JP2018108055A - ノロウイルスg2型を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブ - Google Patents

ノロウイルスg2型を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブ Download PDF

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Abstract

【課題】従来技術より、さらに簡便、高感度なノロウイルス検出法が求められていた。【解決手段】配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8のいずれかで示される塩基配列を含むノロウイルスG2型を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブ及び該プローブを使用したノロウイルスG2型検出方法、キット。試料中に含まれるノロウイルスG2型を簡便、高感度に検出できるだけでなく、塩基配列多型の分析も簡便に行うことができる。【選択図】図7

Description

本発明は、試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブに関する。更に、該オリゴヌクレオチドプローブを用いて、試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出する方法及びそのためのキットに関する。
ノロウイルスは、食中毒の原因ウイルスであり、日本での食中毒患者の半数はノロウイルスが原因と言われている(非特許文献1)。したがって、ノロウイルスを簡便、迅速、高感度に検出することは、臨床診断、食品衛生検査、環境検査等で重要であることは言うまでもない。
ノロウイルスの検出はイムノクロマト法や核酸増幅法を用いて行われるが、より高感度な核酸増幅法が特に用いられる。しかしながら、ノロウイルスのRNAゲノムの塩基配列は多様性に富んでいるため、核酸増幅法で検出するためにいくつかの技術が開発されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
特開2016−052265 特開2015−119656 特許第4437525号 特許第4414648号 特許第5354216号
厚生労働省ホームページ、分野別の政策一覧>健康・医療>食品>食中毒>4.食中毒統計・調査結果、(2)過去の食中毒発生状況、平成27年(2015年)食中毒発生状況(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html) 厚生労働省健康局結核感染症課、医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部監視安全課、事務連絡(平成27年10月23日)「感染性胃腸炎の流行に伴うノロウイルスの感染予防対策の啓発について」 厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長、食安監発第1105001号(平成15年11月5日)、最終改正 食安監発第0514004号(平成19年5月14日)「ノロウイルスの検出法について」別添資料
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、より簡便、高感度に試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出することである。
本発明者らは鋭意研究の結果、特定のオリゴヌクレオチドプローブを用いることで、より簡便、高感度に試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出できることを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明の概要は以下の通りである。
[項1]
試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出するためのオリゴヌクレオチドであって、以下の特徴(A)、(B)を有するオリゴヌクレオチドプローブ。
(A)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8のいずれかで示される塩基配列またはそれらに相補的な塩基配列で示される塩基配列を含む。
(B)少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されている。
[項2]
前記(B)の蛍光消光色素が、4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオン酸(BODIPY−FL)、カルボキシローダミン6G、TAMRA、ローダミン6G、テトラブロモスルホンフルオレセイン(TBSF)、2−オキソ−6,8−ジフルオロ−7−ジヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(Pacific Blue)のいずれかである項1に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
[項3]
前記(B)において、蛍光消光色素で標識されている末端塩基(両端が標識されている場合は、少なくとも一方の末端塩基)がシトシンである項1または2に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
[項4]
試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出する方法であって、項1〜3のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプローブを少なくとも含んでいる反応液を用いて、以下の工程(1)〜(3)を行うことを特徴とする、ノロウイルスG2型核酸検出方法。
(1)ノロウイルスG2型を含むとされる試料を提供する工程。
(2)前記反応液を用いて核酸増幅反応を行う工程。
(3)工程(2)で得られうる増幅産物に、該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定する工程。
[項5]
前記工程(2)の核酸増幅反応がRT−PCR反応である項4に記載の方法。
[項6]
RT−PCR反応がワンステップRT−PCR反応である項5に記載の方法。
[項7]
前記工程(3)が以下の工程(3a)〜(3c)の少なくともひとつを含んでいる項4〜6のいずれかに記載の方法。
(3a)得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターする工程。
(3b)前記工程(2)の終了後に、得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターする工程。
(3c)前記工程(2)の終了後に、得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度の温度依存性を測定することで、ノロウイルスG2型核酸を検出あるいは該核酸の塩基配列多型を分析する工程。
[項8]
項4〜7のいずれかを実施するための試薬。
[項9]
項4〜7のいずれかを実施するための試薬を含むキット。
本発明により、簡便、高感度に試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出できるようになった。さらに驚くべきことに、ノロウイルスG2型ゲノムの塩基配列多型の分析も行うことができため、例えば、集団感染が発生した際の起因ウイルス株の特定などにも応用できる。本発明のオリゴヌクレオチドプローブ及び該プローブを用いた方法、キットを使用することで、臨床診断、食品衛生検査、環境検査等の分野に大きく貢献できる。
実施例1の結果を示す図である。ノロウイルスG2型のアライメント結果を示す。 実施例2で使用した鋳型合成オリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。 実施例2の結果を示す図である。 実施例3の結果を示す図である。 実施例4の結果を示す図である。 実施例5の結果を示す図である。 実施例6の結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態を示しつつ、本発明についてさらに詳説する。
[ノロウイルスG2型を検出するためのオリゴヌクレオチド]
本発明の実施態様の一つは、試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出するためのオリゴヌクレオチドであって、以下の特徴(A)、(B)を有するオリゴヌクレオチドプローブである。
(A)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8のいずれかで示される塩基配列またはそれらに相補的な塩基配列で示される塩基配列を含む。
(B)少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されている。
[ノロウイルス]
ノロウイルスは、食中毒の原因ウイルスのひとつであり、日本での食中毒患者の半数はノロウイルスが原因である(非特許文献1)。ノロウイルスの感染は、感染者の糞便や吐瀉物、あるいは食品を介して起こると言われている。
ノロウイルスのゲノムは一本鎖RNAであってその塩基配列は多様性に富んでおり、その多様性に従ってG1〜G5に分類されている。ヒトへの感染が認められるのは、G1、G2、G4の3種類であり、さらにG1型とG2型は感染例が多いため臨床診断上特に重要である(特許文献3、特許文献4)。
ノロウイルスの検出はイムノクロマト法や核酸増幅法を用いて行われる。イムノクロマト法は簡便な検出法であるが、現在市中で使用されているノロウイルス迅速診断検査キットは、特定の遺伝子型に対する検出感度が低いことが報告されている(非特許文献2)。したがって、より高感度な核酸増幅法が好ましく、ノロウイルス検出のために、いくつかの技術が開発されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)
本発明者らは、従来技術よりも簡便にノロウイルスG2型を検出するため、鋭意研究の結果、本発明のオリゴヌクレオチドプローブを開発した。ノロウイルスG2型は2016年現在G2.1〜G2.22の遺伝子型に分類されており、それらをすべて検出するために、従来技術では、複数のオリゴヌクレオチドプローブを用いたり、添加物を加えて核酸増幅を行っていた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献4、非特許文献3)。一方で、本発明におけるオリゴヌクレオチドプローブは、従来技術とは大きく異なる以下の特徴を併せ持つ。
(a)1種類の塩基配列で示される該プローブのみで、ノロウイルスG2型(G2.1〜G2.22の遺伝子型)のゲノムRNAを検出できる
(b)融解曲線分析等により、該プローブが結合するノロウイルスG2型ゲノム領域の塩基配列多型を分析することができる。
[オリゴヌクレオチドプローブ]
本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、以下の特徴(A)、(B)を有する。
(A)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8のいずれかで示される塩基配列またはそれらに相補的な塩基配列で示される塩基配列を含む。
(B)少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されている。
オリゴヌクレオチドプローブを使用した核酸検査法は、従来から実施されており、既に当該技術分野において確立されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献4、非特許文献3)。このような核酸検査法に用いるオリゴヌクレオチドプローブとしては、TaqMan加水分解プローブ、モレキュラービーコン、FRETハイブリダイゼーションプローブ、QProbeなどがあるが、本発明ではQProbeを使用する。
QProbeは、KURATAらにより開発された蛍光プローブ(蛍光消光プローブ)である(特許文献5)。このプローブは、少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されているハイブリダイゼーションプローブである。
蛍光消光色素としては特に限定されないが、4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオン酸(BODIPY−FL)、カルボキシローダミン6G、TAMRA、ローダミン6G、テトラブロモスルホンフルオレセイン(TBSF)、2−オキソ−6,8−ジフルオロ−7−ジヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(Pacific Blue)のいずれかが好ましい。
さらに、蛍光消光色素で標識されている末端塩基(両端が標識されている場合は、少なくとも一方の末端塩基)がシトシンであるオリゴヌクレオチドプローブがより好ましい。
このようなオリゴヌクレオチドプローブは、増幅産物にハイブリダイズした際に、増幅産物中のグアニン塩基と塩基対を形成して相互作用することで消光できるため、非常に簡便に反応液の蛍光強度の変化を測定することができる。
なお、該プローブがハイブリダイズした際に、該プローブのシトシン塩基と増幅産物中のグアニン塩基が塩基対を形成しなくとも、それらの塩基同士の距離が近ければ蛍光は消光できる。例えば、詳細は特許文献5に記載があり、本発明も該技術を参照できる。
また、蛍光消光色素で標識されている末端塩基(両端が標識されている場合は、少なくとも一方の末端塩基)がシトシンでないオリゴヌクレオチドプローブであっても、反応液の蛍光強度の変化を測定できる。例えば、詳細は特許文献5に記載があり、本発明も該技術を参照できる。
オリゴヌクレオチドプローブは、その目的に応じて、一つ以上の標識物質を付加することができる。標識物質には、蛍光物質、化学発光物質、放射性物質、ビオチン、アルカリホスファターゼ、ジゴキシゲニン、ペルオキシダーゼなどがあり、本発明では請求項に記載の事項以外の標識物質をさらに付加してもよい。標識物質は、請求項に記載の事項以外は特に限定されず、検査法に応じて公知の標識物質が標識されたオリゴヌクレオチドプローブを使用することができる。また、オリゴヌクレオチドプローブの標識化のためにリンカーやスペーサーなどを付加してもよい。
また、オリゴヌクレオチドプローブを構成する塩基には、イノシン、ペプチド核酸(PNA)、LNAといったヌクレオチドアナログを含めてもよい。ヌクレオチドアナログを使用することで、特異性の向上などが期待できる。
本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8のいずれかで示される塩基配列またはそれらに相補的な塩基配列で示される塩基配列を含んでいる。該プローブの塩基配列は、従来技術よりも簡便、高感度にノロウイルスG2型を検出するために設計された(実施例1)。さらに、一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識し、該プローブを用いて融解曲線分析を行ったところ、驚くべきことに、融解曲線分析で得られた波形やTm値が標的核酸の塩基配列によってそれぞれ異なることが明らかになった(実施例2、実施例6)。この特徴は、集団感染が発生した際の起因ウイルス株の特定などに応用できる。ノロウイルスの集団感染が発生したとき、感染者から採取した試料(糞便や吐瀉物等)に含まれるノロウイルスG2型ゲノムの配列多型を分析し、融解曲線分析での波形等を比較する。波形が同じであれば感染者の起因ウイルス株が同一であり、異なれば起因ウイルス株が異なると判断することができる。
[ノロウイルスG2型核酸検出方法]
本発明の実施態様の一つは、試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出する方法であって、前記のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプローブを少なくとも含んでいる反応液を用いて、以下の工程(1)〜(3)を行うことを特徴とする、ノロウイルスG2型核酸検出方法である。
(1)ノロウイルスG2型を含むとされる試料を提供する工程。
(2)前記反応液を用いて核酸増幅反応を行う工程。
(3)工程(2)で得られうる増幅産物に、該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定する工程。
[試料]
本発明において使用できる試料はノロウイルスG2型を含む可能性のあるものであれば特に限定されない。例えば、生体試料や食品、環境試料だけでなく、精製核酸等が挙げられる。また、試料は核酸抽出やいくつかの前処理を行ってもよい。試料の核酸抽出や前処理は、当該技術分野で一般的に行われている。前処理としては、ろ過、遠心分離、希釈処理、加熱処理、アルカリ処理、有機溶媒処理、懸濁処理、破砕処理等が挙げられるが、本発明ではこれらに限定されない。
生体試料の例として、特に制限されないが、動植物組織、体液、排泄物、細胞、細菌、ウイルス等が挙げられる。さらに挙げると、血液、血液培養液、尿、膿、髄液、胸水、咽頭拭い液、鼻腔拭い液、喀痰、組織切片、皮膚、吐瀉物、糞便、分離培養コロニー、カテーテル洗浄液等が挙げられる。
食品の例として、水、アルコール飲料、清涼飲料水、加工食品、野菜、畜産物、海産物、卵、乳製品、生肉、生魚、惣菜等が挙げられる。また、食品を測定試料とする場合、その食品の一部あるいは全部を使用できるだけでなく、食品表面を拭き取ったものも使用できる。さらに、調理器具やドアノブを拭き取った材料あるいはそれらを洗浄した洗浄液も試料として用いることができる。
環境試料の例として、水、氷、土壌、空気やエアゾール等が挙げられる。ここでいう水とは、例として、水道水、海水あるいは川や滝、湖、池等から採取した水等が挙げられる。
試料の採取方法、調製方法等は、特に制限されず、試料の種類、目的に応じて公知の方法を用いることができる。
[核酸増幅反応]
核酸増幅法は数コピーの標的核酸を可視化可能なレベル、すなわち数億コピー以上に増幅する技術であり、生命科学研究分野のみならず、臨床診断、食品衛生検査、環境検査等の分野においても広く用いられている。そのような核酸増幅法としては、PCR法、LAMP法、LCR法、TMA法、SDA法等が挙げられる。特に、RNAを増幅する方法には、標的RNAをcDNAに変換後、該cDNAを鋳型に増幅する方法と、標的RNAを直接増幅する方法に大別される。前者の方法には、RT−PCR法、RT−LAMP法等があり、後者の方法には、NASBA法、TRC法、TMA法等が挙げられる。これらの技術は既に当該技術分野において確立されており、目的に合わせて方法を選択することができる。
本発明のノロウイルスG2型核酸検出方法に用いる核酸増幅法はRT−PCR法が好ましいが、これに限定されない。
[RT−PCR]
RT−PCRとは、以下の2工程を行う反応である。特に、反応系を開放することなく以下の2工程を行う反応をワンステップRT−PCRという。
(i)標的RNAをcDNAに変換する逆転写反応(Reverse Transcription)
(ii)cDNAを鋳型に核酸増幅を行うPCR反応(Polymerase Chain Reaction)
ワンステップRT−PCRでは、逆転写反応とPCR反応を同じチューブ内で連続して行うため、操作が簡便でコンタミネーションリスクも低減できるため、より好ましい。
逆転写反応は、主に逆転写酵素によって触媒される反応であり、鋳型RNAをcDNAに変換する。逆転写酵素としては、特に限定されないが、例えばレトロウイルスあるいは細菌由来の逆転写酵素(例えば、MMLV(Moloney Murine Leukemia Virus)−RT(Reverse Transcriptase)、AMV(Avian Myeloblastosis Virus)−RT、RAV(Rous−associated virus)2−RT、EIAV(Equine Infectious Anemia Virus)−RT、カルボキシドサーマス・ハイドロゲノフォルマン(Carboxydothermus hydrogenoformam)DNAポリメラーゼなど)やその変異体が使用される。さらには、Tth DNAポリメラーゼやTaq DNAポリメラーゼなどの逆転写活性を併せ持つDNAポリメラーゼも使用され得る。
PCR反応は、主にDNAポリメラーゼによって触媒される反応であり、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの乖離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって標的核酸を増幅する。DNAポリメラーゼとしては、Taq、Tth、Bst、KOD、Pfu、Pwo、Tbr、Tfi、Tfl、Tma、Tne、Vent、DEEPVENTやその変異体が挙げられる。本発明では、伸長性や熱安定性が優れているKOD DNAポリメラーゼが好ましいが、これに限定されない。
本発明のノロウイルスG2型核酸検出方法においては、前記のいずれかの方法で得られる増幅産物に、前記のいずれかのオリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定し、ノロウイルスG2型核酸を検出する。
ハイブリダイズの条件は、温度、pH、陽イオン濃度、溶液中の有機溶媒の存在等によって影響を受けるため、実施する核酸増幅反応等に合わせて至適化すればよい。
前記のノロウイルスG2型核酸検出方法における工程(3)の核酸検出の態様としては、例えば、以下の工程(3a)〜(3c)の少なくともひとつを含んでいる方法を用いても良い。
(3a)得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターする工程。
(3b)前記工程(2)の終了後に、得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターする工程。
(3c)前記工程(2)の終了後に、得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度の温度依存性を測定することで、ノロウイルスG1型核酸を検出あるいは該核酸の塩基配列多型を分析する工程。
[核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニター]
核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターすることで、試料中に含まれる標的核酸を迅速に検出することができる。さらに、増幅率に基づいて試料中に含まれる標的核酸の定量も可能である。
例えば、蛍光消光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む反応液の蛍光強度を測定することで、核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターする。核酸増幅反応の任意の時点で、反応液の蛍光強度を測定する。試料中にノロウイルスG2型RNAが含まれている場合、増幅した核酸量に依存してオリゴヌクレオチドプローブが増幅核酸にハイブリダイズして蛍光強度が増加(あるいは減少)する。取得した蛍光強度を時間(PCR反応ではサイクル数)に対してプロットすることで、核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターできる(例えば、実施例3)。
[核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニター]
核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターすることで、試料中に含まれる標的核酸を迅速に検出することができる。さらに、エンドポイントでの蛍光強度等を比較することで標的核酸の定量も可能である。
例えば、蛍光消光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む反応液の蛍光強度を測定することで、核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターする(例えば、実施例4)。核酸増幅反応終了後に、反応液の蛍光強度を測定する。反応後の反応液の蛍光強度を反応前の反応液の蛍光強度と比較することで、標的核酸の増幅の有無を確認できる。あるいは、反応後の反応液の反応強度をコントロール反応液の反応強度と比較することでも試料中に含まれる標的核酸の有無を確認することができる。コントロール反応液とは、測定したい試料の代わりに陰性と判明している試料あるいは陽性と判明している試料を加えた反応液である。
核酸増幅反応の進行は、一般的にリアルタイムでモニターすることが好ましいが、検出工程をより簡便にする等の目的では、エンドポイントでモニターすることが好ましい。
[蛍光強度の温度依存性を測定]
蛍光強度の温度依存性を測定するとは、具体的には、反応液の温度を低温から高温に変化させながら、各温度における蛍光強度を測定することである(例えば、実施例5)。得られた蛍光強度について温度で一次微分することにより、使用するオリゴヌクレオチドプローブに固有の融解温度(Tm値)を求めることができる。また、蛍光強度は目的に合わせて蛍光消光率等に変換してもよい。
Tm値を用いた標的核酸の検出、分析等を融解曲線分析という。一般的に、Tm値は、オリゴヌクレオチドがその相補鎖と二本鎖を形成している割合と二本鎖を形成せず一本鎖である割合が等しいときの温度をいう。Tm値は、塩基配列に固有の値であるため、融解曲線分析は標的核酸の塩基配列多型を分析する手法として使用できる。ここでいう塩基配列多型とは、一塩基多型、塩基置換、塩基欠損、塩基挿入等を含む。
一例として、融解曲線分析はSNP解析などにも応用されている。
オリゴヌクレオチドプローブに対して標的核酸の塩基配列に変異がある場合、プローブがハイブリダイズした際に塩基がミスマッチしているため、一般的にTm値は低くなる。したがって、Tm値の大きさを比較することで一塩基多型の解析(SNP解析)を行うことができる。
本発明のオリゴヌクレオチドプローブを用いて融解曲線分析を行うことで、驚くべきことに、融解曲線分析で得られた波形やTm値を比較することで、ノロウイルスG2型遺伝子型を区別することができた(実施例2、6)。一般的に使用されるTaqMan加水分解プローブなどではノロウイルスG2型遺伝子型を区別することができないため、ノロウイルスG1型遺伝子型を区別できることは、本発明のオリゴヌクレオチドプローブの特筆すべき特徴である。
[ノロウイルスG2型を検出するための試薬]
本発明の別の実施態様として、試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出するための試薬が挙げられる。試薬には、請求項に記載のオリゴヌクレオチドプローブに加えて、核酸増幅に必要な成分が少なくとも含まれる。必要な成分は、実施する核酸増幅反応によって異なっており、それぞれ公知の方法を用いることができる。例えば、RT−PCR反応を用いて試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出する場合、オリゴヌクレオチドプローブ、逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、オリゴヌクレオチドプライマー、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTPs)、マグネシウム塩またはマンガン塩が少なくとも含まれる(DNAポリメラーゼが逆転写活性を有する場合は逆転写酵素を含まなくてもよい)。
さらに、非特異増幅の抑制や反応促進を目的として、当該技術分野で知られる添加物等を加えてもよい。非特異増幅の抑制を目的とする添加物として、抗DNAポリメラーゼ抗体やリン酸等が挙げられる(特許文献1)。反応促進を目的とする添加物として、ウシ血清アルブミン(BSA)、プロテアーゼインヒビター、シングルストランド結合タンパク質(SSB)、T4遺伝子32タンパク質、tRNA、硫黄または酢酸含有化合物類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ホルムアミド、アセトアミド、ベタイン、エクトイン、トレハロース、デキストラン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ゼラチン、塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、酢酸テトラメチルアンモニウム(TMAA)、ポリエチレングリコール、トリトン(Triton)、ツイーン(Tween20)、ノニデットP40などが挙げられる。本発明では、これらの添加物を1種類以上組み合わせて使用してもよいが、これらに限定されない。
オリゴヌクレオチドプライマーは、核酸増幅反応において核酸増幅の起点として使用されるオリゴヌクレオチドであり、当該技術分野において一般的に使用されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。また、実施する核酸増幅反応によって複数種類のオリゴヌクレオチドプライマーが使用される。特異性の高いオリゴヌクレオチドプライマーは、3’末端がターゲット配列に対して相補的であることが重要であり、言い換えれば、3’末端が相補的であれば5’末端が相補的でなくとも有効なプライマーとしてはたらくとされている。このことから、本発明で使用するオリゴヌクレオチドプライマーも3’末端がゲノム配列に対して相補的な配列を有するように設計することが好ましい。さらに、標的核酸がノロウイルスRNAのように塩基配列多型である場合、縮重プライマーを使用してもよい。
[ノロウイルスG2型を検出するためのキット]
さらに、本発明の別の実施態様として、試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出するための試薬を含むキットが挙げられる。キットの構成は、前記試薬を含み、ノロウイルスG2型核酸を検出できるよう構成されていれば特に限定されない。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1:ノロウイルスG2型ゲノムのアライメントとオリゴヌクレオチドプローブの設計
(1−1)方法
従来技術よりも簡便、高感度にノロウイルスG2型を検出するオリゴヌクレオチドプローブを設計するために、ノロウイルスG2型ゲノムのアライメントを行った。なお、アライメントは、日本国内で使用実績のあるオリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズする領域で行った(特許文献4、非特許文献3)。ノロウイルスG2型ゲノムをNCBI(National Center for Biotechnology Information)のデータベースから取得し、それらのアライメントを行った(全46配列)。
(1−2)結果
アライメントの結果を図1に示す。図1のアライメントより、それぞれの一塩基多型の位置等を計算し、すべてのゲノム配列に結合できると考えられる配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8で示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプローブを設計した。なお、一例として、配列番号1に示すオリゴヌクレオチドプローブとそれぞれのゲノム配列のミスマッチ塩基数を図1に記載している。
ミスマッチ塩基数はゲノム配列に対して0〜2個であり、すべてのゲノム配列にハイブリダイズできると予想された。従来技術ではすべてのノロウイルスG2型ゲノムを検出するために複数のオリゴヌクレオチドプローブを使用しなければならなかったが(非特許文献3)、本発明によって、1種類のオリゴヌクレオチドプローブに改良することができた。
実施例2:オリゴヌクレオチドプローブとゲノム配列とのハイブリダイズ解析
(2−1)方法
設計したオリゴヌクレオチドプローブは、ゲノム配列に対して0〜2個であり、かつミスマッチ塩基の位置等がゲノム配列によって異なるため(図1参照)、融解曲線分析を行うことで各ゲノム配列を区別できるのではないかと予想した。そこで、融解曲線分析を行うために、一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識したオリゴヌクレオチドプローブを設計した。該プローブが、ノロウイルスG2型ゲノムとハイブリダイズ可能であるか、融解曲線分析でゲノムの塩基配列多型を区別できるか、を確かめるために合成オリゴヌクレオチドを鋳型に融解曲線分析を行った。
試薬はジーンキューブ(登録商標)テストベーシック(東洋紡社)を使用した。添付の「プライマー・プローブ希釈液」を使用して以下のようにオリゴヌクレオチドプローブ、鋳型DNA等を混合した。なお、オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号3で示される配列を使用し、3’末端をBODIPY−FLで標識した。
オリゴヌクレオチドプローブ 0.3μM
鋳型合成オリゴヌクレオチド 1μM
測定装置にGENECUBE(登録商標)(東洋紡社)を用いて融解曲線分析を行った。
(2−2)結果
使用した鋳型合成オリゴヌクレオチドの配列を図2、測定結果を図3に示す。使用した鋳型合成オリゴヌクレオチドは、設計したプローブが問題なくハイブリダイズできるかを確認するために、ミスマッチ塩基数が2個であるものを主に解析した。図3より、ミスマッチ塩基数が最大の2個であっても、設計したプローブがハイブリダイズできることを確認できた。さらに驚くべきことに、それぞれの融解曲線分析で得られた波形やTm値が鋳型の塩基配列によってそれぞれ異なることが明らかになった。したがって、この驚くべき特徴を利用することで、ノロウイルスG2型ゲノムの配列多型を分析することが可能であると考えられる。
この特徴は、例えば、集団感染が発生した際の起因ウイルス株の特定などに応用できる。ノロウイルスの集団感染が発生したとき、感染者から採取した試料(糞便や吐瀉物等)に含まれるノロウイルスG2型ゲノムの配列多型を分析し、融解曲線分析での波形等を比較する。波形が同じであれば感染者の起因ウイルス株が同一であり、異なれば起因ウイルス株が異なると判断することができる。
実施例3:リアルタイムでモニターできるノロウイルスG2型RNAの検出(ワンステップRT−PCR反応)
(3−1)方法
配列番号9、10で示される塩基配列を含む人工合成したノロウイルスG1型RNA断片及びノロウイルスG2型RNA断片(50コピー/テスト、250コピー/テスト、1250コピー/テスト)を試料としてワンステップRT−PCR反応を行った。なお、オリゴヌクレオチドプローブは、実施例1、2で設計したものを使用し、オリゴヌクレオチドプライマーは非特許文献3に記載のプライマーを使用した。
(3−2)反応液
ジーンキューブ(登録商標)テストベーシック(東洋紡社)を使用して以下に示される成分を含む反応液を調製した。反応液の調製等はジーンキューブ(登録商標)テストベーシックの取扱説明書に従った。
1.5μM COG2Fプライマー(配列番号11)
0.5μM COG2Rプライマー(配列番号12)
0.3μM オリゴヌクレオチドプローブ(配列番号3)
0.05unit/μL RevertraAce(東洋紡社)
(3−3)反応
GENECUBE(登録商標)を用いて、前記反応液を以下の温度サイクルで反応させ、各サイクルにおける蛍光強度を測定した。
42℃ 180秒(逆転写反応)、
94℃ 30秒、
98℃ 1秒−60℃ 10秒−63℃ 10秒(サイクル数60回)
(3−4)結果
図4は、オリゴヌクレオチドプローブとして配列番号3で示される配列を有するものを用いた場合において、測定で得られた蛍光強度(消光率に変換)をサイクル数にプロットした図である。図4より、試料中にノロウイルスG2型RNAが存在するとき、オリゴヌクレオチドプローブが増幅核酸にハイブリダイズし、蛍光強度が変化していくことが明らかとなった。また、鋳型RNA量にしたがって、蛍光強度が変化するため、鋳型RNAの定量も可能であった。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドプローブを使用して、核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターできることが示された。
オリゴヌクレオチドプローブとして配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8で示される配列を有するものを用いた場合においても、それぞれ同様の結果が得られた。
実施例4:エンドポイントでモニターできるノロウイルスG2型RNAの検出(ワンステップRT−PCR反応)
(4−1)方法
実施例3と同様の反応液、反応条件を用いて、配列番号9、10を鋳型として人工合成したノロウイルスG1型RNA断片及びノロウイルスG2型RNA断片(50コピー/テスト、250コピー/テスト、1250コピー/テスト)を試料としてワンステップRT−PCR反応を行った。各試料の核酸増幅前及び増幅後の蛍光強度を測定した。
(4−2)結果
図5に、オリゴヌクレオチドプローブとして配列番号3で示される配列を有するものを用いた場合におけるそれぞれの蛍光強度及び蛍光変化率を示す。蛍光変化率(本実施例では消光率を表す)は、(増幅前蛍光強度−増幅後蛍光強度)/(増幅前蛍光強度)の式より求めた。図5より、G2型RNA量にしたがって、蛍光強度が変化することが明らかになり、鋳型RNAの定量も可能であった。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドプローブを使用して、核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターできることが示された。
オリゴヌクレオチドプローブとして配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8で示される配列を有するものを用いた場合においても、それぞれ同様の結果が得られた。
実施例5:融解曲線分析によるノロウイルスG2型RNAの検出(ワンステップRT−PCR反応)
(5−1)方法
実施例3と同様の反応液、反応条件を用いて、配列番号9、10を鋳型として人工合成したノロウイルスG1型RNA断片及びノロウイルスG2型RNA断片(50コピー/テスト、250コピー/テスト、1250コピー/テスト)を試料としてワンステップRT−PCR反応を行った。核酸増幅反応後に以下の条件による融解曲線分析を行った。
94℃ 30秒、
39℃ 30秒、
40−75℃ 0.09℃/秒
(5−2)結果
図6に、オリゴヌクレオチドプローブとして配列番号3で示される配列を有するものを用いた場合における融解曲線分析の結果を示す。図6より、融解曲線分析によって試料中に含まれるノロウイルスG2型RNAを検出できることが示された。
オリゴヌクレオチドプローブとして配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8で示される配列を有するものを用いた場合においても、それぞれ同様の結果が得られた。
実施例6:糞便試料に含まれるノロウイルスG2型の検出(ワンステップRT−PCR反応)
(6−1)方法
ノロウイルスG1型を含む糞便試料、ノロウイルスG2型を含む糞便試料、ノロウイルスを含まない陰性糞便試料を試料として、実施例5と同様に核酸増幅及び融解曲線分析を行った。糞便試料は、ヒト糞便を水で懸濁した試料である。
(6−2)結果
図7に、オリゴヌクレオチドプローブとして配列番号3で示される配列を有するものを用いた場合における融解曲線分析の結果を示す。ノロウイルスG2型が含まれる糞便試料では、融解曲線分析で蛍光ピークが確認されたが、ほかの試料ではピークが確認されなかった。さらに驚くべきことに、ノロウイルスG2型陽性糞便試料について、融解曲線分析で得られたTm値が試料によって異なった。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドプローブを使用することで、ノロウイルスG2型遺伝子型を区別できることが示された。
オリゴヌクレオチドプローブとして配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8で示される配列を有するものを用いた場合においても、それぞれ同様の結果が得られた。
本発明に記載のオリゴヌクレオチドプローブ及び該プローブを使用した方法またはキットを使用することで、簡便、高感度に試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出できるようになった。さらに驚くべきことに、ノロウイルスG2型ゲノムの塩基配列多型の分析を簡便に行うことができるようになった。したがって、本発明は研究用途のみならず臨床診断や食品衛生検査、環境検査等にも大きく貢献することができる。

Claims (9)

  1. 試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出するためのオリゴヌクレオチドであって、以下の特徴(A)、(B)を有するオリゴヌクレオチドプローブ。
    (A)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8のいずれかで示される塩基配列またはそれらに相補的な塩基配列で示される塩基配列を含む。
    (B)少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されている。
  2. 前記(B)の蛍光消光色素が、4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオン酸(BODIPY−FL)、カルボキシローダミン6G、TAMRA、ローダミン6G、テトラブロモスルホンフルオレセイン(TBSF)、2−オキソ−6,8−ジフルオロ−7−ジヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(Pacific Blue)のいずれかである請求項1に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
  3. 前記(B)において、蛍光消光色素で標識されている末端塩基(両端が標識されている場合は、少なくとも一方の末端塩基)がシトシンである請求項1または2に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
  4. 試料中に含まれるノロウイルスG2型を検出する方法であって、請求項1〜3のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプローブを少なくとも含んでいる反応液を用いて、以下の工程(1)〜(3)を行うことを特徴とする、ノロウイルスG2型核酸検出方法。
    (1)ノロウイルスG2型を含むとされる試料を提供する工程。
    (2)前記反応液を用いて核酸増幅反応を行う工程。
    (3)工程(2)で得られうる増幅産物に、該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定する工程。
  5. 前記工程(2)の核酸増幅反応がRT−PCR反応である請求項4に記載の方法。
  6. RT−PCR反応がワンステップRT−PCR反応である請求項5に記載の方法。
  7. 前記工程(3)が以下の工程(3a)〜(3c)の少なくともひとつを含んでいる請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
    (3a)得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターする工程。
    (3b)前記工程(2)の終了後に、得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターする工程。
    (3c)前記工程(2)の終了後に、得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度の温度依存性を測定することで、ノロウイルスG2型核酸を検出あるいは該核酸の塩基配列多型を分析する工程。
  8. 請求項4〜7のいずれかを実施するための試薬。
  9. 請求項4〜7のいずれかを実施するための試薬を含むキット。
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