JP2016045463A - エレクトロクロミック調光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定動作可能であり、光透過性に優れたトリアリールアミンを用いたエレクトロクロミック調光素子の提供。
【解決手段】第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極と前記第二の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック調光素子であって、前記第一の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物を有し、前記エレクトロクロミック調光素子を構成する部材が、光透過性を有するエレクトロクロミック調光素子である。
【選択図】なし

Description

本発明は、エレクトロクロミック調光素子に関する。
電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。このようなエレクトロクロミズムを示すエレクトロクロミック材料は、一般に、対向する2つの電極間に形成され、イオン伝導可能な電解質層が電極間に満たされた構成で酸化還元反応する。前記対向する2つの電極のうちの一方の近傍で還元反応が生じるときには、第2の電極の近傍では、逆反応である酸化反応が生じる。
前記エレクトロクロミック材料の応用として、透過光強度を任意の強さに調節可能なエレクトロクロミック調光素子がある。前記エレクトロクロミック調光素子は、建物の窓に用いることで室内に取り込む光の強度を調節する調光ウィンドウ、メガネレンズに用いることで各個人の感覚に合わせて眩しさを軽減できる調光レンズ、低角度の日光や後続車のヘッドライトの反射光を弱める防眩ミラーとして、広く用いられている。このようなエレクトロクロミック調光素子において、高いコントラスト比を得ようとする場合には、所望の波長領域においてなるべく吸光係数の小さい状態を有する材料により構成されていることが重要である。
前記課題を解決できる材料としては、中性状態が可視域で透明状態であり、還元状態で発色するエレクトロクロミック現象を示すビオロゲン化合物などが挙げられる。前記ビオロゲン化合物は同じく可視領域で吸光係数の小さな酸化チタン微粒子と組み合わせることによって、高い光学的濃度や高コントラスト比を維持できることが報告されている。特にエレクトロクロミック材料を用いた反射型表示素子などで好適に用いられている。
また、中性状態が透明で酸化状態で発色するエレクトロクロミック材料としては、トリアリールアミン化合物などが報告されている(非特許文献1及び非特許文献2参照)。
しかしながら、前記非特許文献1には、トリアリールアミン化合物との共重合材料とpoly(choline methacrylate)(PCM)を十数層に分けて積層したエレクトロクロミック素子が開示されている。更に加えて作製プロセスが煩雑であり実用的な開示であるとは言いがたく、最良の構成で500回程度の繰返しが評価されているが、光透過性に関しては何ら開示されていない。
また、前記非特許文献2においては、トリアリールアミン化合物の担持粒子として酸化チタンが用いられ、良好な繰返し性能を有することが示されている。しかし、前記酸化チタンは屈折率約2.5の高屈折率材料として知られている。これはエレクトロクロミック調光素子を構成する部材の中では際立って高屈折率であり、他の部材との界面で光散乱を起こしやすく、光透過率の低下の原因となってしまう。
そこで、本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、安定動作可能であり、光透過性に優れたトリアリールアミンを用いたエレクトロクロミック調光素子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のエレクトロクロミック調光素子は、第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極と前記第二の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック調光素子であって、
前記第一の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物を有し、
前記エレクトロクロミック調光素子を構成する部材が、光透過性を有することを特徴とする。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、安定動作可能であり、光透過性に優れたトリアリールアミンを用いたエレクトロクロミック調光素子を提供することができる。
図1は、本発明のエレクトロクロミック調光素子の一例を示す概略図である。 図2は、本発明のエレクトロクロミック調光素子を用いたメガネの構造の一例を示す概略図である。
(エレクトロクロミック調光素子)
本発明のエレクトロクロミック調光素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質とを有してなり、支持体を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、電子写真方式の複写機の感光体に実用的に使われている熱又は光硬化型トリアリールアミン化合物に注目した。
前記熱又は光硬化型トリアリールアミン化合物を含む感光体は、複写機の現像プロセス(帯電、露光、現像、転写、分離、定着)の定着以外に関わる重要な部材である。
前記複写機の現像プロセス中では感光体は、常に水分、酸素を含んだ大気中に曝されている。更に加えて、露光、除電のプロセスにおいて強い光に曝され、高速で静電的帯電除電を繰り返すように設計されている。
これらの光耐久性に対する耐性、及び酸化還元プロセスに類似する静電的帯電除電の繰り返し耐性に着目しエレクトロクロミック素子への検討を行った。つまり、エレクトロクロミック素子へ適応する際の要求物性(中性状態で透明である、溶解性がある、積層が可能であるなど)に適応しうる熱又は光硬化型トリアリールアミン化合物の骨格を選択し、エレクトロクロミック素子の最適な構成条件、構成位置にて適応することで、従来のエレクトロクロミック素子技術を凌ぐ効果、特に繰り返し耐性及び光耐久性に優れていることを知見した。
本発明においては、前記第1の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物を有する。
また、前記第1の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物とを含むエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物を有することが、重合物の溶解性及び耐久性の点から好ましい。
ここで、前記「第1の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物を有する」とは、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物からなるエレクトロクロミック層を前記第1の電極上に積層した態様、前記エレクトロクロミック層を前記第1の電極上に2層以上積層した態様、前記エレクトロクロミック層を前記第1の電極上の一部に積層した態様、などが挙げられる。
また、前記「第1の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物を有する」とは、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物からなるエレクトロクロミック層を前記第1の電極上に積層した態様、前記エレクトロクロミック層を前記第1の電極上に2層以上積層した態様、前記エレクトロクロミック層を前記第1の電極上の一部に積層した態様、などが挙げられる。
本発明においては、エレクトロクロミック調光素子を構成する部材が、光透過性を有する。
ここで、前記「光透過性を有する」とは、可視光領域(400nm〜700nm)における光透過率の平均値が80%以上であることを意味する。
前記光透過率の平均値は、可視光領域(400nm〜700nm)における透過率の値を1nm間隔で取得し、算術平均したものである。
前記光透過率は、例えば、分光光度計(株式会社日立製作所製、U−33000型分光光度計)を用いて測定することができる。
前記エレクトロクロミック調光素子を構成する部材のヘイズ値は、2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。
前記ヘイズ値は、例えば、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH−5000)を用いて測定することができる。
前記エレクトロクロミック調光素子を構成する部材としては、例えば、電極、エレクトロクロミック層、電解質層、支持体、絶縁性多孔質層、劣化防止層、保護層などが挙げられる。
前記エレクトロクロミック調光素子においては、高いコントラスト比の実現が望まれている。つまり、発色状態では発色濃度が濃く、消色状態では透過率が高いことが要求される。発色濃度を濃くするためには、電極表層に用いられるエレクトロクロミック材料層の厚みを厚くすることが好ましい。しかし、前記エレクトロクロミック材料自身の吸光度が大きい場合、消色状態での光透過率が低下するという問題がある。この課題を解決できる材料としては、中性状態が可視域で透明状態であり、還元状態で発色するエレクトロクロミック現象を示すビオロゲン化合物が挙げられる。前記ビオロゲン化合物は、同じく可視領域で吸光係数の小さな酸化チタン粒子と組み合わせることによって、高い光学的濃度や良好な応答速度(発色消色の速度)が得られることが報告されている。特にエレクトロクロミック材料を用いた反射型表示素子などで好適に用いられている。しかし、この手法にも問題点が残されている。酸化チタンは、屈折率が約2.5の高屈折率材料として知られており、これはエレクトロクロミック調光素子を構成する部材(例えば、電極、エレクトロクロミック層、電解質層等)と比較して際立って高い値である。このため、界面での反射や光散乱を起こし易く、光透過率の低下を引き起こしてしまう。
また、例えば、特開2012−98628号公報では、密度を変えた酸化チタン粒子層を複数層隣接して用いることで、電極や電解質層との境界面で生じる反射光の低減を図っている。しかし、この提案の方法では、作製プロセスが煩雑になり、実用的であるとは言い難い。
本発明では、前述した酸化チタンのような高屈折率材料を用いることなく、第1の電極上に、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含有する組成物を重合してなるエレクトロクロミック層を設けることにより、コントラスト比、繰り返し耐久性、及び応答速度に優れたエレクトロクロミック調光素子を提供できることを知見した。
<エレクトロクロミック組成物>
前記エレクトロクロミック組成物は、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含有し、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物以外の他のラジカル重合性化合物及びフィラーを含有することが好ましく、重合開始剤を含有することがより好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<<トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物>>
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物は、第1の電極の表面において酸化還元反応を有するエレクトロクロミック機能を付与するために重要である。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物としては、下記一般式1で表される化合物が挙げられる。
[一般式1]
−B
ただし、n=2のときにはmは0であり、n=1のときmは0又は1である。A及びBの少なくとも1つはラジカル重合性官能基を有する。前記Aは下記一般式2で示される構造であり、RからR15のいずれかの位置で前記Bと結合している。前記Bは下記一般式3で示される構造であり、R16からR21のいずれかの位置で前記Aと結合している。
[一般式2]
[一般式3]
ただし、RからR21は、いずれも一価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、前記一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。
−一価の有機基−
前記一般式2及び前記一般式3における前記一価の有機基としては、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、アミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換基を有していてもよいアルコキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、スルホンアミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい複素環基などが挙げられる。
これらの中でも、安定動作及び光耐久性の点から、アルキル基、アルコキシ基、水素原子、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アルケニル基、アルキニル基が特に好ましい。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基などが挙げられる。
前記複素環基としては、例えば、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾールなどが挙げられる。
前記置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
−ラジカル重合性官能基−
前記ラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であればいずれでもよい。
前記ラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(i)で表される官能基が挙げられる。
ただし、前記一般式(i)中、Xは、置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R100)−基〔R100は、水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基を表す。〕、又は−S−基を表す。
前記一般式(i)のアリーレン基としては、例えば、置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
前記アルケニレン基としては、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記一般式(i)で表されるラジカル重合性官能基の具体例としては、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基などが挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(ii)で表される官能基が挙げられる。
ただし、前記一般式(ii)中、Yは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR101基〔R101は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又はCONR102103(R102及びR103は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)〕を表す。また、Xは、前記一般式(i)のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y及びXの少なくともいずれか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、芳香族環である。
前記一般式(ii)のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記一般式(ii)で表されるラジカル重合性官能基の具体例としては、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基などが挙げられる。
なお、これらX、X、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
前記ラジカル重合性官能基の中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物としては、以下の一般式(1−1)から(1−3)で表される化合物が好適に挙げられる。
[一般式1−1]
[一般式1−2]
[一般式1−3]
前記一般式(1−1)から(1−3)中、R27からR88は、いずれも一価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、前記一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。
前記一価の有機基及び前記ラジカル重合性官能基としては、前記一般式(1)と同じものが挙げられる。
前記一般式(1)、及び前記一般式(1−1)から(1−3)で表される例示化合物としては、以下に示すものが挙げられる。前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物はこれらに限定されるものではない。
<例示化合物1>
<例示化合物2>
<例示化合物3>
<例示化合物4>
<例示化合物5>
<例示化合物6>
<例示化合物7>
<例示化合物8>
<例示化合物9>
<例示化合物10>
<例示化合物11>
<例示化合物12>
<例示化合物13>
<例示化合物14>
<例示化合物15>
<例示化合物16>
<例示化合物17>
<例示化合物18>
<例示化合物19>
<例示化合物20>
<例示化合物21>
<例示化合物22>
<例示化合物23>
<例示化合物24>
<例示化合物25>
<例示化合物26>
<例示化合物27>
<例示化合物28>
<例示化合物29>
<例示化合物30>
<例示化合物31>
<例示化合物32>
<例示化合物33>
<例示化合物34>
<例示化合物35>
<例示化合物36>
<例示化合物37>
<例示化合物38>
<例示化合物39>
<例示化合物40>
<<他のラジカル重合性化合物>>
前記他のラジカル重合性化合物は、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なり、少なくとも1つのラジカル重合性官能基を有する化合物である。
前記他のラジカル重合性化合物としては、例えば、1官能のラジカル重合性化合物、2官能のラジカル重合性化合物、3官能以上のラジカル重合性化合物、機能性モノマー、ラジカル重合性オリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、2官能以上のラジカル重合性化合物が特に好ましい。
前記他のラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基としては、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基と同様であり、これらの中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。
前記1官能のラジカル重合性化合物としては、例えば、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記2官能のラジカル重合性化合物としては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3官能以上のラジカル重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記において、EO変性はエチレンオキシ変性を指し、PO変性はプロピレンオキシ変性を指す。
前記機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報に記載のシロキサン繰り返し単位が20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ポリエステルアクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物及び前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物の少なくともいずれか一方がラジカル重合性官能基を2つ以上有していることが、架橋物を形成する点から好ましい。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物の含有量は、エレクトロクロミック組成物全量に対して、10質量%以上100質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
前記含有量が、10質量%以上であると、エレクトロクロミック層のエレクトロクロミック機能が充分に発現でき、加電圧による繰り返しの使用で耐久性が良好であり、発色感度が良好である。
前記含有量が、100質量%でもエレクトロクロミック機能が可能であり、この場合、最も厚みに対する発色感度が高い。それに相反して電荷の授受に必要であるイオン液体との相溶性が低くなる場合があるため、加電圧による繰り返しの使用で耐久性の低下などによる電気特性の劣化が現れる。使用されるプロセスによって要求される電気特性が異なるため一概には言えないが、発色感度と繰り返し耐久性の両特性のバランスを考慮すると30質量%以上90質量%以下が特に好ましい。
<<重合開始剤>>
前記エレクトロクロミック組成物は、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物との架橋反応を効率よく進行させるため、必要に応じて重合開始剤を含有することが好ましい。
前記重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられるが、重合効率の観点から光重合開始剤が好ましい。
前記熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤;アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤;などが挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、例えば、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、光重合促進効果を有するものを単独又は前記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
前記重合開始剤の含有量は、前記ラジカル重合性化合物の全量100質量部に対して、0.5質量部以上40質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましい。
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒、可塑剤、レベリング剤、増感剤、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、フィラーなどが挙げられる。
前記エレクトロクロミック層は、後述するエレクトロクロミック調光素子の製造方法により形成することができる。
前記第1のエレクトロクロミック層の平均厚みは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.4μm以上10μm以下がより好ましい。
<支持体>
支持体としては、各層を支持できる透明材料であれば、周知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。
前記支持体としては、例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス基板を用いることができる。又、支持体として、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基板を用いてもよい。
また、前記支持体の表面に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、紫外線耐性、及び視認性を高めるために透明絶縁層、UVカット層、反射防止層等がコーティングされていてもよい。
前記支持体の形状は、長方形であっても丸型であってもよく、特に限定されない。
前記支持体は複数の重ねあわせでもよく、例えば、2枚のガラス基板でエレクトロクロミック調光素子を挟持する構造にすることで、水蒸気バリア性及びガスバリア性を高めることが可能である。
前記支持体としては、レンズが好適である。
前記レンズの材料としては、眼鏡用レンズとして機能するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、透明性が高く、厚みが薄くて軽量なものが好ましい。また、熱履歴による膨張がなるべく小さい方が好ましく、ガラス転移点Tgが高い材料、線膨張係数が小さい材料が好ましい。
具体的には、ガラスの他に、特許庁の高屈折率メガネレンズに関する技術概要資料に記載されているようなものはいずれも使用でき、例えば、エピスルフィド系樹脂、チオウレタン系樹脂、メタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、又はそれらの混合物などが挙げられる。更に必要に応じて、ハードコートや密着性を改善するためのプライマーを形成していてもよい。
なお、本発明において、レンズとは、度数(屈折率)の調整がされていないもの(単なるガラス板等)も含むものとする。
本発明においては、前記エレクトロクロミック調光素子は、前記支持体に形成されていることが好ましく、前記支持体としては曲面を有するものがより好ましい。これにより、エレクトロクロミック調光素子越しに見た像の乱れが少なく、高視野角、及びデザイン性の向上が期待できる。例えば、メガネ用途の調光レンズや、自動車のウィンドウなどに用いる場合は、球面構造上にエレクトロクロミック調光素子を形成することが好ましく、特に、メガネ用途においては軽量性、及び加工性の観点から、球面表面にエレクトロクロミック調光素子のすべての要素を形成する形態が好ましい。
<第1の電極及び第2の電極>
前記第1の電極及び第2の電極の材料としては、導電性を有する透明材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と称する)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と称する)、酸化亜鉛等の無機材料などが挙げられる。これらの中でも、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOが好ましい。
更に、透明性を有するカーボンナノチューブや、他のAu、Ag、Pt、Cuなど高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して、透明度を保持したまま、導電性を改善した電極を用いてもよい。
前記第1の電極及び第2の電極の各々の厚みは、エレクトロクロミック層の酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整される。
前記第1の電極及び前記第2の電極の材料としてITOを用いた場合、第1の電極及び第2の電極の各々の厚みは、例えば、50nm以上500nm以下であることが好ましい。
前記第1の電極及び第2の電極の各々の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等を用いることができる。
前記第1の電極及び第2の電極の各々の材料が塗布形成できるものであれば特に制限はなく、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
<電解質>
前記電解質は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に充填されている。
前記電解質としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができ、具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BFなどが挙げられる。
前記電解質の材料としては、イオン性液体を用いることもできる。これらの中でも、有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造を有しているため、用いることが好ましい。
前記分子構造として、カチオン成分としては、例えば、N,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム系などが挙げられる。
また、アニオン成分としては、大気中での安定性を考慮して、フッ素を含んだ化合物を用いることが好ましく、例えば、BF 、CFSO 、PF 、(CFSOなどが挙げられる。
前記電解質の材料としては、前記カチオン成分と前記アニオン成分とを任意に組み合わせたイオン性液体を用いることが好ましい。
前記イオン性液体は、光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかに直接溶解させてもよい。なお、溶解性が悪い場合は、少量の溶媒に溶解させて、該溶液を光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかと混合して用いればよい。
前記溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
前記電解質は低粘性の液体である必要はなく、ゲル状や高分子架橋型、液晶分散型などの様々な形態をとることが可能である。電解質はゲル状、固体状に形成することで、素子強度向上、信頼性向上などの利点が得られる。
固体化手法としては、電解質と溶媒をポリマー樹脂中に保持することが好ましい。これにより高いイオン伝導度と固体強度が得られるためである。
更に、前記ポリマー樹脂としては光硬化可能な樹脂が好ましい。熱重合や溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間でエレクトロクロミック調光素子を製造できるためである。
前記電解質からなる電解質層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm以上10μm以下が好ましい。
本発明においては、前記電解質がラジカル重合性化合物を含有し、該ラジカル重合性化合物が硬化した架橋物を有することが好ましい。これにより、エレクトロクロミック調光素子の作製方法として、2つの支持体を貼り合わせる必要はなく、例えば、支持体上に、第1の電極、該第1の電極上にエレクトロクロミック層を形成した後、電解質を層状に形成し、硬化させ電解質層を形成した後、第2の電極を形成することで、エレクトロクロミック調光素子を作製することができる。
本発明においては、前記電解質がラジカル重合性化合物を含み、前記ラジカル重合性化合物が前記エレクトロクロミック組成物における他のラジカル重合性化合物と同一であることが、エレクトロクロミック調光素子内での材料間の屈折率差が低減し、材料界面での光反射や光散乱を抑制することができる点から好ましい。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、絶縁性多孔質層、劣化防止層、保護層、などが挙げられる。
−絶縁性多孔質層−
前記絶縁性多孔質層、第1の電極と第2の電極とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。
前記絶縁性多孔質層の材料としては、透明で多孔質であればよく特に限定されるものではないが、絶縁性及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料や無機材料、及びそれらの複合体を用いることが好ましい。
前記絶縁性多孔質層の形成方法としては、焼結法(高分子微粒子や無機粒子をバインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)や、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)等を用いることができる。
前記絶縁性多孔質層の形成方法として、高分子重合体等を加熱や脱気する等して発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の形成方法を用いてもよい。具体例としては、金属酸化物微粒子(SiO粒子やAl粒子等)とポリマー結着剤を含むポリマー混合粒子膜、多孔性有機膜(ポリウレタン樹脂やポリエチレン樹脂等)、多孔質膜状に形成した無機絶縁材料膜等が挙げられる。中でもSiO粒子は絶縁性に優れている点、比較的低屈折率な点、安価な点から好適に用いることができる。
前記絶縁性多孔質層の具体的な形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等を用いることができる。又、絶縁性多孔質層の材料が塗布形成できるものであれば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
前記絶縁性多孔質層の平均厚みは、0.5μm以上3μm以下が好ましい。
本発明においては、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、前記絶縁性多孔質層と電解質からなる中間層を有することが、エレクトロクロミック調光素子の機械的強度の向上及び素子内でのリーク電流の低減の点から好ましい。
−劣化防止層−
前記劣化防止層の役割は、エレクトロクロミック層と逆の化学反応をし、電荷のバランスをとって第1の電極や第2の電極が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制することである。なお、逆反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む。
前記劣化防止層の材料としては、第1の電極及び第2の電極の不可逆的な酸化還元反応による腐食を防止する役割を担う材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アンチモン錫や酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、又はそれらを複数含む導電性又は半導体性金属酸化物を用いることができる。
前記劣化防止層は、電解質の注入を阻害しない程度の多孔質薄膜から構成することができる。例えば、酸化アンチモン錫や酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の導電性又は半導体性金属酸化物微粒子を、例えば、アクリル系、アルキド系、イソシアネート系、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系等のバインダにより第2の電極に固定化することで、電解質の浸透性と、劣化防止層としての機能を満たす、好適な多孔質薄膜を得ることができる。
−保護層−
前記保護層の役割は、外的応力や洗浄工程の薬品から素子を守ることや、電解質の漏洩を防ぐこと、大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐこと等である。
前記保護層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上200μm以下が好ましい。
前記保護層の材料としては、例えば、紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
<エレクトロクロミック調光素子の製造方法>
本発明に用いられるエレクトロクロミック調光素子の製造方法は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック調光素子の製造方法であって、
塗布工程を含み、架橋工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
<塗布工程>
前記塗布工程は、前記第1の電極上に、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物とを含むエレクトロクロミック組成物を塗布する工程である。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物としては、前記エレクトロクロミック調光素子で説明したものと同様のものを用いることができる。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物と、前記フィラーとを含有する塗布液を塗布する。塗布液は、必要に応じて溶媒により希釈して塗布する。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチ
ルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記溶媒による希釈率は、組成物の溶解性、塗工法、目的とするエレクトロクロミック層の厚みなどにより変わり、適宜選択することができる。
前記塗布は、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などにより行うことができる。
<架橋工程>
前記架橋工程は、塗布したエレクトロクロミック組成物に対し加熱又は光エネルギーを付与して架橋する工程である。
前記第1の電極上にエレクトロクロミック組成物を塗布後、外部からエネルギーを与え、硬化させて、エレクトロクロミック層を形成する。
前記外部エネルギーとしては、例えば、熱、光、放射線などが挙げられる。
前記熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素等の気体、蒸気、又は各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上170℃以下が好ましい。
前記光のエネルギーとしては、主に紫外光(UV)に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。
UVの照射光量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mW/cm以上15,000mW/cm以下が好ましい。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、例えば、第1の電極形成工程、第2の電極形成工程、絶縁性多孔質層形成工程、劣化防止層形成工程、保護層形成工程、貼り合わせ工程、などが挙げられる。
ここで、図1は、本発明のエレクトロクロミック調光素子の一例を示す断面図である。この図1を参照すると、前記エレクトロクロミック調光素子110は、支持体としてのレンズ120と、レンズ120上に積層された薄膜調光機能部130とを有する。前記エレクトロクロミック調光素子110の平面形状は、例えば、丸型とすることができる。
前記薄膜調光機能部130は、第1の電極131、エレクトロクロミック層132、絶縁性多孔質層133、第2の電極134、劣化防止層135、及び保護層136が順次積層された構造を有し、エレクトロクロミック層132の発消色(調光)を行う部分である。なお、前記保護層136は、劣化防止層135の上面(レンズ120とは反対側の面)に形成されていればよく、必ずしも、第1の電極131、エレクトロクロミック層132、絶縁性多孔質層133、第2の電極134、及び劣化防止層135のそれぞれの側面に形成しなくてもよい。
前記エレクトロクロミック調光素子110において、レンズ120上には第1の電極131が設けられ、第1の電極131に接してエレクトロクロミック層132が設けられている。
前記エレクトロクロミック層132上には、絶縁性多孔質層133を介して、第1の電極131に対向するように第2の電極134が設けられている。
前記絶縁性多孔質層133は、第1の電極131と第2の電極134とを絶縁するために設けられており、絶縁性多孔質層133は、絶縁性金属酸化物粒子を含んでいる。第1の電極131と第2の電極134に挟まれた絶縁性多孔質層133には、電解質(図示せず)が充填されている。
前記第2の電極134は、厚み方向に貫通する多数の貫通孔が形成された多孔質の電極である。第2の電極134の外側には劣化防止層135が設けられている。劣化防止層135も厚み方向に貫通する多数の貫通孔が形成された多孔質であり、電解質(図示せず)が充填されている。
前記エレクトロクロミック調光素子110において、第1の電極131と第2の電極134との間に電圧を印加することにより、エレクトロクロミック層132が電荷の授受により酸化還元反応して発消色する。
前記エレクトロクロミック調光素子110の製造工程は、レンズ120上に第1の電極131及びエレクトロクロミック層132を順次積層する工程と、エレクトロクロミック層132上に絶縁性多孔質層133を介して第1の電極131に対向するように貫通孔が形成された多孔質の電極である第2の電極134を積層する工程と、第2の電極134上に貫通孔が形成された多孔質の劣化防止層135を積層する工程と、第1の電極131と第2の電極134に挟まれた絶縁性多孔質層133に、劣化防止層135及び第2の電極134を介して、劣化防止層135及び第2の電極134に形成された貫通孔から電解質を充填する工程と、劣化防止層135上に保護層136を形成する工程とを有する。
つまり、前記劣化防止層135及び第2の電極134に形成された夫々の貫通孔は、エレクトロクロミック調光素子110の製造工程において、絶縁性多孔質層133等に電解質を充填する際の注入孔である。
このように、本発明のエレクトロクロミック調光素子110では、第1の電極131と第2の電極134に挟まれた絶縁性多孔質層133等に、劣化防止層135及び第2の電極134に形成された貫通孔から電解質を充填することが可能である。そのため、電解質を充填する前に、低抵抗な第2の電極134を形成することが可能となり、エレクトロクロミック調光素子110の性能を向上できる。
また、前記第2の電極134上に劣化防止層135を設けているため、繰り返し安定して動作するエレクトロクロミック調光素子を実現できる。
なお、本実施の形態では、第2の電極に貫通孔が形成されているため、第2の電極の外側(対向する2つの電極の外側)に第2の電極に接して劣化防止層を形成できる。これは、第2の電極に形成された貫通孔を通してイオンが第2の電極の表裏を移動できるためである。その結果、第2の電極の下層に劣化防止層を形成する必要がないため、第2の電極を形成する際のスパッタ等によって、劣化防止層がダメージを受けるおそれを回避できる。
また、前記劣化防止層を形成する場合、浸透性の絶縁性多孔質層上と、第2の電極上に形成する場合とで、何れか均質な劣化防止層を形成できるプロセスを適宜選ぶことができる。或いは、必要に応じて、劣化防止層を第2の電極の上と下の両方に形成してもよい。
本発明のエレクトロクロミック調光素子は、安定動作が可能であり、かつ光透過性に優れているので、例えば、防眩ミラー、調光ガラス、メガネレンズなどに好適に使用することができる。
図1では、第1の電極131に接してエレクトロクロミック層132を、第2の電極134に接して劣化防止層135を形成しているが、これらは一方が酸化反応をする際に他方が還元反応をし、一方が還元反応をする際には他方が酸化反応をするという関係にある。そのため、形成される位置としては、逆であってもよい。つまり、第1の電極131に接して劣化防止層135、第2の電極134に接してエレクトロクロミック層132を形成してもよい。
第1の電極131に接してエレクトロクロミック層132を形成し、第2の電極134に接して第2の電極134の上側と下側の双方に劣化防止層を形成してもよい。又、第1の電極131に接して劣化防止層135を形成し、第2の電極134に接して第2の電極134の上側と下側の双方にエレクトロクロミック層132を形成してもよい。
なお、本発明では、劣化防止層及びエレクトロクロミック層を電気活性層と称する場合がある。即ち、前記エレクトロクロミック調光素子110において、薄膜調光機能部130は、レンズ120上に積層された第1の電極131と、第1の電極131上に積層された第1の電気活性層と、第1の電気活性層上に積層された絶縁性多孔質層133と、絶縁性多孔質層133上に積層された多孔質である第2の電極134と、第2の電極134と接して第2の電極134の上側及び下側の少なくともいずれかに形成された多孔質である第2の電気活性層と、を含み、第1の電気活性層と第2の電気活性層の一方がエレクトロクロミック層132であり、他方が劣化防止層135である。
前記エレクトロクロミック調光素子110では、電解質注入後に塗布工程で保護層136を形成するため、2枚のレンズを貼り合わせる構成に対して厚みを薄くすることができ、又、重量も軽量化することが可能となり、コストも安くできる。
前記薄膜調光機能部130の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm以上200μm以下が好ましい。前記厚みが、2μm未満であると、充分な調光機能が得られないことがあり、200μmを超えると、丸型レンズの加工時に亀裂、剥離が生じたり、レンズの光学特性等に影響が出ることがある。
<エレクトロクロミック調光眼鏡>
図2は、本実施の形態に係るエレクトロクロミック調光眼鏡を例示する斜視図である。図2を参照するに、エレクトロクロミック調光眼鏡50は、エレクトロクロミック調光レンズ51と、眼鏡フレーム52と、スイッチ53と、電源54とを有する。エレクトロクロミック調光レンズ51は、本発明の前記エレクトロクロミック調光素子110を所望の形状に加工したものである。
2つのエレクトロクロミック調光レンズ51は、眼鏡フレーム52に組み込まれている。眼鏡フレーム52には、スイッチ53及び電源54が設けられている。電源54は、スイッチ53を介して、図示しない配線により、第1の電極131及び第2の電極134と電気的に接続されている。
前記スイッチ53を切り替えることにより、例えば、第1の電極131と第2の電極134との間にプラス電圧を印加する状態、マイナス電圧を印加する状態、電圧を印加しない状態の中から1つの状態を選択可能である。
前記スイッチ53としては、例えば、スライドスイッチやプッシュスイッチ等の任意のスイッチを用いることができる。ただし、少なくとも前述の3つの状態を切り替え可能なスイッチに限る。
前記電源54としては、例えば、ボタン電池、太陽電池等の任意の直流電源を用いることができる。前記電源54は、第1の電極131と第2の電極134との間にプラスマイナス数V程度の電圧を印加可能である。
例えば、第1の電極131と第2の電極134との間にプラス電圧を印加することにより、2つのエレクトロクロミック調光レンズ51が所定の色に発色する。また、第1の電極131と第2の電極134との間にマイナス電圧を印加することにより、2つのエレクトロクロミック調光レンズ51が消色し透明となる。
ただし、エレクトロクロミック層132に使用する材料の特性により、第1の電極131と第2の電極134との間にマイナス電圧を印加することにより発色し、プラス電圧を印加することにより消色し透明となる場合もある。なお、一度発色した後は、第1の電極131と第2の電極134との間に電圧を印加しなくても発色は継続する。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成>
第1の電極上にエレクトロクロミック層を形成するために、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・1官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物1(前記例示化合物1):50質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2官能アクリレートを有するPEG400DA(日本化薬株式会社製):50質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、第1の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上にスピンコート法により塗布し、得られた塗布膜をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し、60℃で10分間アニール処理を行うことにより、平均厚み0.4μmの架橋したエレクトロクロミック層を形成した。
−電解質の充填−
以下に示す組成の電解質液を調製した。
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・PEG400DA(日本化薬株式会社製):100質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(メルク社製):50質量部
得られた電解質液をマイクロピペットで30mg測り取り、第2の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に対して滴下した。その上に、電極の引き出し部分があるように、架橋したエレクトロクロミック層を有するITOガラス基板を貼り合せ、貼り合せ素子を作製した。
得られた貼り合せ素子をUV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製,SPOT CURE)により10mWで60秒間照射した。以上により、エレクトロクロミック調光素子を作製した。
<発消色駆動>
作製したエレクトロクロミック調光素子の発消色を確認した。具体的には、第1の電極の引き出し部分と第2の電極の引き出し部分との間に、−3Vの電圧を5秒間印加させたところ、前記第1の電極と前記第2の電極の重なった部分に、エレクトロクロミック架橋層のトリアリールアミン(前記例示化合物1)のエレクトロクロミックに由来する青緑色の発色が確認できた。
次いで、前記第1の電極の引き出し部分と前記第2の電極の引き出し部分との間に、+3Vの電圧を5秒間印加させたところ、前記第1の電極と前記第2の電極の重なった部分が消色し、透明になることが確認できた。
<試験1:繰返し試験>
作製したエレクトロクロミック素子について、−3V5s、+3V5sの発消色駆動を500回繰り返した。そのときの可視領域(400nm〜800nm)の吸収極大をλmaxとした。その時の吸光度変化をOcean Optics社製、USB4000で測定し、下記基準で評価した。結果を表1に示した。なお、λmaxは材料によって異なり、実施例1の場合には680nmである。
[評価基準]
◎:λmaxの吸光度が初期状態に比べて90%以上である場合
○:λmaxの吸光度が初期状態に比べて80%以上90%未満である場合
△:λmaxの吸光度が初期状態に比べて50%以上80%未満である場合
×:λmaxの吸光度が初期状態に比べて50%未満である場合
<試験2:光透過性試験>
作製したエレクトロクロミック調光素子の消色状態に対して、分光光度計(株式会社日立製作所製、U−33000型分光光度計)を用いて可視光領域(400nm〜700nm)における光透過率の測定を行った。リファレンスとしては素子と同等の厚みのガラス基板(OA10、日本板硝子株式会社製、厚み0.7mm2枚)とした。
また、同じ状態のエレクトロクロミック調光素子について、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH−5000)によるヘイズ値(%)の測定を行った。
これらの測定結果に基づき、下記の基準により、光透過性を評価した。結果を表1に示した。
[評価基準]
○:可視光領域(400nm〜700nm)における光透過率の平均値が80%以上であり、かつヘイズ値が2%以下である場合
△:可視光領域(400nm〜700nm)における光透過率の平均値が60%以上80%未満であり、かつヘイズ値が2%超5%以下である場合
×:可視光領域(400nm〜700nm)における光透過率の平均値が60%未満又はヘイズ値が5%超である場合
(実施例2〜40)
実施例1において、トリアリールアミン化合物1(前記例示化合物1)を、下記表1に示したトリアリールアミン化合物2〜40(前記例示化合物2〜40)に変更した以外は、実施例1と同様にして、エレクトロクロミック調光素子を作製した。
作製した各エレクトロクロミック調光素子について、実施例1と同様にして、前記試験1及び前記試験2を行った。結果を表1に示した。
(比較例1)
比較例1として、酸化チタンに担持したトリアリールアミン化合物を用いた。
−第1の電極上への酸化チタン粒子膜の形成−
第1の電極であるITOガラス基板(40mm×40mm、平均厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に、劣化防止層として酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み約1.0μmの酸化チタン粒子膜を形成した。
次に、酸化チタンに担持させるため、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
・下記構造式で示されるトリアリールアミン化合物101:50質量部
<トリアリールアミン化合物101>
・メタノール:950質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、前記酸化チタン粒子膜に対してスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことにより、酸化チタン粒子膜を形成した。
次に、実施例1と同様にして、第2の電極上への劣化防止層の形成、及び電解質の充填を行い、エレクトロクロミック調光素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック調光素子について、実施例1と同様にして、前記試験1及び前記試験2を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1において、トリアリールアミン化合物101を、下記構造式で表されるトリアリールアミン化合物102に変更した以外は、比較例1と同様にして、エレクトロクロミック調光素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック調光素子について、実施例1と同様にして、前記試験1及び前記試験2を行った。結果を表1に示す。
<アリールアミン化合物102>
(比較例3)
トリアリールアミンが主鎖で連結した重合体を用い、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
−エレクトロクロミック組成物の組成−
・下記一般式で示されるトリアリールアミン重合体103:50質量部
<トリアリールアミン重合体103>
ただし、nは180〜150(ポリスチレン換算から推測)を表す。
・トルエン:950質量部
次に、得られたエレクトロクロミック組成物を、ITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に対してスピンコート法により塗布し、120℃で10分間乾燥処理を行うことにより、エレクトロクロミック層を形成した。
次に、実施例1と同様にして、第2の電極上への劣化防止層の形成、電解質の充填を行い、エレクトロクロミック調光素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック調光素子について、実施例1と同様にして、前記試験1及び前記試験2を行った。結果を表1に示す。
*比較例3の試験2の「−」は測定不能であることを示す。
表1の結果から、前記例示化合物1から40のトリアリールアミン化合物を用いたエレクトロクロミック調光素子は、いずれも良好なエレクトロクロミックを示し、500回の繰返し駆動に対して着色などの劣化はほとんど見られなかった。また、光透過性も良好であった。特に、繰返し試験に関してはトリアリールアミンのフェニル基の4位の炭素が置換されている(水素原子ではない)ものがより好ましい結果を有していた。
これに対して、比較例1及び2の酸化チタンに担持したトリアリールアミン化合物を用いたエレクトロクロミック調光素子は、繰返し500回は可能であるが、光透過性が低下した。
また、比較例3のトリアリールアミン重合体を用いたエレクトロクロミック調光素子は、繰返しに対する劣化が顕著であった。
(実施例41)
第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成において、下記の組成のエレクトロクロミック組成物を用いて検討を行った。即ち、表2に示すように、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物1(前記例示化合物1)の質量割合をX=100〜0の範囲で調整することで、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物との質量割合の検討を行った。
なお、上記以外の操作は、実施例1と同様にして、エレクトロクロミック調光素子を作製した。
−エレクトロクロミック組成物の組成−
・1官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物1(前記例示化合物1):X質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2官能アクリレートを有するPEG400DA(日本化薬株式会社製):(100−X)質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
得られたエレクトロクロミック素子について、組成の違いを確認するために、発色性、消色性、画素評価、及び総合評価を行った。結果を表2に示した。
<発色性及び消色性>
発色性に関しては、各素子に対して−3V5sで発色し、そのときの透過率変化をOcean Optics社製USB4000にて測定した。λmaxの透過率が50%以上の場合○を、50%未満であるが発色した場合を△、発色しなかった場合を×と判定した。
消色性に関しては、発色した各素子に対して、+3V5sを印加し、λmaxが初期状態に戻った場合に○を、透過率が減衰したが完全に初期に戻らなかった場合△を、透過率変化がまったくなかった場合×と判定した。
<画素評価>
−3V5s発色、+3V5s消色を500回繰り返した後の画素をデジタルマイクロスコープ(ハイロックス社製、KH−7700)で確認した。繰返し後の発色の程度、消色の程度を官能的に評価することで画素評価を行った。
<総合判定>
総合判定として、発色性、消色性、及び画素評価の結果から、総合的に判断し、下記基準で評価した。
○:発色性、消色性、及び画素評価を満足している
△:発色性、消色性、及び画像評価のいずれかを満足していない
×:発色性、及び消色性が機能していない
(実施例42)
実施例41において、以下の組成のエレクトロクロミック組成物を用い、表3に示す質量割合とした以外は、実施例41と同様にして、エレクトロクロミック調光素子を作製した。
得られたエレクトロクロミック調光素子を用い、実施例41と同様にして、発消色性、画素評価、及び総合評価を行った。結果を表3に示した。
−エレクトロクロミック組成物の組成−
・2官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物2(前記例示化合物2):X質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2−(2−Ethoxyethoxy)ethyl Acrylate(東京化成工業株式会社製):(100−X)質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
(実施例43)
実施例41において、以下の組成のエレクトロクロミック組成物を用い、表4に示す質量割合とした以外は、実施例41と同様にして、エレクトロクロミック調光素子を作製した。
得られたエレクトロクロミック調光素子を用い、実施例41と同様にして、発消色性、画素評価、及び総合評価を行った。結果を表4に示した。
−エレクトロクロミック組成物の組成−
・1官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物3(前記例示化合物3):X質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・アクリレートモノマー(DPCA−60、日本化薬株式会社製):(100−X)質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
実施例41から43の結果から、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物の質量割合Xが100質量部〜10質量部の範囲では、500回の繰返しでは、黄変などの材料が劣化する挙動は見られなかった。特に質量割合Xが90質量部〜30質量部の範囲で良好な発色消色挙動を示すことがわかった。
(実施例44)
<中間層を有するエレクトロクロミック調光素子の作製>
実施例1と同様にして、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
−エレクトロクロミック組成物の調製−
・1官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物1(前記例示化合物1):50質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2官能アクリレートを有するPEG400DA(日本化薬株式会社製):50質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、ITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に対してスピンコート法により塗布した。
得られた塗布膜をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し、60℃で10分間アニール処理を行うことにより、平均厚み0.4μmの架橋したエレクトロクロミック層を形成した。
−絶縁性多孔質層の形成−
以下に示す組成の絶縁性多孔質層塗布液を調製した。
・MA−ST−UP(日産化学工業株式会社製、固形分濃度20質量%):50質量部
・ポリビニルアルコール(PVA)の3質量%水溶液(東京化成株式会社製、重合度3,500):10質量部
・純水:20質量部
得られた絶縁性多孔質層塗布液を、作製した前記エレクトロクロミック層に対してスピンコート法により塗布し、得られた膜をオーブンにより120℃で60秒間加熱することで、乾燥及び硬化させ、絶縁性多孔質層を形成した。
−電解質の充填−
電解質として、以下に示す配合の電解質液を調製した。
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・PEG400DA(日本化薬株式会社製):100質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(メルク社製):50質量部
次に、得られた電解質液をマイクロピペットで30mg測り取り、ITOガラス基板に対して滴下した。その上に、電極の引き出し部分があるように、前記エレクトロクロミック層及び前記絶縁性多孔質層を有するITOガラス基板を貼り合せた。
得られた貼り合せ素子をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し、硬化することで、中間層を有するエレクトロクロミック調光素子を作製した。
(実施例45)
<中間層を有するエレクトロクロミック調光素子の作製>
実施例44と同様にして、第1の電極上にエレクトクロミック層及び絶縁性多孔質層を形成し、電解質液の調製を行った。
−中間層の形成−
得られた前記電解質液をマイクロピペットで30mg測り取り、前記絶縁性多孔質層に対して滴下した。前記電解質液上に、ガスバリア性を有するフィルム(帝人株式会社製、テトロンフィルムG2)を電極の引き出し部分があるように、貼り合せた。
得られた貼り合せ体をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し、硬化した後、フィルムを剥離することで、中間層を形成した。
−第2の電極の形成−
得られた前記中間層上に、ITOターゲットを用いたスパッタリング法により、膜厚60nmの第2の電極を形成した。以上により、中間層を有するエレクトロクロミック調光素子を作製した。
(実施例46)
<レンズ曲面上に形成したエレクトロクロミック調光素子の作製>
支持体としてチオウレタン樹脂製レンズを用い、以下のようにしてエレクトロクロミック調光素子を作製した。
−第1の電極の形成−
まず、前記チオウレタン樹脂製レンズの凸面に対して、ITOターゲットを用いたスパッタリング法により、膜厚60nmの第1の電極を形成した。
−エレクトロクロミック層、中間層、第2の電極の形成−
次に、実施例45と同様にして、前記第一の電極上にエレクトロクロミック層及び中間層を順次形成した。
次に、前記中間層上にITOターゲットを用いたスパッタリング法により、膜厚60nmの第2の電極を形成した。以上により、支持体としての樹脂製レンズ曲面上に形成されたエレクトロクロミック調光素子を作製した。
(比較例4)
支持体として片面にITO膜の付いたPETフィルムを用い、実施例1と同様にして作製したエレクトロクロミック調光素子を、更に実施例46と同様の樹脂製レンズの凸面に張り付け、エレクトロクロミック調光素子を作製した。
<試験5:視野角及びゆがみ評価>
平板上に作製された実施例1と実施例46と比較例4とをメガネレンズと同等の距離に眼前に固定し、エレクトロクロミック調光素子を透過して見た際の視野角及び像のゆがみについて、下記の基準で評価を行った。結果を表5に示した。
何もない状態に対して著しく視野角が制限される、又は見える像にゆがみが現れた場合は×とし、それ以外を○と評価した。
表5の結果から、実施例1では、視野角が狭くなり、比較例4では周辺部分にフィルムのしわ由来の像のゆがみが見られた。実施例46については視野角及びゆがみに対していずれも良好な結果が得られた。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極と前記第二の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック調光素子であって、
前記第一の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物を有し、
前記エレクトロクロミック調光素子を構成する部材が、光透過性を有することを特徴とするエレクトロクロミック調光素子である。
<2> 前記第一の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物とを含むエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物を有する前記<1>に記載のエレクトロクロミック調光素子である。
<3> 前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物及び前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物のいずれか一方が、ラジカル重合性官能基を2つ以上有している前記<2>に記載のエレクトロクロミック調光素子である。
<4> 前記他のラジカル重合性化合物のラジカル重合性官能基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかである前記<2>から<3>のいずれかに記載のエレクトロクロミック調光素子である。
<5> 前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物のラジカル重合性官能基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載のエレクトロクロミック調光素子である。
<6> 前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物が、下記一般式1で示される前記<1>から<5>のいずれかに記載のエレクトロクロミック調光素子である。
<一般式1>
−B
ただし、n=2のときにはmは0であり、n=1のときmは0又は1である。A及びBの少なくとも1つはラジカル重合性官能基を有する。前記Aは下記一般式2で示される構造であり、RからR15のいずれかの位置で前記Bと結合している。前記Bは下記一般式3で示される構造であり、R16からR21のいずれかの位置で前記Aと結合している。
<一般式2>
<一般式3>
ただし、RからR21は、いずれも一価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、前記一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。
<7> 前記電解質がラジカル重合性化合物を含有し、該ラジカル重合性化合物が硬化した架橋物を有する前記<1>から<6>のいずれかに記載のエレクトロクロミック調光素子である。
<8> 前記第一の電極と前記第二の電極との間に、絶縁性多孔質層と電解質からなる中間層を有する前記<1>から<7>のいずれかに記載のエレクトロクロミック調光素子である。
<9> 前記電解質に含まれるラジカル重合性化合物が、エレクトロクロミック組成物における他のラジカル重合性化合物と同一である前記<7>から<8>のいずれかに記載のエレクトロクロミック調光素子である。
<10> 支持体を有し、該支持体が曲面であり、前記支持体の曲面上にエレクトロクロミック調光素子を構成する部材が形成されている前記<1>から<9>のいずれかに記載のエレクトロクロミック調光素子である。
<11> 前記支持体がレンズである前記<10>に記載のエレクトロクロミック調光素子である。
110 エレクトロクロミック調光素子
120 支持体(レンズ)
131 第1の電極
132 エレクトロクロミック層
134 第2の電極
Chem. Mater. 2006, 18, 5823−58259. Org. Electron. 2014, 15, 428−434.

Claims (10)

  1. 第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極と前記第二の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック調光素子であって、
    前記第一の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物を有し、
    前記エレクトロクロミック調光素子を構成する部材が、光透過性を有することを特徴とするエレクトロクロミック調光素子。
  2. 前記第一の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物とを含むエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物を有する請求項1に記載のエレクトロクロミック調光素子。
  3. 前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物及び前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物のいずれか一方が、ラジカル重合性官能基を2つ以上有している請求項2に記載のエレクトロクロミック調光素子。
  4. 前記他のラジカル重合性化合物のラジカル重合性官能基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかである請求項2から3のいずれかに記載のエレクトロクロミック調光素子。
  5. 前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物のラジカル重合性官能基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかである請求項1から4のいずれかに記載のエレクトロクロミック調光素子。
  6. 前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物が、下記一般式1で示される請求項1から5のいずれかに記載のエレクトロクロミック調光素子。
    <一般式1>
    −B
    ただし、n=2のときにはmは0であり、n=1のときmは0又は1である。A及びBの少なくとも1つはラジカル重合性官能基を有する。前記Aは下記一般式2で示される構造であり、RからR15のいずれかの位置で前記Bと結合している。前記Bは下記一般式3で示される構造であり、R16からR21のいずれかの位置で前記Aと結合している。
    <一般式2>
    <一般式3>
    ただし、RからR21は、いずれも一価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、前記一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。
  7. 前記電解質がラジカル重合性化合物を含有し、該ラジカル重合性化合物が硬化した架橋物を有する請求項1から6のいずれかに記載のエレクトロクロミック調光素子。
  8. 前記第一の電極と前記第二の電極との間に、絶縁性多孔質層と電解質からなる中間層を有する請求項1から7のいずれかに記載のエレクトロクロミック調光素子。
  9. 支持体を有し、該支持体が曲面であり、前記支持体の曲面上にエレクトロクロミック調光素子を構成する部材が形成されている請求項1から8のいずれかに記載のエレクトロクロミック調光素子。
  10. 前記支持体がレンズである請求項9に記載のエレクトロクロミック調光素子。
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