本件の図面では、当然のことながら、明確化のため、1以上のスケール機構のZ軸の寸法を大きく表示している。一般に、図面は部分的に再現描写され、部分的に模式化されているものと見なし得る。本件開示に基づいて、当然のことながら、本明細書で開示される種々のスケールレイヤ構造で実現される信号分離及び/又は信号絶縁は、一般に、表皮効果に依存してもよい。同様に、表皮効果は、スケールレイヤの材料及びリードヘッドの動作周波数の両方に依存してもよい。例として、これに制限されるものではないが、種々の実施の形態において、種々のレイヤは、表皮深さの一部又は複数の表皮深さのオーダーの厚み(Z軸寸法)を有してもよい。表皮深さは、実際の材料及び動作周波数に対し、マイクロメーターから数ミリメーターのオーダーであってもよい。本明細書で開示され、既知の分析及び/又は試験の方法で追加される、種々の動作原理及び技術に基づいて、当業者が実際の装置におけるZの実寸法を決定してもよい。
図1は、スケール170を含む概ね矩形断面のスパー(柱材)を有するスケール部材102と、スライダアセンブリ120と、を有する手持ち式のノギス100の組立分解等角図である。図2において更に説明するように、スケール170は、測定軸方向MA(X軸)に延在し、スケールレイヤにほぼ垂直な深さ方向(Z方向)に互いに積み重ねられたレイヤ(例えば、信号変調/分離レイヤ)を有してもよい。既知のタイプのカバーレイヤ172(例えば、100μm厚)は、スケール170を覆ってもよい。スケール部材102の第1の端部近傍のジョウ108及び110と、スライダアセンブリ120上の可動ジョウ116及び118は、既知の方法で対象物の寸法を測定するために用いられる。スライダアセンブリ120は、エンドストップ154によってスケール部材102下部のデプスバー用溝152に拘束されたデプスバー126を、任意に含んでもよい。デプスバー接触端128は、深さを測定する穴の中に挿入され得る。スライダアセンブリ120のカバー139は、オン/オフスイッチ134、ゼロ点設定スイッチ136及び測定表示部138を有してもよい。スライダアセンブリ120のベース140は、スケール部材102のサイドエッジ146と接触するガイドエッジ124と、測定のため、及び、スケール170に対してリードヘッド部164を移動させるために適正な配置を維持するように、弾性力バー148をスケール部材102の対向エッジに押し付けるねじ147と、を有する。
ベース140に搭載されるピックオフアセンブリ160は、本実施の形態においては、スケール170に対して深さ方向に配置された検出部167(例えば、場の生成や検出を行う巻線構造)が乗った基板162(例えば、プリント回路基板)と、信号処理/制御回路166と、を有するリードヘッド部164を有する。弾性シール163は、回路や結合部からの汚れを排除するために、カバー139と基板162との間で圧迫されてもよい。
具体的な一実施例においては、検出部167は、スケール170に対して深さ(Z)方向に0.5mmオーダーのギャップにて離間され、かつ、スケール170と平行にかつスケール170に対面するように配置される。同時に、リードヘッド部164及びスケール170は、トランスデューサ(例えば、図2について以下で詳述するような、変化する磁場の生成により動作する渦電流トランスデューサ)を構成してもよい。
図2は、深さ(Z)方向に互いに積み重ねられた(並べられ、かつ、隣接した)信号レイヤSIGL1及びSIGL2を示す、図1のスケール170の一実施の形態の断面の等角図である。いくつかの実施例においては、この実施の形態は後述するように、信号レイヤSIGL1及びSIGL2間の任意的な分離レイヤISOLを有するものとして解釈されてもよい。また、これに代えて、分離レイヤは、いくつかの実施の形態においては省略してもよく、スケール全体の厚みが低減される。また、他の実施の形態においては、レイヤISOLの材料は、レイヤSIGL1及び/又はレイヤSIGL2に由来してもよい。それぞれの厚み寸法であるTiso、T1及びT2は、状況に応じて調整されてもよい(例えば、このような実施の形態において、レイヤISOLが「無い」ものとして表現されるように、Tisoを厚みゼロとすることを含む)。後述のように、当然のことながら、レイヤSIGL1、ISOL及びSIGL2は、説明するような機構を有する概念的なレイヤである。種々の実施例においては、レイヤは分離して作製され、かつ、実際に「積み重ねられ」てもよい。また、概念的なレイヤの配置が「積層」に対応する場合には、レイヤは単一のピースとして作製されてもよい。
第1の信号レイヤSIGL1は、PAT1で表示される、測定軸に沿った第1の空間変調パターンを形成する材料からなる。概念的には、PAT1は、複数の第2のスケール要素領域SZ1〜SZ6に対して測定軸方向MAに交互に配置され、波長Pで周期的に配置される複数の第1スケール要素領域FZ1〜FZ7として説明され得る。一実施の形態においては、各スケール要素領域は、X方向に波長Pの1/2の寸法を有する。他の実施の形態においては、第1及び第2のスケール要素領域の面積及び幅は、異なってもよい。PAT1は、最も好適には、深さ(Z)方向の材料厚み変調を含むものとして説明され得る。また、これに代えて、PAT1は、深さ方向及び測定軸と交差する方向(Y)の材料幅変調を含む(本実施の形態では、幅がゼロのプレート除去機構である)ものとして説明されてもよい。
図2の例では、第1スケール要素領域FZ1〜FZ7のそれぞれは、導電性プレート機構P1〜P7(種々の実施の形態において、渦電流を流すように動作し得る)を有する。第2のスケール要素領域SZ1〜SZ6のそれぞれは、空洞又は切欠き領域R1〜R6、及び/又は、第2のスケール要素領域SZ1〜SZ6のそれぞれを充填する非導電性材料で構成される「プレート除去」機構(種々の実施の形態において、渦電流をわずかに流し、又は、渦電流を流さないように動作し得る)を有してもよい。または、これに代えて、「プレート除去」機構は、プレート機構と比べて異なる導電性及び透磁率を有する導電材料で構成されてもよい。同様のスケール動作原理が、出願日が2014年6月12日、発明の名称が「Absolute Position Encoder Scale Having Plates Alternating With Varying Recesses(変化する切欠きに対して繰り返して配置されたプレートを有するアブソリュート位置エンコーダスケール)」である、同一出願人の同時係属中の米国特許出願である出願番号14/303,266(’266出願)でより詳しく開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものである。
第2の信号レイヤSIGL2は、第1の信号レイヤからの類推によって理解し得る。第2の信号レイヤSIGL2は、測定軸に沿ったアブソリュートレンジ上の第1の空間変調パターンPAT1とは異なった、測定軸に沿った第2の空間変調パターンPAT2を構成する材料からなる。本実施の形態では、複数のスケール要素領域FZ1’〜FZ6’は、プレート機構PX’(X=1〜6)を有し、複数のスケール要素領域SZ1’〜SZ5’が有するプレート除去機構RX’(X=1〜6)に対して交互に、かつ、測定軸に沿って波長P’で周期的に配置される。上記のアブソリュートレンジについては、ここでは、凡そ(P×P’)/|P−P’|のアブソリュートレンジが与えられる。これは、PAT2が、空間周期性を有する第2の位置信号成分(周期P’又は波長P’を有する)を与えるように動作するためである。かつ、第2の位置信号成分が、PAT1が空間周期性を有する第1の位置信号成分(周期P又は波長Pを有する)を与えるように動作するアブソリュートレンジでの対応する位置において、空間周期性を有する第1の位置信号成分に対する複数の一意的な位相関係値を与えるためである。一意的な位相関係値は、PAT1の構成から得られる周期的信号のそれぞれの周期を区別すること、アブソリュートレンジでの個々の位置を一意的に示し、かつ、更に高精度のアブソリュート位置測定を実現するために既知の方法(例えば、正弦波直交信号補間法を含む)によって個々の信号周期を補間することを可能とする。
より一般的には、変形例(例えば、図6C、6D、6Gについて説明するように)においては、第2のレイヤの第2の空間変調パターンは、変化(線形又は非線形の変化)していてもよい。当該変化により、アブソリュートレンジでの位置に対応する、第1の位置信号成分と関連した複数の一意的な値(例えば、一意的な信号振幅又は一意的な第2の位置信号関係値)をもたらす信号特性を有する、第2の位置信号成分が与えられる。
種々の実施例においては、スケール170は、レイヤが概念的に「積み重ねられ」るように、導電性バルク材料(例えば、アルミニウム、鉄、銅など)で形成されてもよい。また、第1の信号レイヤSIGL1及び第2の信号レイヤSIGL2(及び、レイヤISOL)は、同じ又は異なるプロセスを用いて別個に(例えば、プリント回路基板のパターンレイヤとして)形成され、積み重ねられるなどして作製されてもよい。
図3は、図2のスケール170の一実施の形態の断面の概略側面図であり、検出部167の一実施の形態に含まれる、模式的に図示された検出部SN1〜SN3の動作及び機構を示す。種々の実施例において、検出部SN1〜SN3、すなわち”SNX”(X=1〜3)は、それぞれ単一の検出部SNX’(X=1〜3)を有してもよく、又は、それぞれ差動ペア検出部SNX’/SNX−D(X=1〜3)を有してもよい(例えば、以下で図4を参照して説明する)。いずれの場合においても、検出部は、その構成に対応した、模式的に示される出力信号SENX(X=1〜3)を提供する。
一般的に言えば、動作時には、信号処理/制御回路166と検出部167とは、第1及び第2のレイヤの第1及び第2の空間変調パターンによって変調され得る少なくとも1つのスケール検出場を生成するように構成される。かつ、信号処理/制御回路166と検出部167とは、第1及び第2の回路構成の使用(例えば、第1及び第2の回路及び/又は動作構成、及び/又は信号処理/制御回路166に含まれる信号処理ルーティン)に基づいて第1及び第2の位置信号成分を与えるように構成され、少なくとも1つのスケール検出場での第1の小信号検出深さと第2の小信号検出深さを提供する。
図3では、場FIELDC1又はFIELDC1’は、第1の小信号検出深さをもたらす場又は場の成分を模式的に示している。第1のレイヤSIGL1は、深さ方向において、第2のレイヤSIGL2よりもリードヘッド及び/又は検出部167に近いので、第1のレイヤSIGL1の第1の空間変調パターンPAT1は、場FIELDC1又はFIELDC1’に対応する第1の回路構成を用いて検出される支配的な位置信号成分をもたらす。第2のレイヤSIGL2は、第1の回路構成を用いて検出される信号において、少ない又は僅かな第2の位置信号成分を提供できるように、場FIELDC1又はFIELDC1’の検出レンジ上に部分的又は全体的に広がるように設計されてもよい。場FIELDC2は、第2の回路構成を用いることで得られる第2の小信号検出深さをもたらす場又は場の成分を模式的に示し、少なくとも第2のレイヤSIGL2の一部を含む。この場合、第2のレイヤSIGL2の第2の空間変調パターンPAT2は、第2の回路構成を用いて検出される、大きな第2の位置信号成分をもたらす。
種々の実施例においては、第1の回路構成は、場又は場の成分FIELDC1又はFIELDC1’が第1レイヤSIGL1を超える深さまで達しないように、又は、最大でも分離レイヤISOLを超えないように設計される。このような場合、第1の空間変調パターンPAT1の信号効果は、第1の回路構成を用いて検出される第1の位置信号成分によって正確に表され、リードヘッドの位置はPAT1(少なくとも、PAT1の局所的周期以内にて)に対して比較的正確に表され得る。更に、既述したように、PAT1の信号の寄与は、第1の回路構成を用いることで、スケールに対するリードヘッドの何れの特定位置においても、正確に分離される。その結果、第2の回路構成の使用により得られる第2の小信号検出深さを用いて決定される信号へのPAT1の寄与を、信号処理/制御回路166が予測及び/又は補償できるようにする情報が(例えば、以前の分析及び/又はキャルブレーションに基づいて)与えられる。よって、リードヘッドの位置がPAT2に対して比較的正確に表されるように、及び/又は、第1の位置信号成分に対する複数の一意的な値をもたらす第2の位置信号成分の信号の特性又は関係がアブソリュートレンジにおいて正確に決定できるように、信号処理/制御回路166は、第2の空間変調パターンPAT2に起因する所望の第2の位置信号成分を実質的に分離し得る。
変形例においては、上記に代えて又は上述の予測及び補償に加えて、分離レイヤISOLは、場FIELDC2と第2の回路構成を用いる場合に、第1の信号レイヤSIGL1の第1の空間変調の効果を無効化するための第3の空間変調(図2又は3では不図示)を有するように、形成されてもよい。例えば、分離レイヤISOLは、図6Fについて以下で説明するように、補完パターン機構(例えば、PAT1と逆の空間位相の)を有してもよい。
種々の実施の形態においては、上記の効果及び動作は、以下で説明する種々の構成により達成されてもよい。リードヘッドは、少なくとも、変化する場であるスケール検出場を提供する。第1の回路構成は、スケール検出場の高周波側の時間周波数又は周波数レンジに対応する。第2の回路構成は、スケール検出場の低周波側の時間周波数又は周波数レンジに対応する。種々の実施例においては、第1及び第2の回路構成は、a)及びb)の少なくとも1つに応じて動作してもよい。a)では、第1の回路構成が第1の時間における高周波側の時間周波数又は周波数レンジでの第1のスケール検出場を提供し、第2の回路構成が第2の時間における低周波側の時間周波数又は周波数レンジでの第2のスケール検出場を提供し、リードヘッドが第1の時間における第1の位置信号成分及び第2の時間における第2の位置信号成分を検出する。また、b)では、第1の回路構成が、高周波側の時間周波数又は周波数レンジに対応する高周波側の制限又はフィルタリングされた周波数レンジを用いて、少なくとも1つのスケール検出場の変調を検出し、第2の回路構成が低周波側の時間周波数又は周波数レンジに対応する低周波側の制限又はフィルタリングされた周波数レンジを用いて、少なくとも1つのスケール検出場の変調を検出する。検出時において、上述の「a」動作は、スケール検出場の「入力」又は「送信」の間にスケール検出場に含まれる周波数の制限又はフィルタリングに対応するものである。上述の「b」動作は、スケール検出場の「出力」又は「受信」の間にスケール検出場で検出される周波数の制限又はフィルタリングに対応するものである。このような制限又はフィルタリングを適用する方法は既知であり、かつ、いくつかの実施の形態においては別々に又は組み合わせて行われてもよい。いくつかの実施の形態においては、第1及び第2の回路構成は、b)に応じて動作し、リードヘッドは高周波側及び低周波側の時間周波数又は周波数レンジを両方とも同時に有する、変化するスケール検出場を生成するように構成される。
当然のことながら、表皮深さ効果は、本明細書で開示される原理に応じて動作する設計において、利用及び使用され得る。表皮深さδは、以下の通りに近似される。
上式において、ρは材料の抵抗率、fは動作周波数(例えば、時間周波数又は上述の周波数)、μrは材料の比透磁率、μ0は真空の透磁率である。
これにより、種々の実施例では、第1の回路構成は場又は場の成分FIELDC1が第1のレイヤSIGL1を超えた位置で大きくならないように設けられる。このような一実施の形態においては、第1のレイヤは、第1の表皮深さの少なくとも1倍、又は2倍以上の、深さ方向の厚みT1を有する。なお、第1の表皮深さは、第1の空間変調パターンPAT1を形成する材料と、第1の回路構成に対応する高周波側の時間周波数又は周波数レンジと、に基づいて決定される。分離レイヤISOLは、第1の回路構成を用いる場合に、(もし、望むならば)第2の信号レイヤSIGL2のPAT2の信号変調効果を遮断するためのマージンを与えるように用いられてもよい。このような一実施の形態では、分離レイヤは均一なレイヤを形成する材料からなり、深さ方向の分離レイヤの厚みTisoに加算される第1のレイヤの厚みT1は、少なくとも第1の表皮深さの1倍、又は2倍以上である。なお、第1の表皮深さは、均一なレイヤを形成する材料と、第1の回路構成に対応する高周波側の時間周波数又は周波数レンジと、に基づいて決定される。
もちろん、上述の原理によれば、場又は場の成分FIELDC2が第1のレイヤSIGL1及び/又は分離レイヤISOLを超える深さで大きくなるように、かつ、場又は場の成分FIELDC2が少なくとも第2のレイヤSIGL2の空間変調領域を含むように、第2の回路構成が構成されなければならない。このような場合、第1のレイヤSIGL1及び/又は分離レイヤISOLは、第2の回路構成と関連した表皮深さを超えることはできない。このような一実施の形態では、第1のレイヤは、多くとも第2表皮深さの0.5倍、又は0.3倍以下の、深さ方向の厚みT1を有する。なお、第2の表皮深さは、第1の空間変調パターンPAT1を形成する材料と、第2の回路構成に対応する低周波側の時間周波数又は周波数レンジと、に基づいて決定される。もし、分離レイヤISOLを用いる場合、このような一実施の形態では、深さ方向の分離レイヤの厚みTisoに加算される第1のレイヤの厚みT1は、多くとも第2の表皮深さ0.5倍、又は0.3倍以下である。一部の実施の形態では、第2の回路構成の使用により得られる信号への第1の空間変調パターンの影響が、第2の空間変調パターンの影響と比べて低減されるように、第2のレイヤの第2の空間変調パターンを形成する材料の深さ方向の厚みT2は、第1のレイヤの第1の空間変調パターンを形成する材料の深さ方向の厚みT1の、少なくとも2倍、又は3倍以上となる。
種々の実施の形態においては、レイヤSIGL1、ISOL及びSIGL2の材料は、導電性及び/又は高透磁率の材料であってもよい。種々の実施例では、リードヘッド164は空間変調パターンにより生じるインダクタンス及び/又はインピーダンスの変動に起因する信号の変動を検出してもよい。ある実施例においては、もしスケール材料が低透磁率かつ導電性である場合には、渦電流が信号の変化の主たる原因となる。一方、スケール材料が高透磁率である場合には、磁気回路効果が信号の変化の主たる原因となる。
当然のことながら、Z方向に配置又は積み重ねられたレイヤを有するスケールは、スケールトラックを横に並べて同等のスケールを構成するのに比べて、幅の狭いスケールを実現できる点で有利である。更に、他の製造オプションを適用してもよい。
種々の実施の形態では、測定サイクルのあらゆる時点において、様々な検出部SNXの1つ又は全部は、本明細書に開示される原理に基づいて明示される所望の信号処理スキームに応じて、上述の第1及び/又は第2の回路構成を用いて信号を与え得る。図3に示す実施の形態においては、検出部SN1及びSN2は、D1=5/4Pの測定軸に沿った間隔を有する。かつ、検出部SN1及びSN2は、第1の回路構成を用いて動作することで、第1の信号レイヤSIGL1の波長Pに対応する直交信号SEN1及びSEN2を与えてもよい。直交信号SEN1及びSEN2は、第1の信号レイヤSIGL1の要素又は周期に対するリードヘッドの変位及び/又は位置を決定するために、既知の方法によって処理されてもよい。同様に、検出部SN2及びSN3は、D2=5/4P’の間隙を有し、第2の回路構成を用いて動作することで、第2の信号レイヤSIGL2の波長P’に対応する直交信号SEN2及びSEN3を与えてもよい。直交信号SEN2及びSEN3は、第2の信号レイヤSIGL2の要素又は周期に対するリードヘッドの変位及び/又は位置を決定するために、既知の方法によって処理されてもよい。上述したように、第1及び第2の回路構成を用いて決定された信号間の位相差は、約(P×P’)/|P’−P|のアブソリュートレンジ上でのアブソリュート位置測定を得るために処理された信号である位相差であってもよい。
図4は、図3又は本開示の範囲内の他の様々な実施の形態において示される、1以上の検出部SNX(X=1〜3)として利用できる、検出部SNXの一実施の形態を示す部分等角配線図である。わかりやすくするため、図4では、単一の差動検出部SNXのみを示している。検出部SNXは、信号処理/制御回路166に制御される駆動端子DRVとグランド端子GNDとに接続される励磁巻線430A及び430B(場の極性が逆の)を有する。また、検出部SNXは、グランド端子と接続され、端子SL1及びSL2を介して信号処理/制御回路166に接続される位置信号成分SENX’及びSENX−D’をそれぞれ出力する、第1及び第2の信号巻線410A及び410B(一括して410)を有する。ある実施例においては、種々の巻線は、プリント回路基板(例えば、図1のプリント回路基板162)の1以上の金属レイヤに作製されてもよい。種々の実施例においては、Y方向の位置ずれに対する感度を低減するため、スケール部170の幅(Y寸法)は検出部SNXの幅よりも大きくてもよい。スケール要素(例えば、PX及び/又はRX)の長さ(X方向の寸法)は、生じる信号(例えば、位置信号成分SENX’及びSENX−D’の間の差によって決定される等)を最大化するため、410A(又は410B)とほぼ同じ(例えば、検出部SNXのトータルの長さの半分)にしてもよい。
検出部SNXの電気的接続と動作及びスケール部170の一実施の形態は、図5Aに模式的に示され、かつ、図4及び5Aを参照して以下で説明される。
第1の回路構成を用いて動作する場合(例えば、第1の周波数、又は、高周波側のより高い駆動周波数、及び/又は、信号フィルタリング周波数)において、第1のレイヤSIGL1の切欠き領域R1〜R3の1つが信号巻線410A(または、410B)の直下となるように検出部SNXが移動したときは、励磁巻線430A(または、430B)と信号巻線410A(または、410B)との間の結合は、導電性及び/又は透磁性の材料の不存在又は離隔による影響をそれほど受けず、位置信号成分SENX’(または、SENX−D’)は対応する第1の極性値を有する。反対に、第1のレイヤSIGL1のプレート領域P1〜P3の1つが信号巻線410A(または410B)の直下となるように検出部が移動する場合、励磁巻線430A(または、430B)と信号巻線410A(または、410B)との間の結合は、導電性及び/又は透磁性の材料の接近による影響を大きく受け(例えば、透磁率により増強されるか、あるいは、渦電流効果により低減される)、位置信号成分SENX’(または、SENX−D’)は対応する第2の極性値を有する。したがって、位置信号成分SENX’及びSENX−D’の差は、スケール部170の第1の信号レイヤSIGL1のパターンの、検出部SNXに対する位置を決定するのに利用されてもよい(少なくとも1波長以内)。差動信号は、あるコモンモードエラーの除去により、線形性及び堅牢性の改善のために与えられてもよい。先に述べたように、第2の回路構成を用いて動作する場合(例えば、第2の周波数、又は、低周波側の駆動周波数、及び/又は、信号フィルタリング周波数)において、検出部SNXに関する場は、第2の信号レイヤSIGL2を貫通してもよいし、スケール部170の第2の信号レイヤSIGL2のパターンの検出部SNXに対する位置を決定するのに利用できる信号成分を与えてよい(少なくとも1波長以内)。
種々の実施例においては、励磁巻線430は、選択された波形(正弦波、パルス共鳴回路による疑似正弦波、又は、「矩形波」パルスなど)で(例えば、ノードN3の励磁信号DRVによって)駆動されてもよい。検出部と協働する第1及び第2の回路構成(それぞれ信号処理回路及び/又はルーティンを有する)を用いるための種々の原理、及び、図4及び5Aに示す接続関係は、本明細書に開示され、かつ、当業者が本開示に基づいて実施し得る。
図4及び5Aに示す実施例が、分離信号をもたらす第1及び第2の信号巻線410A及び410Bを示している一方で、当然のことながら、変形例においては、これらの巻線は単一の出力を有する単一のコイルとして接続され、又は、更なる信号を供給するため、X方向に適切な間隔にて複製されるなどしてもよい。更に、他の実施の形態においては、 他の検出素子(例えば、ホールセンサ)を巻線410の代わりに用いてもよい。故に、説明した実施の形態は例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
図5Bは、検出部SNX’及びスケール部170の電気的接続及び動作の一実施の形態を示す模式図である。ここでは、単一の巻線又は検出部が励磁部及び信号部の両方の機能を発揮できるように、リードヘッド164’の回路構成が用いられる。種々の実施例においては、リードヘッドは、このような回路及び検出部を1以上有してもよい。ここでは、図及び説明を簡略化するため、検出部SNX’に近接する単一のスケール要素PX(あるいは、RX、又は、PX’もしくはRX’に対応する信号生成機構)のみを表示している。図5Bに示すように、検出部SNX’及び対象スケール領域「PX」は、例えば 「Lefebvre, C. Mandache and J. Letarte, “Pulsed eddy current empirical modeling”, Advances in Signal Processing for Non Destructive Evaluation of Materials, Quebec City, Canada, 2006」に示されるように、2パート回路としてモデル化することができる。 この文献で記載されるように、渦電流センサのインピーダンスに影響する、いくつかのキーとなる変数が存在する。その変数とは、センサコイル(例えばSNX’)の寸法及び構成、センサの動作周波数、対象スケール要素PXの伝導度及び透磁率、対象スケール要素PXの不規則性、対象スケール要素PXに対するセンサのギャップ及び配置である。
図5Bに示す回路は、励磁部と信号部とを有し、リードヘッド164’の検出部SNX’が回路の左側(すなわち、信号部)に含まれる。この回路は、等価インダクタンスLs、抵抗Rsを有し、電圧源V(t)により駆動される。右側のスケール要素「PX」は、実効インダクタンスLt及び抵抗Rtを有し、検出部SNX’との間で相互インダクタンスMを生じる。スケール要素「PX」にかかるこれらの実効インダクタンスの値は、σ、μ、ωとシステム構成に依存する。2つの回路の結合は、センサ−ターゲットの近接度(例えば、ギャップとリードヘッド164’に対する「PX」のX軸方向での位置)に依存し、かつ、相互インダクタンスMが反映される。相互インダクタンスMは、以下の式で表される。
値kは、以下の式で表される。
値kは、ギャップが減少するにつれて増加する。スケール要素「PX」との位置依存性の結合に起因する検出部SNX’の信号及び/又は複素インピーダンスの変化は、スケール要素「PX」及び対応するスケール部170に対する検出部SNX’の位置を決定するために用い得る、スケール要素「PX」に対応した位置信号成分を与え得る。
図6A〜6Gは、スケール670A〜670G及び/又は構成レイヤの空間変調パターン、検出部167の典型例、これに対応する信号成分の種々の実施の形態の部分模式図である。レイヤ間にギャップを設けて図示しているが、当然のことながら、レイヤ同士はなんらのギャップもなく隣接している。図6Aに、スケール部670Aの垂直断面図(Y軸に沿った断面)を示す。スケール部670Aは、図2〜4のスケール部170と同様であり、その構造及び動作は記述した事項に基づいて理解され得る。第1及び第2の信号レイヤSIGL1A及びSIGL2Aは、分離レイヤISOLA(例えば、レイヤ間のシールドとして振る舞う)によって隔てられている。分離レイヤISOLAは、図6B〜6Fに関して以下で詳述するように、第3の空間変調パターンを含む分離レイヤを形成するための成形又はパターニングされた材料と比較して、全体的に幅及び厚みが一定の矩形及び/又は均一なレイヤを形成する材料からなる。位置信号成分680Aについて検討すると、検出部167が第1の回路構成(例えば、「第1の回路構成」ラベルで示されるように)によって動作する場合、第1のスケールパターンPAT1Aに対応する第1の位置信号成分SSIGL1Aは、対応する(例えば、直交信号を供給するための)空間位相及びオフセットを有する個々の検出部167により与えられ得る。検出部167が第2の回路構成(例えば、「第2の回路構成」ラベルで示されるように)によって動作する場合、第2のスケールパターンPAT2Aに対応する第2の位置信号成分SSIGL2Bは、対応する空間位相及びオフセットを有する個々の検出部167により与えられ得る。既に説明したように、第2の位置信号成分SSIGL2Aは、第2の回路構成を用いる場合、第1のスケールパターンPAT1Aの影響から第2の位置信号成分SSIGL2Aを分離する信号処理を必要としてもよい。信号成分は、空間的な周期性変動(例えば、第1及び第2のスケールパターンPAT1A及びPAT2Aにおいて、切欠き部と交互に配置される導電性プレート領域に起因するもの)を呈する。より具体的には、種々の実施例においては、位置信号成分SSIGL1A及びSSIGL2Aは、それぞれリードヘッド164の信号処理/制御部からの出力の典型例である。信号の種々の特性及び関連するアブソリュート位置の決定ついては、既に説明した。
図6Bにおいては、スケール部670Bの垂直断面図はスケール部670Aと同様であり、その構造及び動作は、分離レイヤISOLBとその信号の効果を除いて、既述の説明に基づいて理解され得る。分離レイヤISOLBは、図6Bの下部におけるレイヤの平面図に示すように、大よそテーパ状の幅と一定の厚みを有する第3の空間変調パターンを形成した材料からなる。検出部167が第1の回路構成(例えば、「第1の回路構成」ラベルで示されるように)によって動作する場合、第1のスケールパターンPAT1Bに対応する第1の位置信号成分SSIGL1Bは、対応する(例えば、直交信号を供給するための)空間位相及びオフセットを有する個々の検出部167によりもたらされ得る。検出部167が第2の回路構成(例えば、「第2の回路構成」ラベルで示されるように)によって動作する場合、分離レイヤパターンPAT3B及びパターンPAT2Bは、双方ともに、信号の効果をもたらし得る。また、対応する第2の位置信号成分SSIGL2Bは、対応する空間位相及びオフセットを有する個々の検出部167によりもたらされ得る。すなわち、分離レイヤの第3の空間変調パターンは、第2のレイヤの第2の空間変調パターンと共に動作するように構成され、第2の回路構成を用いて検出される第2の位置信号成分において、第2及び第3の空間変調パターンの複合変調効果をもたらす。これにより、位置信号成分680Bは、分離レイヤISOLBの第3のスケールパターンPAT3Bによる影響に対応する第3の位置信号の効果EISOLBの影響を含めて、第1の信号レイヤSIGL1Bの第1のスケールパターンPAT1Bに対応する第1の位置信号成分SSIGL1B、及び、第2の信号レイヤSIGL2Bの第2のスケールパターンPAT2Bに対応する第2の位置信号成分SSIGL2Bを示す。説明のため、位置信号成分680Bの左端部分において、コントラスト/信号振幅が小さく、かつ、DCレベルが高くなるように、第2位置信号成分SSIGL2Bの正弦波状の変動が示されている。これは、当該位置において、第3のスケールパターンPAT3Bの幅が広い方の端部の影響が、大きなシールディング及び/又は信号の効果を第2の信号レイヤSIGL2Bに与えることによるものである。位置信号成分680Bの右端部分において、コントラスト/信号振幅が大きく、かつ、DCレベルが低くなるように、第2位置信号成分SSIGL2Bの正弦波状の変動が示されている。これは、当該位置において、第3のスケールパターンPAT3Bの幅が狭い方の端部の影響が、小さなシールディング及び/又は信号の効果を第2の信号レイヤSIGL2Bに与えることによるものである。当然のことながら、信号の効果EISOLBは説明のために図示したものであり、信号として分離される必要はない。更に、既に説明したように、第2の位置信号成分SSIGL2Bは、第2の回路構成を用いる場合、第1のスケールパターンPAT1Aの影響から第2の位置信号成分SSIGL2Bを分離する信号処理を必要としてもよい。
一実施例においては、様々な位置における分離レイヤISOLBの第3のスケールパターンPAT3Bにより生じる信号成分SSIGL2Bにおける信号の差は、スケール部670Bの粗いアブソリュートレンジを示すために解析されてもよい。一方、信号成分SSIGL1BとSSIGL2Bとの間の長波長うなりの周波数は、中程度のアブソリュートレンジ(例えば、特定の波長Pを認識する精度)を示すために利用されてもよく、第1の信号成分SSIGL1Bは、高解像及び正確性のための特定の波長以内のインクリメンタル位置を示すのに利用されてもよい。種々の実施例においては、第3のスケールパターンPAT3Bは、成形された導電体として形成されてもよく、例えばプリント基板回路上に形成され、又は、材料シートにおいてより厚くなっている一段高い部分として打ち抜かれ、エッチングされ若しくは形成されるなどしてもよい。
図6Fでは、スケール部670Fの垂直断面図はスケール部670Bと類似しており、その構造及び動作は、分離レイヤISOLFの設計とその信号の効果を除いて、既述の説明に基づいて理解され得る。特に、スケール部670Fは、第2の回路構成を用いる場合に第1の空間変調パターンの変調効果を少なくとも部分的に無効化し、よって第2の回路構成を用いる場合に第1の位置信号成分を少なくとも部分的に無効化するために、第1のレイヤの第1の空間変調パターンと関連するように分離レイヤの第3の空間変調パターンが構成される一例を提供する。この具体的な実施の形態では、分離レイヤISOLFは、大よそ第1と第3の空間変調パターンが補完し合うように、第3の空間変調パターンを形成した材料からなり、第1及び第3の空間変調パターンを形成する材料の深さ方向に沿った複合厚みがリードヘッドと第2のレイヤとの間で名目的に一定となる。いくつかの実施の形態においては、第1及び第3のレイヤは、同じ材料で形成される。種々の実施の形態では、第1及び第3のレイヤの補完パターンは、第3のレイヤのパターンを第1のレイヤのパターンの写真のネガのようなものとして思い描けるような、「幅補完」であってもよい。本実施の形態においては、パターンは「厚み補完」である。すなわち、垂直断面図に示すように、第1の空間変調パターンは周期的かつ波長Pを有する厚みパターンである。第3の空間変調パターンは周期的かつ波長Pを有する厚みパターンである。第1及び第3の空間変調パターンは、空間位相にして約180°だけ、測定軸に沿って互いにシフトしている。
検出部167が第1の回路構成により動作する場合には、第1のスケールパターンPAT1Fに対応する第1の信号成分SSIGL1Fが与えられ得る。検出部167が第2の回路構成により動作する場合には、分離レイヤパターンPAT3F及びパターンPAT2Fは、双方ともに、信号の効果をもたらす。位置信号成分680Fは、第1の信号レイヤSIGL1Fの第1のスケールパターンPAT1Fに対応する第1の位置信号成分SSIGL1Fと、第2の信号レイヤSIGL2Fの第2のスケールパターンPAT2Fに対応する第2の位置信号成分SSIGL2Fと、を示す。分離レイヤISOLFの第3のスケールパターンPAT3Fの影響又は効果により、第2の回路構成を用いて得られる信号でのPAT1Fの影響を効果的に無効化できる。すなわち、PAT2Fの効果を分離して第2の位置信号成分SSIGL2Fを与える信号処理の必要がない。PAT2Fの効果の分離はPAT3Fにより与えられる。繰り返すが、第1及び第3の空間変調パターンは厚み補完を形成するので、第1及び第3の空間変調パターンは、両パターンレイヤを実際に貫通する場による互いの空間変調効果を効果的に相殺する。
図6Cに、スケール部670A及びBのあるレイヤと同じように動作するレイヤを示す、スケール部670Cの垂直断面図を示す。本構造及び動作においては、上述の説明に基づいて理解することが可能であり、かつ、以下の更なる説明と組み合わせてもよい。第1の信号レイヤSIGL1Cと、これに関連する第1の位置信号成分SSIGL1C(位置信号成分680C中で示されている)とは、第1の信号レイヤSIGL1Aと、これに関連する第1の位置信号成分SSIGL1Aと同様又は同一である。第2の信号レイヤSIGL2Cと、これに関連する第2の位置信号成分SSIGL2Cとは、図6Bを参照して説明した分離レイヤISOLBと、これに関連する信号の効果EISOLBと同様又は同一である。すなわち、これは、大よそテーパ状の幅と一定の厚みを有する第2の空間変調パターンを形成する材料からなる。検出部167が第1の回路構成により動作する場合、第1のスケールパターンPAT1Cに対応する第1の位置信号成分SSIGL1Cが与えられる。検出部167が第2の回路構成により動作する場合、パターンPAT2C(図6BのPAT3Bと同様の)は、第2の位置信号成分SSIGL2Cを与える。第2の位置信号成分SSIGL2Cは、既に説明したように、第2の回路構成を用いる場合に第1のスケールパターンPAT1Aの効果を分離するための信号処理を必要とする。分離レイヤISOLCは、もし存在する場合には、全体的に幅及び厚みが一定の矩形及び/又は均一なレイヤを形成する材料からなる。
図6Eは、パターンPAT2Eの第2の空間変調パターンが幅変調ではなく厚み変調を含むことを除き、スケール部670Cのレイヤと同様に形成され、かつ動作し得るレイヤを示す、スケール部670Eの垂直断面図として理解できる。すなわち、これは、大よそ厚みがテーパ状で幅が一定の第2の空間変調パターンを形成する材料からなる。レイヤの一端の厚い材料は、レイヤの薄い一端と比べて、例えば全レイヤを貫通する場に対して、より大きな渦電流効果をもたらす。検出部167が第1の回路構成により動作する場合、第1の信号レイヤSIGL1E及び第1のスケールパターンPAT1Eに対応する第1の位置信号成分SSIGL1E(位置信号成分680E中で示されている)が与えられる。検出部167が第2の回路構成により動作する場合、第2の信号レイヤSIGL2Eと第1のスケールパターンPAT2Eとは、第2の位置信号成分SSIGL2Eを与える。第2の位置信号成分SSIGL2Eは、既に説明したように、第2の回路構成を用いる場合に第1のスケールパターンPAT1Eの効果を分離するための信号処理を必要とする。分離レイヤISOLEは、もし存在する場合には、全体的に幅及び厚みが一定の矩形及び/又は均一なレイヤを形成する材料からなる。これは自由に選択可能なものとして考えることができ、第1及び第2のレイヤの一体化部として考えることもできる。
図6Dは、第2の信号レイヤSIGL2Dの第2の空間変調パターンとパターンPAT2Dとが切欠き又は薄いスケール要素に沿った厚みテーパと同様の厚み変調を含むことを除き、スケール部670Aのレイヤと同様に形成され、かつ動作し得るレイヤを示す、スケール部670Dの垂直断面図として理解できる。すなわち、これは、切欠きタイプのスケール要素において、大よそテーパ状の厚みと一定の幅を有する第2の空間変調パターンを形成する材料からなる。このような構成は、上記で本明細書に組み込んだ’266特許出願でより詳細に説明されている。レイヤの一端の薄い切欠きは、切欠きの深さが最大となる位置(高い信号コントラスト又は振幅が与えられる位置)でのレイヤの端部と比べて、隣接するプレートタイプの要素(低い信号コントラスト又は振幅が与えられる位置)に近似した信号を与える。本実施の形態では、第2の位置信号成分SSIGL2D(位置信号成分680D中で示されている)は、既に説明したように、第2の回路構成を用いる場合に第1の信号レイヤSIGL1D及び第1のスケールパターンPAT1Dの効果を分離するための信号処理を必要とする。分離レイヤISOLDは、もし存在する場合には、全体的に幅及び厚みが一定の矩形及び/又は均一なレイヤを形成する材料からなる。これは自由に選択可能なものとして考えることができ、第1及び第2のレイヤの一体化部として考えることもできる。
図6Gは、本名明細書で説明するアブソリュート位置信号原理を充たすため、リードヘッドの構成変形例が対応する第2のスケール変調パターンと関連して用いられる一実施の形態を示す。スケール部670Gでは、第1の信号レイヤSIGL1Gと、これに対応する第1のスケールパターンPAT1G(すなわち、X及びZ軸に対する断面において示されている)とは、スケール670Aと同様である。第2の信号レイヤSIGL2Gは、第2のスケールパターンPAT2Gに対応するものであり(すなわち、破線図で示したパターンPAT1Gの部分平面図と共に、図6G下部の平面図として示されている)、2つの正弦波状形状の領域のトラックを含む。この2つのトラックは、X方向でそれぞれ異なる長さ又は「周期」(例えば、Pc1、Pc3など)を有する。既述した積層スケールレイヤと同様に、第1の信号レイヤは第2の信号レイヤの上に積み重ねられている。PAT2Gの2つのトラックを載置及び/又は並べることで、検出部a−h(例えば、上述のように、検出部SNXと同様の各構成)を構成する部材検出部セットSNQ1及びSNQ2を構成する。部材検出部(部材aと部材h)間の間隔は固定され、正弦波状部の異なる長さ(例えばPc1)は異なる位相関係を有する信号を与える。この信号は、どの正弦波状部を検出しているかを認識するために用いることができる。PAT2Gの2つのトラックは、アブソリュートレンジを拡張し、及び/又は、潜在的な信号の曖昧さを解消するという関係を有する。このため、種々の検出部(検出部a−hの一部又は全部)は、第1の回路構成を用いることで、PAT1Gに対応する第1の位置信号成分を与えるように動作できる。種々の検出部(検出部a−hの一部又は全部)は、第2の回路構成を用いることで、PAT2Gに対応する第2の位置信号成分を与えるように動作できる。第2の位置信号成分は、アブソリュートレンジで対応する位置において、第1の位置信号成分に関連する複数の一意的な値を与える信号特性を有する。
図7は、本明細書で開示した原理にかかる、積層構造中のレイヤを有するスケール部を含む位置検出装置を運転するためのルーティン700の一実施の形態を示すフロー図である。図7に示すように、ブロック710では、位置検出装置(例えば、手持ち式ノギス)は、第1のレイヤの第1の空間変調が、スケール検出場のパラメータが第1の値(例えば、第1の時間周波数)である場合に比較的大きくなり、スケール検出場のパラメータが第2の値(例えば、第1の時間周波数よりも小さい第2の時間周波数)である場合に比較的小さくなる第1の位置信号成分を与えるスケール検出場を空間変調するように動作する。ブロック720では、位置検出装置は、第2のレイヤの第2の空間変調が、スケール検出場のパラメータが第2の値(例えば、第2の時間周波数)である場合に比較的大きくなり、スケール検出場のパラメータが第1の値(例えば、第1の時間周波数)である場合に比較的小さくなる第2の位置信号成分を与えるスケール検出場を空間変調するように動作する。ブロック730では、第2の位置信号成分の信号特性が、アブソリュートレンジでの対応する位置における一意的な位置の値を決定するために(第1の位置信号成分と独立して、又は、組み合されて)利用される。
上述の種々の成分は、当然のことながら、当業者は本明細書での開示に基づいて、上記とは異なる配置としてもよいし、異なる形態及び組み合わせとしてもよい。例えば、開示したスケールパターンは、これに代えて、ロータリーエンコーダを形成するために、円形の測定軸に追随する湾曲した構成としてもよい。他の例としては、上述のスケールパターンは切欠き領域を有していたが、他の種類のプレート除去機構を用いてもよい(例えば、非導電性領域)。一般に、プレート除去機構は、変化しうる特性として、非導電性領域の大きさ、切欠きの領域の大きさ、切欠き領域の切欠き深さなどを有していてもよい。プレート部は、変化しうる特性として、プレート領域の大きさ、プレート高さなどを有していてもよい。
他の例としては、アブソリュート信号レンジ認識部(又は、これに代えて、独立型のスケールパターン)用の2値コード素子は、他のスケール素子のような同様の技術を用いて形成されてもよく、複数のリードヘッドセンサがこのようなコードを読みとるために用いられてもよい。他の例としては、プレート領域又は切欠き領域の深さの更なる変化を、より高次のコード(例えば。3以上の変化)を実装するために用いてもよい。
上述の種々の実施の形態は、更なる実施の形態を提供するために組み合わせることができる。この明細書において参照される全ての米国特許及び米国特許出願は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。例えば、例示したリードヘッド164と付随する検出部及び回路については、当然のことながら、上記において組み込んだ参照特許’494及び’389で開示される他のリードヘッド、回路及び信号処理を本明細書において開示される種々のスケール構成と協働するように適用することができる。本明細書において開示したリードヘッド、回路及び信号処理は、例示に過ぎず、これに限られない。
一般に、以下の特許請求の範囲では、使用される用語は、特許請求の範囲及び明細書に開示された特定の実施の形態に特許請求の範囲を制限するものとして解釈されるべきではなく、そのようなクレームの権利範囲と等価な全範囲にわたってとりうるすべての実施の形態を包含するものとして解釈されるべきである。