JP7176266B2 - トキシンB遺伝子(tcdB)を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブ - Google Patents
トキシンB遺伝子(tcdB)を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブ Download PDFInfo
- Publication number
- JP7176266B2 JP7176266B2 JP2018134777A JP2018134777A JP7176266B2 JP 7176266 B2 JP7176266 B2 JP 7176266B2 JP 2018134777 A JP2018134777 A JP 2018134777A JP 2018134777 A JP2018134777 A JP 2018134777A JP 7176266 B2 JP7176266 B2 JP 7176266B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- seq
- tcdb
- nucleic acid
- oligonucleotide probe
- reaction solution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
Description
(A)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、若しくは配列番号19のいずれかで示される塩基配列またはそれらに相補的な塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列を含む。
(B)少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されている。
[項2]
前記(A)において、配列番号5、配列番号6、配列番号9、配列番号10、若しくは配列番号11のいずれかで示される塩基配列またはそれらに相補的な塩基配列を含む、項1に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
[項3] 前記(B)の蛍光消光色素が、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、BODIPY及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの蛍光消光色素である項1または2に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
[項4] 前記(B)の蛍光消光色素が、4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸(BODIPY-FL)、カルボキシローダミン6G、TAMRA、ローダミン6G、テトラブロモスルホンフルオレセイン(TBSF)、及び2-オキソ-6,8-ジフルオロ-7-ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラン-3-カルボン酸(Pacific Blue)からなる群より選択される少なくとも1つの蛍光消光色素である項1~3のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
[項5] 前記(B)において、蛍光消光色素で標識されている少なくとも一つの末端塩基がシトシンである項1~4のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
[項6] 試料中に含まれるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)のトキシンB遺伝子(tcdB)を検出する方法であって、項1~5のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプローブを少なくとも含む反応液を用いて、以下の工程(1)~(3)を行うことを特徴とする、tcdB検出方法。
(1)tcdBを含みうる試料を提供する工程。
(2)前記反応液を用いて核酸増幅反応を行う工程。
(3)工程(2)で得られうる増幅産物に、該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定する工程。
[項7] 前記工程(3)が以下の工程(3a)~(3c)の少なくともひとつを含む項6に記載の方法。
(3a)得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターする工程。
(3b)前記工程(2)の終了後に、得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターする工程。
(3c)前記工程(2)の終了後に、得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度の温度依存性を測定することで、tcdBを検出する工程。
[項8] 前記工程(2)の核酸増幅反応が、PCRである項6または7に記載の方法。
[項9] 前記工程(2)の核酸増幅反応で用いる核酸増幅酵素が、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼである項8に記載の方法。
[項10] ファミリーBに属するDNAポリメラーゼが、古細菌由来のDNAポリメラーゼあるいはその変異体である、項9に記載の方法。
[項11] 古細菌由来のDNAポリメラーゼが、KOD DNAポリメラーゼあるいはその変異体である、項10に記載の方法。
[項12] 項6~11のいずれかに記載の検出方法を実施するための試薬。
[項13] 項6~11のいずれかに記載の検出方法を実施するための試薬を含むキット。
本発明の実施態様の一つは、試料中に含まれるC.difficileのtcdBを検出するために用いられる、以下の特徴(A)及び(B)を有するオリゴヌクレオチドプローブである。
(A)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、若しくは配列番号19のいずれかで示される塩基配列またはそれらに相補的な塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列を含む。
(B)少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されている。
Clostridium difficile(別名Clostiridioides difficile)は、院内感染の原因微生物のひとつであり、毒素産生菌はその毒素によって抗菌薬に関連した下痢症・腸炎を引き起こす。主要な毒素は、トキシンAおよびトキシンBであるが、ほかにもバイナリートキシン等を毒素として産生することもある。
本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、以下の特徴(A)及び(B)を有する。
(A)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、若しくは配列番号19のいずれかで示される塩基配列またはそれらに相補的な塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列を含む。
(B)少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されている。
このようなオリゴヌクレオチドプローブは、増幅産物にハイブリダイズした際に、増幅産物中のグアニン塩基と塩基対を形成して相互作用することで消光できるため、非常に簡便に反応液の蛍光強度の変化を測定することができる。
本発明の実施態様の一つは、試料中に含まれるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)のトキシンB遺伝子(tcdB)を検出する方法であって、前記のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプローブを少なくとも含む反応液を用いて、以下の工程(1)~(3)を行うことを特徴とする、tcdB検出方法である。
(1)tcdBを含みうる試料を提供する工程。
(2)前記反応液を用いて核酸増幅反応を行う工程。
(3)工程(2)で得られうる増幅産物に、該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定する工程。
本発明において使用できる試料はtcdBを含む可能性のあるものであれば特に限定されない。例えば、生体試料や食品、環境試料だけでなく、精製核酸等が挙げられる。また、試料は核酸抽出やいくつかの前処理を行ってもよい。試料の核酸抽出や前処理は、当該技術分野で一般的に行われている。前処理としては、ろ過、遠心分離、希釈処理、加熱処理、酸処理、アルカリ処理、有機溶媒処理、懸濁処理、破砕処理、磨砕処理等が挙げられるが、本発明ではこれらに限定されない。
核酸増幅法は数コピーの標的核酸を可視化可能なレベル、すなわち数億コピー以上に増幅する技術であり、生命科学研究分野のみならず、臨床診断、食品衛生検査、環境検査等の分野においても広く用いられている。そのような核酸増幅法としては、PCR法、LAMP法、LCR法、TMA法、SDA法、RT-PCR法、RT-LAMP法、NASBA法、TRC法、TMA法等が挙げられる。これらの技術は既に当該技術分野において確立されており、目的に合わせて方法を選択することができる。本発明のtcdB検出方法に用いる核酸増幅法はPCR法が好ましいが、これに限定されない。
PCR反応は、主にDNAポリメラーゼによって触媒される反応であり、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの乖離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって標的核酸を増幅する。DNAポリメラーゼとしては、Taq、Tth、Bst、KOD、Pfu、Pwo、Tbr、Tfi、Tfl、Tma、Tne、Vent、DEEPVENTやその変異体が挙げられる。より簡便、高感度なtcdB検出を可能にできるという観点から、本発明では、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼを用いることが好ましい。
本発明で用いるDNAポリメラーゼは、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼが好ましいが、これに限定されない。前記ファミリーBに属するDNAポリメラーゼは、特に制限されないが、好ましくは古細菌(Archea)由来のDNAポリメラーゼである。
ファミリーBに属する古細菌由来のDNAポリメラーゼとしては、パイロコッカス(Pyrococcus)属およびサーモコッカス(Thermococcus)属の細菌から単離されるDNAポリメラーゼが挙げられる。また、本発明には、ファミリーBに属する古細菌由来のDNAポリメラーゼ活性を失っていないその変異体も含まれる。DNAポリメラーゼの変異体には、ポリメラーゼ活性の増強、エキソヌクレアーゼ活性の欠損、基質特異性の調整等を目的とした変異体が挙げられるが、これらに限定されない。
パイロコッカス属由来のDNAポリメラーゼとしては、Pyrococcus furiosus、Pyrococcus sp.GB-D、Pyrococcus woesei、Pyrococcus abyssi、Pyrococcus horikoshiiから単離されたDNAポリメラーゼ、及びこれらに由来するDNAポリメラーゼ活性を失っていないその変異体を含むが、これらに限定されない。
サーモコッカス属に由来するDNAポリメラーゼとしては、Thermococcus kodakaraensis、Thermococcus gorgonarius、Thermococcus litoralis、Thermococcus sp.JDF-3、Thermococcus sp.9degrees North-7(Thermococcus sp.9°N-7)、Thermococcus siculiから単離されたDNAポリメラーゼ、及びこれらに由来するDNAポリメラーゼ活性を失っていないその変異体を含むが、これらに限定されない。
これらのDNAポリメラーゼを用いたPCR酵素は市販されており、Pfu(Staragene社)、KOD(Toyobo社)、Pfx(Life Technologies社)、Vent(New England Biolabs社)、Deep Vent(New England Biolabs社)、Tgo(Roche社)、Pwo(Roche社)などが挙げられ、そのいずれもが本発明に用いられ得る。
(3a)得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターする工程。
(3b)前記工程(2)の終了後に、得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターする工程。
(3c)前記工程(2)の終了後に、得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度の温度依存性を測定することで、ノロウイルスG1型核酸を検出あるいは該核酸の塩基配列多型を分析する工程。
核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターすることで、試料中に含まれる標的核酸を迅速に検出することができる。さらに、増幅率に基づいて試料中に含まれる標的核酸の定量も可能である。
例えば、蛍光消光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む反応液の蛍光強度を測定することで、核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターする。核酸増幅反応の任意の時点で、反応液の蛍光強度を測定する。試料中にtcdBのDNAが含まれている場合、増幅した核酸量に依存してオリゴヌクレオチドプローブが増幅核酸にハイブリダイズして蛍光強度が増加(あるいは減少)する。取得した蛍光強度を時間(PCR反応ではサイクル数)に対してプロットすることで、核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターできる(例えば、実施例2)。
核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターすることで、試料中に含まれる標的核酸を迅速に検出することができる。さらに、エンドポイントでの蛍光強度等を比較することで標的核酸の定量も可能である。
例えば、蛍光消光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む反応液の蛍光強度を測定することで、核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターする(例えば、実施例3)。核酸増幅反応終了後に、反応液の蛍光強度を測定する。反応後の反応液の蛍光強度を反応前の反応液の蛍光強度と比較することで、標的核酸の増幅の有無を確認できる。あるいは、反応後の反応液の反応強度をコントロール反応液の反応強度と比較することでも試料中に含まれる標的核酸の有無を確認することができる。コントロール反応液とは、測定したい試料の代わりに陰性と判明している試料あるいは陽性と判明している試料を加えた反応液である。
核酸増幅反応の進行は、一般的にリアルタイムでモニターすることが好ましいが、検出工程をより簡便にする等の目的では、エンドポイントでモニターすることが好ましい。
蛍光強度の温度依存性を測定するとは、具体的には、反応液の温度を低温から高温に変化させながら、各温度における蛍光強度を測定することである(例えば、実施例4)。得られた蛍光強度について温度で一次微分することにより、使用するオリゴヌクレオチドプローブに固有の融解温度(Tm値)を求めることができる。また、蛍光強度は目的に合わせて蛍光消光率等に変換してもよい。
Tm値を用いた標的核酸の検出、分析等を融解曲線分析という。一般的に、Tm値は、オリゴヌクレオチドがその相補鎖と二本鎖を形成している割合と二本鎖を形成せず一本鎖である割合が等しいときの温度をいう。Tm値は、塩基配列に固有の値であるため、融解曲線分析は標的核酸の塩基配列多型を分析する手法として使用できる。ここでいう塩基配列多型とは、一塩基多型、塩基置換、塩基欠損、塩基挿入等を含む。
オリゴヌクレオチドプローブに対して標的核酸の塩基配列に変異がある場合、プローブがハイブリダイズした際に塩基がミスマッチしているため、一般的にTm値は低くなる。したがって、Tm値の大きさを比較することで一塩基多型の解析(SNP解析)を行うことができる。
本発明の別の実施態様として、試料中に含まれるtcdBを検出するための試薬が挙げられる。試薬には、前述の特徴(A)及び(B)を備えたオリゴヌクレオチドプローブに加えて、核酸増幅に必要な成分が少なくとも含まれる。必要な成分は、実施する核酸増幅反応によって異なっており、それぞれ公知の方法を用いることができる。例えば、PCR反応を用いて試料中に含まれるtcdBを検出する場合、オリゴヌクレオチドプローブ、DNAポリメラーゼ、オリゴヌクレオチドプライマー、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTPs)、マグネシウム塩を少なくとも含むことが好ましい。目的の実験に応じて各成分の濃度は適宜調整できるが、例えば、オリゴヌクレオチドプローブは0.1~1μMが好ましく、0.2~0.5μMがより好ましい。DNAポリメラーゼは0.01~1U/uLが好ましく、0.1~0.5U/uLがより好ましい。オリゴヌクレオチドプライマーはそれぞれ異なるが、0.1~10μMが好ましい。デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTPs)は0.02~1mMが好ましく、0.1~0.5mMがより好ましい。マグネシウム塩は0.1~6mMが好ましく、1~5mMがより好ましい。
さらに、本発明の別の実施態様として、試料中に含まれるtcdBを検出するための試薬を含むキットが挙げられる。キットの構成は、前記オリゴヌクレオチドプローブを含む前記tcdB検出試薬を含み、tcdBを検出できるよう構成されていれば特に限定されない。
(1-1)方法
従来技術よりも簡便、高感度にtcdBを検出できるオリゴヌクレオチドプローブを設計するために、tcdBのアライメントを行った。tcdBの塩基配列をNCBI(National Center for Biotechnology Information)のデータベースから取得し、それらのアライメントを行った(全40配列)。
(1-2)結果
アライメントの結果から、以下の特徴(a)~(b)を満たすと考えられる塩基配列を選択した。
(a)株間差なくハイブリダイズできる
(b)ダイマー等の非特異産物を形成しない
(c)Tm値が40℃以上である
その結果、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19のいずれかで示される塩基配列またはそれらに相補的な塩基配列で示される塩基配列の一部のうち、連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列を選択できた。
(2-1)方法
配列番号9、配列番号10、配列番号11に相補的な塩基配列で、3’末端をBODIPY-FLで標識したオリゴヌクレオチドプローブのいずれかを用いて、C.difficile(tcdB陽性)コロニー懸濁液を試料としてPCR反応を行った。なお、オリゴヌクレオチドプライマーは配列番号20、配列番号21に記載の塩基配列を使用した。
(2-2)反応液
KOD FX Neo(東洋紡社)を使用して以下に示される成分を含む反応液を調製した。反応液の調製等はKOD FX Neo(東洋紡社)の取扱説明書に従った。
1.5μM 配列番号20で示されるプライマー
0.5μM 配列番号21で示されるプライマー
0.3μM オリゴヌクレオチドプローブ(配列番号9~11のいずれかに相補的な塩基配列)
(2-3)反応
Rotor-Gene(TM) Qを用いて、前記反応液を以下の温度サイクルで反応させ、各サイクルにおける蛍光強度を測定した。
94℃ 30秒、
98℃ 1秒-52℃ 10秒-63℃ 10秒(サイクル数60回)
(2-4)結果
図1は、測定で得られた蛍光強度(消光率に変換)をサイクル数にプロットした図である。実線、点線、破線がそれぞれ配列番号9、配列番号10、配列番号11に相補的な塩基配列で示されるオリゴヌクレオチドプローブを使用したときの蛍光強度のプロット図である。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドプローブを使用して、核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターできることが示された。
(3-1)方法
配列番号11に相補的な塩基配列で、3’末端をBODIPY-FLで標識したオリゴヌクレオチドプローブを用いて、C.difficile(tcdB陽性)コロニー懸濁液を試料としてPCR反応を行った。なお、オリゴヌクレオチドプライマーは配列番号20、配列番号21に記載の塩基配列を使用した。テンプレートの濃度は、0、100、1000CFU/testのコロニー懸濁液をそれぞれ使用した。
(3-2)反応液
ジーンキューブ(登録商標)テストベーシック(東洋紡社)を使用して以下に示される成分を含む反応液を調製した。反応液の調製等はジーンキューブ(登録商標)テストベーシックの取扱説明書に従った。
1.5μM 配列番号20で示されるプライマー
0.5μM 配列番号21で示されるプライマー
0.3μM オリゴヌクレオチドプローブ
(3-3)反応
GENECUBE(登録商標)を用いて、前記反応液を以下の温度サイクルで反応させ、各サイクルにおける蛍光強度を測定した。
94℃ 30秒、
98℃ 1秒-52℃ 10秒-63℃ 10秒(サイクル数60回)
(3-4)結果
図2に、蛍光強度及び蛍光変化率を示す。蛍光変化率(本実施例では消光率を表す)は、(増幅前蛍光強度-増幅後蛍光強度)/(増幅前蛍光強度)の式より求めた。図2より、テンプレート量にしたがって、蛍光強度が変化することが明らかになり、C.difficile(tcdB陽性)の半定量も可能であった。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドプローブを使用して、核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターできることが示された。オリゴヌクレオチドプローブとして配列番号9、配列番号10に相補的な塩基配列で示される配列を有するものを用いた場合においても、それぞれ同様の結果が得られた。
(4-1)方法
実施例3と同様の反応液(配列番号11に相補的な塩基配列のオリゴヌクレオチドプローブを含む)、反応条件を用いて、C.difficile(tcdB陽性)コロニー懸濁液を試料としてPCR反応を行った。核酸増幅反応後に以下の条件による融解曲線分析を行った。テンプレートの濃度は、0、100、1000CFU/testのコロニー懸濁液をそれぞれ使用した。
94℃ 30秒、
39℃ 30秒、
40-75℃ 0.09℃/秒
(4-2)結果
図3に、融解曲線分析の結果を示す。実線、点線、破線がそれぞれ1000、100、0CFU/testのコロニー懸濁液を測定したときの融解曲線分析結果である。図3より、融解曲線分析によって試料中に含まれるtcdBを検出できることが示された。オリゴヌクレオチドプローブとして配列番号9、配列番号10に相補的な塩基配列で示される配列を有するものを用いた場合においても、それぞれ同様の結果が得られた。
Claims (11)
- 試料中に含まれるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)のトキシンB遺伝子(tcdB)を検出する方法であって、(A)配列番号9~11のいずれかで示される塩基配列に対して相補的な塩基配列からなり、且つ(B)少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されているオリゴヌクレオチドプローブと、配列番号20に示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号21に示される塩基配列からなるプライマーとで構成されるプライマー対とを少なくとも含む反応液を用いて、以下の工程(1)~(3)を行うことを特徴とする、tcdB検出方法。
(1)tcdBを含みうる試料を提供する工程。
(2)前記反応液を用いて核酸増幅反応を行う工程。
(3)工程(2)で得られうる増幅産物に、該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定する工程。 - 前記工程(3)が以下の工程(3a)~(3c)の少なくともひとつを含む請求項1に記載の方法。
(3a)得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターする工程。
(3b)前記工程(2)の終了後に、得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターする工程。
(3c)前記工程(2)の終了後に、得られうる増幅産物に該オリゴヌクレオチドプロ
ーブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度の温度依存性を測定することで、tcdBを検出する工程。 - 前記工程(2)の核酸増幅反応が、PCRである請求項1または2に記載の方法。
- 前記工程(2)の核酸増幅反応で用いる核酸増幅酵素が、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼである請求項1~3のいずれかに記載の方法。
- ファミリーBに属するDNAポリメラーゼが、古細菌由来のDNAポリメラーゼあるいはその変異体である、請求項4に記載の方法。
- 古細菌由来のDNAポリメラーゼが、KOD DNAポリメラーゼあるいはその変異体である、請求項5に記載の方法。
- 前記(B)の蛍光消光色素が、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、BODIPY及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの蛍光消光色素である請求項1~6のいずれかに記載の方法。
- 前記(B)の蛍光消光色素が、4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸(BODIPY-FL)、カルボキシローダミン6G、TAMRA、ローダミン6G、テトラブロモスルホンフルオレセイン(TBSF)、及び2-オキソ-6,8-ジフルオロ-7-ジヒドロキシ-2H-1-ベンゾピラン-3-カルボン酸(Pacific Blue)からなる群より選択される少なくとも1つの蛍光消光色素である請求項1~7のいずれかに記載の方法。
- 前記(B)において、蛍光消光色素で標識されている少なくとも一つの末端塩基がシトシンである請求項1~8のいずれかに記載の方法。
- 請求項1~9のいずれかに記載の検出方法を実施するための試薬であって、
(A)配列番号9~11のいずれかで示される塩基配列に対して相補的な塩基配列からなり、且つ(B)少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されているオリゴヌクレオチドプローブと、
配列番号20に示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号21に示される塩基配列からなるプライマーとで構成されるプライマー対とを含む、試薬。 - 請求項1~9のいずれかに記載の検出方法を実施するための試薬を含む、試料中に含まれるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)のトキシンB遺伝子(tcdB)を検出するためのキットであって、
(A)配列番号9~11のいずれかで示される塩基配列に対して相補的な塩基配列からなり、且つ(B)少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されているオリゴヌクレオチドプローブと、
配列番号20に示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号21に示される塩基配列からなるプライマーとで構成されるプライマー対とを含む、キット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018134777A JP7176266B2 (ja) | 2018-07-18 | 2018-07-18 | トキシンB遺伝子(tcdB)を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018134777A JP7176266B2 (ja) | 2018-07-18 | 2018-07-18 | トキシンB遺伝子(tcdB)を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020010636A JP2020010636A (ja) | 2020-01-23 |
JP7176266B2 true JP7176266B2 (ja) | 2022-11-22 |
Family
ID=69168759
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018134777A Active JP7176266B2 (ja) | 2018-07-18 | 2018-07-18 | トキシンB遺伝子(tcdB)を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7176266B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021153392A (ja) * | 2020-03-25 | 2021-10-07 | 東洋紡株式会社 | トキシンB遺伝子(tcdB)を検出するためのプライマー |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003511015A (ja) | 1999-09-28 | 2003-03-25 | インフェクティオ ダイアグノスティク(アイ.ディー.アイ.)インコーポレイティド | 高度に保存された遺伝子、および種特異的、属特異的、科特異的、群特異的および普遍的核酸プローブおよび増幅プライマーを発生させて、診断の臨床検体からの藻類、古細菌、細菌、真菌および寄生生物の微生物を急速に検出しかつ同定するためのそれらの使用 |
JP2010537648A (ja) | 2007-09-06 | 2010-12-09 | ジェネオーム サイエンシズ カナダ、 インク. | クロストリジウム・ディフィシレの毒素原性菌株の検出 |
WO2011161199A1 (en) | 2010-06-22 | 2011-12-29 | Euroclone S.P.A. | Highly sensitive method for detection of a target nucleic acid in a sample |
US20140193819A1 (en) | 2012-10-31 | 2014-07-10 | Becton, Dickinson And Company | Methods and compositions for modulation of amplification efficiency |
JP2015529090A (ja) | 2012-09-21 | 2015-10-05 | エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーF. Hoffmann−La Roche Aktiengesellschaft | クロストリジウム−ディフィシルの検出のための組成物及び方法 |
-
2018
- 2018-07-18 JP JP2018134777A patent/JP7176266B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003511015A (ja) | 1999-09-28 | 2003-03-25 | インフェクティオ ダイアグノスティク(アイ.ディー.アイ.)インコーポレイティド | 高度に保存された遺伝子、および種特異的、属特異的、科特異的、群特異的および普遍的核酸プローブおよび増幅プライマーを発生させて、診断の臨床検体からの藻類、古細菌、細菌、真菌および寄生生物の微生物を急速に検出しかつ同定するためのそれらの使用 |
JP2010537648A (ja) | 2007-09-06 | 2010-12-09 | ジェネオーム サイエンシズ カナダ、 インク. | クロストリジウム・ディフィシレの毒素原性菌株の検出 |
WO2011161199A1 (en) | 2010-06-22 | 2011-12-29 | Euroclone S.P.A. | Highly sensitive method for detection of a target nucleic acid in a sample |
JP2015529090A (ja) | 2012-09-21 | 2015-10-05 | エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーF. Hoffmann−La Roche Aktiengesellschaft | クロストリジウム−ディフィシルの検出のための組成物及び方法 |
US20140193819A1 (en) | 2012-10-31 | 2014-07-10 | Becton, Dickinson And Company | Methods and compositions for modulation of amplification efficiency |
Non-Patent Citations (4)
Title |
---|
J. Agric. Food Chem. 2005年,Vol.53,p.2535-2540 |
JOURNAL OF CLINICAL MICROBIOLOGY, 2003年,Vol. 41, No. 2,p.730-734 |
Microbes Environ, 2007年,Vol.22, No.3,p.223-231 |
蛍光消光現象を利用した遺伝子定量・解析技術,産総研 TODAY, 2008年,No.2,p.18-19 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020010636A (ja) | 2020-01-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20120052492A1 (en) | Oligonucleotides for detecting listeria spp. and use thereof | |
JP7315053B2 (ja) | Rnaを検出する方法およびrnaを検出するための試薬 | |
JPWO2002052043A1 (ja) | 病原微生物の検出方法 | |
EP3250711B1 (en) | Method and product for preventing false positives in methods employing ddntp's | |
KR20090078341A (ko) | Dnaj 유전자를 사용한 박테리아의 검출, 및 그의 용도 | |
US20140315209A1 (en) | Molecular assay for the amplification and detection of kpc genes responsible for high-level resistance to carbapenem in gram negative bacteria | |
US20090226895A1 (en) | Method of detecting vibrio parahaemolyticus via real-time PCR-hybridization | |
CN101558168A (zh) | 利用DnaJ基因的细菌检测及其应用 | |
US20120052495A1 (en) | Oligonucleotides for detecting listeria monocytogenes and use thereof | |
JP2018108054A (ja) | ノロウイルスg1型を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブ | |
JP7176266B2 (ja) | トキシンB遺伝子(tcdB)を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブ | |
JP2018108055A (ja) | ノロウイルスg2型を検出するためのオリゴヌクレオチドプローブ | |
KR20170030190A (ko) | Lamp를 이용한 클로스트리디움 퍼프린젠스 검출용 프라이머 및 그 용도 | |
JP2015128400A (ja) | 肺炎マイコプラズマの検出方法 | |
WO2022092012A1 (ja) | 複数の標的核酸の同時検出方法 | |
JP2021153392A (ja) | トキシンB遺伝子(tcdB)を検出するためのプライマー | |
WO2022092013A1 (ja) | 複数の核酸プローブからなる核酸プローブセット | |
WO2023282065A1 (ja) | ユニバーサル塩基を含むオリゴヌクレオチドプローブによる遺伝子多型の検出 | |
US20120052493A1 (en) | Oligonucleotides for detecting listeria spp. and use thereof | |
JP2023130663A (ja) | マイコプラズマ・ジェニタリウム検出用プローブ及びその用途 | |
JP6728657B2 (ja) | 核酸増幅法 | |
JP2024018236A (ja) | トリコモナス原虫検出用オリゴヌクレオチド及びその用途 | |
JP2021158989A (ja) | 病原性クラミジア属菌の検出方法 | |
JP6911308B2 (ja) | CTX−M型基質特異性拡張型β−ラクタマーゼ遺伝子の検出方法 | |
JP2023097825A (ja) | Rsウイルス検出用プローブ及びその用途 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220509 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220517 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220713 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20221011 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20221024 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7176266 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |