JP2016044292A - 軟質ウレタンフォーム及びそれを用いてなるシートパッド - Google Patents

軟質ウレタンフォーム及びそれを用いてなるシートパッド Download PDF

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Abstract

【課題】良好な成形性を維持しながら、ポリオール混合物による金属腐食の影響も少なく、低密度で湿熱圧縮残留歪が良好な軟質ウレタンフォーム及びそれを用いてなるシートパッドを提供する。【解決手段】(A)ポリオール成分、(B)ポリイソシアネート成分、(C)発泡剤、(D)触媒、及び(E)整泡剤を含有する発泡原液を金型キャビティ内に注入して発泡硬化させて得られる軟質ポリウレタンフォームであって、該ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール並びに水酸基価が200〜2000mgKOH/gである、末端1級水酸基含有化合物及びエチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールの少なくとも一方を含有し、かつ該触媒が樹脂化触媒を主成分とする、軟質ポリウレタンフォームである。【選択図】なし

Description

本発明は、良好な成形性を維持しながら、低密度で湿熱圧縮残留歪が良好な軟質ウレタンフォーム及びそれを用いてなるシートパッドに関するものである。
軟質ポリウレタンフォームは、用途に応じて機械的特性、断熱性及び振動吸収特性等の様々な特性が求められている。特に、近年の環境負荷軽減に対する意識の高まりから、車両のシートパッドについても、燃費向上の観点から軽量化が図られ、低密度化が求められている。
車両用シートを薄肉化し軽量化した場合、通常よりも高いウレタンフォーム硬度が必要とされ、それに伴いフォーム反発弾性が低下する傾向にある。軟質ポリウレタンフォームの反発弾性率を高める方法としては、フォーム密度を高くする方法やポリオールの水酸基当量を大きくする方法等が知られている。しかし、フォーム密度を高める方法はコストが高くなるので好ましくない。特許文献1では、水酸基価が38以下で、総不飽和度を少なくした高分子量ポリオールを用いることで反発弾性率の高いポリウレタンフォームを得る方法が提案されている。
特開平3−14812号公報
しかしながら、特許文献1に記載のようなポリオールとして、水酸基価が低くて、総不飽和度を単に低下させただけでは、ポリオールの粘度が従来に比べて非常に高くなり、イソシアネートとの混合性が低下して、発泡倍率や成形性が低下するという問題があった。
また、ポリオールを調製する際に、各種の触媒が使用されるが、触媒として酸ブロック型の触媒を用いると酸の影響により、金属を腐食するなどの課題があった。
本発明の課題は、良好な成形性を維持しながら、ポリオール混合物による金属腐食の影響も少なく、低密度で湿熱圧縮残留歪が良好な軟質ウレタンフォーム及びそれを用いてなるシートパッドを提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、軟質ポリウレタンフォームを成形する際に用いる発泡原液を特定な成分を含む発泡原液とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[7]に関する。
[1](A)ポリオール成分、(B)ポリイソシアネート成分、(C)発泡剤、(D)触媒、及び(E)整泡剤を含有する発泡原液を金型キャビティ内に注入して発泡硬化させて得られる軟質ポリウレタンフォームであって、該ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール並びに水酸基価が200〜2000mgKOH/gである、末端1級水酸基含有化合物及びエチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールの少なくとも一方を含有し、かつ該触媒が樹脂化触媒を主成分とする、軟質ポリウレタンフォーム。
[2]前記ポリイソシアネート成分が2,4−トリレンジイソシアネート及び2,6−トリレンジイソシアネートの少なくとも一方を含有する、上記[1]に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[3]前記末端1級水酸基含有化合物及び前記短鎖ポリオールの重量平均分子量がそれぞれ1000以下である、上記[1]又は[2]に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[4]前記(D)触媒中の樹脂化触媒の含有量が、(D)触媒の全量に対し85質量%以上である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[5]前記水酸基価が200〜2000mgKOH/gである末端1級水酸基含有化合物が、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール及びペンタエリスリトールから選ばれる少なくとも1種である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームを用いてなる、シートパッド。
[7]前記シートパッドが車両用シートパッドである、上記[6]に記載のシートパッド。
本発明によれば、良好な成形性を維持しながら、ポリオール混合物による金属腐食の影響も少なく、低密度で湿熱圧縮残留歪が良好な軟質ウレタンフォーム及びそれを用いてなるシートパッドを提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、(A)ポリオール成分、(B)ポリイソシアネート成分、(C)発泡剤、(D)触媒、及び(E)整泡剤を含有する発泡原液を金型キャビティ内に注入して発泡硬化させて得られる軟質ポリウレタンフォームであって、該ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール及び水酸基価が200〜2000である短鎖ポリオールを含有し、かつ該触媒が樹脂化触媒を主成分とするものである。以下、軟質ポリウレタンフォームについて説明する。
なお、本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用することができ、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいと言える。
[発泡原液]
本発明の軟質ポリウレタンフォームには、(A)ポリオール成分、(B)ポリイソシアネート成分、(C)発泡剤、(D)触媒、及び(E)整泡剤を含有する発泡原液が用いられる。発泡原液に用いられる各成分及び任意成分について説明する。
<(A)ポリオール成分>
発泡原液に使用されるポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール並びに水酸基価が200〜2000mgKOH/gである、末端1級水酸基含有化合物及び/又はエチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールを含むことが必要である。以下、本発明に用いられる各ポリオール成分について説明する。
(ポリエーテルポリオール)
ポリエーテルポリオールとしては、反応性の観点から、アルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが好適である。このようなアルキレンオキシドとしてはプロピレンオキシド(以下「PO」と記載する。)、エチレンオキシド(以下「EO」と記載する。)等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
中でも、上記ポリエーテルポリオールとしては、原料活性の観点から、上記PO及びEOを併用して得たポリエーテルポリオールが好適に用いられる。POとEOとの配合比(モル比)としては、特に限定されるものではないが、所望のセル構造を有するポリウレタンフォームを形成し得る観点から、EO/PO(モル比)として好ましくは5/95〜25/75、より好ましくは10/90〜25/75である。本発明において用いられるポリエーテルポリオールの一分子中に含まれるヒドロキシル基の数としては、通常2〜4個、特に3個であることが、適度な原料粘度及び得られる軟質ポリウレタンフォームの物性バランスの観点から好ましい。
ポリエーテルポリオールの分子量は、重量平均分子量として通常3,000〜12,000、好ましくは5,000〜8,000である。ポリエーテルポリオールの重量平均分子量が3,000以上であると、得られる軟質ポウレタンフォームの反発弾性を低下させるおそれがなく、また、12,000以下であると上記(A)成分の粘度を適切なものとすることができるので発泡原液の攪拌効率を上げることができる。なお、本発明において数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)によりポリスチレン換算値として算出した値である。
上記ポリエーテルポリオールとしては、不飽和度の小さなものを用いることが好ましい。より具体的には、不飽和度として通常0.03ミリ当量/g以下であることが好ましい。ポリエーテルポリオール中の不飽和度が0.03ミリ当量/g以下であると、得られる軟質ポリウレタンフォームの耐久性や硬度が損なわれにくい。なお、前記「不飽和度」とは、JIS K 1557−1970に準拠し、試料中の不飽和度結合に酢酸第二水銀を作用させて遊離する酢酸を水酸化カリウムで滴定する方法にて測定した、総不飽和度(ミリ当量/g)を意味するものである。
また、上記ポリエーテルポリオールにおいて、分子量/官能基数は通常1,000〜3,000であり、1,500〜2,000であることがより好ましい。分子量/官能基数が1,000以上であると反発弾性、耐久性の低下がなく、ヒステリシスロス、応力緩和及び振動吸収特性等が悪化するおそれがない。また、3,000以下であると狙いの硬さの軟質ポリウレタンフォームを得ることができ、配合時に原料の粘度が高くなりすぎることがなく、攪拌性が悪化しない。
(ポリマーポリオール)
ポリマーポリオールとしては、ポリウレタン発泡成形体用として汎用のポリマーポリオールを用いることが可能である。より具体的には、例えば、ポリアルキレンオキシドからなる好ましくは重量平均分子量が3,000〜8,000、より好ましくは4,000〜7,000のポリエーテルポリオールにポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のポリマー成分をグラフト共重合させたポリマーポリオール等が挙げられる。ポリアルキレンオキシドの原料となるアルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシドを含むことが好ましく、プロピレンオキシド単独のもの、又はプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを共に含むものであることが特に好ましい。
(水酸基価が200〜2000mgKOH/gである、末端1級水酸基含有化合物及びエチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオール)
末端1級水酸基含有化合物としては、短い分子量を有するポリオールやその原料として用いられるアルコール化合物、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール等が用いられる。
また、エチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールとしては、エチレンオキサイド単独を付加反応することにより得られる短鎖ポリオールやエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド等の他のアルキレンオキサイドとの付加反応により得られる短鎖ポリオールを挙げることができる。
前記末端1級水酸基含有化合物及びエチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールは、その水酸基価が200〜2000mgKOH/gであることを要す。水酸基価が200mgKOH/g未満であると、成形性が低下するので好ましくない。また、水酸基価が2000mgKOH/gを超えると、フォーム物性が低下するので好ましくない。より好ましい水酸基価は、300〜1900mgKOH/gである。
そして、末端1級水酸基含有化合物及びエチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールの分子量は、重量平均分子量が1000以下、より好ましくは、50〜900、更に好ましくは、50〜700であることが好ましい。この範囲内の分子量を用いることにより、フォームの成形性を改善することができる。前記末端1級水酸基含有化合物及びエチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールは、その少なくとも一方を含有させればよい。
本発明に使用される上記末端1級水酸基含有化合物の中でも、特に好ましいのは、グリセリンである。また、エチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールとして好ましいものは、エチレンオキサイドを単独で付加反応させた短鎖ポリオールやエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加反応させた短鎖ポリオールを挙げることができる。
(A)成分中の水酸基価が200〜2000mgKOH/gである、末端1級水酸基含有化合物及びエチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールの含有量は、ポリエーテルポオールとポリマーポリオールの合計量100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは、0.3〜5質量部とすることが望ましい。この範囲内であると、成形性を好ましいものとすることができる。
上記ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールの質量比は、10/90〜95/5、好ましくは25/75〜80/20の範囲で用いることが望ましい。この範囲であると、軟質ポリウレタンフォームとした際に、所望の物性が得られ、反応不具合を生じる恐れが少ない。
本発明において上記(A)成分の粘度は、液温25℃において3,000mPa・s以下、特に1,800mPa・s以下となる粘度範囲が好ましい。このような粘度範囲のポリオール成分を用いることにより、ポリウレタン発泡原液の増粘速度を抑制することが可能となって攪拌効率が上昇し、イソシアネート基とヒドロキシル基とがより均一に反応することが可能となるため、従来に比べて発生ガスの発生効率が増加するのみならず、その発生ガスの発生箇所としても、ポリウレタン発泡原液内で均一に発生することとなり、軽量かつ均質な軟質ポリウレタンフォームを得ることが可能となる。なお、本発明において「粘度」とは、JIS Z 8803−2011に準拠し、液温25℃において、単一円筒型回転粘度計を用いて測定した粘度を意味する。
<(B)ポリイソシアネート成分>
ポリイソシアネート成分としては、公知の各種多官能性の脂肪族、脂環族及び芳香族のイソシアネートを用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等を挙げることができ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いても良い。
本発明においては、得られるフォームの密度の観点から、トリレンジイソシアネート(TDI)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。トリレンジイソシアネート(TDI)としては、2,4−トリレンジイソシアネート及び2,6−トリレンジイソシアネートの少なくとも一方を含有するトリレンジイソシアネートを用いることが好ましい。
このようなTDI、MDIとしては市販品を使用することができ、TDIとしては、例えばTDI−80(住化バイエルウレタン(株)製)、MDIとしては、44V20(住化バイエルウレタン(株)製、クルードMDI)などを好適に用いることができる。
上記TDIとMDIとを併用する場合、両者の配合比(質量比)としては、TDI/MDIの値として通常20/80〜80/20、好ましくは50/50〜80/20である。
上記(B)成分のポリイソシアネート(2種以上のイソシアネートを併用する場合には、その総量)が、上記発泡原液中に占める割合としては、特に制限されるものではないが、その目安としてのイソシアネート当量(上記発泡原液中の上記(A)成分のポリオール成分に由来する活性水素量(モル)を100とした時の、イソシアネート基の当量(モル)比)値として通常60以上、好ましくは70以上、上限として通常120以下、好ましくは115以下である。イソシアネート当量が60以上であると攪拌不良が起りにくく、120以下であればフォームダウンしにくくなる。
<(C)発泡剤>
本発明における発泡原液においては、(C)成分として発泡剤を用いる。通常、発泡剤としては水が好ましく使用される。水はポリイソシアネートと反応して二酸化炭素ガスを発生させることから、発泡剤として作用する。なお、水以外にも、ウレタンフォームの製造に通常用いられる発泡剤、例えば、水素原子含有ハロゲン化炭化水素、液化炭酸ガス、低沸点の炭化水素などを使用することもできる。
(C)成分の配合量に特に制限はないが、(A)ポリオール成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部、さらに好ましくは0.3〜3質量部である。(C)成分の配合量が、(A)ポリオール成分100質量部に対して0.1質量部以上であれば、適度な発泡倍率が得られる。
また、(C)成分の発泡剤として水を用いる場合、(A)ポリオール成分100質量部に対して、2〜8質量部が好ましく、さらに好ましくは、2.5〜7.5質量部である。水の使用量が、2重量部以上であると発泡倍率が十分でありフォーム成形時に型内での充填が十分となる。8重量部以下であると過剰の発泡ガスが発生せず、フォームが崩壊しにくくなる。
発泡剤(C)としては水のみを用いるのが好ましいが、必要により水素原子含有ハロゲ
ン化炭化水素、低沸点炭化水素及び液化炭酸ガス等を併用してもよい。
<(D)触媒>
本発明における発泡原液においては、(D)成分の触媒として、樹脂化触媒を主成分とする触媒を用いる。本発明において、樹脂化触媒を主成分とする触媒とは、触媒全質量に対して、樹脂化触媒が70質量%以上であることを示す。主成分の樹脂化触媒としては、特に制限されるものではないが、トリエチレンジアミン、イミダゾール化合物などの環状第3級アミンが好ましく用いられ、特にトリエチレンジアミンが好適である。上記樹脂化触媒は、市販品を用いることができ、例えばトリエチレンジアミン(TEDAL33:東ソー(株)製:33質量%のトリエチレンジアミンを含むジプロピレングリコール溶液)を好適に用いることができる。また、その他の樹脂化触媒として、金属触媒も使用することができ、金属触媒としてスタナスオクトエート、スタナスラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、オクチル酸スズ等の公知のスズ触媒を例示することができる。主成分として含む樹脂化触媒は、金型等に対する金属腐食性の観点からTEDA(エチレンジアミン四酢酸)のギ酸ブロック触媒等の酸でブロックされた樹脂化触媒について、主成分として含む樹脂化触媒には含まないものとする。
上記(D)成分の触媒は、上記の樹脂化触媒が主成分であり、上記樹脂化触媒以外の触媒として泡化触媒があり、泡化触媒としては、具体的には、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルアルキルアミンなどの鎖状第3級アミン、3級アミン樹脂組成物がカルボン酸で中和された酸ブロック型の泡化触媒を挙げることができる。また、前記酸でブロックされた樹脂化触媒も上記樹脂化触媒以外の触媒として挙げることができる。
(D)成分の触媒において、樹脂化触媒の含有率は触媒全質量に対して、好ましくは85質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは95質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。樹脂化触媒を上記含有率とすることで、成形性を維持しながら、低密度の軟質ポリウレタンフォームとすることができる。また、軟質ポリウレタンフォームを製造する際に用いられる発泡原液は、金属腐食の起きにくい性質を有する。発泡原液中の(D)成分の配合量としては、上記(A)成分のポリオール100質量部に対して通常0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.2〜1質量部である。
<(E)整泡剤>
本発明における発泡原液においては、(E)成分として整泡剤を用いる。この(E)成分の整泡剤としては、ポリウレタン発泡成形体用のものとして汎用のものを用いることができ、例えば、各種シロキサン−ポリエーテルブロック共重合体等のシリコーン系整泡剤を用いることができる。
ポリウレタン発泡原液中の整泡剤の配合量としては、上記(A)成分のポリオール100質量部に対して通常0.5〜5質量部、特に0.5〜3質量部とすることが好ましい。0.5質量部以上であれば、ポリオール成分とイソシアネート成分の攪拌性が低下せず、
所望のウレタンフォームが得られ、5質量部以下であればコスト上好ましい。
上記整泡剤は、市販品を用いることができ、例えば、モメンティブ社製「L−3623」や東レ・ダウコーニング社製「SZ1325」等を挙げることができる。
<任意成分>
発泡原液には、任意成分として、必要に応じて各種添加剤を配合することができ、例えば、顔料等の着色剤、鎖延長剤、炭酸カルシウム等の充填材、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、カーボンブラック等の導電性物質、抗菌剤などを配合することができる。この場合、これらの添加剤の配合量は、通常使用される範囲で差し支えない。
[発泡原液の調製]
本発明の軟質ポリウレタンフォームに使用される発泡原液には、前記に説明した、(A)〜(E)の各成分及び必要に応じて用いられる任意成分を含むものである。発泡原液の調製方法としては、特に限定されるものではないが、前記(B)成分を除いた残りの各成分からなる混合物(以下、「ポリオール混合物」と略記することがある。)を調製し、その後(B)成分と混合する。
ポリオール混合物の調製は、発泡剤(特に水)と触媒とをなるべく接触させないという観点から、上記(A)ポリオール成分に対して、上記(D)触媒を配合し、次いで上記(E)整泡剤、その他の成分を配合し、最後に発泡成分である上記(C)発泡剤(特に水)を配合することが好適である。なお、ポリオール混合物の液温と(B)成分の液温をそれぞれ、通常10〜50℃、好ましくは20〜40℃、更に好ましくは25〜35℃にしておくことが配合液の粘度を適切な範囲とすることができるため望ましい。
[軟質ポリウレタンフォームの製造]
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、前記で説明した発泡原液を金型キャビティ内に注入して発泡硬化させて得られる。発泡硬化する方法は、従来公知の方法を採用し得るが、時限圧力解放(TPR;Timed Pressure Release)を併用することが好ましい。TPRは、金型内の圧力を低下させ、気泡の連通化を生じさせるものである。より具体的には、発泡原液を、金型内に形成されたキャビティ内に供給した後に、ゲルタイムより20〜50秒経過した後に金型内の圧力を、0.15〜0.25MPa低下させる工程を有することが好ましい。ここでゲルタイムとは、ポリオールとイソシアネートが混合され、増粘が起こってゲル強度が出始める時間をいう。
上記発泡原液の調製直後にこれをキャビティ内の減圧が可能な金型のキャビティに大気圧下にて注入し、注入し終えた後に減圧を開始し、その後、金型内にて発泡・硬化させ、脱型し、軟質ウレタンフォームを取り出す。発泡・硬化時の金型温度は通常40〜80℃、好ましくは50〜70℃、更に好ましくは60〜65℃である。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。各種物性評価方法は以下の方法により行った。
(1)クリームタイム(秒)
ポリオール混合物とポリイソシアネートの混合攪拌を開始してから、混合液の色が茶色から白色のクリーム状に変わるまでの時間(秒)を目視にて測定した。クリームタイムが長いほど、金型への発泡原液の注入が容易であり、成形性がよくなることを示す。
(2)ゲルタイム(秒)
ポリオール混合物とポリイソシアネートの混合攪拌を開始し、反応、発泡が進み、針金をフォーム表面に2cm程入れ、引き上げた際に、ゲル状の樹脂が糸状に針金についた時間(秒)を目視にて測定した。
(3)広がり(cm)
ポリオール混合物とポリイソシアネートとを混合して発泡原液を調製し、調製後、直ちに、15°に傾斜させ、60℃に保持された金型キャビティ内に、その発泡原液を80g注入し、30秒経過後の発泡原液の広がりの最大径(cm)を測定した。広がりの最大径が大きい方が、金型への発泡原液の注入が容易であり、成形性がよくなることを示す。
(4)全密度(Kg/m3
得られた軟質ウレタンフォームをJIS K 6400:2004に記載の方法により測定した。JIS規格で規定している「見掛け密度」(単位:Kg/m3)を指す。
(5)25%硬度(kgf)
得られた軟質ウレタンフォームをインストロン型圧縮試験機[インストロン(株)製、型式:5967]を用いて、23℃、相対湿度50%の環境にて、軟質ウレタンフォームを25%圧縮するのに要する荷重(kgf)を測定し、硬度の指標とした。
(6)反発弾性率(%)
得られた軟質ウレタンフォームをJIS K 6400の規格に基づいて測定した。
(7)伸び率(%)
得られた軟質ウレタンフォームをJIS K 6400の規格に基づいて測定した。
(8)引張強度(kPa)
得られた軟質ウレタンフォームをJIS K6400の規格に基づいて測定した。
(9)引裂強度(N/cm)
得られた軟質ウレタンフォームをJIS K 6400の規格に基づいて測定した。
(10)圧縮残留歪み率(%)
得られた軟質ウレタンフォームをJIS K 6400の規格に基づいて測定した。値が小さい方が、耐久性に優れている。
(11)湿熱圧縮残留歪み率(%)
得られた軟質ウレタンフォームをJIS K−6400に記載の圧縮残留ひずみの測定方法により、湿熱圧縮永久歪みの測定を実施した。測定に際しては、得られた軟質ウレタンフォームのコア部を50×50×25mm切り抜き、これを試験片として使用した。該試験片を50%の厚みまで圧縮し、平行平面板に挟み、50℃、相対湿度95%の条件下に、22時間放置した。その後、試験片を取り出し、30分経過後の試験片の厚みを測定し、試験前の試験片の厚みと比較し、歪み率を測定し、この歪み率を湿熱圧縮永久歪みとし、耐久性の指標とした。値が小さい方が、耐久性に優れている。
(12)ポリオールの金属腐食性
表面を脱脂した鉄板上にポリオール混合物液を垂らして1ヶ月放置し、液滴周囲に錆の発生があったかどうかを目視にて観察した。
実施例1〜12及び比較例1〜8
表1及び表2に示した配合処方に従って、発泡原液を調製した。調製に際しては、(B)ポリイソシアネート成分以外の各成分からなるポリオール混合物を調製し、その後30℃の(B)ポリイソシアネート成分を配合することで行った。ポリオール組成物は、まず、(A)ポリオール成分と、(D)触媒を混合し、次いで(E)整泡剤を配合して、最後に(C)発泡剤(水)を混合して調製し、その液温を30℃とした。次いで、上記発泡原液の調製直後に、これを設定温度60℃のキャビティ内の減圧が可能な金型のキャビティに大気圧下にて注入し、注入し終えた直後に減圧を開始した。その後、金型内にて発泡・硬化させ、ゲルタイムより30秒経過した時に、金型内の圧力を、0.2MPa低下させた。その後、脱型し、軟質ポリウレタンフォームを得た。得られた軟質ポリウレタンフォームを上記方法にて評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 2016044292
Figure 2016044292
*1 ポリエーテルポリオールA:三井化学(株)製、商品名「EP3600」、EO/POのモル比15/85、官能基数3、重量平均分子量6,000、水酸基価28mgKOH/g
*2 ポリエーテルポリオールB:三洋化成工業(株)製、商品名「サンニックスKC731」、EO/POのモル比18/82、官能基数3、重量平均分子量4,000、水酸基価42mgKOH/g
*3 ポリエーテルポリオールC:三井武田ケミカル(株)製、商品名「アクトコールEP901P」、EO/POのモル比13/87、官能基数3、重量平均分子量7,000、水酸基価24mgKOH/g
*4 ポリマーポリオールA:三洋化成工業(株)製、商品名「KC855」、ポリスチレン/ポリアクリロニトリル共重合体(固形分含有率;34質量%)、水酸基価23mgKOH/g
*5 ポリマーポリオールB:上海高橋(株)製、商品名「H45」、水酸基価20mgKOH/g、固形分含有率45質量%
*6 末端1級水酸基含有化合物A:グリセリン、官能基数3、分子量92、水酸基価1829mgKOH/g
*7 EO付加短鎖ポリオールB:三洋化成工業(株)製、商品名「GE600」、EO/POのモル比100/0、官能基数3、重量平均分子量600、水酸基価280mgKOH/g
*8 EO付加短鎖ポリオールC:旭硝子ウレタン(株)製、商品名「EL981」、EO/POのモル比23/77(仕込みモル)、官能基数6、重量平均分子量750、水酸基価450mgKOH/g
*9 EO付加短鎖ポリオールD:PEG#1000、EO/POのモル比100/0、官能基数2、重量平均分子量1000、水酸基価112mgKOH/g
*10 EO付加ポリオール:住友化学バイエルウレタン社製、商品名「J225」、官能基数6、重量平均分子量3400、水酸基価100mgKOH/g、EO/POのモル比80/20
*11 短鎖ポリオール:三井化学(株)製、アクトコール(登録商標)G250、EO/POのモル比0/100、官能基数3、重量平均分子量700、水酸基価270mgKOH/g
*12 樹脂化触媒:トリエチレンジアミン、東ソー(株)製、商品名「TEDAL−L33:33質量%のトリエチレンジアミンを含むジプロピレングリコール溶液」
*13 泡化触媒:ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、東ソー(株)製、商品名「TOYOCAT ET33B:33質量%のビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルを含むジプロピレングリコール溶液」
*14 樹脂化触媒:スタナスオクトエート(金属触媒)
*15 酸ブロック樹脂化触媒:アミン系触媒、東ソー(株)製、商品名「TOYOCAT TF」 TEDAのギ酸ブロック触媒
*16 酸ブロック泡化触媒:アミン系触媒、東ソー(株)製、商品名「TOYOCAT ETF」TOYOCAT−ETのギ酸ブロック触媒
*17 整泡剤:シリコーン系化合物、モメンティブ・パフォーマンスマテリアル製、商品名「L3623」
*18 TDI:トリレンジイソシアネート、住友バイエルウレタン(株)製、商品名「TDI−80、2,4−TDI/2,6−TDI=80/20(質量比)」
*19 MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート、住友バイエルウレタン(株)製、商品名「44V20」(クルードMDI)
表1において、実施例1〜4は、水酸基価が200〜2000mgKOH/gである、末端1級水酸基含有化合物の含有量やエチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールの種類を変更した実施例であり、成形性の指標であるクリームタイムが長くなり、かつ広がりが大きくなり、成形性に優れた軟質ポリウレタンフォームを成形することが示されている。実施例5〜9は、ポリオール成分及びその使用量を変更した実施例であり、同様にクリームタイムが長くなり、かつ広がりが大きくなり、成形性に優れた軟質ポリウレタンフォームを成形することが示されている。実施例10及び11は、触媒成分として、主成分の樹脂化触媒以外に他の触媒成分として泡化触媒を用いた実施例であり、同様にクリームタイムが長くなり、かつ広がりが大きくなり、成形性に優れた軟質ポリウレタンフォームを成形することが示されている。また、実施例12は、主成分の樹脂化触媒として、異なる樹脂化触媒を併用して用いた実施例であり、同様にクリームタイムが長くなり、かつ広がりが大きくなり、成形性に優れた軟質ポリウレタンフォームを成形することが示されている。そして、実施例1〜12で得られる軟質ポリウレタンフォームは、低密度化に優れ、かつ、圧縮残留歪み率や湿熱圧縮残留歪み率にも優れていることがわかる。また、使用する原料ポリオールは、金属腐食性がないことが示されている。
これに対して、表2において、比較例1〜3は、水酸基価が200〜2000mgKOH/gである、末端1級水酸基含有化合物及びエチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールの少なくとも一方を用いずに、比較例1では重量平均分子量が3400であり、水酸基価が100mgKOH/gのEO付加ポリオールを用い、比較例2ではプロピレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールを用い、比較例3では比較例1及び2で用いたEO付加ポリオールや短鎖ポリオールを用いない比較例である。表2から、比較例1〜3では、クリームタイムが短くなり、成形性に劣ることが示されている。比較例4は、触媒として本発明で規定する主成分の樹脂化触媒を用いず、酸ブロック樹脂化触媒及び酸ブロック泡化触媒を用いた比較例である。この比較例4では、使用する原料ポリオール混合物液が金属腐食性を有することが示されている。比較例5及び6は、ポリオール成分として、ポリエーテルポリオールのみを用いた比較例である。比較例5及び6では、ポリオール成分にポリマーポリオールを用いていないため、得られる軟質ポリウレタンフォームの低密度化を達成できないことが示されている。比較例7は、触媒中の
樹脂化触媒の含有率が低い場合の比較例である。この比較例7では、クリームタイムが短くなり、成形性に劣ることが示されている。比較例8は、水酸基価が112mgKOH/gであるエチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールを用いた比較例である。この比較例8で示されるように、エチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールを用いた場合であっても、水酸基価が低くすぎるとクリームタイムが短くなり、成形性に劣ることが示されている。
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、成形性を維持しながら、低密度で圧縮残留歪み率や湿熱圧縮残留歪み率に優れるので、シートパッド、特に車両用シートパッドとして好適に用いることができる。また、使用する原料ポリオール混合物液は、金属腐食性が少ないので、軟質ポリウレタンフォームを製造する上で有益である。

Claims (7)

  1. (A)ポリオール成分、(B)ポリイソシアネート成分、(C)発泡剤、(D)触媒、及び(E)整泡剤を含有する発泡原液を金型キャビティ内に注入して発泡硬化させて得られる軟質ポリウレタンフォームであって、該ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール並びに水酸基価が200〜2000mgKOH/gである、末端1級水酸基含有化合物及びエチレンオキサイドの付加反応により得られる短鎖ポリオールの少なくとも一方を含有し、かつ該触媒が樹脂化触媒を主成分とする、軟質ポリウレタンフォーム。
  2. 前記ポリイソシアネート成分が2,4−トリレンジイソシアネート及び2,6−トリレンジイソシアネートの少なくとも一方を含有する、請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
  3. 前記末端1級水酸基含有化合物及び前記短鎖ポリオールの重量平均分子量がそれぞれ1000以下である、請求項1又は2に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
  4. 前記(D)触媒中の樹脂化触媒の含有量が、(D)触媒の全量に対し85質量%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム。
  5. 前記水酸基価が200〜2000mgKOH/gである末端1級水酸基含有化合物が、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール及びペンタエリスリトールから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォーム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームを用いてなる、シートパッド。
  7. 前記シートパッドが車両用シートパッドである、請求項6に記載のシートパッド。
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