JP6145974B2 - 肺炎マイコプラズマの検出方法 - Google Patents
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Description
しかしこれらの検査試薬では肺炎マイコプラズマ検出のみが可能であり、薬剤耐性の判別は不可能である。
また、これらの検査試薬には核酸増幅が正常に行われたかを確認するためのインターナルコントロールが存在していないため、肺炎マイコプラズマが検出されず陰性となった場合に、その結果が本当に陰性だからなのか、それとも核酸増幅に異常が発生したのかを直接的に確認できないという欠点がある。
したがって、これらの部位を検出でき、かつ、塩基置換が生じているか否かがわかれば、菌検出および薬剤耐性判別ができる。
しかし、この方法では、増幅に加えてシークエンスを行わなければならないため、操作が煩雑で、かつ、培養法よりは早いけれども時間がかかるという問題点がある。
配列番号2で示される塩基配列の中の連続する24〜40塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマー。
[項2]
項1に記載のオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号2で示される塩基配列の中の連続する29〜36塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマー。
[項3]
項1または項2に記載のオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号9〜13のいずれかで示される塩基配列オリゴヌクレオチドプライマー。
[項4]
配列番号3で示される塩基配列の中の連続する24〜40塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマー。
[項5]
項4に記載のオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号3で示される塩基配列の中の連続する31〜36塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマー。
[項6]
項4または項5に記載のオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号5〜8のいずれかで示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー。
[項7]
肺炎マイコプラズマの検出を行う方法であって、以下の(1)〜(2)の工程を含む方法。
(1)フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて核酸増幅反応を行い、肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子の一部領域を増幅する工程であって、フォワードプライマーが項1、項2、項3のいずれか1項で示される少なくとも1本のオリゴヌクレオチドであり、および/または、リバースプライマーが項4、項5、項6のいずれか1項で示される少なくとも1本のオリゴヌクレオチドである工程
(2)上記工程で得られた増幅産物を検出する工程
[項8]
項7に記載の肺炎マイコプラズマを検出する方法であって、以下の(1)〜(3)の工程を含む方法。
(1)フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて核酸増幅反応を行い、肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子の一部領域を増幅する工程であって、フォワードプライマーが項1、項2、項3のいずれか1項で示される少なくとも1本のオリゴヌクレオチドであり、および/または、リバースプライマーが項4、項5、項6のいずれか1項で示される少なくとも1本のオリゴヌクレオチドである工程
(2)工程(1)によって得られた核酸増幅産物と、肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子中の2063位および/または2064位を含む塩基配列を検出するオリゴヌクレオチドプローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
(3)工程(2)で得られた複合体を検出する工程。
[項9]
項8に記載の肺炎マイコプラズマを検出する方法であって、項8の(3)の工程を、融解曲線分析の結果に基づいて肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子の存在および/または23SrRNA遺伝子中の変異の有無を検出することにより行う方法。
[項10]
オリゴオリゴヌクレオチドプローブ少なくとも一つの末端塩基がシトシンであり、末端のシトシンのうち少なくとも一つのシトシンが蛍光標識されている、項8または項9に記載の方法。
[項11]
配列番号4で示される塩基配列の中の連続する15〜20塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプローブ
[項12]
配列番号4で示される塩基配列の中の連続する16または17塩基からなり、かつ、オリゴヌクレオチドプローブの末端塩基のうち少なくとも一つの末端塩基がシトシンである項11に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
[項13]
配列番号14または15で示される、項11または項12に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
[項14]
オリゴヌクレオチドプローブの塩基配列が、項11〜項13のいずれかに記載された塩基配列である、項8〜項10のいずれかに記載の方法。
[項15]
項8〜項10、項14のいずれかに記載の方法において、(1)〜(3)の工程の後に、さらに以下の(4)の工程を含む方法。
(4)工程(3)によって検出されうる23SrRNA遺伝子中の変異が23SrRNA遺伝子の2063位または2064位の変異であり、被検肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子中に上記のいずれかの変異が検出された場合に、該肺炎マイコプラズマが薬剤耐性であると判断する工程。
[項16]
以下の(a)〜(g)を含む、肺炎マイコプラズマの検出および/または肺炎マイコプラズマの薬剤耐性の有無の判別を行う方法のためのキット。
(a)フォワードプライマーおよびリバースプライマーのセットであって、フォワードプライマーが項1、項2、項3のいずれか1項で示される少なくとも1本のオリゴヌクレオチドであり、および/または、リバースプライマーが項4、項5、項6のいずれか1項で示される少なくとも1本のオリゴヌクレオチドであるプライマーセット
(b)肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子中の2063位および/または2064位を含む塩基配列を検出するオリゴヌクレオチドプローブ
(c)DNAポリメラーゼ
(d)緩衝液
(e)マグネシウムイオン
(f)dNTPs
(g)DMSO
[項17]
項16に記載のキットに含まれるフォワードプライマーおよびリバースプライマーのすべてが、項11〜項13のいずれか1項で示される塩基配列から選択されている、項16に記載のキット。
本発明の実施形態の一つは、以下の(I)または(II)に記載されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
(I)配列番号2で示される塩基配列の中の連続する24〜40塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマー。
(II)配列番号3で示される塩基配列の中の連続する24〜40塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマー。
本発明の第二の実施形態は、肺炎マイコプラズマの検出を行う方法である。該方法は、大きく分けて核酸増幅工程と核酸検出工程の二つの工程を含む。具体的には、下記(1)〜(2)の工程を含む。
(1)フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて核酸増幅反応を行い、肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子の一部領域を増幅する工程であって、フォワードプライマーが上記(I)で示される任意のオリゴヌクレオチドであり、および/または、リバースプライマーが上記(II)で示される任意のオリゴヌクレオチドである工程
(2)上記工程で得られた増幅産物を検出する工程
(1)フォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いて核酸増幅反応を行い、肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子の一部領域を増幅する工程であって、フォワードプライマーが上記(I)で示される任意のオリゴヌクレオチドであり、および/または、リバースプライマーが上記(II)で示される任意のオリゴヌクレオチドである工程。
(2)工程(1)によって得られた核酸増幅産物と、肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子中の2063位および/または2064位を含む塩基配列を検出するオリゴヌクレオチドプローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
(3)工程(2)で得られた複合体を検出する工程。
核酸増幅工程では、肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子中の2063位、2064位を含む部分領域を増幅する。増幅は上述した(I)で示される任意のフォワードプライマーと(II)で示される任意のリバースプライマーとを用いて行う。
method;Nature 第350巻、第91頁、1991年参照)、LCR(国際公開89/12696号、特開平2−2934号参照)、SDA(Strand Displacement Amplification:Nucleic Acids Res. 第20巻、第1691頁、1992年参照)、RCA(国際公開90/1069号参照)、TMA(Transcription mediated amplification method;J. Clin. Microbiol. 第31巻、第3270頁、1993年参照)、LAMP(Loop−mediated isothermal amplification method:J. Clin Microbiol. 第42巻:第1,956頁、2004年参照)、ICAN(isothermal and chimeric primer−initiated amplification of nucleic acids:Kekkaku. 第78巻、第533頁、2003年参照)などを挙げることができるが、これらに限定されない。上記核酸増幅方法を用いれば、従来では検出不可能であった、極めて微量(1分子でも可)の試料核酸をも検出することが可能であり、上記増幅工程に好適に用いることが可能である。
(肺炎マイコプラズマに特異的なプローブ)
本発明の核酸検出工程について、該工程で使用する検出用オリゴヌクレオチドプローブ(本明細書では単にプローブともいう。)について説明する。
該オリゴヌクレオチドプローブとしては、肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子中の2063位および/または2064位を含む塩基配列を検出できるものであれば、その塩基配列や本数などは特に制限されない。配列番号23または24に示される核酸配列または該配列に相補的な配列が好ましいが、肺炎マイコプラズマ23SrRNA遺伝子中の2063位、2064位を含む連続した10塩基以上30塩基以下の核酸配列、またはこれに相同な核酸配列であれば特に限定されない。
好ましくは配列番号4で示される塩基配列の中の連続する15〜20塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプローブであり、さらに好ましくは配列番号4で示される塩基配列の中の連続する16または17塩基からなり、なおかつオリゴヌクレオチドプローブの末端塩基のうち少なくとも一つの末端塩基がシトシンであることを特徴とするオリゴヌクレオチドプローブである。該オリゴヌクレオチドプローブとして、配列番号14、15が例示できる。
このような組合せを用いれば、オリゴヌクレオチドプライマーとオリゴヌクレオチドプローブが混在する反応系で核酸増幅を行っても、オリゴヌクレオチドプライマーの方が効率よく標的核酸にアニーリングすることができる。従って、本発明で提供されるオリゴヌクレオチドプライマーおよびオリゴヌクレオチドプローブを含む反応系で短時間の、好ましくは1〜5秒のアニーリング反応を含む核酸増幅を行えば、オリゴヌクレオチドプライマーのみを標的核酸にアニーリングさせることができ、短時間で効率よく標的核酸の増幅を行うことができる。
具体的には、例えば、当該複合体に対して、連続的な温度上昇を行いながら、オリゴヌクレオチドプローブを標識している蛍光色素の蛍光を測定することにより融解曲線分析を行い、融解曲線分析の結果に基づいて肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子の存在および23SrRNA遺伝子中の変異の有無を検出する方法が例示できる。
ここで、図1を用いて、融解曲線解析の原理について説明する。図1は融解曲線解析の原理を模式的に示す図であり、(a)は検出にIFP法を用いる融解曲線解析の原理を示し、(b)は検出にQ−Probe法を用いる融解曲線解析の原理を示し、(c)は融解曲線解析で核酸増幅の結果を確認した結果の一例を示す。
図1(a)に示すように、IFP法では、二本鎖核酸に結合する化合物(インターカレーター)と、当該化合物が当該二本鎖核酸に結合したときに、発する蛍光が変化する反応分子で標識したプローブとを用いる。つまり、二本鎖核酸が一本鎖核酸に解離した状態の当該反応分子が発する蛍光を検出してもよく、解離していない状態の当該反応分子が発する蛍光を検出してもよい。
図1(b)に示すように、Q−Probe法では、3’末端にC(シトシン)を有し、C(シトシン)とG(グアニン)とが水素結合したときに蛍光が消える蛍光色素で標識したプローブを用いる。核酸増幅後に温度を徐々に上昇させて、二本鎖核酸が一本鎖核酸に解離すると、消光していた蛍光色素が再度発光する。この蛍光を検出すれば、核酸増幅の確認を行うことができる。
特に標識プローブの末端においてグアニンとシトシンの塩基対形成時に蛍光の消光を生じる蛍光物質が好ましい。具体的には、フルオロセインまたはその誘導体(例えばフルオロセインイソチオシアネート(FITC))、BODIPY(商標)シリーズ、ローダミンまたはその誘導体(例えば5−カルボキシローダミン6G(GR6G)やテトラメチルローダミン(TAMRA))などを使用できるが、BODIPYシリーズやCR6Gの使用が特に好ましい。
蛍光色素のオリゴヌクレオチドへの結合方法は、通常の方法に従って行うことができる。蛍光色素の消光を利用すれば、インターカレーターなど二本鎖核酸構造への挿入色素を用いることなく、またFRET現象を起こす二種類のプローブを用いることなく、一種類の蛍光物質に標識されたプローブを用いて単純かつ特異的に標的核酸配列を検出することができる。
標識プローブの塩基配列中の蛍光物質の標識位置は特に限定されないが、末端部に標識されていることが好ましく、末端に標識されていることがより好ましい。
本発明の肺炎マイコプラズマの薬剤耐性判別において、野生型23SrRNA遺伝子または該遺伝子の部分配列とプローブとの複合体(Wc)と、2063位および/または2064位の塩基が野生型の塩基とは異なる変異型23SrRNA遺伝子または該遺伝子の部分配列とプローブとの複合体(Mc)とは、5℃以上異なる温度で解離することが好ましい。一般的に、WcとMcの解離温度が5℃以上異なっていれば、融解曲線解析などを用いて、肺炎マイコプラズマ23SrRNA遺伝子中の変異の有無を明確に判別できる。
さらに、上述のオリゴヌクレオチドプライマーセット、肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子中の2063位および/または2064位を含む塩基配列を検出するオリゴヌクレオチドプローブ、DNAポリメラーゼ、緩衝液、マグネシウムイオン、dNTPs、DMSOを含む、肺炎マイコプラズマの検出および/または肺炎マイコプラズマの薬剤耐性の有無の判別を行う方法のためのキットもまた、本発明の実施形態の一つである。
本キットに用いるDNAポリメラーゼは特に限定されるものではないが、α型DNAポリメラーゼであることが好ましく、さらにはα型DNAポリメラーゼの中でもKOD DNA Polymerase(たとえば、東洋紡製品)、KOD −Plus−(商標、東洋紡製品)、KOD FX(商標、東洋紡製品)のうち任意の一つ以上のDNAポリメラーゼであることが好ましい。
(1)試料の調製
培養された肺炎マイコプラズマから抽出されたゲノム10000コピー/μlを試料とした。
(2)核酸増幅および検出
上記陽性試料に下記試薬を添加して下記条件により肺炎マイコプラズマゲノムを検出した。
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。オリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせは表1に示した。
10μMオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号9、10、11、12のうちいずれか一つ)0.8μl
10μMオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号5、7、8のうちいずれか一つ) 0.8μl
KOD plus DNA Polymerase 0.5μl
10× Buffer for KOD −Plus− Ver.2 2.5μl
2mM dNTP 2.5μl
25mM MgSO4 1.5μl
精製水 15.4μl
試料 1μl
上記反応液を8連チューブ(イナ・オプティカ製)に添加し、下記条件にてサーマルサイクラーで核酸増幅反応を行った。増幅産物のうち5μlを3%アガロースゲルに添加し、100Vで約40分間泳動した。
94℃・2分
(以上1サイクル)
98℃・10秒
62℃・30秒
68℃・20秒
(以上35サイクル)
4℃・2分
図2は3%アガロースゲルで電気泳動した後のゲル写真である。一番左の複数バンドが見えているものはマーカーであり、マーカーのすぐ右から順にプライマー組合せNo.1の反応液から得られたバンド、同じくNo.2の反応液から得られたバンドと続き、一番右側が組合せNo.12の反応液から得られたバンドである。
図2から、試行した全てのプライマー組合せにおいて肺炎マイコプラズマゲノム由来の核酸増幅産物が得られることが示された。本発明のオリゴヌクレオチドプライマーは限られた特定の塩基配列同士での組合せのみならず、本明細書0016段落の項1〜項3で示されたものの中から任意に選択されるオリゴヌクレオチドプライマーと、項4〜項6で示されたものの中から任意に選択されるオリゴヌクレオチドプライマーとの組合せが有効であることが示唆される。
(1)試料の調製
培養された肺炎マイコプラズマから抽出されたゲノムを陽性試料とした。ゲノム試料は野生型23SrRNA遺伝子を持つ肺炎マイコプラズマ由来のゲノム(WT)と23SrRNA遺伝子の2063位に変異を持つ変異型肺炎マイコプラズマ由来のゲノム(MT)の2種類を用意し、それぞれ1000コピー/μlとなるように調製したものを用いた。また、精製水を陰性試料(NC)とした。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
上記陽性試料および陰性試料にそれぞれ下記試薬を添加して、下記条件により肺炎マイコプラズマを検出した。核酸増幅および融解曲線解析には東洋紡績社製GENECUBE(登録商標)を使用した。
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。オリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせは表2に示した。
100μMオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号9、10、11、12のうちいずれか一つ)0.04μl
100μMオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号5、7、8のうちいずれか一つ) 0.2μl
10μMオリゴヌクレオチドプローブ(配列番号14、15のうちいずれか一つ。配列番号14は5’末端をBODIPY−FL標識、3’末端をリン酸化。配列番号15は3’末端をBODIPY−FL標識) 0.25μl
PPD Mix(ジーンキューブテストベーシック、東洋紡製)3μl
KOD Mix(ジーンキューブテストベーシック、東洋紡製)3μl
精製水 0.51μl
試料 3μl
94℃・2分
(以上1サイクル)
97℃・1秒
58℃・3秒
63℃・5秒
(以上50サイクル)
94℃・30秒
39℃・30秒
39℃〜75℃(0.09℃/秒で温度上昇)
図3〜図12はグラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。それぞれの図がいずれの組合せNo.での検出結果を示すかは表2に記載した通りである。
図2〜図13より明らかなように、肺炎マイコプラズゲノムを試料とした場合に明瞭なピークが観察され、水を試料とした場合は全くピークが観察されなかった。またいずれのプライマー・プローブ組合せでもWTとMTは異なる温度でピークが現れていた。これは野生型肺炎マイコプラズマと薬剤耐性型肺炎マイコプラズマとでプローブの融解温度が明確に異なることを示しており、本発明によって肺炎マイコプラズマの薬剤耐性判別が容易に行えることを示している。
(1)試料の調製
23SrRNA遺伝子の2063位、2064位とも塩基がアデニンである野生型肺炎マイコプラズマから抽出されたゲノム(WT)、23SrRNA遺伝子の2063位がグアニンに変異している薬剤耐性型肺炎マイコプラズマから抽出されたゲノム(A2063G)、23SrRNA遺伝子の2064位がグアニンに変異している薬剤耐性型肺炎マイコプラズマから抽出されたゲノム(A2064G)を試料とした。各々の試料は100コピー/μlとなるように調製した。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
上記試料にそれぞれ下記試薬を添加して、下記条件により肺炎マイコプラズマを検出した。核酸増幅および融解曲線解析には東洋紡績社製GENECUBE(登録商標)を使用した。
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。オリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせは表2に示した。
100μMオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号9)0.03μl
100μMオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号6) 0.15μl
10μMオリゴヌクレオチドプローブ(配列番号14、5’末端をBODIPY−FL標識、3’末端をリン酸化) 0.25μl
PPD Mix(ジーンキューブテストベーシック、東洋紡製)3μl
KOD Mix(ジーンキューブテストベーシック、東洋紡製)3μl
精製水 0.57μl
試料 3μl
実施例2と同じ。
図13はグラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。図13から明らかであるように、野生型肺炎マイコプラズマ由来のゲノム(WT)は約60℃でピークが検出されている。また、薬剤耐性型肺炎マイコプラズマ由来のゲノムであるA2063G、A2064Gは共に約50℃でピークが検出されている。
以上から本発明のプライマー・プローブを用いることで、A2063位に変異を持つ肺炎マイコプラズマと、A2064位に変異を持つ肺炎マイコプラズマの両方を検出し、なおかつ野生型肺炎マイコプラズマと識別が可能であることが示された。
Claims (6)
- 以下の(1)〜(3)の工程を含む肺炎マイコプラズマを検出する方法。
(1)配列番号9から13のうちいずれかで示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなるフォワードプライマーおよび配列番号5から8のうちいずれかで示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなるリバースプライマーを用いて核酸増幅反応を行う工程
(2)工程(1)によって得られた核酸増幅産物と、配列番号14または15で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
(3)工程(2)で得られた複合体を検出する工程。 - オリゴヌクレオチドプローブの末端塩基のうち少なくとも一つの末端塩基がシトシンである。請求項1に記載の肺炎マイコプラズマを検出する方法。
- 請求項1に記載の肺炎マイコプラズマを検出する方法であって、請求項1の(3)の工程を、融解曲線分析の結果に基づいて肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子の存在および/または23SrRNA遺伝子中の変異の有無を検出することにより行う方法。
- プローブの少なくとも一つの末端塩基のシトシンのうち少なくとも一つのシトシンが蛍光標識されている、請求項2に記載の方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の方法において、(1)〜(3)の工程の後に、さらに以下の(4)の工程を含む方法。
(4)工程(3)によって検出されうる23SrRNA遺伝子中の変異が23SrRNA遺伝子の2063位または2064位の変異であり、被検肺炎マイコプラズマの23SrRNA遺伝子中に上記のいずれかの変異が検出された場合に、該肺炎マイコプラズマが薬剤耐性であると判断する工程。 - 以下の(a)〜(g)を含む、肺炎マイコプラズマの検出および/または肺炎マイコプラズマの薬剤耐性の有無の判別を行う方法のためのキット。
(a)配列番号9から13のうちいずれかで示されるオリゴヌクレオチドからなるフォワードプライマーおよび配列番号5から8のうちいずれかで示されるオリゴヌクレオチドからなるリバースプライマーで構成されるプライマーセット
(b)配列番号14または15で示されるオリゴヌクレオチドプローブ
(c)DNAポリメラーゼ
(d)緩衝液
(e)マグネシウムイオン
(f)dNTPs
(g)DMSO
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