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付)4μLを加え、85℃、1分間熱処理を行った。
(2)1ステップRT−PCR
(2−1)反応液
以下に示される組成の反応液を基本組成とし、(2−2)に示す添加剤の検出への影響を評価した。
1xBuffer (Blend Taq(R)添付バッファー(東洋紡))
各0.2mM dATP,dGTP,dCTP,dTTP
プライマー液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付品)
プローブ液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付品)
1%ゼラチン
0.1unit/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.02μg/μl 抗Tth抗体
0.05unit/μl RevertraAce(東洋紡)
(2−2)添加剤、DNAポリメラーゼ
条件1 1.5mg/mL BSA,0.2M L−カルニチン
条件2 1.5mg/mL BSA
条件3 1mg/mL BSA,0.2M L−カルニチン
(3)反応
前記反応液45μlを(1)で調製した各試料5μlに添加した。これを以下の温度サイクルで反応した。54℃の伸長ステップで蛍光値の読取を行った。
50℃ 5分(逆転写反応)、
95℃ 10秒、
95℃ 1秒−54℃ 22秒 40サイクル(PCR)
(4)結果
上記RT−PCR反応時間は60分であった。増幅曲線を図2に、Cq値を表3に示す。表中の空欄は陽性シグナルが検出されなかったことを示す。この結果、L−カルニチンを含まない条件2では内部コントロール(IC)のCq値が遅れた。また、条件3の1mg/mLBSAの存在下ではICの増幅にバラツキが認められたのに対し1.5mg/mLを添加した条件1では増幅のバラツキは抑制された。また、条件3は表1の網掛けにした偽陽性シグナルが発生した。
実施例5.糞便試料からのノロウイルスの検出(5)
(1)糞便懸濁処理液の調製
ヒト糞便44検体滅菌水0.5mlに10%(重量%)となるように懸濁した。この懸濁液を12,000rpmで5分間遠心した。この上清1μLに前処理液(ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付)4μLを加え、85℃、1分間熱処理を行った。(2)1ステップRT−PCR
(2−1)従来組成の反応液
ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付の反応液、酵素液、プライマー液、プローブ液を取扱説明書に従い、混合して調整した。
(2−2)迅速検出
以下に示される組成の反応液を調製した。
1xBuffer (Blend Taq(登録商標)添付バッファー(東洋紡))
3mg/ml BSA
0.2M L−カルニチン
各0.2mM dATP,dGTP,dCTP,dTTP
プライマー液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付品)
プローブ液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付品)
0.1unit/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.02μg/μl 抗Tth抗体
0.05unit/μl RevertraAce(東洋紡)
(3)反応
前記反応液45μlに(1)で調製した各試料5μlを添加した。これを以下の温度サイクルで反応した。56℃の伸長ステップで蛍光値の読取を行った。
50℃ 5分(逆転写反応)、
95℃ 20秒、
95℃ 1秒−56℃ 35秒 40サイクル(PCR)
(4)結果
RT−PCR反応時間は69分であった。G1、G2ウイルス、内部コントロールについて増幅曲線の立ち上がりを示すCq値を表4に示す。表中の空欄は陽性シグナルが検出されなかったことを示す。この結果、通常1.5時間のRT−PCRサイクルで行う従来組成品では、2つの試料で陰性となり、本発明の迅速組成の方が感度の高い検出が可能であった。
実施例6.糞便試料からのノロウイルス検査の改善検討(6)
(1)糞便懸濁処理液の調製
ヒト糞便48検体滅菌水0.5mlに10%(重量%)となるように懸濁した。この懸濁液を12,000rpmで5分間遠心した。この上清1μLに前処理液(ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付)4μLを加え、85℃、1分間熱処理を行った。
(2)1ステップRT−PCR
以下に示される組成の反応液を調製した。
1xBuffer (Blend Taq(登録商標)添付バッファー(東洋紡))
2mg/ml BSA
0.1M L−カルニチン
各0.2mM dATP,dGTP,dCTP,dTTP
プライマー液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付品)
プローブ液 (ノロウイルス検出キットG1/G2−プローブ検出―(東洋紡)添付品)
0.1unit/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.02μg/μl 抗Tth抗体
0.05unit/μl RevertraAce(東洋紡)
(3)反応
前記反応液45μlを、(1)で調製した各試料5μlを添加した。これを以下のリアルタイムPCR装置及び温度サイクルで反応した。54℃の伸長ステップで蛍光値の読取を行った。
<CFX96(Bio−Rad社製)>
42℃ 5分(逆転写反応)、
95℃ 10秒、
95℃ 1秒−56℃ 20秒 40サイクル(PCR)
<LC96(Roche社製)>
42℃ 5分(逆転写反応)、
95℃ 10秒、
95℃ 1秒−56℃ 30秒 40サイクル(PCR)
(4)結果
RT−PCR反応時間はCFX96で58分、LC96で52分であった。G1、G2ウイルス、内部コントロールのCq値を表5、表6に示す。表中の空欄、又はーは陽性シグナルが検出されなかったことを示す。この結果、60分未満の反応サイクルでもノロウイルスの検出が可能であった。
本発明は、分子生物学研究、さらに臨床検査や食品衛生管理などを目的とした検査において、好適に用いられる。

Claims (14)

  1. 逆転写酵素および耐熱性DNAポリメラーゼを含む1ステップRT−PCR反応による試料中のカリシウイルス科ウイルスの検査方法であって、RT−PCR反応が1時間以内に終了することを特徴とするカリシウイルス科ウイルスの存在の有無を検査するための方法。
  2. カリシウイルスがノロウイルスである請求項1に記載の方法。
  3. ノロウイルスがG1型であるかG2型であるかの判別を行うことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 配列番号1〜5のいずれかに記載される塩基配列を含む少なくとも1つのプライマーを含む請求項1に記載の方法。
  5. 配列番号6〜9のいずれかに記載される塩基配列を含む少なくとも1つの標識プローブを含む請求項1に記載の方法。
  6. 試料が糞便である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 試料が水、生理食塩水または緩衝液に懸濁された懸濁液である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  8. 試料が懸濁液の遠心上清である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  9. 試料が環境中の拭き取り検査試料を水、生理食塩水または緩衝液に懸濁し、かつ、懸濁液を濃縮した試料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  10. 試料が85℃以上で加熱処理されたサンプルである、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
  11. 1ステップRT−PCR反応液が、アミノ酸におけるアミノ基に3個のメチル基を付加した構造を有する第4級アンモニウム塩(以下、「ベタイン様4級アンモニウム」という)、1mg/ml以上のウシ血清アルブミンの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の方法。
  12. ベタイン様4級アンモニウム塩が、ベタインまたはL−カルニチンである請求項11に記載の方法。
  13. 耐熱性DNAポリメラーゼが、Taq、Tthまたはそれらの変異体から選択されることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の方法。
  14. 逆転写酵素の由来が、モロニーマウス白血病ウイルス(MMRV)、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)またはこれらの変異体から選択されることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の方法。
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