以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットまたは数字を付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
(1.一般的な媒体処理装置の構成)
図1および図2を参照しながら、一般的な媒体処理装置について説明する。図1は、払込部104が装着された一般的な媒体処理装置Xの内部構成の一例を示す概略図である。図1に示すように、一般的な媒体処理装置Xは、通帳挿入口109、インサータ部101、頁読取部・ATP部102および印字部103を備える。また、媒体処理装置Xには、払込部104が装着されている。払込部104は、払込書挿入口110、2つの払込書収納部105および2つの搬送路106を有する。
媒体処理装置Xの利用者によって通帳挿入口109に通帳が挿入されると、インサータ部101によって通帳が取り込まれ、頁読取部・ATP部102によって指定頁が開かれた状態となるまで通帳の頁めくりが行われ、印字部103によって指定頁に印字が行われる。印字がなされた通帳は、印字部103から頁読取部・ATP部102およびインサータ部101を経由して通帳挿入口109から媒体処理装置Xの外部に排出される。インサータ部101と印字部103との間の搬送方向は、双方向である(インサータ部101から印字部103への方向と印字部103からインサータ部101への方向との間で切り替えがなされ得る)。
一方、媒体処理装置Xの利用者によって払込書挿入口110に払込書が挿入されると、払込部104から印字部103に払込書が搬送され、印字部103によって払込書に印字が行われる。印字がなされた払込書は、2つの払込書収納部105の何れかに搬送される。払込書挿入口110から印字部103に至るまでの搬送路には、2つの払込書収納部105から印字部103に至るまでの搬送路が途中で合流している。この合流地点J1と払込書収納部105との間の搬送路106の搬送方向は、払込書の逆流防止のため、合流地点J1から払込書収納部105への一方向である。
ここで、払込部104は、媒体処理装置Xから取り外し可能に構成されており、媒体処理装置Xには、払込部104の代わりに通帳発行部107を装着することが可能である。図2は、払込書収納部105の代わりに通帳発行部107が装着された一般的な媒体処理装置Xの内部構成の一例を示す概略図である。図2を参照すると、媒体処理装置Xには、2つの払込書収納部105の代わりに2つの通帳発行部107が装着されている。通帳発行部107は、通帳収納部108を有する。
2つの通帳収納部108には、あらかじめ新規通帳が収納されている。そして、2つの通帳収納部108の何れかによって新規通帳が繰り出されると、新規通帳に対して印字部103によって印字が行われる。印字がなされた新規通帳は、印字部103から頁読取部・ATP部102およびインサータ部101を経由して通帳挿入口109から媒体処理装置Xの外部に排出される。2つの通帳収納部108と印字部103との間の搬送方向は、2つの通帳収納部108から印字部103への一方向である。
以上、一般的な媒体処理装置Xについて説明した。上記したように、一般的な媒体処理装置Xを用いた場合には、払込書の処理時に通帳収納部108(通帳発行部107)を媒体処理装置Xから取り外して払込書収納部105(払込部104)を媒体処理装置Xに装着し、新規通帳の発行時に払込書収納部105を媒体処理装置Xから取り外して通帳収納部108を媒体処理装置Xに装着しなくてはならない。そのため、払込書収納部105および通帳収納部108の着脱の手間が掛かってしまう。
そこで、本明細書においては、払込書収納部105および通帳収納部108の着脱の手間を低減することが可能な技術について主に説明する。具体的には、払込書収納部105と通帳収納部108との両方を備える媒体処理装置について説明する。また、かかる媒体処理装置によれば、払込書収納部105が装着されているときにも新規通帳を発行し得るため、運用の停止を妨げ得る。また、かかる媒体処理装置によれば、通帳収納部108が装着されているときにも払込書の処理を行い得るため、運用の縮小を妨げ得る。
(2.第1の実施形態)
(2−1.媒体処理装置の構成)
(2−1−1.通帳ユニットの構成)
続いて、本発明の第1の実施形態について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る媒体処理装置Y1の内部構成の一例を示す概略図である。図3に示すように、本発明の第1の実施形態に係る媒体処理装置Y1は、通帳ユニット1、払込ユニット18および制御部60を備える。図3に示した例では、制御部60は、通帳ユニット1の内部に存在しているが、制御部60が存在する位置は特に限定されない。
図3に示したように、通帳ユニット1は、印字機構10および通帳取込機構2を有する。また、通帳取込機構2は、通帳挿入口3、シャッタ4、幅寄せ部5、磁気データ読取書込部6、3対の搬送ローラ7、搬送路8および搬送モータ9を有する。さらに、印字機構10は、通帳保管収納部16、印字部13、6対の搬送ローラ14、切替ブレード27a、27b、頁めくり部11および印字読取部12を有する。
通帳挿入口3は、利用者から媒体の挿入を受け付ける。通帳挿入口3には、図示しないセンサが備え付けられていてよい。そして、通帳挿入口3に挿入される媒体の横幅が、そのセンサによって検知されてよい。センサによって検知された横幅は、制御部60による媒体の種類の判定に用いられてよい。さらに、通帳挿入口3からは媒体が排出されてもよい。本明細書においては、通帳挿入口3から媒体が排出される例を説明するが、媒体の排出は、通帳挿入口3とは異なる場所からなされてもよい。
シャッタ4は、図示しないモータにより開閉される。例えば、シャッタ4は、通帳挿入口3に挿入された媒体の横幅として通帳の横幅が検知された場合に開かれてよい。また、例えば、シャッタ4は、通帳挿入口3から通帳が排出されるときに開かれてよい。一方、シャッタ4は、媒体処理装置Y1が待機状態である場合や、媒体処理装置Y1が処理中である場合には、閉められていてよい。
幅寄せ部5は、図示しないモータの駆動により通帳を基準面に寄せることによって、通帳を安定して整列させる。磁気データ読取書込部6は、通帳に記録されている磁気データを読み取る。磁気データ読取書込部6によって読み取られた磁気データは、登録データとの間において制御部60によって照合される。照合が失敗した場合には、通帳挿入口3から通帳が排出されてよい。一方、照合が成功した場合には、磁気データと一致した登録データに関連するデータが更新対象とされてよい。
搬送路8の上面においては、通帳が挿入方向または排出方向に搬送される。3対の搬送ローラ7それぞれは、対向する2つのローラにより構成されており、搬送モータ9の駆動によって回転することによって通帳を挟んで搬送路8の上面において挿入方向または排出方向に通帳を搬送させる。印字部13は、印字ヘッド13aを用いて通帳に印字を行う。また、印字部13は、払込ユニット18から搬送された払込書に印字ヘッド13aを用いて印字を行うことも可能である。頁めくり部11は、指定頁が開かれた状態となるまで通帳の頁めくりを行う。
印字読取部12は、媒体(通帳および払込書)から印字を読み取る。例えば、印字読取部12によって読み取られた印字の濃度は、制御部60によって判定されてもよい。印字の濃度が所定の濃度より薄い場合には、その旨を出力させてもよい。また、印字読取部12による読み取り結果に基づいて、制御部60によって媒体(通帳および払込書)に印字があるか否かが判定されてもよい。印字がない場合には、媒体処理装置Y1が停止状態になってもよい。例えば、印字読取部12は、通帳から印字を読み取る場合には、通帳の頁に記されている頁マークを読み取ってよい。
搬送路15の上面においては、媒体(通帳および払込書)が搬送される。6対の搬送ローラ14それぞれは、対向する2つのローラにより構成されており、搬送モータ17の駆動によって回転することによって通帳を挟んで搬送路15の上面において媒体(通帳および払込書)を双方向に搬送させることが可能である。印字部13に搬送された媒体(通帳および払込書)は、図示しない位置検知センサを用いて所定の印字開始位置において停止されてよい。
所定の印字開始位置において媒体(通帳および払込書)が停止されると、印字部13は、図示しないモータによって印字ヘッド13aを搬送方向に対して垂直方向に移動させてよい。印字部13は、このように印字ヘッド13aを移動させることによって、媒体(通帳および払込書)に印字を行うことが可能である。通帳保管収納部16は、利用者によって通帳が取り忘れられた場合に、通帳を収納してよい。
切替ブレード27aは、図示しないモータにより開閉可能に構成されている。そして、切替ブレード27aの開閉に応じて媒体の搬送方向が切り替わる。例えば、切替ブレード27aの開閉に応じて、印字部13および通帳保管収納部16の間と印字部13および媒体処理装置Y1の外部の間とで媒体の搬送方向が切り替わる。かかる搬送方向の切り替えは、制御部60によって制御され得る。
切替ブレード27bは、図示しないモータにより開閉可能に構成されている。そして、切替ブレード27bの開閉に応じて媒体の搬送方向が切り替わる。例えば、切替ブレード27bの開閉に応じて、印字部13および払込ユニット18の間と印字部13および通帳取込機構2の間とで媒体の搬送方向が切り替わる。かかる搬送方向の切り替えは、制御部60によって制御され得る。
(2−1−2.払込ユニットの構成)
図3に示したように、払込ユニット18は、払込書挿入口19、シャッタ20、3対の搬送ローラ25、払込書読取部22、搬送路26、切替ブレード27c、27d、2対の搬送ローラ28、2対の搬送ローラ29、搬送ローラ33、払込書収納部23および通帳収納部24を有する。
払込書挿入口19は、利用者から媒体の挿入を受け付ける。払込書挿入口19には、図示しないセンサが備え付けられていてよい。そして、払込書挿入口19に挿入される媒体の横幅が、そのセンサによって検知されてよい。センサによって検知された横幅は、制御部60による媒体の種類の判定に用いられてよい。さらに、払込書挿入口19からは媒体が排出されてもよい。本明細書においては、払込書挿入口19から媒体が排出される例を説明するが、媒体の排出は、払込書挿入口19とは異なる場所からなされてもよい。
シャッタ20は、図示しないモータにより開閉される。例えば、シャッタ20は、払込書挿入口19に挿入された媒体の横幅として払込書の横幅が検知された場合に開かれてよい。また、例えば、シャッタ20は、払込書挿入口19から払込書が排出されるときに開かれてよい。一方、シャッタ20は、媒体処理装置Y1が待機状態である場合や、媒体処理装置Y1が処理中である場合には、閉められていてよい。
払込書読取部22は、払込書の記載データ(例えば、文字、絵など)を読み取る。払込書読取部22によって読み取られたデータは、登録データとの間において制御部60によって照合される。照合が失敗した場合には、払込書挿入口19から払込書が排出されてよい。一方、照合が成功した場合には、払込書の記載データと一致した登録データに関連するデータが更新対象とされてよい。
搬送路26の上面においては、払込書が挿入方向または排出方向に搬送される。3対の搬送ローラ25それぞれは、対向する2つのローラにより構成されており、搬送モータ21の駆動によって回転することによって払込書を挟んで搬送路26の上面において挿入方向または排出方向に払込書を搬送させる。
払込書挿入口19から印字部13に至るまでの搬送路には、払込書収納部23から印字部13に至るまでの搬送路が途中で合流している。本発明の第1の実施形態においては、この合流地点J2と払込書収納部23との間の搬送路の搬送方向が、双方向である(制御部60は、合流地点J2と払込書収納部23との間の搬送方向を、合流地点J2から払込書収納部23への方向と払込書収納部23から合流地点J2への方向との間で切り替え可能である)。
同様に、払込書挿入口19から印字部13に至るまでの搬送路には、通帳収納部24から印字部13に至るまでの搬送路が途中で合流している。本発明の第1の実施形態においては、この合流地点J2と通帳収納部24との間の搬送路の搬送方向が、双方向である(制御部60は、合流地点J2と通帳収納部24との間の搬送方向を、合流地点J2から通帳収納部24への方向と通帳収納部24から合流地点J2への方向との間で切り替え可能である)。
2対の搬送ローラ28それぞれは、対向する2つのローラにより構成されており、搬送モータ17の駆動によって回転することによって払込書を挟んで払込書収納部23への収納方向または払込書収納部23からの繰り出し方向に払込書を搬送させる。払込書収納部23は、収納方向に搬送された払込書を収納する。
通帳収納部24は、あらかじめ新規通帳を収納している。そして、通帳収納部24は、あらかじめ収納している新規通帳を搬送路に繰り出すことが可能である。2対の搬送ローラ29それぞれは、対向する2つのローラにより構成されており、搬送モータ17の駆動によって回転することによって通帳を挟んで通帳収納部24への収納方向または通帳収納部24からの繰り出し方向に通帳を搬送させる。
切替ブレード27cは、図示しないモータにより開閉可能に構成されている。そして、切替ブレード27cの開閉に応じて媒体の搬送経路が切り替わる。例えば、切替ブレード27cの開閉に応じて、印字部13および通帳収納部24を通過する経路と印字部13および払込書読取部22を通過する経路とで媒体の搬送経路が切り替わる。かかる搬送経路の切り替えは、制御部60によって制御され得る。
切替ブレード27dは、図示しないモータにより開閉可能に構成されている。そして、切替ブレード27dの開閉に応じて媒体の搬送経路が切り替わる。例えば、切替ブレード27dの開閉に応じて、印字部13および払込書収納部23を通過する経路と印字部13および払込書読取部22を通過する経路とで媒体の搬送経路が切り替わる。かかる搬送経路の切り替えは、制御部60によって制御され得る。
搬送ローラ33は、2つの合流地点J2の間に設けられている。搬送ローラ33は、対向する2つのローラにより構成されており、搬送モータ21の駆動によって回転することによって媒体(通帳および払込書)を挟んで媒体(通帳および払込書)を双方向に搬送させることが可能である。
制御部60は、硬貨処理装置Y1の動作全体を制御する。より具体的には、制御部60は、通帳および払込書が挿入されたときに、硬貨処理装置Y1の各構成要素の動作を制御する。例えば、硬貨処理装置Y1は、硬貨処理装置Y1の動作全体を制御するためのプログラムや各種のデータを記憶する図示しない記憶部を備えており、制御部60は、当該記憶部によって記憶されたプログラムが読み出されて実行されることによって実現され得る。
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態に係る硬貨処理装置Y1は、印字済みの払込書を収納する払込書収納部23と新規通帳が収納されている通帳収納部24との双方を備えている。かかる構成によれば、印字済みの払込書を収納する払込書収納部23および新規通帳を収納する通帳収納部24の着脱の手間を低減することが可能となる。また、かかる構成によれば、新規通帳の発行と払込書の処理との双方を行うことが可能であるため、運用の停止および縮小を妨げ得る。
(2−2.媒体処理装置の動作)
次に、本発明の第1の実施形態に係る媒体処理装置Y1の動作例について説明する。なお、以下に説明する動作例は、媒体処理装置Y1の一例に過ぎないため、媒体処理装置Y1の動作は、以下に説明する動作例に限定されない。まず、払込書および通帳の挿入から払込書への印字までの媒体処理装置Y1の動作の一例について説明する。図4は、払込書および発行済みの通帳の挿入から払込書への印字までの媒体処理装置Y1の動作の一例を説明するための概略図である。
まず、利用者が発行済みの通帳30を通帳挿入口3に挿入する。図示しないセンサによって検知された横幅が通帳の横幅であると制御部60によって判定されると、シャッタ4が開かれ、幅寄せ部5によって発行済みの通帳30が基準面に寄せられ、搬送ローラ7により搬送路8の上面を発行済みの通帳30が搬送される。そして、発行済みの通帳30に記録されている磁気データが磁気データ読取書込部6によって読み取られる。磁気データ読取書込部6によって読み取られた磁気データは、登録データとの間で制御部60によって照合される。
照合が成功すると、磁気データと一致した登録データに関連するデータが更新対象とされ、発行済みの通帳30は通帳取込機構2に保持され、媒体処理装置Y1は払込書31の挿入待ちの状態となる。なお、利用者によってメニュー画面で「払込み」が選択された場合に、媒体処理装置Y1が払込書31の挿入待ちの状態となってもよい。また、ここでは、発行済みの通帳30が払込書31よりも先に挿入される例を説明するが、発行済みの通帳30および払込書31の挿入順序は特に限定されない。
続いて、利用者が払込書31を払込書挿入口19に挿入する。図示しないセンサによって検知された横幅が払込書の横幅であると制御部60によって判定されると、シャッタ20が開かれ、搬送ローラ25により搬送路26の上面を払込書31が搬送される。そして、払込書31の記載データ(例えば、文字、絵など)が払込書読取部22によって読み取られる。払込書読取部22によって読み取られた記載データは、登録データとの間で制御部60によって照合される。
照合が成功すると、記載データと一致した登録データに関連するデータが更新対象とされる。更新対象にされたデータは、所定のホストコンピュータによって更新される。具体的には、利用者によって払込金額が入力されると、所定のホストコンピュータによって、磁気データと一致した口座の残高から払込金額が差し引かれ、記載データと一致した口座の残高に払込金額が加算される。
そして、制御部60は、図示しないモータの駆動により、切替ブレード27bにおける搬送経路を、印字部13および払込ユニット18を通過する経路に切り替える。払込書31は、搬送ローラ25および搬送ローラ33により搬送路26の上面を搬送される。印字部13に搬送された払込書31は、図示しない位置検知センサを用いて所定の印字開始位置において停止される。所定の印字開始位置において払込書31が停止されると、印字部13は、印字ヘッド13aを用いて払込書31に取引内容を印字する。取引内容は、取引日時を含んでもよいし、取引店舗名を含んでもよい。
図5は、払込書31の印字から払込書31および発行済みの通帳30の一時退避までの媒体処理装置Y1の動作の一例を説明するための概略図である。印字部13による払込書31への印字が完了すると、切替ブレード27bにおける搬送経路を、印字部13および通帳取込機構2を通過する経路に切り替えられる。そして、払込書31は、搬送ローラ14によって印字読取部12に搬送され、印字読取部12によって印字が読み取られる。
印字読取部12による読み取り結果に基づいて、制御部60によって払込書31に印字があると判定されると、払込書31は、搬送ローラ14によって切替ブレード27bよりも印字部13側に搬送される。そして、切替ブレード27bにおける搬送経路が、印字部13および払込ユニット18を通過する経路に切り替えられる。そして、制御部60は、払込書31を所定の第一の位置に一時退避させる。
ここで、所定の第一の位置は特に限定されないが、通帳収納部24からの新規通帳の繰り出しを妨げないようにするため、通帳収納部24から印字部13までの搬送路上の位置とは異なる位置であるとよい。また、通帳挿入口3から挿入された発行済みの通帳30の印字部13への搬送を妨げないようにするため、所定の第一の位置は、印字部13から通帳挿入口3までの搬送路上の位置とは異なる位置であるとよい。図5には、制御部60は、払込書31を払込書読取部22に一時退避させる例が示されている。
続いて、制御部60は、図示しないモータの駆動により、切替ブレード27bにおける搬送経路を、印字部13および通帳取込機構2を通過する経路に切り替える。発行済みの通帳30は、印字部13に搬送され、図示しない位置検知センサを用いて所定の印字開始位置において停止される。所定の印字開始位置において発行済みの通帳30が停止されると、印字部13は、印字ヘッド13aを用いて発行済みの通帳30に取引内容を印字する。
印字部13による発行済みの通帳30への印字が完了すると、発行済みの通帳30は、搬送ローラ14によって印字読取部12に搬送され、印字読取部12によって印字が読み取られる。制御部60は、印字読取部12による読み取り結果に基づいて、発行済みの通帳30に印字があると判定すると、頁マークの読み取り結果に基づいて、発行済みの通帳30に印字し切れたか否かを判定する。
ここでは、制御部60が、発行済みの通帳30に印字し切れないと判定した場合を説明する。かかる場合、発行済みの通帳30は、搬送ローラ14によって切替ブレード27bよりも印字部13側に搬送される。そして、切替ブレード27bにおける搬送経路が、印字部13および払込ユニット18を通過する経路に切り替えられる。そして、制御部60は、発行済みの通帳30を所定の第二の位置に一時退避させる。
ここで、所定の第二の位置は特に限定されないが、通帳収納部24からの新規通帳の繰り出しを妨げないようにするため、通帳収納部24から印字部13までの搬送路上の位置とは異なる位置であるとよい。また、新規通帳の印字部13から通帳挿入口3への搬送を妨げないようにするため、所定の第二の位置は、印字部13から通帳挿入口3までの搬送路上の位置とは異なる位置であるとよい。図5には、制御部60は、発行済みの通帳30を搬送ローラ33の位置に一時退避させる例が示されている。
図6は、払込書31および発行済みの通帳30の一時退避から発行済みの通帳30の排出までの媒体処理装置Y1の動作の一例を説明するための概略図である。まず、制御部60は、図示しないモータの駆動により、切替ブレード27cにおける搬送経路を、印字部13および通帳収納部24を通過する経路に切り替える。そして、制御部60は、通帳収納部24に収納されている新規通帳34を繰り出させる。
ここで、図7を参照しながら、通帳収納部24から新規通帳34が繰り出される様子について説明する。図7は、通帳収納部24から新規通帳34が繰り出される様子を示す図である。図7に示すように、通帳押し板40には、新規通帳群34Sが集積されている。新規通帳群34Sは、スプリング38から通帳押し板40に与えられる力によって繰り出しローラ37に押し付けられた状態が保たれている。
分離モータ41の駆動により繰り出しローラ37が回転されることによって、繰り出しローラ37に接触している新規通帳34が新規通帳群34Sから分離される。また、搬送ローラ29も回転する。しかし、繰り出しローラ37の回転は、固定パルス分なされてから停止する一方、搬送ローラ29は、固定パルス分回転した後も停止しない。そのため、新規通帳群34Sから新規通帳34だけが繰り出され得る。
なお、制御部60は、繰り出しローラ37が所定パルス回転した後も、分離不良検知センサ35によって新規通帳34が検知されている場合には、新規通帳群34Sから新規通帳34の分離が失敗したと判定し、搬送ローラ29を停止させてもよい。また、制御部60は、媒体有無検知センサ36によって新規通帳群34Sが検知されない場合には、通帳収納部24に新規通帳群34Sが収納されていないと判定し、その旨を出力させてもよい。
分離板39は、繰り出しローラ37が回転しているときには、通帳収納部24における新規通帳34の出口の厚みを通帳厚以上にするように移動し、繰り出しローラ37が停止しているときには、通帳収納部24における新規通帳34の出口の厚みを通帳厚よりも小さくするように移動するとよい。そうすれば、新規通帳34の繰り出し時には、通帳収納部24から新規通帳34を繰り出すことが可能であり、それ以外のときには、通帳収納部24から新規通帳34が飛び出すことを防止することが可能である。
図6に戻って説明を続ける。通帳収納部24から繰り出された新規通帳34は、搬送ローラ29および搬送ローラ33により切替ブレード27cを経由し、印字部13に搬送される。印字部13に搬送された新規通帳34は、図示しない位置検知センサを用いて所定の印字開始位置において停止される。所定の印字開始位置において新規通帳34が停止されると、印字部13は、印字ヘッド13aを用いて新規通帳34に取引内容の続きを印字する。
印字部13による新規通帳34への印字が完了すると、切替ブレード27bにおける搬送経路が、印字部13および通帳取込機構2を通過する経路に切り替えられる。そして、新規通帳34は、搬送ローラ14によって印字読取部12に搬送され、印字読取部12によって印字が読み取られる。
印字読取部12による読み取り結果に基づいて、制御部60によって新規通帳34に印字があると判定されると、新規通帳34は、搬送ローラ14および搬送ローラ7によって磁気データ読取書込部6に搬送される。新規通帳34は、磁気データ読取書込部6によって磁気データが書き込まれると、搬送ローラ7によって通帳挿入口3に搬送され、新規通帳34が通帳挿入口3から排出される。利用者によって新規通帳34が取り出されると、切替ブレード27bにおける搬送経路が、印字部13および払込ユニット18を通過する経路に切り替えられる。
発行済みの通帳30は、搬送ローラ14によって切替ブレード27bよりも印字部13側に搬送される。そして、切替ブレード27bにおける搬送経路が、印字部13および通帳取込機構2の間となるように切り替えられる。そして、発行済みの通帳30は、搬送ローラ14および搬送ローラ7によって通帳挿入口3に搬送され、発行済みの通帳30が通帳挿入口3から排出される。利用者によって発行済みの通帳30が取り出されると、切替ブレード27bにおける搬送経路が、印字部13および払込ユニット18を通過する経路となるように切り替えられる。
図8は、発行済みの通帳30の排出から払込書31の収納までの媒体処理装置Y1の動作の一例を示す図である。図8に示すように、払込書読取部22に一時退避されていた払込書31は、搬送ローラ25により搬送ローラ33まで搬送され、搬送ローラ33の位置で停止する。払込書31が搬送ローラ33の位置で停止されると、図示しないモータの駆動により、切替ブレード27dにおける搬送経路が、印字部13および払込書収納部23を通過する経路となるように切り替えられる。
続いて、払込書31は、搬送ローラ33から搬送ローラ28に搬送され、搬送ローラ28により払込書収納部23に搬送される。払込書収納部23に搬送された払込書31は、払込書収納部23に収納される。ここで、図9を参照しながら、払込書31が払込書収納部23に収納される様子について説明する。図9は、払込書31が払込書収納部23に収納される様子を示す図である。
図9に示すように、搬送ローラ28によって搬送された払込書31は、搬送ローラ28および搬送ローラ42によって払込書収納部23における払込書31の入口に搬送される。そして、払込書31は、搬送ローラ42に付属する舌片43によって叩かれ、払込書収納部23に既に収納されている払込書群31Sの上に集積される。払込書31が払込書収納部23に入り切っていない場合には、残留検知センサ44によって払込書31が検知され、制御部60によって払込書31が払込書収納部23に入り切っていない旨が出力されてよい。払込書31が取り除かれれば、次の払込書31が払込書収納部23に搬送されてジャムが発生することが防止され得る。
また、図9に示すように、搬送ローラ28および搬送ローラ42は、双方向に回転し得るため、払込書31の逆流を防止するためのレバー45が設けられているとよい。レバー45は、払込書収納部23における払込書31の入口を塞ぐように設けられており、払込書収納部23の外側から押圧を受けると、払込書収納部23における払込書31の入口を開けるように回動し得る。一方、払込書収納部23の内側から押圧を受けても、回動しないように構成されている。
また、制御部60は、媒体有無検知センサ36によって払込書群31Sが検知されない場合には、払込書収納部23に払込書群31Sが収納されていないと判定し、その旨を出力させてもよい。また、払込書収納部23に収納された払込書群31Sの枚数が所定枚数に達すると、支軸46を中心に回動可能に構成された回動部材47aを払込書群31Sが押圧することによって回動部材47aが接触検知センサ47に接触する。制御部60は、接触検知センサ47への回動部材47aの接触が検知されると、払込書収納部23に収納されている払込書群31Sの枚数が収納限度枚数に達していると判定し、その旨を出力させてもよい。
(2−3.第1の実施形態の有効性)
本発明の第1の実施形態によれば、発行済みの通帳30が挿入される通帳挿入口3と、払込書31が挿入される払込書挿入口19と、発行済みの通帳30および払込書31に印字を行う印字部13と、印字部13によって印字された払込書31を収納する払込書収納部23と、新規通帳34が収納されている通帳収納部24と、を備える、媒体処理装置Y1が提供される。
かかる構成によれば。印字済みの払込書31を収納する払込書収納部23および新規通帳34を収納する通帳収納部24の着脱の手間を低減することが可能となる。また、かかる構成によれば、新規通帳34の発行と払込書31の処理との双方を行うことが可能であるため、運用の停止および縮小を妨げ得る。以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
(3.第2の実施形態)
(3−1.媒体処理装置の構成)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、本発明の第2の実施形態に係る媒体処理装置Y2が有する構成のうち、本発明の第1の実施形態に係る媒体処理装置Y1が有する構成と同一の構成には、媒体処理装置Y1が有する構成に付された符号と同一の符号を媒体処理装置Y2が有する構成に付し、媒体処理装置Y2が有する構成の説明を省略する。
本発明の第1の実施形態においては、払込書収納部23および通帳収納部24が別個に払込ユニット18に備え付けてある場合を主に想定して説明した。しかし、払込書収納部23および通帳収納部24が別個に払込ユニット18に備え付けてある場合には、払込書収納部23および通帳収納部24を容易に仕様変更することができない。そこで、本発明の第2の実施形態においては、払込書収納部23および通帳収納部24を容易に仕様変更することが可能な媒体処理装置Y2を主に説明する。仕様変更の例については、後に詳細に説明する。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る媒体処理装置Y2の内部構成の一例を示す概略図である。図10に示すように、本発明の第2の実施形態に係る媒体処理装置Y2は、払込書収納部23と通帳収納部24とが一体化されたカセット48−1を有する。かかる構成によれば、払込ユニット18からカセット48−1を着脱させることによって、払込ユニット18から払込書収納部23および通帳収納部24を容易に着脱することが可能となるため、払込書収納部23および通帳収納部24を容易に仕様変更することが可能となる。
図11は、媒体処理装置Y2が有するカセット48−1の内部構成の一例を示す正面図である。図11に示すように、カセット48−1の上段には、払込書収納部23、媒体有無検知センサ36、支軸46、接触検知センサ47および回動部材47aが組み込まれている。また、カセット48−1の上段には、搬送ローラ28によって搬送された払込書31をカセット48−1の内部に導くための搬送路49が形成されている。
また、図11に示すように、カセット48−1の下段には、通帳収納部24、媒体有無検知センサ36、繰り出しローラ37、スプリング38、分離板39および通帳押し板40が組み込まれている。また、カセット48−1の下段には、新規通帳34をカセット48−1の外部に存在する搬送ローラ29に導くための搬送路50が形成されている。さらに、図11に示すように、カセット48−1には、払込ユニット18に固定される2つの固定ポスト51が形成されていてよい。
図12は、媒体処理装置Y2が有するカセット48−1の内部構成の一例を示す側面図である。特に、図12には、媒体処理装置Y2を図10に示した方向xに見たときの側面図が示されている。図12に示すように、払込ユニット18の正面にはポスト52が形成されており、カセット48−1の背面に形成された開口部55にポスト52が嵌合することによって、カセット48−1の左右方向の移動が規制される。
また、図12に示すように、払込ユニット18の正面には、ストッパ56が形成されており、カセット48−1の背面がストッパ56に接触することによって、カセット48−1の奥側への移動が規制される。また、払込ユニット18には、支軸54を中心に回動可能に構成されたロックレバー53が形成されており、カセット48−1に形成されている固定ポスト51にロックレバー53が係合することによって、カセット48−1の手前側への移動が規制される。
上記したように、本発明の第2の実施形態によれば、カセット48−1が有する払込書収納部23および通帳収納部24を容易に仕様変更することが可能である。例えば、媒体処理装置Y2の管理者などが、払込ユニット18からカセット48−1を取り外し、カセット48−1の内部の構成を変更することによって、カセット48−1が有する払込書収納部23および通帳収納部24を容易に仕様変更することが可能である。
さらに、本発明の第2の実施形態においては、払込書収納部23と通帳収納部24とがカセット48−1の内部に一体化されていることにより、払込書収納部23および通帳収納部24を取り外しやすくなるといった操作性の向上も期待される。
図13は、第1の変形例に係るカセット48−2の内部構成の一例を示す図である。図13に示すように、第1の変形例に係るカセット48−2は、通帳収納部24を有していない分、第1の変形例に係るカセット48−2では、払込書収納部23のサイズを大きくすることが可能となっている。この例のように、本発明の第2の実施形態に係るカセット48−1は、カセット内部の払込書収納専用のカセット48−2に容易に仕様変更され得る。
図14は、第2の変形例に係るカセット48−3の内部構成の一例を示す図である。図14に示すように、第2の変形例に係るカセット48−3は、カセット48−3の上段に、通帳収納部24#が組み込まれ、カセット48−3の下段に、払込書収納部23#が組み込まれている。この例のように、本発明の第2の実施形態に係るカセット48−1は、払込書収納部23および通帳収納部24の位置を逆にしたカセット48−3に容易に仕様変更され得る。
ただし、払込書収納部23#の内部には、搬送ローラ57、搬送ローラ42および搬送ローラ42に付属する舌片43が設けられているのがよい。そうすれば、搬送ローラ57によって搬送された払込書31は、搬送ローラ42によって払込書収納部23#における払込書31の入口に搬送される。そして、払込書31は、搬送ローラ42に付属する舌片43によって叩かれ、払込書収納部23に既に収納されている払込書群31Sの上に集積される。
さらに、通帳収納部24#の内部には、搬送ローラ58が設けられているのがよい。そして、繰り出しローラ37が回転されることによって、繰り出しローラ37に接触している新規通帳が新規通帳群34Sから分離されるとともに、搬送ローラ58も回転する。繰り出しローラ37の回転は、固定パルス分なされてから停止する一方、搬送ローラ58は、固定パルス分回転した後も停止しない。そのため、繰り出しローラ37に接触している新規通帳だけが繰り出され得る。
図15は、第3の変形例に係るカセット48−4の内部構成の一例を示す図である。図15に示すように、第3の変形例に係るカセット48−4は、カセット48−4の上段および下段それぞれに、払込書収納部23#が組み込まれている。この例のように、本発明の第2の実施形態に係るカセット48−1は、上段および下段それぞれに払込書収納部23♯を組み込んだカセット48−4に容易に仕様変更され得る。カセット48−4の上段および下段には、異なる種類の払込書が収納されてもよい。
(3−2.第2の実施形態の有効性)
本発明の第2の実施形態によれば、払込書収納部23と通帳収納部24とが一体化されたカセット48−1を有する、媒体処理装置Y2が提供される。かかる構成によれば、媒体処理装置Y2の管理者などが、払込ユニット18からカセット48−1を取り外し、カセット48−1の内部の構成を変更することによって、カセット48−1が有する払込書収納部23および通帳収納部24を容易に仕様変更することが可能である。
さらに、本発明の第2の実施形態においては、払込書収納部23と通帳収納部24とがカセット48−1の内部に一体化されていることにより、払込書収納部23および通帳収納部24を取り外しやすくなるといった操作性の向上も期待される。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本発明の実施形態に係る媒体処理装置Y1および媒体処理装置Y2は、現金自動機などの自動取引装置に設けられ得る。自動取引装置は、金融機関の支店(例えば、ゆうちょ銀行や他の銀行など)、郵便局、店舗(例えば、コンビニエンスストアなど)に主に設置され得るが、本発明の実施形態に係る媒体処理装置Y1および媒体処理装置Y2が設置される位置は特に限定されない。また、本発明の実施形態において用いられた「払込書」は、ゆうちょ銀行の口座への払い込みに使用される場合を想定しているが、払込先の口座を開設している銀行は、ゆうちょ銀行に限られない。払込元の口座を開設している銀行も特に限定されない。
また、例えば、本発明の第1の実施形態において、払込書収納部23および通帳収納部24それぞれには、鍵穴が設けられていてもよい。そして、払込書収納部23および通帳収納部24それぞれは、鍵が鍵穴に差し込まれて解錠されてからでなければ開くことができない構成にされていてもよい。そうすれば、払込書収納部23に収納されている払込書および通帳収納部24に収納されている通帳が鍵の所有者以外の者によって持ち去られる可能性を低減することが可能となる。
同様に、本発明の第2の実施形態においては、カセット48−1には、鍵穴が設けられていてもよい。そして、カセット48−1は、鍵が鍵穴に差し込まれて解錠されてからでなければ開くことができない構成にされていてもよい。そうすれば、払込書収納部23に収納されている払込書および通帳収納部24に収納されている通帳が鍵の所有者以外の者によって持ち去られる可能性を低減することが可能となる。
また、例えば、媒体処理装置Y1および媒体処理装置Y2それぞれの動作全体を制御するための制御部60は、専用のハードウェアによって構成されてもよいし、媒体処理装置Y1および媒体処理装置Y2それぞれに内蔵されたCPUがROMに記憶されたプログラムをRAMに展開して実行することにより実現されてもよい。かかるプログラムが提供され得る他、かかるプログラムを記憶させた記憶媒体も提供され得る。