JP2022114682A - 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAを検出する方法及び試薬 - Google Patents

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAを検出する方法及び試薬 Download PDF

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Abstract

【課題】試料中に存在する2019年新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を特異的に増幅し、かつ偽陽性が発生しにくい検出方法を提供する。【解決手段】新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法であって、少なくとも第一のプライマーおよび第二のプライマーからなるプライマーセットにより特定塩基配列からなる核酸を増幅する工程、増幅された核酸を検出可能な標識で標識された核酸プローブで検出する工程、からなり、前記第一のプライマーが特定の塩基配列またはその相補配列から選択される連続した20塩基以上の配列からなり、前記第二のプライマーが別の特定の塩基配列またはその相補配列から選択される連続した20塩基以上の配列からなることを特徴とする新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法、を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、試料中に含まれる2019年新型コロナウイルス(以後、SARS-CoV-2とする)を迅速、高感度かつ特異的に検出するための方法及び試薬に関する。
新型コロナウイルス感染症(以後、COVID-19とする)は、SARS-CoV-2を原因ウイルスとし、2019年、中華人民共和国湖北省武漢市において確認された。世界保健機関(WHO)は、COVID-19について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した。その後、世界的な感染拡大の状況、重症度等から2020年3月11日COVID-19をパンデミック(世界的な大流行)とみなせると表明した。
コロナウイルス科は、直径80~160nmのエンベロープを有するプラス鎖1本鎖RNA(Ribonucleic acid)ウイルスであり、人の他、イヌ、ブタ、ウシならびにラクダ等種々の動物に感染する。遺伝学的特徴からα、β、γならびにδの属に分類される。ヒトに主に風邪症候群を起こすウイルスとして、αコロナウイルス属の229E株、NL63株、βコロナウイルス属のOC43株、HKU1株がある。これら4種のウイルスが風邪の原因の10~15%(流行期35%)を占める。これらに加え、2003年にはSARS(severe acute respiratory syndrome)コロナウイルスが、2012年にはMERS(Middle East respiratory syndrome)コロナウイルスが同定されているが、この2つは、いずれもヒトに肺炎を主とする重篤な感染症を引き起こし、その致死率は前者が約10%、後者が30%以上と非常に高い(非特許文献1)。SARS-CoV-2は、SARS及びMERSと同じβコロナウイルスに属する。全塩基解析と系統樹解析により、SARSコロナウイルスとは75~80%の相同性、コウモリのコロナウイルスとは85~88%の相同性が認められている。このため、SARS-CoV-2はコウモリのウイルス由来であると考えられている。
初期症状は軽症で、発熱、倦怠感、乾性咳嗽、食欲不振、筋肉痛、呼吸困難、喀痰ならびに咽頭痛等がみられるほか、嗅覚・味覚障害が生じることがあり、重症化すると肺炎を発症する。通常、初期症状は5~7日間程度続き、重症化しなければ次第に治っていく。
重症化すると呼吸困難に陥る。肺炎以外にも、上気道炎や気管支炎など、その他の呼吸器系器官への炎症が認められる場合もある。重症型の肺炎が生じても、症状に対する治療を行うことで徐々に回復するが、悪化し重篤化すると、急性呼吸器症候群(ARDS)や敗血症性ショック、多臓器不全などが起こり、場合によっては死に至るケースもある。
通常のウイルス感染症では、他者に感染させる可能性が最も高いのは、症状が強く表れる時期であるが、新型コロナウイルスの感染者は、無症状の場合、軽症の段階、重症化した段階それぞれで感染する可能性があると考えられている。特に無症状でありながらウイルスに感染し、他者への感染力を有する無症状性病原体保有者の特定は、感染を拡大させないこと、院内感染を防ぐのに最も重要なことである。また、無症状者の特定を行うためには、大規模なスクリーニング検査が有効とされ、十分な処理能力を持ち、かつ高感度である検査法が必要である。
高感度検査方法としては、ウイルスの核酸を増幅し検出する遺伝子検査法が挙げられる。しかしながら、検体からウイルス由来の核酸を抽出する工程が煩雑であり、信頼できる結果を得るには作業実施者の練度がある程度必要となる。また、結果を得るのに時間が掛かり、迅速性に欠く一方、抗原抗体検査法は、簡便で処理能力が高く、高い迅速性を有する特徴があるが、感度が遺伝子検査に比べ高くなく、偽陰性となる可能性がある。
本発明で使用されたTRC法(特許文献2、特許文献3)では精製から検出まで一体となった装置が市販されており、1時間程度で結果を得ることができるため、十分な迅速性を備えている。また、感度、特異度ともに他の核酸増幅による検出法と遜色はない。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の増幅対象核酸は、他のコロナウイルスとの間で塩基配列の相同性が高いため、その遺伝子を高感度かつ特異的に検出するプライマーセットやオリゴヌクレオチドプローブを設計することは極めて困難であった。特に2003年に流行したコロナウイルス(SARS-CoV)との識別が困難であった。比較的低温の一定温度(例えば、40℃から50℃)条件下でRNAの増幅が可能な増幅方法を利用する場合、増幅対象核酸が高次構造を形成しやすくなるため、当該プライマーセットやオリゴヌクレオチドプローブの設計はより困難なものであった。
特開2009-131174号公報 特開2000-14400号公報 特開2001-37500号公報
Wang C, et al: A novel coronavirus outbreak of global health concern. Lancet 395: 470-473, 2020. doi: 10.1016/S0140-6736(20)30185-9.
本発明の目的は、試料中に存在する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定核酸配列を高感度、迅速、特異的に増幅し、検出する方法及びそれに用いるための試薬を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は以下のとおりである。
(1)新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法であって、
[i]少なくとも第一のプライマーおよび第二のプライマーからなるプライマーセットにより特定塩基配列からなる核酸を増幅する工程、
[ii]増幅された核酸を検出可能な標識で標識された核酸プローブで検出する工程、からなり、
前記第一のプライマーが配列番号1に記載の塩基配列またはその相補配列から選択される連続した20塩基以上の配列からなり、前記第二のプライマーが配列番号2に記載の塩基配列またはその相補配列から選択される連続した20塩基以上の配列からなることを特徴とする新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法。
(2)前記第一のプライマーが配列番号1に記載の塩基配列の連続した20塩基からなり、前記第二のプライマーが配列番号2の連続した20塩基~25塩基からなることを特徴とする(1)に記載の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法。
(3)前記第一のプライマーが配列番号3から配列番号15のいずれかに記載の塩基配列から選ばれてなり、前記第二のプライマーが配列番号17から配列番号22のいずれかに記載の塩基配列から選ばれてなることを特徴とする(2)に記載の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法。
(4)前記標識された核酸プローブが、蛍光色素で標識され、かつ相補的な2本鎖を形成すると蛍光特性が変化するように構成されてなることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法。
(5)前記蛍光色素がインターカレーター性蛍光色素であることを特徴とする(4)に記載の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法。
(6)前記標識された核酸プローブが、配列番号23に記載の塩基配列またはその相補配列から選択される連続した17塩基以上の配列からなることを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法。
(7)前記核酸を増幅する工程が、
[i]前記第一のプライマーおよび前記第二のプライマーは、少なくとも一方の5’末端にRNAポリメラーゼの転写が開始可能なプロモーター配列が付加されてなり、
[ii]少なくとも、前記第一のプライマーおよび前記第二のプライマーからなるプライマーセット、RNA依存DNAポリメラーゼ活性、RNaseH活性、DNA依存DNAポリメラーゼ活性により転写可能なプロモーター領域を有する2本鎖DNAを生成し、
[iii]RNAポリメラーゼによって前記2本鎖DNAを鋳型とする転写反応を行うことで特定塩基配列もしくはその相補配列からなるRNAを生産し、
[iv]該RNAが[ii]の2本鎖DNAを生成するための鋳型となって、[ii]~[iii]が繰り返し進行する、
ことを特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法。
(8)新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を、少なくとも第一のプライマーおよび第二のプライマーからなるプライマーセットにより特定塩基配列からなる核酸を増幅する工程、増幅された核酸を検出可能な標識で標識された核酸プローブで検出する工程、からなる検出工程を実施するための試薬であって、少なくとも、配列番号13に記載の配列からなる第一のプライマー、および配列番号22に記載の塩基配列からなる第二のプライマー、を含むことを特徴とする新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出するための試薬。
本発明の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列の検出方法は、該特定塩基配列を増幅するための第一のプライマーおよび第二のプライマーからなるプライマーセット、核酸増幅方法、核酸検出プローブを提供することにより新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAを迅速、高感度、特異的に検出する方法を提供する。
本発明の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出方法は、試料中に含まれる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を、一つの遺伝子領域を標的としながら、迅速、高感度に検出でき、かつ他のコロナウイルス種を検出しないなど、偽陽性の発生も極めて少なく特異性が高い。そのため、検査結果を早急に医師に提示することが可能となり、感染拡大防止や、適切な治療方針の決定のために有効であり、症状の早期改善や公衆衛生に寄与するものと考えられる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明中において試料とは、鼻咽頭ぬぐい液、唾液、口腔検体、鼻腔検体、喀痰、気管支肺胞洗浄液、気管内吸引物、胸水、血液、尿、便などがあげられる。最近、検体採取者の安全性を考慮して、唾液検体への適用が望まれている。
本発明中の特定塩基配列とは、SARS-CoV-2 RNA配列において、本発明の第一のプライマーと相同な配列と第二のプライマーと相補的な配列、およびこれらに挟まれた配列からなる、もしくはその相補配列からなる配列である。
本発明中の第一のプライマーおよび第二のプライマーは、配列番号1に記載の塩基配列またはその相補配列から選択される連続した20塩基以上の配列からなり、前記第二のプライマーが配列番号2に記載の塩基配列またはその相補配列から選択される連続した20塩基以上の配列からなり、好適には、配列番号1に記載の塩基配列の連続した20塩基からなり、前記第二のプライマーが配列番号2の連続した20塩基~25塩基からなり、さらに好適には、第一のプライマーが配列番号3から配列番号15のいずれかに記載の塩基配列から選ばれてなり、前記第二のプライマーが配列番号17から配列番号22のいずれかに記載の塩基配列から選ばれてなり、最も好適には、第一のプライマーが配列番号13に記載の配列からなり、第二のプライマーが配列番号22に記載の塩基配列からなる。
なお、以上の塩基配列は標的核酸とのハイブリダイゼーションにおいてその特異性に変化がない範囲内で、塩基の変異、欠失、付加、または化学的修飾がなされていても適用可能であることは言うまでもない。一般に、ステリンジェントな条件、例えば、42℃において、50%(v/v)ホルムアミド、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%フィコール、0.1%のポリビニルピロリドン、50mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)、150mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウム、中で標的核酸とのハイブリダイゼーション効率に差がなければハイブリダイゼーションの特異性に差がないと考えることができる。
なお、前記第一のプライマーおよび第二のプライマーは、少なくとも一方の5’末端にRNAポリメラーゼによる転写の開始に寄与するプロモーター配列を付加していても良い。該プロモーターとしては、イン・ヴィトロ転写反応に用いるRNAポリメラーゼ(例えば、分子生物学の分野で汎用される、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼやSP6 RNAポリメラーゼ)に対応したプロモーターを用いればよい。また前記プロモーターに、転写効率に影響を及ぼすことが知られている転写開始領域をさらに付加してもよい。RNA増幅に用いるRNAポリメラーゼとしてT7 RNAポリメラーゼを用いたときの、プライマーの5’末端側に付加するプロモーター(T7プロモーター)の具体例として、配列番号28に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドがあげられる。
本発明中の核酸プローブは、検出可能なシグナルを呈する物質で標識されていれば特に限定されないが、汎用性などから蛍光物質で標識されているものが好ましい。さらに好適には相補的な2本鎖を形成すると蛍光特性が変化するように構成されているものがあげられる。蛍光特性が変化するよう構成された例としては、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を利用したTaqManプローブ、BEACONプローブ、Qプローブなどがあげられ、特に限定しないが、最も好適にはインターカレーター性蛍光色素標識核酸プローブがあげられる。該インターカレーター性蛍光色素標識核酸プローブの一態様として、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA特定塩基配列またはその相補配列の少なくとも一部と特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドの3’末端、5’末端、リン酸ジエステル部、または塩基部分、の少なくともいずれかに適当なリンカーを介してインターカレーター性蛍光色素を標識した核酸プローブがあげられる。標識するインターカレーター性蛍光色素に特に限定はなく、オキサゾールイエロー、チアゾールオレンジ、エチジウムブロマイド、ヘミシアニン等の汎用されている蛍光色素、およびこれらの誘導体の中から、蛍光強度や蛍光特性を考慮して、適宜選定すればよい。なお3’末端側に蛍光色素を標識する場合を除き、オリゴヌクレオチドの3’末端側は当該末端側からの核酸伸長反応を防止する意味で、グリコール酸などの適当な修飾がされているとよい。
また、本発明中の核酸プローブは配列番号23に記載の塩基配列またはその相補配列から選択される連続した17塩基以上の配列からなることが好ましく、さらに好適には配列番号25に記載の配列からなる。プライマーの場合と同様に標的核酸とのハイブリダイゼーションにおいてその特異性に変化がない範囲内で、塩基の変異、欠失、付加、または化学的修飾がなされていても適用可能である。
本発明中の核酸を増幅する方法として、少なくとも一組のプライマーセットを用いる、RT-PCR、NASBA(Nucleic Acid Sequence Based Amplification)法、TMA(Transcription-Mediated Amplification)法、などがあげられ特に限定するものではないが、一定温度でかつ約20分間で実施可能なTRC(Transcription-Reverse transcription Concerted reaction)法が好ましい。
TRC法を用いた核酸を増幅する好適な態様として、(1)第二のプライマー(5’末端側にRNAポリメラーゼのプロモーター配列が付加されている)が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAの特定塩基配列にハイブリダイズし、RNA依存DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により、特定塩基配列に相補的なcDNAを合成し、前記RNAとのRNA-DNA2本鎖を生成する、(2)リボヌクレアーゼH(RNase H)活性を有する酵素により、前記RNA-DNA2本鎖のRNA鎖を分解し1本鎖DNAを生成する、(3)第一のプライマーがハイブリダイズし、DNA依存DNAポリメラーゼ活性を有する酵素により、特定塩基配列またはその相補的な配列のRNAを転写可能なプロモーターを含む2本鎖DNAを生成する、(4)RNAポリメラーゼ活性を有する酵素により前記2本鎖DNAを鋳型とするRNA転写産物を生産する、(5)該RNA転写産物が、前記(1)の反応におけるcDNA合成の鋳型となることで、連鎖的にRNA転写産物を生成する、工程があげられる。
さらに本発明中のインターカレーター性蛍光色素標識核酸プローブ存在下で前記核酸増幅工程を実施すると、核酸増幅工程と検出工程を同時に実施することが可能で、RNA転写産物量に相応する蛍光強度をリアルタイムにモニタリングすることができる。
なお、前記RNA依存DNAポリメラーゼ活性を有する酵素、前記RNase H活性を有する酵素、および前記DNA依存DNAポリメラーゼ活性を有する酵素は、それぞれ別個あるいは種々の組合せで添加することもできるが、前記3活性を併せ持つレトロウイルス由来の逆転写酵素を使用することもできる。該逆転写酵素は特に限定されないが、分子生物学の分野で汎用される、AMV(Avian Myeloblastosis Virus)逆転写酵素、MMLV(Molony Murine Leukemia Virus)逆転写酵素、RAV(Rous Associated Virus)逆転写酵素、HIV(Human Immunodeficiency Virus)逆転写酵素などが使用できる。
前記態様による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAの特定塩基配列検出方法における反応温度は、使用する各酵素の耐熱性や活性、ならびにプライマー/プローブのTm等に依存するが、使用する酵素がAMV逆転写酵素およびT7 RNAポリメラーゼであり、プライマーおよびプローブの長さが15から25塩基の範囲である場合は、35から65℃の範囲で一定の反応温度を設定することができる。
前記態様により新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAの特定塩基配列を、最適かされた条件において、核酸増幅および測定をあわせて20分以内に判定することが可能である。
前記態様による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAの特定塩基配列検出方法は、前述した第一のプライマー、第二のプライマー、およびインターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドを含む新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA検出用試薬に試料を添加し、経時的に蛍光検出可能な一定温度の温調ブロックに載置することで、自動的に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が有するRNAを増幅し検出することができることから、自動化に適した方法であるといえ、操作の簡便化、迅速化に有用である。
本発明中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出するための試薬とは、少なくとも第一のプライマーおよび第二のプライマーからなるプライマーセットを含んでなるが、好適な態様としては、該プライマーセット、インターカレーター性蛍光色素標識核酸プローブ、RNA依存DNAポリメラーゼ活性を有する酵素、RNaseH活性を有する酵素、DNA依存DNAポリメラーゼ活性を有する酵素、RNAポリメラーゼ、基質、バッファー、塩類、などを含んでなる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
実施例1:インターカレーター性蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドの調製
配列番号24もしくは配列番号25からなるオリゴヌクレオチドであって、配列番号24においては5’末端から8番目のチミンに、配列番号25においては5’末端から12番目のチミンにリンカーを介してチアゾールオレンジを標識したインターカレーター性蛍光色素標識オリゴヌクレオチド(以下、プローブと記載する)を特開2000-316587号公報で開示の方法に基づき作製した。
実施例2:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検出用オリゴヌクレオチドの検討
表1に示す、第一のプライマー、第二のプライマーおよびプローブの組み合わせを用いて、以下に示す方法で評価した。なお表1に記載のINAFプローブは実施例1で作製したプローブである。
(1)新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAとしては、市販のコントロール試薬(vircell社、AMPLIRUN SARS-CoV-2 RNA CONTROL)を使用した(以下、標準RNA)。コントロールRNAは、RNA希釈液(10mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)、1mM EDTA、0.02% コール酸ナトリウム)を用いて30コピー/15μLになるように希釈し、これらをRNA試料として用いた。
(2)以下の組成からなる反応液を蒸発乾燥用チューブに分注し、蒸発乾燥した。
反応液の組成:濃度はRNA試料、開始液、添加後(30μL中)の最終濃度
60mM Tris-HCl緩衝液(pH8.35)
300mM トレハロース
各0.39mM dATP、dCTP、dGTP、dTTP
各2.1mM ATP、CTP、UTP
1.5mM GTP
3.2mM ITP
0.4μM 第一のプライマー
0.4μM 第二のプライマー(各配列番号の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドの5’末端側にT7プロモータ(配列番号24)を付加したもの)
10nM プローブ(実施例1で調製したもの)
0.025mg/mL 牛血清アルブミン
200U T7 RNAポリメラーゼ
9.0U AMV逆転写酵素
(3)上記の蒸発乾燥後に、自動遺伝子検査装置 TRCReady-80(東ソー社製)により、前記RNA試料を15μL添加後、46℃で5分間保温し、その後、以下の組成からなる開始液15μLを添加し撹拌した。
酵素液の組成:反応時(30μL中)の最終濃度
9.00% ジメチルスルホキシド
21mM 塩化マグネシウム
137mM 塩化カリウム
(4)引き続いて、前記反応チューブを自動遺伝子検査装置 TRCReady-80(東ソー社製)を用い、46℃で反応させると同時に反応溶液の蛍光強度を経時的に20分間測定した。
開始液を加え撹拌を終えた時点を0分として、反応液の蛍光強度比(所定時間の蛍光強度値をバックグラウンドの蛍光強度比で割った値)が1.6を超えた場合を陽性判定とし、そのときの時間を検出時間とした。結果を表1に示す。試験は、各々の組合せごとに2回数実施した。「ND」は反応開始後20分後の蛍光強度比が1.6以下(陰性判定)であったことを意味する。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAの検出性能(表1)については、本実施例で検討したオリゴヌクレオチドの組合せ(セット1からセット14)のいずれもが30コピー/testの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAを20分以内に検出した。特に、セット1からセット13は10分以内に検出されており、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAを迅速に検出可能なオリゴヌクレオチドの組合せといえる。なお、セット14は、同遺伝子領域で設計された本発明適用外の組合せである。
Figure 2022114682000001

実施例3:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検出用オリゴヌクレオチドの唾液スパイク試料による検討
表2および表3に示した、第一のプライマー、第二のプライマーおよびプローブの組合せを用いて、以下に示す方法で、唾液検体を想定したマトリックスの影響を評価した。なお表に記載のプローブは実施例1で作製したプローブである。
(1)新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陰性の唾液検体を遠心し、上清をPBSで2倍希釈した試料200μLを用いた。核酸精製はTRCR核酸精製キット(東ソー社製)を用いて実施した。前記試料200μLをTRCR核酸精製キット(東ソー社製)の変性試薬に添加、撹拌後、前記標準RNAを、(i)3000コピー添加、(ii)1000コピー添加し、自動遺伝子検査装置 TRCReady-80(東ソー社製)にて核酸精製を行って45μLの核酸精製物を得、このうちの15μLをRNA試料として用いた。
(2)~(4)の操作は、前記実施例2と同様に実施した。
(i)3000コピー添加(1000コピー/テストに相当)の結果を表2、(ii)1000コピー添加(333コピー/テストに相当)の結果を表2に示した。開始液を加え撹拌を終えた時点を0分として、反応液の蛍光強度比(所定時間の蛍光強度値をバックグラウンドの蛍光強度比で割った値)が1.6を超えた場合を陽性判定とし、そのときの時間を検出時間とした。結果を表1に示す。試験は、各々の組合せごとに2回数実施した。「ND」は反応開始後20分後の蛍光強度比が1.6以下(陰性判定)であったことを意味する
唾液スパイク試料を用いた新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAの検出性能結果(表2、表3)から、セット1からセット13、セット16からセット21のオリゴヌクレオチドの組合せでは少なくとも1000コピー/testの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAを20分以内に検出可能であることが示された。これらのオリゴヌクレオチド組合せは唾液検体マトリックスの影響を受けにくい組合せであることが示唆された。特に、第一のプライマー(配列番号13)と第二のプライマー(配列番号22)の組合せからなるセット11およびセット21は333コピー/testの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAを10分以内に検出しており、唾液を検体として想定した場合も迅速に検出可能な組合せであることが示唆された。なお、セット14、セット15、セット22は、同遺伝子領域で設計された本発明適用外の組合せであるが、唾液検体に適用する場合にはマトリックスの影響を受ける可能性が考えられた。唾液に由来する影響因子としては、タンパク成分や多糖など種々な物質が考えられるが、一つの可能性としては唾液中に混在する核酸成分が考えられ、当該核酸成分とプライマーが相互作用することで反応が阻害されると推測される。したがって、前記、セット1からセット13、セット16からセット21の組合せは前記影響因子との相互作用が小さいと考えられる。
Figure 2022114682000002
Figure 2022114682000003
本実施例で検討したオリゴヌクレオチドの組み合わせのうち、検出時間が10分以内であった組合せのうちからセット11を用いて、他のコロナウイルスRNAの交差反応性評価(表3)を実施した。
RNA試料以外は実施例1に従って実施した。
交差反応性の結果を表4示した。試験は3回数実施した。「ND」は反応開始後20分後の蛍光強度比が1.6以下(陰性判定)であったことを意味する。2003年型SARS(SARS-CoV)、MERS、コロナウイルス(229E、OC43)を検出せず、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して高い特異性を有しており、本実施例で検討したプライマーの組み合わせは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の有するRNAを特異的に検出可能であることが示された。
Figure 2022114682000004

Claims (8)

  1. 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法であって、
    (i)少なくとも第一のプライマーおよび第二のプライマーからなるプライマーセットにより特定塩基配列からなる核酸を増幅する工程、
    (ii)増幅された核酸を検出可能な標識で標識された核酸プローブで検出する工程、からなり、
    前記第一のプライマーが配列番号1に記載の塩基配列またはその相補配列から選択される連続した20塩基以上の配列からなり、前記第二のプライマーが配列番号2に記載の塩基配列またはその相補配列から選択される連続した20塩基以上の配列からなることを特徴とする新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法。
  2. 前記第一のプライマーが配列番号1に記載の塩基配列の連続した20塩基からなり、前記第二のプライマーが配列番号2の連続した20塩基~25塩基からなることを特徴とする請求項1に記載の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法。
  3. 前記第一のプライマーが配列番号3~配列番号15のいずれかに記載の塩基配列から選ばれてなり、前記第二のプライマーが配列番号16~配列番号22のいずれかに記載の塩基配列から選ばれてなることを特徴とする請求項2に記載の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法。
  4. 前記標識された核酸プローブが、蛍光色素で標識され、かつ相補的な2本鎖を形成すると蛍光特性が変化するように構成されてなることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法。
  5. 前記蛍光色素がインターカレーター性蛍光色素であることを特徴とする請求項4に記載の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法。
  6. 前記標識された核酸プローブが、配列番号23に記載の塩基配列またはその相補配列から選択される連続した17塩基以上の配列からなることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法。
  7. 前記核酸を増幅する工程が、
    (i)前記第一のプライマーおよび前記第二のプライマーは、少なくとも一方の5’末端にRNAポリメラーゼの転写が開始可能なプロモーター配列が付加されてなり、
    (ii)少なくとも、前記第一のプライマーおよび前記第二のプライマーからなるプライマーセット、RNA依存DNAポリメラーゼ活性、RNaseH活性、DNA依存DNAポリメラーゼ活性、により転写可能なプロモーター領域を有する2本鎖DNAを生成し、
    (iii)RNAポリメラーゼによって前記2本鎖DNAを鋳型とする転写反応を行うことで特定塩基配列もしくはその相補配列からなるRNAを生産し、
    (iv)該RNAが(ii)の2本鎖DNAを生成するための鋳型となって、(ii)~(iii)が繰り返し進行する、
    ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出する方法。
  8. 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を、少なくとも第一のプライマーおよび第二のプライマーからなるプライマーセットにより特定塩基配列からなる核酸を増幅する工程、増幅された核酸を検出可能な標識で標識された核酸プローブで検出する工程、からなる検出工程を実施するための試薬であって、少なくとも、配列番号1に記載の塩基配列またはその相補配列から選択される連続した20塩基以上の配列からなる第一のプライマー、配列番号2に記載の塩基配列またはその相補配列から選択される連続した20塩基以上の配列からなる第二のプライマー、を含むことを特徴とする新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA中の特定塩基配列を検出するための試薬。
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