JP5857863B2 - 紫外線照射装置 - Google Patents

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本発明の実施形態は、液晶パネルの製造工程等に用いられる紫外線照射装置に関する。
液晶パネルの製造工程では、配向を制御するためにPSA(Polymer Sustained Alignment)工程と呼ばれる光配向工程が行われるのが一般的となっている。この工程は、液晶と光反応物質であるモノマーを備えた液晶パネルに紫外線を照射し、モノマーを重合させて液晶の向きを制御する工程である。紫外線の照射には、特許文献1のように主に紫外線ランプが使用されている。
ここで、モノマーは、吸収スペクトルが250nm前後で最も高く、長波長に向かうにつれて低くなる傾向がある。モノマーを重合させるには、吸収スペクトルの高い250nm前後の紫外線を照射するのが効果的であるが、300nm以下の紫外線を照射すると液晶パネルにダメージを与えてしまい、液晶パネルの信頼性を大きく損なう結果となってしまう。また、380nmよりも長い波長の光は液晶パネルに熱的なダメージを与えてしまうおそれがある。したがって、液晶パネルへのダメージを抑制しながら、モノマーを重合させるには、310〜380nm、特に320〜350nmの紫外線を照射する必要がある。
特開2011−146363号公報
本発明が解決しようとする課題は、310〜380nm、特に320〜350nmについて強い紫外線を照射可能な紫外線照射装置を提供することである。
上記課題を達成するために、実施形態の紫外線照射装置は、光反応性物質を含む液晶パネルを照射する紫外線照射装置であって、310〜340nmにピーク波長を持つLaPO蛍光体を含む蛍光体層が形成された第1の光源と、340〜360nmにピーク波長を持つYPO蛍光体を含む蛍光体層が形成された第2の光源と、を具備する。
紫外線照射装置に関する第1の実施形態について説明するための図である。 図1の蛍光ランプについて説明するための図である。 図1の第1の蛍光ランプと第2の蛍光ランプに形成した蛍光体の放射スペクトルおよびモノマーの吸収スペクトルについて説明するための図である。 図1の紫外線照射装置で得られる放射スペクトルおよびモノマーの吸収スペクトルについて説明するための図である。 図1の実施例と比較例1〜5の放射スペクトルについて説明するための図である。 紫外線照射型の蛍光体(LaPO:Ce)と可視光照射型の蛍光体(Sr:Eu)の照度維持率について説明するための図である。 LaPO:Ceからなる蛍光体層を備える蛍光ランプの蛍光体膜厚を変化させたときの照度維持率について説明するための図である。 YPO:Ceからなる蛍光体層を備える蛍光ランプの蛍光体膜厚を変化させたときの照度維持率について説明するための図である。 LaPO:Ceからなる蛍光体層を備える蛍光ランプと、YPO:Ceからなる蛍光体層を備える蛍光ランプの蛍光体膜厚と照度維持率の関係について説明するための図である。
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の紫外線照射装置を、図面を参照して説明する。図1は紫外線照射装置に関する第1の実施形態について説明するための図である。
図1は、液晶パネルの光配向工程に用いられる紫外線照射装置の概略図である。紫外線照射装置は、ハウジング1を備えている。このハウジング1は、紫外線の反射性に優れた金属などで構成されており、その内部には空間が形成されている。その空間には、第1の光源と第2の光源が配置されている。第1の光源は管状の第1の蛍光ランプ2であり、管軸が略平行となるように、並列に複数配置されている。第2の光源は管状の第2の蛍光ランプ3であり、第1の蛍光ランプ2の間に位置するように、かつ互いに管軸が略平行となるように、並列に複数配置されている。
第1の蛍光ランプ2の構造について、図2を参照して説明する。第1の蛍光ランプ2は、図2からわかるように、熱陰極型の蛍光ランプ(ケミカルランプ)であり、主要部としてガラス管21を備えている。ガラス管21は、例えば、紫外線透過性の石英からなるガラスであり、その内部には水銀とアルゴン、キセノン、ネオン等の単体、または混合してなる希ガスが封入されている。また、内壁面には蛍光体層22が形成されている。ガラス管21の両端には、例えばコバールからなる一対のリード線23が封着されており、ランプ内に位置するその先端部にはフィラメント24が保持されている。フィラメント24は例えばタングステンからなる螺旋状のコイルであり、その螺旋所の部分には、例えば(Ba,Ca,Sr)Oを主成分とする熱電子放射物質(エミッタ)が塗布されている。
第2の蛍光ランプ3も同様の構造であるが、蛍光体層がそれぞれの蛍光ランプで異なっている。第1の蛍光ランプ2では蛍光体層22として、LaPO:Ce(セリウム賦活リン酸ランタン)が使用され、第2の蛍光ランプ3では蛍光体層として、YPO:Ce(セリウム賦活リン酸イットリウム)が使用されている。LaPO:CeとYPO:Ceは、図3に示すような放射スペクトルを有する蛍光体である。この図からわかるように、LaPO:Ceは、310〜340nm、具体的には337nm付近にピーク波長を有し、YPO:Ceは340〜360nm、具体的には355nm付近にピーク波長を有している。
また、ハウジング1の内部空間には複数の第1の蛍光ランプ2、第2の蛍光ランプ3と対面するように液晶パネル4が配置されている。したがって、第1の蛍光ランプ2、第2の蛍光ランプ3で発生した直接的な紫外線およびハウジング1の内面で反射した間接的な紫外線を、液晶パネル4の板面に略均一に照射することが可能である。この液晶パネル4は、液晶および光反応性物質としてモノマーを内部に含むパネルである。このモノマーは例えば図3で点線で示すような、吸収スペクトルを持っている。すなわち、吸収スペクトルが260nmで最も高く、長波長側になるにつれて徐々に減少し、350nmでほぼ0になる。
ここで、管径は15.5mm、全長は約1150mmであるような第1の蛍光ランプ2および第2の蛍光ランプ3をランプピッチ50mmの等ピッチで交互に各10本(合計20本)配置した紫外線照射装置(実施例)を作成し、各ランプに165mA、28Wを投入して点灯させ、その紫外線照射装置による液晶パネル4における放射スペクトルを測定した。その結果を図4に示す。なお、測定に用いた機器は、OPTO RESEACH Corp製のMSR−7000である。
図4から、この実施例の紫外線照射装置による放射スペクトルは、310〜380nmにかけて紫外線の強度が強く、310nmよりも短波長側と380nmよりも長波長側は強度が弱いことがわかる。特に、320〜350nmでは強度が強い。したがって、この紫外線照射装置では、液晶パネル4へのダメージを抑制しながら、モノマーを効果的に反応させることができる。
次に、上記の紫外線照射装置(実施例)と、LaPO:Ceの蛍光体層を形成した蛍光ランプのみを搭載した同様の紫外線照射装置(比較例1)と、YPO:Ceの蛍光体層を形成した蛍光ランプのみを搭載した同様の紫外線照射装置(比較例2)と、LaPO:CeとYPO:Ceを混合した蛍光体層を形成した蛍光ランプのみを搭載した同様の紫外線照射装置について、放射スペクトルを比較する試験を行った。その結果を図5に示す。比較例3は、LaPO:Ceが90%、YPO:Ceが10%、比較例4は、LaPO:Ceが80%、YPO:Ceが20%、比較例5は、LaPO:Ceが70%、YPO:Ceが30%である。
図5から、実施例は310〜380nmの全域において相対強度が高いが、比較例1は340〜380nmの強度が低く、比較例2は310〜330nmの強度が低い。比較例3〜5は、比較例1の弱点であった340〜380nmが強化されているが、310〜330nmが大きく低下している。つまり、実施例は、比較例1〜5と比較して310〜380nmにおける強度が格段に高いといえる。
ここで、LaPO:CeやYPO:Ceなどの紫外線照射型の蛍光体を用いる場合、その寿命特性を考慮するのが望ましい。図6に示すように、紫外線照射型の蛍光体は、可視光照射型の蛍光体と比較すると照度維持率が明らかに悪いためである。図6で用いた可視光照射型の蛍光体は、蛍光灯において青色系の蛍光体として一般に用いられるSr:Eu(ユーロピウム賦活リン酸ストロンチウム)である。照度維持率が低下する理由としては、蛍光体への水銀の付着や、管内イオンの衝突による紫外線励起機能の消失が考えられる。
これらの原因を緩和するために、第1の蛍光ランプ2と第2の蛍光ランプ3の蛍光体層の膜厚を変化させる試験を行った。その結果を図7〜9に示す。図7はLaPO:Ce、図8はYPO:Ceにおいて、蛍光体の膜厚を変化させたときの照度維持率について説明するための図であり、図9はそれらの蛍光体の膜厚と照度維持率の関係を図示化した図である。LaPO:Ceの照度はオーク社製のUV−31を、YPO:Ceの照度はオーク社製のUV−35を、ランプの長手方向の中央部分に40mm程度、離間配置して測定した。つまり、LaPO:Ceの照度値は310nm前後の紫外線の照度値、YPO:Ceの照度値は350nm前後の紫外線の照度値を示している。
結果から、LaPO:CeもYPO:Ceも、膜厚が小さすぎても大きすぎても照度維持率が低下する傾向がわかる。具体的には、LaPO:Ceでは、膜厚=10.5μm前後で照度維持率が最大値となり、YPO:Ceでは、膜厚=27.4μm前後で照度維持率が最大値となる。このことから、LaPO:Ceでは膜厚を7.6〜12.9μm、YPOでは膜厚を23.4〜29.0μmに設定するのが望ましい。
なお、例えば、328nm付近にピーク波長を持つCa(PO:Tl(タリウム賦活リン酸カルシウム)からなる蛍光体を形成した第1の蛍光ランプ2と、360nm付近にピーク波長を持つSrBF:Eu(ユーロピウム賦活フッ化ホウ素酸ストロンチウム)からなる蛍光体を形成した第2の蛍光ランプ3とを組み合わせても、同様の結果となる。つまり、それぞれの蛍光体を形成したランプや、それらを混合した蛍光体を形成したランプの場合よりも、310〜380nmにおいて相対的に強度が高い放射スペクトルを得ることができる。また、310nm付近にピーク波長を持つ(Ca,Zn)(PO:Tl(タリウム賦活リン酸カルシウム、亜鉛)からなる蛍光体層22を形成した第1の蛍光ランプ2と、352nm付近にピーク波長を持つBaSi:Pb,Ce(鉛、セリウム賦活ケイ酸バリウム)からなる蛍光体層を形成した第2の蛍光ランプ3とを組み合わせても、同様の結果となる。つまり、310〜340nmにピーク波長を持つ蛍光体層22を形成した第1の蛍光ランプ2と、340〜360nmにピーク波長を持つ蛍光体層を形成した第2の蛍光ランプ3を組み合わせれば、液晶パネル4へのダメージを抑制しながら、モノマーを効果的に反応させることが可能となる。ただし、環境、蛍光体の寿命、蛍光体の波長のマッチングなども考慮すると、310〜340nmにピーク波長を持つ蛍光体としてはLaPO:Ce、340〜360nmにピーク波長を持つ蛍光体としてはYPO:Ceを使用する組み合わせが最適である。
第1の実施形態においては、310〜340nmにピーク波長を持つ蛍光体としてLaPO:Ceからなる蛍光体層22が形成された第1の蛍光ランプ2を並列に複数配置するとともに、340〜360nmにピーク波長を持つ蛍光体としてYPO:Ceからなる蛍光体層が形成された第2の蛍光ランプ3を第1の蛍光ランプ2の間に位置するように、並列に複数配置したことで、モノマーを含む液晶パネル4に対して310〜380nmは強く、310nm以下および380nm以上は弱い紫外線を照射することが可能となるため、液晶パネル4に対してダメージを抑制しながら、モノマーを効果的に反応させることができる。
その際、LaPO:Ceからなる蛍光体を含む蛍光体層22の厚さを7.6〜12.9μm、YPO:Ceからなる蛍光体を含む蛍光体層の厚さを23.4〜29.0μmに設定することで、照度維持率の優れた長寿命のランプとすることができる。
本発明は上記実施態様に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、第1、第2の光源は、熱陰極蛍光ランプに限らず、冷陰極蛍光ランプであってもよい。また、蛍光層を備えたLED、例えば蛍光体を含有させたモールド樹脂を有するLEDを基板上に配置したものなどであってもよい。要するに、蛍光体を備えた光源に適用可能である。
この発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 ハウジング
2 第1の光源
3 第2の光源
4 液晶パネル

Claims (4)

  1. 光反応性物質を含む液晶パネルを照射する紫外線照射装置であって、
    310〜340nmにピーク波長を持つLaPO蛍光体を含む蛍光体層が形成された第1の光源と、340〜360nmにピーク波長を持つYPO蛍光体を含む蛍光体層が形成された第2の光源と、を具備する紫外線照射装置。
  2. LaPOからなる蛍光体を含む蛍光体層の厚さは7.6〜12.9μmであるとともに、YPOからなる蛍光体を含む蛍光体層の厚さは23.4〜29.0μmである請求項1に記載の紫外線照射装置。
  3. 光反応性物質を含む液晶パネルを照射する紫外線照射装置であって、
    310〜340nmにピーク波長を持つ蛍光体を含む蛍光体層が形成された第1の光源と、340〜360nmにピーク波長を持つ蛍光体を含む蛍光体層が形成された第2の光源と、を具備する紫外線照射装置。
  4. 前記第1、第2の光源は管状の蛍光ランプであり、前記第1の光源は管軸が略平行となるように、並列に複数配置され、前記第2の光源は前記第1の光源の間に位置するように、かつ前記第1の光源の管軸と略平行となるように、並列に複数配置されている請求項1〜請求項3の何れかに記載の紫外線照射装置。
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