JP2016049506A - シリコン粉回収方法及びシリコン粉回収装置 - Google Patents

シリコン粉回収方法及びシリコン粉回収装置 Download PDF

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Abstract

【課題】水分が除去されたシリコン粉を効率的に回収すること。【解決手段】シリコンウエーハ(S)に砥石(103d)を当接させ加工する加工装置(100)から排出されるシリコン粉(P)を含む廃液(L)にシリコン吸着板(32)とシリコン通過規制板(33d)とを着水させ、これらに通電させプラスに帯電したシリコン吸着板にシリコン粉を付着させる。次に、シリコン吸着板を廃液から引き上げシリコン吸着板に付着したシリコン粉と廃液とを含むシリコン溶液(SF)をシリコン吸着板から削ぎ取り回収する。次に、シリコン吸着板から削ぎ取られたシリコン溶液の水分を乾燥手段(6)で乾燥させる。【選択図】図3

Description

本発明は、シリコン粉回収方法及びシリコン粉回収装置に関し、特に、固体のシリコンを削ることで排出される廃液からシリコン粉を回収することができるシリコン粉回収方法及びシリコン粉回収装置に関する。
従来、リチウムイオン電池などの蓄電池においては、マイナス電極の材料として炭素系材料が使用されている。一方、リチウムイオン電池を急速充電、或いは、急速放電を行えるようにしたり、大容量化に対応したりするため、マイナス電極の材料として、シリコンを利用することが注目されている。シリコンにおいては、蓄電容量が炭素系材料に比べて数倍になることが期待され、そのためには、シリコンを微細粉末状にすることが重要とされている。
このような微細粉末状のシリコン(シリコン粉)を回収する技術として、加工装置から排出されるシリコン粉を含む廃液からシリコン粉を分離する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、シリコン粉を含む廃液を溜める液槽内にプラスに帯電させたシリコン吸着板を配置し、マイナスに帯電したシリコン粉を吸着させる。そして、シリコン吸着板に吸着されたシリコン粉をスクレーパで掻き落とすことにより、シリコン粉を回収する。
特開2013−119050号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載の方法においては、シリコン粉を含んでいた廃液に起因する水分を完全に除去することが困難である。一方でマイナス電極の材料等の用途に再利用されるシリコン粉においては、このような廃液に起因する水分を除去することが要請される。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、水分が除去されたシリコン粉を効果的に回収することができるシリコン粉回収方法及びシリコン粉回収装置を提供することを目的とする。
本発明のシリコン粉回収方法は、加工液と砥粒とを用いて固体のシリコンを削り、排出されるシリコン粉を含んだ廃液を回収し、廃液の水分を除去してシリコン粉を回収するシリコン粉回収方法であって、廃液に陽極部と陰極部とを着水させ、陽極部と陰極部とに通電させプラスに帯電した陽極部にシリコン粉を付着させる付着工程と、陽極部を廃液から引き上げ陽極部に付着したシリコン粉と廃液とを含むシリコン溶液を陽極部から削ぎ取り回収する回収工程と、回収工程で陽極部から削ぎ取られたシリコン溶液の水分を乾燥手段で乾燥させる乾燥工程と、を具備することを特徴とする。
この構成によれば、乾燥手段によって陽極部から削ぎ取られたシリコン溶液の水分を乾燥させているので、シリコン溶液に含まれる水分を蒸発させることができる。これにより、シリコン粉と廃液とを含むシリコン溶液から水分を除去することができ、水分が除去されたシリコン粉を効果的に回収することができる。
また、本発明のシリコン粉回収装置は、シリコンウエーハに砥石を当接させ加工する加工装置から排出されるシリコン粉を含む廃液からシリコン粉を回収するシリコン粉回収装置であって、加工装置から排出される廃液に着水させる陽極部と陰極部と、陽極部に付着したシリコン粉を陽極部から削ぎ取る削ぎ取り手段と、削ぎ取り手段が削ぎ取ったシリコン粉と廃液とからなるシリコン溶液を乾燥させる乾燥手段と、乾燥手段で乾燥したシリコン粉を収集する収集ボックスと、を具備することを特徴とする。
この構成によれば、乾燥手段によって陽極部から削ぎ取られたシリコン溶液の水分を乾燥させているので、シリコン溶液に含まれる水分を蒸発させることができる。これにより、シリコン粉と廃液とを含むシリコン溶液から水分を除去することができ、水分が除去されたシリコン粉を効果的に収集ボックスに回収することができる。
本発明によれば、水分が除去されたシリコン粉を効果的に回収することができる。
本実施の形態に係るシリコン粉回収装置の概略斜視図である。 図1に示すA−A線における断面図である。 本実施の形態に係るシリコン粉回収装置の断面模式図である。 本実施の形態に係るシリコン粉回収装置が有する削ぎ取り手段の模式図である。 本実施の形態に係るシリコン粉回収装置が有する乾燥手段の模式図である。
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本発明に係るシリコン粉回収装置は、シリコンウエーハに砥石を当接させ加工する加工装置から排出されるシリコン粉を含む廃液からシリコン粉を回収するものである。以下においては、本発明に係るシリコン粉回収装置にシリコン粉を含む廃液を供給する加工装置として、シリコンウエーハを研削する研削装置を例に説明する。しかしながら、シリコン粉を含む廃液を供給する加工装置についてはこれに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
図1は、本実施の形態に係るシリコン粉回収装置の概略斜視図である。図2は、図1に示すA−A線における断面図である。図3は、本実施の形態に係るシリコン粉回収装置の断面模式図である。なお、図1においては、説明の便宜上、後述する収集ボックス7をシリコン粉回収装置から引き出した状態について示している。また、図3においては、本実施の形態に係るシリコン粉回収装置にシリコン粉を含む廃液を供給する加工装置の一部を示すと共に、シリコン粉回収装置の要部を示している。
図1に示すように、本実施の形態に係るシリコン粉回収装置(以下、単に「回収装置」という)1は、廃液収容タンク2と、分離処理手段3と、回収手段4と、浄水貯水タンク5と、乾燥手段6と、収集ボックス7と、制御手段8とを含んで構成されている。このような構成を有し、本実施の形態に係る回収装置1は、シリコンウエーハSに砥石103dを当接させ加工する加工装置(研削装置)100から排出されるシリコン粉Pを含む廃液Lからシリコン粉Pを回収するものである(図3参照)。
廃液収容タンク2は、廃液Lを収容する容器である。廃液収容タンク2は、回収装置1の筐体10の底上でかつ後述する分離処理手段3の液槽31の側方に配置されている。廃液収容タンク2内には、上述したように、シリコンウエーハSに研削加工を施す研削装置100からシリコン粉Pを含んだ廃液Lが供給される。
ここで、廃液収容タンク2に廃液Lを供給する研削装置100の構成例について、図3を参照しながら説明する。図3に示すように、研削装置100は、基台101の上部に設けられたチャックテーブル102と、チャックテーブル102に保持されたシリコンウエーハSを研削する研削手段103とを含んで構成されている。
チャックテーブル102は、概して円盤形状を有し、図示しないチャック回転手段によって円盤中心を軸に回転可能に設けられている。チャックテーブル102の上面にはシリコンウエーハSを吸着保持する保持面102aが設けられている。保持面102aは、例えば、ポーラスセラミック材により構成されており、ポーラスセラミック材は吸引源(不図示)に接続されている。チャックテーブル102は、テーブル支持台104に支持されている。このテーブル支持台104は、基台101の上面に形成された開口部101a内に配設されている。
研削手段103では、円筒状のスピンドル103aの下端にホイールマウント103bが設けられ、ホイールマウント103bの下面に対し、研削ホイール103cが装着されている。スピンドル103aは、不図示の駆動モータの出力軸に固定されている。従って、研削ホイール103cは、この駆動モータの駆動によってスピンドル103aを介して回転される。
研削ホイール103cは、ホイール基台の下面に複数の砥石103dを環状に配置して構成されている。砥石103dは、例えば、ビトリファイドボンド砥石で構成され、スピンドル103aの駆動に伴ってZ軸周りに高速回転する。砥石103dは、下面が研削面となってシリコンウエーハSに回転しながら接触し、この接触によってシリコンウエーハSを研削して微粒子状のシリコン粉Pを生成する。
研削手段103は、不図示のノズルを備え、砥石103dによってシリコンウエーハSを研削する際に、ノズルからチャックテーブル102に保持されたシリコンウエーハSに加工液を供給する。供給された加工液には、研削加工中にシリコン粉Pが混入される。このシリコン粉Pを含む加工液が廃液Lとなる。
廃液Lは、基台101の内部に配設されたウォーターケース105に流れ込んで貯留される。ウォーターケース105は、貯留された廃液Lを排出する排水口105aを底部に備えている。なお、ウォーターケース105は、図3の左右2箇所の位置に図示しているが、図3中紙面直交方向両側にも形成されており、平面視では矩形の枠状に形成され、一体となる貯水空間を有している。
排出口105aは、送給管105bを介して、廃液収容タンク2の供給口21に連通している。これにより、ウォーターケース105内の廃液Lが廃液収容タンク2内に流れ込んで収容される。
廃液収容タンク2には、内部の廃液Lを後述する分離処理手段3の液槽31に送出する廃液ポンプ22を備えている。液槽31には流入口31aが設けられ、この流入口31aは廃液ポンプ22の吐出口に送給管23を介して接続されている。廃液ポンプ22は、この送給管23を介してシリコン粉Pを含む廃液を液槽31内に送給する。
分離処理手段3は、廃液ポンプ22によって供給された廃液Lからシリコン粉Pとシリコン粉Pを含まない浄水Wとに分離する。この分離処理手段3は、図1及び図2に示すように、液槽31と、複数のシリコン吸着板32と、複数のシリコン通過規制部33とを備えている。
液槽31は、上部が開放された直方体形状の容器であって、廃液ポンプ22により供給された廃液Lを溜める。液槽31は、側方に廃液収容タンク2が位置するように筐体10の底上に設けられている。液槽31には、送給管23が接続されている(図3参照)。また、液槽31の上部には、廃液Lが溢れることを防止する図示しないドレン管が設けられている。ドレン管は、廃液収容タンク2に連結して、液槽31から溢れようとした廃液Lを再び廃液収容タンク2に導く。
シリコン吸着板32は、陽極部を構成するものであり、電気化学的に貴となる材料で構成され、平面形状が矩形状の平板状に形成されている。例えば、シリコン吸着板32は、銅(Cu)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)などの材料で構成することができる。本実施の形態では、ステンレス鋼(SUS316やSUS304など)を適用している。
シリコン吸着板32は、液槽31内に等間隔で複数配置されている。複数のシリコン吸着板32は、その表面が液槽31の長手方向と直交する状態、言い換えると、液槽31の幅方向と平行な状態で、互いに間隔をあけて配置されている。シリコン吸着板32には、幅方向の中央部から互いに間隔をあけて上方に突出した二つの被係合片32aが設けられている。被係合片32aは、矩形状の板状に形成され、中央にシリコン吸着板32の表面に沿って貫通した被係合孔32bが設けられている。被係合孔32bには、回収手段4の後述する吸着板移動部42の突没ピン423eが進入して係合する。
シリコン通過規制部33は、互いに隣り合うシリコン吸着板32の間に設けられている。シリコン通過規制部33は、シリコン吸着板32に対向して、シリコン吸着板32と離間して交互に複数配設されている。シリコン通過規制部33は、液槽31内に等間隔で配置され、シリコン吸着板32と平行に配置されている。
シリコン通過規制部33は、図2に示すように、筐体33aと、排出部33bとを備えている。筐体33aは、矩形状の枠体33cと、枠体33cの両側開口面を塞ぐように互いに間隔をあけて平行をなすように配設された一対のシリコン通過規制板33dとを備える。即ち、筐体33aは、枠体33cと一対のシリコン通過規制板33dとから構成されている。
シリコン通過規制板33dは、陰極部を構成するものであり、シリコン吸着板32と同様に、電気化学的に貴となる材料で構成され、平面形状が矩形状の平板状に形成されている。例えば、シリコン通過規制板33dは、銅(Cu)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)などの材料で構成される。本実施の形態では、ステンレス鋼(SUS316やSUS304など)を適用している。
本実施の形態において、シリコン吸着板32とシリコン通過規制板33dとの間には直流電圧が印加される(図2参照)。すなわち、シリコン吸着板32に直流電源DCのプラス(+)側が電気的に接続されて廃液L中でプラスに帯電される。シリコン吸着板32は、廃液L中でプラスに帯電されて、廃液L中でマイナスに帯電したシリコン粉Pを吸着するために用いられる。一方、シリコン通過規制板33dに直流電源DCのマイナス(−)側が電気的に接続されて廃液L中でマイナスに帯電される。
シリコン通過規制板33dは、網目状に形成される。シリコン通過規制板33dの網目の開口は、シリコン粉Pよりも十分に大きく形成されている。シリコン通過規制板33dは、網目でシリコン粉Pを引っ掛ける機能を有することなく、マイナスに帯電されることで、シリコン粉Pに対して斥力を発生させる程度の網目粗さでよい。シリコン通過規制板33dは、マイナスに帯電されることで、廃液Lの液体としての浄水(水)Wのみの通過を許容し、マイナスに帯電したシリコン粉Pとの間に斥力を生じて、シリコン粉Pの通過を規制する。筐体33aは、枠体33cと一対のシリコン通過規制板33dから構成されることで、シリコン通過規制板33dを通過した浄水Wが存在する領域を内側に形成し、シリコン通過規制板33dがシリコン粉Pとの間に斥力を生じることで、浄水Wが存在する領域を液槽31内の廃液Lから区画する。
排出部33bは、各筐体33aに設けられ、筐体33a内に配置された浄水Wを浄水貯水タンク5へ排出する。排出部33bは、筐体33aに配設された送給配管33eと、送給配管33eに連結された開閉バルブ33fとを有している。送給配管33eは、筐体33aと浄水貯水タンク5との双方に連結している。送給配管33eは、枠体33cの上部中央から立設していると共に、浄水貯水タンク5の上方に向かって水平に屈曲した後、浄水貯水タンク5に向かって下方に屈曲して、浄水貯水タンク5の後述する供給口51に連結している。送給配管33eは、シリコン通過規制板33dを通過した浄水Wを各筐体33a内から浄水貯水タンク5に送給する。開閉バルブ33fは、送給配管33eの流路上に設けられており、送給配管33e内の流路を開閉自在に構成される。
回収手段4は、分離処理手段3で分離されたシリコン粉Pを回収する。回収手段4は、図1に示すように、シリコン吸着板32からシリコン粉P(より具体的には、シリコン粉Pを含むシリコン溶液SF(図4参照))を回収する回収部41と、シリコン吸着板32を分離処理手段3の液槽31中から回収部41まで移動させる吸着板移動部42とを備えている。
回収部41は、図1に示すように、分離処理手段3の液槽31の一端部の外側に配置されている。回収部41は、下方が開口した箱状の回収容器43と、回収容器43内に設けられた削ぎ取り手段44(図1に不図示、図4参照)とを備えている。
吸着板移動部42は、分離処理手段3の液槽31の上方に設けられている。吸着板移動部42は、図1に示すように、水平移動手段42aと、鉛直板42bと、昇降手段42cと、昇降板42dと、吸着板支持手段42eとを備えている。
水平移動手段42aは、シリコン吸着板32を、液槽31の上方において、液槽31の長手方向に沿って移動させる手段である。水平移動手段42aは、水平ボールねじ421aと、図示しない水平移動用モータと、一対の水平移動用のガイドレール422aとを備えている。水平ボールねじ421aは、液槽31の長手方向と平行に設けられ、筐体10の上部に軸心回りに回転自在に支持されている。水平ボールねじ421aは、液槽31よりも長く形成されて、液槽31の回収部41から離れた側の他端部の上方と回収部41の上方とに亘って設けられている。水平ボールねじ421aには、鉛直板42bに取り付けられたナット421bが螺合している。
水平移動用モータは、装置本体などに設けられて、水平ボールねじ421aを軸心回りに回転駆動させる。一対の水平移動用のガイドレール422aは、水平ボールねじ421aと平行に筐体10の上部に配設され、鉛直板42bに固定されたスライドブロック422bがスライド可能に取り付けられている。一対の水平移動用のガイドレール422aは、液槽31よりも長く形成されて、液槽31の他端部の上方と回収部41の上方とに亘って設けられている。水平移動手段42aは、水平移動用モータにより水平ボールねじ421aを回転駆動させることで、鉛直板42b(吸着板支持手段42e)により係合されたシリコン吸着板32を一対の水平移動用のガイドレール422aによりガイドしつつ液槽31の長手方向に沿って移動させる。
鉛直板42bは、両表面が鉛直方向及び液槽31の幅方向の双方と平行に設けられている。鉛直板42bは、ナット421bとスライドブロック422bとが固定されて、水平移動用のガイドレール422aに沿って移動自在に構成されている。
昇降手段42cは、シリコン吸着板32を液槽31内から引き上げ、或いは、シリコン吸着板32を液槽31に挿入するために、シリコン吸着板32を昇降させる手段である。昇降手段42cは、鉛直ボールねじ421cと、図示しない昇降用モータと、一対の昇降用のガイドレール422cとを備えている。鉛直ボールねじ421cは、鉛直方向と平行に設けられ、鉛直板42bの表面に軸心回りに回転自在に支持されている。鉛直ボールねじ421cは、シリコン吸着板32の高さよりも長く形成されて、鉛直板42bの全長に亘って設けられている。鉛直ボールねじ421cには、昇降板42dに取り付けられた図示しないナットが螺合している。
昇降用モータは、鉛直板42bなどに設けられて鉛直ボールねじ421cを軸心回りに回転駆動させる。一対の昇降用のガイドレール422cは、鉛直ボールねじ421cと平行に鉛直板42bの表面に配設され、昇降板42dをスライド可能に支持している。一対の昇降用のガイドレール422cは、シリコン吸着板32の高さと略等しい長さに形成されて、鉛直板42bの全長に亘って設けられている。昇降手段42cは、昇降用モータにより鉛直ボールねじ421cを回転駆動させることで、昇降板42d(吸着板支持手段42e)により係合されたシリコン吸着板32を一対のガイドレール422cでガイドしつつ昇降移動させる。
昇降板42dは、液槽31の幅方向と平行な帯板状に形成されて、鉛直板42bの自由端側の表面上に配設されている。昇降板42dは、図示しないナットとスライドブロックが固定されて、昇降用のガイドレール422cに沿って移動自在に設けられている。
吸着板支持手段42eは、一対のチャックシリンダ421eを備えている。一対のチャックシリンダ421eは、液槽31の幅方向に互いに間隔をあけて配設されている。チャックシリンダ421eは、昇降板42dに取り付けられたシリンダ本体422eと、シリンダ本体422eから突没自在に設けられた突没ピン423eとを備えている。チャックシリンダ421eは、シリンダ本体422eから突出する突没ピン423eが互いに近づく状態で、昇降板42dの下面に取り付けられている。突没ピン423eは、液槽31の幅方向と平行な円柱状に形成されている。突没ピン423eは、図1中に点線で示す位置と、実線で示す位置とに亘って、シリンダ本体422eから突没する。突没ピン423eは、昇降板42dが昇降手段42cにより降下された状態で、シリンダ本体422eから突出すると、シリコン吸着板32の被係合孔32b内に侵入して係合する。
回収容器43は、上面にシリコン吸着板32を通すことのできるスリット43aが設けられている。また、回収容器43の側面(図1に示す右下方側の側面)には、回収容器43内に窒素(N)ガスを吹き込むために利用される吹込口43bが設けられている。窒素ガスは、回収容器43内の空間を脱酸素状態とするために吹き込まれる。回収容器43内を脱酸素状態とすることにより、後述するシリコン溶液SF内のシリコン粉Pの表面に酸化膜が形成されるのを抑制することができる。
削ぎ取り手段44は、回収容器43内であってスリット43aの近傍に設けられている。図4は、本実施の形態に係る回収装置1が有する削ぎ取り手段44の模式図である。なお、図4においては、分離処理手段3が備えるシリコン吸着板32及びシリコン吸着板32を昇降する昇降手段42cを示している。図4Aは、シリコン吸着板32に吸着されたシリコン粉P(より具体的には、シリコン粉Pと廃液とを含むシリコン溶液SF)を削ぎ取る前の状態の削ぎ取り手段44を示し、図4Bは、シリコン吸着板32に吸着されたシリコン溶液SFを削ぎ取った後の状態の削ぎ取り手段44を示している。
図4に示すように、削ぎ取り手段44は、回収容器43内に設けられた支持板部43cに配設されている。この支持板部43cは、回収容器43の内側側面から、回収容器43の上面と平行に延在して設けられている。支持板部43cには、スリット43aに対応する位置にスリット43dが形成されている。削ぎ取り手段44は、支持板部43c上に配置される一対の開閉シリンダ44aと、この開閉シリンダ44aから回収容器43の内側に延出して設けられる一対の削ぎ取りプレート44bとを備えている。
一対の開閉シリンダ44aは、スリット43dを挟んで対向する支持板部43c上に設けられている。削ぎ取りプレート44bは、これらの開閉シリンダ44aのスリット43側の側面から相手側の開閉シリンダ44aに向けて延出している。削ぎ取りプレート44bは、液槽31の幅方向と平行に延びる帯板状に形成されている。削ぎ取りプレート44bは、シリコン吸着板32の幅よりも僅かに長い長さに形成されている。開閉シリンダ44aは、図示しない駆動モータに接続されている。削ぎ取りプレート44bは、開閉シリンダ44aの駆動状態に応じてスリット43d上に進退可能に構成される。
このような構成を有し、削ぎ取り手段44は、回収容器43内に収容されたシリコン吸着板32の表面を削ぎ取りプレート44bで挟み込むことができる。シリコン吸着板32の表面を挟み込んだ状態で、回収手段4の昇降手段42cがシリコン吸着板32を引き上げることにより、シリコン吸着板32に吸着されたシリコン粉P(より具体的には、シリコン粉Pと廃液とを含むシリコン溶液SF)を削ぎ取ることができる(図4B参照)。
浄水貯水タンク5は、分離処理手段3で廃液Lから分離されたシリコン粉Pを含まない浄水Wを貯水する容器である。浄水貯水タンク5は、図1に示すように、廃液収容タンク2上に重ねられ、且つ、分離処理手段3の液槽31の側方に配設されている。シリコン通過規制部33の筐体33a内に配置された浄水Wは、送給配管33eを介して供給口51に送給され、浄水貯水タンク5に貯水される。
乾燥手段6は、回収手段4の回収容器43の下方側に配置されている。乾燥手段6は、回収手段4の回収部41により回収されたシリコン溶液SFから水分を蒸発させて取り除く役割を果たす。乾燥手段6は、乾燥ボックス61と、一対の搬送ローラ62、63と、搬送ベルト64と、駆動モータ65と、ヒーター部66とを備えている(図3、図5参照)。以下、この乾燥手段6の構成について、図3及び図5を参照しながら説明する。図5は、本実施の形態に係る回収装置1が有する乾燥手段6の模式図である。なお、図5においては、説明の便宜上、乾燥ボックス61を省略すると共に、シリコン溶液SF及び収集ボックス7を示している。
乾燥ボックス61は、概して直方体形状を有しており、その上面及び下面の一部が開放されている。すなわち、乾燥ボックス61では、上面における削ぎ取り手段44に対応する位置に開口部61aが形成され、下面における収集ボックス7に対応する位置に開口部61bが形成されている(図3参照)。この乾燥ボックス61内の空間に、乾燥ボックス61を除く乾燥手段6の構成要素が収容されている。
一対の搬送ローラ62、63は、乾燥ボックス61内で僅かに高低差を有した状態で図3に示すY軸方向に離間した状態で配置されている。より具体的には、搬送ローラ62が液槽31側の端部近傍に配置され、搬送ローラ63よりも低い位置で乾燥ボックス61内の反対側の端部近傍に配置されている。これらの搬送ローラ62、63は、液槽31の幅方向に平行な方向(図3に示すX軸方向)に延在するように配置されている。これらの搬送ローラ62、63は、シリコン吸着板32の幅よりも僅かに長い長さを有している。
搬送ベルト64は、これらの搬送ローラ62、63に巻き掛けられた無端ベルトで構成される。搬送ベルト64は、搬送ローラ62、63と同様に、シリコン吸着板32の幅よりも僅かに長い幅を有している。搬送ベルト64は、例えば、テフロン(登録商標)などの樹脂製のベルトによって構成される。このように樹脂製の搬送ベルト64を用いることにより、シリコン粉Pを搬送ベルト64の表面から剥離し易くすることができる。また、耐久性、熱伝導性、シリコン粉Pの剥離性を考慮すると、心材が銅などの金属を使用し、シリコン溶液SFを載置する表面にテフロンシートを使用した搬送ベルト64を採用することは実施の形態として好ましい。または、金属製のベルトの表面にテフロンコーティングを施した搬送ベルト64を用いるようにしても良い。
駆動モータ65は、搬送ローラ62に接続されており、駆動力を供給する。搬送ローラ62は、駆動モータ65からの駆動力を受けて図5に示す矢印A方向に回転する。同様に、搬送ローラ63は、搬送ベルト64を介して搬送ローラ62からの駆動力を受けて図5に示す矢印B方向に回転する。これらの搬送ローラ62、63の回転に伴い、搬送ベルト64は図5に示す矢印C方向に回転する。
ヒーター部66は、搬送ローラ62と搬送ローラ63との間であって、上方側に配置される搬送ベルト64の裏面(下面)近傍に配置される。ヒーター部66は、搬送ベルト64上に搬送されたシリコン溶液SFを加熱する役割を果たす。ヒーター部66には、例えば、電気抵抗で熱を発生させる抵抗加熱方式を採用することができるが、これに限定されない。搬送ベルト64上のシリコン溶液SFを加熱することを前提として、任意の加熱方式を採用することができる。また、搬送ベルト64に対する位置についても適宜変更することができる。
収集ボックス7は、乾燥装置6の下方側に配置されている。収集ボックス7は、上方が開口した箱状を有している。収集ボックス7は、上方の開口部を乾燥手段6の搬送ローラ63に対峙させた状態で配置され、搬送ベルト64により搬送されるシリコン粉Pが貯蔵される。また、収集ボックス7は、図1に示すように、回収装置1の筐体10から引き出すことができ、貯蔵されたシリコン粉Pを容易に取り出すことができる。また、吹込口43bから吹き込まれた窒素ガスによって、回収容器43、乾燥ボックス61、収集ボックス7を窒素雰囲気にして、シリコン粉Pの表面における自然酸化膜の付着を防止することができる。
制御手段8は、回収装置1の構成要素をそれぞれ制御するものである。制御手段8は、各種処理を実行するプロセッサや、ROM、RAMなどの記憶媒体を含んで構成される。例えば、制御手段8は、回収手段4の吸着板移動部42や削ぎ取り手段44、乾燥手段6の駆動等を制御する。
次に、本実施の形態の回収装置1を用いたシリコン粉Pの回収方法について説明する。先ず、図3に示すように、シリコンウエーハSをチャックテーブル102の保持面102aで吸引保持した後、テーブル支持台104を駆動してチャックテーブル102をシリコンウエーハSが砥石28と対向する研削位置で位置決めした状態とする。この状態から、砥石102dを回転しながら研削手段103を下降させる。そして、不図示のノズルからシリコンウエーハSに加工液を供給しつつ、シリコンウエーハSに砥石103dを接触させて研削加工を行う。この研削加工によってシリコンウエーハSが研削されて微細な粉末状をなすシリコン粉Pが形成されると共に、シリコン粉Pが加工液に混入して廃液Lが生成される。生成された廃液Lは、開口部101aを介してウォーターケース105に流れ込んだ後、廃液収容タンク2を経て液槽31に貯水される。
このように廃液Lが液槽31に貯水された状態において、本実施の形態に係るシリコン粉回収方法では、まず、液槽31に貯水された廃液Lからシリコン粉Pをシリコン吸着板32に付着させる付着工程を行う。この付着工程では廃液Lにシリコン吸着板32及びシリコン通過規制板33dを着水させ、シリコン吸着板32に直流電源DCのプラス(+)を通電する一方、シリコン通過規制板33dに直流電源DCのマイナス(−)を通電する。このように通電すると、廃液Lに混入されてマイナス(−)に帯電されているシリコン粉Pは、電気泳動によって、マイナス(−)に帯電されたシリコン通過規制板33dから反発し、プラス(+)に帯電されたシリコン吸着板32に吸着される(図2参照)。
続いて、シリコン吸着板32に付着したシリコン粉Pと廃液Lとを含むシリコン溶液SFを回収手段4で回収する回収工程を行う。この回収工程では、回収手段4の吸着板移動部42により、シリコン吸着板32を廃液Lから引き上げると共に、回収部41の回収容器43の上方まで移動させる。そして、上面のスリット43aを介してシリコン吸着板32を回収容器43内に挿入する(図4A参照)。その後、削ぎ取り手段44の開閉シリンダ44aで削ぎ取りプレート44bを駆動し、シリンダ吸着板32を挟み込む。この状態から吸着板移動部42(昇降手段42c)でシリンダ吸着板32を引き上げる(図4B参照)。これにより、シリコン吸着板32からシリコン溶液SFが削ぎ取られ、回収される。
次に、シリコン吸着板32から削ぎ取ったシリコン溶液SFの水分を乾燥手段6で乾燥させる乾燥工程を行う。この乾燥工程では、削ぎ取り手段44により削ぎ取られたシリコン溶液SFが下方に配置された乾燥手段6(より具体的には、搬送ベルト64)に移動される。そして、駆動モータ65により搬送ベルト64を回転させてシリコン溶液SFを搬送すると共に、ヒーター部66により加熱することでシリコン溶液SFの水分を蒸発させる。これにより、シリコン粉Pと廃液Lとからなるシリコン溶液SFの水分を除去する。
このようにヒーター部66によりシリコン溶液SFから水分を除去することにより、搬送ベルト64上にはシリコン粉Pのみが残存する。搬送ベルト64上のシリコン粉Pは、搬送ローラ63を超えて搬送されると、収集ボックス7内に落下する。これにより、収集ボックス7において水分が除去されたシリコン粉Pを採取することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、削ぎ取り手段44によってシリコン吸着板32から削ぎ取られたシリコン溶液SFの水分を乾燥手段6によって蒸発させることができ、水分が除去されたシリコン粉Pを効果的に回収することができる。
特に、本実施の形態によれば、乾燥手段6が備えるヒーター部66で加熱することよってシリコン粉Pと廃液Lとを含むシリコン溶液SFの水分を乾燥させているので、シリコン溶液SFに含まれる水分を効果的に除去することができる。これにより、回収したシリコン粉Pに窒素ガス等を吹き付けて乾燥させる場合と比べて効果的に水分を除去することができ、水分が除去されたシリコン粉Pを効率的に回収することができる。
また、本実施の形態においては、水分を除去して乾燥した状態のシリコン粉Pを収集ボックス7に回収する。このため、シリコン粉Pに水分が含まれる場合のようにシリコン粉Pが酸化する事態を防止すると共に、水素が発生する事態を防止することができる。この結果、安全にシリコン粉Pを取り扱うことができる。
さらに、本実施の形態においては、搬送ベルト64上を搬送する過程でヒーター部66の加熱によりシリコン溶液SFから水分を除去している。このため、搬送ベルト64上には、水分が除去されて乾燥したシリコン粉Pが塊として残存する。これにより、搬送ベルト64上で搬送ローラ63を超えて搬送された場合に収集ボックス7に落下し易くなる。この結果、収集ボックス7に対する収集作業を効率化することができる。
さらに、本実施の形態によれば、シリコン粉Pの採取に電気泳動を利用しているので、均等な粒子径のシリコン粉Pを容易に採取することができる。しかも、砥石103dによる研削によってシリコン粉Pを形成するので、砥粒を小さくすることによってシリコン粉Pの粒子径を容易に小さくすることができる。これにより、本実施の形態のシリコン粉Pをリチウムイオン電池のマイナス電極に利用することで、リチウムイオン電池の急速充電や急速放電、蓄電の大容量化に寄与することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、乾燥ボックス61、搬送ローラ62、63、搬送ベルト64、駆動モータ65及びヒーター部66を構成部品として含む乾燥手段6について説明している。しかしながら、乾燥手段6の構成については、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。ヒーター部66を備えることを前提として、任意の構成部品を備えた乾燥手段6を適用することが可能である。
上記実施の形態においては、ヒーター部66を備え、搬送ベルト64上のシリコン溶液SFの水分を乾燥させる場合について示している。しかしながら、乾燥手段6の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、搬送ベルト64を振動させて搬送ベルト64上に載置したシリコン溶液SFが、乾燥ボックス61内の気体と接触することで乾燥させる乾燥手段6を採用しても良い。この場合には、ヒーター部66を備えなくとも乾燥することが可能になるが、シリコン溶液SFの表面が乾燥されやすく内部が乾燥され難い。シリコン粉Pの乾燥の観点からは、上記実施の形態のようにヒーター部66を備える乾燥手段6の方が好ましい。
以上説明したように、本発明は、水分が除去されたシリコン粉を効率的に回収することができ、シリコンウエーハを研削して形成されたシリコン粉を含んだ廃液を回収し、この廃液からシリコン粉を回収するシリコン粉回収方法及びシリコン粉回収装置に有用である。
1 シリコン粉回収装置(回収装置)
3 分離処理手段
31 液槽
32 シリコン吸着板
33 シリコン通過規制部
33d シリコン通過規制板
4 回収手段
41 回収部
44 削ぎ取り手段
44a 開閉シリンダ
44b 削ぎ取りプレート
6 乾燥手段
62、63 搬送ローラ
64 搬送ベルト
66 ヒーター部
7 収集ボックス
8 制御手段
100 加工装置(研削装置)
103d 砥石
L 廃液
P シリコン粉
S シリコンウエーハ
SF シリコン溶液
W 浄水

Claims (2)

  1. 加工液と砥粒とを用いて固体のシリコンを削り、排出されるシリコン粉を含んだ廃液を回収し、該廃液の水分を除去して該シリコン粉を回収するシリコン粉回収方法であって、
    該廃液に陽極部と陰極部とを着水させ、該陽極部と該陰極部とに通電させプラスに帯電した該陽極部に該シリコン粉を付着させる付着工程と、
    該陽極部を該廃液から引き上げ該陽極部に付着した該シリコン粉と該廃液とを含むシリコン溶液を該陽極部から削ぎ取り回収する回収工程と、
    該回収工程で該陽極部から削ぎ取られた該シリコン溶液の水分を乾燥手段で乾燥させる乾燥工程と、からなるシリコン粉回収方法。
  2. シリコンウエーハに砥石を当接させ加工する加工装置から排出されるシリコン粉を含む廃液からシリコン粉を回収するシリコン粉回収装置であって、
    該加工装置から排出される該廃液に着水させる陽極部と陰極部と、該陽極部に付着した該シリコン粉を該陽極部から削ぎ取る削ぎ取り手段と、該削ぎ取り手段が削ぎ取った該シリコン粉と該廃液とからなるシリコン溶液を乾燥させる乾燥手段と、該乾燥手段で乾燥した該シリコン粉を収集する収集ボックスと、からなるシリコン粉回収装置。
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