JP2016050121A - 低アルカリニッケルリチウム金属複合酸化物粉体及びその製造方法 - Google Patents

低アルカリニッケルリチウム金属複合酸化物粉体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン電池用正極材として公的な、低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の提供。
【解決手段】 以下の一般式 (1)で表されるニッケルリチウム金属複合酸化物からなり、LixNi1-y-zMyNzO1.7-2.2・・・(1)(Mは、Co,Mn,Fe、Cuから選ばれる1つ以上の金属元素、NはAl、W、Ta、Bから選ばれる1つ以上の金属元素、0.90<x<1.10、0.01<y<0.15、0.005<z<0.10。)その2gを100gの水に分散させた際の上澄の水素イオン濃度がpHで11.4未満であり、余剰の水酸化リチウムの含有量が0.4重量%未満であることを特徴とする、低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体。及び、原料混合物の焼成工程に続き、温度が200℃以上600℃以下の範囲にある炭酸ガス含有気体と焼成物とを接触させる工程を有することを特徴とする、上記低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は低アルカリニッケルリチウム金属複合酸化物、これを含むリチウムイオン電池正極物質、該活物質を用いたリチウムイオン電池正極、この正極を有するリチウムイオン電池、及び上記低アルカリニッケルリチウム金属複合酸化物の製造方法に関する。
スマートフォン、タブレット型パソコン等の小型電子機器の普及により、ユーザーが屋外で長時間これら小型電子機器を携帯し利用することは、もはや一般的になっている。そのため、これら小型電子機器の電源である電池には長時間の使用に耐える高容量の電池であることが求められており、そのような要求を満たすリチウムイオン二次電池が盛んに研究開発されている。同時に、スマートフォン、タブレット型パソコン等の小型電子機器の更なる高機能化、高性能化が図られており、そのような高機能・高性能小型電子機器では消費電力の増大が避けられない。したがって、電池の高容量化への要求がますます高まっている。
また、近年は、エネルギー受給に対する危機意識や環境志向の高まりよって、風力発電、メガソーラー発電、家庭用太陽光発電と言った、従来型の集中型発電所とは異なる独立分散型発電設備の設置が増えている。しかしながら、風力発電、太陽光発電等の自然エネルギーを利用した発電設備が従来の発電施設に比べて電気供給の安定性に劣るという問題は、未だ解決されておいない。2011年3月11日に発生した東日本大震災、その後に引き起こされた原子力発電所停止にかかる給電状況の悪化以来、地震等の災害発生時に事業所や家庭単位の電力確保が重要であることが認識されに関する重要性が広く認識されるようになってきた。このため、消費地点単位で電源確保を確保する定置用蓄電池に注目が集まっている。しかしながら、現在の技術によれば、このような定置用蓄電池によって電気容量を確保するためには非常に大きな蓄電設備が必要とされる。このため、日本の住宅環境においてはそのような蓄電設備は、現時点では実用性を欠く。
更に自動車産業においては、エネルギー効率のよい電気自動車、ハイブリッド自動車に注目が集まり、これらの自動車の開発が盛んに行われている。しかしながら、電池容量の不足による航続距離の不十分さ、加えて市中における充電設備の絶対的不足という問題は解決されていない。そのため、現時点では、電気エネルギーだけで動く電気自動車は、ハイブリッド自動車ほどには普及していない。
上述のような、電子機器、電力確保、自動車などの産業を支える共通の製品の一つがリチウムイオン電池である。上述のような問題点に共通する原因が、リチウムイオン電池の体積当たりの容量が足りないことにある。リチウムイオン電池の体積当たりの容量が足りないという問題を引き起こす大きな要因は、リチウムイオン二次電池に用いられる正極活物質の単位体積当たりの放電容量が小さいことである。
リチウムイオン電池の正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LCO)に代表されるコバルト系正極活物質が用いられてきた。コバルト酸リチウムを用いて電極を作成すると、電極密度は1立方センチメートル当たり3.9gを超える大密度を達成できる。しかしその一方、コバルト酸リチウム自身の放電容量は実質150mAh/g程度と低い。
リチウムイオン電池の正極活物質としては、LNCO(Li、Ni、Coの複合酸化物),特にLNCAO(Li、Ni、Co、Alの複合酸化物)に代表されるニッケル系正極活物質も検討されている。LNCAOの単位重量当たりの放電容量はコバルト系正極活物質よりも大きく、190mAhg−1を超える。しかしながら、これらの活物質自身の密度が低く電極密度を増大させることが困難であることから、単位体積当たりの放電容量を向上させることが出来なかった。しかもLNCAOには共アルカリ性のLi化合物が残留しているために、正極剤スラリーのゲル化を引き起こるという、電極製造上の問題点も指摘されてきた。
リチウムイオン電池の体積当たりの放電容量と、放電容量保持性を改善するための、リチウムイオン正極活物質の製造方法は、種々のものが提案されている。例えば、特許文献1,2には、炭酸ガスを用いた熱処理工程を含む方法が記載されている。しかしながら、これらの先行技術ではLNCAO系のニッケル系正極活物質について検討されていない。また、特許文献3に記載されているように、LNCAOを含む正極剤スラリーのゲル化を防止するために従来から水洗が提案されてきたが、水洗によって放電容量が低下するという問題があった。
このように、高容量のリチウムイオンに適しており、しかも、正極剤製造時に問題のないLNCAO型正極活物質としては、未だ満足できるものが得られていない。
特開2009−4311号公報 特開2011−113792号公報 特開平7−335215公報
本発明は、電極製造や電池性能に有利なLNCAO型正極活物質正極活物質を提供することを課題とする。
本発明の発明者は、LNCAOに代表される正極活物質の製造について鋭意検討した。その結果、原料混合物の焼成工程に引き続き、焼成物を高温で炭酸ガスで処理することにより所望の正極活物質用のニッケルリチウム金属複合酸化物粉体を得ることに成功した。
すなわち本発明は以下のものである。
(発明1)以下の一般式 (1)で表されるニッケルリチウム金属複合酸化物からなり、
Figure 2016050121
(ただし式(1)中、Mは、Co,Mn,Fe、Cuから選ばれる1つ以上の金属元素であり、NはAl、W、Ta、Bから選ばれる1つ以上の金属元素であり、0.90<x<1.10、0.01<y<0.15、0.005<z<0.10である。)その2gを100gの水に分散させた際の上澄の水素イオン濃度がpHで11.4未満であり、余剰の水酸化リチウムの量が0.4重量%未満であることを特徴とする、低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体。
(発明2)一般式(1)におけるMがCoであることを特徴とする、発明1に記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体。
(発明3)一般式(1)におけるNがAlであることを特徴とする、発明1又は2に記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体。
(発明4)一般式(1)における一般式(1)におけるMがCoであり、かつ、NがAlであることを特徴とする、発明1〜3のいずれかに記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体。
(発明5)充電・放電性能が、0.1C充電における容量が210−230mAh/gの範囲であり、0.1C放電における容量が175−190mAh/gの範囲である、発明1〜4のいずれかに記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体。
(発明6)発明1〜5のいずれかに記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体を含むことを特徴とする、リチウムイオン電池用正極活物質。
(発明7)発明6に記載のリチウムイオン電池用正極活物質を用いることを特徴とする、リチウムイオン電池用正極。
(発明8)発明7に記載のリチウムイオン電池用正極を備えることを特徴とする、リチリウムイオン電池。
(発明9)以下の一般式 (1)で表されるニッケルリチウム金属複合酸化物からなり、
Figure 2016050121

(ただし式(1)中、Mは、Co,Mn,Fe、Cuから選ばれる1つ以上の金属元素であり、NはAl、W、Ta、Bから選ばれる1つ以上の金属元素であり、0.90<x<1.10、0.01<y<0.15、0.005<z<0.10である。)その2gを100gの水に分散させた際の上澄の水素イオン濃度がpHで11.4未満であり、余剰の水酸化リチウムの含有量が0.4重量%未満であることを特徴とする、低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法であって、原料混合物の焼成工程に続き、温度が200℃以上600℃以下の範囲にある炭酸ガス含有気体と焼成物とを接触させる工程を有することを特徴とする、低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法。
(発明10)一般式(1)におけるMがCoであることを特徴とする、発明9に記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法。
(発明11)一般式(1)におけるNがAlであることを特徴とする、発明9又は10のいずれかに記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法。
(発明12)一般式(1)におけるMがCoであり、かつ、NがAlであることを特徴とする、発明9〜11のいずれかに記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法。
(発明13)低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の0.1C放電における初期放電容量が、190mAh/g以上である、発明9〜12のいずれかに記載のリチウムイオン電池用正極活物質の製造方法。
(発明14)原料混合物の焼成工程に続き、温度が200℃以上600℃以下の範囲にある炭酸ガス含有気体と焼成物とを10〜30時間接触させる工程を有することを特徴とする、発明9〜13のいずれかに記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法。
(発明15)原料混合物の焼成工程を、原料の溶解工程、沈殿工程、ろ過・洗浄工程、乾燥工程を経た粉体混合工程の後に行うことを特徴とする、発明9〜14のいずれかに記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法。
本発明のニッケルリチウム金属複合酸化物粉体は、低アルカリ性であり、電池特性が優れている。
本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体を構成するニッケルリチウム金属複合酸化物は、以下の一般式(1)で表される。
Figure 2016050121
(ただし式(1)中、Mは、Co,Mn,Fe、Cuから選ばれる1つ以上の金属元素であり、NはAl、W、Ta、Bから選ばれる1つ以上の金属元素であり、0.90<x<1.10、0.01<y<0.15、0.005<z<0.10である。)
本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体を構成するニッケルリチウム金属複合酸化物は、好ましくは、上記一般式(1)においてMがCo、NがAlである、以下の一般式(2)で表される。
Figure 2016050121
(ただし式(2)中、0.90<x<1.10、0.01<y<0.15、0.005<z<0.10である。)
本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体は、以下の方法により製造することができる。
(1.原料の溶解)原料としては、一般式(1)を構成する金属の、硫酸塩、硝酸塩などの可溶性金属塩を用いることができる。硝酸塩を用いた場合、硝酸性窒素を含む廃液処理にコストがかかるため、硝酸塩の使用は工業的には好ましくない。通常は一般式(1)を構成する金属の硫酸塩が用いられる。本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法では、まず、原料である硫酸ニッケル、硫酸コバルトのそれぞれを水に溶解する。
(2.沈殿)硫酸ニッケル水溶液、硫酸コバルト水溶液、沈殿剤としての水酸化ナトリウムとアンモニア水を沈殿槽内で混合する。水酸化ニッケルと水酸化コバルトの共沈殿物が生成する。
(3.濾過・洗浄)沈殿物を濾過し、水分を除去して水酸化物ケーキを分離する。水酸化物ケーキを純粋で洗浄して水酸化ナトリウムを除去する。こうして水酸化ニッケルと水酸化コバルトからなる前駆体ケーキが得られる。
(4.乾燥)前駆体ケーキを乾燥する。乾燥方法は、大気圧下での熱風乾燥、赤外線乾燥、真空乾燥などのいずれでもよい。真空乾燥を行うことにより短時間で乾燥することができる。前駆体中の水分が1重量%程度になるまで乾燥する。
(5.粉体混合)乾燥後の前駆体粉末に、水酸化アルミニウムと水酸化リチウム粉末を加え、剪断力をかけて混合する。
(6.焼成)混合物を酸素存在下で焼成する。焼成により、以下の反応が起こる。
Figure 2016050121
Figure 2016050121
Figure 2016050121
焼成後に、微細粒状のニッケルリチウム金属複合酸化物が得られる。その粒子のメジアン径は概ね20μm以下、通常は5〜10μmの範囲にある。
(7.高温炭酸ガス処理)本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造では、焼成工程に続き、高温下で、ニッケルリチウム金属複合酸化物を炭酸ガスを含む気体と接触させる。炭酸ガスを含む気体には制限がないが、通常は、空気、あるいは酸素ガスと炭酸ガスとの混合気体が用いられる。接触温度は 200〜600℃、好ましくは、300〜500℃である。接触時間は10〜30時間、好ましくは10〜20時間である。この処理は、焼成工程の直後に焼成設備内で行うことができる。処理に新たな設備は必要でない。焼成炉の温度を制御し、炭酸ガスを含む気体を一定時間焼成炉内に通すことで、焼成工程から高温炭酸ガス処理を連続して行うことが出来る。
(8.解砕)本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法では、高温炭酸ガス処理の後に、必要に応じて、さらに解砕工程を設けることができる。解砕工程では、ジェットミルなどの破砕機を用いて、焼成後の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の凝集した粒子を破壊する。適度に細粒化されたニッケルリチウム金属複合酸化物を用いると、均一で塗布性に優れる正極剤スラリーが得られる。このような正極剤スラリーにより、正極電極の生産効率を向上させることができる。しかも、正極活物質のイオン放出性も安定化され、電池性能も向上する。
こうして、本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体が得られる。本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体は、上記高温炭酸ガス処理によって、pHが11.4以下に低減されており、余剰の水酸化リチウムの含有量が0.4重量%以下に低減されている。低アルカリ性を示す本発明のニッケルリチウム金属複合酸化物は、リチウムイオン電池正極剤スラリーにバインダーとして含まれるPVDFとの反応性が低い。このため、本発明のニッケルリチウム金属複合酸化物を正極活物質として使用した場合、正極製造時の正極剤スラリーのゲル化が起こりにくく、正極剤スラリーと電極との密着性が損なわれない。
しかも、本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体は、初期放電容量の劣化が小さい。
本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体は、リチウムイオン電池の正極活物質として利用できる。本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体のみでリチウムイオン電池の正極活物質を構成してもよいし、本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体に、その長所が発現する程度の量で他のニッケルリチウム金属複合酸化物を混合してもよい。例えば、本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体50重量部と、本発明以外のリチウムイオン電池二次電池用正極活物質を50重量部を混合したものを正極活物質として用いることができる。リチウムイオン電池の正極を製造する場合には、上述の本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体を含む正極活物質、導電助剤、バインダー、分散用有機溶媒を加えて正極用合剤スラリーを調製し、電極に塗布する。
本発明の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造に用いるニッケルリチウム金属複合酸化物を以下の2通りの手順(手順A,手順B)で製造した。
(手順A)硫酸ニッケル及び硫酸コバルトを溶解させた水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加え、攪拌速度毎分600回転で攪拌し、生じた沈殿を濾過、洗浄、乾燥した。水酸化ニッケル−水酸化コバルト共沈物が得た。得られた水酸化ニッケル−水酸化コバルト共沈物に水酸化リチウムと水酸化アルミニウムを粉体で混合し焼成のための原料を得た。この原料を酸素気流中、780℃で焼成した。その結果、50%粒径(いわゆるメジアン径)が7.29μmのニッケルリチウム金属複合酸化物が得られた。これを、ニッケルリチウム金属複合酸化物(A)と呼ぶ。このニッケルリチウム金属複合酸化物(A)を後述の実施例1〜3、比較例1、3に用いた。
(手順B)硫酸ニッケル及び硫酸コバルトを溶解させた水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加え、攪拌速度毎分500回転で攪拌し、生じた沈殿を濾過、洗浄、乾燥した。水酸化ニッケル−水酸化コバルト共沈物が得た。得られた水酸化ニッケル−水酸化コバルト共沈物に水酸化リチウムと水酸化アルミニウムを粉体で混合し焼成のための原料を得た。この原料を酸素気流中、780℃で焼成した。その結果、50%粒径(いわゆるメジアン径)が7.5μmのニッケルリチウム金属複合酸化物が得られた。これを、ニッケルリチウム金属複合酸化物(B)と呼ぶ。このニッケルリチウム金属複合酸化物(B)を後述の実施例4〜7、比較例2に用いた。
後述の実施例、比較例の条件で、上記焼成されたニッケルリチウム金属複合酸化物を処理し、あるいは処理しなかったものについて、以下の分析を行った。
(pH測定)処理後のニッケルリチウム金属複合酸化物2gを25℃の純水100mlに加え、マグネチックスターラーで3分間攪拌し、その後吸引濾過した。得られた濾液のpHを堀場製作所製pHメーターで測定した。
(水酸化リチウムの滴定)処理後のニッケルリチウム金属複合酸化物2gを25℃の純水100mlに加え、マグネチックスターラーで3分間攪拌し、その後吸引濾過した。得られた濾液の10mlをピペットで分取し、0.1N塩酸で滴定することによって水酸化リチウムの含有量を定量した。
[実施例1]
上述の焼成後のニッケルリチウム金属複合酸化物を、出入りの無い空気中、300℃で、20時間、処理した。空気中の炭酸ガス濃度は0.05体積%であった。
[実施例2]
処理温度を500℃に変えた点以外は実施例1と同じ条件で処理を行った。
[実施例3]
処理時間を10時間に変えた点以外は実施例1と同じ条件で処理を行った。
[実施例4]
焼成後のニッケルリチウム金属複合酸化物を、酸素と炭酸ガスとの混合気体中、300℃で、20時間、処理した。上記混合気体中は、流量4.975L/minの酸素と、流量0.025L/minの炭酸ガスからなる、総流量5L/minの混合気流であり、炭酸ガス濃度は 0.5体積%であった。
[実施例5]
混合気流として、流量4.75L/minの酸素と、流量0.25L/minの炭酸ガスからなる、総流量5L/minの混合気流を用い、混合気体中の炭酸ガス濃度が5体積%である点以外は実施例4と同じ条件で処理を行った。
[実施例6]
空気として、流量5L/min、炭酸ガス濃度が0.05体積%の空気を用いた点以外は実施例1と同じ条件で処理を行った。
[実施例7]
空気として、流量5L/min、炭酸ガス濃度が0.05体積%の空気を用い、処理温度を400℃とした点以外は実施例1と同じ条件で処理を行った。
[比較例1]
実施例1〜3で用いたニッケルリチウム金属複合酸化物について炭酸ガスによる処理をせず、そのまま、そのpH及び残存水酸化リチウムの定量を行った。結果を表1に示す。表1では、処理をしなかったことを「- - -」で表示する。
[比較例2]
実施例4〜7で用いたニッケルリチウム金属複合酸化物について炭酸ガスによる処理をせず、そのまま、pH及び残存水酸化リチウムの定量を行った。
[比較例3]
処理温度を750℃に変えた点以外は実施例1と同じ条件で処理を行った。
上記実施例、比較例で用いたニッケルリチウム金属複合酸化物、これらの炭酸ガスによる処理の条件を表1に示す。
Figure 2016050121
上記実施例で得られた本発明のニッケルリチウム金属複合酸化物粉体と、比較例で得られた対照品の評価結果を、表2に示す。
Figure 2016050121
表2に示されるように、所定の条件でニッケルリチウム金属複合酸化物を炭酸ガス含有気体で処理した実施例では、pHが低減され、電池特性にも優れる低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体が得られた。
本発明では、焼成工程に引き続き、簡単な操作で高温炭酸ガス処理を行うことによって、電池性能や正極製造にとって望ましい低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体を製造することに成功した。本発明は、高容量のリチウムイオン電池の低コストでの製造に貢献すると期待される。

Claims (15)

  1. 以下の一般式 (1)で表されるニッケルリチウム金属複合酸化物からなり、
    Figure 2016050121

    (ただし式(1)中、Mは、Co,Mn,Fe、Cuから選ばれる1つ以上の金属元素であり、
    NはAl、W、Ta、Bから選ばれる1つ以上の金属元素であり、
    0.90<x<1.10、0.01<y<0.15、0.005<z<0.10である。)
    その2gを100gの水に分散させた際の上澄の水素イオン濃度がpHで11.4未満であり、余剰の水酸化リチウムの量が0.4重量%未満であることを特徴とする、低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体。
  2. 一般式(1)におけるMがCoであることを特徴とする、請求項1に記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体。
  3. 一般式(1)におけるNがAlであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体。
  4. 一般式(1)における一般式(1)におけるMがCoであり、かつ、NがAlであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体。
  5. 充電・放電性能が、0.1C充電における容量が210−230mAh/gの範囲であり、0.1C放電における容量が175−190mAh/gの範囲である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体を含むことを特徴とする、リチウムイオン電池用正極活物質。
  7. 請求項6に記載のリチウムイオン電池用正極活物質を用いることを特徴とする、リチウムイオン電池用正極。
  8. 請求項7に記載のリチウムイオン電池用正極を備えることを特徴とする、リチリウムイオン電池。
  9. 以下の一般式 (1)で表されるニッケルリチウム金属複合酸化物からなり、
    Figure 2016050121

    (ただし式(1)中、Mは、Co,Mn,Fe、Cuから選ばれる1つ以上の金属元素であり、
    NはAl、W、Ta、Bから選ばれる1つ以上の金属元素であり、
    0.90<x<1.10、0.01<y<0.15、0.005<z<0.10である。)
    その2gを100gの水に分散させた際の上澄の水素イオン濃度がpHで11.4未満であり、
    余剰の水酸化リチウムの含有量が0.4重量%未満であることを特徴とする、低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法であって、
    原料混合物の焼成工程に続き、温度が200℃以上600℃以下の範囲にある炭酸ガス含有気体と焼成物とを接触させる工程を有することを特徴とする、
    低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法。"
  10. 一般式(1)におけるMがCoであることを特徴とする、請求項9に記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法。
  11. 一般式(1)におけるNがAlであることを特徴とする、請求項9又は10のいずれか1項に記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法。
  12. 一般式(1)におけるMがCoであり、かつ、NがAlであることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法。
  13. 低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の0.1C放電における初期放電容量が、190mAh/g以上である、請求項9〜12のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用正極活物質の製造方法。
  14. 原料混合物の焼成工程に続き、温度が200℃以上600℃以下の範囲にある炭酸ガス含有気体と焼成物とを10〜30時間接触させる工程を有することを特徴とする、請求項9〜13のいずれか1項に記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法。
  15. 原料混合物の焼成工程を、原料の溶解工程、沈殿工程、ろ過・洗浄工程、乾燥工程を経た粉体混合工程の後に行うことを特徴とする、請求項9〜14のいずれか1項に記載の低アルカリ性ニッケルリチウム金属複合酸化物粉体の製造方法。
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