JP2016050236A - ゴムラテックス用防着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】硝酸カルシウム等を含有する凝固液に対する溶解性、安定性に優れ、また型への付着性が良好で、得られるゴムラテックス製品は、優れた防着性、外観、風合いを有し、滑り性が良好で、指への付着がないゴムラテックス用防着剤を提供する。
【解決手段】脂肪酸アミドと界面活性剤との混合物を主成分として含有し、界面活性剤が、ノニオン系ポリオキシアルキレンアルキルエーテル誘導体、およびHLB値が14以上であるノニオン系ポリオキシアルキレンソルビタン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であるゴムラテックス用防着剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪酸アミドと所定の界面活性剤との混合物を主成分として含有するゴムラテックス用防着剤に関する。
一般作業用手袋、検査用手袋、医療用手袋等の手袋類、事務用、あるいは工業用指サック類、コンドーム等の避妊具類、風船等のおもちゃ類、およびカテーテル等の医療用器具類等のゴムラテックス製品を構成するゴムは、粘着性(タック性)を有している。
この粘着性が原因で、製品製造時における離型性が劣り、その生産性が低下する傾向がある。また、製造後の製品保管時にゴムラテックス製品同士が互いに密着してしまうことから、ゴムラテックス製品の使用に際し、裂けや破断が発生することがあるため、取り扱いが難しいという問題がある。
このような問題を解決するために、例えば、手袋等の表面に、パウダー(微粉末)を付着させ(打粉し)、粘着性を低下させること(つまり、防着性を付与すること)が行われている。
しかし、打粉工程では、パウダーが飛散し、作業現場の大気を汚染することがあり、パウダーを使用することは作業環境上好ましくない。また、パウダーを付着させたゴムラテックス製品の表面からパウダーが容易に剥落したり、飛散したりするため、防着性効果の持続が難しい。さらに、パウダーが付着した手袋等を装着した状態で精密電子部品などの物に触ると、その物にパウダーが付着することがあるため、特に、医療分野、精密電子部品を扱う分野では、打粉したゴムラテックス製品(手袋等)の使用を控えるという問題がある。
そこで、手袋等のゴムラテックス製品の表面を塩素化処理して、その表面を劣化させ(表面に微小な凹凸を形成して)、防着性を付与ことも行われている。しかし、この処理は、手袋等を製造した後で行うものであることから、処理工程が増え、コストアップになる。また、塩素臭気による環境上の問題がある。しかも、表面を劣化させることから、手袋等の強度が低下し、さらに、変色等の問題もある。
さらに、手袋自体を構成するゴムとして非粘着性材料のものを用いることで防着性を付与したゴムラテックス製品を得ることが提案されている。この場合、ラテックスをゲル化するために用いられる凝固液に、非粘着性材料を添加し、ラテックスのゲル化を行うとともに、ゴムラテックス製品の外表面に微小な凹凸を形成することが行われることがある。これにより生産工程数を減らすことが行われている。
例えば、特許文献1には、柔軟なゴム手袋とその製造方法が開示されている。この特許文献1では、手袋の外表面を凝固剤、およびステアリン酸金属塩、200℃未満の溶融点を有する石油系ワックス、天然動物ワックス、または合成ワックスから選択される離型剤でコーティング処理している。これにより、パウダーを用いずに防着性を付与している。
また、特許文献2には、鉱物粉末(タルク)を用いない手術手袋が開示されている。この手術手袋は、ラテックス殻、およびこの殻の表面上に、脂肪化合物や、界面活性剤を含む凝固剤が担持されている。この凝固剤とともに使用する脂肪化合物としては、脂肪酸、脂肪酸塩、コレステロール、ポリオール、パラフィン油、鉱物油、シリコーン等が挙げられ、また、界面活性剤としては、ポリソルベート、ポリオキシエチレンソルビタン、ポリエチレンオキシ誘導体、シリコーングリコール等が挙げられている。
さらに、特許文献3には、膜強度と柔軟性のバランスを兼ね備えた手袋等が開示されている。この手袋等は、(A)アルキル(メタ)アクリレート系重合体、(B1)ブロックイソシアネート、および(B2)イソシアネートと反応する硬化剤を含む樹脂成分と、(C)可塑剤と、(D)希釈剤と、(E)離型剤とを、含有したものである。ここで、離型剤としては、脂肪酸アミドを使用している。
特開2012−52284号公報 米国特許第4310928号明細書 特開2004−83665号公報
特許文献1によれば、「引張強度が弱く、膜にピンホールを有する可能性が高い」というポリ塩化ビニル手袋の問題点を解決した手袋が得られ、また、特許文献2によれば、鉱物粉末(タルク)を用いない手術手袋が得られる。しかし、この特許文献1、2の手袋は、満足できる防着性、滑り性を有するものではない。さらに、ワックス(極性の低いもの)や脂肪酸を凝固剤と共に使用しているが、脂肪酸アミド(極性の比較的高いもの)は使用されていない。
また、特許文献3に記載の手袋は、アクリル樹脂を主原料とするプラスチゾル手袋等であり、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスを原料とする手袋等のような柔軟性、風合い、装着感を有するものではない。しかも可塑剤を含むことから、使用中に可塑剤が表面に溶出して粘着性を帯び、外観に劣るようになる。また、溶出した可塑剤が、手袋でさわった物に移行するという問題がある。さらに、脂肪酸アミドを使用して作製している手袋は、アクリル樹脂のプラスチゾルに限定されており、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックス等には使用されていない。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものである。本発明の課題は、防着性に優れたゴムラテックス製品の材料として用いることができるゴムラテックス用防着剤を提供することにある。具体的には、凝固液に対する溶解性、および安定性に優れ、最終的に得ようとするゴムラテックス製品の形状に対応する型への付着性、並びにゴムラテックス製品への塗布被膜の形成性(ゴムラテックス製品の表面に被膜を形成する性質)に優れる。そして、最終的に得られるゴムラテックス製品は、優れた防着性、風合い、美麗な外観を有し、また、良好な滑り性を有するゴムラテックス用防着剤を提供することを課題とする。
本発明者は、脂肪酸アミドと所定の界面活性剤との混合物を主成分として含むゴムラテックス用防着剤が、上記課題を解決し得ることを見出した。即ち、本発明によれば、以下のゴムラテックス用防着剤が提供される。
[1] 脂肪酸アミドと界面活性剤との混合物を主成分として含有し、前記界面活性剤が、ノニオン系ポリオキシアルキレンアルキルエーテル誘導体、およびHLB値が14以上であるノニオン系ポリオキシアルキレンソルビタン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種である、ゴムラテックス用防着剤。
[2] 前記脂肪酸アミドが、融点65〜80℃のものである、前記[1]に記載のゴムラテックス用防着剤。
[3] 前記脂肪酸アミドが、炭素原子数12〜27のものである、前記[1]または[2]に記載のゴムラテックス用防着剤。
[4] 前記脂肪酸アミドが、オレイン酸アミドである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のゴムラテックス用防着剤。
[5] 前記ノニオン系ポリオキシアルキレンアルキルエーテル誘導体が、ポリオキシエチレンステアリルエーテルおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルからなる群より選択される一種である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のゴムラテックス用防着剤。
[6] 前記HLB値が14以上であるノニオン系ポリオキシアルキレンソルビタン誘導体が、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートである、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のゴムラテックス用防着剤。
[7] 前記脂肪酸アミドと前記界面活性剤との含有割合の比が、質量比で0.1〜10である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のゴムラテックス用防着剤。
本発明のゴムラテックス用防着剤は、凝固液に添加、配合して使用する際に、凝固液に対して優れた溶解性を示し、容易に均一化することができる。また、長期間保管しても、脂肪酸アミドや界面活性剤の分離や沈殿がなく、良好な安定性を有する。
また、本発明のゴムラテックス用防着剤は、ゴムラテックス製品の製造に用いられる金型(型)への付着性が良好でありつつ、優れた防着性をゴムラテックス製品に付与することができる。
また、本発明のゴムラテックス用防着剤は、ゴムラテックス原料に直接、添加、配合してゴムラテックス製品を製造する際に、ゴムラテックス原料に対して容易に均一混合することができる。そのため、防着性にむらのない製品を得ることができる。
さらに、本発明のゴムラテックス用防着剤は、ゴムラテックス製品に対して塗布被膜を形成する際に、容易に均一かつ強固に塗布被膜を形成させることができる。
本発明のゴムラテックス用防着剤からなる塗布被膜を表面に有したり、本発明のゴムラテックス用防着剤を含有したりするゴムラテックス製品は、優れた防着性、風合い、美麗な外観を有し、滑りが良好である。例えば、本発明のゴムラテックス用防着剤からなる塗布被膜を表面に有したり、本発明のゴムラテックス用防着剤を含有したりするゴムラテックス手袋は、使用時に、従来のようにパウダー(防着剤)を付着させて防着性を発揮させる場合と比べて、防着剤が剥落して指や手のひらに付着したり、手袋でさわった物に移行(付着)することがない。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
[1]ゴムラテックス用防着剤:
本発明のゴムラテックス用防着剤は、脂肪酸アミドと界面活性剤との混合物を主成分として含有している。そして、界面活性剤は、ノニオン系ポリオキシアルキレンアルキルエーテル誘導体、およびHLB値が14以上であるノニオン系ポリオキシアルキレンソルビタン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種である。
ノニオン系ポリオキシアルキレンソルビタン誘導体は、HLB値が14未満であると、凝固液に添加した際に凝固液中で分離が生じてしまうため、ゴムラテックス製品に優れた防着性を付与することができない。
本発明のゴムラテックス用防着剤は、脂肪酸アミドと特定の界面活性剤とを含有することにより、優れた防着性が得られると同時に、ゴムラテックス製品の主成分であるゴムラテックスが有する風合いを損ない難い。また、本発明のゴムラテックス用防着剤は、ゴムラテックス製品に、良好な外観および滑り性を与えることができるものである。
本明細書において「主成分」とは、ゴムラテックス用防着剤の固形分の総量の50質量%以上であることを意味する。
[1−1]脂肪酸アミド:
本発明のゴムラテックス用防着剤において、主成分を構成する脂肪酸アミドとしては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;オレイルパルミチン酸アミド、ステアリルステアリン酸アミド、ステアリルオレイン酸アミド、ステアリルエルカ酸アミド等の脂肪酸アミドが脂肪酸で置換された置換アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスヘベン酸アミド、ヘキサメチレンビスヘベン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド等の不飽和脂肪酸ビスアミド類;キシリレンビスステアリン酸アミド、キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド等の芳香族系ビスアミド類、或いは脂肪酸エステルアミド類;等、を使用することができる。
上記した脂肪酸アミドの中でも、一般的な凝固液の溶剤として使用され、極性が高いメタノールへの溶解性が良好になるという観点から、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドが好ましい。これらの中でも、メタノールへの溶解性がより良好であるという点からオレイン酸アミドが好ましい。ゴムラテックス製品の凝固液には、通常、硝酸カルシウム、メタノール(溶剤)などが配合されている。
脂肪酸アミドは、融点が低いものが好ましく、具体的には、65〜80℃の範囲にあるものが好ましく、70〜75℃の範囲にあるものが特に好ましい。このような範囲とすることにより、極性が高いメタノールへの溶解が特に良好になって、ゴムラテックス製品の表面に塗膜を形成することが容易になる。つまり、ゴムラテックス製品の表面に、ゴムラテックス用防着剤からなる膜が良好に形成され、優れた防着性が得られる。しかしながら、脂肪酸アミドの中でも融点が低すぎるものは、常温で液状を呈し、ゴムラテックス製品の表面に塗膜を形成することが困難になるおそれがある。
また、脂肪酸アミドは、炭素原子数が、12〜27のものが好ましく、16〜25のものが特に好ましい。このような範囲とすることにより、極性が高くなるため、メタノールへの溶解性が良好になる。炭素原子数が小さすぎると、常温で液状を呈し、ゴムラテックス製品の表面に塗膜を形成することが困難になるおそれがある。
[1−2]界面活性剤:
本発明のゴムラテックス用防着剤において、主成分の混合物を構成するする界面活性剤は、ノニオン系ポリオキシアルキレンアルキルエーテル誘導体、およびHLB値が14以上であるノニオン系ポリオキシアルキレンソルビタン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種である。
本発明においては、ノニオン系ポリオキシアルキレンアルキルエーテル誘導体、およびHLB値が14以上であるノニオン系ポリオキシアルキレンソルビタン誘導体であることが必須であり、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれであっても、本発明の課題を達成することができない。脂肪酸アミドとアニオン系界面活性剤の混合物、脂肪酸アミドとカチオン系界面活性剤の混合物、または、脂肪酸アミドと両性界面活性剤との混合物を主成分として含有するものは、凝固液に対する溶解性、安定性に劣る。さらに、防着性、金型への付着性、外観、滑り性に劣る。
ノニオン系ポリオキシアルキレンソルビタン誘導体は、HLB値が14以上であり、15〜17であることが好ましい。HLB値が14以上であると、脂肪酸アミドに対して、高い親和性を示し、均質なゴムラテッックス用防着剤を容易に調製することができる。
一般に、界面活性剤は、その特性指標の一つとして、HLB値(Hydrophile−Lipophile Balance、親水親油バランス)がある。HLB値とは、界面活性剤の水と油(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表す値である。0から20の間で等分され、0に近づくほど親油性が高く、20に近づくほど親水性が高くなることを示す値である。
ノニオン系ポリオキシアルキレンアルキルエーテル誘導体としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等を挙げることができる。
ノニオン系ポリオキシアルキレンアルキルエーテル誘導体の中でも、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルが好適に使用される。ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルを用いることにより、ゴムラテックス製品に対して優れた防着性を付与できると同時に、ゴムラテックス製品の主成分であるゴムラテックスが有する風合いを損ない難い。また、ゴムラテックス製品に、良好な外観および滑り性を与えることができるものである。
HLB値が14以上であるノニオン系ポリオキシアルキレンソルビタン誘導体としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等を挙げることができる。
なお、脂肪酸アミド、界面活性剤は、その1種を単独で使用することに限定されるものではなく、2種もしくはそれ以上を併用することができる。
本発明のゴムラテックス用防着剤は、上記した脂肪酸アミドと界面活性剤との混合物を主成分として含有するものである。脂肪酸アミドと界面活性剤との含有割合の比(脂肪酸アミド/界面活性剤)の値は、質量比で、0.1〜10の範囲が好ましく、1〜2の範囲がさらに好ましい。脂肪酸アミドと界面活性剤との含有割合の比が0.1未満であると、ゴムラテックス製品の防着性、滑り性の効果が劣るおそれがある。一方、10超であると、凝固液への溶解性、安定性が悪くなるので、防着性、滑り性の効果が小さくなるおそれがある。
本発明のゴムラテックス用防着剤には、本発明の効果を損なわない限り、一般にゴムラテックス製品に添加される加硫促進剤、酸化防止剤、増粘剤、湿潤剤、および消泡剤が含まれていてもよい。
[2]ゴムラテックス用防着剤の調製:
本発明のゴムラテックス用防着剤は、脂肪酸アミドと界面活性剤との混合物の所定量を、例えば、50〜100℃で加熱して脂肪酸アミドを融解し、撹拌、混合することにより調製することができる。得られる混合物(ゴムラテックス用防着剤)は、均一なものである。
[3]ゴムラテックス製品の製造方法:
本発明のゴムラテックス用防着剤を凝固液に添加、配合して配合液を得る。凝固液は、ゴムラテックス製品の製造時に使用されるものである。つぎに、この配合液に型を浸漬した後、乾燥して、型の表面に配合液からなる層(膜)を形成する。この「型」は、ゴムラテックス製品が手袋である場合には、人の手の形をしているものである。ついで、表面に膜が形成された上記型をゴムラテックスに浸漬し、上記膜の表面にゴムラテックスの層を形成させる。その後、ゴムラテックスの層が形成された上記型を引き上げ、乾燥させて凝固させる。凝固したゴムラテックスを、硬化、冷却させた後、上記型から、表裏を反転させながら剥ぎ取る。このようにして、表面にゴムラテックス用防着剤の被膜を有するゴムラテックス製品を得ることができる。
凝固液に対するゴムラテックス用防着剤の添加量(配合量)は、凝固液の全体量に対して、1〜20質量%の範囲とすることがよい。添加量が少な過ぎると、防着性、滑り性が不十分となり、添加量が多過ぎると、凝固液に対する溶解性が劣るようになる傾向がある。そのため、凝固液中で分離が生じ、ゴムラテックス製品に十分な防着性、滑り性を付与することができないおそれがある。
また、ゴムラテックス製品の製造方法としては以下の方法も挙げられる。本発明のゴムラテックス用防着剤を型に均一に付着させ、その後、この型を凝固液に浸漬した後、乾燥して、型の表面に配合液からなる層(膜)を形成する。ついで、表面に膜が形成された上記型をゴムラテックスに浸漬した後、引き上げ、乾燥させて、ゴムラテックスを硬化、冷却させた後、上記型から、表裏を反転させながら剥ぎ取る。このようにして、表面にゴムラテックス用防着剤の被膜を有するゴムラテックス製品を得ることができる。
また、ゴムラテックス製品の製造方法としては以下の方法も挙げられる。本発明のゴムラテックス用防着剤をゴムラテックスに配合して配合液を得る。そして、この配合液を、「ゴムラテックス用防着剤を含まない凝固液を付着させた型」に浸漬し、上記型の表面に膜を形成する。その後、この膜を硬化、乾燥、冷却することにより、ゴムラテックス用防着剤を含有するゴムラテックス製品を得ることができる。
上記配合液中のゴムラテックス用防着剤の量は、ゴムラテックスに対して、1〜20質量%の範囲とすればよい。ゴムラテックス用防着剤の量が少ないと、防着性、滑り性が不十分となるおそれがある。防着剤の量が多いと、凝固液に対する溶解性が劣るようになり、塗布した際にムラができるので防着性、滑り性が不十分になるおそれがある。
本発明のゴムラテックス用防着剤をゴムラテックス製品の表面に付与する方法としては、ゴムラテックス製品をゴムラテックス用防着剤中に浸漬したり、ゴムラテックス用防着剤をゴムラテックス製品の表面に噴霧したりする方法を挙げることができる。
[4]対象ゴムラテックス:
本発明のゴムラテックス用防着剤は、天然ゴムラテックス、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のジエン系ゴムラテックス、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)等のオレフィン系ゴムラテックス、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム、ウレタンゴム(U)等の合成ゴムラテックスを原料とするゴムラテックス製品の材料として適用することができる。
つまり、本発明のゴムラテックス用防着剤は、天然ゴムラテックス、各種合成ゴムラテックスからなるゴムラテックス製品に広く用いることができる。
本発明のゴムラテックス用防着剤を用いるゴムラテックス製品の形状は、フィルム、シート、板体、球体等のいずれであってもよい。
本発明のゴムラテックス用防着剤を用いるゴムラテックス製品としては、具体的には、一般作業用手袋、検査用手袋、医療用手袋等の手袋類、事務用、あるいは工業用指サック類、コンドーム等の避妊具類、風船等のおもちゃ類、カテーテル等の医療用器具類等を挙げることができる。
本発明のゴムラテックス用防着剤は、他のゴムラテックス用防着剤と併用してもよい。
本発明においては、例えば、手袋の内側表面を塩素化処理により粗面加工してもよい。
以下、本発明を実施例および比較例によって、さらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、実施例および比較例における評価は、下記のような方法により評価した。
(1)ゴムラテックス用防着剤の凝固液に対する溶解性、および安定性:
実施例1〜5、および比較例1〜5で調製した各ゴムラテックス用防着剤を、凝固液(硝酸カルシウム(関東化学(株)製)の40質量%メタノール希釈液)48質量部に、4質量%(2質量部)添加し、室温(20〜30℃)で、溶解させた。このときの溶解性と、1日放置後の状態(溶解後の安定性)を肉眼で観察し、下記のように評価した。
(1−1)溶解時の溶解性
ゴムラテックス用防着剤と凝固液が完全に溶解し均一となり、未溶解部分が全く認められないものを「○」とした。ゴムラテックス用防着剤と凝固液の一部は溶解するが、未溶解部分がみられるものを「△」とした。ゴムラテックス用防着剤と凝固液とがほとんど溶解せず、溶解が非常に困難であるものを「×」とした。
(1−2)安定性
ゴムラテックス用防着剤と凝固液との溶解物は、1日放置後も濁り、層分離等がみられず、均一溶解が維持されているものを「○」とした。ゴムラテックス用防着剤と凝固液との溶解物は、1日放置後に濁り等がみられ、防着剤と凝固液とが2層に分離し、安定性に劣っているものを「×」とした。
(2)ゴムラテックス用防着剤の型への付着性、得られたゴムラテックス製品の外観、防着性、滑り性、指への付着性:
円筒状のガラス製の型を、実施例、および比較例で得たゴムラテックス用防着剤4質量%(4質量部)を含有する凝固液(40質量%硝酸カルシウムのメタノール希釈液)100質量部に浸漬した。浸漬後、引き上げ、上記型の表面に形成された膜を55℃で8分間乾燥させた。その後、この型を、加硫天然ゴムラテックス(固形分60質量%)に105秒間浸漬し、ゴム被膜を形成した。ついで、ゴム被膜の表面を水洗し(45℃で45分間)、加硫天然ゴムラテックスに含まれる非ゴム成分(水溶性タンパク質等)を除去した。その後、100℃で90分間加硫を行った。その後、型から、表裏を反転させながらゴム被膜を剥離し、45℃で45分間水洗し、ゴムラテックス製品を作製した。作製したゴムラテックス製品を評価した。
すなわち、各実施例、および比較例でそれぞれ作製したゴムラテックス用防着剤を含有する凝固液に、ガラス製の型を浸漬し、この型の表面にゴムラテックス用防着剤を含有する凝固液を付着させた。その後、この「ゴムラテックス用防着剤を含有する凝固液を付着させた型」を引き上げた。その後、この型に対する凝固液の付着性(ゴムラテックス用防着剤の型への付着性)を下記のように評価した。
また、凝固液を付着させた型を、ゴムラテックスに浸漬しゴムラテックスを付着、加硫させた。ついで、加硫したものを引き上げて水洗した。水洗後のゴムラテックス製品の外観、ゴムラテックス製品の外面同士の防着性、滑り性、および指への付着性の有無を下記のように評価した。
(2−1)ゴムラテックス用防着剤を含有する凝固液の型への付着性
ガラス製の型全面に均一に付着し、未付着部分がなく、良好な付着性を有するものを「○」とした。付着が不均一で、付着むらがあり、付着性に難があるものを「×」とした。
(2−2)水洗後のゴムラテックス製品の外観
ゴムラテックス用防着剤が、ゴムラテックス製品の全面にわたって均一に付着し、良好な外観を有するものを「○」とした。ゴムラテックス用防着剤が、ゴムラテックス製品に付着していない部分があり、まだらになっていて、外観に劣るものを「×」とした。
(2−3)ゴムラテックス製品の外面同士の防着性
ゴムラテックス用防着剤を使用したゴムラテックス製品の外面同士を接触するように重ね、常温で2日間保管後も、このゴムラテックス製品の外面同士が密着することがなく、防着性にきわめて優れるものを「○」とした。ゴムラテックス用防着剤を使用したゴムラテックス製品の外面同士が接触するように重ね、常温で2日間保管後、このゴムラテックス製品の外面同士が密着し、防着性に劣っているものを「×」とした。
(2−4)ゴムラテックス製品の滑り性
ゴムラテックス用防着剤を使用したゴムラテックス製品の表面を指で1回なぞった時の触感を、未処理品と比較した場合、良好な滑り性を有するものを「○」とした。滑り性が、未処理品と同等または未処理品よりも劣るものを「×」とした。なお、未処理品とは、以下のようにして作製したゴムラテックス製品であって、パウダーが全く付着されていなく、且つ、防着剤等による処理も全く行われていないものである。まず、円筒状のガラス製の型を、ゴムラテックス用防着剤やパウダーを含まない凝固液に浸漬し、浸漬後、引き上げ、上記型の表面に形成された膜を55℃で8分間乾燥させた。その後、この型を、加硫天然ゴムラテックス(固形分60質量%)に105秒間浸漬し、ゴム被膜を形成した。その後、ゴム被膜の表面を水洗し(45℃で45分間)、加硫天然ゴムラテックスに含まれる非ゴム成分(水溶性タンパク質等)を除去した。非ゴム成分を除去後、100℃で90分間加硫を行い、ついで、型から、表裏を反転させながらゴム被膜を剥離した。剥離後、45℃で45分間水洗してゴムラテックス製品を作製した。
(2−5)ゴムラテックス製品から指への粉体付着性の有無
ゴムラテックス製品の表面を指で1回なぞり、指に粉体が付着しないものを「○」とした。指に粉体が付着したものを「×」とした。
(実施例1)
オレイン酸アミド(融点71〜76℃)と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル誘導体(ノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、商品名「エマルゲン306P」花王(株)製、HLB9.4)とを、2:1の割合(質量比)となるように秤量した後、これを、温度80℃まで加熱し、30分間撹拌し、オレイン酸アミドを融解させ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル誘導体との均一な混合物(軟らかいペースト状物)を得た。ついで、前記混合物を冷却し、オレイン酸アミドと、ポリオキシエチレンアルキルエーテル誘導体とを含むゴムラテックス用防着剤を得た。なお、表1中、「比率」とは、「脂肪酸アミド:界面活性剤」の割合(質量比)を意味する。
このゴムラテックス用防着剤について、溶解性と安定性を調べ、それらの結果を表1に示した。
また、ゴムラテックス用防着剤の型への付着性、作製したゴムラテックス製品の外観、防着性、滑り性、指への付着性を調べ、それらの結果を表2に示した。
(実施例2)
オレイン酸アミド(融点71〜76℃)と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル誘導体(ノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、商品名「ブラウノン715R」青木油脂(株)製、HLB13.5)との、4:3の割合(質量比)となるように秤量した後、これを、温度80℃まで加熱し、30分間撹拌し、オレイン酸アミドを融解させ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル誘導体との均一な混合物(軟らかいペースト状物)を得た。ついで、前記混合物を冷却し、オレイン酸アミドと、ポリオキシエチレンアルキルエーテル誘導体とを含むゴムラテックス用防着剤を得た。
このゴムラテックス用防着剤について、溶解性と安定性を調べ、それらの結果を表1に示した。
また、ゴムラテックス用防着剤の型への付着性、作製したゴムラテックス製品の外観、防着性、滑り性、指への付着性を調べ、それらの結果を表2に示した。
(実施例3)
オレイン酸アミド(融点71〜76℃)と、ソルビタン誘導体(ノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、商品名「レオドール スーパーTW−L120」花王(株)製、HLB16.7)との、4:3の割合(質量比)となるように秤量した後、これを、温度80℃まで加熱し、30分間撹拌し、オレイン酸アミドを融解させ、ソルビタン誘導体との均一な混合物(軟らかいペースト状物)を得た。ついで、前記混合物を冷却し、オレイン酸アミドと、ソルビタン誘導体とを含むゴムラテックス用防着剤を得た。
このゴムラテックス用防着剤について、溶解性と安定性を調べ、それらの結果を表1に示した。
また、ゴムラテックス用防着剤の型への付着性、作製したゴムラテックス製品の外観、防着性、滑り性、指への付着性を調べ、それらの結果を表2に示した。
(実施例4)
エルカ酸アミド(商品名「アーモスリップE」ライオン(株)製、融点79〜81℃)と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル誘導体(ノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、商品名「エマルゲン306P」花王(株)製、HLB9.4)とを、4:3の割合(質量比)となるように秤量した後、これを、温度80℃まで加熱し、30分間撹拌し、エルカ酸アミドを融解させ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル誘導体との均一な混合物(軟らかいペースト状物)を得た。ついで、前記混合物を冷却し、オレイン酸アミドと、ポリオキシエチレンアルキルエーテル誘導体とを含むゴムラテックス用防着剤を得た。
このゴムラテックス用防着剤について、溶解性と安定性を調べ、それらの結果を表1に示した。
また、ゴムラテックス用防着剤の型への付着性、作製したゴムラテックス製品の外観、防着性、滑り性、指への付着性を調べ、それらの結果を表2に示した。
(実施例5)
オレイン酸アミド(融点71〜76℃)と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル誘導体(ノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、商品名「エマルゲン108」花王(株)製、HLB12.1)とを、4:3の割合(質量比)となるように秤量した後、これを、温度80℃まで加熱し、30分間撹拌し、オレイン酸アミドを融解させ、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとの均一な混合物(軟らかいペースト状物)を得た。ついで、前記混合物を冷却し、オレイン酸アミドと、ポリオキシエチレンアルキルエーテル誘導体とを含むゴムラテックス用防着剤を得た。
このゴムラテックス用防着剤について、溶解性と安定性を調べ、それらの結果を表1に示した。
また、ゴムラテックス用防着剤の型への付着性、作製したゴムラテックス製品の外観、防着性、滑り性、指への付着性を調べ、それらの結果を表2に示した。
(比較例1)
ゴムラテックス用防着剤として、オレイン酸アミド(融点73℃、商品名「アーモスリップCP」、ライオン(株)製)のみを使用した。
このゴムラテックス用防着剤について、溶解性と安定性を調べ、それらの結果を表1に示した。
また、ゴムラテックス用防着剤の型への付着性、作製したゴムラテックス製品の外観、防着性、滑り性、指への付着性を調べ、それらの結果を表2に示した。
(比較例2)
オレイン酸アミド(融点71〜76℃)と、ソルビタン誘導体(ノニオン系界面活性剤、商品名「レオドール 460」花王(株)製、HLB13.8)とを、4:3の割合(質量比)となるように秤量した後、これを、温度80℃まで加熱し、30分間撹拌し、オレイン酸アミドを融解させ、ソルビタン誘導体との均一な混合物とした。ついで、前記混合物を冷却し、オレイン酸アミドと、ソルビタン誘導体とを含むゴムラテックス用防着剤を得た。
このゴムラテックス用防着剤について、溶解性と安定性を上記した方法、評価に従って調べ、それらの結果を表1に示した。また、ゴムラテックス用防着剤の型への付着性、付着後の外観、防着性、滑り性、指への付着性を調べ、それらの結果を表2に示した。
(比較例3)
オレイン酸アミド(融点71〜76℃)と、オレイン酸カリウム(アニオン系界面活性剤、関東化学(株)製)とを、2:1の割合(質量比)となるように秤量した後、これを、温度80℃まで加熱し、30分間撹拌し、オレイン酸アミドを融解させ、オレイン酸カリウムとの均一な混合物とした。ついで、前記混合物を冷却し、オレイン酸アミドと、オレイン酸カリウムとを含むゴムラテックス用防着剤を得た。
このゴムラテックス用防着剤について、溶解性と安定性を調べ、それらの結果を表1に示した。また、ゴムラテックス用防着剤の型への付着性、作製したゴムラテックス製品の外観、防着性、滑り性、指への付着性を調べ、それらの結果を表2に示した。
(比較例4)
オレイン酸アミド(融点71〜76℃)と、ラウリル硫酸ナトリウム(アニオン系界面活性剤、商品名「アルスコープLN−90PW」東邦化学工業(株)製)とを、2:1の割合(質量比)となるように秤量した後、これを、温度80℃まで加熱し、30分間撹拌し、オレイン酸アミドを融解させ、ラウリル硫酸ナトリウムとの均一な混合物とした。ついで、前記混合物を冷却し、オレイン酸アミドと、ラウリル硫酸ナトリウムとを含むゴムラテックス用防着剤を得た。
このゴムラテックス用防着剤について、溶解性と安定性を調べ、それらの結果を表1に示した。また、ゴムラテックス用防着剤の型への付着性、作製したゴムラテックス製品の外観、防着性、滑り性、指への付着性を調べ、それらの結果を表2に示した。
(比較例5)
オレイン酸アミド(融点71〜76℃)と、塩化ジアルキル(C14〜18)ジメチルアンモニウム(カチオン系界面活性剤、商品名「アーカード2HP−75」花王(株)製)とを、2:1の割合(質量比)となるように秤量した後、これを、温度80℃まで加熱し、30分間撹拌し、オレイン酸アミドを融解させ、塩化ジアルキル(C14〜18)ジメチルアンモニウムとの均一な混合物とした。ついで、前記混合物を冷却し、オレイン酸アミドと、塩化ジアルキル(C14〜18)ジメチルアンモニウムとを含むゴムラテックス用防着剤を得た。
このゴムラテックス用防着剤について、溶解性と安定性を調べ、それらの結果を表1に示した。また、ゴムラテックス用防着剤の型への付着性、作製したゴムラテックス製品の外観、防着性、滑り性、指への付着性を調べ、それらの結果を表2に示した。
Figure 2016050236
上記表1中の「溶解性」は、ゴムラテックス用防着剤の凝固液に対する溶解性を意味する。上記表1中の「安定性」は、ゴムラテックス用防着剤の凝固液に対する安定性を意味する。
表1に示すゴムラテックス用防着剤の凝固液に対する溶解性、および安定性の評価結果から、実施例1〜5のゴムラテックス用防着剤は、凝固液に対して優れた溶解性を示し、容易に均一化することができ、溶解後、時間が経過しても、分離や沈殿がなく、良好な安定性を有するものであった。これに対して、比較例1〜5のゴムラテックス用防着剤は、凝固液に対して溶解性に劣り、溶解したとしても、時間の経過とともに分離し、安定性に劣るものであった。
Figure 2016050236
上記表2中の「型への付着性」は、ゴムラテックス用防着剤を含有する凝固液の型への付着性を意味する。上記表2中の「外観」は、水洗後のゴムラテックス製品の外観を意味する。上記表2中の「防着性」は、ゴムラテックス製品の外面同士の防着性を意味する。上記表2中の「滑り性」は、ゴムラテックス製品の滑り性を意味する。上記表2中の「指への付着性」は、粉体の指への付着性の有無を意味する。
表2に示したゴムラテックス用防着剤を含有する凝固液の型への付着性、水洗後のゴムラテックス製品の外観、ゴムラテックス製品の外面同士の防着性、ゴムラテックス製品の滑り性、粉体の指への付着性の有無の評価結果から、実施例1〜5のゴムラテックス用防着剤は、凝固液への溶解後に安定性に優れ均一であり、液は均一に型に付着していた。その状態で処理したゴムラテックス製品は、防着性に優れ、外面は均一に処理され、外観は良好で、滑り性に優れていた。
一方、比較例1〜5のゴムラテックス用防着剤は、凝固液への溶解後に分離が見られるため、液が不均一に型に付着していた。また、処理したゴムラテックス製品は、防着性に劣り、外面は不均一で、外観、滑り性が満足できるものではなかった。
さらに、粉体の指への付着性については、実施例1〜5、および比較例1〜5は、いずれも粉体を使用していないので全く付着が見られなかった。
以上から、本発明に係るゴムラテックス用防着剤は、凝固液に対する溶解性、安定性に優れ、凝固液との分離が全く見られない。本発明に係るゴムラテックス用防着剤を含有する凝固液で処理したゴムラテックス製品は、型へ液が均一に付着するので、ゴムラテックス製品の表面を均一に処理でき、防着性に優れ、外観、風合いが良好で、滑り性に優れ、粉体の指への付着性することがない。
本発明のゴムラテックス用防着剤は、各種のゴムラテックス製品、例えば、手袋、指サック、コンドーム、カテーテル、風船等に適用可能である。

Claims (7)

  1. 脂肪酸アミドと界面活性剤との混合物を主成分として含有し、
    前記界面活性剤が、ノニオン系ポリオキシアルキレンアルキルエーテル誘導体、およびHLB値が14以上であるノニオン系ポリオキシアルキレンソルビタン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種である、ゴムラテックス用防着剤。
  2. 前記脂肪酸アミドが、融点65〜80℃のものである、請求項1に記載のゴムラテックス用防着剤。
  3. 前記脂肪酸アミドが、炭素原子数12〜27のものである、請求項1または2に記載のゴムラテックス用防着剤。
  4. 前記脂肪酸アミドが、オレイン酸アミドである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴムラテックス用防着剤。
  5. 前記ノニオン系ポリオキシアルキレンアルキルエーテル誘導体が、ポリオキシエチレンステアリルエーテルおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルからなる群より選択される一種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴムラテックス用防着剤。
  6. 前記HLB値が14以上であるノニオン系ポリオキシアルキレンソルビタン誘導体が、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴムラテックス用防着剤。
  7. 前記脂肪酸アミドと前記界面活性剤との含有割合の比が、質量比で0.1〜10である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴムラテックス用防着剤。
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