JP5754100B2 - エンテロウイルス71rnaの検出方法および検出試薬 - Google Patents

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Description

本発明は、迅速、かつ高感度にエンテロウイルス71RNAを検出する方法、および該方法に用いるための検出試薬に関する。本発明は、臨床検査、公衆衛生、食品検査、食中毒検査の分野に有用である。
エンテロウイルス71はピコルナウイルス科、エンテロウイルス属に属するウイルスであり、約7500塩基の1本鎖RNAをゲノムに持つノンエンベロープウイルスである。エンテロウイルス属には、ポリオウイルス、コクサッキーA群ウイルス、コクサッキーB群ウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルスなどが含まれており、100程度の血清型を有することが明らかにされている。
エンテロウイルスは、急性灰白髄炎(ポリオ)、無菌性髄膜炎、ヘルパンギーナ、手足口病、急性出血性結膜炎、急性脳炎など、ヒトに対して多様な病原性を示すことが知られている。
この中で、手足口病は、口腔および四肢末端に発疹ができることを特徴とした疾患であり、主に夏季に乳幼児を中心として流行する、きわめてありふれたエンテロウイルス感染症である。
手足口病の主要な原因ウイルスは、エンテロウイルス71(以降、EV71と表記する)およびコクサッキーA群ウイルス16(以降、CA16と表記する)であることが知られており、年により、規模や主要な原因ウイルスが異なることが知られている。
近年、東アジア地域における大規模な手足口病流行時に、EV71感染が原因と考えられる、無菌性髄膜炎や急性脳炎患者が多発し、死亡例をともなう重症化事例も報告されている。また、日本でも、散発的ではあるものの、EV71感染による重症例が認められている。これらのことから、EV71感染による手足口病の流行時には、中枢神経合併症に対する警戒が必要であると考えられている。(非特許文献1および2) しかしながら、臨床症状から、手足口病の原因ウイルスを特定することは不可能であるため、EV71とCA16とを鑑別する検査方法の開発が強く望まれている。
エンテロウイルスの検出方法には、従来から用いられてきた方法として、培養細胞によるウイルス分離とそれに続く中和法、または蛍光抗体法による同定法が知られている。これらの方法では、エンテロウイルス感染が疑われる患者の検体を感受性培養細胞に接種し、1週間程度培養しウイルス分離を行ってから、抗血清を用いた中和法、または、蛍光抗体法などにより、ウイルスの同定を行う。これらの方法は、エンテロウイルス分離・同定の基本であり、適切な抗血清を使用すれば信頼性が高い方法であるといわれているが、ウイルス分離に1週間程度を要する、非常に時間のかかる方法である。
臨床現場における、手足口病の診断においては、原因ウイルスを迅速に鑑別し、患者の重症化のリスクを把握することが重要である。なぜならば、診断の結果、EV71が検出された場合、症状の推移を注意深く観察し、または適切な医療上の処置を講ずることにより、重症化を回避、または、重症化したとしても、早期に回復することが期待できるからである。このように、長時間を要する検出法では、臨床現場における手足口病の原因ウイルスの鑑別による重症化リスクを判断する目的では、適用することが困難であるため、より迅速な検出方法の開発が強く望まれていた。
そこで、エンテロウイルスを迅速に検出する方法として、イムノクロマトグラフィーの適用が考えられる。イムノクロマトグラフィーは、非常に迅速な検査方法であることが知られており、インフルエンザウイルスや、アデノウイルス検査などに広く用いられている。
しかしながら、現在、手足口病の原因ウイルス検査を目的とした、実用的なイムノクロマトグラフィーは見当たらない。このことは、おそらく、イムノクロマトグラフィーの検出感度が、分離・同定法に比べて低いことや、検出に多量のウイルスを必要とすること、EV71に良好な特異性を持ち、イムノクロマトグラフィーに適応しやすい抗体が得られていないことなどが原因と推定される。
一方、エンテロウイルスを迅速かつ高感度に測定する手段としてエンテロウイルスRNAをRT−PCRで増幅し、増幅産物を電気泳動で検出する方法や、増幅産物をシークエンスする方法、型特異的オリゴヌクレオチドプローブで検出する方法(特許文献1)などが挙げられる。RT−PCR法は、エンテロウイルスのRNAを鋳型に逆転写(RT)反応を行い、RNAに相補的なDNA鎖を合成し、該DNA鎖を鋳型としてPCR反応を行なうことにより、高感度にエンテロウイルスを検出する方法である。該方法では、従来の分離・同定法と比較して、極めて迅速かつ高感度にエンテロウイルスを検出することが可能である。
これらの方法の場合、一般的には逆転写(RT)工程およびPCR工程の二段階の工程が必要であり、このことは操作を煩雑にして再現性を悪化させる要因となるだけでなく、コンタミネーションの危険性を増加させることになる。特に、一般的なRT−PCR法は、RT工程とPCR工程、さらには増幅産物の検出・ウイルスの同定のための電気泳動、シークエンス解析、または、型特異的オリゴヌクレオチドプローブによるハイブリダイゼーション法など、多段階の工程から成り立っている。また、それぞれの工程の間に、反応産物を移し替える操作が要求されたり、コンタミネーションの危険性が極めて高い操作である、増幅産物の電気泳動による検出操作や、シークエンス操作、ハイブリダイゼーション操作が必要である。さらに、前記RT工程およびPCR工程、さらには増幅産物の検出工程を合わせると通例4〜5時間以上の時間を要し、迅速であるとはいえず、また、多数検体処理や検査コストの低減には不向きであった。
RT−PCR法における、上記した課題の一部を解決した方法として、Taqmanプローブなどのハイブリダイゼーションプローブを用いたReal−time RT−PCR法(非特許文献3および4)があげられる。該方法は、PCR工程と増幅産物の検出工程が同時であるため、増幅産物の電気泳動によるコンタミネーションリスクを回避し、かつ、検査時間の短縮を実現した優れた検出方法である。しかしながら、該方法でも一般的にはRT工程およびPCR工程の二段階の工程が必要であり、操作の煩雑性とコンタミネーションの可能性を完全に克服した検査方法であるとはいえず、検査時間も、従来のRT−PCR法よりも短縮されているものの、RT工程およびPCR工程を合わせると通例3時間以上の時間を要し、臨床現場で適用可能な迅速検査であるとは言えない。
また、PCR工程は、原則的に熱変性、プライマー・アニール、伸長反応からなる急激な温度サイクルを必要とし、システム化を考える場合に簡素化および低コスト化のための大きな障壁となっている。
一方、一定温度でRNAのみを増幅する方法として、NASBA法(特許文献2および3)、TMA法(特許文献4)およびTRC法(特許文献5および6、非特許文献7)などが報告されている。これらのRNA増幅方法は、標的となるRNAに対してプロモーター配列を含むプライマー、逆転写酵素及び必要に応じてリボヌクレアーゼH(RNaseH)により、プロモーター配列を含む2本鎖DNAを合成し、この2本鎖DNAを鋳型としRNAポリメラーゼによって標的RNA由来の特定塩基配列を含むRNAを生産し、このRNAが引き続きプロモーター配列を含む2本鎖DNA合成の鋳型となる連鎖反応を行うものである。そして、RNA増幅後、電気泳動または検出可能な標識を結合させた核酸プローブを用いたハイブリダイゼーション法などにより増幅されたRNAを検出する。
前記RNA増幅法は一定温度、一段階でRNAのみを増幅することから簡便なRNA測定に適しているが、ハイブリダイゼーション法などによる検出は煩雑な操作を必要とするため、多数検体処理や自動化に不適であるばかりでなく、結果として再現性不良や増幅核酸の二次汚染を招きやすいという課題がある。また、結果が出るまでに通常、NASBA、TMA共に90分以上必要であり、迅速な結果を得るには至っていない。さらに、増幅工程は一定温度であるものの、通例は増幅工程前に変性のための加温(例えば、65℃)が必要であり(特許文献3実施例1および特許文献4実施例1に記載)、反応装置の省力化や低コスト化のための課題となっていた。
一段階反応のRNA増幅法の一つであるNASBA法に改良を加え、電気泳動による増幅産物の検出を不要とした、リアルタイム検出NASBA法によるエンテロウイルスの検出方法(非特許文献5および6)が報告されている。該方法によれば、RT−PCRのように、RT工程とPCR工程の二段階の工程が一段階の工程となり、操作の煩雑性の低下、およびコンタミネーションリスクの低減を実現した方法であるといえる。しかしながら、該方法をもってしても、エンテロウイルスの検出に数時間を要するため、依然として迅速性に課題があるとともに、EV71を特異的に検出することが不可能であり、手足口病患者の重症化リスクを評価することはできない。
簡便に、一定温度・一段階でRNAを増幅・測定する方法としてはTRC法(特許文献5〜7、非特許文献7)が挙げられる。当該方法は、インターカレーター性蛍光色素で標識され、標的核酸と相補的に2本鎖を形成するとインターカレーター性蛍光色素部分が前記2本鎖部分にインターカレートすることによって、蛍光特性が変化するように設計されたオリゴヌクレオチドプローブ存在下、前記RNA増幅法を実施し、蛍光特性の変化を測定するもので、プライマーなどの結合領域を標的RNAの(二次構造を計算して推定した)高次構造フリー領域に設定することで、一定温度、一段階かつ密閉容器内でRNA増幅および測定を、同時にかつ迅速(30分以内)・簡便に実施することが可能である(非特許文献5)。
このRNA増幅測定法は、前記RNA検出法の中で、迅速性、簡便性、信頼性の点から、特に好適な方法といえる。ただし、該RNA増幅測定法は、比較的低温度(35〜60℃)の一定温度で実施し、変性工程をまったく行わないため、標的RNAの高次構造の影響だけでなく、プライマーダイマー等の非特異的増幅の影響も受けやすいため、そのプライマーセットの設計には細心の配慮が必要で、汎用されているPCRプライマー用の設計手法では不十分なことが明らかである。
特開平8−173195号 特許2650159号公報 特許3152927号公報 特許3241717号公報 特開2000−14400号 特開2001−37500号 特開2001−353000号 特開平8−211050号公報 特開2001−13147号公報
清水博之(2005)、日本臨牀、Vol.63、Suppl.7、389−392 清水博之(2007)、感染症、Vol.37、No.4、117−124 Xiao,X.,et al.(2009)Arch.Virol.,154,121−125. Tan,E.,et al.(2008)Diag.Micro.AND Inf.Dis.,61,294−301. Capaul,S.,et al.(2005)J.of Clin.Viol.,32,236−240. Costa,A.,et al.(2008)Curr.Microbiol.,56,80−83. 病原体検出情報、Vol.30、No.1(No.347)January 2009、9−10 Ishiguro T.et al.(2003)Anal.Biochem.,314,77−86 Ishiguro T.et al.(1996)Nucleic Acids Res.,24,4992−4997
冒頭で述べたとおり、EV71やCA16が含まれるエンテロウイル属には、約100程度と多様な血清型が存在することが知られており、エンテロウイルスは、ヒトに対して多様な疾患を引き起こし、また、疾患ごとに、主な原因ウイルスが異なることも知られている。エンテロウイルスが引き起こす疾患で、代表的なものの一つである手足口病は、5歳以下の小児および乳幼児を中心に夏期に流行する。手足口病は、一般に予後は良好であるものの、EV71を原因とする場合、重症化するリスクが高いことが知られており、EV71の迅速かつ高感度な検出方法の開発が望まれているのは、前述の通りである。
手足口病のおもな原因ウイルスは、EV71とCA16であるため、リスク管理の目的として、これらの血清型を、特異性よく鑑別する必要がある。さらに、EV71は、多様な遺伝子群(ジェノグループ)が存在することが知られており、現在、ジェノグループA、ジェノグループB1から4、ジェノグループC1から4の分類が提唱されている。(非特許文献1)。また、報告数に差は見られるものの、全てがヒトに対する病原性を有するため、これらの多様な遺伝子群を全て検出することが必要である。
このように、EV71の多様な遺伝子群を、高感度、高特異的、かつ、簡便、迅速に測定することが可能な検出方法を提供することが、本発明が解決すべき課題である。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、一度の測定でEV71の多様な遺伝子群/遺伝子型を高感度、高特異的、かつ、迅速に検出することが可能となった。
本発明中の第一の発明は、試料中のエンテロウイルス71RNAの特定塩基配列を増幅し検出する方法であって、前記特定塩基配列の増幅が、配列番号1または6に記載の塩基配列の少なくとも連続する15塩基にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列から選ばれた1種類以上の第一のプライマー、および、配列番号8に記載の塩基配列の少なくとも連続する15塩基にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列から選ばれた1種類以上の第二のプライマーを用いてなされることを特徴とする、エンテロウイルス71RNAの検出方法である。
第二の発明は、第一の発明における特定塩基配列の増幅において、第一のプライマーとして、配列番号5または7に記載の塩基配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列から選ばれた1種類以上のオリゴヌクレオチド、および、第二のプライマーとして、配列番号10に記載の塩基配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列から選ばれた1種類以上のオリゴヌクレオチドを用いることを特徴とする、エンテロウイルス71RNAの検出方法である。
第三の発明は、第一の発明あるいは第二の発明における特定塩基配列の増幅において、第一のプライマーとして、配列番号5または7に記載の塩基配列に相補的であるオリゴヌクレオチド、および、第二のプライマーとして、配列番号10に記載の塩基配列に相補的であるオリゴヌクレオチドを用いることを特徴とする、エンテロウイルス71RNAの検出方法である。
第四の発明は、第一の発明から第三の発明における第一のプライマーおよび第二のプライマーの少なくとも一方は、RNAポリメラーゼのプロモーター配列、転写調節部位、制限酵素部位、ステム・ループ構造などから選ばれた機能的配列が、その末端にさらに付加されてなることを特徴とする、エンテロウイルス71RNAの検出方法である。
第五の発明は、試料中のエンテロウイルス71RNAの特定塩基配列を増幅し検出する方法であって、
(1)エンテロウイルス71RNA中の特定塩基配列の一部と相補的な配列を有する第二のプライマーが前記RNAにハイブリダイズし、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により、特定塩基配列に相補的なcDNAを合成し、前記RNAとのRNA−DNA2本鎖を生成する工程、
(2)リボヌクレアーゼH(RNaseH)活性を有する酵素により、前記RNA−DNA2本鎖のRNAを分解する工程(1本鎖DNAの生成)、
(3)該1本鎖DNAに、前記特定塩基配列の一部と相同的な配列を有する第一のプライマーがハイブリダイズし(ここで前記第二または第一のプライマーのいずれか一方はその5’末端にRNAポリメラーゼのプロモーター配列が付加されてなる)、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により、特定塩基配列または特定塩基配列に相補的な配列のRNAを転写可能なプロモーター配列を含む2本鎖DNAを生成する工程、
(4)RNAポリメラーゼ活性を有する酵素により前記2本鎖DNAを鋳型とするRNA転写産物を生産する工程、
(5)該RNA転写産物が、前記(1)の反応におけるcDNA合成の鋳型となることで、連鎖的にRNA転写産物を生成する工程、
(6)前記RNA転写産物量を測定する工程、
からなることを特徴とする、第一の発明から第五の発明に記載のエンテロウイルス71スRNAの検出方法である。
第六の発明は、第五の発明におけるRNA転写産物量の測定が、標的RNAと相補的な2本鎖を形成すると蛍光特性が変化するように設計された蛍光色素標識オリゴヌクレオチドプローブ共存下で前記蛍光特性の変化を測定することによってなされることを特徴とする検出方法である。
第七の発明は、第六の発明における蛍光色素標識オリゴヌクレオチドプローブが、インターカレーター性蛍光色素をリンカーを介して結合させたインターカレーター性蛍光色素標識オリゴヌクレオチドプローブであることを特徴とする検出方法である。
第八の発明は、第七の発明におけるインターカレーター性蛍光色素標識オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号20に記載の塩基配列、あるいはその相補的配列の少なくとも連続する15塩基にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列から選ばれた1種類以上のオリゴヌクレオチドからなることを特徴とする検出方法である。
第九の発明は、第八の発明におけるインターカレーター性蛍光色素標識オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号24または配列番号25に示された配列、あるいはその相補的配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列から選ばれた1種類以上のオリゴヌクレオチドからなることを特徴とする検出方法である。
第十の発明は、第五の発明におけるエンテロウイルス71RNAの検出方法において、前記特定塩基配列中の第一のプライマーとの相同領域の5’末端部位と重複して該部位から5’方向に隣接する領域に相補的な切断用オリゴヌクレオチドとRNase Hにより前記特定塩基配列の5’末端部位で前記RNAを切断する工程を、5’末端にプロモーター配列を付加した前記第一のプライマー、前記第二のプライマー、さらにRNA依存性DNAポリメラーゼ、RNase H、およびDNA依存性DNAポリメラーゼにより、プロモーター配列と該プロモーター配列下流に前記特定塩基配列を含む2本鎖DNAを生成する工程の前に行なうことを特徴とし、
前記切断用オリゴヌクレオチドが、配列番号13または18記載の塩基配列の少なくとも連続する15塩基にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列から選ばれた1種類以上のオリゴヌクレオチドからなることを特徴とする検出方法である。
第十一の発明は、第十の発明における切断用オリゴヌクレオチドが、配列番号17または19に記載の塩基配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列から選ばれた1種類以上のオリゴヌクレオチドからなることを特徴とする、エンテロウイルス71RNAの検出方法である。
第十三の発明は、試料中のエンテロウイルス71RNAの特定塩基配列を増幅し検出するための試薬であって、少なくとも、前記第一のプライマーが配列番号1または6に記載の塩基配列の少なくとも連続する15塩基にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列から選ばれた1種類以上のオリゴヌクレオチド、および前記第二のプライマーが配列番号8に記載の塩基配列の少なくとも連続する15塩基にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列から選ばれた1種類以上のオリゴヌクレオチド、を含むことを特徴とするエンテロウイルス71RNAの検出試薬である。
本発明は、
(1)EV71 RNA中の特定塩基配列を鋳型とし、第一のプライマー及び第二のプライマー、DNAポリメラーゼなどの核酸重合酵素を用いて、前記特定塩基配列を含む核酸を増幅する工程、
(2)該核酸増幅産物を測定する工程、
からなるEV71 RNAの検出方法において、前記第一のプライマー配列番号1および6に記載の配列に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列から選ばれた少なくとも1種類以上のオリゴヌクレトチドからなり、かつ第二のプライマーが配列番号8に記載の配列に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列から選ばれた少なくとも1種類以上のオリゴヌクレトチドからなることを特徴としている。
本発明により、試料中に含まれる微量なEV71 RNAを遺伝子群/遺伝子型を問わず迅速、かつ高感度に増幅、検出することが可能となった。
さらに、プロモーター配列を有する第一のプライマー、または第二のプライマーを用いて得られるRNA転写産物量を測定する工程において、標的RNAと相補的2本鎖を形成するとシグナル特性が変化するように設計された核酸プローブを共存させ、増幅されたEV71RNAの特定核酸に由来する蛍光強度の増加を経時的に測定することにより、EV71RNAの検出を簡便、迅速、かつ高感度に行なうことが可能となった。
本発明の検出方法を用いたEV71 RNAの検出試薬は、一度の測定でEV71 RNAの多くの遺伝子群/遺伝子型を迅速、かつ高感度に検出することができる。特に、従来技術と比較すると圧倒的に迅速である、という特徴を有しているため、臨床現場において、糞便やぬぐい液といった臨床検体中にEV71が存在するかを迅速、かつ簡便に判定することが可能となった。
そのため、手足口病患者の重症化リスクを臨床現場で評価できるようになり、重症化の兆候が見られた際などに、迅速な医療行為を行うことができるようになった。また、手足口病蔓延の防止、およびEV71感染経路の調査研究などに有用である。
実施例2で作製したインターカレーター性蛍光色素標識核酸プローブの構造。B1、B2、B3、B4は塩基を示す。Ishiguroら(非特許文献9)の方法に従いリン酸ジエステル部分にリンカーを介してインターカレーター性蛍光色素(オキサゾールイエロー)を結合させたプローブ。なお、3’末端の水酸基からの伸長反応を防止するために3’末端の水酸基はグリコール酸修飾がなされている。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明中の試料とは、食品、飲料水、環境水、糞便および嘔吐物、鼻腔および咽頭等のぬぐい液、血液、その他の分泌液、体液、組織洗浄液などである。
本発明中の特定塩基配列とは、EV71ゲノムRNA上で、第一のプライマーと相同領域の5’末端から第二のプライマーと相補領域の3’末端までの塩基配列に相同なRNAまたはDNAの塩基配列を示す。すなわち、本発明では前記特定塩基配列あるいはその相補配列に由来するRNA転写産物が増幅されることになる。該RNA転写産物を転写するための鋳型となる2本鎖DNAは、RNAポリメラーゼのプロモーター配列下流のセンス鎖あるいはアンチセンス鎖に特定塩基配列を有する。
本発明中の第一のプライマーとの相同領域の5’末端部位とは、特定塩基配列内で該相同領域の5’末端を含む部分配列からなり、該部位は後述する切断用オリゴヌクレオチドとの相補領域と第一のプライマーとの相同領域が重複する部位である。
本発明中のEV71RNAを増幅し検出する工程における、RNA増幅法としては、TRC、NASBA、TMA、RT−PCR、RT−LAMPなどが使用可能であり、特に限定されないが、混入するDNAの影響を受けず、一定温度で実施可能なRNA増幅法であるTRC、NASBA、TMAなどが好ましい。
検出方法としては既知の核酸検出方法が使用可能であるが、ハイブリダイズすることによって蛍光特性が変化するように設計された蛍光物質標識プローブを使用することが好ましい。該蛍光物質標識プローブとしては、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を利用した蛍光標識プローブやインターカレーター標識プローブなどが挙げられる。前記EV71RNAを増幅し検出する工程における最も好適な方法は、他法に比して顕著に迅速で、一定温度・一段階でRNAを増幅し、同時に増幅産物をモニタリングする特許文献5に記載の方法であるが、本願以前にEV71を迅速に検出する方法は提示されていなかった。
本発明中のストリンジェントな条件とは特に限定されるものではないが、例えば、42℃における50%(v/v)ホルムアミド、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%フィコール、0.1%のポリビニルピロリドン、50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)、150mMの塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム、や本明細書の実施例に記載のRNA増幅条件など、あるいはこれらの適宜改変された条件が挙げられる。本明細書中で単にハイブリダイズすると記載された場合、ストリンジェントな条件でハイブリダイズすることを指す。また、該条件におけるハイブリダイゼーションの十分な特異性や効率が得られる範囲内で、塩基の置換、欠失、付加、修飾等が可能であり、長さも任意に設定できる。
本発明の好適な態様では、配列番号1または6で示された塩基配列の少なくとも連続する15塩基にハイブリダイズ可能な配列、配列番号8に示された塩基配列の少なくとも連続する15塩基にハイブリダイズ可能な配列を選定することができる。
本発明中の、少なくとも連続する15塩基とは、機能的なプライマーとして常識の範囲内で設定可能であることを示すものであり、通例は連続する15塩基以上50塩基未満を指す。
本発明中のRNAポリメラーゼあるいはRNAポリメラーゼ活性を有する酵素は特定のプロモーター配列が既知のものなら特に限定されないが、分子生物学の分野で汎用されるバクテリアファージ由来の、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼなどを使用することができる。
本発明中のプロモーター配列としては、前記RNAポリメラーゼに対応するプロモーター配列を使用する。また前記プロモーター配列には、転写効率に影響を及ぼすことが知られている転写開始領域が付加されていても良い。
本発明中の、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素、リボヌクレアーゼH(RNaseH)活性を有する酵素、およびDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素は、それぞれ別個あるいは種々の組合せで添加することもできるが、前記活性を併せ持つレトロウイルス由来の逆転写酵素を使用することもできる。該逆転写酵素は特に限定されないが、分子生物学の分野で汎用される、AMV(Avian Myeloblastosis Virus)逆転写酵素、MMLV(Molony Murine Leukemia Virus)逆転写酵素、RAV(Rous Associated Virus)逆転写酵素、HIV(Human Immunodeficiency Virus)逆転写酵素などが使用可能である。
前述したように、EV71にはジェノグループA、B、Cが存在し、ジェノグループB、Cには、それぞれ、B1から4(5)、C1から4(5)と多様な遺伝子群、遺伝子型が存在していることが知られている(非特許文献1および8)。
非特許文献1において系統樹解析されているEV71株の塩基配列情報を入手し、遺伝子群間の塩基配列のホモロジーを確認した結果、塩基配列が高度に保存されている領域は比較的限定的であることが分かった。さらに、ジェノグループAは、他のジェノグループB、Cに対して、塩基配列のホモロジーが低いことが分かった。
そのため、第一のプライマー、第二のプライマーをそれぞれ一種類ずつ用いたオリゴヌクレオチドの組み合わせにより、EV71RNAを遺伝子群/遺伝子型を問わず迅速、かつ高感度に検出することは困難であると予想された。
そこで発明者らは、多様な遺伝子群/遺伝子型を測定するために、第一のプライマー、第二のプライマーをそれぞれ一種類以上用いたオリゴヌクレオチドの最適な組み合わせについて鋭意研究を重ねた結果、一度の測定でEV71の多様な遺伝子群/遺伝子型を迅速、かつ高感度に検出する方法を見出した。
本発明において第一のプライマーはEV71 B3 RNAの一部に相補的な配列番号1に記載の塩基配列に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列、および、EV71 A RNAの一部に相補的な配列番号6に記載の塩基配列に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列の中から選ばれる一種類以上のオリゴヌクレオチドからなり、かつ第二のプライマーはEV71 B3 RNAの一部に相同な配列番号8に記載の塩基配列に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列の中から選ばれる一種類以上のオリゴヌクレオチドからなる。
本発明の一態様は、第一のプライマーが配列番号5および7に記載の配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドから選ばれた少なくとも一種のオリゴヌクレオチドからなり、かつ第二のプライマーが配列番号10に記載の配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドからなる。
本発明のより好ましい一態様は、第一のプライマーが配列番号5および7に記載の配列に相補的なオリゴヌクレオチドの混合物からなり、かつ第二のプライマーが配列番号10に記載の配列に相補的なオリゴヌクレオチドの混合物からなる。
さらに、本発明の別の一態様としては、EV71 ゲノムRNA中の特定塩基配列の一部と相補的な配列を有する第二のプライマーが前記RNAにハイブリダイズし、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により、特定塩基配列に相補的なcDNAを合成し、前記RNAとのRNA−DNA2本鎖を生成する工程、
(2)リボヌクレアーゼH(RNaseH)活性を有する酵素により、前記RNA−DNA2本鎖のRNAを分解する工程(1本鎖DNAの生成)、
(3)該1本鎖DNAに、前記特定塩基配列の一部と相同的な配列を有する第一のプライマーがハイブリダイズし(ここで前記第二または第一のプライマーのいずれか一方はその5’末端にRNAポリメラーゼのプロモーター配列が付加されてなる)、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により、特定塩基配列または特定塩基配列に相補的な配列のRNAを転写可能なプロモーター配列を含む2本鎖DNAを生成する工程、
(4)RNAポリメラーゼ活性を有する酵素により前記2本鎖DNAを鋳型とするRNA転写産物を生産する工程、
(5)該RNA転写産物が、前記(1)の反応におけるcDNA合成の鋳型となることで、連鎖的にRNA転写産物を生成する工程、
(6)前記RNA転写産物量を測定する工程、
からなるEV71RNAの検出方法である。
前記した態様において、第一のプライマーにプロモーター配列が付加されている場合は、EV71 RNAがcDNA合成の鋳型となる前に該RNA内の特定塩基配列の前記5’末端部位で切断されることが好ましい。特定塩基配列の5’末端部位で切断されることで、cDNA合成後に、cDNAにハイブリダイズした第一のプライマーのプロモーター配列に相補的なDNA鎖を、前記cDNAの3’末端を伸長することにより効率的に合成することができ、結果として機能的な2本鎖DNAプロモーター構造を形成する。
このような切断方法として、EV71 RNA内の特定塩基配列の5’末端部位(該特定塩基配列内で5’末端を含む部分配列)に重複して5’方向に隣接する領域に対して相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、切断用オリゴヌクレオチドとする)を添加することによって形成されたRNA−DNAハイブリッドのRNA部分をリボヌクレアーゼH(RNase H)活性を有する酵素などにより切断する方法があげられる。該切断用オリゴヌクレオチドの3’末端にある水酸基は伸長反応を防止するために適当な修飾を施されたもの、例えばアミノ化などされているものを使用するのが好ましい。
本発明の好ましい一態様では、切断用オリゴヌクレオチドとして、EV71 B3 RNAの一部に相同な配列番号13に記載の塩基配列に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列、および、EV71 A RNAの一部に相補的な配列番号18に記載の塩基配列に対してストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列、の中から選ばれる一種類以上のオリゴヌクレオチドを用いることができる。
本発明のより好ましい一態様では、切断用オリゴヌクレオチドが配列番号17または19に記載の配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドから選ばれた少なくとも一種のオリゴヌクレオチドからなる。
なお、本発明中の配列番号1、8、13、20はSK−EV006(EV71B3)(GenBank No.AB059819)の部分配列の相同鎖もしく相補鎖であり、配列番号6、18はBrCr(EV71 A)(GenBank No.U22521)の部分配列の相同鎖もしく相補鎖である。
本発明中の標的RNAとは、RNA転写産物上の特定塩基配列のうち、前記プライマーとの相同あるいは相補領域以外の配列を示し、インターカレーター性蛍光色素で標識された核酸プローブとの相補的結合が可能である配列を有する。よって、インターカレーター性蛍光色素で標識された核酸プローブは、本発明中の特定塩基配列の一部と相補的な配列となる。
本発明の一態様として、インターカレーター性蛍光色素で標識された核酸プローブが、EV71 B3 RNAの一部に相補的な配列番号20に記載の塩基配列、あるいはその相補的配列の少なくとも連続する15塩基にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列のオリゴヌクレオチドを用いることができる。
本発明の好ましい一態様では、インターカレーター性蛍光色素で標識された核酸プローブが、EV71 B3 RNAの一部に相補的な配列番号24に記載の塩基配列、あるいはその相補的配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列、およびEV71 C5 RNAの一部に相補的な配列番号25に記載の塩基配列、あるいはその相補的配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列、の中から選ばれた少なくとも一種のオリゴヌクレオチドからなる。
本発明の一態様として、切断用オリゴヌクレオチドは、配列番号13および18に記載の配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列であるオリゴヌクレオチドから選ばれた少なくとも一種のオリゴヌクレオチドからなる。また、第一のプライマーは、その5’末端にプロモーター配列を有しており、配列番号1および6に記載の配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列であるオリゴヌクレオチドから選ばれた少なくとも一種のオリゴヌクレオチドからなる。そして、第二のプライマーは配列番号8に記載の配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列であるオリゴヌクレオチドから選ばれた少なくとも一種のオリゴヌクレオチドからなる。さらに、インターカレーター性蛍光色素標識核酸プローブは、配列番号20に記載の塩基配列、あるいはその相補的配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列であるオリゴヌクレオチドであることが好ましい。
より好ましくは、前記切断用オリゴヌクレオチドが配列番号17および19に記載の配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列から選ばれた少なくとも一種のオリゴヌクレオチドからなる。また、第一のプライマーは、配列番号5および7に記載の配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列から選ばれた少なくとも一種のオリゴヌクレオチドからなる。そして、第二のプライマーは配列番号10に記載の配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な配列であるオリゴヌクレオチドから選ばれた少なくとも一種のオリゴヌクレオチドからなる。
さらに、好ましくは、前記切断用オリゴヌクレオチドが配列番号17および19に記載の配列の相補鎖であるオリゴヌクレオチドの混合物からなり、第一のプライマーは、配列番号5および7に記載の配列の相補鎖であるオリゴヌクレオチドの混合物からなり、さらに、第二のプライマーは配列番号10に記載の配列の相補鎖であるオリゴヌクレオチドの混合物からなる。
また、EV71 Aは、エンテロウイルスの中ではいち早く分離・同定され、EV71の標準株と位置付けられているものの、近年は、手足口病の原因ウイルスとして検出されることはほとんどない。
そこで、ジェノグループAの検出感度が低下しても差し支えないと考えられる場合、上記した本発明の各種態様から、配列番号18および19記載の配列に相補的な切断用オリゴヌクレオチドや、配列番号6および7記載の配列に相補的な第一のプライマーなどを除いても構わない。
本発明のEV71RNAの検出方法において、各酵素(1本鎖RNAを鋳型とするRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素(逆転写酵素)、RNase H活性を有する酵素、1本鎖DNAを鋳型とするDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素、およびRNAポリメラーゼ活性を有する酵素))が必要となる。各酵素は、いくつかの活性を合わせ持つ酵素を使用してもよいし、それぞれの活性を持つ複数の酵素を使用してもよい。また、1本鎖RNAを鋳型とするRNA依存性DNAポリメラーゼ活性、RNase H活性、および1本鎖DNAを鋳型とするDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を合わせ持つ逆転写酵素に、RNAポリメラーゼ活性を有する酵素を添加するだけでなく、必要に応じてRNase H活性を有する酵素をさらに添加して補足することなども可能である。
前記逆転写酵素は、分子生物学的実験で汎用されているAMV逆転写酵素、MMLV逆転写酵素、HIV逆転写酵素、あるいはこれらの誘導体が好ましく、AMV逆転写酵素とその誘導体が最も好ましい。また、前記RNAポリメラーゼ活性を有する酵素としては、分子生物学的実験などで汎用されているバクテリオファージ由来のT7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ、およびこれらの誘導体が使用可能である。
本発明の一態様では、試料中のEV71RNAに前記切断用オリゴヌクレオチドを添加し、前記逆転写酵素のRNase H活性により前記特定塩基配列の5’末端部位で前記RNAを切断する。切断された前記RNAを鋳型として前記第一のプライマーおよび第二のプライマーの存在下で前記逆転写酵素による逆転写反応を実施すると、第二のプライマーがEV71RNA内の特定塩基配列に結合し、前記逆転写酵素のRNA依存性DNAポリメラーゼ活性によりcDNA合成が行われる。得られたRNA−DNAハイブリッドは前記逆転写酵素のRNase H活性によってRNA部分が分解され、解離することによって第一のプライマーが前記cDNAに結合する。引き続いて、前記逆転写酵素のDNA依存性DNAポリメラーゼ活性により特定塩基配列由来で5’末端にプロモーター配列を有する2本鎖DNAが生成される。該2本鎖DNAは、プロモーター配列下流に特定塩基配列を含み、前記RNAポリメラーゼにより特定塩基配列に由来するRNA転写産物を生産する。該RNA転写産物は、前記第一および第二のプライマーによる前記2本鎖DNA合成のための鋳型となって、一連の反応が連鎖的に進行し、前記RNA転写産物が増幅されていく。
このような連鎖反応を進行させるために、前記各酵素に必須な既知の要素として、少なくとも、緩衝剤、マグネシウム塩、カリウム塩、ヌクレオシド−三リン酸、リボヌクレオシド−三リン酸を含むことはいうまでもない。また、反応効率を調節するための添加剤として、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジチオスレイトール(DTT)、ウシ血清アルブミン(BSA)、糖などを添加することも可能である。
たとえば、AMV逆転写酵素およびT7 RNAポリメラーゼを用いる場合は35から65℃の範囲で反応温度を設定することが好ましく、40から50℃の範囲で設定することが特に好ましい。前記RNA増幅工程は一定温度で進行し、逆転写酵素およびRNAポリメラーゼが活性を示す任意の温度に反応温度を設定することが可能である。
増幅されたRNA転写産物量は、既知の核酸測定法により測定することが可能である。このような測定法としては、電気泳動や液体クロマトグラフィーを用いた方法、検出可能な標識で標識された核酸プローブによるハイブリダイゼーション法などが利用できる。しかし、これらは操作が多工程であり、また増幅産物を系外に取り出して分析するため二次汚染の原因となる増幅産物の環境への飛散の危険性が大きい。これらの課題を克服するためには標的核酸と相補結合することによって蛍光特性が変化するように設計された核酸プローブを用いることが好ましい。さらに好ましい方法として、インターカレーター性蛍光色素で標識された核酸プローブで、かつ標的核酸と相補的2本鎖を形成するとインターカレーター性蛍光色素部分が前記相補的2本鎖部分にインターカレートすることによって蛍光特性が変化するように設計された核酸プローブの存在下、前記核酸増幅工程を実施し、蛍光特性の変化を測定する方法があげられる(特許文献5および非特許文献8)。
前記インターカレーター性蛍光色素としては特に限定されないが汎用されているオキサゾールイエロー、チアゾールオレンジ、エチジウムブロマイド、ヘミシアニンおよびこれらの誘導体などが利用できる。前記蛍光特性の変化としては蛍光強度の変化があげられる。たとえばオキサゾールイエローの場合、2本鎖DNAにインターカレートすることによって510nmの蛍光(励起波長490nm)が顕著に増加することが既知である。前記インターカレーター性蛍光色素で標識された核酸プローブは、前記RNA転写産物上の標的RNAに対してストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドであり、末端あるいはリン酸ジエステル部あるいは塩基部分に適当なリンカーを介してインターカレーター性蛍光色素が結合され、さらに、3’末端の水酸基からの伸長を防止する目的で該3’末端の水酸基が適当な修飾をなされている構造を有する(特許文献8および非特許文献9)。
オリゴヌクレオチドへのインターカレーター性蛍光色素の標識は、既知の方法でオリゴヌクレオチドに官能基を導入し、インターカレーター性蛍光色素を結合させることが可能である(特許文献9および非特許文献9)。また、前記官能基の導入方法としては、汎用されているLabel−ON Reagents(Clontech製)などを用いることも可能である。
本発明の一態様として、試料に少なくとも、5’末端にT7プロモーター配列を有する第一のプライマー(配列番号1または6に記載の配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドの5’末端にT7プロモーター配列(配列番号26)を付加した配列)、第二のプライマー(配列番号8に記載の配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチド)、インターカレーター性蛍光色素で標識された核酸プローブ(配列番号20に示す配列、あるいはその相補的配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能である配列)、切断用オリゴヌクレオチド(配列番号13また18に記載の配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチド)、AMV逆転写酵素、T7 RNAポリメラーゼ、緩衝剤、マグネシウム塩、カリウム塩、ヌクレオシド−三リン酸、リボヌクレオシド−三リン酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む増幅試薬を添加し、反応温度35から65℃(好ましくは40から50℃)の一定温度で反応させると同時に反応液の蛍光強度を経時的に測定する方法を提供する。
前記態様において、最も好ましくは、前記切断用オリゴヌクレオチドが配列番号17および19に記載の塩基配列に相補的なオリゴヌクレオチドの混合物からなり、第一のプライマーは、配列番号5および7に記載の塩基配列に相補的なオリゴヌクレオチドの混合物からなり、さらに、第二のプライマーは配列番号10に記載の塩基配列に相補的なオリゴヌクレオチドからなる。
前記態様においては、蛍光強度を経時的に測定することから有意な蛍光増加が認められた任意の時間で測定を終了することが可能であり、核酸増幅および測定をあわせて通例30分以内で終了することが可能である。
また、前記測定試薬に含まれる全ての試料を単一の容器に封入可能な点は特筆すべきである。即ち、一定量の試料をかかる単一の容器に分注するという操作さえ実施すれば、その後は自動的にEV71RNAを増幅し検出することができる。
この容器は、例えば蛍光色素が発する信号を外部から測定可能なように、少なくともその一部分が透明な材料で構成されてさえいれば良く、試料を分注した後に密閉することが可能なものはコンタミネーションの防止のうえで特に好ましい。
前記態様のRNA増幅・測定方法は、一段階、一定温度で実施可能であるため、RT−PCRに比べて簡便で自動化に適した方法であるといえる。本発明によりEV71RNAを遺伝子群/遺伝子型を問わず高特異的、高感度、迅速、簡便、一定温度、かつ一段階の同時測定が可能となった。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
実施例1 標準RNAの調製
後述の実施例で使用したEV71 RNAおよびCA16 RNA(以降、ともに標準RNAと表記)は(1)から(2)に示す方法で調製した。
(1)表1に示したエンテロウイルス分離株9株のRNA抽出物を用い、表1に記載した塩基配列領域の2本鎖DNAを調製した(なお、該DNAの5’末端側にはSP6プロモーターを付加している)。
(2)(1)で調製した2本鎖DNAを、定法に従い、pUC19プラスミドのマルチクローニングサイトに挿入し、大腸菌JM109株を形質転換した。
(3)(2)の形質転換大腸菌の培養物からプラスミドを抽出し、挿入DNAの3’末端側を制限酵素で消化し、直鎖状のDNAを調製した。
(4)(3)で調製したDNAを鋳型として、SP6 RNAポリメラーゼを用いてインビトロ転写を実施し、引き続きDNase I処理により前記2本鎖DNAを完全消化した後、RNAを精製し、標準RNAを調製した。該RNAは260nmにおける吸光度を測定して定量した。
Figure 0005754100
なお、標準RNAは、EV71およびCA16の構造遺伝子であるVP4、VP2、VP3,VP1を含み、全長は約3000塩基(該RNAの5’末端にはSP6プロモーターに由来する8塩基が付加されている)と、EV71 RNAやCA16 RNAの全長(約7500塩基)の一部ではあるが、本発明の測定対象であるEV71 RNAやCA16 RNAの測定には十分適用可能である。
また、今回標準RNAを調製した中には、EV71 B2およびEV71 C3が含まれていないが、GenBankよりそれぞれの塩基配列情報を確認した結果、(A)EV71 B1とEV71 B2(GenBank No.U22522)との間(B)EV71 C2とEV71 C3(GenBank No.AY125968)との間はそれぞれ相同性が比較的高いことが分かったため、今回調製した遺伝子型の標準RNAを全て検出できれば、全てのEV71 RNAを検出可能であることが予想される。
実施例2 インターカレーター性蛍光色素で標識された核酸プローブの調製
インターカレーター性蛍光色素で標識された核酸プローブを調製した。非特許文献9に記載の方法で、
配列番号21に記載の配列の5’末端から11番目のAと12番目のAの間、
配列番号22に記載の配列の5’末端から9番目のGと10番目のCの間、
配列番号23に記載の配列の5’末端から8番目のGと9番目のCの間、
配列番号24に記載の配列の5’末端から7番目のGと8番目のAの間、
配列番号25に記載の配列の5’末端側から11番目のGと12番目のCとの間、
のリン酸ジエステル部分に、それぞれリンカーを介してオキサゾールイエローを結合させたオキサゾールイエロー標識核酸プローブを調製した(図1)。
実施例3 EV71RNA検出用プライマーセットの検討
表2に示した組み合わせの第一のプライマー、第二のプライマー、インターカレーター性蛍光色素で標識された核酸プローブ(以降、INAFプローブと表記)、切断用オリゴヌクレオチドを用いて、(1)から(4)に示す方法で、標準RNAの測定を行い、検出性能、特異性等について評価を行った。
Figure 0005754100
(1)前記標準RNAをRNA希釈液(10mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、1mM EDTA、0.25U/μL リボヌクレアーゼインヒビター、5.0mM DTT)を用いて、EV71標準RNAは103コピー/5μL、CA16標準RNAは1010コピー/5μLになるように希釈し、これらをRNA試料として用いた。
(2)以下の組成の反応液20μLを0.5mL容量PCR用チューブ(Individual Dome Cap PCR Tube、SSI製)に分注し、これに前記RNA試料5μLを添加した。
反応液の組成:濃度は酵素液添加後(30μL中)の最終濃度
60mM Tris−HCl緩衝液(pH8.6)
17mM 塩化マグネシウム
110mM 塩化カリウム
1mM DTT
各0.25mM dATP、dCTP、dGTP、dTTP
各2.8mM ATP、CTP、UTP、GTP
3.6mM ITP
各0.5μM 第一のプライマー:該プライマーは、各配列番号記載の塩基配列の5’末端にT7プロモータ配列(配列番号26)が付加されている
0.5μM 第二のプライマー
各10nM INAFプローブ:該プローブは実施例2で調製したもの
各0.08μM 切断用オリゴヌクレオチド:該オリゴヌクレオチドの3’末端の水酸基はアミノ基で修飾されている
6U リボヌクレアーゼインヒビター(タカラバイオ製)
10.4% DMSO
(3)上記の反応液を、43℃で5分間保温後、以下の組成で、予め43℃で2分間保温した酵素液5μLを添加した。
酵素液の組成:反応時(30μL中)の最終濃度
2.0% ソルビトール
6.4U AMV逆転写酵素 (ライフサイエンス製)
142U T7 RNAポリメラーゼ (インビトロジェン製)
3.6μg 牛血清アルブミン
(4)引き続きPCRチューブを直接測定可能な温調機能付き蛍光分光光度計を用い、43℃で反応させると同時に反応溶液の蛍光強度(励起波長470nm、蛍光波長520nm)を経時的に30分間測定した。
酵素添加時を0分として、反応液の蛍光強度比(所定時間の蛍光強度値をバックグラウンドの蛍光強度比で割った値)が1.2を超えた場合を陽性判定とし、そのときの時間を検出時間とした結果を表2から4に示した。
表2のAからAFまでの組合せは、表1に示したEV71 B3およびCA16のVP4−VP1領域に対応する塩基配列を持つ標準RNAを、表3および表4は、表1に記載の全9株のVP4−VP1領域の塩基配列を持つ標準RNAをそれぞれ使用した。また、8株のEV71の標準RNAは103コピー/5μLのものを使用し、CA16の標準RNAは1010コピー/5μLのものを使用した。
表3は、表2の組合せの中で、検出時間が早く、特異性も高い、良好な性能であると判断したADに示すオリゴヌクレオチドの組合せを基本とし、さらに良好な性能を実現するため、配列番号22、23、24、25に記載のINAFプローブを用いて、103コピー/5μLのEV71標準RNA、および1010コピー/5μLのCA16標準RNAを測定したときの結果を示した。
表4は、表3の組み合わせの中で、検出スペクトルが最も広く、良好な性能であると判断した配列番号24、25に記載のINAFプローブの混合系をおいて、EV71 Aの高感度検出を実現するため、配列番号19に記載の配列に相補的な切断用オリゴヌクレオチドと、配列番号7に記載の配列に相補的な第一のプライマーを添加したものであり、103コピー/5μLのEV71標準RNA、および1010コピー/5μLのCA16標準RNAを測定したときの結果を示した。
表5は、表2から4までの検討で選抜された、最も性能の良いオリゴヌクレオチドの組み合わせを示したものである。
表6は、表5に示したオリゴヌクレオチドの組み合わせを用いて、8株のEV71および1株のCA16のRNA抽出物を測定したときの結果を示した。
なお、全ての表において、N.D.とは酵素を添加して30分後の蛍光強度比が1.2未満(陰性判定)であった試料を意味する。また、Negaとは、滅菌済み蒸留水をサンプルとして測定したものである。また、特異性における+の数は、CA16 RNAに対する交差反応性の程度を示したものであり、+の数が多いほど、交差反応性が強いことを表している。
表2における「判定」とは、EV71の検出時間、Negaの測定結果、CA16 RNAに対する交差反応性の結果を踏まえた、オリゴヌクレオチドの組み合わせの判断結果であり、良好でないものは×、良好なものを○、特に良好なものを◎と記載した。
Figure 0005754100
Figure 0005754100
Figure 0005754100
表2から表4に示した検討結果より、EV71 RNAを検出するのに好適なオリゴヌクレオチド配列が明らかになったとともに、迅速かつ高感度、高特異的に検出することが可能なオリゴヌクレオチドの組合せを見出した。
表2に示した、AからAFのオリゴヌクレオチドの組み合わせを用いた場合の、EV71 B3標準RNAの検出時間、およびNega、CA16標準RNAの測定結果より、オリゴヌクレオチドの組み合わせADが最良の組み合わせと判断された。すなわち、第一のプライマーは配列番号5に記載の塩基配列の相補鎖、第二のプライマーは配列番号10に記載の塩基配列の相補鎖を用いれば、EV71標準RNAを特異性良く、迅速に増幅し検出することが可能であることが分かった。
一方、他の組み合わせの測定結果より、配列番号21のINAFプローブや、配列番号14に相補的な切断用オリゴヌクレオチド、配列番号2に相補的な第一のプライマーは、CA16標準RNAを強く検出することから、EV71に対する特異性が低いことが分かった。同様の理由から、配列番号12に相補的な第二のプライマーも、良好な性能を有してないことが分かった。
切断用オリゴヌクレオチドは、配列番号15、16、17のそれぞれに相補的な配列が使用できることから、それらに対応した配列を含む、配列番号13および18にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な塩基配列が使用できることが分かった。
第一のプライマーは、配列番号3、4、5のそれぞれに相補的な配列が使用できることから、それらに対応した配列を含む、配列番号1および6にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な塩基配列が使用できることが分かった。
第二のプライマーは、配列番号9、10、11のそれぞれに相補的な配列が使用できることから、それらに対応した配列を含む、配列番号8にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能な塩基配列が使用できることが分かった。
表3および表4より、それぞれのINAFプローブの検出スペクトルが明らかとなり、配列番号24および25に記載のINAFプローブを混合したものが、最善の性能を有することが明らかとなった。
また、表1では、配列番号21に記載のINAFプローブは、良好な性能を示さなかったものの、配列番号22から25までに示したINAFプローブは、いずれも、EV71を特異的に検出することが可能であることが分かったため、インターカレーター性蛍光色素標識プローブは、配列番号20に記載の配列またはその相補鎖にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能である、少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドから選ぶことが可能であることが分かった。
表4より、EV71 A RNAに相同的な塩基配列を有する第一のプライマー、相補的な塩基配列を有する第二のプライマー、相補的な塩基配列を有する切断用オリゴヌクレオチドを、表2までの検討結果で選ばれたオリゴヌクレオチドプライマーを含む系に添加することにより、EV71 A RNAを迅速かつ高感度に検出することが可能であった。
表5に、最終的に選抜されたオリゴヌクレオチドの組み合わせを記載した。記載の組み合わせのオリゴヌクレオチドを含む検出試薬を使用することで、EV71の多くのジェノグループを迅速に検出することが可能であり、さらに、非常に高濃度のCA16 RNAを検出しないことから、特異性も良好であることが分かった。
実施例3 EV71RNAの検出試薬
Figure 0005754100
表5に示したEV71を検出するのに好適なオリゴヌクレオチドの組み合わせを用い、多くの遺伝子群のEV71 RNAを一度に測定可能な検出試薬の作製を試みた。
表5に記載のオリゴヌクレオチドを混合し、実施例2に記載の試薬組成を調製し、EV71RNA検出試薬を作製した。
表1に記載の8株のEV71(8種類の遺伝子群)、および1株のCA16をエンテロウイルス感受性培養細胞に感染させ、十分にウイルスが増殖したものから抽出したRNAを、上記のEV71 RNA検出試薬で測定を実施した。
上記試薬の測定結果は、表6に示した通りであり、EV71は,測定した全てのウイルス株が8分以内に検出された。一方、CA16は検出されなかった。
本実施例に示した方法は、EV71RNAを高感度、高特異的、かつ、非常に迅速に測定することが可能であることが分かった。本実施例に示した方法が、本発明における最も好ましい系であるといえる。

Claims (2)

  1. (1)エンテロウイルス71RNA中の特定塩基配列の一部と相補的な配列を有する第二のプライマーが前記RNAにハイブリダイズし、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により、特定塩基配列に相補的なcDNAを合成し、前記RNAとのRNA−DNA2本鎖を生成する工程、
    (2)リボヌクレアーゼH(RNaseH)活性を有する酵素により、前記RNA−DNA2本鎖のRNAを分解する工程(1本鎖DNAの生成)、
    (3)該1本鎖DNAに、前記特定塩基配列の一部と相同的な配列を有する第一のプライマーがハイブリダイズし、ここで前記第二または第一のプライマーのいずれか一方はその5’末端にRNAポリメラーゼのプロモーター配列が付加されてなり、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により、特定塩基配列または特定塩基配列に相補的な配列のRNAを転写可能なプロモーター配列を含む2本鎖DNAを生成する工程、
    (4)RNAポリメラーゼ活性を有する酵素により前記2本鎖DNAを鋳型とするRNA転写産物を生産する工程、
    (5)該RNA転写産物が、前記(1)の反応におけるcDNA合成の鋳型となることで、連鎖的にRNA転写産物を生成する工程、
    (6)前記RNA転写産物量を測定する工程、
    からなる試料中のエンテロウイルス71RNAの特定塩基配列を増幅し検出する方法であって、
    前記(6)の工程が、前記RNA転写産物と相補的2本鎖を形成するとインターカレーター性蛍光色素部分が前記相補的2本鎖部分にインターカレートすることによって蛍光特性が変化するように設計されたインターカレーター性蛍光色素で標識された核酸プローブの存在下、連鎖的にRNA転写産物を生成し、蛍光特性の変化を測定する工程であり、
    前記第一のプライマーが配列番号5および7に記載の塩基配列に相補的であるオリゴヌクレオチドであり、
    前記第二のプライマーが配列番号10に記載の塩基配列に相補的であるオリゴヌクレオチドであり、
    前記インターカレーター性蛍光色素で標識された酸プローブが配列番号24および25に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであることを特徴とする、前記方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記特定塩基配列中の第一のプライマーとの相同領域の5’末端部位と重複して該部位から5’方向に隣接する領域に相補的な切断用オリゴヌクレオチドとRNase Hにより前記特定塩基配列の5’末端部位で前記RNAを切断する工程を、5’末端にプロモーター配列を付加した前記第一のプライマー、前記第二のプライマー、さらにRNA依存性DNAポリメラーゼ、RNase H、およびDNA依存性DNAポリメラーゼにより、プロモーター配列と該プロモーター配列下流に前記特定塩基配列を含む2本鎖DNAを生成する工程の前に行ない、
    かつ前記切断用オリゴヌクレオチドが、配列番号17および19に記載の塩基配列に相補的であるオリゴヌクレオチドからなることを特徴とする、前記方法。
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