JP2021158989A - 病原性クラミジア属菌の検出方法 - Google Patents

病原性クラミジア属菌の検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】クラミジア属菌を区別して検出する核酸プライマーセット、及び該プライマーセットを用いたクラミジア属菌の検出方法の提供。【解決手段】肺炎クラミジア又はオウム病クラミジアの主要外膜タンパクをコードするompA遺伝子のゲノム配列の一部と90%以上の同一性を示す塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列からなる核酸プライマー、及び肺炎クラミジア又はオウム病クラミジアの主要外膜タンパク(MOMP)をコードするompA遺伝子のゲノム配列の一部と90%以上の同一性を示す塩基配列に相補的な塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列からなる核酸プライマーを含む、クラミジア属菌を区別して検出するための核酸プライマーセット、及び該プライマーセットを用いたクラミジア属菌の検出方法。【選択図】なし

Description

本発明は、検体試料中に含まれるChlamydophila属菌を区別して検出するためのオリゴヌクレオチドに関する。更に、本発明は、該オリゴヌクレオチドを用いて、検体試料中に含まれるChlamydophila属菌を検出する方法及びその方法に用いるための試薬・キット等に関する。
Chlamydophila属菌の中でも特に肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)は、伝染性の強い呼吸器感染症であるクラミジア肺炎を引き起こす主たる原因菌である。肺炎クラミジアは、発症年齢がマイコプラズマ肺炎と異なり、小児のみならず、高齢者にも多く、他の細菌との重複感染も少なくない。
クラミジア肺炎は、肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)、トラコーマ・クラミジア(C.trachomatis)、オウム病クラミジア(C.psittaci)によって引き起こされることが知られている。
C.trachomatis肺炎は新生児や乳児期にみられるが、成人では主に性感染症を引き起こし、性感染症として咽頭に感染し、免疫低下時以外は肺炎に至ることは極めてまれである。
肺炎クラミジアは、に呼吸器感染症を引き起こし、市中肺炎の約1割に関与している。マイコプラズマ肺炎と異なり、発症年齢が小児のみならず、高齢者にも多く、他の細菌との重複感染も少なくない。
オウム病クラミジアは、主に呼吸器感染症を引き起こす。人獣共通感染症の1つであり、鳥類からヒトに感染する「オウム病」の起因菌として知られている。市中肺炎における頻度は高くないが、中等症までの非定型肺炎と原因不明の重症肺炎では、鑑別する必要がある。
肺炎クラミジア、オウム病クラミジア、クラミジア・トラコマチス肺炎以外にも肺炎を引き起こす微生物として肺炎球菌、肺炎マイコプラズマ、インフルエンザ菌などがある。それらの微生物の中から肺炎の原因菌を特異的に区別し、簡便、迅速、高感度に検出ができる検査方法が、臨床診断上強く求められている。
Chlamydophila属菌の従来の検査方法として、培養検査、血清学的検査、遺伝子検査がある。培養検査は、菌分離が困難であり、検出感度が低いという問題がある。血清学的検査は、正確な診断にはペア血清を必要とするが採れないのが現状であり、ペア血清を採れたとしても診断に時間を要する。遺伝子検査としては、PCR法を利用した肺炎クラミジアのみを検出する方法がこれまでにも提案されている(例えば、特許文献1)。
またこれまでにも、肺炎クラミジアとオウム病クラミジアを区別して検出する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。しかし、Chlamydophila属菌をより高感度、迅速に区別して検出できる更なる有用な方法の開発が望まれている。
特開平8−294400号公報 特開平9−121897号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、簡便、高感度に検体試料中に含まれるChlamydophila属菌を検出する手法を提供することである。本発明者は、従来公知の肺炎クラミジアとオウム病クラミジアとを区別して検出する方法について検討を重ねていたところ、この方法では十分に核酸精製できていない試料を用いるときに検体試料中に含まれる物質の影響等で、増幅阻害を受けやすく正確に検出できない場合があるという新たな知見を得た。そこで、本発明は、十分に核酸精製できていない試料を用いる場合であっても、簡便、高感度にChlamydophila属菌を区別して検出できる新たな手法を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意研究の結果、特定のオリゴヌクレオチドを用いることで、簡便、高感度に検体試料中に含まれるChlamydophila属菌を検出できることを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明の概要は以下の通りである。
[項1] 以下の(I)に該当する核酸プライマー及び(II)に該当する核酸プライマーを含む、Chlamydophila属菌を区別して検出するための核酸プライマーセット:
(I)配列番号1又は配列番号2で示される塩基配列と90%以上の同一性を示す塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列からなる核酸プライマー;
(II)配列番号1又は配列番号2で示される塩基配列と90%以上の同一性を示す塩基配列に相補的な塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列からなる核酸プライマー。
[項2] 前記(I)及び/又は(II)に記載の核酸プライマーが、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる、項1に記載の核酸プライマーセット。
[項3] 前記(I)に記載の核酸プライマーが、配列番号1又は配列番号2で示される塩基配列の1番目〜110番目の塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列と90%以上の同一性を示す塩基配列からなる核酸プライマーであり、且つ前記(II)に記載の核酸プライマーが、配列番号1又は配列番号2で示される塩基配列の70番目〜220番目の塩基配列に対して相補的な塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列と90%以上の同一性を示す塩基配列からなる核酸プライマーである、項1又は2に記載の核酸プライマーセット。
[項4] 前記(I)に記載の核酸プライマーが、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列の1番目〜110番目の塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる核酸プライマーであり、且つ、前記(II)に記載の核酸プライマーが、配列番号1又は配列番号2で示される塩基配列の70番目〜220番目の塩基配列に対して相補的な塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる核酸プライマーである、項1〜3のいずれかに記載の核酸プライマーセット。
[項5] Chlamydophila属菌として、Chlamydophila pneumoniaeとChlamydophila psittaciとを区別して検出するために用いられる、項1から4のいずれかに記載の核酸プライマーセット。
[項6] 前記(I)に記載の核酸プライマーが、配列番号3〜7のいずれかで示される塩基配列からなるプライマーである、項1〜5のいずれかに記載の核酸プライマーセット。
[項7] 前記(II)に記載の核酸プライマーが、配列番号8〜14のいずれかで示される塩基配列からなるプライマーである、項1〜6のいずれかに記載の核酸プライマーセット。
[項8] 検体試料中に含まれ得るChlamydophila属菌を区別して検出する方法であって、以下の(1)〜(2)の工程を含む方法:
(1)検体試料中において、項1〜7のいずれかに記載の核酸プライマーセットを用いて核酸増幅反応を行い、核酸増幅産物を生成する工程;及び
(2)前記工程(1)で得られた増幅産物を検出する工程。
[項9] 項8に記載のChlamydophila属菌を区別して検出する方法であって、前記工程(2)が、以下の(2−1)〜(2−2)の工程を含む、検出方法:
(2−1)前記工程(1)によって得られた核酸増幅産物と核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程;及び
(2−2)前記工程(2−1)で得られた複合体を検出する工程。
[項10] Chlamydophila属菌として、C.pneumoniaeとC.psittaciとを区別して検出する、項8又は9に記載の検出方法。
[項11] 前記工程(2−1)で用いる核酸プローブが、以下の特徴(A)および(B)を有する核酸プローブである、項9又は10のいずれかに記載の検出方法:
(A)配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列と85%以上の同一性を示す塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列を含む;及び
(B)少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されている。
[項12] 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる、項11に記載の検出方法。
[項13] 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列の60番目〜170番目の塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列と85%以上の同一性を示す塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列からなる、項11又は12に記載の検出方法。
[項14] 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列の60番目〜170番目の塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる、項11〜13のいずれかに記載の検出方法。
[項15] 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号15〜18のいずれかで示される塩基配列からなる、項11〜14のいずれかに記載の検出方法。
[項16] 前記(B)の蛍光消光色素が、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、並びにBODIPY及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの蛍光消光色素である、項11〜15のいずれかに記載の検出方法。
[項17] 前記(B)の蛍光消光色素が、4,4−ジフルオロ−5.7−ジメチル−4−ボラ−3a、4a−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオン酸(BODIPY−FL)、カルボキシローダミン6G,TAMRA,ローダミン6G,テトラブロモスルホンフルオレセイン(TBSF)、及び2−オキソ−6,8−ジフルオロ−7−ジヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(Pacific Blue)からなる群より選択される少なくとも1つの蛍光消光色素である、項11〜16のいずれかに記載の検出方法。
[項18] 前記(B)において、蛍光消光色素で標識されている少なくとも一つの末端塩基がシトシンである、項11〜17のいずれかに記載の検出方法。
[項19] 前記工程(2−2)が以下の工程(2−2a)〜(2−2c)の少なくともひとつを含む、項8〜18のいずれかに記載の検出方法。
(2−2a)得られるうる増幅産物に該核酸プローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターする工程。
(2−2b)前記工程(2−1)の終了後に、得られうる増幅産物に該核酸プローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターする工程。
(2−2c)前記工程(2−1)の終了後に、得られうる増幅産物に該核酸プローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度の温度依存性を測定する工程。
[項20] 前記工程(1)の核酸増幅反応がPCRである、項8〜19のいずれかに記載の検出方法。
[項21] 前記工程(1)の核酸増幅反応で用いる核酸増幅酵素が、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼである項8〜20のいずれかに記載の検出方法。
[項22] ファミリーBに属するDNAポリメラーゼが、KOD由来のDNAポリメラーゼ又はその変異体である、項21に記載の検出方法。
[項23] 前記検体試料が、核酸を精製する工程を経ていない生体由来試料である、項8〜22のいずれかに記載の検出方法。
[項24] 検体試料中に含まれ得るChlamydophila属菌を区別して検出するために用いられる、以下の特徴(A)及び(B)を有する核酸プローブ:
(A)配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列と85%以上の同一性を示す塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列を含む;及び
(B)少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されている。
[項25] 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる、項24に記載の核酸プローブ。
[項26] 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列の60番目〜170番目の塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列と85%以上の同一性を示す塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列からなる、項24又は25に記載の核酸プローブ。
[項27] 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列の60番目〜170番目の塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる、項24〜26のいずれかに記載の核酸プローブ。
[項28] Chlamydophila属菌として、C.pneumoniaeとC.psittaciとを区別して検出するために用いられる、項24〜27のいずれかに記載の核酸プローブ。
[項29] 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号15〜18のいずれかで示される塩基配列からなる、項24〜28のいずれかに記載の核酸プローブ。
[項30] 前記(B)の蛍光消光色素が、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、並びにBODIPY及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの蛍光消光色素である、項24〜29のいずれかに記載の核酸プローブ。
[項31] 前記(B)の蛍光消光色素が、4,4−ジフルオロ−5.7−ジメチル−4−ボラ−3a、4a−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオン酸(BODIPY−FL)、カルボキシローダミン6G,TAMRA,ローダミン6G,テトラブロモスルホンフルオレセイン(TBSF)、及び2−オキソ−6,8−ジフルオロ−7−ジヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(Pacific Blue)からなる群より選択される少なくとも1つの蛍光消光色素である、項24〜30のいずれかに記載の核酸プローブ。
[項32] 前記(B)において、蛍光消光色素で標識されている少なくとも一つの末端塩基がシトシンである項24〜31のいずれかに記載の核酸プローブ。
[項33] 項1〜7のいずれかに記載の核酸プライマーセットおよび/または項24〜32のいずれかに記載の核酸プローブを含む、Chlamydophila属菌を区別して検出するための試薬。
[項34] Chlamydophila属菌として、C.pneumoniaeとC.psittaciとを区別して検出するために用いられる、項33に記載の試薬。
[項35] 項1〜7のいずれかに記載の核酸プライマーセット、項24〜32のいずれかに記載の核酸プローブ、及び/又は項33〜34のいずれかに記載の試薬を含む、Chlamydophila属菌を区別して検出するためのキット。
[項36] Chlamydophila属菌として、C.pneumoniaeとC.psittaciとを区別して検出するための項35に記載のキット。
本発明により、検体試料中から簡便、高感度に試料中に含まれるChlamydophila属菌を区別して検出することができ、なかでも肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)とオウム病クラミジア(Chlamydophila psittaci)とを高感度に区別して検出することができる。本発明の方法によれば、例えば、高度に核酸精製できていない試料を用いる場合であっても増幅阻害を受けにくく、十分な感度でChlamydophila属菌を区別して検出することが可能である。本発明のオリゴヌクレオチドを用いた検出方法、試薬、及びキットを使用することで、例えば、Chlamydophila pneumoniaeまたはChlamydophila psittaciの簡便、高感度な検出が可能になり、臨床診断の分野に大きく貢献できる。
実施例1の結果を示す図である。 実施例2の結果を示す図である。 実施例3の結果を示す図である。 実施例4の結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態を示しつつ、本発明についてさらに詳説するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書中に記載された非特許文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。また本明細書中の「〜」は「以上、以下」を意味し、例えば明細書中で「X〜Y」と記載されていれば「X以上、Y以下」を示す。また本明細書中の「及び/又は」は、いずれか一方または両方を意味する。
また、本明細書では、核酸プライマーをオリゴヌクレオチドプライマー又は単にプライマーといい、核酸プローブをオリゴヌクレオチドプローブ又は単にプローブという場合があり、これらを総称してオリゴヌクレオチドともいう。
(1.Chlamydophila属菌を区別して検出する方法)
本発明の実施態様の一つは、検体試料中に含まれ得るChlamydophila属菌を区別して検出する方法である。より詳細には、本発明の方法は、少なくとも以下の(1)〜(2)の工程:
(1)検体試料中において、特定の塩基配列からなる核酸プライマーを含む核酸プライマーセットを用いて核酸増幅反応を行い、核酸増幅産物を生成する工程;及び
(2)前記工程(1)で得られた増幅産物を検出する工程、
を包含することを特徴とする。即ち本発明はChlamydophila属菌の検出において、高感度な判定結果を得るために、核酸増幅反応において特定塩基配列の核酸プライマーを含む核酸プライマーセットを用いることを一つの特徴とする。
[核酸プライマーセット]
本発明においてChlamydophila属菌を区別して検出するために用いる、前記(1)に記載の核酸プライマーセットは、以下の(I)に該当する核酸プライマー及び(II)に該当する核酸プライマーを含む:
(I)配列番号1又は配列番号2で示される塩基配列と90%以上の同一性を示す塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列からなる核酸プライマー;
(II)配列番号1又は配列番号2で示される塩基配列と90%以上の同一性を示す塩基配列に相補的な塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列からなる核酸プライマー。
上記(I)及び(II)において規定した配列番号1は、Chlamydophila属菌の一種である肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)のゲノム配列の一部に相当する塩基配列である。そして、配列番号2は、Chlamydophila属菌の一種であるオウム病クラミジア(Chlamydophila parapertussis)のゲノム配列の一部である。配列番号1及び2はいずれも、それぞれのクラミジアにおいて主要外膜タンパク(MOMP)をコードするompA遺伝子の塩基配列として知られている。本発明では、このような配列番号1(Chlamydophila pneumoniae)に示される塩基配列及び/又は配列番号2(Chlamydophila psittaci)に示される塩基配列で表されるゲノム領域を標的として核酸増幅反応を行うことにより、Chlamydophila属菌を高感度に区別して検出できることを見出したことに基づく。
なお、肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)及びオウム病クラミジア(Chlamydophila psittaci)のゲノム配列は、菌株によって僅かに(例えば、1又は数個の塩基において)塩基配列が異なる場合があることが知られている。本発明は、このように1又は数個の塩基が異なる肺炎クラミジア又はオウム病クラミジアのゲノム配列に基づいて、上記(I)又は(II)に記載の核酸プライマーを設計することもできる。従って、本発明の上記(I)又は(II)に規定される核酸プライマーは、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列と90%以上の同一性を示す塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列からなる核酸プライマーであり得る。より特異性の高い核酸増幅反応が期待できるという観点から、好ましくは、核酸プライマーの塩基配列は、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列と93%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、とりわけ好ましくは100%の同一性を示す塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列からなる核酸プライマーである。
特定の実施形態では、上記(I)又は(II)に記載の核酸プライマーは、例えば、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる核酸プライマーであってもよい。ここで、1又は数個とは、例えば、1〜5個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個であり得る。このように配列番号1又は2で示される塩基配列と相同性の高い塩基配列を有する核酸プライマーを用いることで、より特異性の高い核酸増幅反応が可能となり得る。
本発明に用いる核酸プライマーは、配列番号1又は配列番号2で示される塩基配列に相当するChlamydophila属菌のゲノム領域を増幅できるものであればよく、配列番号1と配列番号2との間で同一の塩基配列を示す領域において連続する15〜30塩基の塩基配列からなる核酸プライマーであってもよいし、配列番号1と配列番号2との間で一部の塩基が異なる領域において連続する15〜30塩基の塩基配列からなる核酸プライマーであってもよい。さらに、本発明の方法では、上記(I)に該当する核酸プライマーを複数用いてもよく、上記(II)に該当する核酸プライマーを複数用いてもよい。複数の(I)及び(II)に該当するプライマーを使用することでマルチプレックス法での核酸増幅反応を行うこともできる。より低コストでありながら高感度な検出が可能であるという観点からは、上記(I)に該当する核酸プライマーを1〜2種類及び上記(II)に該当する核酸プライマーを1〜2種類含有する核酸プライマーセットで核酸増幅反応を行う方法が好ましい。
一つの好ましい実施形態において、上記(I)で規定した核酸プライマーは、配列番号1若しくは配列番号2に示される塩基配列の1番目〜110番目に示される塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列と90%以上の同一性を示す塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列からなる核酸プライマーである。この場合に組み合わせて用いることが好ましい上記(II)で規定した核酸プライマーは、配列番号1若しくは配列番号2に示される塩基配列の70番目〜220番目の塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列と90%以上の同一性を示す塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列からなる核酸プライマーであって、配列番号1若しくは2に示される塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列において上記(I)の核酸プライマーがアニールする部位よりも3’末端側にアニールするように設計される。このような核酸プライマーの組み合わせで核酸増幅産物を生成することにより、より良好にChlamydophila属菌を区別して検出することが可能となる。
上記(I)及び(II)で規定した核酸プライマーの長さは、15〜30塩基である限り特に限定されないが、例えば、20〜30塩基であり得る。このような長さの核酸プライマーを用いることで十分な核酸増幅反応を可能にしつつ、非特異的な増幅反応を抑えて高感度に特異的な核酸増幅産物を生成させることが可能となる。
特定の好ましい実施形態において、前記(I)に記載の核酸プライマーの具体例としては、配列番号3〜7のいずれかで示される塩基配列からなる核酸プライマーを挙げることができる。更に特定の好ましい実施形態において、前記(II)に記載の核酸プライマーの具体例としては、配列番号8〜13のいずれかで示される塩基配列からなる核酸プライマーを挙げることができる。とりわけ、これらの(I)及び(II)に記載の核酸プライマーの組み合わせを含む核酸プライマーセットを用いることにより、より一層高感度にChlamydophila属菌を区別して検出することが可能である。
[核酸増幅反応]
一つの実施態様において、本発明の方法は、前記のような核酸プライマーセットを用いて核酸増幅反応を行い、核酸増幅産物を生成させる。核酸増幅法は数コピーの標的核酸を可視化可能なレベル、すなわち数億コピー以上に増幅する技術であり、生命科学研究分野のみならず、臨床診断、食品衛生検査、環境検査等の分野においても広く用いられている。そのような核酸増幅法としては、PCR法、LAMP法、LCR法、TMA法、SDA法、RT−PCR法、RT−LAMP法、NASBA法、TRC法、TMA法等が挙げられる。これらの技術は既に当該技術分野において確立されており、目的に合わせて方法を選択することができる。本発明で行う核酸増幅法はPCR法(RT−PCR法を含む)が好ましいが、これに限定されない。
[PCR反応]
PCR反応は、主にDNAポリメラーゼによって触媒される反応であり、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの乖離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって標的核酸を増幅する。DNAポリメラーゼとしては、Taq、Tth、Bst、KOD、Pfu、Pwo、Tbr、Tfi、Tfl、Tma、Tne、Vent、DEEPVENTやその変異体が挙げられる。より簡便、高感度にChlamydophila属菌を区別して検出することを可能にできるという観点から、本発明では、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼを用いることが好ましい。
PCR反応の条件は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、最初の熱変形工程が80〜100℃で0秒〜5分、繰り返しの熱変形工程が80〜100℃で0.5〜300秒、アニーリンクが35〜80℃で1〜300秒、伸長反応工程が35〜85℃で1〜300秒程度行い、この繰り返しを30〜70回繰り返すことが好ましい。ここで繰り返し行うサイクルの温度及び時間は、1〜数サイクル毎に変化させてもよい。
[ファミリーBに属するDNAポリメラーゼ]
本発明で用いるDNAポリメラーゼは、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼが好ましいが、これに限定されない。前記ファミリーBに属するDNAポリメラーゼは、特に制限されないが、好ましくは古細菌(Archea)由来のDNAポリメラーゼであり、より好ましくは、パイロコッカス(Pyrococcus)属およびサーモコッカス(Thermococcus)属の細菌に由来するDNAポリメラーゼが挙げられる。また、本発明には、ファミリーBに属する古細菌由来のDNAポリメラーゼ活性を失っていないその変異体も含まれる。DNAポリメラーゼの変異体には、ポリメラーゼ活性の増強、エキソヌクレアーゼ活性の欠損、基質特異性の調整等を目的とした変異体が挙げられるが、これらに限定されない。
パイロコッカス属由来のDNAポリメラーゼとしては、Pyrococcus furiosus、Pyrococcus sp.GB−D、Pyrococcus woesei、Pyrococcus abyssi、Pyrococcus horikoshiiから単離されたDNAポリメラーゼ、及びこれらに由来するDNAポリメラーゼ活性を失っていないその変異体を含むが、これらに限定されない。
サーモコッカス属に由来するDNAポリメラーゼとしては、Thermococcus kodakaraensis、Thermococcus gorgonarius、Thermococcus litoralis、Thermococcus sp.JDF−3、Thermococcus sp.9degrees North−7(Thermococcus sp.9°N−7)、Thermococcus siculiから単離されたDNAポリメラーゼ、及びこれらに由来するDNAポリメラーゼ活性を失っていないその変異体を含むが、これらに限定されない。好ましくは、Thermococcus kodakaraensis由来のDNAポリメラーゼ及びその変異体(例えば、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失させたKOD由来DNAポリメラーゼ等)が、伸長性や熱安定性に優れているという観点から、本発明においてとりわけ好適に用いることができる。
これらのDNAポリメラーゼを用いたPCR酵素は市販されており、Pfu(Staragene社)、KOD(Toyobo社)、Pfx(Life Technologies社)、Vent(New England Biolabs社)、Deep Vent(New England Biolabs社)、Tgo(Roche社)、Pwo(Roche社)などが挙げられ、そのいずれもが本発明に用いられ得る。
[KOD由来のDNAポリメラーゼ]
本明細書において、KOD由来のDNAポリメラーゼ(KOD DNAポリメラーゼともいう)とは、Thermococcus kodakaraensis由来のDNAポリメラーゼ及びその変異体(例えば、天然由来のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸を置換、欠失、及び/又は付加することにより3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失させたKOD由来DNAポリメラーゼ等)をいう。一つの好ましい実施形態において、本発明は、このようなKOD由来のDNAポリメラーゼを使用して核酸増幅反応を行う。KOD DNAポリメラーゼは、ファミリーAに属するDNAポリメラーゼであるTaq DNAポリメラーゼに比べて、正確性、増幅効率、伸長性、クルードサンプル耐性に優れている。本発明では、このようなKOD DNAポリメラーゼを使用することで、後述の実施例に示すように、簡便でありながら高感度でChlamydophila属菌を区別して検出することが可能となる。
[増幅産物を検出する工程]
本発明の前記方法では、工程(2)として、前記工程(1)で得られた増幅産物を検出する工程を包含する。この検出する工程の態様は特に限定されず、当該分野で公知の任意の方法で実施することができる。
一つの実施形態において、前記工程(2)は、以下の(2−1)〜(2−2)の工程:
(2−1)前記工程(1)によって得られた核酸増幅産物と核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程;及び
(2−2)前記工程(2−1)で得られた複合体を検出する工程。
を包含することを特徴とする。好ましい本実施態様では、本発明はChlamydophila属菌の検出において、高感度な判定結果を得るために、前記(1)工程によって得られた核酸増幅産物と特異的に反応して複合体を形成しうる核酸プローブを用いることを一つの特徴とする。
[核酸プローブ]
一つの実施形態において、本発明は、前記特定の塩基配列からなる核酸プライマーを含む核酸プライマーセットで増幅した核酸増幅産物と特異的に反応して複合体を形成しうる核酸プローブを使用する。
核酸プローブの塩基配列は、前記(I)及び(II)の核酸プライマーにより増幅され得る配列番号1及び/又は配列番号2の塩基配列と相同性が比較的高いことが望ましい。例えば、本発明に用いる核酸プローブは、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列と85%以上の同一性を示す塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列からなるものであり得る。好ましくは、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列と90%以上、より好ましくは93%以上、更に好ましくは95%以上、更により好ましくは98%以上の同一性を示す塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列からなる核酸プローブであり得る。特に好ましくは、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列と100%同一の塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列からなる核酸プローブである。
特定の実施形態では、核酸プローブは、例えば、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる核酸プローブであり得る。ここで、1又は数個とは、例えば、1〜5個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個であり得る。このように配列番号1又は2で示される塩基配列と相同性の高い塩基配列を有する核酸プローブを用いることで、高感度にChlamydophila属菌を区別して検出することが可能となる。
本発明の核酸プローブは、配列番号1若しくは配列番号2の塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列に相同性の高い配列を有するものであれば特に限定されないが、後述するグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識した核酸プローブとする場合には、当該色素で標識される少なくとも一つの末端塩基がシトシンであることが好ましい。
一つの好ましい実施形態において、本発明の核酸プローブは、配列番号1若しくは配列番号2に示される塩基配列の60番目〜170番目に示される塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列と85%以上の同一性を示す塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列からなる核酸プローブである。このような核酸プローブと核酸増幅産物とを反応させることで、より良好にChlamydophila属菌を区別して検出することが可能となる。
上記(I)及び(II)で規定した核酸プローブの長さは、15塩基以上である限り特に限定されないが、例えば、15〜25塩基、好ましくは16〜19塩基であり得る。このような長さの核酸プローブを用いることで、より高感度にChlamydophila属菌を区別して高感度に検出することが可能である。
特定の好ましい実施形態において、本発明に用いる核酸プローブの具体例としては、配列番号15〜18のいずれかで示される塩基配列からなる核酸プローブを挙げることができる。このような特定の塩基配列を有する核酸プローブを用いることにより、より一層高感度にChlamydophila属菌を区別して検出することが可能になる。
上記の核酸プローブは、核酸が標識されていてもされていなくてもよい。標識される場合、標識される核酸の数に特に制限は無い。好ましくは核酸プローブの末端の核酸が標識されている形態であり、より好ましくは末端の核酸のうちどちらか片方のみが標識されている形態である。標識物質にも特に制限はないが、蛍光物質であることがより好ましい。
蛍光標識としては特に標的の核酸増幅産物とハイブリダイズして複合体を形成することにより蛍光を生じる蛍光物質又は消光を生じる蛍光物質のいずれであってもよいが、好ましくは標的の核酸増幅産物とハイブリダイズした際に消光を生じる蛍光物質であり、特に好ましくは、標的の核酸増幅産物とハイブリダイズにおいてグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素(例えば、グアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素)である。具体的には、フルオロセイン及びその誘導体(例えば、フルオロセインイソチオシアネート(FITC))、ローダミン及びその誘導体(例えば、5−カルボキシローダミン6G(GR6G)、テトラメチルローダミン(TAMRA)、カルボキシローダミン、x−ローダミン、スルホローダミン101酸クロリド)、並びにBODIPY及びその誘導体(例えば、BODIPY−FL、BODIPY−FL/C3、BODIPY−FL/C6、BODIPY−5−FAM、BODIPY−TMR、BODIPY−TR、BODIPY−R6G、BODIPY−564、BODIPY−581、BODIPY−591、BODIPY−630、BODIPY−650、BODIPY−665)からなる群より選択される少なくとも1つの蛍光消光色素が挙げられるが、これらに限定されない。
より具体的には、グアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素として、例えば、4,4−ジフルオロ−5.7−ジメチル−4−ボラ−3a、4a−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオン酸(BODIPY−FL)、カルボキシローダミン6G,TAMRA,ローダミン6G,テトラブロモスルホンフルオレセイン(TBSF)、及び2−オキソ−6,8−ジフルオロ−7−ジヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(Pacific Blue)からなる群より選択される少なくとも1つの蛍光消光色素を挙げることができ、本発明にはこれらの蛍光消光色素が好適に使用され得る。
特定の好ましい実施形態では、蛍光消光色素で標識されている少なくとも一つの末端塩基(即ち、両端が標識されている場合は、少なくとも一方の末端塩基)がシトシンである核酸プローブがより好ましい。
このようなオリゴヌクレオチドプローブは、増幅産物にハイブリダイズした際に、増幅産物中のグアニン塩基と塩基対を形成して相互作用することで消光できるため、非常に簡便に反応液の蛍光強度の変化を測定することができる。
なお、該プローブがハイブリダイズした際に、該プローブのシトシン塩基と増幅産物中のグアニン塩基が塩基対を形成しなくとも、それらの塩基同士の距離が近ければ蛍光は消光できる。例えば、詳細は特許第5354216号公報に記載があり、本発明も該技術を参照できる。即ち、該プローブがハイブリダイズした際に、該プローブのシトシン塩基に対して、増幅産物中のグアニン塩基が例えば1〜3塩基の範囲内に存在すれば消光できる(シトシン塩基と塩基対を形成する塩基を1とする)。
更に特定の実施態様では、蛍光消光色素で標識されている少なくとも一つの末端塩基(即ち、両端が標識されている場合は、少なくとも一方の末端塩基)がシトシンでない核酸プローブであっても、反応液の蛍光強度の変化を測定できる。例えば、詳細は特許第5354216号公報に記載があり、本発明も該技術を参照できる。例えば、該プローブがハイブリダイズした際に、蛍光消光色素が標識されている少なくとも一つの末端塩基に対して、増幅産物中のグアニン塩基が例えば1〜3塩基の範囲内に存在すれば消光できる(末端塩基と塩基対を形成する塩基を1とする)。
[複合体を検出する工程]
本発明の前記増幅産物を検出する工程において、核酸増幅産物と核酸プローブとをハイブリダイズさせて形成せしめた複合体を検出する(2−2)の工程の態様は特に限定されず、当該分野で公知の任意の方法で実施することができる。
一つの実施形態において、前記工程(2−2)は、以下の工程(2−2a)〜(2−2c)の少なくともひとつを含む態様であり得る:
(2−2a)得られるうる増幅産物に該核酸プローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターする工程。
(2−2b)前記工程(2−1)の終了後に、得られうる増幅産物に該核酸プローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターする工程。
(2−2c)前記工程(2−1)の終了後に、得られうる増幅産物に該核酸プローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度の温度依存性を測定する工程。
前記(2−2a)〜(2−2c)のような工程によれば、簡便かつ高感度に、核酸増幅産物と核酸プローブとで形成される複合体の生成を検出することが可能となり得る。
[(2−2a)核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニター]
核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターすることで、試料中に含まれる標的核酸を迅速に検出することができる。さらに、増幅率に基づいて試料中に含まれる標的核酸の定量も可能である。
例えば、蛍光消光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む反応液の蛍光強度を測定することで、核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターする。核酸増幅反応の任意の時点で、反応液の蛍光強度を測定する。試料中に肺炎クラミジアまたはオウム病クラミジアのDNAが含まれている場合、増幅した核酸量に依存してオリゴヌクレオチドプローブが増幅核酸にハイブリダイズして蛍光強度が増加(あるいは減少)する。取得した蛍光強度を時間(PCR反応ではサイクル数)に対してプロットすることで、核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターできる。
[(2−2b)核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニター]
核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターすることで、試料中に含まれる標的核酸を迅速に検出することができる。さらに、エンドポイントでの蛍光強度等を比較することで標的核酸の定量も可能である。
例えば、蛍光消光色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む反応液の蛍光強度を測定することで、核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターする。核酸増幅反応終了後に、反応液の蛍光強度を測定する。反応後の反応液の蛍光強度を反応前の反応液の蛍光強度と比較することで、標的核酸の増幅の有無を確認できる。あるいは、反応後の反応液の反応強度をコントロール反応液の反応強度と比較することでも試料中に含まれる標的核酸の有無を確認することができる。コントロール反応液とは、測定したい試料の代わりに陰性と判明している試料あるいは陽性と判明している試料を加えた反応液である。
核酸増幅反応の進行は、一般的にリアルタイムでモニターすることが好ましいが、検出工程をより簡便にする等の目的では、エンドポイントでモニターすることが好ましい。
[(2−2c)蛍光強度の温度依存性を測定]
蛍光強度の温度依存性を測定するとは、具体的には、反応液の温度を低温から高温に変化させながら、各温度における蛍光強度を測定することである。得られた蛍光強度について温度で一次微分することにより、使用するオリゴヌクレオチドプローブに固有の融解温度(Tm値)を求めることができる。また、蛍光強度は目的に合わせて蛍光消光率等に変換してもよい。
Tm値を用いた標的核酸の検出、分析等を融解曲線分析という。一般的に、Tm値は、オリゴヌクレオチドがその相補鎖と二本鎖を形成している割合と二本鎖を形成せず一本鎖である割合が等しいときの温度をいう。Tm値は、塩基配列に固有の値であるため、融解曲線分析は標的核酸の塩基配列多型を分析する手法として使用できる。ここでいう塩基配列多型とは、一塩基多型、塩基置換、塩基欠損、塩基挿入等を含む。
一例として、融解曲線分析はSNP解析などにも応用されている。
オリゴヌクレオチドプローブに対して標的核酸の塩基配列に変異がある場合、プローブがハイブリダイズした際に塩基がミスマッチしているため、一般的にTm値は低くなる。したがって、Tm値の大きさを比較することで一塩基多型の解析(SNP解析)を行うことができる。
[検体試料]
本発明において使用できる検体試料はChlamydophila属菌を含む可能性のあるものであれば特に限定されない。例えば、肺炎クラミジア(C.pneumoniae)又はオウム病クラミジア(C.psittaci)への感染が疑われる被験体から採取した、口腔内擦過物、咽頭拭い液、鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、喀痰、気管支洗浄液、肺胞洗浄液などが挙げられるが、これらに限定されない。生体試料を測定対象の検体試料とする場合、各生体試料に応じて、特に制限はされないが、希釈や懸濁、遠心などの前処理もしくは核酸抽出を行ってもよい。
検体試料の採取方法、調製方法等は、特に制限されず、試料の種類、目的に応じて公知の方法を用いることができる。特定の好ましい実施形態では、本発明に用いる検体試料は、生体から採取した検体をアルカリ処理(例えばpH8.0〜14.0、好ましくはpH10.0〜13.0)した試料を用いることができる。
核酸抽出の方法は、特に制限されないが、検体の種類、目的に応じて公知の方法を用いることができる。核酸抽出には、例えば、各メーカーから販売されているキット等を使用してもよい。
特定の好ましい実施態様において、本発明の方法は、従来の核酸増幅反応において通常は必須と考えられていた核酸精製工程を行う必要が無い。後述の試験例の結果に示されるように、本発明の方法によれば、標的核酸以外の生体由来成分などの夾雑物(核酸増幅反応の阻害物質となり得る)を含む状態の検体試料においても、高感度にChlamydophila属菌を区別して検出できることが確認されている。核酸精製を行う場合、専用試薬が必要であることに加えて、作業が煩雑で手間と時間がかかるという問題がある。しかし、本発明の遺伝子増幅反応によれば、そのような核酸精製を行うための専用機器を準備する必要がなく、煩雑な操作を省くことが可能である。更に、遠心分離法にかかる時間も短縮することができるので、被験体からの生体試料採取から遺伝子検査結果を得るまでの時間を短縮することができ、例えば、検体採取から遺伝子検査結果が得られるまでの時間を1日以内、好ましくは半日以内、より好ましくは6時間以内、更に好ましくは3時間以内、なかでも好ましくは2時間以内(例えば、1時間半以内)とすることが可能となり得る。このように、核酸を精製する工程を経ていない生体由来試料を用いて検出できる本発明の方法は、核酸精製の手間を省くことができるので、簡便且つ短時間でのChlamydophila属菌の検出を可能にするものであり好ましい。
[Chlamydophila属菌]
Chlamydophila属菌(クラミドフィラ属菌)は、種々の呼吸器疾患の原因菌であることが知られているグラム陰性偏性細胞内寄生性の真正細菌球桿菌である。Chlamydophila属菌は、例えば、クラミジア肺炎を引き起こす肺炎クラミジア(C.pneumoniae)、オウム病クラミジア(C.psittaci)が知られている。本発明の方法によれば、これらの任意のChlamydophila属菌を高感度に区別して検出することが可能である。好ましくは、本発明の方法は、肺炎クラミジア(C.pneumoniae)とオウム病クラミジア(C.psittaci)とを正確に区別して検出可能である。
[Chlamydophila属菌を区別して検出するための試薬]
本発明の別の実施態様として、試料中に含まれ得るChlamydophila属菌を区別して検出するための試薬が挙げられる。試薬には、前述で説明した本発明の核酸プライマーセット及び/又は核酸プローブに加えて、核酸増幅に必要な成分が少なくとも含まれる。必要な成分は、実施する核酸増幅反応によって異なっており、それぞれ公知の方法を用いることができる。例えば、PCR反応を用いて試料中に含まれ得るChlamydophila属菌を検出する場合、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTPs)、マグネシウム塩等の無機塩類を少なくとも含むことが好ましい。目的の実験に応じて各成分の濃度は適宜調整できるが、例えば、核酸プライマーは0.01〜10μMが好ましい。核酸プローブは0.01〜1μMが好ましく、0.02〜0.5μMがより好ましい。DNAポリメラーゼは0.01〜1U/uLが好ましく、0.02〜0.5U/uLがより好ましい。デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTPs)は0.02〜1mMが好ましく、0.1〜0.5mMがより好ましい。マグネシウム塩等の無機塩類は0.1〜10mMが好ましく、1〜5mMがより好ましい。
さらに、非特異増幅の抑制や反応促進を目的として、当該技術分野で知られる添加物等を加えてもよい。非特異増幅の抑制を目的とする添加物として、公知の抗DNAポリメラーゼ抗体やリン酸等を用いてもよい。反応促進を目的とする添加物として、ウシ血清アルブミン(BSA)、プロテアーゼインヒビター、シングルストランド結合タンパク質(SSB)、T4遺伝子32タンパク質、tRNA、硫黄または酢酸含有化合物類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ホルムアミド、アセトアミド、ベタイン、エクトイン、トレハロース、デキストラン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ゼラチン、塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、酢酸テトラメチルアンモニウム(TMAA)、ポリエチレングリコール、トリトン(Triton)、ツイーン(Tween20)、ノニデットP40などが挙げられる。本発明では、これらの添加物を1種類以上組み合わせて使用してもよいが、これらに限定されない。
[Chlamydophila属菌を区別して検出するためのキット]
本発明の別の実施態様として、試料中に含まれ得るChlamydophila属菌を区別して検出するためのキットが挙げられる。本発明のキットは、前述で説明した本発明の核酸プライマーセット、核酸プローブ、及び/又はこれらを含む試薬を含み、Chlamydophila属菌を区別して検出できるように構成されていれば特に限定されない。例えば、本発明のキットは、被検出対象の存在を検出又は定量することができる遺伝子検査試薬及び/又は使用方法等を説明する使用説明書等を任意に含むことができる。例えば、前記核酸プライマーセットと核酸プローブとを同じ容器に封入したもの又は別々の容器に封入したものを、例えば一つの包装体に梱包し、当該キットの使用方法に関する情報を含む態様で提供することができる。
以下、本発明の実施例に基づき具体的に説明する。本発明は下記実施例に限定されるものではない。
〔実施例1:Chlamydophila属菌の検出〕
(1)試料の調製
肺炎クラミジア(C.pneumoniae)又はオウム病クラミジア(C.psittaci)から抽出したDNA試料を滅菌水で希釈しそれぞれ100(コピー/μL)となるように調製し、試料とした。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
上記試料をそれぞれ下記試薬に添加して、下記条件により肺炎クラミジア又はオウム病クラミジアを検出した。核酸増幅および融解曲線解析には東洋紡製GENECUBE(登録商標)を使用した。
試薬
以下の試薬を含む溶液を調製した。
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μL
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)1μL
IC Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)1μL
10μM 配列番号3で示されるプライマー 0.25μL
10μM 配列番号8で示されるプライマー 1.5μL
10μM 配列番号18で示されるプローブ(3’末端をBODIPYで標識) 0.25μL
試料3μL
核酸増幅および融解曲線解析
94℃・2分
(以上1サイクル)
97℃・1秒
58℃・3秒
63℃・5秒
(以上60サイクル)
94℃・30秒
39℃・30秒
39℃〜75℃(0.09℃/秒で温度上昇)
(3)結果
図1は、上記の条件で核酸増幅を行い、その後温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として融解曲線解析の結果を表した図である。グラフのうちCPNゲノムは肺炎クラミジアゲノムDNA、CPSゲノムはオウム病クラミジアゲノムDNA試料の解析結果を、NCは滅菌水の解析結果を示している。図1より明らかなように、本発明により肺炎クラミジア又はオウム病クラミジアが区別して検出されていることが分かる。
〔実施例2:肺炎クラミジアの検出〕
(1)試料の調製
肺炎クラミジア(C.pneumoniae)から抽出したDNA試料(CPNゲノム)を生理食塩水で懸濁した咽頭拭い液又は後鼻腔拭い液と混合して各10(コピー/μL)となるように調製し、疑似生体試料とした。この疑似生体試料は、さらなる核酸抽出及び精製処理を行わずそのまま使用したため、生体由来の夾雑物質を含む試料に相当する。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
上記試料をそれぞれ下記試薬に添加して、下記条件により肺炎クラミジアを検出した。核酸増幅および融解曲線解析には東洋紡製GENECUBE(登録商標)を使用した。
試薬
以下の試薬を含む溶液を調製した。
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μL
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)1μL
IC Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)1μL
10μM 配列番号5で示されるプライマー 0.25μL
10μM 配列番号11で示されるプライマー 1.5μL
10μM 配列番号15で示されるプローブ(3’末端をBODIPYで標識) 0.25μL
試料3μL
核酸増幅および融解曲線解析
94℃・2分
(以上1サイクル)
97℃・1秒
60℃・3秒
63℃・6秒
(以上60サイクル)
94℃・30秒
39℃・30秒
39℃〜75℃(0.4℃/秒で温度上昇)
(3)結果
図2は、上記の条件で核酸増幅検出を行い、その検出結果を表した図である。肺炎クラミジアゲノムDNAが添加された後鼻腔拭い液または咽頭拭い液の測定結果を示している。図2に示されるように、後鼻腔拭い液及び咽頭拭い液中の肺炎クラミジアが検出されている。この結果から、全く予想外のことに、肺炎クラミジアを検体中に含まれる増幅阻害を受けずに検出できるということが明らかとなった。
〔実施例3:Chlamydophila属菌の検出〕
(1)試料の調製
肺炎クラミジア(C.pneumoniae)又はオウム病クラミジア(C.psittaci)から抽出したDNA試料を滅菌水で希釈しそれぞれ15(コピー/μL)となるように調製し、試料とした。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
上記試料をそれぞれ下記試薬に添加して、下記条件により肺炎クラミジア又はオウム病クラミジアを検出した。核酸増幅および融解曲線解析には東洋紡製GENECUBE(登録商標)を使用した。
試薬
以下の試薬を含む溶液を調製した。
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μL
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)0.25μL
IC Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)1μL
10μM 配列番号5で示されるプライマー 0.25μL
10μM 配列番号7で示されるプライマー 0.25μL
10μM 配列番号11で示されるプライマー 1.0μL
10μM 配列番号13で示されるプライマー 1.0μL
10μM 配列番号15で示されるプローブ(3’末端をBODIPYで標識) 0.25μL
試料3μL
核酸増幅および融解曲線解析
94℃・2分
(以上1サイクル)
97℃・1秒
60℃・3秒
63℃・6秒
(以上60サイクル)
94℃・10秒
39℃・30秒
39℃〜75℃(0.15℃/秒で温度上昇)
(3)結果
図3は、上記の条件で核酸増幅を行い、その後温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として融解曲線解析の結果を表した図である。グラフのうちCPNゲノムは肺炎クラミジアゲノムDNA、CPSゲノムはオウム病クラミジアゲノムDNA試料の解析結果を、NCは滅菌水の解析結果を示している。図3より明らかなように、本発明により肺炎クラミジア又はオウム病クラミジアが区別して検出されていることが分かる。
〔実施例4:オウム病クラミジアの検出〕
(1)試料の調製
咽頭拭い液をeSwab培地(コパン社製)で懸濁し、オウム病クラミジア(C.psittaci)から抽出したDNA試料(CPSゲノム)をeSwab培地で懸濁した咽頭拭い液と混合して5コピー/μLとなるように調製し、疑似生体試料とした。この疑似生体試料は、さらなる核酸抽出及び精製処理を行わずそのまま使用したため、生体由来の夾雑物質を含む試料に相当する。また、滅菌水でオウム病クラミジアから抽出したDNA試料(CPSゲノム)を5コピー/μLとなるように調製し、陽性試料とした。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
上記試料を下記の実施例試薬及び比較用試薬にそれぞれ添加して、下記条件によりオウム病クラミジアを検出した。核酸増幅および融解曲線解析には東洋紡製GENECUBE(登録商標)を使用した。
試薬
以下の試薬を含む溶液を実施例として調製した。
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μL
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)1μL
IC Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)1μL
10μM 配列番号6で示されるプライマー 0.25μL
10μM 配列番号14で示されるプライマー 1.5μL
10μM 配列番号16で示されるプローブ(5’末端をBODIPYで標識、3’末端をリン酸化で標識) 0.25μL
試料3μL
また、上記の本実施例試薬との比較のための試薬として、以下の核酸プライマーセット(配列番号19〜20)を用いた以外は実質的に同じ試薬を調製して、対比実験に用いた。
10μM 配列番号19で示されるプライマー 0.25μL
10μM 配列番号20で示されるプライマー 1.5μL
核酸増幅および融解曲線解析
94℃・2分
(以上1サイクル)
97℃・1秒
58℃・3秒
63℃・6秒
(以上60サイクル)
94℃・30秒
39℃・30秒
39℃〜75℃(0.09℃/秒で温度上昇)
(3)結果
図4は、上記の条件で核酸増幅検出を行い、その検出結果を表した図である。本実施例の試薬及び比較用試薬において、陽性試料ではいずれもオウム病クラミジアが検出されている。一方、疑似生体試料において比較用の試薬は検体中に含まれる物質により増幅阻害が起き十分に検出できていないが、本試薬では阻害を受けず高感度に検出ができることが明らかとなった。本実施例の結果から、本発明の核酸プライマー、核酸プローブを用いることにより、核酸を精製する工程を経ていない生体由来試料においても、増幅反応を阻害し得る夾雑物の影響を抑制し、高感度にChlamydophila属菌を検出できることが分かる。
本発明の核酸プライマーセット及び/又は核酸プローブを使用することで簡便、高感度に試料中に含まれ得るChlamydophila属菌を区別して検出できるようになった。従って、例えば、十分に精製されていない試料を用いる場合であっても、本発明は従来迅速に鑑別が難しかった肺炎クラミジア(C.pneumoniae)とオウム病クラミジア(C.psittaci)とを簡便な方法でありながら正確に区別して検出することが可能とし、臨床診断等などにおいて大きく貢献することができる。

Claims (36)

  1. 以下の(I)に該当する核酸プライマー及び(II)に該当する核酸プライマーを含む、Chlamydophila属菌を区別して検出するための核酸プライマーセット:
    (I)配列番号1又は配列番号2で示される塩基配列と90%以上の同一性を示す塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列からなる核酸プライマー;
    (II)配列番号1又は配列番号2で示される塩基配列と90%以上の同一性を示す塩基配列に相補的な塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列からなる核酸プライマー。
  2. 前記(I)及び/又は(II)に記載の核酸プライマーが、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる、請求項1に記載の核酸プライマーセット。
  3. 前記(I)に記載の核酸プライマーが、配列番号1又は配列番号2で示される塩基配列の1番目〜110番目の塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列と90%以上の同一性を示す塩基配列からなる核酸プライマーであり、且つ前記(II)に記載の核酸プライマーが、配列番号1又は配列番号2で示される塩基配列の70番目〜220番目の塩基配列に対して相補的な塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列と90%以上の同一性を示す塩基配列からなる核酸プライマーである、請求項1又は2に記載の核酸プライマーセット。
  4. 前記(I)に記載の核酸プライマーが、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列の1番目〜110番目の塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる核酸プライマーであり、且つ、前記(II)に記載の核酸プライマーが、配列番号1又は配列番号2で示される塩基配列の70番目〜220番目の塩基配列に対して相補的な塩基配列において連続する15〜30塩基の塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる核酸プライマーである、請求項1〜3のいずれかに記載の核酸プライマーセット。
  5. Chlamydophila属菌として、Chlamydophila pneumoniaeとChlamydophila psittaciとを区別して検出するために用いられる、請求項1から4のいずれかに記載の核酸プライマーセット。
  6. 前記(I)に記載の核酸プライマーが、配列番号3〜7のいずれかで示される塩基配列からなるプライマーである、請求項1〜5のいずれかに記載の核酸プライマーセット。
  7. 前記(II)に記載の核酸プライマーが、配列番号8〜14のいずれかで示される塩基配列からなるプライマーである、請求項1〜6のいずれかに記載の核酸プライマーセット。
  8. 検体試料中に含まれ得るChlamydophila属菌を区別して検出する方法であって、以下の(1)〜(2)の工程を含む方法:
    (1)検体試料中において、請求項1〜7のいずれかに記載の核酸プライマーセットを用いて核酸増幅反応を行い、核酸増幅産物を生成する工程;及び
    (2)前記工程(1)で得られた増幅産物を検出する工程。
  9. 請求項8に記載のChlamydophila属菌を区別して検出する方法であって、前記工程(2)が、以下の(2−1)〜(2−2)の工程を含む、検出方法:
    (2−1)前記工程(1)によって得られた核酸増幅産物と核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程;及び
    (2−2)前記工程(2−1)で得られた複合体を検出する工程。
  10. Chlamydophila属菌として、C.pneumoniaeとC.psittaciとを区別して検出する、請求項8又は9に記載の検出方法。
  11. 前記工程(2−1)で用いる核酸プローブが、以下の特徴(A)および(B)を有する核酸プローブである、請求項9又は10のいずれかに記載の検出方法:
    (A)配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列と85%以上の同一性を示す塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列を含む;及び
    (B)少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されている。
  12. 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる、請求項11に記載の検出方法。
  13. 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列の60番目〜170番目の塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列と85%以上の同一性を示す塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列からなる、請求項11又は12に記載の検出方法。
  14. 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列の60番目〜170番目の塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる、請求項11〜13のいずれかに記載の検出方法。
  15. 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号15〜18のいずれかで示される塩基配列からなる、請求項11〜14のいずれかに記載の検出方法。
  16. 前記(B)の蛍光消光色素が、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、並びにBODIPY及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの蛍光消光色素である、請求項11〜15のいずれかに記載の検出方法。
  17. 前記(B)の蛍光消光色素が、4,4−ジフルオロ−5.7−ジメチル−4−ボラ−3a、4a−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオン酸(BODIPY−FL)、カルボキシローダミン6G,TAMRA,ローダミン6G,テトラブロモスルホンフルオレセイン(TBSF)、及び2−オキソ−6,8−ジフルオロ−7−ジヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(Pacific Blue)からなる群より選択される少なくとも1つの蛍光消光色素である、請求項11〜16のいずれかに記載の検出方法。
  18. 前記(B)において、蛍光消光色素で標識されている少なくとも一つの末端塩基がシトシンである、請求項11〜17のいずれかに記載の検出方法。
  19. 前記工程(2−2)が以下の工程(2−2a)〜(2−2c)の少なくともひとつを含む、請求項8〜18のいずれかに記載の検出方法。
    (2−2a)得られるうる増幅産物に該核酸プローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をリアルタイムでモニターする工程。
    (2−2b)前記工程(2−1)の終了後に、得られうる増幅産物に該核酸プローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度を測定することで、前記核酸増幅反応の進行をエンドポイントでモニターする工程。
    (2−2c)前記工程(2−1)の終了後に、得られうる増幅産物に該核酸プローブをハイブリダイズさせ、該反応液の蛍光強度の温度依存性を測定する工程。
  20. 前記工程(1)の核酸増幅反応がPCRである、請求項8〜19のいずれかに記載の検出方法。
  21. 前記工程(1)の核酸増幅反応で用いる核酸増幅酵素が、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼである請求項8〜20のいずれかに記載の検出方法。
  22. ファミリーBに属するDNAポリメラーゼが、KOD由来のDNAポリメラーゼ又はその変異体である、請求項21に記載の検出方法。
  23. 前記検体試料が、核酸を精製する工程を経ていない生体由来試料である、請求項8〜22のいずれかに記載の検出方法。
  24. 検体試料中に含まれ得るChlamydophila属菌を区別して検出するために用いられる、以下の特徴(A)及び(B)を有する核酸プローブ:
    (A)配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列と85%以上の同一性を示す塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列を含む;及び
    (B)少なくとも一方の末端塩基がグアニンとの相互作用により消光する蛍光消光色素で標識されている。
  25. 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる、請求項24に記載の核酸プローブ。
  26. 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列の60番目〜170番目の塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列と85%以上の同一性を示す塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列からなる、請求項24又は25に記載の核酸プローブ。
  27. 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号1若しくは配列番号2で示される塩基配列の60番目〜170番目の塩基配列において連続する少なくとも15塩基以上の塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列、或いはそれらの塩基配列において1又は数個の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列からなる、請求項24〜26のいずれかに記載の核酸プローブ。
  28. Chlamydophila属菌として、C.pneumoniaeとC.psittaciとを区別して検出するために用いられる、請求項24〜27のいずれかに記載の核酸プローブ。
  29. 前記(A)に記載の少なくとも15塩基以上の塩基配列が、配列番号15〜18のいずれかで示される塩基配列からなる、請求項24〜28のいずれかに記載の核酸プローブ。
  30. 前記(B)の蛍光消光色素が、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、並びにBODIPY及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの蛍光消光色素である、請求項24〜29のいずれかに記載の核酸プローブ。
  31. 前記(B)の蛍光消光色素が、4,4−ジフルオロ−5.7−ジメチル−4−ボラ−3a、4a−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオン酸(BODIPY−FL)、カルボキシローダミン6G,TAMRA,ローダミン6G,テトラブロモスルホンフルオレセイン(TBSF)、及び2−オキソ−6,8−ジフルオロ−7−ジヒドロキシ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(Pacific Blue)からなる群より選択される少なくとも1つの蛍光消光色素である、請求項24〜30のいずれかに記載の核酸プローブ。
  32. 前記(B)において、蛍光消光色素で標識されている少なくとも一つの末端塩基がシトシンである請求項24〜31のいずれかに記載の核酸プローブ。
  33. 請求項1〜7のいずれかに記載の核酸プライマーセットおよび/または請求項24〜32のいずれかに記載の核酸プローブを含む、Chlamydophila属菌を区別して検出するための試薬。
  34. Chlamydophila属菌として、C.pneumoniaeとC.psittaciとを区別して検出するために用いられる、請求項33に記載の試薬。
  35. 請求項1〜7のいずれかに記載の核酸プライマーセット、請求項24〜32のいずれかに記載の核酸プローブ、及び/又は請求項33〜34のいずれかに記載の試薬を含む、Chlamydophila属菌を区別して検出するためのキット。
  36. Chlamydophila属菌として、C.pneumoniaeとC.psittaciとを区別して検出するための請求項35に記載のキット。
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