JP2016042871A - 醗酵熟成ビート、及びその加工物の醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート抽出液、醗酵熟成ビート粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このため、ビートの砂糖原料以外の利用法の開発が望まれる。
なお、ビートの根部は、生のまま食した場合には、灰汁が強く、土臭いと形容される不快な後味が残り、煮込んで食した場合にも灰汁による土臭さがあることから、食用摂取しにくい食品素材として汎用されていないのが実情である。
を具備するものである。
ここで、上記溶媒としては、例えば、水、蜂蜜、酒、食用油等が挙げられ、これら1種を単独で、または2種以上を混合して用いることが可能である。
を具備するものである。
ここで、上記抽出溶媒としては、例えば、水、親水性有機溶媒等が使用され、これらは単独で用いることも可能であるし、併用して用いることも可能である。
ここで、上記乾燥は、例えば、加熱乾燥、凍結乾燥等の方法が用いられる。
生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、60%〜95%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。そして、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
特に、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン、総ポリフェノールの含有量が極めて高く、かつ、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
ここで、生ビートの総ポリフェノール含有量は概ね25mg/100g〜40mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものは、750mg/100g以上の総ポリフェノールを含有することになる。野菜や果物の総ポリフェノール含有量が平均50mg/100gで、一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は約205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、請求項1に記載の効果に加えて、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
ここで、生の野菜や果物の総ポリフェノール含有量は平均50mg/100gで、生ビートにおいても総ポリフェノール含有量は25mg/100g〜40mg/100gであり、更に一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。よって、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
ここで、生ビートのタンニン含有量は概ね15mg/100g〜30mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものは、600mg/100g以上と多くのタンニンを含有することになり、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用した更なる用途拡大を図ることも可能である。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等のポリフェノールの含有量が極めて高く効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
したがって、請求項7の発明の醗酵熟成ビートペーストの製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビートペーストを得ることができる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高くて効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
したがって、請求項8の発明の醗酵熟成ビート抽出液の製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビート抽出液を得ることができる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高くてタンニン等の総ポリフェノールの効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
したがって、請求項9の発明の醗酵熟成ビート粉末の製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビート粉末を得ることができる。
なお、温度が55℃〜90℃の範囲内の環境下とは、例えば、特定の温度条件に設定可能な醗酵熟成室で特定の温度環境を形成することによって達成することができる。
なお、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下とは、例えば、特定の湿度条件に設定可能な醗酵熟成室で特定の湿度環境を形成することによって達成することもできるし、密閉系の容器に収容した生ビートを特定の温度条件に設定可能な醗酵熟成室に入れて、生ビート自身の有する水分を利用して密閉系内で特定の湿度環境を形成することによっても達成することができる。特に、ビートは元来水分含有量が多い野菜であり、本発明者らの実験研究によれば、水分含有量を70重量%〜80重量%の範囲内とした生ビートを用いることで、55℃〜90℃の範囲内の温度環境下としたとき、密閉系内で60%〜95%の範囲内の湿度の環境下を形成することが可能であることが確認されている。
そして、得られた醗酵熟成ビートにおいては、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増しており、野菜の食材として食用摂取がしやすくなっている。
したがって、生ビートを自己醗酵させることにより得られた醗酵熟成ビートによれば、食品添加材として汎用されやすい総ポリフェノールやタンニンを有効成分としてその用途拡大や利用拡大を図ることができる。即ち、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が高いことから、食材としての利用に限らず、タンニン等の総ポリフェノールによる抗酸化力を期待して抗酸化剤等として飲食品、化粧品、医薬品等に利用することも可能となる。
また、このようにして得られた醗酵熟成ビートを食用摂取した場合には、タンニン等の総ポリフェノールの抗酸化作用等による生理活性作用、例えば、体内で活性酸素の除去やコレステロールの酸化防止による糖尿病、高脂血症、動脈硬化等の生活習慣病や癌を予防する効果、ストレスの軽減化、血圧降下抑制効果、疲労回復効果等が期待できる。加えて、タンニンの腸の粘膜を刺激して腸を引き締める収れん作用による下痢改善の効果、タンニンの消臭・脱臭作用による口臭予防の効果等も期待できる。また、得られた醗酵熟成ビートを化粧品等に使用して人体に外用することで、タンニン等の総ポリフェノールによる活性酸素除去等の生理活性作用によって、美肌効果、肌荒れ改善、シミ・ソバカスの軽減等の効果も期待できる。特に、得られた醗酵熟成ビートは自然醗酵によりタンニン等の総ポリフェノール含有量を高めた天然物であることから、食品への添加や生体への外用にも好適に用いることができる。
なお、得られた醗酵熟成ビートにおいては、醗酵熟成前の生ビートよりもタンニン含量が極めて高くなっているものの、えぐみ等の灰汁は醗酵熟成前の生ビートよりも少なく、酵熟成前の生ビートよりも野菜の食材として食用摂取がしやすいものである。
なお、これらの飲食品等に使用する形態は、特に限定されず、醗酵熟成ビートを調味料や酒類等に漬けたり、加熱乾燥や凍結乾燥させたり等の加工した形態で飲食品等に使用することも可能である。
したがって、本実施の形態の醗酵熟成ビートによれば、野菜の食材としての食用摂取がしやすくなり、しかも、有用な成分であるタンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できるようになる。よって、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用を期待して、飲食品・健康補助食品等として利用したり、飲食品、化粧品、医薬品等に添加・配合等して利用したりすることが可能となる。故に、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることが可能であり、ビートの利用価値の向上に貢献できる。
このようにして、固体状の醗酵熟成ビートをペースト状にしてなる醗酵熟成ビートペーストは、例えば、調味料としてパン、菓子類等に塗ったり、食肉等を漬け込んだりするのに好適である。
具体的に、固体状の醗酵熟成ビートをペーストにする工程は、乳鉢、ミンチ機、ミキサー等の公知の手段を用いて固体状の醗酵熟成ビートを潰すことにより行われる。
また、このペーストを抽出溶媒を用いて抽出する工程において、抽出溶媒は、水及び/または親水性有機溶媒が好ましく、水で抽出した後、更に親水性有機溶媒で抽出することがより好ましい。タンニン等の総ポリフェノールの抽出効率を高めることができるからである。抽出溶媒による抽出は、例えば、40℃〜80℃、好ましくは、40〜75℃、より好ましくは、45℃〜70℃の温水を醗酵熟成ビートのペーストに加え、ブレンダー、ミキサー等の公知の手段を用いて攪拌して攪拌抽出し、その後、冷却水を用いて冷却し、親水性有機溶媒を添加して混合した後、遠心分離を行って不溶物を除去することにより行われる。このときの抽出溶媒としての水は、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等、更には、これらに精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等の各種処理を施したもの、例えば、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等が使用できる。また、抽出溶媒としての親水性有機溶媒は、食用に供することができるものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜4の低級脂肪族アルコール、1,3‐ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトンまたはこれらの混合物等が使用できる。なお、抽出溶媒量は、抽出原料である醗酵熟成ビートペーストの1倍量〜10倍量が好ましく、より好ましくは、3倍量〜5倍量である。
更に、このようにして抽出したものを濃縮する工程は、減圧濃縮により濃縮、例えば、乾燥残分60質量〜65質量%まで濃縮することにより行われる。
このような工程によって、醗酵熟成ビート抽出液が得られ、得られた醗酵熟成ビート抽出液は、醗酵熟成ビートよりもタンニン等のポリフェノールの含有量が高められている。
そして、このようにして、固体状の醗酵熟成ビートを抽出してなる醗酵熟成ビート抽出液は、例えば、飲料や液状の食品に添加・配合等したり、食肉等を漬け込んだりするのに好適である。
具体的に、固体状の醗酵熟成ビートを乾燥する工程は、50℃〜85℃、好ましくは60℃〜75℃、より好ましくは65℃〜75℃の範囲内で加熱乾燥させたり、減圧下にて凍結乾燥させたりすることによって行うことができる。
また、乾燥したものを粉砕する工程は、吸湿に注意しエアコンの環境下等でピンミル等の公知の手段を用いて行われ、粉砕後に、50メッシュ〜100メッシュ、好ましくは60メッシュのパンチングスクリーンにより篩過処理を行うことが望ましい。
このような工程によって、醗酵熟成ビート粉末が得られ、得られた醗酵熟成ビート粉末は、醗酵熟成ビートよりもタンニン等のポリフェノールの含有量が高められている。
そして、このようにして、固体状の醗酵熟成ビートを乾燥、粉砕してなる醗酵熟成ビート粉末は、例えば、飲食品のみならず、健康補助食品や医薬品等に添加・配合等するのに好適に用いられる。
更に、タンニン等の総ポリフェノールによる抗酸化作用に加え、このタンニンの凝固作用性を利用して、清酒防止剤・澱下剤・清澄化剤や、醸造用水の浄化用や、熟成による風味改善用としてアルコール飲料製造等に使用することも可能である。また、タンニンの凝固作用性を利用して、ガムの歯付き防止剤としてチューイングガム等の菓子類に使用することもできる。
加えて、タンニンには消臭・脱臭作用があることから、食品加工工程において、食品を洗浄したり浸漬させたりする液等に醗酵熟成ビートやその加工物を利用し、食品の消臭・脱臭効果を図ることも可能である。
また、醗酵熟成ビートやその加工物を洗浄液や浸漬液等に配合し、醗酵熟成ビートやその加工物が配合された液を葡萄、びわ、柿、リンゴ、梨、柑橘類等の青果物に洗浄や浸漬等によって接触させることにより、かかる青果物に光沢を付与することができる。これは、醗酵熟成ビートやその加工物に多く含まれているタンニンによる効果と考えられる。
その他にも、食品や食品製造工程において、自己醗酵によってタンニンの含有量が高められた醗酵熟成ビートやその加工物を使用することで、タンニンの凝固作用性により、食品の保湿効果や、粘弾性改善効果、ドリップ防止効果等の食品物性の改質効果を期待できる。
また、自己醗酵によってタンニン等の総ポリフェノール含有量が高められた醗酵熟成ビートやその加工物を化粧品等に使用して人体に外用することにより、タンニン等の総ポリフェノールの抗酸化性(還元性)によって、美肌効果、肌荒れ改善、シミ及びソバカスの軽減等の効果も期待できる。
更には、タンニンのタンパク質と結合する性質によって体内の組織や血管を縮めたり、腸の粘膜を刺激して腸を引き締めたりする収れん作用を利用して、醗酵熟成ビートやその加工物を収れん剤として、止血剤、塗り薬、下痢止め等の医薬品や、繊維のフロッキング加工、アレルゲン封止剤、洗剤助剤等に使用することも可能である。また、醗酵熟成ビートやその加工物をシャンプー・リンス等の毛髪剤や化粧品に使用することで、タンニンによる収れん作用やメラニンを産生する細胞の増殖抑制作用によって、開いた毛穴や皮脂腺等の引き締め効果、毛穴を目立ちにくくする効果、制汗効果、美白効果、日焼け防止効果を期待できる。
更に、タンニンの消臭・脱臭作用や抗菌性を利用して、醗酵熟成ビートやその加工物を脱臭剤、消臭剤、歯磨剤、うがい剤、洗剤、ハンドソープ、消毒剤等に使用することも可能である。
北海道の河東郡で栽培され12月に収穫されて、1週間〜2週間畑で自然乾燥させた生ビートの根塊をブラシで水洗浄し、収容する醗酵熟成容器の深さに対応させるために、適当に切断して2cm〜8cm角×長さ10cm程度とし、陰干しをして洗浄時に付着した余分な水分を蒸発させた。
具体的には、熱風発生機を使用して醗酵熟成室の温度を80℃に設定し温度管理を行って、まずは5日間、生ビートを熟成醗酵させた。このとき、ビートを収容した醗酵熟成容器は密閉系としていることで、ビートから蒸発した水分が醗酵熟成容器内で保持され、醗酵熟成容器内の湿度は70%〜90%の範囲内に保持される。5日後に、醗酵熟成室内に収容されている醗酵熟成容器の蓋を開け、醗酵熟成の進捗状況の確認や醗酵熟成容器内のガス抜きを行った。ビートの醗酵熟成による色の変化を参照して、醗酵の進捗状況が遅いビートに関しては、その中心部まで均一に醗酵熟成するよう、適当に切れ目を入れたり、切断して2cm〜3cm角×長さ10cm程度とした。そして、再度、ビートを収容した醗酵熟成容器を密閉し、醗酵熟成室の温度を70℃に設定して温度管理を行い、15日間、ビートを熟成醗酵させた。このときも、ビートが収容された醗酵熟成容器を密閉系としていることで、ビートから蒸発した水分が醗酵熟成容器内で保持され、醗酵熟成容器内の湿度は70%〜90%に保持される。15日後に、再び、醗酵熟成室内に収容されている醗酵熟成容器の蓋を開け、醗酵熟成の進捗状況の確認や醗酵熟成容器内のガス抜きを行った。そして、再度、ビートを収容した醗酵熟成容器を密閉し、醗酵熟成室の温度を70℃に設定し温度管理を行って、15日間、ビートを熟成醗酵させた。15日後、ビートの色で醗酵熟成状態を判別し、均一に醗酵熟成されていないものについては、更に5日間熟成発酵させた。
このようにして、温度が70℃〜80℃の範囲内、湿度が70%〜90%の範囲内の環境下で、35日間〜40日間生ビートを自己醗酵させて醗酵熟成ビートを得た。
この醗酵熟成ビートは、醗酵前の生ビートと比較し、柔らかいので皮を剥いてそのまま食べることができ、爽やかな酸味や旨味が増している一方で、灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減して、風味が増していた。
ここで、表1において、減圧加熱直接法(減圧加熱乾燥法)は、水分の定量分析法であり、減圧下で測定試料が分解しない温度(例えば、40℃〜100℃)にて加熱乾燥し、恒量に達せしめ、乾燥前後の重量差から水分量を決定したものである。
また、高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)は、測定試料をカラムに流し込み、液体の移動相をポンプなどによって加圧してカラムを通過させ、分析種を固定相及び移動相との相互作用(吸着、分配、イオン交換、サイズ排除など)の差を利用して高性能に分離して検出したものである。
更に、フォーリン・デニス法(Folin-Denis法)は、フェノール性水酸基の還元性を利用して、フェノール性水酸基がアルカリ溶液中で、リンタングステン酸、モリブテン酸を還元して生じる青紫色を700nm〜770nmで比色定量する方法であり、測定試料にフォーリン液を添加し、その後のフェノール性水酸基による青紫色の発色を700nm〜770nmの吸光度を測定することにより、測定試料中に含まれる総ポリフェノール量やタンニン量を測定したものである。
特に、本実施例1の醗酵熟成ビートにおいては、自己醗酵によってショ糖(スクロース)の含有量が1重量%以下に減少していることから、十分な醗酵熟成がなされており、総ポリフェノール含有量及びタンニン含有量が極めて高い値となっている。
因みに、タンニン等の総ポリフェノールは醗酵熟成の進行に伴い経時的に増加していた。
そして、このようにして得られた本実施例1の醗酵熟成ビートによれば、自己醗酵により、醗酵前の生ビートよりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増大すると共に、抗酸化性を有するタンニン等の総ポリフェノール含有量が高められている。
このため、本実施例1の醗酵熟成ビートは、野菜の食材としての食用摂取がしやすく、しかも、有用な成分であるタンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できる。したがって、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用や抗酸化力等を期待して、飲食品・健康補助食品等として利用したり、飲食品、化粧品、医薬品等に添加・配合等して利用したりすることが可能となる。故に、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることが可能である。
(醗酵熟成ビートペースト及びその製造方法)
実施例1で得られた醗酵熟成ビートに溶媒としての蜂蜜を加え、ミキサーに入れて良く混練することにより、粘調なペースト状の醗酵熟成ビートペーストを得た。
このようにして得られた醗酵熟成ビートペーストは、水溶性であり、タンニン等の総ポリフェノール含有量が醗酵熟成ビートよりも高められていた。そして、得られた醗酵熟成ビートペーストは、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
したがって、本実施例2の醗酵熟成ビートペーストにおいては、タンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、ペースト状であることによって流動性があり飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、調味料等の食品としても利用しやすく、更に、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
(醗酵熟成ビート抽出液及びその製造方法)
実施例1で得られた醗酵熟成ビートをミンチ機によってぺ一スト状にすることにより、固体状の醗酵熟成ビートをペーストにする工程を実施した。続いて、このぺ一ストに抽出溶媒として50℃の温水を加え、ブレンダーによって撹絆抽出し、これを冷却水によって20℃まで冷却した後、抽出溶媒として食品添加物用エタノールを添加し混合し、更に、遠心脱水機により不溶物を除去することにより、ペーストを抽出溶媒を用いて抽出する工程を実施した。そして、このようにして抽出したものを、減圧濃縮により乾燥残分60質量%〜65質量%まで濃縮することにより、抽出した醗酵熟成ビートを濃縮する工程を実施し、醗酵熟成ビート抽出液を得た。
このようにして得られた醗酵熟成ビート抽出液は、水溶性であり、タンニン等の総ポリフェノール含有量が醗酵熟成ビートよりも高められていた。そして、得られた醗酵熟成ビートペーストは、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
そして、得られた醗酵熟成ビート抽出液は、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
したがって、本実施例3の醗酵熟成ビート抽出液においては、タンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、液状であることによって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
(醗酵熟成ビート粉末及びその製造方法)
実施例1で得られた醗酵熟成ビートを乾燥室に入れ、乾燥室の温度を75℃に設定し、30日間加熱乾燥させることにより、固体状の醗酵熟成ビートを乾燥する工程を実施した。乾燥後、粉砕して60メッシュパスにより篩過処理を施すことにより、乾燥した醗酵熟成ビートを粉砕する工程を実施し、醗酵熟成ビート粉末を得た。
このようにして得られた醗酵熟成ビート粉末は、水溶性であり、タンニン等の総ポリフェノール含有量が醗酵熟成ビートよりも高められていた。そして、得られた醗酵熟成ビートペーストは、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
そして、得られた醗酵熟成ビート粉末は、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
したがって、本実施例4の醗酵熟成ビート粉末においては、タンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、粉状であることによって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、健康補助食品等としても利用しやすく、更に、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートによれば、タンニン、総ポリフェノールの含有量が極めて高いものとなり、かつ、食用としても好適に使用できる。
なお、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートの総ポリフェノール含有量は概ね25mg/100g〜40mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものは、750mg/100g以上の総ポリフェノールを含有することになる。野菜や果物の総ポリフェノール含有量が平均50mg/100gで、一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は約205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
なお、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生の野菜や果物の総ポリフェノール含有量は平均50mg/100gで、生ビートにおいても総ポリフェノール含有量は25mg/100g〜40mg/100gであり、更に一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。よって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
なお、タンニン含有量を生ビートの40倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートのタンニン含有量は概ね15mg/100g〜30mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものは、600mg/100g以上と多くのタンニンを含有することになり、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用した更なる用途拡大を図ることも可能である。
なお、タンニン含有量を600mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
なお、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させたとは、発明者の実験により、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、60%〜95%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。そして、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
特に、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン、総ポリフェノールの含有量が極めて高く、かつ、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
なお、醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートの総ポリフェノール含有量は概ね25mg/100g〜40mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものは、750mg/100g以上の総ポリフェノールを含有することになる。野菜や果物の総ポリフェノール含有量が平均50mg/100gで、一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は約205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
なお、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生の野菜や果物の総ポリフェノール含有量は平均50mg/100gで、生ビートにおいても総ポリフェノール含有量は25mg/100g〜40mg/100gであり、更に一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。よって、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
なお、自己醗酵によるタンニン含有量を生ビートの40倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートのタンニン含有量は概ね15mg/100g〜30mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものは、600mg/100g以上と多くのタンニンを含有することになり、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用した更なる用途拡大を図ることも可能である。
なお、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等のポリフェノールの含有量が極めて高く効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビートペーストを得ることができる。
なお、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させて醗酵熟成ビートを製造するとは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって温度、湿度ムラがあることを考慮した数値である。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高くて効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビート抽出液の製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビート抽出液を得ることができる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高くてタンニン等の総ポリフェノールの効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビート粉末の製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビート粉末を得ることができる。
なお、醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートの総ポリフェノール含有量は概ね25mg/100g〜40mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものは、750mg/100g以上の総ポリフェノールを含有することになる。野菜や果物の総ポリフェノール含有量が平均50mg/100gで、一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は約205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とした醗酵熟成ビートをペースト状に加工した醗酵熟成ビートや、かかる醗酵熟成ビートを抽出してなる抽出液や、かかる醗酵熟成ビートを粉末状に加工した醗酵熟成ビート粉末においては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。また、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
なお、醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生の野菜や果物の総ポリフェノール含有量は平均50mg/100gで、生ビートにおいても総ポリフェノール含有量は25mg/100g〜40mg/100gであり、更に一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とした醗酵熟成ビートをペースト状に加工した醗酵熟成ビートや、かかる醗酵熟成ビートを抽出してなる抽出液や、かかる醗酵熟成ビートを粉末状に加工した醗酵熟成ビート粉末においては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
なお、醗酵熟成ビートのタンニン含有量を生ビートの40倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートのタンニン含有量は概ね15mg/100g〜30mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上とした醗酵熟成ビートは、600mg/100g以上と多くのタンニンを含有することになり、かかる醗酵熟成ビートをペースト状に加工した醗酵熟成ビートや、かかる醗酵熟成ビートを抽出してなる抽出液や、かかる醗酵熟成ビートを粉末状に加工した醗酵熟成ビート粉末においては、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用した更なる用途拡大を図ることも可能である。
なお、醗酵熟成ビートのタンニン含有量を650mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
Claims (9)
- 生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させたことを特徴とする醗酵熟成ビートの製造方法。
- 前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたことを特徴とする請求項1に記載の醗酵熟成ビートの製造方法。
- 前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の醗酵熟成ビートの製造方法。
- 前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートのタンニン含有量を生ビートの40倍以上としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートの製造方法。
- 前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートのタンニン含有量を650mg/100g以上としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートの製造方法。
- 前記自己醗酵によって、ショ糖の含有量を1重量%以下としたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートの製造方法。
- 生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させて醗酵熟成ビートを製造する工程と、
前記醗酵熟成ビートを潰し溶媒を混合してペースト状にする工程と
を具備することを特徴とする醗酵熟成ビートペーストの製造方法。 - 生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、
前記醗酵熟成ビートを潰してペーストにする工程と、
前記ペーストを抽出溶媒で抽出する工程と、
前記抽出したものを濃縮する工程と
を具備することを特徴とする醗酵熟成ビート抽出液の製造方法。 - 生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、
前記醗酵熟成ビートを乾燥させる工程と、
前記乾燥させたものを粉砕する工程と
を具備することを特徴とする醗酵熟成ビート粉末の製造方法。
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