以下、図面を参照して、実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
第1の実施の形態では、エレクトロクロミック層が単独層の場合について説明する。図1は、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図1を参照するに、エレクトロクロミック表示装置10Aは、表示側支持基板(表示基板)11と、駆動側支持基板(対向基板)12と、表示電極13と、エレクトロクロミック層14と、対向電極15と、スペーサ18と、電解質20と、バリア層40とを有する。
表示側支持基板11は、例えばガラス基板やプラスチックフィルム等の透明な材料からなる基板である。表示側支持基板11にはパターンニングされていない表示電極13が設けられ、表示電極13上にはバリア層40が形成されている。駆動側支持基板12は、表示側支持基板11と対向する位置に設けられ、駆動側支持基板12には、パターンニングされた対向電極15が、表示電極13に対して所定の間隔を隔てて対向して設けられている。表示側支持基板11と駆動側支持基板12とは、スペーサ18を介して貼り合わされている。
表示電極13は、対向電極15に対する電位を制御し、エレクトロクロミック層14を発色させるための電極である。エレクトロクロミック層14は、バリア層40に接して設けられている。エレクトロクロミック層14は、酸化還元反応によって発色する部分であるエレクトロクロミック化合物16と、エレクトロクロミック化合物16を担持するとともに発消色を高速で行うための金属酸化物17とを有し、理想的な状態である金属酸化物17にエレクトロクロミック化合物16の単分子が吸着した状態となっている。
但し、エレクトロクロミック層14は、エレクトロクロミック化合物16が移動しないよう固定されると共に、エレクトロクロミック化合物16の酸化還元に伴う電子の授受が妨げられないように電気的な接続が確保されていれば、エレクトロクロミック化合物16と金属酸化物17とが混合されて単一層となっていても良い。
電解質20は、表示電極13と対向電極15とに挟まれるように設けられている。電解質20は、電解質と溶媒を含有し、エレクトロクロミック層14が、表示電極13からの電荷の授受により酸化還元反応することにより発消色する。
バリア層40は、導電性材料と絶縁性材料とを含んで構成される混合体層である。バリア層40の厚さは、500nm以下であることが好ましく、100nm以下である事がより好ましい。何故ならば、バリア層40も含めた積層構造で多色を発色させるためには、電解質を有る程度浸透させる必要があるため、及び、膜厚が厚くなりすぎると透過率が下がる事から厚膜は好ましくないためである。
バリア層40に含まれる導電性材料としては、ITO、ZnO等の金属酸化物を用いても良いし、透明性が保持される程度の薄膜であれば、Ta、Ti、Al、Zn、Cu、Ni、Co、Au、Ag等の金属材料を用いても良い。バリア層40に含まれる絶縁性材料としては、Al2O3やSiO2等の金属酸化物、ZnS等の金属硫化物、或いはそれらの混合物を用いることができる。
バリア層40は、絶縁性材料が混入していれば、絶縁性材料と導電性材料との比率は任意として構わないが、絶縁性材料は1〜80%程度であることが好ましい。これは、メモリ効果の維持と発色させる際に必要となる電圧とのバランスを考慮した値である。
エレクトロクロミック表示装置10Aは、上記説明した構造を有することにより、容易に色表示が可能である。表示電極13は、対向電極15に対する表示電極13の電位を制御することができる。その結果、バリア層40を介して表示電極13上に設けられたエレクトロクロミック層14を発消色させることができる。
エレクトロクロミック層は、エレクトロクロミック材料を含んだものを示し、エレクトロクロミック材料としては、無機エレクトロクロミック化合物、有機エレクトロクロミック化合物のどれを用いても構わない。また、導電性高分子もエレクトロクロミズムを示すので用いることが出来る。無機エレクトロクロミック化合物としては、例えば酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化チタンなどが挙げられる。また有機エレクトロクロミック化合物としてはビオロゲン、希土類フタロシアニン、スチリルなどが挙げられる。また導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどが挙げられる。
また、本実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置におけるエレクトロクロミック層としては、導電性または半導体性微粒子に有機エレクトロクロミック化合物を担持した構造を用いることが特に望ましい。具体的には、電極表面に粒径5nm〜50nm程度の超微粒子を焼結し、その超微粒子の表面にホスホン酸やカルボキシル基、シラノール基などの極性基を有する有機エレクトロクロミック化合物を吸着した構造である。本構造は、超微粒子の大きな表面効果を利用して、効率よく有機エレクトロクロミック化合物に電子が注入されるため、従来のエレクトロクロミック表示素子と比較して高速応答する。さらに、超微粒子を用いることで表示層として透明な膜を形成することができるため、高い白反射率を得ることが出来る。また、複数種類の有機エレクトロクロミック化合物を導電性または半導体性微粒子に担持することもできる。
エレクトロクロミック表示装置10Aは、例えば、以下のようにして作製することができる。始めに、表示側支持基板11に蒸着法等により表示電極13を形成する。そして、表示電極13と同時或いは別のタイミングで、表示電極13上にバリア層40を蒸着法等により形成する。更に、バリア層40上にスピンコート法等により、例えば酸化チタンとビオロゲンを塗布してエレクトロクロミック層14を形成する。なお、表示電極13は少なくとも、電極を集合電極として引き出す必要があるので、蒸着マスクに表示側支持基板11の周辺等、必要な場所にマスク蒸着を行う事で、パターンニングする必要は有るが、フォトリソグラフィー法等の精度を要求するプロセスは不要である。
又、駆動側支持基板12上に蒸着法等により対向電極15を設けた後、対向電極15をフォトリソグラフィー法やインクジェット法等によりパターンニングする。そして、パターンニングした対向電極15を有する駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる事で、エレクトロクロミック表示装置10Aが完成する。もちろん、電解質20を介して貼り合わせるのに、周辺をシールしてもよい。
又、駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる場合、できれば固化させた電解質にて貼り合わせる事ができれば最も効率が良い。この場合、電解質20として光硬化剤或いは熱硬化剤の混入した電解質を用いるのが効率的である。もちろん全面に液体電解質層を塗布して周辺をシールしても良い。
ここで、図1に示す第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置と比較するために、図2及び図3に示す比較例に係るエレクトロクロミック表示装置について簡単に説明する。図2は、比較例に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図2に示すエレクトロクロミック表示装置50Aは、バリア層40を有しない点以外は、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様の構成である。
エレクトロクロミック表示装置50Aは、例えば、以下のようにして作製することができる。始めに、表示側支持基板11に蒸着法等により表示電極13を設けた後、表示電極13上にスピンコート法等により酸化チタンとビオロゲンを塗布してエレクトロクロミック層14を形成する。又、駆動側支持基板12上に蒸着法等により対向電極15を設けた後、対向電極15をフォトリソグラフィー法やインクジェット法等によりパターンニングする。そして、表示側支持基板11と駆動側支持基板12とを、電解質20を介して貼り合わせる。この際、周辺もシール処理する事が望ましい。
図3は、比較例に係るエレクトロクロミック表示装置の他の例を示す断面図である。図3に示すエレクトロクロミック表示装置50Bは、バリア層40を有しない点及び表示電極13がパターンニングされている点以外は、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様の構成である。
エレクトロクロミック表示装置50Bは、例えば、以下のようにして作製することができる。始めに、表示側支持基板11に蒸着法等により表示電極13を設けた後、表示電極13をフォトリソグラフィー法やインクジェット法等によりパターンニングする。そしてパターンニングした表示電極13上にスピンコート法等により酸化チタンとビオロゲンを塗布してエレクトロクロミック層14を形成する。又、駆動側支持基板12上に蒸着法等により対向電極15を設けた後、対向電極15をフォトリソグラフィー法やインクジェット法等によりパターンニングする。そして、表示側支持基板11と駆動側支持基板12とを、電解質20を介して貼り合わせる。この際、周辺もシール処理する事が望ましい。又、表示側支持基板11と駆動側支持基板12とを、表示電極13と対向電極15とが対応する位置に来るように精度よく貼り合わせなくては反射率の低下を伴う。
エレクトロクロミック表示装置50Aは、表示電極13をパターンニングせず、対向電極15のみをパターンニングして発消色を行うため、エレクトロクロミック層14に保持されていた電荷が、表示電極13を介して隣のパターンに移動するため、メモリ効果が持続し難い。又、エレクトロクロミック表示装置50Bは、表示電極13と対向電極15の両方をパターンニングして発消色を行うため、エレクトロクロミック層14に保持されていた電荷が、表示電極13を介して隣のパターンに移動動することが抑制されるため、メモリ効果が持続し易い。
一方、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aは、表示電極13をパターンニングせず、対向電極15のみをパターンニングして発消色を行う。しかしながら、エレクトロクロミック表示装置10Aでは、バリア層40を設けたことにより、表示電極13をパターンニングしなくても、エレクトロクロミック層14に保持されていた電荷が、表示電極13に移動することが抑制されるため、メモリ効果を持続することができる。
ここで、特許文献8(特開2008−180999号公報)を参照すると、特許文献8の実施例1には、『厚さ1.1mmのガラス製の支持基板上に、平面的に15Ω/□のFTO膜(透明電極2)を形成した。次に、支持基板上の所定の表示画素部分に、TiO2(金属酸化物n型半導体薄膜)を膜厚50nm、NiO(金属酸化物p型半導体薄膜)を膜厚50nm、TiO2(金属酸化物n型半導体薄膜)を膜厚10nmで、それぞれRFスパッタリング法にて成膜した。次に、pH=約1.0の塩酸水溶液に1次粒径20nmの酸化チタンを15重量%分散させたスラリーに、ポリエチレングリコールを5重量%の割合で溶解させて塗料を作製した。この塗料を、上記FTO膜上にスキージ法によって塗布した。次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行い、更に電気炉で500℃、1時間焼結を行い、膜厚3μmの酸化チタン多孔質電極が形成されたFTO基板を得た。』と記載されている。
又、特許文献8の比較例1には、『金属酸化物n型半導体薄膜と金属酸化物p型半導体薄膜と金属酸化物n型半導体薄膜に代えてAl2O3を用いて成膜した。その他の条件は、実施例1と同様としてエレクトロクロミック素子を作製した。エレクトロクロミック素子の両電極間に電圧を印加した。電圧−光学特性(635nmで測定)を測定した。測定結果を図8に示す。図8の電圧−光学特性から明らかなように、発色後、電極間電圧を低下させても消色せず不可逆となった。』と記載されている。
上記特許文献8に開示されているように、金属酸化物Al2O3(絶縁体)が介在する事により、動作としてはエレクトロクロミック表示素子としての役目を果たせない。すなわち、絶縁性材料のみからなるバリア層を表示電極13上に設けると、エレクトロクロミック層14に保持されていた電荷が、表示電極13を介して隣のパターンに移動することが抑制されメモリ効果を持続することができるが、動作としてはエレクトロクロミック表示素子としての役目を果たせない。
このように、絶縁性材料はメモリ効果を持続する作用を有するが、消色できなければ表示装置を実用化できず、又、バリア層を絶縁性材料のみから構成すると発色させる際に電流を流すために高電圧が必要となる。そこで、本実施の形態では、バリア層40を導電性材料と絶縁性材料とを含んで構成される混合体層としている。バリア層40を導電性材料と絶縁性材料とを含んで構成される混合体層とすることにより、発消色が可能となる(可逆な反応となる)。又、バリア層40に含まれる絶縁性材料の作用によりメモリ効果を持続できるとともに、バリア層40に含まれる導電性材料の作用により発色させる際に電流を流すために高電圧を印加することが不要となる。
このように、導電性材料と絶縁性材料とを含んで構成される混合体層であるバリア層40を表示電極13とエレクトロクロミック層14との間に設けることにより、表示電極13をパターンニングしなくても、エレクトロクロミック層14に保持されていた電荷が、表示電極13を介して隣のパターンに移動することを抑制することが可能となり、メモリ効果を持続することができる。又、通常の発消色の機能を維持することができ、発色させる際に高電圧を印加することも不要となる。
このように、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、表示電極とエレクトロクロミック層との間にバリア層を設けることにより、表示電極をパターンニングしなくても、発色後にエレクトロクロミック層に保持されていた電荷が、表示電極に移動することを抑制することが可能となり、メモリ効果を持続することができる。
これらの効果は、表示電極をパターンニングせずに対向電極のみをパターンニングするだけで実現できる。その結果、製造プロセスを簡略化できるため、表示品位を向上させたエレクトロクロミック表示装置を安価に提供できる。
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、エレクトロクロミック層が単独層の場合について説明する。図4は、第2の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図4を参照するに、第2の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Bは、表示側支持基板11に表示電極13が設けられ、表示電極13を覆うようにバリア層41が形成されている点が、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10A(図1参照)と異なる。以降、第2の実施の形態について、第1の実施の形態と共通する部分についての説明は省略し、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。なお、第2の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Bでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、表示電極13のパターンニングは不要である。
エレクトロクロミック表示装置10Bは、例えば、以下のようにして作製することができる。始めに、表示側支持基板11に蒸着法等により表示電極13を設ける。そして、表示電極13と同時或いは別のタイミングで表示電極13を覆うように蒸着法等によりバリア層41を設ける。バリア層41の材料や厚さ等の詳細については、バリア層40と同様であるため、その説明は省略する。なお、表示電極13は少なくとも、電極を集合電極として引き出す必要があるので、蒸着マスクに表示側支持基板11の周辺等、必要な場所にマスク蒸着を行う事で、パターンニングする必要は有るが、フォトリソグラフィー法等の精度を要求するプロセスは不要である。
更に、バリア層41上にスピンコート法等により酸化チタンとビオロゲンを塗布してエレクトロクロミック層14を形成する。そして、パターンニングした対向電極15を設けた駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる事で、エレクトロクロミック表示装置10Bが完成する。もちろん、電解質20を介して貼り合わせるのに、周辺をシールしてもよい。
又、駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる場合、できれば固化させた電解質にて貼り合わせる事ができれば最も効率が良い。この場合、電解質20として光硬化剤或いは熱硬化剤の混入した電解質を用いるのが効率的である。もちろん全面に液体電解質層を塗布して周辺をシールしても良い。
このように、第2の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、表示電極を覆うようにバリア層を形成しても、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置と同様の効果を奏する。
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、第1及び第2の実施の形態と同様に、エレクトロクロミック層が単独層の場合について説明する。又、前述の図1〜図4に示した各エレクトロクロミック表示装置は、駆動側支持基板下に反射層を別で設ける場合の構造であるが(但し、図1〜図4には、反射層は図示していない)、第3の実施の形態では、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設ける場合の例を示す。
図5は、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図5を参照するに、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Cは、表示側支持基板11及び駆動側支持基板12に挟持された内部に反射層21(白色反射層)を設けている点が、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10A(図1参照)と異なる。反射層21は、エレクトロクロミック表示装置10Cを反射型の表示装置として用いる場合に白色の反射率を向上させるためのものであり、駆動側支持基板12と対向電極15との間に設けている。以降、第3の実施の形態について、第1の実施の形態と共通する部分についての説明は省略し、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。なお、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Cでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、表示電極13のパターンニングは不要である。
エレクトロクロミック表示装置10Cは、例えば、以下のようにして作製することができる。始めに、反射層21を、駆動側支持基板12上に形成する。反射層21は、例えば、白色顔料粒子が分散された樹脂を駆動側支持基板12上に塗布することによって形成することができる。そして、反射層21上に蒸着法等により対向電極15を設けた後、対向電極15をフォトリソグラフィー法やインクジェット法等によりパターンニングする。又、第1の実施の形態と同様の方法で、表示側支持基板11上に、表示電極13、バリア層40、及びエレクトロクロミック層14を設ける。
そして、パターンニングした対向電極15を設けた駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる事で、内部に反射層21を有するエレクトロクロミック表示装置10Cが完成する。もちろん、電解質20を介して貼り合わせるのに、周辺をシールしてもよい。
又、駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる場合、できれば固化させた電解質にて貼り合わせる事ができれば最も効率が良い。この場合、電解質20として光硬化剤或いは熱硬化剤の混入した電解質を用いるのが効率的である。もちろん全面に液体電解質層を塗布して周辺をシールしても良い。
このように、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設けても、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置と同様の効果を奏する。
更に、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設けることにより、白色の反射率が高くなるため、視認性に優れたエレクトロクロミック表示装置が実現可能となる。
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態では、第1〜第3の実施の形態と同様に、エレクトロクロミック層が単独層の場合について説明する。又、第4の実施の形態では、第3の実施の形態と同様に、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設ける場合の例を示す。
図6は、第4の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図6を参照するに、第4の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Dは、表示側支持基板11及び駆動側支持基板12に挟持された内部に反射層21(白色反射層)を設けている点は、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10C(図5参照)と同様であるが、反射層21を対向電極15が形成された駆動側支持基板12上に形成している点が異なる。以降、第4の実施の形態について、第3の実施の形態と共通する部分についての説明は省略し、第3の実施の形態と異なる部分について説明する。なお、第4の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Dでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、表示電極13のパターンニングは不要である。
エレクトロクロミック表示装置10Dは、例えば、以下のようにして作製することができる。始めに、駆動側支持基板12上に蒸着法等により対向電極15を設けた後、対向電極15をフォトリソグラフィー法やインクジェット法等によりパターンニングする。そして、反射層21を、パターンニングされた対向電極15が形成された駆動側支持基板12上に形成する。反射層21は、例えば、白色顔料粒子が分散された樹脂をパターンニングされた対向電極15が形成された駆動側支持基板12上に塗布することによって形成することができる。又、第1の実施の形態と同様の方法で、表示側支持基板11上に、表示電極13、バリア層40、及びエレクトロクロミック層14を形成する。
そして、パターンニングした対向電極15を設けた駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる事で、内部に反射層21を有するエレクトロクロミック表示装置10Dが完成する。もちろん、電解質20を介して貼り合わせるのに、周辺をシールしてもよい。
又、駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる場合、できれば固化させた電解質にて貼り合わせる事ができれば最も効率が良い。この場合、電解質20として光硬化剤或いは熱硬化剤の混入した電解質を用いるのが効率的である。もちろん全面に液体電解質層を塗布して周辺をシールしても良い。
このように、第4の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、パターンニングされた対向電極が形成された駆動側支持基板上に反射層を形成しても、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置と同様の効果を奏する。
〈第5の実施の形態〉
第5の実施の形態では、第1〜第4の実施の形態と同様に、エレクトロクロミック層が単独層の場合について説明する。又、第5の実施の形態では、第3及び第4の実施の形態と同様に、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設ける場合の例を示す。
図7は、第5の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図7を参照するに、第5の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Eは、反射層21が電解質20が混入された反射層21aに置換されている点が、第4の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10D(図6参照)と異なる。以降、第5の実施の形態について、第4の実施の形態と共通する部分についての説明は省略し、第4の実施の形態と異なる部分について説明する。なお、第5の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Eでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、表示電極13のパターンニングは不要である。
エレクトロクロミック表示装置10Eは、例えば、以下のようにして作製することができる。始めに、駆動側支持基板12上に蒸着法等により対向電極15を設けた後、対向電極15をフォトリソグラフィー法やインクジェット法等によりパターンニングする。そして、電解質20が混入された反射層21aを、パターンニングされた対向電極15が形成された駆動側支持基板12上に塗布焼成する。又、第1の実施の形態と同様の方法で、表示側支持基板11上に、表示電極13、バリア層40、及びエレクトロクロミック層14を形成する。
そして、パターンニングした対向電極15を設けた駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる事で、内部に反射層21aを有するエレクトロクロミック表示装置10Eが完成する。もちろん、電解質20を介して貼り合わせるのに、周辺をシールしてもよい。
又、駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる場合、できれば固化させた電解質にて貼り合わせる事ができれば最も効率が良い。この場合、電解質20として光硬化剤或いは熱硬化剤の混入した電解質を用いるのが効率的である。もちろん全面に液体電解質層を塗布して周辺をシールしても良い。
このように、第5の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、パターンニングされた対向電極が形成された駆動側支持基板上に電解質が混入された反射層を形成しても、第4の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置と同様の効果を奏する。
〈第6の実施の形態〉
第6の実施の形態では、第1〜第5の実施の形態と同様に、エレクトロクロミック層が単独層の場合について説明する。又、第6の実施の形態では、第3〜第5の実施の形態と同様に、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設ける場合の例を示す。
図8は、第6の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図8を参照するに、第6の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Fは、バリア層40がバリア層41に置換されている点が、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10C(図5参照)と異なる。以降、第6の実施の形態について、第3の実施の形態と共通する部分についての説明は省略し、第3の実施の形態と異なる部分について説明する。なお、第6の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Fでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、表示電極13のパターンニングは不要である。
エレクトロクロミック表示装置10Fは、例えば、以下のようにして作製することができる。始めに、第3の実施の形態と同様の方法で、駆動側支持基板12上に反射層21を形成し、更に反射層21上にパターンニングされた対向電極15を形成する。又、第2の実施の形態と同様の方法で、表示側支持基板11上に表示電極13、バリア層41、及びエレクトロクロミック層14を形成する。そして、パターンニングした対向電極15を設けた駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる事で、内部に反射層21を有するエレクトロクロミック表示装置10Fが完成する。もちろん、電解質20を介して貼り合わせるのに、周辺をシールしてもよい。
又、駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる場合、できれば固化させた電解質にて貼り合わせる事ができれば最も効率が良い。この場合、電解質20として光硬化剤或いは熱硬化剤の混入した電解質を用いるのが効率的である。もちろん全面に液体電解質層を塗布して周辺をシールしても良い。
このように、第6の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、表示電極を覆うようにバリア層を形成しても、第3の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置と同様の効果を奏する。
〈第7の実施の形態〉
第7の実施の形態では、第1〜第6の実施の形態と同様に、エレクトロクロミック層が単独層の場合について説明する。又、第7の実施の形態では、第3〜第6の実施の形態と同様に、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設ける場合の例を示す。
図9は、第7の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図9を参照するに、第7の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Gは、バリア層40がバリア層41に置換されている点が、第4の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10D(図6参照)と異なる。以降、第7の実施の形態について、第4の実施の形態と共通する部分についての説明は省略し、第4の実施の形態と異なる部分について説明する。なお、第7の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Gでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、表示電極13のパターンニングは不要である。
エレクトロクロミック表示装置10Gは、例えば、以下のようにして作製することができる。始めに、第4の実施の形態と同様の方法で、駆動側支持基板12上にパターンニングされた対向電極15を形成し、更にパターンニングされた対向電極15上に反射層21を形成する。又、第2の実施の形態と同様の方法で、表示側支持基板11上に表示電極13、バリア層41、及びエレクトロクロミック層14を形成する。そして、パターンニングした対向電極15を設けた駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる事で、内部に反射層21を有するエレクトロクロミック表示装置10Gが完成する。もちろん、電解質20を介して貼り合わせるのに、周辺をシールしてもよい。
又、駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる場合、できれば固化させた電解質にて貼り合わせる事ができれば最も効率が良い。この場合、電解質20として光硬化剤或いは熱硬化剤の混入した電解質を用いるのが効率的である。もちろん全面に液体電解質層を塗布して周辺をシールしても良い。
このように、第7の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、表示電極を覆うようにバリア層を形成しても、第4の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置と同様の効果を奏する。
〈第8の実施の形態〉
第8の実施の形態では、第1〜第7の実施の形態と同様に、エレクトロクロミック層が単独層の場合について説明する。又、第8の実施の形態では、第3〜第7の実施の形態と同様に、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設ける場合の例を示す。
図10は、第8の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図10を参照するに、第8の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Hは、バリア層40がバリア層41に置換されている点が、第5の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10E(図7参照)と異なる。以降、第8の実施の形態について、第5の実施の形態と共通する部分についての説明は省略し、第5の実施の形態と異なる部分について説明する。なお、第8の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Hでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、表示電極13のパターンニングは不要である。
エレクトロクロミック表示装置10Hは、例えば、以下のようにして作製することができる。始めに、第5の実施の形態と同様の方法で、駆動側支持基板12上にパターンニングされた対向電極15を形成し、更にパターンニングされた対向電極15上に電解質20が混入された反射層21aを形成する。又、第2の実施の形態と同様の方法で、表示側支持基板11上に表示電極13、バリア層41、及びエレクトロクロミック層14を形成する。そして、パターンニングした対向電極15を設けた駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる事で、内部に反射層21aを有するエレクトロクロミック表示装置10Hが完成する。もちろん、電解質20を介して貼り合わせるのに、周辺をシールしてもよい。
又、駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる場合、できれば固化させた電解質にて貼り合わせる事ができれば最も効率が良い。この場合、電解質20として光硬化剤或いは熱硬化剤の混入した電解質を用いるのが効率的である。もちろん全面に液体電解質層を塗布して周辺をシールしても良い。
このように、第8の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、表示電極を覆うようにバリア層を形成しても、第5の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置と同様の効果を奏する。
〈第9の実施の形態〉
第9の実施の形態では、エレクトロクロミック層が2層の場合について説明する。図11は、第9の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図11を参照するに、第9の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Iは、2層のエレクトロクロミック層が形成されている点が、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10A(図1参照)と異なる。以降、第9の実施の形態について、第1の実施の形態と共通する部分についての説明は省略し、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。なお、第9の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Iでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、第1の表示電極13a及び第2の表示電極13bのパターンニングは不要である。
エレクトロクロミック表示装置10Iにおいて、第1の表示電極13aは、対向電極15に対する電位を制御し、第1のエレクトロクロミック層14aを発色させるための電極である。第1のバリア層40aは、第1の表示電極13aに接して設けられている。第1のエレクトロクロミック層14aは、第1のバリア層40aに接して設けられている。第1のエレクトロクロミック層14aは、酸化還元反応によって発色する部分である第1のエレクトロクロミック化合物16aと、第1のエレクトロクロミック化合物16aを担持するとともに発消色を高速で行うための金属酸化物17とを有し、理想的な状態である金属酸化物17に第1のエレクトロクロミック化合物16aの単分子が吸着した状態となっている。
但し、第1のエレクトロクロミック層14aは、第1のエレクトロクロミック化合物16aが移動しないよう固定されると共に、第1のエレクトロクロミック化合物16aの酸化還元に伴う電子の授受が妨げられないように電気的な接続が確保されていれば、第1のエレクトロクロミック化合物16aと金属酸化物17とが混合されて単一層となっていても良い。
絶縁層22は、第1のエレクトロクロミック層14aの設けられた第1の表示電極13aと、後述する第2のエレクトロクロミック層14bの設けられた第2の表示電極13bとが、絶縁されるように隔離するためのものである。なお、第1の表示電極13aと第2の表示電極13bとの間の電極間抵抗を大きくすることができるのであれば、絶縁層22を設けなくてもよく、例えば第1のエレクトロクロミック層14aの膜厚を大きくすると、それに応じて第1の表示電極13aと第2の表示電極13bとの間の電極間抵抗が大きくなる。
第1のバリア層40aは、導電性材料と絶縁性材料とを含んで構成される混合体層である。第1のバリア層40aの材料や厚さ等の詳細については、バリア層40と同様であるため、その説明は省略する。
なお、第1のエレクトロクロミック層14aの、表示側支持基板11と反対側の面に接して、有機高分子材料からなる保護層を形成することにより、第1のエレクトロクロミック層14aの、隣接層との密着性、溶剤に対する耐溶解性を向上させ、エレクトロクロミック表示装置10Iの耐久性を向上させることができる。
第2の表示電極13bは、絶縁層22上に設けられている。第2の表示電極13bは、第1の表示電極13aと同様に、対向電極15に対する電位を制御し、第2のエレクトロクロミック層14bを発色させるための電極である。第2のバリア層40bは、第2の表示電極13bに接して設けられている。第2のエレクトロクロミック層14bは、第2のバリア層40bに接して設けられている。第2のエレクトロクロミック層14bは、第1のエレクトロクロミック層14aと同様に、酸化還元反応によって発色する部分である第2のエレクトロクロミック化合物16bと、第2のエレクトロクロミック化合物16bを担持するとともに発消色を高速で行うための金属酸化物17とを有し、理想的な状態である金属酸化物17に第2のエレクトロクロミック化合物16bの単分子が吸着した状態となっている。
但し、第2のエレクトロクロミック層14bは、第2のエレクトロクロミック化合物16bが移動しないよう固定されると共に、第2のエレクトロクロミック化合物16bの酸化還元に伴う電子の授受が妨げられないように電気的な接続が確保されていれば、第2のエレクトロクロミック化合物16bと金属酸化物17とが混合されて単一層となっていても良い。
第2のバリア層40bは、導電性材料と絶縁性材料とを含んで構成される混合体層である。第2のバリア層40bの材料や厚さ等の詳細については、バリア層40と同様であるため、その説明は省略する。
なお、第2のエレクトロクロミック層14bの、表示側支持基板11と反対側の面に接して、有機高分子材料からなる保護層を形成することにより、第2のエレクトロクロミック層14bの、隣接層との密着性、溶剤に対する耐溶解性を向上させ、エレクトロクロミック表示装置10Iの耐久性を向上させることができる。
エレクトロクロミック表示装置10Iは、上記説明した構造を有することにより、容易に多色表示が可能である。すなわち、第1の表示電極13aと、第2の表示電極13bとが、絶縁層22を介して隔離して設けられているため、対向電極15に対する第1の表示電極13aの電位と、対向電極15に対する第2の表示電極13bの電位とを独立して制御することができる。その結果、第1のバリア層40aを介して第1の表示電極13a上に設けられた第1のエレクトロクロミック層14aと、第2のバリア層40bを介して第2の表示電極13b上に設けられた第2のエレクトロクロミック層14bとを独立して発消色させることができる。
第1のエレクトロクロミック層14aと、第2のエレクトロクロミック層14bとは、表示側支持基板11側に積層して設けられているため、第1のエレクトロクロミック層14a、第2のエレクトロクロミック層14bの発消色のパターンにより、第1のエレクトロクロミック層14aのみの発色、第2のエレクトロクロミック層14bのみの発色、第1のエレクトロクロミック層14a及び第2のエレクトロクロミック層14bの両方の発色、の3段階の色に変化させることができ、多色表示が可能である。
例えば、第1のエレクトロクロミック層14a又は第2のエレクトロクロミック層14bとして、レッド、グリーン、ブルー等のうち、異なる2色を発色する2種類のエレクトロクロミック層が用いられることにより、多色表示が可能である。
エレクトロクロミック表示装置10Iは、例えば、以下のようにして作製することができる。始めに、第1の実施の形態と同様の方法で、表示側支持基板11上に第1の表示電極13a、第1のバリア層40a、及び第1のエレクトロクロミック層14aを形成する。更に、第1のエレクトロクロミック層14a上に絶縁層22を形成する。そして第1の実施の形態と同様の方法で、絶縁層22上に第2の表示電極13b、第2のバリア層40b、及び第2のエレクトロクロミック層14bを形成する。
又、駆動側支持基板12上に蒸着法等により対向電極15を設けた後、対向電極15をフォトリソグラフィー法やインクジェット法等によりパターンニングする。そして、パターンニングした対向電極15を設けた駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる事で、エレクトロクロミック表示装置10Iが完成する。もちろん、電解質20を介して貼り合わせるのに、周辺をシールしてもよい。
又、駆動側支持基板12を、電解質20を介して表示側支持基板11と貼り合わせる場合、できれば固化させた電解質にて貼り合わせる事ができれば最も効率が良い。この場合、電解質20として光硬化剤或いは熱硬化剤の混入した電解質を用いるのが効率的である。もちろん全面に液体電解質層を塗布して周辺をシールしても良い。
このように、第9の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するエレクトロクロミックの2層構造を有するエレクトロクロミック表示装置を実現することができる。
〈第10の実施の形態〉
第10の実施の形態では、第9の実施の形態と同様に、エレクトロクロミック層が2層の場合について説明する。又、第10の実施の形態では、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設ける場合の例を示す。
図12は、第10の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図12を参照するに、第10の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Jは、表示側支持基板11及び駆動側支持基板12に挟持された内部に反射層21(白色反射層)を設けている点が、第9の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10I(図11参照)と異なる。反射層21は、エレクトロクロミック表示装置10Jを反射型の表示装置として用いる場合に白色の反射率を向上させるためのものであり、駆動側支持基板12と対向電極15との間に設けている。反射層21は、第3の実施の形態と同様の方法により形成することができる。
第10の実施の形態について、他の実施の形態と共通する部分についての説明は省略する。なお、第10の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Jでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、第1の表示電極13a及び第2の表示電極13bのパターンニングは不要である。
このように、第10の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設けても、第9の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置と同様の効果を奏する。
更に、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設けることにより、白色の反射率が高くなるため、視認性に優れたエレクトロクロミック表示装置が実現可能となる。
〈第11の実施の形態〉
第11の実施の形態では、第9及び第10の実施の形態と同様に、エレクトロクロミック層が2層の場合について説明する。又、第11の実施の形態では、第10の実施の形態と同様に、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設ける場合の例を示す。
図13は、第11の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図13を参照するに、第11の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Kは、表示側支持基板11及び駆動側支持基板12に挟持された内部に反射層21(白色反射層)を設けている点は、第10の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10J(図12参照)と同様であるが、反射層21を対向電極15が形成された駆動側支持基板12上に形成している点が異なる。反射層21は、エレクトロクロミック表示装置10Kを反射型の表示装置として用いる場合に白色の反射率を向上させるためのものである。反射層21は、第4の実施の形態と同様の方法により形成することができる。
第11の実施の形態について、他の実施の形態と共通する部分についての説明は省略する。なお、第11の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Kでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、第1の表示電極13a及び第2の表示電極13bのパターンニングは不要である。
このように、第11の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、パターンニングされた対向電極が形成された駆動側支持基板上に反射層を形成しても、第10の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置と同様の効果を奏する。
〈第12の実施の形態〉
第12の実施の形態では、第9〜第11の実施の形態と同様に、エレクトロクロミック層が2層の場合について説明する。又、第12の実施の形態では、第10及び第11の実施の形態と同様に、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設ける場合の例を示す。
図14は、第12の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図14を参照するに、第12の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Lは、反射層21が電解質20が混入された反射層21aに置換されている点が、第11の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10K(図13参照)と異なる。反射層21aは、エレクトロクロミック表示装置10Lを反射型の表示装置として用いる場合に白色の反射率を向上させるためのものである。反射層21aは、第5の実施の形態と同様の方法により形成することができる。
第12の実施の形態について、他の実施の形態と共通する部分についての説明は省略する。なお、第12の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Lでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、第1の表示電極13a及び第2の表示電極13bのパターンニングは不要である。
このように、第12の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、パターンニングされた対向電極が形成された駆動側支持基板上に電解質が混入された反射層を形成しても、第11の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置と同様の効果を奏する。
〈第13の実施の形態〉
第13の実施の形態では、エレクトロクロミック層が3層の場合について説明する。図15は、第13の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図15を参照するに、第13の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Mは、3層のエレクトロクロミック層が形成されている点が、第9の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10I(図11参照)と異なる。以降、第13の実施の形態について、第9の実施の形態と共通する部分についての説明は省略し、第9の実施の形態と異なる部分について説明する。なお、第13の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Mでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、第1の表示電極13a、第2の表示電極13b、及び第3の表示電極13cのパターンニングは不要である。
エレクトロクロミック表示装置10Mにおいて、第1の絶縁層22aは、第1のエレクトロクロミック層14aの設けられた第1の表示電極13aと、第2のエレクトロクロミック層14bの設けられた第2の表示電極13bとが、絶縁されるように隔離するためのものである。第2の絶縁層22bは、第2のエレクトロクロミック層14bの設けられた第2の表示電極13bと、後述する第3のエレクトロクロミック層14cの設けられた第3の表示電極13cとが、絶縁されるように隔離するためのものである。
第3の表示電極13cは、第2の絶縁層22b上に設けられている。第3の表示電極13cは、第1の表示電極13a及び第2の表示電極13bと同様に、対向電極15に対する電位を制御し、第3のエレクトロクロミック層14cを発色させるための電極である。第3のバリア層40cは、第3の表示電極13cに接して設けられている。第3のエレクトロクロミック層14cは、第3のバリア層40cに接して設けられている。第3のエレクトロクロミック層14cは、第1のエレクトロクロミック層14a及び第2のエレクトロクロミック層14bと同様に、酸化還元反応によって発色する部分である第3のエレクトロクロミック化合物16cと、第3のエレクトロクロミック化合物16cを担持するとともに発消色を高速で行うための金属酸化物17とを有し、理想的な状態である金属酸化物17に第3のエレクトロクロミック化合物16cの単分子が吸着した状態となっている。
但し、第3のエレクトロクロミック層14cは、第3のエレクトロクロミック化合物16cが移動しないよう固定されると共に、第3のエレクトロクロミック化合物16cの酸化還元に伴う電子の授受が妨げられないように電気的な接続が確保されていれば、第3のエレクトロクロミック化合物16cと金属酸化物17とが混合されて単一層となっていても良い。
第3のバリア層40cは、導電性材料と絶縁性材料とを含んで構成される混合体層である。第3のバリア層40cの材料や厚さ等の詳細については、バリア層40と同様であるため、その説明は省略する。
なお、第3のエレクトロクロミック層14cの、表示側支持基板11と反対側の面に接して、有機高分子材料からなる保護層を形成することにより、第3のエレクトロクロミック層14cの、隣接層との密着性、溶剤に対する耐溶解性を向上させ、エレクトロクロミック表示装置10Mの耐久性を向上させることができる。
エレクトロクロミック表示装置10Mは、エレクトロクロミック表示装置10Iと同様の方法により作製することができる。
エレクトロクロミック表示装置10Mは、上記説明した構造を有することにより、容易に多色表示が可能である。第1の表示電極13aと第2の表示電極13bとが第1の絶縁層22aを介して隔離して設けられ、第2の表示電極13bと第3の表示電極13cとが第2の絶縁層22bを介して隔離して設けられているため、対向電極15に対する第1の表示電極13aの電位、対向電極15に対する第2の表示電極13bの電位、及び対向電極15に対する第3の表示電極13cの電位を独立して制御することができる。
その結果、第1のバリア層40aを介して第1の表示電極13a上に設けられた第1のエレクトロクロミック層14aと、第2のバリア層40bを介して第2の表示電極13b上に設けられた第2のエレクトロクロミック層14bと、第3のバリア層40cを介して第3の表示電極13c上に設けられた第3のエレクトロクロミック層14cとを独立して発消色させることができる。第1のエレクトロクロミック層14aと、第2のエレクトロクロミック層14b、及び第3のエレクトロクロミック層14cは、表示側支持基板11側に積層して設けられているため、第1のエレクトロクロミック層14a、第2のエレクトロクロミック層14b、及び第3のエレクトロクロミック層14cの発消色のパターンにより、第1のエレクトロクロミック層14aのみの発色、第2のエレクトロクロミック層14bのみの発色、第3のエレクトロクロミック層14cのみの発色、第1のエレクトロクロミック層14aと第2のエレクトロクロミック層14bの2層による発色、第1のエレクトロクロミック層14aと第3のエレクトロクロミック層14cの2層による発色、第2のエレクトロクロミック層14bと第3のエレクトロクロミック層14cの2層による発色、第1のエレクトロクロミック層14aと第2のエレクトロクロミック層14bと第3のエレクトロクロミック層14cの3層による発色に変化させることができ、多色表示が可能である。
又、第1のエレクトロクロミック層14a、第2のエレクトロクロミック層14b、及び第3のエレクトロクロミック層14cとして、イエロー、マゼンダ、シアンに発色するエレクトロクロミック層を用い、第1の表示電極13a、第2の表示電極13b、第3の表示電極13cの電位を独立に制御することにより、エレクトロクロミック表示装置10Mは、フルカラー表示が可能である。
このように、第13の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するエレクトロクロミックの3層構造を有するエレクトロクロミック表示装置を実現することができる。
〈第14の実施の形態〉
第14の実施の形態では、第13の実施の形態と同様に、エレクトロクロミック層が3層の場合について説明する。又、第14の実施の形態では、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設ける場合の例を示す。
図16は、第14の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図16を参照するに、第14の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Nは、表示側支持基板11及び駆動側支持基板12に挟持された内部に反射層21(白色反射層)を設けている点が、第13の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10M(図15参照)と異なる。反射層21は、エレクトロクロミック表示装置10Nを反射型の表示装置として用いる場合に白色の反射率を向上させるためのものであり、駆動側支持基板12と対向電極15との間に設けている。反射層21は、第3の実施の形態と同様の方法により形成することができる。
第14の実施の形態について、他の実施の形態と共通する部分についての説明は省略する。なお、第14の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Nでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、第1の表示電極13a、第2の表示電極13b、及び第3の表示電極13cのパターンニングは不要である。
このように、第14の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設けても、第13の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置と同様の効果を奏する。
更に、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設けることにより、白色の反射率が高くなるため、視認性に優れたエレクトロクロミック表示装置が実現可能となる。
〈第15の実施の形態〉
第15の実施の形態では、第13及び第14の実施の形態と同様に、エレクトロクロミック層が3層の場合について説明する。又、第15の実施の形態では、第14の実施の形態と同様に、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設ける場合の例を示す。
図17は、第15の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図17を参照するに、第15の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Pは、表示側支持基板11及び駆動側支持基板12に挟持された内部に反射層21(白色反射層)を設けている点は、第14の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10N(図16参照)と同様であるが、反射層21を対向電極15が形成された駆動側支持基板12上に形成している点が異なる。反射層21は、エレクトロクロミック表示装置10Pを反射型の表示装置として用いる場合に白色の反射率を向上させるためのものである。反射層21は、第4の実施の形態と同様の方法により形成することができる。
第15の実施の形態について、他の実施の形態と共通する部分についての説明は省略する。なお、第15の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Pでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、第1の表示電極13a、第2の表示電極13b、及び第3の表示電極13cのパターンニングは不要である。
このように、第15の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、パターンニングされた対向電極が形成された駆動側支持基板上に反射層を形成しても、第14の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置と同様の効果を奏する。
〈第16の実施の形態〉
第16の実施の形態では、第13〜第15の実施の形態と同様に、エレクトロクロミック層が3層の場合について説明する。又、第16の実施の形態では、第14及び第15の実施の形態と同様に、表示側支持基板及び駆動側支持基板に挟持された内部に反射層を設ける場合の例を示す。
図18は、第16の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置の一例を示す断面図である。図18を参照するに、第16の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Qは、反射層21が電解質20が混入された反射層21aに置換されている点が、第15の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10P(図17参照)と異なる。反射層21aは、エレクトロクロミック表示装置10Qを反射型の表示装置として用いる場合に白色の反射率を向上させるためのものである。
反射層21aは、第5の実施の形態と同様の方法により形成することができる。
第16の実施の形態について、他の実施の形態と共通する部分についての説明は省略する。なお、第16の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Qでは、第1の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置10Aと同様に、第1の表示電極13a、第2の表示電極13b、及び第3の表示電極13cのパターンニングは不要である。
このように、第16の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置によれば、パターンニングされた対向電極が形成された駆動側支持基板上に電解質が混入された反射層を形成しても、第15の実施の形態に係るエレクトロクロミック表示装置と同様の効果を奏する。
[実施例]
(エレクトロクロミック層に関して)
エレクトロクロミック層に関しては、酸化チタン(TiO2)を分散させたものに熱硬化樹脂を適量含有させ、必要に応じて多孔質にできるようにシリカ(SiO2)を微量添加したものを塗布し、塗布後乾燥を行ない作製した。もちろん、これ以外のものを含んでいても良い。なお、本実施例では、青色発色できるように、上記多孔質なエレクトロクロミック層に、青色発色が可能なビオロゲンを適量だけ塗布し、その後乾燥を行ない、評価セルを作製した。又、余分なビオロゲン除去の為、乾燥後、TFP(テトラフルオロプロパノール)を用いてスピン洗浄を行なった。
(電解質に関して)
LiCl04と、ポリエチレングリコール(分子量200)と光硬化樹脂を適量含んだもので固体電解質として実験を行った。LiCl04の代わりに過塩素酸テトラnブチルアンモニウム(TBAP)を用いても実験した。なお、TBAPはポリエチレングリコールにうまく分散しないので、ジメチルスルホキシド(DMSO)を溶媒として一旦溶解させてから、ポリエチレングリコールと光硬化樹脂を適量混合して評価を同様に行ったところ、同様の効果が得られた。もちろん、これ以外の通常の電解質でも流用は可能であり、電解質を液体のまま封止する事も可能であるし、固化させるのに、光硬化樹脂でなくても、熱硬化樹脂でも可能である。もちろん、樹脂もポリエチレングリコール以外を用いても良い。
なお、電解質に用いられる物質の例としては、LiCl、LiBr、LiI、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3等のリチウム塩や、KCl、KI、KBr等のカリウム塩や、ほうフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等のテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。又、必要に応じて公知の酸化還元化合物を添加しても良い。酸化還元物質としては、例えばフェロセン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、ベンゾキノン誘導体、フェニレンジアミン誘導体等が適用できる。
溶媒としては、支持電解質を溶解し、上述したエレクトロクロミック層の勇気色素を溶解しないものを選択する。例えば水、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、プロッピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、ガンマブチルラクトン、3−メトキシプロピオニトリル等から適宜選定する。
又、電解質にはいわゆるマトリックス材を適用してもよい。マトリックス材は、目的に応じて適宜選択でき、例えば、骨格ユニットがそれぞれ−(C−C−O)n−、−(CC(CH3)−O)n−、−(C−C−N)n−、もしくは−(C−C−S)n−、で表されるポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィドが挙げられる。なお、これらを主鎖構造として、適宜枝分かれ構造を有していてもよい。又、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート等も好適である。
又、電解質は先に記載したとおり、高分子固体電解質層としてもよい。この場合、マトリックス材のポリマーに所定の可塑剤を添加する事が好ましい。可塑剤としては、マトリックスポリマーが親水性の場合には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、及びこれらの子雲合物が好適であり、疎水性の場合には、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、ガンマブチルラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、及び、これらの混合物が好適である。
(表示電極に関して)
表示電極には、ITO(インジウム錫酸化物)を蒸着した(表示電極のパターンニングはしていない)。この際マスク蒸着を行ない、対向電極と個別に引き出して電圧をかけられるようにした。もちろん、表示電極としては透明性のある電極であればITO以外のものを用いてもよい。表示電極としては、例えばスズをドープした酸化インジウム(以下ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(以下FTO)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下ATO)等の無機材料を用いることができる。このうち、特に、真空成膜により形成されたインジウム酸化物(以下、In酸化物という)、スズ酸化物(以下、Sn酸化物という)又は亜鉛酸化物(以下、Zn酸化物という)の何れか1つを含む無機材料であることが好ましい。In酸化物、Sn酸化物及びZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。In酸化物、Sn酸化物及びZn酸化物として特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In2O3、ZnOである。
(バリア層に関して)
バリア層は、Al2O3:ZnO=2:98、Al2O3:ZnO=8:92の比率の材料を用い、表示電極と同様にマスク蒸着を行なって作製した。バリア層にAl2O3とZnOを用いたのは、比較的安価な導電性材料と安価な絶縁性材料であるという理由からである。なお、バリア層は、表示電極まで電解質をしみこませる事が出来るように、なるべく薄膜である事が望ましい。
なお、絶縁性のあるAl2O3のみ(100%)では、電圧を低下させても消色せず不可逆となり、又、発色させる際に電流を流すために高電圧が必要となる。これを回避する為に、バリア層は導電性材料と絶縁性材料とを含んで構成される混合体層とする必要があるが、本実施例では絶縁性材料の混入比率を低比率(Al2O3:ZnO=2:98、Al2O3:ZnO=8:92)としている。
(絶縁層に関して)
スパッタ法によって、ZnS−SiO2からなる絶縁層を形成した。絶縁層の材料としては、多孔質であればよく特に限定されるものではないが、絶縁性、耐久性及び成膜性に優れた有機材料および無機材料を用いることができる。多孔質膜の形成方法としては、燒結法(高分子微粒子や無機粒子をバインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物または無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物または無機物類を溶解させ細孔を得る)、高分子重合体等を加熱や脱気する等して発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の公知の形成方法を用いることができる。
具体例としては、無機ナノ構造粒子(SiO2粒子、AI2O3粒子など)とポリマー結着剤からなるポリマー混合粒子膜、多孔性有機膜(ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂)、多孔質膜上に形成した無機絶縁材料膜などが挙げられる。この無機膜としては、少なくともZnSを含む材料が好ましい。ZnSは、スパッタ法によって、エレクトロクロミック層などにダメージを与えることなく高速に成膜できるという特徴を有する。更に、ZnSを主な成分として含む材料として、ZnO−SiO2、ZnS−SiC、ZnS−Si、ZnS−Ge等を用いることができる。ここで、ZnSの含有率は、絶縁層14を形成した際の結晶性を良好に保つために、約50〜90mol%とすることが好ましい。従って、特に好ましい材料は、ZnS−SiO2(8/2)、ZnS−SiO2(7/3)、ZnS、ZnS−ZnO−In2O3−Ga2O3(60/23/10/7)である。
このような絶縁層の材料を用いることにより、薄膜で良好な絶縁効果が得られ、多層化による膜強度低下(すなわち膜のはがれ)を防止することができる。前述のようにZnS等をスパッタで形成する場合、予め下引き層として多孔性粒子膜を形成することによって、ZnS等の多孔質膜を形成することができる。この場合、前述のナノ構造半導体材料を粒子状膜として使用することもできるが、別途シリカ、アルミナ等を含む多孔質粒子膜を形成し、2層構成の絶縁層とすることが絶縁性の点から好ましい。このような手法を用いて絶縁層を多孔質膜にすることにより、電解質層14が絶縁層さらには表示電極11に浸透することが可能となるため、酸化還元反応に伴う電解質層中のイオン電荷の移動が容易となり、発消色の応答速度に優れた多色表示が可能である。なお、絶縁層の膜厚は20〜2000nmの範囲にある。この範囲よりも膜厚が薄い場合、絶縁性を得にくくなる。またこの範囲よりも膜厚が厚い場合、製造コストが増大すると共に、着色によって視認性が低下しやすい。
(対向電極に関して)
パターンニングはマスク蒸着にて、引き出しを配置した。一部パターンニングが必要ではあるが、簡易的に細線部約1mmラインにて、評価パターンを設けた。
(反射層に関して)
反射層に含まれる白色顔料粒子の材料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカ、酸化セシウム、酸化イットリウム等が用いられる。
(全体の構造に関して)
表示電極としての透明電極層と、エレクトロクロミック発色層とを交互に積層形成し、各エレクトロクロミック発色層間に絶縁層を形成した。各エレクトロクロミック発色層としては、酸化チタンナノ粒子に有機エレクトロクロミック化合物を担持した組成物を用いた。表示電極を対向電極と貼り合わせ、素子内部に電解液を浸透させて、エレクトロクロミック表示装置を作製した。なお、各表示電極は、パターンニングされていない。
作製したエレクトロクロミック表示装置の各々の表示電極(透明電極層)に電圧印加すると、対応したエレクトロクロミック発色層のみを個別に発色・消色反応させることができた。又、複数の表示電極(透明電極層)に同時に電圧印加することで混色を表示することができた。
(評価結果)
代表的な例として、Al2O3:ZnO=2:98の比率のバリア層を、0nm(バリア層なし)、51nm、及び68nmの3種類の膜厚で形成(蒸着)して、図1に示したような1層のエレクトロクロミック層を有するエレクトロクロミック表示装置A〜Cを作製した。評価は、エレクトロクロミック表示装置A〜Cの表示電極と対向電極との間に電圧を印加し、電圧印加から所定時間経過後のエレクトロクロミック表示装置A〜Cの表示を写真に撮ることで行った。
図19は、電圧印加から1〜2分経過後の評価結果を示す図である。図20は、電圧印加から約5分経過後の評価結果を示す図である。図21は、電圧印加から約15分経過後の評価結果を示す図である。図22は、電圧印加から約30分経過後の評価結果を示す図である。図19〜図22において、(A)はエレクトロクロミック表示装置A(バリア層なし)を、(B)はエレクトロクロミック表示装置B(バリア層51nm)を、(C)はエレクトロクロミック表示装置C(バリア層68nm)を示している。
図19〜図22に示すように、エレクトロクロミック表示装置A〜Cは、何れも電圧印加から時間が経過するにしたがって、表示が薄くなっていく。しかしながら、バリア層が形成されているエレクトロクロミック表示装置B及びCは、バリア層が形成されていないエレクトロクロミック表示装置Aに比べて、表示が薄くなっていく程度が小さいことが確認できた。これは、表示電極とエレクトロクロミック層との間にバリア層を設けることにより、表示電極をパターンニングしなくても、発色後にエレクトロクロミック層に保持されていた電荷が、表示電極を介して隣のパターンに移動することを抑制できたためと考えられる。
以上、好ましい実施の形態及び実施例について詳説したが、上述した実施の形態及び実施例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。