JP2016044318A - 高純度In及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】純度の低い4NのInを原料として使用して、6N5以上の高純度Inを、湿式法によって製造することで製造コストの安価な方法を提供すること。
【解決手段】アノードとして、4N(99.99%)のInを用い、シュウ酸ナトリウム、NaCl、及びSrCO3が添加された電解液中で電解精製を行い、カソードとして、サンドブラスト処理を行ったTi板を用い、カソードの電着Inとして、6N5(99.99995%)以上の純度の高純度Inを得る工程、を含む、高純度Inの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、6N5(99.99995%)以上の純度を持つ高純度インジウム(In)及びその製造方法に関する。
高純度Inは、液晶ディスプレイの透明電極として用いられている酸化インジウムスズ(ITO:Indium−tin−oxide)の原料や、1.3μm帯、1.55μm帯の光通信用レーザー用の基板として用いられるリン化インジウム(InP)、青色・白色LED、LD用のエピタキシャル層の材料として用いられる窒化インジウムガリウム(InGaN)等の化合物半導体用の原料として製造されている。
高純度のInの製造方法には、蒸留、ゾーン精製等の乾式法により、4Nから6N以上に精製する方法がある。特許文献1は乾式法を開示している。しかし、乾式法はランニングコストが高く、設備費も高いという問題がある。
湿式精製としては、特許文献2、3、4に記載のInの精製方法がある。しかし、特許文献2の方法は、高価な陰イオン交換樹脂を使用しなければならないという問題がある。特許文献3の方法は、2段階の電解精製を要してコスト高となる問題がある。特許文献4の方法は、5Nレベルの純度の回収方法に過ぎない。
特許文献5には、高純度炭酸ストロンチウムの製造方法が開示されている。
特開2006−283192号公報 特開平01−031988号公報 特開2005−179778号公報 特開2007−131953号公報 特開平9−77516号公報
このように、6N(99.9999%)以上の純度を持つ高純度インジウム(In)の製造において、乾式法はランニングコストが高く、設備費も高いという不都合があり、通常の湿式(電解採取)法は、イオン交換膜の使用のために装置が複雑でコストが高いという不都合があった。また、本発明者の検討によれば、湿式(電解精製)法は、原料として純度の低い4N(99.99%)のInを使用した場合に、電着Inが脆く、カソード板から剥離脱落しやすいという不都合があった。また、電解液中の不純物濃度が上昇しつづけると言う問題もあった。
したがって、本発明の目的は、純度の低い4NのInを原料として使用して、6N5以上の高純度Inを湿式法によって製造することで製造コストの安価な方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究の結果、電解精製のカソライト中に後述の化合物を添加し、カソード板としてサンドブラスト処理したチタン(Ti)板を使用することによって、純度の低い4N−Inをアノードとして使用しても、カソード板への電着Inは脆化せず、カソード板から途中で剥離脱落することなく、また、電解液中の不純物濃度を抑制し、優れた作業性の電着Inが得られること、得られた電着Inは鉛(Pb)等の不純物が十分に低減されて6N5以上の高純度Inとなっていること、この電着Inを酸素含有気体下で鋳造することによってさらに不純物が低減できること、を見いだして、本発明に到達した。
したがって、本発明は、次の(1)以下を含む。なお、本発明において、「純度」とは、ガス成分元素であるC(炭素)、N(窒素)、O(酸素)を除き、In中に含有する各元素の濃度をGDMS(Glow Discharge Mass Spectrometry)法によって分析し、Inを1とした場合に、検出された不純物の濃度分を差し引いた値であり、GDMS法の検出限界値未満の不純物については、純度算出の対象から除外した。また、本発明における各元素濃度の単位表記は、重量ppm(wtppm)のことを意味する。
(1)
鉛(Pb):0.2ppm以下、亜鉛(Zn):0.005ppm以下、硫黄(S):0.005ppm以下であり、6N5(99.99995%)以上の純度を有する高純度In。
(2)
鉄(Fe):0.001ppm以下、スズ(Sn):0.2ppm以下、ケイ素(Si):0.005ppm未満、ニッケル(Ni):0.02ppm以下、銅(Cu):0.01ppm以下、タリウム(Tl):0.05ppm以下である、(1)に記載の高純度In。
また、本発明は、次の(11)以下を含む。
(11)
アノードとして、4N(99.99%)のInを用い、
シュウ酸ナトリウム、塩化ナトリウム(NaCl)、及び炭酸ストロンチウム(SrCO3)が添加された電解液中で電解精製を行い、
カソードとして、サンドブラスト処理を行ったTi板を用い、
カソードの電着Inとして、6N5(99.99995%)以上の純度の高純度Inを得る工程、
を含む、高純度Inの製造方法。
(12)
カソードの電着Inとして、6N5(99.99995%)以上の純度の高純度Inを得る工程、の後に、
電着Inをカソード板から剥離して、大気中又は酸素含有ガス雰囲気下で鋳造する工程、
を含む、(11)に記載の製造方法。
(13)
電解液が、電解槽中に設けられた5cm3/cm2sec以下の通気性をもつ隔膜によって、アノード液(アノライト)及びのカソード液(カソライト)へと仕切られ、
シュウ酸ナトリウム、NaCl、及びSrCO3が、カソライト中へ添加される、(11)〜(12)のいずれかに記載の製造方法。
(14)
電解槽中のカソライトの一部が、カソライトタンクへ取り出され、
シュウ酸ナトリウム、NaCl、及びSrCO3が、カソライトタンク中のカソライト中へ添加され、
カソライトタンク中のカソライトに生じた沈殿物を沈積させたまま、カソライトの上清を取り出し、取り出した上清を細孔0.5μm以下のフィルターに通液して濾過することによって混入する沈殿物を除去した後に、電解槽中のカソライトへ戻すように循環供給しながら、電解精製が行われる、(11)〜(13)のいずれかに記載の製造方法。
(15)
電解液が、10〜30℃の範囲の温度である、(11)〜(14)のいずれかに記載の製造方法。
(16)
電解液が、pH0.5〜1.5の範囲の硫酸酸性溶液である、(11)〜(15)のいずれかに記載の製造方法。
(17)
電解精製が、1〜5A/dm2の電流密度で行われる、(11)〜(16)のいずれかに記載の製造方法。
(18)
カソライト中のIn濃度が、65〜120g/Lの範囲にある、(11)〜(17)のいずれかに記載の製造方法。
(19)
SrCO3が、0.1〜2.0g/Lの範囲の濃度となるようにカソライト中に添加される、(11)〜(18)のいずれかに記載の製造方法。
(20)
シュウ酸ナトリウムが、1.0〜5.0g/Lの範囲の濃度となるようにカソライト中に添加される、(11)〜(19)のいずれかに記載の製造方法。
(21)
NaClが、0.5〜1.5モル/Lの範囲の濃度となるようにカソライト中に添加される、(11)〜(20)のいずれかに記載の製造方法。
また、本発明は、次の(22)以下を含む。
(22)
電着Inをカソード板から剥離して、大気中又は酸素含有ガス雰囲気下で鋳造する工程、が、
170〜280℃で、鋳造する工程である、(12)〜(21)のいずれかに記載の製造方法。
(23)
高純度Inが、Pb:0.2ppm以下、Zn:0.005ppm以下、S:0.005ppm以下であり、6N5(99.99995%)以上の純度を有する、(12)〜(22)のいずれかに記載の製造方法。
(24)
(11)〜(23)のいずれかに記載の製造方法によって製造された、高純度In。
本発明によれば、InPの原料として有用である6N5以上の純度を持つ高純度Inを、純度の低い4NのInを原料として使用し、経済性の高い湿式法によって製造することができる。本発明によれば、InGaN、AlInGaPなどのLED用のIn需要に応えて、高純度Inを大量かつ安価に製造することができる。
本発明の電解精製による高純度Inの製造において使用する電解槽の説明図である。
本発明を具体的な実施の形態をあげて以下に詳細に説明する。本発明は以下に開示された具体的な実施の形態に限定されるものではない。
[4N−In原料からの6N5−Inの製造]
これまで、InP化合物半導体の原料であるInは、例えば4NのInをベーキング(1000℃)及び蒸留(1050℃)で6Nとする乾式法により精製されていた。しかし、乾式法は設備コスト及び製造コストがかかる。そこで、本発明では、4N−Inを原料として、湿式精製によって、6N5以上の高純度Inを製造した。
[電解精製装置]
本発明では高純度In製造のために、図1に示したような装置を用いた電解精製を行う。図1の装置では、電解槽(電槽)中に陰極(カソード)となるチタン(Ti)製の金属板が配置され、陽極(アノード)には純度4N(99.99%)のInのインゴットが設置されている。純度4NのInは容易に製造でき、市販品の材料を使用できる。
[カソードのTi板]
カソードのTi板はその表面がサンドブラスト処理されており、サンドブラスト処理後のTi板の表面粗さRa(JIS B 0031・JIS B 0061規格による算術平均粗さ)は、8〜10μmとなっている。これによって、カソードの表面に電着した6N5のInは、十分に支持され、意図に反して脱落することがない。
[カソードボックス]
カソードの周囲を取り巻くようにカソードボックスが設けられ、カソード(陰極)とアノードが仕切られている。カソードボックスには、アノード板に対向する面に濾布を張り、アノライト中とカソライト中の浮遊物等の不純物を分離する。濾布の細孔の規格はJIS L 1096の通気性で規格化される。例えば、124.5Paにおいて5cm3/cm2sec以下の通気性を有する濾布を使用できる。濾布の通気性は、例えば、5cm3/cm2sec以下、好ましくは1cm3/cm2sec以下とできる。
[カソライトタンク]
電解槽の外部に、カソライトタンクを配置し、カソードボックス内の電解液の一部をカソライトタンクに導入し、この中に、シュウ酸ナトリウム(シュウ酸Na)、NaCl、及びSrCO3を添加する。このカソライトタンク中のカソライトを冷却する冷却機が設置されている。冷却機によってカソライトは、例えば、10〜30℃の温度範囲となるよう、冷却される。
[カソライト循環]
SrCO3添加によって、カソライト中に含有される鉛(Pb)が、PbCO2−O−CO2Srとしてカソライトタンクの底部に沈殿する。沈殿物が除去されたカソライトを、電槽内のカソードボックス内に戻し、循環して使用する。循環されるカソライトは、例えば0.5μm以下の細孔を持つフィルターで濾過される。細孔は好ましくは0.2μm以下である。
[不純物の影響]
一般に、4N−Inの主な不純物は、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Sn(錫)、Pb(鉛)、Cd(カドミウム)、Tl(タリウム)である。特に、Ni、Cdは3ppm程度含有することもある。電解精製法において、Clとの錯イオンを形成することにより、Zn、Fe、Cu、Ni、CdなどのIn中の不純物濃度を低減できる。しかし、従来技術では、電解液中の不純物濃度上昇の抑制は難しかった。
一般に、電解精製工程において硫酸溶液を使用すると、4N−In原料中のS(硫黄)が例えば0.005ppmから、電解精製後に例えば0.05ppmへと増加する。そこで、電解精製後にはSを低減することが望ましい。
一般に、4N−In原料中には、Znが例えば2ppm含有されており、電解精製後には例えば0.05ppmへと低減される。しかし、Znをさらに低減することが望ましい。
一般に、4N−Inを直接に電解精製すると、不純物濃度が高いために、電着するInは、デントライト(針状)成長しやすく、電着したInが脆くなり、カソード板から剥離脱落しやすい。また、デントライト成長したInは比表面積が大きく、表面酸化の影響を受けやすく、これを鋳造した場合には、スラグが発生して、電着したInの収率を低下させ、また純度に悪影響もする。特に、Cdイオン濃度が高いと、電着Inが脆くなる。そこで、これらの改善が望ましい。
[電流密度]
電流密度1〜5A/dm2、好ましくは1〜3A/dm2で電解することができる。1A/dm2未満では生産性が悪い。5A/dm2を超えると電解電圧が高くなり、デンドライトが発生しやすい。
[電解液]
電解液として、硫酸を使用でき、pH0.5〜2.0、好ましくはpH1.0〜1.5とすることができる。硫酸の濃度は、上記pH範囲となるように適宜選択することができる。pH0.5未満では水素発生により電流効率が低下し、pH2.0を超えると電解電圧が高くなる。電解液の温度は、10〜30℃、好ましくは20〜30℃で行うことができる。電解液の温度が30℃以上の場合、Pb、Sn等の不純物がIn中に析出しやすく、10℃以下の場合、不純物濃度の低減効果が飽和して低下しにくくなり、冷却コストが高くなる。
[In濃度]
カソードに接する電解液(カソライト)中のIn濃度は、65〜120g/L、好ましくは65〜100g/L、さらに好ましくは80〜100g/Lとすることができる。In濃度:65g/L未満では、水素発生により電流効率が低下し、120g/Lを超えると高価なInの工程内在庫が増える。
[SrCO3添加]
SrCO3は、0.1〜2.0g/L、好ましくは0.2〜1.5g/Lをカソライトタンク中のカソライトに添加することができる。SrCO3濃度0.1g/L未満ではPb除去効果が低く、2.0g/Lを超えるとフィルターが目詰まりしやすくなる。
[シュウ酸Na添加]
シュウ酸ナトリウムは、1.0〜5.0g/L、好ましくは2.0〜3.0g/Lをカソライトタンク中のカソライトに添加することができる。シュウ酸イオンがIn錯体を形成し、かつ、不純物と難溶性化合物を形成し、電解液中の不純物濃度を低下させ、電析Inの網目電着を改善する。この範囲より低濃度では電着物が脆化し、高濃度では高コストとなる。
[NaCl添加]
NaClは、0.5〜2.0モル/L、好ましくは0.8〜1.2モル/Lをカソライトタンク中のカソライトに添加することができる。この範囲より低濃度では錯体が形成されにくく、純度を上げることが難しい。高濃度では、板状の電着物となりにくく、後の鋳造の歩留まりが低下する。
[アノードからの浮遊物]
電解精製では、アノードとして使用する原料Inは電解液(アノライト)に溶解する。適正な電解条件では、Inよりも貴な不純物はカソードに電着しにくくなり、アノード表面に残るか、電解液中の微細な浮遊物となる。しかし、微細な浮遊物は、カソードに電着するInに不純物として混入する可能性があるので、細孔を持つ隔壁を、アノードとカソードの間に配置して、浮遊物の電着を防止する。
[電極反応]
カソード反応は、次の通りである。
In3++3e → In
濾布膜では、次の通りに透過する。
In3+(アノード室) → In3+(カソード室)
アノード反応は、次の通りである。
In → In3++3e
(微量)Pb → Pb2++2e
(微量)Ni → Ni2++2e
(微量)Cd → Cd2++2e
カソライトタンクでは、次の沈殿が生じる。
Pb2++SrCO2−O−CO2Sr
→PbCO2−O−CO2Sr↓+Sr2+
Ni2++(COO)2 2-→(COO)2Ni↓
Cd2++(COO)2 2-→(COO)2Cd↓
このように、アノライトに溶出したInが、Ti電極上に析出し、6N5以上の純度のInを得られる。
[SrCO3の不純物]
カソライトタンクへ導入するSrCO3に含まれる不純物は、例えば、Si:0.51ppm、S:4.9ppm、Ca:50ppm、Fe<0.5ppm、Ni<0.5ppm、Pb<0.1ppmであるが、カソライト中では希釈されるので、In中への混入量はずっと低減する。SrCO3の高純度化技術は、例えば特許文献5(特開平9−77516号公報)に開示されており、当業者は適宜使用することができる。
[電解精製による6N5−In]
上記の製造方法により、Pb:0.2ppm以下、Zn:0.05ppm以下、S:0.05ppm以下であり、6N5(99.99995%)以上の高純度のInを得ることができる。さらに、Fe:0.001ppm以下、Sn:0.1ppm未満、Si:0.005ppm未満である高純度Inを得ることができる。
[電解精製装置(塩酸浴)]
図1の電解精製装置は、電解液として硫酸を使用した例を示しているが、塩酸浴での電解精製の場合に、アノードからの塩素ガス発生を防ぎたいのであれば、特開平08−060264号公報(特許3089595号公報)の電解採取によるInの回収方法(日鉱金属)のようにアノードボックスを設置して、アノードを塩酸と接触させるとよい。
[電解精製後の鋳造]
電解精製の後に、カソードから電析Inを剥離し、例えば、170〜280℃、200〜240℃、170〜220℃で溶解・鋳造してインゴットを作製する。この溶解・鋳造の際に、大気中もしくは酸素含有ガス雰囲気下で実施することによりZn、Sの酸化物が形成され、固体又は気体の状態で、In中から分離、除去される。好適な実施の態様において、大気中鋳造によって、In中のZnを例えば0.005ppm以下とすることができ、またIn中のSを例えば0.005ppm以下にすることができる。上記酸素含有ガスとしては、高純度アルゴンと高純度酸素の混合ガスや酸素富化空気等が使用できる。
以下に、実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下に例示する実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1として、硫酸浴を用いた電解精製を、図1に示す装置によって行った。電解精製の条件は以下である。
アノード: 4N−In
カソード: Ti電極(サンドブラスト処理済)
カソードボックスの濾布: 通気性 5cm3/cm2sec以下
電流密度:2A/dm2
通電時間:24時間
温度:30℃(以下)
カソライト:
In濃度:80g/L(以上)
pH:1.2
SrCO3濃度:0.5g/L
シュウ酸Na濃度:3g/L
NaCl濃度:1モル/L
SrCO3の不純物の含有量は、Si:0.51ppm、S:4.9ppm、Ca:50ppm、Fe<0.5ppm、Ni<05ppm、Pb<0.1ppmであった。
電解槽の外部のカソライトタンクへ、カソードボックス内の電解液の一部を導入し、この中に上記濃度となるように、シュウ酸Na、NaCl、及びSrCO3を添加し、細孔0.5μm以下のフィルターを通して、再びカソードボックスへ戻すように循環供給しながら、電解精製を行った。電解精製後に電析したInをカソードのTi電極板から剥離した。電着したInは、4N−Inを直接に原料としたにもかかわらず、電解精製中には剥離脱落することはなく、電解精製後にTi電極板から剥離する際には、脆化しておらず、作業性に優れた状態であった。これらの処理条件をまとめて表1−1に示す。電解精製で得られたInの不純物を分析した結果を表1−2に示す。
表1−2に示すように、電解精製後のIn中の不純物は、Pb、Sn、Ni、Feのいずれも低減できた。電解精製前と比較して、Znは低減したが、Sはやや増加した。
次に、カソード板から剥離した電析Inを、220℃で溶解し、大気中で鋳造した。鋳造後のIn中の不純物を分析した結果を表1−2に示す。表1−2に示すように、Na、Si、Cd、Fe、Ni、Snは十分に低減され、またPbも電解精製後の含有量に維持されている。Zn、Sについては、鋳造時の大気中酸素と反応して酸化物を形成し、特にZnは酸化物(スラグ)を形成して固体(浮遊物)の状態となり、溶解しているInから分離、除去され、又は、Sは硫黄酸化物となり、溶解しているInから分離、除去されることで、いずれも低減された。
なお、実施例1では、上記以外の不純物として、Li、Be、B、F、Mg、Al、P、K、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ga、Ge、Se、Br、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Te、I、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Bi、Th、Uの元素の含有濃度は、GDMSの検出限界値未満なので、これらの元素は除く。以下の実施例においても、同様である。
このように、本発明の電解精製および鋳造処理によって、いずれの不純物も低減し、4NのInをアノード原料として直接に使用して、6N5純度のInを製造することができた。歩留りは、いずれも98%以上であった。
実施例1の条件と結果を、表1−1及び表1−2にまとめて示す。
[比較例1〜6]
比較例1〜6を、実施例1から条件を変えて、同様に行った。比較例1〜6の条件と結果を、それぞれ表2−1及び表2−2から表7−1及び表7−2にまとめて示す。
[実施例2〜4]
実施例2〜4を、実施例1から条件を変えて、同様に行った。実施例2〜4の条件と結果を、表8−1及び表8−2から表10−1及び表10−2にまとめて示す。
本発明によれば、4N−Inをアノードとして直接に使用した電解精製を行って、6N5の高純度Inを製造することができる。本発明は、産業上有用な発明である。

Claims (15)

  1. Pb:0.2ppm以下、Zn:0.005ppm以下、S:0.005ppm以下であり、6N5(99.99995%)以上の純度を有する高純度In。
  2. Fe:0.001ppm以下、Sn:0.2ppm以下、Ni:0.02ppm以下、Cu:0.02ppm以下、Tl:0.05ppm以下、Sb:0.007ppm以下である、請求項1に記載の高純度In。
  3. アノードとして、4N(99.99%)のInを用い、
    シュウ酸ナトリウム、NaCl、及びSrCO3が添加された電解液中で電解精製を行い、
    カソードとして、サンドブラスト処理を行ったTi板を用い、
    カソードの電着Inとして、6N5(99.99995%)以上の純度の高純度Inを得る工程、
    を含む、高純度Inの製造方法。
  4. カソードの電着Inとして、6N5(99.99995%)以上の純度の高純度Inを得る工程、の後に、
    電着Inをカソード板から剥離して、大気中又は酸素含有ガス雰囲気下で鋳造する工程、
    を含む、請求項3に記載の製造方法。
  5. 電解液が、電解槽中に設けられた5cm3/cm2sec以下の通気性をもつ隔膜によって、アノード液(アノライト)及びのカソード液(カソライト)へと仕切られ、
    シュウ酸ナトリウム、NaCl、及びSrCO3が、カソライト中へ添加される、請求項3または4に記載の製造方法。
  6. 電解槽中のカソライトの一部が、カソライトタンクへ取り出され、
    シュウ酸ナトリウム、NaCl、及びSrCO3が、カソライトタンク中のカソライト中へ添加され、
    カソライトタンク中のカソライトに生じた沈殿物を沈積させたまま、カソライトの上清を取り出し、取り出した上清を細孔0.5μm以下のフィルターに通液して濾過することによって混入する沈殿物を除去した後に、電解槽中のカソライトへ戻すように循環供給しながら、電解精製が行われる、請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 電解液が、10〜30℃の範囲の液温である、請求項3〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 電解液が、pH0.5〜1.5の範囲の硫酸酸性溶液である、請求項3〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 電解精製が、1〜5A/dm2の電流密度で行われる、請求項3〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. カソライト中のIn濃度が、65〜120g/Lの範囲にある、請求項3〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. SrCO3が、0.1〜2.0g/Lの範囲の濃度となるようにカソライト中に添加される、請求項3〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. シュウ酸ナトリウムが、1.0〜5.0g/Lの範囲の濃度となるようにカソライト中に添加される、請求項3〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. NaClが、0.5〜1.5モル/Lの範囲の濃度となるようにカソライト中に添加される、請求項3〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 電着Inをカソード板から剥離して、大気中又は酸素含有ガス雰囲気下で鋳造する工程、が、
    170〜280℃で、鋳造する工程である、請求項4〜13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 高純度Inが、Pb:0.2ppm以下、Zn:0.005ppm以下、S:0.005ppm以下であり、6N5(99.99995%)以上の純度を有する、請求項4〜14のいずれかに記載の製造方法。
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