JP6565193B2 - インフルエンザウイルスrna増幅用プライマーおよびそれを用いたインフルエンザウイルス検出法 - Google Patents
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試料中に含まれるインフルエンザウイルスRNAの特定塩基配列の一部と相補的な配列を有する第一のプライマーと、前記特定塩基配列の一部と相同的な配列を有する第二のプライマーからなる、前記特定塩基配列または前記特定塩基配列の相補配列を含む核酸を増幅するためのプライマーセットであって、
第一のプライマーが、配列番号17、18、41、48から50のいずれかに記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能な一つ以上のオリゴヌクレオチドであり、
第二のプライマーが、配列番号35、36、47のいずれかに記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能な一つ以上のオリゴヌクレオチドである、
前記プライマーセットである。
第一のプライマーが、配列番号11、13、51から53、56のいずれかに記載の塩基配列中、少なくとも連続する20塩基からなる、一つ以上のオリゴヌクレオチドであり、
第二のプライマーが、配列番号54、55、57のいずれかに記載の塩基配列中、少なくとも連続する19塩基からなる、一つ以上のオリゴヌクレオチドである、
前記第一の態様に記載のプライマーセットである。
第一のプライマーが、配列番号4から16、37から40のいずれかに記載の塩基配列からなる、一つ以上のオリゴヌクレオチドであり、
第二のプライマーが、配列番号19から34、42から46のいずれかに記載の塩基配列からなる、一つ以上のオリゴヌクレオチドである、
前記第二の態様に記載のプライマーセットである。
第一のプライマーが、配列番号7、9、10のいずれかに記載の塩基配列からなる一つ以上のオリゴヌクレオチド、および配列番号38に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであり、
第二のプライマーが、配列番号19、28のいずれかに記載の塩基配列からなる一つ以上のオリゴヌクレオチド、および配列番号44に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドである、
前記第三の態様に記載のプライマーセットである。
前記第一から第五の態様のいずれかに記載のプライマーセットと、
配列番号1に記載の塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、および/または配列番号2に記載の塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチドにインターカレーター性蛍光色素を標識した核酸プローブとを含む、
インフルエンザウイルスRNA検出試薬である。
試料中に含まれるインフルエンザウイルスRNAの特定塩基配列の一部と相補的な配列を有する第一のプライマーとして、配列番号17(GenBank No.FJ969536(H1N1亜型A型インフルエンザウイルスRNA(−鎖))の610番目から647番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号18(GenBank No.KJ741989(H3N2亜型A型インフルエンザウイルスRNA(−鎖))の655番目から692番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号41(GenBank No.CY115184(B型インフルエンザウイルスRNA(−鎖))の425番目から454番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号48(GenBank No.FJ969536の569番目から598番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号49(GenBank No.KJ741989の618番目から643番目までの塩基配列の相補配列)、配列番号50(GenBank No.FJ969536の472番目から497番目までの塩基配列の相補配列)のいずれかに記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能な一つ以上のオリゴヌクレオチドを、
試料中に含まれるインフルエンザウイルスRNAの特定塩基配列の一部と相同的な配列を有する第二のプライマーとして、配列番号35(GenBank No.FJ969536の717番目から766番目までの塩基配列)、配列番号36(GenBank No.KJ741989の762番目から793番目までの塩基配列)、配列番号47(GenBank No.CY115184の540番目から566番目までの塩基配列)のいずれかに記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能な一つ以上のオリゴヌクレオチドを、
それぞれ用いることを特徴としている。すなわち、前述したストリンジェントな条件下で、前記塩基配列と、十分に特異的かつ高効率にハイブリダイゼーション可能であれば、塩基配列の置換、欠失、付加、修飾があってもよい。プライマーの長さは任意に設定できるが、好ましくは10塩基から50塩基までの範囲である。
第一のプライマーとして、配列番号17、48、50のいずれかに記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドを、
第二のプライマーとして、配列番号35に記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能な一つ以上のオリゴヌクレオチドを、
それぞれ用いればよく、検出対象とするインフルエンザウイルスRNAがH3N2亜型A型インフルエンザウイルスRNAであれば、
第一のプライマーとして、配列番号18、49、50のいずれかに記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドを、
第二のプライマーとして、配列番号36に記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能な一つ以上のオリゴヌクレオチドを、
それぞれ用いればよく、検出対象とするインフルエンザウイルスRNAがB型インフルエンザウイルスRNAであれば、
第一のプライマーとして、配列番号41に記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドを、
第二のプライマーとして、配列番号47に記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能な一つ以上のオリゴヌクレオチドを、
それぞれ用いればよい。さらに複数の種類のインフルエンザウイルスRNAを同時に検出したい場合は、前述した各種インフルエンザウイルスRNAに適したプライマーセット(第一および第二のプライマー)を混合させればよい。例えば、A型(H1N1亜型およびH3N2亜型)インフルエンザウイルスRNAとB型インフルエンザウイルスRNAとを合わせて検出したい場合は、
第一のプライマーとして、
配列番号17もしくは48に記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドと、配列番号18もしくは49に記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドと、配列番号41に記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドとの混合物、または
配列番号50に記載の塩基配列の相補配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドと、配列番号41に記載の塩基配列の相補配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドとの混合物を、
第二のプライマーセットとして、
配列番号35に記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドと、配列番号36に記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドと、配列番号47に記載の塩基配列とストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドとの混合物を、
それぞれ用いればよい。
(A)電気泳動や液体クロマトグラフィーを用いた方法、
(B)検出可能な標識で標識された核酸プローブによるハイブリダイゼーション法、
(C)当該増幅産物の塩基配列の一部とハイブリダイズすることで蛍光特性が変化するように設計された蛍光色素標識プローブを用いた方法、
などがあげられる。前記(C)の蛍光色素標識プローブの一例として、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を利用した蛍光標識プローブや、インターカレーター性蛍光色素で標識された核酸プローブがあげられる。
後述の実施例で使用したインフルエンザウイルスRNA(以下、標準RNAと表記)は下記に示す方法で調製した。
(1)配列番号58(H1N1亜型A型インフルエンザウイルス、セグメント5、cDNA部分配列、GenBank No.FJ969536の410番目から930番目までの塩基配列)、配列番号59(H3N2亜型A型インフルエンザウイルス、セグメント5、cDNA部分配列、GenBank No.NC_007369の455番目から975番目までの塩基配列(ただし663番目のCはT))および配列番号60(B型インフルエンザウイルス、セグメント7、cDNA部分配列、GenBank No.CY115184の206番目から735番目までの塩基配列)に記載の塩基配列からなる2本鎖DNAを調製し、それぞれT−Vector pMD20(タカラバイオ製)へ挿入した(なお、当該cDNA配列の相補鎖の5’末端側にはSP6プロモーターを付加している)。
(2)(1)で調製したプラスミドDNAを、挿入したインフルエンザウイルスcDNAの5’末端側で制限酵素消化し、直鎖状のDNAを調製した。
(3)(2)で調製したDNAを鋳型として、SP6 RNAポリメラーゼによるインビトロ転写を行なった。その後、DNase I処理により前記鋳型DNAを完全消化し、精製することで標準RNAを調製した。調製したRNAは、260nmにおける吸光度を測定して定量した。
Ishiguroらの方法(Ishiguro,T.et al,Nucleic Acids Res.,24,4992−4997(1996))により、配列番号1に記載の配列の5’末端から17番目のTと18番目のTの間、および配列番号2に記載の配列の5’末端から8番目のAと9番目のTの間のリン酸ジエステル部分にリンカーを介してオキサゾールイエローを結合させ、インターカレーター性蛍光色素で標識された核酸プローブ(以下、INAFプローブと表記)を調製した(図1)。
表1に示す、第一のプライマー、第二のプライマー、INAFプローブの組み合わせ(以下、オリゴヌクレオチドの組み合わせと表記)を用いて、下記に示す方法で、A型(H1N1亜型およびH3N2亜型)インフルエンザウイルス標準RNAを測定した。なお、配列番号4から8、11、12、19から27に記載の塩基配列からなるプライマーは、H1N1亜型(GenBank No.FJ969536)の塩基配列を基に、
配列番号9、10、13、14、および28から34に記載の塩基配列からなるプライマーは、H3N2亜型(GenBank No.KJ741989)の塩基配列を基に、
配列番号15および16に記載の塩基配列からなるプライマーは、H1N1亜型(GenBank No.FJ969536)およびH3N2亜型(GenBank No.KJ741989)で塩基配列が共通している領域を基に、それぞれ設計した。
(1)実施例1で調製したA型(H1N1亜型およびH3N2亜型)インフルエンザウイルス標準RNAを、TEバッファーを用いて103コピー/5μLとなるように希釈し、RNA試料として用いた。
(2)以下の組成からなる反応液17μLを0.5mL容量PCRチューブ(Individual Dome Cap PCR Tube、SSI製)に分注した後、前記RNA試料5μLを添加した。
60mM Tris−HCl緩衝液(pH8.6)
各0.25mM dATP、dCTP、dGTP、dTTP
各2.6mM ATP、CTP、GTP、TTP
3.06mM ITP
90mM トレハロース
各20nM INAFプローブ(実施例2で調製)
各0.2μM 第一のプライマー(当該プライマーには、各配列番号に記載の塩基配列の5’末端側にT7プロモーター配列(配列番号3)が付加されている)
各0.2μM 第二のプライマー
6.4U AMV逆転写酵素(ライフサイエンス製)
142U T7 RNAポリメラーゼ
(3)上記の反応液を46℃で4分間保温後、以下の組成からなる開始剤8μLを添加した。
21.2mM 塩化マグネシウム
102.7mM 塩化カリウム
1.2% グリセロール
11.5% DMSO
(4)引き続きPCRチューブを直接測定可能な温調機能付き蛍光分光光度計を用い、46℃で反応させると同時に反応液の蛍光強度(励起波長470nm、蛍光波長520nm)を経時的に30分間測定した。
オリゴヌクレオチドの組み合わせとして表2に示す組み合わせを、RNA試料としてB型インフルエンザウイルスRNA(濃度:103コピー/5μL)を、それぞれ用いた他は、実施例3と同様な方法でB型インフルエンザウイルスRNAの検出を試みた。結果を表2に示す。
オリゴヌクレオチドの組み合わせとして表3に示す組み合わせを、RNA試料としてA型(H1N1亜型およびH3N2亜型)インフルエンザウイルスRNAならびにB型インフルエンザウイルスRNA(濃度:103コピー/5μL)を、それぞれ用いた他は、実施例3と同様な方法でA型およびB型インフルエンザウイルスRNAの同時検出を試みた。結果を表3に示す。
オリゴヌクレオチドの組み合わせとして表4に示す組み合わせを、RNA試料としてA型(H1N1亜型およびH3N2亜型)ならびにB型インフルエンザウイルスRNA(濃度:10コピー/5μL)を、それぞれ用いた他は、実施例3と同様な方法でA型およびB型インフルエンザウイルスRNAの同時検出を試みた。結果を表5に示す。なお表5中の検出時間は検出できた試料の平均検出時間を、検出率はN=10で測定した結果の検出率を、それぞれ示している。
Claims (2)
- 試料中に含まれるインフルエンザウイルスRNAの特定塩基配列の一部と相補的な配列を有する第一のプライマーと、前記特定塩基配列の一部と相同的な配列を有する第二のプライマーからなる、前記特定塩基配列または前記特定塩基配列の相補配列を含む核酸を増幅するためのプライマーセットを用いて特定塩基配列または前記特定塩基配列の相補配列を一定温度で増幅する工程、及び
増幅した特定塩基配列または前記特定塩基配列の相補配列を含む核酸を、前記核酸の一部とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズ可能なインターカレーター性蛍光色素を標識した核酸プローブを用いて検出する工程、
を含む、インフルエンザウイルスRNAを検出する方法であって、
第一のプライマーが、配列番号7、9および10から選択される1以上の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドならびに配列番号38に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであり、
第二のプライマーが、配列番号19および28から選択される1以上に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドならびに配列番号44に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドである、方法。 - インターカレーター性蛍光色素を標識した核酸プローブを構成するオリゴヌクレオチドが、配列番号1に記載の塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチド、および配列番号2に記載の塩基配列もしくはその相補配列からなるオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
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