JP2016044706A - 自動変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】互いに平行な複数の回転軸を収納する変速機ケースの内部にパーキングロック機構をコンパクトに配置でき、小型化および軽量化できる自動変速機を提供すること。
【解決手段】出力軸貫通孔92dの中心点O1とカウンタ軸貫通孔92eの中心点O2を通る直線L1と平行で、かつパーキングギヤ73の歯先円C1の下半部に接する仮想線L2を描出し、仮想線L2上に出力軸貫通孔92dの中心点O1とカウンタ軸貫通孔92eの中心点O2とを夫々投影した場合、回動軸保持部82bは、仮想線L2に対する出力軸貫通孔92dの中心点O1の投影点P1とカウンタ軸貫通孔92eの中心点O2の投影点P2の間で仮想線L2と交差するように配置される。
【選択図】図5

Description

本発明は、自動変速機に関し、特に、手動変速機において変速操作を自動で行う自動変速機に関する。
一般に、自動車等の車両に搭載される自動変速機にあっては、平行軸歯車式の手動変速機(MT:Manual Transmission)に、変速操作とクラッチ操作を自動で行う自動変速装置を追加することで自動変速を可能にしたAMT(Automated Manual Transmission)と言われる自動変速機が知られている。平行軸歯車式の手動変速機は、出力軸、カウンタ軸等の複数の回転軸が互いに平行に変速機ケース内に収納されている。
従来、この種の自動変速機においてパーキングロック機構を備えるものとしては、変速機ケース内に入力軸とカウンタ軸を平行に配置し、カウンタ軸の端部にパーキングギヤを配置し、パーキングギヤと噛み合うパーキングポールを、カウンタ軸の下方に配置されるパーキングポールシャフトに揺動自在に支持したものが知られている(特許文献1参照)。
また、従来、遊星歯車機構を用いた自動変速機においてパーキングロック機構を備えるものとしては、パーキングロック機構を構成するパーキングポール、スプリング、カムサポート部材、パーキングロッドおよびブラケットをパーキングロック機構組立体として予め一体化しておき、このパーキングロック機構組立体を変速機ケースの内部にボルト締結する構造が知られている(特許文献2参照)。
特許文献2に記載のパーキングロック機構組立体は、ケース取付け部を有するブラケットに、パーキングギヤと噛み合うパーキングポールを揺動自在に支持するとともに、スプリングの復元力をパーキングポールに対して後退方向に作用させている。
また、このパーキングロック機構組立体は、ブラケットにパーキングポールに対向するカムサポート部材を固定し、カムを備えるパーキングロッドをパーキングポールとカムサポート部材との間に挾持している。これにより、特許文献2に記載のものは、変速機ケースのへのパーキング機構の組付け性を向上させている。
特開2001−146966号公報 特開平8−216842号公報
しかしながら、特許文献1に記載のものは、パーキングポールシャフトをカウンタ軸の下方に配置しているため、変速機ケースの下縁部を下方側に拡大させる必要があり、変速機ケースが大型化してしまっていた。
また、特許文献2に記載のものは、パーキングロック機構を変速機ケース内にコンパクトに収納することは配慮されていないため、変速機ケースが大型化してしまっていた。したがって、特許文献1、2に記載のものは、パーキングロック機構を備えることで自動変速機が大型化してしまうという問題があった。自動変速機が大型化すると、自動変速機の重量も増加するため、自動変速機を搭載する車両の燃費が悪化してしまう。
さらに、特許文献1に記載の自動変速機は複数の回転軸が互いに平行に配置されているため、この自動変速機に特許文献2に記載のパーキングロック機構組立体を設ける場合、複数の回転軸に対するパーキングロック機構の配置によっては自動変速機が大型化してしまうという問題があった。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、互いに平行な複数の回転軸を収納する変速機ケースの内部にパーキングロック機構をコンパクトに配置でき、小型化、軽量化できる自動変速機を提供することを目的とする。
本発明は、パーキングギヤが固定された第1軸と、前記第1軸と平行に斜め下方の位置に配置された第2軸と、前記第1軸の回転を規制するパーキングロック機構と、前記第1軸、前記第2軸および前記パーキングロック機構を収納する変速機ケースとを備え、前記変速機ケースは、前記第1軸および前記第2軸を周方向に囲む外壁と、前記第1軸が貫通する第1貫通孔と、前記第2軸が貫通する第2貫通孔と、複数の締結用ボス部と、が形成され、前記パーキングギヤと隣接するように前記外壁内に配置された隔壁と、を有し、前記パーキングロック機構は、前記パーキングギヤの歯と噛み合う爪部が形成され、回動軸に揺動自在に支持されるパーキングポールと、前記回動軸を保持する回動軸保持部と、複数の締結用孔とが形成され、前記締結用孔を貫通する締結具によって前記締結用ボス部に締結されるリテーナと、を有し、前記第1貫通孔の中心点と前記第2貫通孔の中心点を通る直線と平行で、かつ前記パーキングギヤの歯先円の下半部に接する仮想線を描出し、前記仮想線上に前記第1貫通孔の中心点と前記第2貫通孔の中心点とを夫々投影した場合、前記回動軸保持部は、前記仮想線に対する第1貫通孔の中心点の投影点と前記第2貫通孔の中心点の投影点の間で前記仮想線と交差するように配置され、複数の前記締結用ボス部のうち少なくとも1つを、前記仮想線に沿う方向で前記回動軸保持部と前記外壁との間に配置し、かつ前記外壁に連結したものから構成されている。
このように本発明によれば、第1貫通孔の中心点と第2貫通孔の中心点を通る直線と平行で、かつパーキングギヤの歯先円の下半部に接する仮想線を描出し、この仮想線上に第1貫通孔の中心点と第2貫通孔の中心点とを夫々投影した場合、回動軸保持部は、仮想線に対する第1貫通孔の中心点の投影点と第2貫通孔の中心点の投影点の間で仮想線と交差するように配置した。
このため、パーキングポールおよび回動軸をより変速機ケースの径方向中心部に近い位置に配置できるので、変速機ケースを大型化させることなく、パーキングポールを変速機ケース内に収納できる。
また、この自動変速機において、パーキングポールの爪部がパーキングギヤに噛み合ってパーキングギヤの回転を規制しているとき、パーキングポールの爪部にはパーキングギヤの接線方向に荷重が作用する。そこで、本発明は、複数の締結用ボス部のうち少なくとも1つを、仮想線に沿う方向で回動軸保持部と外壁との間に配置し、かつ外壁に連結した。
これにより、パーキングギヤの接線方向に作用する荷重を回動軸保持部から締結用ボス部を経て変速機ケースの外壁に伝達することができるので、隔壁の貫通孔の周辺に作用する荷重を低減させることができる。このため、荷重に耐えるために隔壁を補強することが不要となるので、隔壁を補強したために変速機ケースが大型化することを防止できる。この結果、互いに平行な複数の回転軸を収納する変速機ケースに対してパーキングロック機構をコンパクトに収納でき、自動変速機を小型化および軽量化できる。
図1は、本発明の自動変速機の一実施形態を示す図であり、自動変速機の側面図である。 図2は、本発明の自動変速機の一実施形態を示す図であり、自動変速機のリヤケースに配置されたパーキングロック機構を後方から見た背面図である。 図3は、本発明の自動変速機の一実施形態を示す図であり、図2のI−I方向矢視断面図である。 図4は、本発明の自動変速機の一実施形態を示す図であり、図3のII−II方向矢視断面図である。 図5は、本発明の自動変速機の一実施形態を示す図であり、図3のIII−III方向矢視断面図である。 図6は、本発明の自動変速機の一実施形態を示す図であり、自動変速機のリヤケースを後方から見た背面図である。
以下、本発明に係る自動変速機の実施形態について、図面を用いて説明する。図1〜図6は、本発明に係る一実施形態の自動変速機を示す図である。
まず、構成を説明する。図1に示すように、車両1には自動変速機2が搭載されており、この自動変速機2は、エンジン3に固定された状態で車両1のフロアパネルの下方に縦置きに設置されている。すなわち、本実施形態の車両1は、後輪駆動車両である。
ここで、本実施形態では、車両1の運転席に着座した運転者から見た前後方向、左右方向、および上下方向と一致するように、図中で前後、左右、上下の方向を矢印で示している。
自動変速機2は変速機ケース2Aを備えており、この変速機ケース2Aは、エンジン3に取り付けられたフロントケース4と、フロントケース4に取付けられたリヤケース5と、リヤケース5に取付けられたエクステンションケース6とから構成される。
フロントケース4にはエンジン3との間に図示しないクラッチが設けられており、クラッチによりエンジン3から自動変速機2への動力伝達が断続される。フロントケース4の左側上部のエンジン3側には、スタータモータ103が設けられており、このスタータモータ103は、エンジン3の図示しないフライホイールを回転させることでエンジン3を始動する。
図2、図5に示すように、リヤケース5には変速機構60の一部を構成する出力軸11およびカウンタ軸23が収納されている。変速機構60は、平行軸歯車式の変速機構であり、出力軸11、カウンタ軸23の他に、不図示の入力軸と変速用のギヤ列とを有し、ギヤ列は、出力軸11、カウンタ軸23および入力軸にそれぞれ配置されている。
リヤケース5は、筒状に形成された外壁93と、この外壁93の内部に形成された隔壁92と、を有している。外壁93は、出力軸11およびカウンタ軸23を周方向に囲んでいる。
隔壁92は、リヤケース5のエクステンションケース6側の端部に形成されており、リヤケース5の内部とエクステンションケース6の内部とを出力軸11の軸線D1(図1参照)方向に仕切っている。隔壁92は出力軸11およびカウンタ軸23が貫通している。出力軸11は本発明の第1軸を構成し、カウンタ軸23は本発明の第2軸を構成する。
出力軸11は、リヤケース5の隔壁92およびエクステンションケース6に回転自在に支持されている。出力軸11の軸線D1上のエンジン3側には、図示しない入力軸が同軸配置されている。出力軸11の前端部は、入力軸の後端部を回転自在に支持している。入力軸の前端部はクラッチに接続されている。
カウンタ軸23は、リヤケース5の隔壁92に回転自在に支持されている。カウンタ軸23は、出力軸11の斜め下方に配置されており、出力軸11の軸線D1と平行に延びている。
なお、フロントケース4のリヤケース5側の端部にも不図示の隔壁が形成されており、この隔壁はフロントケース4の内部とリヤケース5の内部とを仕切っている。フロントケース4の隔壁はカウンタ軸23のエンジン3側の端部および入力軸のエンジン3側の端部を回転自在に支持している。
自動変速機2において、変速機構60は、入力軸から出力軸11へ動力が伝達されるギヤ列が切り替えられることで、1速から5速の前進変速段または後進段の何れかが形成される。
図1において、リヤケース5の上部にはシフトケース5Aが設けられており、シフトケース5Aは、リヤケース5の上部から上方に膨れ出ている。シフトケース5Aにはシフトアンドセレクト軸34が設けられている。
シフトアンドセレクト軸34は、シフトケース5Aに回転自在かつ、軸線方向に移動自在に設けられている。シフトアンドセレクト軸34の軸線は出力軸11の軸線D1と直交している。
自動変速機2において、シフトアンドセレクト軸34が往復移動および回動されることにより、変速機構60でギヤ列の選択が選択され、変速段が1速から5速の前進段と行進段の何れかに変更される。
変速機ケース2Aには、自動変速ユニット35が設けられており、自動変速ユニット35はシフトアンドセレクト軸34に接続されている。自動変速ユニット35は、リザーブタンク35a、図示しない油圧発生装置および制御装置等を備えている。
自動変速ユニット35は、リザーブタンク35aに貯留された作動油を油圧発生装置で昇圧し、昇圧された作動油の油圧によりシフトアンドセレクト軸34を軸線方向に移動させ、かつ軸線周りに回転させる。
また、自動変速ユニット35は、作動油の油圧により図示しないクラッチを接続または切断する。自動変速油ニットと35は、シフトアンドセレクト軸34およびクラッチをそれぞれ作動油の油圧で操作することにより変速段を変更する。
図2、図5に示すように、出力軸11にはパーキングギヤ73が一体回転可能に取り付けられており、このパーキングギヤ73は、隔壁92に隣接して配置されており、パーキングポール79が係合自在となっている。また、リヤケース5には、パーキングポール79を含むパーキングロック機構71が収納されている。
図3に示すように、パーキングロック機構71は、運転席のシフトレバーの操作力により回転するマニュアルシャフト74と、このマニュアルシャフト74に固定されたマニュアルプレート75と、このマニュアルプレート75の揺動に連動して進動および退動するカム77と、パーキングポール79とを備えている。
パーキングポール79は、カム77の進動および退動により、出力軸11の回転を規制する位置と出力軸11の回転を許容する位置とに揺動する。パーキングロック機構71は、パーキングポール79がパーキングギヤ73と噛み合うことで、出力軸11の回転を規制する。
リヤケース5の外壁93の左側下部には開口部94が形成されており、この開口部94の辺縁部の外面にはフランジ部95が形成されている。フランジ部95には、不図示のカバー部材が固定されており、このカバー部材により開口部94が閉塞されている。
図1に示すように、リヤケース5の外部において、マニュアルシャフト74にはレバー98が一体回転可能に固定されており、このレバー98には、パーキングケーブル99の一端部が接続されている。
パーキングケーブル99の他端部は運転席のシフトレバーに接続されている。運転席のシフトレバーは、運転者に操作されることで、P(パーキング)レンジ、R(リバース)レンジ、N(ニュートラル)レンジ、D(ドライブ)レンジの何れかの位置に移動する。パーキングケーブル99の一端部は、シフトレバーが操作された位置に応じて、レバー98を介してマニュアルシャフト74を軸線周りに回転させる。
リヤケース5の外部において、マニュアルシャフト74にはポジションセンサ104が設けられており、このポジションセンサ104は、マニュアルシャフト74の回転位置を検出し、検出信号を図示しない制御ユニットに出力する。
図3に示すように、リヤケース5の内部において、マニュアルシャフト74には平板状のマニュアルプレート75が一体回転可能に固定されている。マニュアルプレート75は、マニュアルシャフト74の軸線方向に直交する平板形状に形成されており、マニュアルシャフト74から上方に延びている。
マニュアルプレート75の上端部にはパーキングロッド挿入孔75aが形成されており、このパーキングロッド挿入孔75aには、パーキングロッド76の短軸部76bが、マニュアルシャフト74と平行に挿入および抜け止めされている。
短軸部76bには出力軸11と平行に延びる長軸部76aが連続しており、この長軸部76aは、マニュアルシャフト74の矢印R1方向への回転により矢印A1方向に進動し、マニュアルシャフト74の矢印R2方向への回転により矢印A2方向に退動する。
パーキングロッド76の長軸部76aの進動方向の先端部には、円錐台形状のカム77が長軸部76aに対して移動可能に装着されており、このカム77は、先端部に向かって縮径されている。長軸部76aの後端側には突起状のストッパ76cが形成されている。
長軸部76aのカム77とストッパ76cとの間には圧縮コイルスプリング78が装着されており、この圧縮コイルスプリング78は、カム77をパーキングロッド76の進動方向に弾性的に押し付けている。
パーキングロック機構71は、マニュアルシャフト74に固定されたディテントプレート80と、このディテントプレート80の外縁部80aに弾性的に係合してマニュアルシャフト74を回転方向に位置決めするディテントスプリング88とを有している。
リヤケース5の内部において、マニュアルシャフト74には平板状のディテントプレート80が一体回転可能に固定されている。ディテントプレート80は、マニュアルシャフト74の軸線方向に直交する平板形状に形成されており、マニュアルシャフト74から上方に延びている。
ディテントプレート80の外縁部80aには、エンジン3側からカム77側に向かって順に、4つの係合溝80p、80r、80n、80dが形成されている。ディテントプレート80の上方にはディテントスプリング88が配置されている。
ディテントスプリング88は板ばねから構成されており、基端部88bがリテーナ82に固定され、先端部88aをディテントプレート80の外縁部80aに押し付けている。これにより、ディテントスプリング88の先端部88aは、4つの係合溝80p、80r、80n、80dの何れかに弾性的に係合する。
ディテントスプリング88は、先端部88aが係合溝80p、80r、80n、80dの何れかに弾性的に係合することで、シフトレバーが操作されていないときにマニュアルシャフト74が回転しないよう、マニュアルシャフト74の回転位置を保持している。
ディテントスプリング88は、先端部88aが係合溝80p、80r、80n、80dの何れかに弾性的に係合することで、シフトレバーが操作されるときの節度感を発生させている。
図2、図4、図5に示すように、パーキングギヤ73の下方にはパーキングポール79が設けられており、このパーキングポール79は、その揺動基端側の回動軸保持部79bにおいてパーキングポール回動軸83により揺動可能に支持されている。
パーキングポール79の揺動先端部のパーキングギヤ73に対向する側には爪部79aが形成されている。パーキングポール79の爪部79aは、カム77の進動によってパーキングポール79がパーキングギヤ73側に揺動されると、パーキングギヤ73の溝部73aに噛み合う。
パーキングギヤ73の左下方かつ後方には円弧状のリテーナ82が設けられており、このリテーナ82は、出力軸11と外壁93の間の空間に配置されており、出力軸11の外周に沿うように湾曲している。
リテーナ82の下端部および上端部には締結用孔82cおよび締結用孔82dがそれぞれ設けられている。この締結用孔82c、82dをそれぞれ貫通する締結具としてのボルト97a、97bによって、リテーナ82は隔壁92の締結用ボス部105、106に締結される。
リテーナ82の中央部には、張出部82eが設けられており、この張出部82eは、パーキングポール79の外縁部79cより外壁93側へ延びている。張出部82eの隔壁92側にはリターンスプリング支持軸84が取り付けられており、このリターンスプリング支持軸84は、隔壁92側に突出している。リターンスプリング支持軸84は本発明の軸部材を構成する。
リターンスプリング支持軸84の外周にはリターンスプリング87が配置されている。リターンスプリング87は、捩りスプリングから構成され、弾性力によりパーキングポール79をパーキングギヤ73から離れる方向へ動かす。
リターンスプリング87の一端部はパーキングポール79の上部に係り合って止められており、パーキングポール79を下方、すなわちパーキングギヤ73から離隔する方向に押し付けている。リターンスプリング87の他端部はカムサポート支持軸86に掛かり合って止められている。
張出部82eには、カムサポート支持軸85、86が隔壁92に対向して設けられており、このカムサポート支持軸85、86には、カムサポート部材81が配置されている。カムサポート部材81は、リターンスプリング支持軸84と隣接している。カムサポート部材81は、カム77を挟んでパーキングポール79と対向しており、パーキングロッド76の長軸部76aの先端およびカム77を下方から支持する。
また、カムサポート部材81は、パーキングポール79がリターンスプリング87によりパーキングギヤ73から離隔する方向に押し付けられているときのパーキングポール79の位置を規定している。張出部82eには、パーキングロッド貫通孔82aが形成されており、このパーキングロッド貫通孔82aは、パーキングロッド76の長軸部76aが貫通している。
また、リテーナ82の隔壁92側には回動軸保持部82bが形成されており、この回動軸保持部82bはパーキングポール回動軸83の後端を保持している。パーキングポール回動軸83の前端は、隔壁92に形成された回動軸保持用ボス部109(図6参照)に保持されている。パーキングポール回動軸83は本発明の回動軸を構成する。
パーキングポール回動軸83はパーキングポール79を揺動可能に支持している。また、リテーナ82の隔壁92側には、ディテントスプリング88の基端部88bがボルト97cで固定されている。ディテントスプリング88は、弾性体としての板ばねからなる。カムサポート支持軸85、86はカムサポート部材81を支持している。
リテーナ82は、パーキングポール79、リターンスプリング87、カムサポート部材81およびディテントスプリング88が組み付けられた状態で、ボルト97により隔壁92に固定されている。
すなわち、リテーナ82にこれらの部材が組み付けられて一体化されることで組立体が構成される。この組立体は、リヤケース5の開口部94(図3参照)からリヤケース5の内部に配置され、ボルト97a、97bにより隔壁92に固定される。
図2、図4、図5、図6に示すように、隔壁92には、パーキングロッド76が貫通するパーキングロッド貫通孔92bと、ディテントスプリング88が貫通するディテントスプリング貫通孔92cが形成されている。
また、隔壁92には、出力軸11が貫通する出力軸貫通孔92dと、カウンタ軸23が貫通するカウンタ軸貫通孔92eと、オイルが流通するオイル流通孔92fが形成されている。出力軸貫通孔92dは本発明の第1貫通孔を構成し、カウンタ軸貫通孔92eは本発明の第2貫通孔を構成する。
隔壁92には複数の締結用ボス部105、106が形成されている。締結用ボス部105は出力軸11の下方における外壁93に近接した位置に配置されている。また、締結用ボス部106は出力軸11の左側方における外壁93に近接した位置に配置されている。
締結用ボス部105と外壁93との間にはリブ107が設けられており、このリブ107は、締結用ボス部105と外壁93と隔壁92とに接続している。締結用ボス部105はこのリブ1075を介して外壁93に連結されている。
同様に、締結用ボス部106と外壁93との間にはリブ108が設けられており、このリブ108は、締結用ボス部106と外壁93と隔壁92とに接続している。締結用ボス部106はこのリブ108を介して外壁93に連結されている。
回動軸保持部82bは、以下に説明する位置に配置されている。すなわち、出力軸貫通孔92dの中心点O1とカウンタ軸貫通孔92eの中心点O2を通る直線L1と平行で、かつパーキングギヤ73の歯先円C1の下半部に接する仮想線L2を描出し、仮想線L2上に出力軸貫通孔92dの中心点O1とカウンタ軸貫通孔92eの中心点O2とを夫々投影した場合、回動軸保持部82bは、仮想線L2に対する出力軸貫通孔92dの中心点O1の投影点P1とカウンタ軸貫通孔92eの中心点O2の投影点P2の間で仮想線L2と交差するように配置されている。また、締結用ボス部105、106は、仮想線L2に沿う方向で回動軸保持部82bと外壁93との間に配置されている。
次に、作用を説明する。図2、図3、図5において、シフトレバーがPレンジに操作されると、マニュアルシャフト74およびマニュアルプレート75が矢印R1方向に回転し、パーキングロッド76が矢印A1方向に進動し、圧縮コイルスプリング78が圧縮される。このとき、圧縮コイルスプリング78の復元力は、カム77とパーキングポール79との摩擦力およびリターンスプリング87の復元力を上回る。
このため、カム77は、カムサポート部材81に下方から支持されながらカムサポート部材81とパーキングポール79の間に入り込み、パーキングポール79をパーキングギヤ73側に押し上げる。
このとき、パーキングギヤ73の溝部73aがパーキングポール79の爪部79aに対向している場合、パーキングポール79の爪部79aが溝部73aに噛み合う。パーキングギヤ73の外周部73bがパーキングポール79の爪部79aに対向している場合、パーキングポール79はその爪部79aが外周部73bに圧接した状態で停止し、待機状態となる。
待機状態から車両1の移動により出力軸11が僅かに回転したとき、パーキングポール79は、圧縮コイルスプリング78の復元力によりその爪部79aがパーキングギヤ73に噛み合う。
シフトレバーがRレンジ、Nレンジ、Dレンジの何れかに操作されると、マニュアルシャフト74およびマニュアルプレート75が矢印R2方向に回転し、パーキングロッド76およびカム77が矢印A2方向に退動する。カム77が退動すると、パーキングポール79は、リターンスプリング87の復元により、カムサポート部材81に規定された位置に戻る。
本実施形態の自動変速機2によれば、出力軸貫通孔92dの中心点O1とカウンタ軸貫通孔92eの中心点O2を通る直線L1と平行で、かつパーキングギヤ73の歯先円C1の下半部に接する仮想線L2を描出し、仮想線L2上に出力軸貫通孔92dの中心点O1とカウンタ軸貫通孔92eの中心点O2とを夫々投影した場合、回動軸保持部82bは、仮想線L2に対する出力軸貫通孔92dの中心点O1の投影点P1とカウンタ軸貫通孔92eの中心点O2の投影点P2の間で仮想線L2と交差するように配置されている。
このため、パーキングポール79およびパーキングポール回動軸83をより変速機ケース2Aの径方向中心部に近い位置に配置できるので、変速機ケース2Aを大型化させることなく、パーキングポール79を変速機ケース2A内に収納できる。
また、自動変速機2において、パーキングポール79の爪部79aがパーキングギヤ73に噛み合ってパーキングギヤ73の回転を規制しているとき、パーキングポール79の爪部79aにはパーキングギヤ73の接線方向に荷重が作用し、この荷重は、パーキングポール79を揺動可能に支持するパーキングポール回動軸83を介して隔壁92に作用する。
そこで、本実施形態では、締結用ボス部105、106を、仮想線L2に沿う方向で回動軸保持部82bと外壁93との間に配置し、かつリブ107、108を介して外壁93に連結した。
これにより、パーキングギヤ73の接線方向に作用する荷重を回動軸保持部82bから締結用ボス部105、106を経て変速機ケース2Aの外壁93に伝達することができるので、隔壁92の出力軸貫通孔92d、カウンタ軸貫通孔92eの周辺に作用する荷重を低減させることができる。
このため、荷重に耐えるために隔壁92を補強することが不要となるので、隔壁92を補強したために変速機ケース2Aが大型化することを防止できる。
この結果、出力軸11とカウンタ軸23を収納する変速機ケース2Aに対してパーキングロック機構71をコンパクトに収納でき、自動変速機2を小型化および軽量化できる。
本実施形態の自動変速機2によれば、リテーナ82は、パーキングポール79の外縁部79cより外壁93側へ延びる張出部82eを有し、この張出部82eに、隔壁92側に突出するリターンスプリング支持軸84を取り付けた。これに加え、パーキングポール79をパーキングギヤ73から離れる方向へ動かす捩りスプリングを、リターンスプリング支持軸84の外周に配置した。
これにより、パーキングポール79を揺動可能に支持するパーキングポール回動軸83を前述の位置に配置したことで、リテーナ82に、パーキングポール79の外縁部79cより外壁93側へ延びる張出部82eを形成することができる。
そして、この張出部82eに、隔壁92側に突出するリターンスプリング支持軸84を取り付け、パーキングポール79をパーキングギヤ73から離れる方向へ動かす捩りスプリングを、リターンスプリング支持軸84の外周に配置することで、変速機ケース2Aの外壁93を径方向外側へ移動させることなく、捩りスプリングを変速機ケース2A内に収容できるので、自動変速機2を小型化および軽量化できる。
また、本実施形態の自動変速機2によれば、パーキングポール79の爪部79aをパーキングギヤ73に噛み合う方向に動かすカム77と、このカム77を挟んでパーキングポール79と対向するカムサポート部材81と、を有し、カム77がカムサポート部材81に支持されながらパーキングポール79とカムサポート部材81との間に移動されることによって、パーキングポール79がパーキングギヤ73側に移動される。これに加え、カムサポート部材81を、リターンスプリング支持軸84と隣接するように張出部82eに配置した。
これにより、カムサポート部材81をリターンスプリング支持軸84と隣接するように張出部82eに配置したことで、変速機ケース2A内の空間を効率的に利用してカムサポート部材81をリテーナ82に配置できる。このため、自動変速機2を小型化および軽量化できる。
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
2...自動変速機、2A...変速機ケース、5...リヤケース(変速機ケース)、11...出力軸(第1軸)、23...カウンタ軸(第2軸)、71...パーキングロック機構、73...パーキングギヤ、77...カム、79...パーキングポール、79a...爪部、79c...外縁部、81...カムサポート部材、82...リテーナ、82b...回動軸保持部、82c...締結用孔、82e...張出部、83...パーキングポール回動軸(回動軸)、84...リターンスプリング支持軸(軸部材)、87...リターンスプリング(捩りスプリング)、92...隔壁、92d...出力軸貫通孔(第1貫通孔)、92e...カウンタ軸貫通孔(第2貫通孔)、93...外壁、97a、97b...ボルト(締結具)、105、106...締結用ボス部、107、108...リブ、C1...歯先円、L1...直線、L2...仮想線、O1...中心点、O2...中心点、P1...投影点、P2...投影点

Claims (3)

  1. パーキングギヤが固定された第1軸と、前記第1軸と平行に斜め下方の位置に配置された第2軸と、前記第1軸の回転を規制するパーキングロック機構と、前記第1軸、前記第2軸および前記パーキングロック機構を収納する変速機ケースとを備え、
    前記変速機ケースは、
    前記第1軸および前記第2軸を周方向に囲む外壁と、
    前記第1軸が貫通する第1貫通孔と、前記第2軸が貫通する第2貫通孔と、複数の締結用ボス部と、が形成され、前記パーキングギヤと隣接するように前記外壁内に配置された隔壁と、を有し、
    前記パーキングロック機構は、
    前記パーキングギヤの歯と噛み合う爪部が形成され、回動軸に揺動自在に支持されるパーキングポールと、
    前記回動軸を保持する回動軸保持部と、複数の締結用孔とが形成され、前記締結用孔を貫通する締結具によって前記締結用ボス部に締結されるリテーナと、を有し、
    前記第1貫通孔の中心点と前記第2貫通孔の中心点を通る直線と平行で、かつ前記パーキングギヤの歯先円の下半部に接する仮想線を描出し、前記仮想線上に前記第1貫通孔の中心点と前記第2貫通孔の中心点とを夫々投影した場合、
    前記回動軸保持部は、前記仮想線に対する第1貫通孔の中心点の投影点と前記第2貫通孔の中心点の投影点の間で前記仮想線と交差するように配置され、
    複数の前記締結用ボス部のうち少なくとも1つを、前記仮想線に沿う方向で前記回動軸保持部と前記外壁との間に配置し、かつ前記外壁に連結したことを特徴とする自動変速機。
  2. 前記リテーナは、前記パーキングポールの外縁部より前記外壁側へ延びる張出部を有し、
    前記張出部に、前記隔壁側に突出する軸部材を取り付け、
    前記パーキングポールを前記パーキングギヤから離れる方向へ動かす捩りスプリングを、前記軸部材の外周に配置したことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機。
  3. 前記パーキングポールの爪部を前記パーキングギヤに噛み合う方向に動かすカムと、
    前記カムを挟んで前記パーキングポールと対向するカムサポート部材と、を有し、
    前記カムが前記カムサポート部材に支持されながら前記パーキングポールと前記カムサポート部材との間に移動されることによって、前記パーキングポールが前記パーキングギヤ側に移動され、
    前記カムサポート部材を、前記軸部材と隣接するように前記張出部に配置したことを特徴とする請求項2に記載の自動変速機。
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