JP2011062143A - ピロリ菌の23SrRNA遺伝子増幅用プライマー試薬およびその用途 - Google Patents

ピロリ菌の23SrRNA遺伝子増幅用プライマー試薬およびその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】遺伝子増幅法によりピロリ菌の23S rRNA遺伝子の目的領域を特異的に増幅するためのプライマー試薬およびその用途を提供する。
【解決手段】複数の特定の配列からなる塩基配列の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドからなるプライマーを使用して、試料中の被検核酸を鋳型として、ピロリ菌の23S rRNA遺伝子の増幅を行う。これにより、2141位、2142位および2143位の検出対象領域を含む領域を特異的に増幅できる。そして、得られた増幅産物と検出用プローブとを用いてTm解析を行うことにより、特異的に、前記2141位、2142位または2143位における変異の有無を検出でき、これによってピロリ菌がクラリスロマイシン耐性か否かを判断できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヘリコバクター・ピロリの23S rRNA遺伝子における2141位、2142位および2143位を含む領域を増幅するためのプライマー試薬およびその用途に関する。
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori、以下「ピロリ菌」ともいう)は、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌等の疾患の原因菌として知られている。このため、これらの疾患の治療方法として、ピロリ菌を取り除く除菌治療が行われている。この除菌治療の一つとして、抗生物質であるクラリスロマイシンを使用する療法がある。しかし、近年、前記クラリスロマイシンに耐性を示すピロリ菌が増加し、これによって、除菌率の低下が問題となっている。
ピロリ菌のクラリスロマイシン耐性については、ピロリ菌の23S rRNA遺伝子(以下、「rRNA遺伝子」ともいう)における、2141位、2142位および2143位の多型との関連性が報告されている。2141位の多型は、グアニンがアデニンに変異(G2141A)しており、2142位の多型は、2142位のアデニンがグアニンに変異(A2142G)またはシトシンに変異(A2142C)しており、2143位の多型は、2143位のアデニンがグアニンに変異(A2143G)している。このため、ピロリ菌のrRNA遺伝子多型を調べることにより、より効率的なテーラーメイド除菌治療の実現が期待される(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3等)。
他方、あらゆる疾患の原因、個体間の疾患易罹患性(疾患のかかり易さ)、個体間における薬効の違い等を遺伝子レベルで解析する方法として、点突然変異、いわゆる一塩基多型(SNP)の検出が広く行われている。点突然変異の一般的な検出方法としては、(1)試料の標的DNAについて、検出対象の変異が生じる部位(検出対象部位)を含む領域(増幅対象領域)をPCR(Polymerase chain reaction)により増幅させ、その全遺伝子配列を解析するDirect Sequencing法、(2)試料の標的DNAについて、前記増幅対象領域をPCRにより増幅させ、前記増幅対象領域における前記変異の有無により切断作用が異なる制限酵素によって、その増幅産物を切断し、電気泳動することでタイピングを行うRFLP解析、(3)3’末端領域に検出対象の変異が位置するプライマーを用いてPCRを行い、増幅の有無によって変異を判断するASP−PCR法等があげられる。
しかしながら、これらの方法は、例えば、試料から抽出したDNAの精製、電気泳動、制限酵素処理等が必須であるため、手間やコストがかかってしまう。また、PCRを行った後、反応容器を一旦開封する必要があるため、前記増幅産物が次の反応系に混入し、解析精度が低下するおそれがある。さらに、自動化が困難であるため、大量のサンプルを解析することができない。また、前記(3)のASP−PCR法については、特異性が低いという問題もある。
このような問題から、近年、変異の検出方法として、標的核酸とプローブとから形成される二本鎖核酸の融解温度(Tm:melting temperature)を解析する方法が実用化されている。このような方法は、例えば、Tm解析、または、前記二本鎖の融解曲線の解析により行われることから、融解曲線解析と呼ばれている。これは、以下のような方法である。すなわち、まず、検出対象部位を含む領域に相補的なプローブを用いて、被検試料の一本鎖DNAと前記プローブとのハイブリッド(二本鎖DNA)を形成させる。続いて、このハイブリッド形成体に加熱処理を施し、温度上昇に伴うハイブリッドの解離(融解)を、吸光度等のシグナルの変動によって検出する。そして、この検出結果に基づいてTm値を決定することにより、変異の有無を判断する方法である。Tm値は、ハイブリッド形成体の相同性が高い程高く、相同性が低い程低くなる。このため、変異を含む検出対象配列とそれに相補的なプローブとのハイブリッド形成体について予めTm値(評価基準値)を求めておき、検出試料の標的一本鎖DNAと前記プローブとのTm値(測定値)を測定する。前記測定値が評価基準値と同程度であれば、マッチ、すなわち標的DNAに変異が存在すると判断でき、測定値が評価基準値より低ければ、ミスマッチ、すなわち標的DNAに変異が存在しないと判断できる。そして、この方法によれば、遺伝子解析の自動化も可能である。
しかしながら、このようなTm解析を利用した検出方法についても、PCRにおいて、前記増幅対象領域を特異的且つ効率的に増幅できなければならないという問題がある。
特開2009−148245号公報 特開平10−286099号公報 特開2001−321197号公報
そこで、本発明は、遺伝子増幅法によりピロリ菌の23S rRNA遺伝子の目的領域を特異的に増幅するためのプライマー試薬およびその用途の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のプライマー試薬は、遺伝子増幅法により、ピロリ菌の23S rRNA遺伝子を増幅するためのプライマー試薬であって、下記(F1)、(F2)、(R1)および(R2)からなる群から選択された少なくとも一つのオリゴヌクレオチドからなるプライマーを含むことを特徴とする。
(F1)配列番号1に示すオリゴヌクレオチド
5’-ttcagtgaaattgtagtggaggtgaaaattcctcctaccc-3’
(F2)配列番号2に示すオリゴヌクレオチド
5’-gcgtaacgagatgggagctgtctcaacc-3’
(R1)配列番号3に示すオリゴヌクレオチド
5’-gtatctcaaggatgactccataagagccaaagccc-3’
(R2)配列番号4に示すオリゴヌクレオチド
5’-gtggtatctcaaggatgactccataagagccaaagc-3’
本発明の変異の検出方法は、ピロリ菌の23S rRNA遺伝子の変異を検出する方法であって、前記変異が、前記23S rRNA遺伝子の2141位、2142位および2143位の少なくともいずれかの部位における変異であり、
下記(A)工程〜(C)工程を含むことを特徴とする。
(A)反応系において、被検核酸を鋳型として、前記本発明のプライマー試薬を用いて、前記23S rRNA遺伝子を増幅させる工程
(B)前記(A)工程で得られた増幅産物と変異の検出用プローブとを含む前記反応系の温度を変化させ、前記増幅産物と前記検出用プローブとのハイブリッド形成体の融解状態を示すシグナル値を測定する工程
(C)温度変化に伴う前記シグナル値の変動から、前記いずれかの部位における変異の有無を決定する工程
本発明の検出用プローブは、前記本発明の検出方法に使用する検出用プローブであって、前記rRNA遺伝子における2141位、2142位および2143位を含む配列にハイブリダイズ可能であり、下記(i)および(ii)の少なくとも一方のオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする。
(i)ピロリ菌の23S rRNA遺伝子において、2141位、2142位および2143位の塩基を含む、10〜30塩基の長さのオリゴヌクレオチド
(ii)前記(i)において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加されたオリゴヌクレオチド
本発明の変異検出試薬は、前記本発明のピロリ菌の23S rRNA遺伝子の変異を検出する方法に使用する検出試薬であって、前記本発明のプライマー試薬を含むことを特徴とする。
本発明のプライマー試薬によれば、ピロリ菌の23S rRNA遺伝子における2141位、2142位および2143位を含む目的領域を特異的に増幅できる。このため、前記本発明のプライマー試薬を用いた本発明の変異の検出方法によれば、より特異的に効率よく、前記各部位における変異の検出が可能となる。前述のように、これらの部位における変異は、ピロリ菌のクラリスロマイシン耐性との関連性が知られていることから、本発明は、医療分野において極めて有用である。
図1は、本発明の実施例1におけるTm解析の結果を示すグラフである。 図2は、本発明の実施例2における、コントロールプラスミド(IC)のTm解析結果を示すグラフである。 図3は、本発明の実施例2における、正常型プラスミド(wt)およびコントロールプラスミド(IC)のTm解析の結果を示すグラフである。 図4は、本発明の実施例2における、変異型プラスミド(mt1)およびコントロールプラスミド(IC)のTm解析の結果を示すグラフである。 図5は、本発明の実施例2における、変異型プラスミド(mt2)およびコントロールプラスミド(IC)のTm解析の結果を示すグラフである。 図6は、本発明の実施例2における、変異型プラスミド(mt3)およびコントロールプラスミド(IC)のTm解析の結果を示すグラフである。 図7は、本発明の実施例2における、変異型プラスミド(mt4)およびコントロールプラスミド(IC)のTm解析の結果を示すグラフである。
本発明において、検出目的の変異とは、ピロリ菌の23S rRNA遺伝子における、2141位、2142位および2143位のうち少なくとも一カ所の変異である。前記2141位の塩基は、野生型はグアニンであり、変異型はアデニン(GA2141A)が知られている。前記2142位の塩基は、野生型がアデニンであり、変異型はグアニン(A2142G)とシトシン(A2142C)とが知られている。また、前記2143位は、野生型がアデニンであり、変異型はグアニン(A2143G)が知られている。この3カ所の塩基のうちいずれか1カ所が変異型を示す場合、そのピロリ菌は、クラリスロマイシン耐性変異株と判断できる。なお、ピロリ菌の23S rRNA遺伝子の塩基配列は、例えば、GenBankアクセッションNo.U27270として登録されている。
本発明において、以下、ピロリ菌の23S rRNA遺伝子を「rRNA遺伝子」といい、前記3カ所のうちいずれか1カ所が変異型である前記rRNA遺伝子を「変異型rRNA遺伝子」、前記3カ所全てが野生型である前記rRNA遺伝子を「野生型rRNA遺伝子または正常型rRNA遺伝子」という。本発明において、前記rRNA遺伝子における、2141位、2142位および2143位のトリヌクレオチド領域を、「検出対象領域」ともいう。また、本発明において、増幅させる目的領域、すなわち、前記rRNA遺伝子における前記検出対象領域を含む領域を、「増幅対象領域」ともいう。前記増幅対象領域は、例えば、前記rRNA遺伝子のセンス鎖における領域でもよいし、それに対応するアンチセンス鎖における領域でもよいし、両方であってもよい。本発明において、被検核酸とは、変異の検出に供される核酸を意味する。本発明において、プローブが一本鎖核酸とハイブリダイズする際、前記一本鎖核酸における前記プローブがハイブリダイズする領域を、以下、「ハイブリダイズ領域」という。
本発明において、末端とは、オリゴヌクレオチドの5’側および3’側の最も端の塩基を意味する。また、末端領域とは、オリゴヌクレオチドの5’末端から数塩基の領域であり、3’末端領域とは、例えば、オリゴヌクレオチドの3’末端から数塩基の領域である。前記数塩基とは、例えば、末端から1塩基〜10塩基である。本発明において、末端からX塩基目(Xは正の整数)とは、末端の塩基を1塩基目とした順番であり、例えば、末端から1塩基目とは、末端の塩基、末端から2塩基目とは、末端の隣の塩基を意味する。
<プライマー試薬>
本発明のプライマー試薬は、遺伝子増幅法により、ピロリ菌のrRNA遺伝子を増幅するためのプライマー試薬であって、下記(F1)、(F2)、(R1)および(R2)からなる群から選択された少なくとも一つのオリゴヌクレオチドからなるプライマーを含むことを特徴とする。
(F1)配列番号1に示すオリゴヌクレオチド
5’-ttcagtgaaattgtagtggaggtgaaaattcctcctaccc-3’
(F2)配列番号2に示すオリゴヌクレオチド
5’-gcgtaacgagatgggagctgtctcaacc-3’
(R1)配列番号3に示すオリゴヌクレオチド
5’-gtatctcaaggatgactccataagagccaaagccc-3’
(R2)配列番号4に示すオリゴヌクレオチド
5’-gtggtatctcaaggatgactccataagagccaaagc-3’
前記(F1)および(F2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーは、それぞれ、ピロリ菌の前記rRNA遺伝子のセンス鎖を増幅するためのフォワードプライマーであり、前記(R1)および(R2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーは、それぞれ、前記rRNA遺伝子のアンチセンス鎖を増幅するためのリバースプライマーである。なお、前記各オリゴヌクレオチドからなるプライマーを、以下、本発明のプライマーともいう。
本発明のプライマー試薬は、前記オリゴヌクレオチドからなる本発明のプライマーのうちいずれか一種類を含んでいればよいが、少なくとも二種類の本発明のプライマーを含むことが好ましい。具体的には、例えば、増幅効率が優れることから、一対の前記フォワードプライマーと前記リバースプライマーとを含むことが好ましい。フォワードプライマーとリバースプライマーとの組み合わせは、特に制限されないが、例えば、前記(F1)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーと前記(R1)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーとの組み合わせが好ましい。本発明のプライマー試薬が、二種類以上の本発明のプライマーを含む場合、本発明のプライマー試薬は、例えば、本発明のプライマーセットということもできる。なお、本発明のプライマー試薬が、二種類以上の本発明のプライマーを含む場合、例えば、各プライマーは、例えば、別個の容器に収容される等、使用時まで独立した状態であってもよいし、混合された状態であってもよい。
本発明のプライマー試薬がフォワードプライマーとリバースプライマーとを含む場合、そのモル比は、特に制限されず、核酸増幅反応時における前記両者のモル比も、特に制限されない。具体例として、フォワードプライマー(F)とリバースプライマー(R)とのモル比(F:R)は、1:0.5〜1:4であることが好ましく、より好ましくは1:1〜1:3であり、特に好ましくは1:2である。
<検出用プローブ>
本発明の検出用プローブは、前述のように、本発明のピロリ菌の23S rRNA遺伝子の変異の検出方法に使用する検出用プローブであり、前記rRNA遺伝子の増幅対象領域における前記検出対象領域を含む配列にハイブリダイズ可能であればよい。
本発明の検出用プローブは、その長さは特に制限されないが、例えば、5〜50塩基であり、好ましくは10〜30塩基であり、より好ましくは10〜25塩基、さらに好ましくは15〜25塩基、特に好ましくは17〜22塩基である。本発明の検出用プローブは、例えば、前記rRNA遺伝子のセンス鎖にハイブリダイズ可能であってもよいし、アンチセンス鎖にハイブリダイズ可能であってもよい。
本発明の検出用プローブの具体例としては、例えば、下記(i)および(ii)の少なくとも一方のオリゴヌクレオチドからなるプローブがあげられる。
(i)ピロリ菌の23S rRNA遺伝子において、2141位、2142位および2143位の塩基を含む、10〜30塩基の長さのオリゴヌクレオチド
(ii)前記(i)において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加されたオリゴヌクレオチド
前記(i)および(ii)のオリゴヌクレオチドからなる検出用プローブは、前記rRNA遺伝子のアンチセンス鎖に相補的であり、前記アンチセンス鎖とのハイブリダイゼーションにより、変異を確認できる。
前記(i)のオリゴヌクレオチドにおいて、前記2141位の塩基は野生型のグアニン、前記2142位の塩基は野生型のアデニン、前記2143位の塩基は野生型のアデニンであることが好ましい。この場合、前記(i)および(ii)のオリゴヌクレオチドからなるプローブは、野生型rRNA遺伝子のアンチセンス鎖における検出対象領域(ttc)に、パーフェクトマッチする。
前記(i)のオリゴヌクレオチドは、配列番号5に示す塩基配列における、10〜30塩基の連続する塩基からなるオリゴヌクレオチドであることが好ましく、より好ましくは10〜25塩基の連続する塩基からなるオリゴヌクレオチドである。また、3’末端がシトシンであるオリゴヌクレオチドが好ましく、より好ましくは、配列番号5において、5’末端から26塩基目または28塩基目のシトシンが3’末端となるオリゴヌクレオチドであり、特に好ましくは、5’末端から26塩基目のシトシンが3’末端となるオリゴヌクレオチドが好ましい。下記配列番号5に示すオリゴヌクレオチドにおいて、下線部のgaaは、2141位、2142位および2143位の野生型の塩基を示す。
5’-cctacccgcggcaagacggaaagaccccgtggacc-3’ (配列番号5)
前記(i)のオリゴヌクレオチドの具体例としては、例えば、配列番号6および7に示す少なくとも一方の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであることが好ましく、中でも、配列番号7に示すオリゴヌクレオチドが好ましい。下記配列番号6および7において、下線部のgaaは、2141位、2142位および2143位の野生型の塩基を示す。
5’-caagacggaaagacccc-3’ (配列番号6)
5’-ggcaagacggaaagacc-3’ (配列番号7)
前記(ii)のオリゴヌクレオチドにおいて、塩基が欠失、置換、挿入または付加される部位は、前記検出対象領域以外であることが好ましい。前記(ii)の具体例としては、例えば、配列番号8に示すオリゴヌクレオチドが好ましい。下記配列において、5’側のgagctが、付加配列であり、下線部のgaaは、2141位、2142位および2143位の野生型の塩基を示す。
5’-gagctggcaagacggaaagacc-3’ (配列番号8)
本発明の検出用プローブは、標識物質を有する標識プローブであることが好ましく、例えば、前述のオリゴヌクレオチドが、前記標識物質で標識化(修飾)されていることが好ましい。前記オリゴヌクレオチドにおいて、前記標識物質により標識化される部位は、特に制限されないが、例えば、5’末端領域または3’末端領域であることが好ましく、より好ましくは5’末端または3’末端である。また、後述するように、前記オリゴヌクレオチドにおいて、前記標識物質により標識化される塩基は、例えば、シトシンまたはグアニンであることが好ましい。なお、前記標識物質は、例えば、塩基を直接標識化してもよいし、前記塩基を含むヌクレオチド残基のいずれかの部位を標識することによって、前記塩基を間接的に標識化してもよい。前記配列番号5、6、7および8に示すオリゴヌクレオチドは、例えば、3’末端のシトシンが、前記標識物質で標識化されていることが好ましい。
前記標識物質は、特に制限されないが、例えば、前記標識プローブが単独であるか、ハイブリッドを形成しているかによって、シグナルを発するものが好ましい。前記シグナルの種類は、特に制限されず、例えば、蛍光、呈色等があげられる。前記シグナルが蛍光の場合、シグナル値としては、例えば、蛍光強度があげられる。前記シグナルが呈色の場合、前記シグナル値としては、例えば、反射率、吸光度、透過率等があげられる。また、前記シグナルは、例えば、前記標識物質から直接発せられてもよいし、間接的に発せられてもよい。
前記標識物質は、特に制限されないが、例えば、蛍光団等の蛍光物質等があげられる。前記蛍光物質としては、例えば、フルオレセイン、リン光体、ローダミン、ポリメチン色素誘導体等があげられ、市販の蛍光物質としては、例えば、BODIPY FL(商標名、モレキュラープローブ社製)、FluorePrime(商品名、アマシャムファルマシア社製)、Fluoredite(商品名、ミリポア社製)、FAM(商標名、ABI社製)、Cy3およびCy5(商品名、アマシャムファルマシア社製)、TAMRA(商標名、モレキュラープローブ社製)等があげられる。前記蛍光物質の検出条件は、特に制限されず、例えば、使用する蛍光物質の種類により適宜決定できるが、例えば、Pacific Blueは、検出波長450〜480nm、TAMRAは、検出波長585〜700nm、BODIPY FLは、検出波長515〜555nmで検出できる。このようなプローブを使用すれば、例えば、シグナルとして蛍光を検出し、シグナル値として蛍光強度を測定することにより、蛍光強度の変動から、ハイブリダイズと解離とを容易に確認することができる。
前記標識プローブは、単独でシグナルを示し、且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識プローブ、または、単独でシグナルを示さず、且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識プローブであることが好ましい。前記標識物質が蛍光物質の場合、前記標識プローブは、例えば、前記蛍光物質で標識化され、単独で蛍光を示し、且つハイブリッド形成により蛍光が減少(例えば、消光)するプローブが好ましい。このような現象は、一般に、蛍光消光現象(Quenching phenomenon)と呼ばれる。この現象を利用したプローブは、一般に、蛍光消光プローブと呼ばれる。中でも、前記プローブとしては、オリゴヌクレオチドの3’末端もしくは5’末端が蛍光物質で標識化されていることが好ましく、標識化される前記末端の塩基は、シトシンまたはグアニンであることが好ましい。前記末端の塩基がシトシンの場合、前記プローブは、例えば、被検核酸とハイブリッドを形成した際、標識化された末端のシトシンと対をなす塩基または前記対をなす塩基から1〜3塩基離れた塩基がグアニンとなるように、塩基配列を設計することが好ましい。前記対をなす塩基から1塩基離れた塩基とは、前記対をなす塩基の隣の塩基を意味する。このようなプローブは、一般的にグアニン消光プローブと呼ばれ、いわゆるQProbe(登録商標)として知られている。このようなグアニン消光プローブが被検核酸にハイブリダイズすると、例えば、蛍光物質で標識化された末端のシトシンが、前記被検核酸におけるグアニンに近づくことによって、前記蛍光物質の発光が弱くなる(蛍光強度が減少する)という現象を示す。このようなプローブを使用すれば、蛍光強度の変動により、ハイブリダイズと解離とを容易に確認することができる。同様に、前記末端の塩基がグアニンの場合、前記プローブは、例えば、被検核酸とハイブリッドを形成した際、標識化された末端のグアニンと対をなす塩基または前記対をなす塩基から1〜3塩基離れた塩基がシトシンとなるように、塩基配列を設計することが好ましい。
本発明の検出用プローブは、例えば、3’末端にリン酸基が付加されてもよい。後述するように、変異の有無を検出する被検核酸は、例えば、PCR等の核酸増幅法によって調製でき、この際、本発明の検出用プローブを核酸増幅反応の反応系に共存させることができる。このような場合、前記プローブの3’末端にリン酸基を付加させておけば、前記プローブ自体が核酸増幅反応によって伸長することを十分に防止できる。また、3’末端に前述のような標識物質を付加することによっても、同様の効果が得られる。
<変異検出方法>
本発明の変異の検出方法は、前述のように、ヘリコバクター・ピロリの23S rRNA遺伝子の変異を検出する方法であって、前記変異が、前記23S rRNA遺伝子の2141位、2142位および2143位の少なくともいずれかの部位における変異であり、下記(A)工程〜(C)工程を含むことを特徴とする。
(A)反応系において、被検核酸を鋳型として、前記本発明のプライマー試薬を用いて、前記23S rRNA遺伝子を増幅させる工程
(B)前記(A)工程で得られた増幅産物と変異の検出用プローブとを含む前記反応系の温度を変化させ、前記増幅産物と前記検出用プローブとのハイブリッド形成体の融解状態を示すシグナル値を測定する工程
(C)温度変化に伴う前記シグナル値の変動から、前記いずれかの部位における変異の有無を決定する工程
本発明の検出方法によれば、ピロリ菌の前記rRNA遺伝子における前記検出対象領域を含む増幅対象領域を、優れた特異性で効率よく増幅することができる。このため、例えば、変異の検出の特異性も高く、擬陰性の問題も回避可能である。なお、本発明においては、前記本発明のプライマー試薬を使用することが特徴であって、その他の条件や工程は、何ら制限されない。本発明の検出方法において、前記プライマー試薬は、前述の通りである。前記反応系としては、例えば、反応液があげられる。
本発明の検出方法において、前記本発明のプライマー試薬に含まれるプライマーは、例えば、一種類でもよいし、二種類以上でもよいが、二種類以上が好ましい。中でも、前述のように、フォワードプライマーとリバースプライマーとからなる一対のプライマーセットを少なくとも含むことが好ましい。前記フォワードプライマーとリバースプライマーとの組み合わせとしては、例えば、前記(F1)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーと前記(F2)のオリゴヌクレオチドからなるプライマーとの組み合わせがあげられる。
前記(A)工程において、遺伝子の増幅法としては、特に制限されず、例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence Based Amplification)法、TMA(Transcription−Mediated Amplification)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法等があげられ、中でも、PCR法が好ましい。以下、PCR法を例にあげて、本発明を説明するが、これには制限されない。なお、PCRの条件は、特に制限されず、従来公知の方法により行うことができる。
前記反応系において、本発明のプライマー試薬の添加割合は、特に制限されないが、例えば、一種類のプライマーについて、例えば、0.1〜2μmol/Lであり、好ましくは、0.25〜1.5μmol/Lであり、特に好ましくは、0.5〜1μmol/Lである。また、本発明のプライマー試薬として、一対のフォワードプライマーとリバースプライマーとを使用する場合、前記フォワードプライマー(F)とリバースプライマー(R)との添加割合(モル比F:R)は、特に制限されないが、例えば、1:0.25〜1:4が好ましく、より好ましくは、1:0.5〜1:2である。
前記被検核酸は、例えば、試料由来の被検核酸であり、前記試料としては、例えば、生体試料、培養試料等があげられる。前記生体試料としては、例えば、胃液、胃組織、胃洗浄液等があげられ、また、培養試料としては、例えば、ピロリ菌の培養物、胃液または胃組織等の培養物等があげられる。なお、本発明において、試料の採取方法、前記試料からの被検核酸の調製方法等は、制限されず、従来公知の方法が採用できる。
本発明において、前記被検核酸は、例えば、DNAがあげられる。前記DNAは、例えば、前記試料に元来含まれるDNAでもよいし、前記試料に元来含まれるRNAから生成させたcDNAであってもよい。後者の場合、前記試料に元来含まれている、トータルRNA、mRNA等のRNAを鋳型として、逆転写反応により、cDNAを得ることができる。前記逆転写反応を利用したcDNAの生成方法としては、例えば、RT−PCR(Reverse Transcription PCR)があげられる。
前記反応系における前記被検核酸の添加割合は、特に制限されない。具体例として、胃液由来の被検核酸の場合、例えば、前記反応系の全量を100μLとして、胃液0.1〜10μLから得られる被検核酸を添加することが好ましい。
前記(B)工程における検出用プローブは、前述のように特に制限されないが、例えば、前記本発明の検出用プローブを使用できる。
前記検出用プローブは、前記(A)工程の後、すなわち、前記rRNA遺伝子の増幅対象領域について、増幅反応を行った後、前記反応系に添加してもよいし、増幅反応の途中で、前記反応系に添加してもよいし、前記(A)工程の増幅反応に先立って、予め、前記反応系に添加してもよい。中でも、例えば、容易且つ迅速に解析を行えることから、予め、前記反応系に添加することが好ましい。すなわち、前記(A)工程は、例えば、前記検出用プローブの存在下、前記反応系において、前記rRNA遺伝子の増幅を行うことが好ましい。また、増幅反応前に前記検出用プローブを添加する場合、前述のように、その3’末端に、蛍光物質を付加したり、リン酸基を付加することが好ましい。
前記反応系における前記検出用プローブの添加割合は、特に制限されない。具体例としては、前記反応系に、例えば、前記検出用プローブを10〜1000nmol/Lの範囲となるように添加することが好ましく、より好ましくは20〜500nmol/Lである。また、例えば、十分なシグナル値を確保できることから、前記反応系において、前記被検核酸に対する前記検出用プローブのモル比は、例えば、1倍以下が好ましく、より好ましくは、0.1倍以下である。
また、前記検出用プローブが標識プローブであり、標識物質として蛍光物質を用いている場合、例えば、検出する蛍光強度を調整するために、標識プローブと同じ配列である非標識プローブを併用してもよい。また、前記非標識プローブは、その3’末端にリン酸が付加されてもよい。この場合、標識プローブと非標識プローブとのモル比は、例えば、1:10〜10:1が好ましい。
本発明の検出方法は、前述のような、いわゆるTm解析に利用できる。ここで、Tm解析におけるTm値について説明する。例えば、二本鎖DNAを含む溶液を加熱していくと、260nmにおける吸光度が上昇する。これは、二本鎖DNAにおける両鎖間の水素結合が加熱によってほどけ、一本鎖DNAに解離(DNAの融解)することが原因である。そして、全ての二本鎖DNAが解離して一本鎖DNAになると、その吸光度は加熱開始時の吸光度(二本鎖DNAのみの吸光度)の約1.5倍程度を示し、これによって融解が完了したと判断できる。この現象に基づき、融解温度Tmとは、一般に、吸光度が、吸光度全上昇分の50%に達した時の温度と定義される。
前記(B)工程において、前記増幅産物と前記検出用プローブとのハイブリッド形成体の融解状態を示すシグナルの測定は、前述した、260nmにおける吸光度測定でもよいが、標識物質のシグナル測定であってもよい。具体的には、前記検出用プローブとして、前述したように、標識物質で標識化された標識プローブを使用し、前記標識物質のシグナル測定を行うことが好ましい。前記標識プローブとしては、例えば、単独でシグナルを示し、且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識プローブ、または、単独でシグナルを示さず、且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識プローブがあげられる。前者のようなプローブであれば、前記増幅産物とハイブリッド(二本鎖DNA)を形成している際にはシグナルを示さず、加熱により前記増幅産物から前記プローブが解離するとシグナルを示す。また、後者のプローブであれば、前記増幅産物とハイブリッド(二本鎖DNA)を形成することによってシグナルを示し、加熱により前記増幅産物から前記プローブが遊離するとシグナルが減少(消失)する。したがって、前記標識物質のシグナルを検出することによって、前記260nmにおける吸光度測定と同様に、ハイブリッド形成体の融解の進行ならびにTm値の決定等を行うことができる。前記標識物質のシグナル検出は、例えば、前記標識物質のシグナルに特有の条件で検出すればよく、前記条件としては、例えば、励起波長、検出波長等があげられる。なお、前記標識プローブならびに前記標識物質については、前述のとおりである。
つぎに、本発明の検出方法について、一例をあげて説明する。本例は、前記プライマー試薬として、一対のフォワードプライマーおよびリバースプライマーを使用し、前記検出用プローブとして、標識プローブを使用し、胃液試料由来の被検核酸を使用し、核酸増幅法としてPCR法を採用し、ピロリ菌の前記rRNA遺伝子の変異の検出する例である。なお、本例は、あくまでも一例であり、本発明は本例には制限されない。
まず、反応系として、PCR反応液を調製する。前記PCR反応液は、例えば、前記被検核酸および本発明のプライマー試薬を含み、さらに、PCRに必要な成分を適宜含んでもよい。また、後述するように、前記PCR反応液は、増幅反応に先立って、さらに、前記検出用プローブを含んでもよい。
前記反応液において、本発明のプライマー試薬の添加割合は、特に制限されない。前述のように、フォワードプライマーおよびリバースプライマーの添加割合は、それぞれ、例えば、0.1〜2μmol/Lであり、好ましくは、0.25〜1.5μmol/Lであり、特に好ましくは、0.5〜1μmol/Lである。また、前記フォワードプライマー(F)とリバースプライマー(R)との添加割合(モル比F:R)は、特に制限されないが、例えば、1:0.25〜1:4が好ましく、より好ましくは、1:0.5〜1:2である。前記反応液における被検核酸の添加割合は、特に制限されず、前述と同様である。
前記反応液における他の成分は、特に制限されず、従来公知の成分があげられ、その割合も特に制限されない。前記成分としては、例えば、DNAポリメラーゼ、ヌクレオチド(ヌクレオシド三リン酸)、溶媒等があげられる。なお、前記反応液の調製において、各成分の添加順序は何ら制限されない。
前記DNAポリメラーゼとしては、特に制限されず、例えば、従来公知の耐熱性細菌由来のポリメラーゼが使用できる。具体例としては、テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)由来DNAポリメラーゼ(米国特許第4,889,818号および同第5,079,352号)(商品名Taqポリメラーゼ)、テルムス・テルモフィラス(Thermus thermophilus)由来DNAポリメラーゼ(WO 91/09950)(rTth DNA polymerase)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来DNAポリメラーゼ(WO 92/9689)(Pfu DNA polymerase:Stratagenes社製)、テルモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)由来ポリメラーゼ(EP−A 455 430(商標Vent):New England Biolabs社製)等が商業的に入手可能であり、中でも、テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)由来の耐熱性ポリメラーゼが好ましい。
前記反応液におけるDNAポリメラーゼの添加割合は、特に制限されないが、例えば、1〜100U/mLであり、好ましくは、5〜50U/mLであり、より好ましくは、20〜30U/mLである。なお、DNAポリメラーゼの活性単位(U)は、一般に、活性化サケ精子DNAを鋳型プライマーとして、活性測定用反応液中、74℃で、30分間に10nmolの全ヌクレオチドを酸不溶性沈殿物に取り込む活性が1Uである。前記活性測定用反応液の組成は、例えば、25mmol/L TAPS buffer(pH9.3、25℃)、50mmol/L KCl、2mmol/L MgCl、1mmol/Lメルカプトエタノール、200μmol/L dATP、200μmol/L dGTP、200μmol/L dTTP、100μmol/L「α−32P」dCTP、0.25mg/mL活性化サケ精子DNAである。
前記ヌクレオシド三リン酸としては、通常、dNTP(dATP、dCTP、dGTP、および、dTTPまたはdUTP)があげられる。前記反応液中のdNTPの添加割合は、特に制限されないが、例えば、0.01〜1mmol/Lであり、好ましくは、0.05〜0.5mmol/Lであり、より好ましくは、0.1〜0.3mmol/Lである。
前記溶媒としては、例えば、Tris−HCl、Tricine、MES、MOPS、HEPES、CAPS等の緩衝液があげられ、市販のPCR用緩衝液や市販のPCRキットの緩衝液等が使用できる。
また、前記反応液は、さらに、ヘパリン、ベタイン、KCl、MgCl、MgSO、グリセロール等を含んでもよく、これらの添加割合は、例えば、PCR反応を阻害しない範囲で設定すればよい。
前記反応液の全体積は、特に制限されず、例えば、サーマルサイクラー等の使用する機器等に応じて適宜設定できるが、通常、1〜500μLであり、好ましくは10〜100μLである。
つぎに、PCRを行う。PCRのサイクル条件は特に制限されないが、例えば、(1)被検核酸である二本鎖DNAの一本鎖DNAへの解離、(2)前記一本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)ポリメラーゼ反応による前記プライマーの伸長は、それぞれ下記表1の条件が例示できる。また、サイクル数も特に制限されないが、下記(1)〜(3)の3ステップを1サイクルとして、例えば、30サイクル以上が好ましい。前記サイクル数の合計の上限は、特に制限されないが、例えば、100サイクル以下、好ましくは70サイクル以下、さらに好ましくは、50サイクル以下である。各ステップの温度変化は、例えば、サーマルサイクラー等を用いて自動的に制御すればよい。本発明のプライマー試薬として、一対のプライマーセットを使用した場合、前述のように、増幅効率に優れるため、従来の方法によれば、50サイクルに3時間程度を要していたのに対して、本発明によれば、約1時間程度(好ましくは1時間以内)で50サイクルを完了することも可能である。
Figure 2011062143
前記標識プローブは、前述のように、例えば、増幅反応の前、反応途中および反応後のいずれにおいて、前記反応液に添加してもよい。中でも、例えば、添加のために前記反応液を外部環境に露出する必要がなく、また、増幅反応とシグナル値の測定とを、連続的に行うことが可能であるため、増幅反応前に前記反応液に添加することが好ましい。この場合、前記標識プローブは、前述のように、その3’末端が標識物質またはリン酸基で修飾されていることが好ましい。
前記反応液における標識プローブの添加割合は、特に制限されないが、例えば、前記プローブを10〜1000nmol/Lの範囲となるように添加することが好ましく、より好ましくは20〜500nmol/Lである。また、例えば、十分なシグナル値を確保できることから、前記反応液において、前記被検核酸に対する前記標識プローブのモル比は、例えば、1倍以下が好ましく、より好ましくは、0.1倍以下である。前記被検核酸に対する前記標識プローブの添加割合は、例えば、二本鎖核酸に対するモル比でもよいし、一本鎖核酸に対するモル比でもよい。
次に、得られた増幅産物(二本鎖DNA)の解離、および、解離により得られた一本鎖DNAと前記標識プローブとのハイブリダイズを行う。これは、例えば、前記標識プローブの存在下、前記反応液の温度を変化させることで行える。この場合、前述のように、予め標識プローブを添加した反応液について、増幅反応を行った後、前記反応液を温度変化させることが好ましい。
前記解離工程における加熱温度は、二本鎖の前記増幅産物を一本鎖に解離できる温度であれば特に制限されないが、例えば、85〜95℃である。加熱時間も特に制限されないが、通常、1秒〜10分であり、好ましくは1秒〜5分である。
解離した一本鎖DNAと前記標識プローブとのハイブリダイズは、例えば、前記解離工程の後、前記解離工程における加熱温度を降下させることによって行うことができる。温度条件としては、例えば、40〜50℃である。
そして、前記反応液の温度を変化させ、前記増幅産物と前記標識プローブとのハイブリッド形成体の融解状態を示すシグナル値を測定する。具体的には、例えば、前記反応液(前記一本鎖DNAと前記標識プローブとのハイブリッド形成体)を加熱し、温度上昇に伴うシグナル値の変動を測定する。前述のように、グアニン消光プローブ、すなわち、末端のシトシン塩基が標識化されたプローブを使用した場合、一本鎖DNAとのハイブリダイズした状態では、蛍光が減少(または消光)し、解離した状態では、蛍光を発する。したがって、例えば、蛍光が減少(または消光)しているハイブリッド形成体を徐々に加熱し、温度上昇に伴う蛍光強度の増加を測定すればよい。
蛍光強度の変動を測定する際の温度範囲は、特に制限されないが、開始温度は、例えば、室温〜85℃であり、好ましくは、25〜70℃であり、終了温度は、例えば、40〜105℃である。また、温度の上昇速度は、特に制限されないが、例えば、0.1〜20℃/秒であり、好ましくは、0.3〜5℃/秒である。
次に、前記シグナル値の変動を解析してTm値を決定する。具体的には、得られた蛍光強度から、各温度における単位時間当たりの蛍光強度変化量(−d蛍光強度増加量/dt)を算出し、最も低い値を示す温度をTm値として決定できる。また、単位時間当たりの蛍光強度増加量(d蛍光強度増加量/t)の最も高い点をTm値として決定することもできる。なお、標識プローブとして、消光プローブではなく、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示すプローブを使用した場合には、反対に、蛍光強度の減少量を測定すればよい。
前記Tm値は、例えば、従来公知のMELTCALCソフトウエア(http://www.meltcalc.com/)等により算出でき、また、最近接塩基対法(Nearest Neighbor Method)によって決定することもできる。
そして、これらのTm値から、検出対象領域において、2141位、2142位および2143位の3カ所全てが野生型であるか、前記3カ所のいずれかにおいて変異を有するかを決定する。Tm解析において、完全に相補であるハイブリッド(マッチ)は、1塩基が異なるハイブリッド(ミスマッチ)よりも、解離を示すTm値が高くなるという結果が得られる。したがって、予め、前記標識プローブについて、完全に相補であるハイブリッドのTm値と、1塩基が異なるハイブリッドのTm値とを決定しておくことにより、検出対象領域の3カ所の塩基が、全て野生型であるか、変異型を含むかを決定できる。
また、本発明においては、前述のように、前記検出用プローブを含む反応系の温度を上昇させて(ハイブリッド形成体を加熱して)、温度上昇に伴うシグナル変動を測定する方法に代えて、例えば、ハイブリッド形成時におけるシグナル変動の測定を行ってもよい。すなわち、前記検出用プローブを含む反応系の温度を降下させてハイブリッド形成体を形成する際に、前記温度降下に伴うシグナル変動を測定してもよい。
具体例として、単独でシグナルを示し、且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識プローブ(例えば、グアニン消光プローブ)を使用した場合、一本鎖DNAと前記標識プローブとが解離している状態では蛍光を発しているが、温度の降下によりハイブリッドを形成すると、前記蛍光が減少(または消光)する。したがって、例えば、前記反応液の温度を徐々に降下させて、温度下降に伴う蛍光強度の減少を測定すればよい。他方、単独でシグナルを示さず、且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識プローブを使用した場合、前記一本鎖DNAと前記標識プローブとが解離している状態では蛍光を発していないが、温度の降下によりハイブリッドを形成すると、蛍光を発するようになる。したがって、例えば、前記反応液の温度を徐々に降下させて、温度下降に伴う蛍光強度の増加を測定すればよい。
また、本発明の変異検出方法においては、例えば、前記(A)工程において、コントロール用鋳型核酸の存在下、前記反応系において、前記23S rRNA遺伝子の増幅を行うことが好ましい。例えば、前記被検核酸について増幅反応を行っても、前記被検核酸が正常に増幅しないために、前記シグナル値の変動が確認されない場合ある。そこで、前記コントロール用鋳型核酸の存在下で増幅反応を行えば、前記コントロール用鋳型核酸の増幅産物と前記検出用プローブとのハイブリッド形成の有無から、前記試料中において前記被検核酸が正常に増幅されているか否かを確認することができる。以下、前記検出用プローブがハイブリダイズする、前記コントロール鋳型核酸の増幅産物を、前記コントロール鋳型核酸の標的核酸配列といい、前記検出用プローブがハイブリダイズする、前記rRNA遺伝子の増幅産物を、前記rRNA遺伝子の標的核酸配列という。
前記コントロール用鋳型核酸としては、例えば、下記条件を満たすことが好ましい。すなわち、前記コントロール鋳型核酸は、(1)前記本発明のプライマー試薬により増幅可能であり、(2)前記プライマー試薬により増幅される標的核酸配列に、前記本発明の検出用プローブがハイブリダイズ可能であり、(3)前記コントロール鋳型核酸の標的核酸配列と前記プローブとのTm値(Tm)が、前記rRNA遺伝子の標的核酸配列と前記プローブとのTm値(Tm)と異なる値となる、オリゴヌクレオチドであることが好ましい。
前記(1)および(2)の条件は、例えば、3’側に前記本発明のプライマーと相補的な配列を有し、且つ、前記配列よりも5’側に前記検出用プローブの全体または部分領域と相補的な配列を有する塩基配列を設計することで達成できる。「プライマーと相補的な配列」とは、例えば、前記プライマーがアニーリングして伸長が開始できればよく、例えば、相補性の程度は、特に制限されないが、例えば、50%以上であり、80%以上が好ましく、より好ましくは100%である。また、「プローブの全体または部分領域と相補的な配列」とは、例えば、プローブがハイブリダイズできればよく、相補性の程度は特に制限されず、後述するTm値との関係に応じて適宜設定できる。
前記(3)の条件は、例えば、前記コントロール用鋳型核酸の標的核酸配列における前記検出用プローブのハイブリダイズ領域と、前記rRNA遺伝子の標的核酸配列における前記検出用プローブのハイブリダイズ領域とを、異なる条件にすることで達成できる。具体的には、例えば、ハイブリダイズ領域の長さを変える方法、ハイブリダイズ領域の相同性を変える方法があげられる。なお、前記コントロール用鋳型核酸の標的核酸配列と、前記rRNA遺伝子の標的核酸配列とは、例えば、前記検出用プローブのハイブリダイズ領域の一部を除き、同じ配列であることが好ましい。
このように、Tm値(Tm)がTm値(Tm)と異なれば、同一反応系において、前記コントロール用鋳型核酸の増幅と、前記被検核酸の増幅とを同時に行っても、Tm解析において、両者のシグナルは、異なるTm値でピークを示すこととなる。このため、コントール用鋳型核酸のTmにおけるピークの有無で、正常な増幅の有無を確認し、且つ、Tmとは異なるTmでのピークによって、変異の有無を確認することが可能となる。
前記コントロール用鋳型核酸の一例を、配列番号9に示すが、これには制限されない。下記配列において、下線部のttcは、野生型rRNA遺伝子のセンス鎖における2141位(g)、2142位(a)および2143位(a)に対応する塩基を示す。
5’-tccacggggtctttccgtcttgccagctcatcctgcgggtaggaggaatt-3’(配列番号9)
<変異検出試薬>
本発明の検出試薬は、前記本発明の変異の検出方法に使用する検出試薬であって、前記本発明のプライマー試薬を含むことを特徴とする。本発明は、前述の本発明のプライマー試薬を使用することが特徴であって、その他の構成等は何ら制限されない。また、本発明の検出試薬は、本発明の検出方法にしたがって使用することができる。
本発明の検出試薬は、さらに、前記本発明の検出用プローブを含んでもよい。本発明の検出試薬は、さらに、核酸増幅に必要な試薬等を適宜含んでもよい。また、本発明の検出試薬は、例えば、構成成分のうち、2種類以上が混合して容器に収容されてもよいし、2種類以上の構成成分が、それぞれ別個に容器に収容されてもよい。後者の場合、本発明の検出試薬は、例えば、検出キットということもでき、さらに使用説明書等を含んでもよい。
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。
ピロリ菌の23S rRNA遺伝子の2141位、2142位および2143位の塩基における変異を、Tm解析により検出した。
まず、2141位、2142位および2143位の塩基に変異を有さない野生型rRNA遺伝子の部分配列を挿入した野生型プラスミド(以下、「wt」という)と、2143位の塩基AがGに変異した変異型rRNA遺伝子の部分配列を挿入した変異型プラスミド(以下、「mt1またはA2143G」という)、2142位の塩基AがGに変異した変異型rRNA遺伝子の部分配列を挿入した変異型プラスミド(以下、「mt2またはA2142G」という)、2141位の塩基GがAに変異した変異型rRNA遺伝子の部分配列を挿入した変異型プラスミド(以下、「mt3またはG2141A」という)、および、2142位の塩基AがCに変異した変異型rRNA遺伝子の部分配列を挿入した変異型プラスミド(以下、「mt4またはA2142C」という)を準備した。前記野生型プラスミドおよび変異型プラスミドを、試料プラスミドという。また、コントロール用鋳型核酸として配列番号9に示すオリゴヌクレオチドを挿入した、コントロールプラスミド(以下、「IC」という)を準備した。配列番号9のオリゴヌクレオチドは、rRNA遺伝子のアンチセンス鎖の部分配列に相当する。配列番号9に示すオリゴヌクレオチドにおいて、下線部のttcは、野生型センス鎖の2141位、2142位および2143位に対応する塩基を示す。
コントロール用鋳型核酸(配列番号9)
5’-tccacggggtctttccgtcttgccagctcatcctgcgggtaggaggaatt-3’
チューブ内に、前記試料プラスミドまたはコントロールプラスミドを含む下記表2のPCR反応液50μLを添加し、サーマルサイクラー(商品名Mastercycler ep gradient S、eppendorf社製)を用いてPCRを行った。PCRは、95℃で60秒処理した後、95℃で1秒および62℃で15秒を1サイクルとして50サイクル繰り返した。PCR終了後、前記チューブを95℃に加熱し、10重量%SDS溶液2.5μLを添加し、反応を停止させた。さらに、前記PCR反応液が入った前記チューブを、i−densy(商品名、アークレイ社製)に移し、95℃で1秒、40℃で60秒処理した後、温度を1℃/3秒の速度で上昇させて、40℃から95℃に加熱した。この加熱の間、40℃から80℃までの各温度における蛍光強度の変化を測定し、Tm解析を行った。蛍光強度の測定波長は、585〜700nmとした。
Figure 2011062143
前記表2における、F1プライマー(フォワードプライマー)、R1プライマー(リバースプライマー)、および、検出用プローブの配列を以下に示す。下記検出用プローブの配列において、下線部は、前記rRNA遺伝子における検出対象領域である。また、プローブにおける蛍光物質は、TAMRAとした。
F1プライマー(配列番号1)
5'-ttcagtgaaattgtagtggaggtgaaaattcctcctaccc-3'
R1プライマー(配列番号3)
5'-gtatctcaaggatgactccataagagccaaagccc-3'
検出用プローブ(配列番号7)
5’-ggcaagacggaaagacc-(蛍光物質)-3'
各反応液の検出結果を、図1に示す。図1は、温度上昇に伴う蛍光強度の変化を示すTm解析のグラフである。横軸は測定時の温度(℃)を示し、縦軸は蛍光強度の変化(以下、「蛍光変化量」ともいう)を示し、単位は、「d蛍光強度増加量/dt」とした。図1において、黒丸(●)はwt、黒四角(■)はIC、白丸(○)はmt1(A2143G)、白三角(△)はmt2(A2142G)であり、白四角(□)はmt3(G2141A)、白菱形(◇)はmt4(A2142C)の検出結果である。図1に示すように、mt1のピーク(Tm)は51℃であり、mt2のピーク(Tm)は51℃であり、mt3のピーク(Tm)は56℃であり、mt4のピーク(Tm)は56℃であり、wtのピーク(Tm)は61℃であり、ICのピーク(Tm)は67℃であった。このように、野生型プラスミドwtと、変異型プラスミドmt1およびmt2と、変異型プラスミドmt3およびmt4とが、異なるTm値を示したことから、これらを区別して検出可能であることがわかった。
本例では、前記野生型プラスミド(wt)または変異型プラスミド(mt1、mt2、mt3およびmt4)と、コントロールプラスミド(IC)との共存下で、Tm解析を行った。
チューブ内に、前記試料プラスミドおよびコントロールプラスミドを含む下記表3のPCR反応液50μLを添加し、実施例1と同じサーマルサイクラーを用いてPCRを行った。PCRは、95℃で60秒処理した後、95℃で1秒および65℃で15秒を1サイクルとして50サイクル繰り返した。PCR終了後、前記チューブを95℃に加熱し、10重量%SDS溶液2.5μLを添加し、反応を停止させた。さらに、前記PCR反応液が入った前記チューブを、i−densy(商品名、アークレイ社製)に移し、95℃で1秒、40℃で60秒処理した後、温度を1℃/3秒の速度で上昇させて、40℃から95℃に加熱した。この加熱の間、40℃から80℃までの各温度における蛍光強度の変化を測定し、Tm解析を行った。蛍光強度の測定波長は、585〜700nmとした。
Figure 2011062143
前記表3における、F1プライマー(フォワードプライマー)、R1プライマー(リバースプライマー)は、前記実施例1と同じものを使用した。また、検出用プローブの配列を以下に示す。下記検出用プローブの配列において、下線部は、前記rRNA遺伝子における検出対象領域である。また、プローブにおける蛍光物質は、TAMRAとした。
検出用プローブ(配列番号8)
5’-gagctggcaagacggaaagacc-(蛍光物質)-3'
各反応液の検出結果を、図2〜図7に示す。図2〜図7は、温度上昇に伴う蛍光強度の変化を示すTm解析のグラフである。横軸は測定時の温度(℃)を示し、縦軸は蛍光強度の変化(以下、「蛍光変化量」ともいう)を示し、単位は、「d蛍光強度増加量/dt」とした。図2はIC、図3はwtとICとの共存下(wt/IC)、図4はmt1とICとの共存下(mt1/IC)、図5はmt2とICとの共存下(mt2/IC)、図6はmt3とICとの共存下(mt3/IC)、図7はmt4とICとの共存下(mt4/IC)の結果である。図3〜図7において、ICの結果を示す図2と同じ温度67℃にピークが見られたことから、各PCR反応液において、正常に核酸増幅が起こっていることが確認できた。そして、前記図3〜図7において、全て、ICのTm値(67℃)とは異なる温度にピークが確認された。具体的には、図3は62℃、図4は54℃、図5は54℃、図6は58℃、図7は58℃にピークが見られた。この結果から、内部コントロールと併用することによって、正常な増幅を確認でき、且つ、野生型と変異型とを区別して検出できることがわかった。
以上のように、本発明のプライマー試薬によれば、ピロリ菌の23S rRNA遺伝子における2141位、2142位および2143位を含む目的領域を特異的に増幅できる。このため、前記本発明のプライマー試薬を用いた本発明の変異の検出方法によれば、より特異的に効率よく、前記各部位における変異の検出が可能となる。前述のように、これらの部位における変異は、ピロリ菌のクラリスロマイシン耐性との関連性が知られていることから、本発明は、医療分野において極めて有用である。

Claims (31)

  1. 遺伝子増幅法により、ヘリコバクター・ピロリの23S rRNA遺伝子を増幅するためのプライマー試薬であって、下記(F1)、(F2)、(R1)および(R2)からなる群から選択された少なくとも一つのオリゴヌクレオチドからなるプライマーを含むことを特徴とするプライマー試薬。
    (F1)配列番号1に示すオリゴヌクレオチド
    5’-ttcagtgaaattgtagtggaggtgaaaattcctcctaccc-3’
    (F2)配列番号2に示すオリゴヌクレオチド
    5’-gcgtaacgagatgggagctgtctcaacc-3’
    (R1)配列番号3に示すオリゴヌクレオチド
    5’-gtatctcaaggatgactccataagagccaaagccc-3’
    (R2)配列番号4に示すオリゴヌクレオチド
    5’-gtggtatctcaaggatgactccataagagccaaagc-3’
  2. 前記(F1)のオリゴヌクレオチドからなるフォワードプライマーと前記(R1)のオリゴヌクレオチドからなるリバースプライマーとのプライマーセットを含む、請求項1記載のプライマー試薬。
  3. ヘリコバクター・ピロリの23S rRNA遺伝子の変異を検出する方法であって、
    前記変異が、前記23S rRNA遺伝子の2141位、2142位および2143位の少なくともいずれかの部位における変異であり、
    下記(A)工程〜(C)工程を含むことを特徴とする変異の検出方法。
    (A)反応系において、被検核酸を鋳型として、請求項1または2記載のプライマー試薬を用いて、前記23S rRNA遺伝子を増幅させる工程
    (B)前記(A)工程で得られた増幅産物と変異の検出用プローブとを含む前記反応系の温度を変化させ、前記増幅産物と前記検出用プローブとのハイブリッド形成体の融解状態を示すシグナル値を測定する工程
    (C)温度変化に伴う前記シグナル値の変動から、前記いずれかの部位における変異の有無を決定する工程
  4. 前記(A)工程において、前記検出用プローブの存在下、前記反応系において、前記23S rRNA遺伝子の増幅を行う、請求項3記載の検出方法。
  5. 前記検出用プローブが、前記23S rRNA遺伝子における2141位、2142位および2143位を含む領域にハイブリダイズ可能なプローブである、請求項3または4記載の検出方法。
  6. 前記検出用プローブが、オリゴヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチドが、下記(i)および(ii)の少なくとも一方のオリゴヌクレオチドからなる、請求項3から5のいずれか一項に記載の検出方法。
    (i)ピロリ菌の23S rRNA遺伝子において、2141位、2142位および2143位の塩基を含む、10〜30塩基の長さのオリゴヌクレオチド
    (ii)前記(i)において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加されたオリゴヌクレオチド
  7. 前記(i)のオリゴヌクレオチドにおいて、前記2141位の塩基がグアニン、前記2142位の塩基がアデニン、前記2143位の塩基がアデニンである、請求項6記載の検出方法。
  8. 前記(i)のオリゴヌクレオチドが、配列番号5に示す塩基配列における、10〜30塩基の連続する塩基からなるオリゴヌクレオチドである、請求項6または7記載の検出方法。
    5’-cctacccgcggcaagacggaaagaccccgtggacc-3’ (配列番号5)
  9. 前記(i)のオリゴヌクレオチドが、配列番号6および7に示す少なくとも一方の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドである、請求項6から8のいずれか一項に記載の検出方法。
    5’-caagacggaaagacccc-3’ (配列番号6)
    5’-ggcaagacggaaagacc-3’ (配列番号7)
  10. 前記(ii)のオリゴヌクレオチドが、配列番号8に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドである、請求項6から9のいずれか一項に記載の検出方法。
    5’-gagctggcaagacggaaagacc-3’ (配列番号8)
  11. 前記検出用プローブが、標識物質を有する標識プローブである、請求項3から10のいずれか一項に記載の検出方法。
  12. 前記標識物質が、蛍光物質であり、前記(B)工程において、前記シグナル値として蛍光強度を測定する、請求項11記載の検出方法。
  13. 前記標識プローブが、単独でシグナルを示し且つハイブリッド形成によりシグナルを示さないプローブ、または、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示すプローブである、請求項11または12記載の検出方法。
  14. 前記標識プローブが、蛍光物質で標識化されたプローブであり、単独で蛍光を示し且つハイブリッド形成により蛍光が減少するプローブである、請求項13記載の検出方法。
  15. 前記オリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端が、前記標識物質により標識化され、
    前記標識化された末端の塩基が、シトシンまたはグアニンである、請求項11から14のいずれか一項に記載の検出方法。
  16. 前記検出用プローブが、Tm解析用のプローブである、請求項3から15のいずれか一項に記載の検出方法。
  17. 前記(A)工程において、コントロール用鋳型核酸の存在下、前記反応系において、前記23S rRNA遺伝子の増幅を行い、
    前記コントロール用鋳型核酸が、前記ヘリコバクター・ピロリの23S rRNA遺伝子の部分配列を含み、請求項1または2記載のプライマー試薬により増幅可能であり、且つ、前記検出用プローブがハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである、請求項3から16のいずれか一項に記載の検出方法。
  18. 前記被検核酸が、生体試料由来の核酸である、請求項3から17のいずれか一項に記載の検出方法。
  19. 前記生体試料が、胃液である、請求項18記載の検出方法。
  20. 請求項3から19のいずれか一項に記載のヘリコバクター・ピロリの23S rRNA遺伝子の変異を検出する方法に使用する検出用プローブであって、
    前記rRNA遺伝子における2141位、2142位および2143位を含む配列にハイブリダイズ可能であり、
    下記(i)および(ii)の少なくとも一方のオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする検出用プローブ。
    (i)ピロリ菌の23S rRNA遺伝子において、2141位、2142位および2143位の塩基を含む、10〜30塩基の長さのオリゴヌクレオチド
    (ii)前記(i)において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入または付加されたオリゴヌクレオチド
  21. 前記(i)のオリゴヌクレオチドにおいて、前記2141位の塩基がグアニン、前記2142位の塩基がアデニン、前記2143位の塩基がアデニンである、請求項20記載の検出用プローブ。
  22. 前記(i)のオリゴヌクレオチドが、配列番号5に示す塩基配列における、10〜30塩基の連続する塩基からなるオリゴヌクレオチドである、請求項20または21記載の検出用プローブ。
    5’-cctacccgcggcaagacggaaagaccccgtggacc-3’ (配列番号5)
  23. 前記(i)のオリゴヌクレオチドが、配列番号6および7に示す少なくとも一方の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドである、請求項20から22のいずれか一項に記載の検出用プローブ。
    5’-caagacggaaagacccc-3’ (配列番号6)
    5’-ggcaagacggaaagacc-3’ (配列番号7)
  24. 前記(ii)のオリゴヌクレオチドが、配列番号8に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドである、請求項20から23のいずれか一項に記載の検出用プローブ。
    5’-gagctggcaagacggaaagacc-3’ (配列番号8)
  25. 前記検出用プローブが、標識物質を有する標識プローブである、請求項20から24のいずれか一項に記載の検出用プローブ。
  26. 前記標識プローブが、単独でシグナルを示し且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識プローブ、または、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識プローブである、請求項25記載の検出用プローブ。
  27. 前記標識プローブが、蛍光物質で標識化されたプローブであり、単独で蛍光を示し且つハイブリッド形成により蛍光が減少するプローブである、請求項26記載の検出用プローブ。
  28. 前記オリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端が、前記標識物質により標識化され、
    前記標識化された末端の塩基が、シトシンまたはグアニンである、請求項25から27のいずれか一項に記載の検出用プローブ。
  29. 前記検出用プローブが、Tm解析用のプローブである、請求項20から28のいずれか一項に記載の検出用プローブ。
  30. 請求項3から19のいずれか一項に記載のヘリコバクター・ピロリの23S rRNA遺伝子の変異を検出する方法に使用する検出試薬であって、
    請求項1または2記載のプライマー試薬を含むことを特徴とする検出試薬。
  31. さらに、請求項20から29のいずれか一項に記載の検出用プローブを含む、請求項30記載の検出試薬。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113462794A (zh) * 2020-03-31 2021-10-01 东洋纺株式会社 用于检测肺炎支原体核酸及其有无耐药基因变异的试剂盒及检测方法

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