JP2016039257A - 紫外光照射装置及び紫外光照射処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 紫外光を放射するランプと、このランプを内部に備え、光取出し部が設けられたランプハウスと、前記光取出し部に配置された紫外光透過性を有する第1の窓部材と、前記第1の窓部材の外側においてこれと所定空間離間して配置された紫外光透過性を有する第2の窓部材とを有する。ランプは、放電ガスが充填された紫外光透過性の発光管と、放電ガスの発光で放射された真空紫外領域の紫外光を励起光として波長190nm以上の紫外光を放射する蛍光体を備えた蛍光ランプであり、前記第1の窓部材と第2の窓部材の間に、真空紫外光吸収性のガスを含む空間を備えていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
Low−k膜のUVキュア用として使用している光は、254nm近傍および254nm以下の波長である。
これらのランプは、概して消費電力が数〜十数キロワット台であり、大きな電力が必要である。すなわち、Low−k膜のUVキュアには、254nm近傍および254nm以下の波長を強く取り出すために、高電力を投入しなければならず、消費電力が高いという問題を潜在的にかかえている。
このような蛍光ランプにおいても、比較的短波長の紫外光、例えば波長190nm近傍のUVを放射する場合には、エキシマランプの発光管を合成石英ガラスで構成することが必要になる。
しかしながら、Xeエキシマランプのエキシマ発光の波長172nmの光は、発光管(及び蛍光体層)を透過してわずかに外部に放射され、かかる紫外光が不可避に被処理物を照射することになる。
しかしながら、蛍光ランプからの光は拡散光であり、UVC(280〜190nm)と真空紫外域(190〜100nm)の紫外光が同時に放射される場合、光学フィルタを用いて真空紫外域(190〜100nm)の紫外光のみを選択的に低減することは困難である。
(1)
本願請求項1にかかる紫外光照射装置は、
紫外光を放射するランプと、
前記ランプを内部に備え、光取出し部が設けられたランプハウスと、
前記光取出し部に配置された紫外光透過性を有する第1の窓部材と、
前記第1の窓部材の外側に、当該第1の窓部材と所定空間離間して配置された紫外光透過性を有する第2の窓部材とを有し、
前記ランプは、放電ガスが充填された紫外光透過性の発光管と、放電ガスの発光で放射された真空紫外領域の光を励起光として波長190nm以上の紫外光を放射する蛍光体を備えた蛍光ランプであり、
前記第1の窓部材と第2の窓部材の間に、真空紫外光吸収性のガスを含む空間を備えている
ことを特徴とする。
そして、上記特徴を有する紫外光照射装置によれば、蛍光ランプからの波長190nm以上の紫外光が、前記第1の窓部材、前記ガス層及び前記第2の窓部材を介して放射される一方、真空紫外領域(波長172nm)の紫外光は、第1の窓部材を透過するものの、第1の窓部材と第2の窓部材の間に具備されたガス層によって吸収されることになるので、第2の窓部材を透過して放射される真空紫外領域(波長172nm)の紫外光の放射量を低減ないしは皆無とすることができる。しかも、ガス層においては、充填または流過される真空紫外領域(波長172nm)の紫外光の紫外光吸収性ガスの濃度や分圧を適宜に変化させることが可能で、当該ガス層において吸収され真空紫外領域(波長172nm)の紫外光の量を調整することができ、最終的に第2の窓部材を透過して放射される紫外光の放射スペクトルを適宜に調整することができる。
また、本願請求項2にかかる紫外光照射装置は、
前記真空紫外光吸収性のガスが、酸素からなることを特徴とする。
また、本願発明にかかる紫外光照射処理装置は、
上記紫外光照射装置と、
前記第2の窓部材の光出射面に沿って設けられた処理室と、
前記処理室内部に具備されたステージとを備えてなることを特徴とする。
以上の紫外光照射装置によれば、発光管の内部で、放電ガスの発光によって放出された真空紫外領域(波長172nm)の紫外光は、蛍光体層、発光管の合間から透過してランプから放射され、第1の窓部材を透過するものの、第1の窓部と第2の窓部との間に形成された特定のガスを含むガス層が介在することで、真空紫外領域(波長172nm)の紫外光を吸収するので、真空紫外光が被処理物を照射して、副作用的に物性を変えるという不具合を効果的に防止できる。ランプから放射される波長190nm以上の紫外光のうち、波長190〜220nmの範囲の紫外光においては、発光管、第1の窓部材、第2の窓部材が短波長の紫外光に対しても十分な透過性を備えるので、必要な波長帯においては選択的に透過させて放射することができる。この結果、真空紫外光を低減しつつ、190nm以上の必要な波長帯の紫外光を効果的に放射する紫外光照射装置とすることができる。
本願請求項2の発明に係る紫外光照射装置によれば、ガス層のガス置換や流過作業の簡便化を図りつつ、真空紫外領域(波長172nm)の紫外光を効果的に吸収し、波長190nm以上の波長帯の紫外光を放射することができ、効率が極めて良好な紫外光照射装置とすることができる。
本願請求項3の発明に係る紫外光照射処理装置によれば、光源を構成するランプから放電ガス(キセノンガス)のエキシマ発光に基づく真空紫外領域(波長172nm)の紫外光が不可避に放射されるものの、真空紫外領域(波長172nm)の紫外光十分に低減して所定の紫外光を選択的に被処理物に照射することができるので、被処理物の物性の変化・変質を抑制しつつ、所期の硬化処理を行うことができる。
本願発明に係る紫外光照射装置10は、矩形箱状のランプハウス11の内部に紫外域の光(蛍光)を放射する光源用のランプ20が配置されている。かかるランプ20は蛍光ランプであり、その構成については後段において詳細に説明する。
紙面においてランプハウス11下部に光取出し用の開口12が形成されていて、この開口12は第1の窓部材13によって塞がれている。ランプハウス11は、内部に略密閉した空間が形成されており、窒素ガスなどの不活性ガスがパージされる。かかる不活性ガスの作用により、ランプ20から放射された紫外光が吸収されることのない(少ない)、高い透過性を備えた空間が形成される。
処理室30は、被処理物Wが載置されるステージ32を備える。処理室30の内部は、雰囲気としては減圧または不活性ガス雰囲気とされるため、ここでの図示を省略するが、処理室30には、ガス排気・供給機構が設置されている。
ランプは、紫外光透過性の発光管21を備えており、比較的小径の内側管21aと、比較的大径の外側管21bとが、各々管の軸が同軸に配置された状態であり、長手方向の端部が溶着されて密閉空間が形成されている。発光管21は、内部に放電ガスとしてキセノンガスが40〜80kPa封入されていており、放電空間の形状は円筒形となっている。
発光管21の放電空間の外側には、一対の外部電極22A,22Bが配置される。外部電極22A,22Bは、一方の電極22Aが、内側管の内周面(放電空間外側)に、他方の電極22Bが外側管の外周面(放電空間外側)にそって配置される。これら一対の電極22A,22B間に高周波高電圧が印加されることで放電が形成される。この形態のランプによると、放電は発光管の軸に垂直な断面図(B)において、管の半径方向に形成されることになる。
蛍光体層23は、キセノンガスのエキシマ発光で放射された波長172nmの紫外光を励起光として、主に波長190nm以上の紫外光を放射するものである。このような蛍光体として例えば、例えば、ネオジウム付活リン酸イットリウムよりなる(主波長;190nm)蛍光体を用いることができる。
一例を挙げると、空間Hの全体を大気で構成する場合は、大気中に存在する酸素が(主に)真空紫外光吸収性ガスとして作用する。大気を空間Hに導入する場合には、ランプハウス外部の大気を整流して送風したりパージしたりすればよく、ガス供給源を別途準備する必要がないため、比較的安価で簡単な構成とすることができる。
蛍光ランプ(不図示)は、発光管の内部に、Xeエキシマの発光による波長172nmの真空紫外域の光を生成し、蛍光体が、波長172nmの紫外光を励起光として、それよりも長波長の紫外光に変換された蛍光を放射するものであることは先に述べた。
蛍光ランプの発光管(21)は、紫外光の透過性が良好な合成石英ガラスから構成されるため、励起光として利用されなかった(蛍光に変換されなかった)余剰の紫外光は、蛍光体層(23)及び発光管(21)を透過して、ランプハウス(11)内部に放射する。ランプハウス(11)内部は、不活性ガス(例えばN2)でパージされており、かかる波長172nm紫外光に対しては透過性を有している。第1の窓部材13もまた合成石英ガラスより構成されており、Xeエキシマの発光(励起光)24と、蛍光体層で変換された蛍光(波長190nm以上の蛍光紫外光)25の両方が、当該第1の窓部材13を透過する。
第1の窓部材13と第2の窓部材14の間に形成された空間Hには、例えば酸素(O2)よりなる真空紫外光吸収性ガスが存在し、第1の窓部材13を透過したXeエキシマ光(励起光)24は、酸素(O2)に吸収されることで、当該空間Hを通過する間にそのほとんどが消失する。一方、ランプの蛍光体層で変換された蛍光(波長190nm以上の蛍光紫外光)25は、酸素(O2)等の真空紫外光吸収性ガス層では吸収の割合が少ないため、当該空間Hを透過して、第2の窓部材14に入射することができる。第2の窓部材14もまた、合成石英ガラスからなるので、かかる蛍光25は、高い効率で第2の窓部材14を透過して光出射面14aから放射されるようになる。
なお、蛍光体層で変換された蛍光(波長190nm以上の蛍光紫外光)25のうち、190nm近傍の光(おおむね190〜200nm)は、真空紫外光吸収性ガスとして酸素を用いた場合、割合としては低いが、吸収が生じる。したがって、第1、第2の窓部材の間の離間距離Cは、Xeエキシマ光(波長172nm)24を減光する程度との兼ね合いで、可及的に近づけておくことが好ましい。
そしてこのような紫外光照射装置あるいは紫外光照射処理装置によれば、実質的に被処理物の物性に変化を生じさせることなくキュア(硬化)効果を得ることができ、しかも、光源の消費電力を従来の水銀ランプと比較して低く設定することができる。
<実施例>
図1で示した構成に従って紫外光照射処理装置1を構成した。光源となるランプは、先に、図2に示した発光管構造を有する蛍光ランプであり、定格電力は400W、発光管の外径(外側管の外径)はφ40mmであった。このランプを4本、ランプハウスの内部に並べて配置し、面状の紫外光源を構成した。蛍光ランプは、発光管の内部に、主波長が190nmである紫外光放射タイプのネオジウム付活リン酸イットリウムよりなる(主波長;190nm)蛍光体が、約10〜40μmの厚さで塗布形成されたものである。なお、発光管の材質は、合成石英からなり、外側管の厚みは約2mmであった。
続いて、条件2として、第1の窓部材と第2の窓部材との間を大気で充填し、離間距離(大気層の厚さ)を33mとした。
条件1,2で得られた被処理物に関して物性を測定したところ、現在実用的に使用されている高圧水銀ランプや無電極ランプによってキュア処理したものと同等の品質であることが確認された。
蛍光ランプから放射された(直接)光のスペクトルは細線の破線で示される。同図から理解できるよう、波長172nmの紫外光は、主波長に比較して強度は大きくないがピークが表れている。
条件1において第2の窓部材を透過して放射された紫外光は、細線の連続線で示される。
条件2において第2の窓部材を透過して放射された紫外光は、太線の連続線で示される。
条件1,2では、第1、第2の窓部材の離間距離(すなわち空気層の厚さ)が異なる。条件1、2では、ランプから直接放射された紫外光の放射スペクトルと比較して、特に180nm以下の紫外光が大きく低減されていることが理解できる。条件2においては、条件1よりもさらに波長172nmの紫外光が減光されていることがわかる。この結果からも理解されるよう、第1、第2の窓部材との間に、真空紫外光の吸収特性を備えるガスを充填することで、キュア処理に不要な波長域の光(波長172nm近傍の真空紫外光)を効果的に減光することができる。
10 紫外光照射装置
11 ランプハウス
12 光取り出し用開口
13 第1の窓部材
14 第2の窓部材
14a 光出射面
20 ランプ
21 発光管
21A 光出射面
22A,22B 外部電極
23 蛍光体層
24 Xeエキシマ光(励起光、波長172nmの紫外光)
25 蛍光(波長190nm以上の蛍光紫外光)
30 処理室
32 ステージ
W 被処理物
Claims (3)
- 紫外光を放射するランプと、
前記ランプを内部に備え、光取出し部が設けられたランプハウスと、
前記光取出し部に配置された紫外光透過性を有する第1の窓部材と、
前記第1の窓部材の外側に、当該第1の窓部材と所定空間離間して配置された紫外光透過性を有する第2の窓部材とを有し、
前記ランプは、放電ガスが充填された紫外光透過性の発光管と、放電ガスの発光で放射された真空紫外領域の光を励起光として波長190nm以上の紫外光を放射する蛍光体を備えた蛍光ランプであり、
前記第1の窓部材と第2の窓部材の間に、真空紫外光吸収性のガスを含む空間を備えている
ことを特徴とする紫外光照射装置。 - 前記真空紫外光吸収性のガスは、酸素である
ことを特徴とする請求項1記載の紫外光照射装置。 - 請求項1または請求項2に記載の紫外光照射装置と、
前記第2の窓部材の光出射面に沿って設けられた処理室と、
前記処理室内部に具備されたステージとを備えてなる
ことを特徴とする紫外光照射処理装置。
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JP2014161738A JP2016039257A (ja) | 2014-08-07 | 2014-08-07 | 紫外光照射装置及び紫外光照射処理装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2014
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