JP2016038572A - エレクトロクロミック素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定動作が可能であり、かつ光耐久性に優れるエレクトロクロミック素子の提供。
【解決手段】第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック素子であって、前記第1の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物を有するエレクトロクロミック素子である。
【選択図】なし

Description

本発明は、エレクトロクロミック素子及びその製造方法に関する。
電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムという。前記エレクトロクロミズムは、一般に対向する2つの電極間に形成され、イオン伝導可能な電解質層が電極間に満たされた構成で酸化還元反応する。対向する2つの電極のうちの一方の近傍で還元反応が生じるときには、他方の電極の近傍では、逆反応である酸化反応が生じる。
このようなエレクトロクロミック素子において、透明な表示デバイスを得ようとする場合や、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の3層の発色層を積層させた構成のデバイスを構築する場合には、無色透明の状態を有する材料により構成されていることが重要である。
前記課題を解決することができる材料としては、中性状態が透明状態であり、還元状態で発色するエレクトロクロミック現象を示すビオロゲン化合物などが挙げられる。前記ビオロゲン化合物との組み合わせにおいては、酸化チタンが好適に用いられる。これらの中でも、積層構成において、エレクトロクロミック化合物の担持粒子として酸化チタン粒子を用いることで、高い光学的濃度及び高コントラスト比を維持できることが報告されている。
また、中性状態が透明で酸化状態で発色するエレクトロクロミック材料としては、例えば、トリアリールアミン化合物などが報告されている(非特許文献1及び非特許文献2参照)。
しかしながら、前記非特許文献1には、トリアリールアミン化合物との共重合材料とpoly(choline methacrylate)(PCM)を十数層に分けて積層したエレクトロクロミック素子が開示されている。更に加えて作製プロセスが煩雑であり実用的な開示であるとは言いがたく、最良の構成で500回程度の繰返しが評価されているが、光耐久性に関しては何ら開示されていない。
また、前記非特許文献2においては、トリアリールアミン化合物の担持粒子として酸化チタンが用いられ、良好な繰返し性能を有することが示されている。しかし、光触媒活性物質である酸化チタンは、エレクトロクロミック化合物、及びその他の構成要素を分解し、エレクトロクロミック素子の耐光性を低下させてしまう。前記酸化チタンの光触媒活性を抑制するための対策として、ルチル型の酸化チタンを用いることも提案されているが、耐光性の低下を改善することは困難である。
更に、前記トリアリールアミン化合物の担持粒子としての酸化チタンの使用はエレクトロクロミック素子の安定動作を阻害するという問題がある。このため、トリアリールアミン化合物の低分子材料をそのまま塗布する方法も考えられるが、前記トリアリールアミン化合物の低分子材料は製膜性が乏しく均一な塗膜を得ることができないという問題がある。
本発明は、安定動作が可能であり、かつ光耐久性に優れるエレクトロクロミック素子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のエレクトロクロミック素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第1の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物を有する。
本発明によると、安定動作が可能であり、かつ光耐久性に優れるエレクトロクロミック素子を提供することができる。
図1は、本発明のエレクトロクロミック素子の一例を示す概略図である。
(エレクトロクロミック素子)
本発明のエレクトロクロミック素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質とを有してなり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、電子写真方式の複写機の感光体に実用的に使われている熱又は光硬化型トリアリールアミン化合物に注目した。
前記熱又は光硬化型トリアリールアミン化合物を含む感光体は、複写機の画像形成プロセス(例えば、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、除電工程など)の定着工程以外に関わる重要な部材である。
前記複写機の画像形成プロセスにおいて感光体は、常に水分や酸素を含んだ大気中に曝されている。更に加えて、露光工程及び除電工程では強い光に曝され、高速で静電的帯電及び除電を繰り返すように設計されている。
このような光耐久性に対する耐性及び酸化還元プロセスに類似する静電的帯電及び除電の繰り返し耐性に着目しエレクトロクロミック素子への検討を行った。即ち、エレクトロクロミック素子へ適応する際の要求物性(中性状態で透明である、溶解性がある、積層が可能であるなど)に適応し得る熱又は光硬化型トリアリールアミン化合物の骨格を選択し、エレクトロクロミック素子の最適な構成条件、構成位置にて適応することで、従来のエレクトロクロミック素子技術を凌ぐ効果、特に繰り返し耐性及び光耐久性に優れていることを知見した。
本発明においては、前記第1の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物を有する。
また、前記第1の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物を有することが、重合物の溶解性及び耐久性の点から好ましい。
ここで、前記「第1の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物を有する」とは、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物からなるエレクトロクロミック層を前記第1の電極上に積層した態様、前記エレクトロクロミック層を前記第1の電極上に2層以上積層した態様、前記エレクトロクロミック層を前記第1の電極上の一部に積層した態様、などが挙げられる。
また、前記「第1の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物を有する」とは、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物からなるエレクトロクロミック層を前記第1の電極上に積層した態様、有する態様、前記エレクトロクロミック層を前記第1の電極上に2層以上積層した態様、前記エレクトロクロミック層を前記第1の電極上の一部に積層した態様、などが挙げられる。
<エレクトロクロミック組成物>
前記エレクトロクロミック組成物は、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含有し、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物以外の他のラジカル重合性化合物及びフィラーを含有することが好ましく、重合開始剤を含有することがより好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<<トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物>>
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物は、第1の電極の表面において酸化還元反応を有するエレクトロクロミック機能を付与するために重要である。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物としては、下記一般式1で表される化合物が挙げられる。
[一般式1]
−B
ただし、n=2のときにはmは0であり、n=1のときmは0又は1である。A及びBの少なくとも1つはラジカル重合性官能基を有する。前記Aは下記一般式2で示される構造であり、RからR15のいずれかの位置で前記Bと結合している。前記Bは下記一般式3で示される構造であり、R16からR21のいずれかの位置で前記Aと結合している。
[一般式2]
[一般式3]
ただし、前記一般式2及び3中、RからR21は、いずれも一価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、前記一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。
−一価の有機基−
前記一般式2及び前記一般式3における前記一価の有機基としては、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、アミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換基を有していてもよいアルコキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、スルホンアミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい複素環基などが挙げられる。
これらの中でも、安定動作及び光耐久性の点から、アルキル基、アルコキシル基、水素原子、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン基、アルケニル基、アルキニル基が特に好ましい。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基などが挙げられる。
前記複素環基としては、例えば、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾールなどが挙げられる。
前記置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
−ラジカル重合性官能基−
前記ラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であればいずれでもよい。
前記ラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(i)で表される官能基が挙げられる。
ただし、前記一般式(i)中、Xは、置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R100)−基〔R100は、水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基を表す。〕、又は−S−基を表す。
前記一般式(i)のアリーレン基としては、例えば、置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
前記アルケニレン基としては、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記一般式(i)で表されるラジカル重合性官能基の具体例としては、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基などが挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記一般式(ii)で表される官能基が挙げられる。
ただし、前記一般式(ii)中、Yは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR101基〔R101は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又はCONR102103(R102及びR103は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)〕を表す。また、Xは、前記一般式(i)のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y及びXの少なくともいずれか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、芳香族環である。
前記一般式(ii)のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記一般式(ii)で表されるラジカル重合性官能基の具体例としては、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基などが挙げられる。
なお、これらX、X、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
前記ラジカル重合性官能基の中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物としては、以下の一般式(1−1)から(1−3)で表される化合物のいずれかが好適に挙げられる。
[一般式1−1]
[一般式1−2]
[一般式1−3]
前記一般式(1−1)から(1−3)中、R27からR88は、いずれも一価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、前記一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。
前記一価の有機基及び前記ラジカル重合性官能基としては、前記一般式(1)と同じものが挙げられる。
前記一般式(1)、及び前記一般式(1−1)から(1−3)で表される例示化合物としては、以下に示すものが挙げられる。前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物としては、これらに限定されるものではない。
<例示化合物1>
<例示化合物2>
<例示化合物3>
<例示化合物4>
<例示化合物5>
<例示化合物6>
<例示化合物7>
<例示化合物8>
<例示化合物9>
<例示化合物10>
<例示化合物11>
<例示化合物12>
<例示化合物13>
<例示化合物14>
<例示化合物15>
<例示化合物16>
<例示化合物17>
<例示化合物18>
<例示化合物19>
<例示化合物20>
<例示化合物21>
<例示化合物22>
<例示化合物23>
<例示化合物24>
<例示化合物25>
<例示化合物26>
<例示化合物27>
<例示化合物28>
<例示化合物29>
<例示化合物30>
<例示化合物31>
<例示化合物32>
<例示化合物33>
<例示化合物34>
<例示化合物35>
<例示化合物36>
<例示化合物37>
<例示化合物38>
<例示化合物39>
<例示化合物40>
<<他のラジカル重合性化合物>>
前記他のラジカル重合性化合物は、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なり、少なくとも1つのラジカル重合性官能基を有する化合物である。
前記他のラジカル重合性化合物としては、例えば、1官能のラジカル重合性化合物、2官能のラジカル重合性化合物、3官能以上のラジカル重合性化合物、機能性モノマー、ラジカル重合性オリゴマーなどが挙げられる。これらの中でも、2官能以上のラジカル重合性化合物が特に好ましい。
前記他のラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基としては、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基と同様であり、これらの中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。
前記1官能のラジカル重合性化合物としては、例えば、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記2官能のラジカル重合性化合物としては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3官能以上のラジカル重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記において、EO変性はエチレンオキシ変性を指し、PO変性はプロピレンオキシ変性を指す。
前記機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報に記載のシロキサン繰り返し単位が20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ポリエステルアクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物及び前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物の少なくともいずれか一方がラジカル重合性官能基を2つ以上有していることが、架橋物を形成する点から好ましい。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物の含有量は、エレクトロクロミック組成物の全量に対して、10質量%以上100質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
前記含有量が、10質量%以上であると、エレクトロクロミック層のエレクトロクロミック機能が充分に発現でき、加電圧による繰り返しの使用で耐久性が良好であり、発色感度が良好である。
前記含有量が、100質量%でもエレクトロクロミック機能が可能であり、この場合、最も厚みに対する発色感度が高い。それに相反して電荷の授受に必要であるイオン液体との相溶性が低くなる場合があるため、加電圧による繰り返しの使用で耐久性の低下などによる電気特性の劣化が現れる。使用されるプロセスによって要求される電気特性が異なるため一概には言えないが、発色感度と繰り返し耐久性の両特性のバランスを考慮すると30質量%以上90質量%以下がより好ましい。
<<重合開始剤>>
前記エレクトロクロミック組成物は、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物との架橋反応を効率よく進行させるため、必要に応じて重合開始剤を含有することが好ましい。
前記重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。これらの中でも、重合効率の点から、光重合開始剤が好ましい。
前記熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤;アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他の光重合開始剤としては、例えば、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、光重合促進効果を有するものを単独又は前記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記重合開始剤の含有量は、前記ラジカル重合性化合物の全量100質量部に対して、0.5質量部以上40質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましい。
<<フィラー>>
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機フィラー、無機フィラーなどが挙げられる。
前記無機フィラーとしては、例えば、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属粉末;酸化ケイ素(シリカ)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性、安定性、及び表面処理の容易性などの点から、金属酸化物が好ましく、シリカ、アルミナ、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)が特に好ましい。
前記有機フィラーとしては、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルフィド、ポリオレフィン、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂、脂肪酸等の低分子化合物、フタロシアニン等の顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性及び不溶性の点から、樹脂が好ましい。
前記フィラーの平均一次粒径は、1μm以下が好ましく、10nm以上1μm以下がより好ましい。前記フィラーの平均一次粒径が、1μm以下であると、粗大粒子が存在せず、得られる膜の表面状態が良好であり、表面平滑性に優れている。
前記フィラーの含有量は、前記ラジカル重合性化合物の全量100質量部に対して、固形分濃度で、0.3質量部以上1.5質量部以下が好ましく、0.6質量部以上0.9質量部以下がより好ましい。
前記含有量が、0.3質量部以上であると、フィラー添加効果が充分に得られ、製膜性が良好であり、1.5質量部以下であると、トリアリールアミン化合物の割合が適切であり作製したエレクトロクロミック素子の良好な電気化学特性が得られる。
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒、可塑剤、レベリング剤、増感剤、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤などが挙げられる。
前記エレクトロクロミック層は、後述するエレクトロクロミック素子の製造方法により形成することができる。
前記第1のエレクトロクロミック層の平均厚みは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.4μm以上10μm以下がより好ましい。
<第1の電極及び第2の電極>
前記第1の電極及び第2の電極の材料としては、導電性を有する透明材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と称する)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と称する)、酸化亜鉛等の無機材料などが挙げられる。これらの中でも、InSnO、GaZnO、SnO、In、ZnOが好ましい。
更に、透明性を有するカーボンナノチューブや、他のAu、Ag、Pt、Cuなど高導電性の非透過性材料等を微細なネットワーク状に形成して、透明度を保持したまま、導電性を改善した電極を用いてもよい。
前記第1の電極及び第2の電極の各々の厚みは、エレクトロクロミック層の酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整される。
前記第1の電極及び前記第2の電極の材料としてITOを用いた場合、第1の電極及び第2の電極の各々の厚みは、例えば、50nm以上500nm以下が好ましい。
前記第1の電極及び第2の電極の各々の作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等を用いることができる。
前記第1の電極及び第2の電極の各々の材料が塗布形成できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法を用いることができる。
<電解質>
前記電解質は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に充填されている。
前記電解質としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができ、具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BFなどが挙げられる。
前記電解質の材料としては、イオン性液体を用いることもできる。これらの中でも、有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造を有しているため、用いることが好ましい。
前記分子構造として、カチオン成分としては、例えば、N,N−ジメチルイミダゾール塩、N,N−メチルエチルイミダゾール塩、N,N−メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N−ジメチルピリジニウム塩、N,N−メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム系などが挙げられる。
アニオン成分としては、大気中での安定性の点から、フッ素を含んだ化合物を用いることが好ましい。前記フッ素を含んだ化合物としては、例えば、BF 、CFSO 、PF 、(CFSOなどが挙げられる。
前記電解質の材料としては、前記カチオン成分と前記アニオン成分とを任意に組み合わせたイオン性液体を用いることが好ましい。
前記イオン性液体は、光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかに直接溶解させてもよい。なお、溶解性が悪い場合は、少量の溶媒に溶解させて、前記溶液を光重合性モノマー、オリゴマー、及び液晶材料のいずれかと混合して用いればよい。
前記溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
前記電解質は低粘性の液体である必要はなく、ゲル状や高分子架橋型、液晶分散型などの様々な形態をとることが可能である。前記電解質は、ゲル状、固体状に形成することで、素子強度向上、信頼性向上などの利点が得られる。
固体化手法としては、電解質と溶媒をポリマー樹脂中に保持することが好ましい。これにより高いイオン伝導度と固体強度が得られるためである。
更に、前記ポリマー樹脂としては光硬化可能な樹脂が好ましい。熱重合や溶剤を蒸発させることにより薄膜化する方法に比べて、低温かつ短時間で素子を製造できるためである。
前記電解質からなる電解質層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm以上10μm以下が好ましい。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体、絶縁性多孔質層、劣化防止層、保護層などが挙げられる。
−支持体−
前記支持体としては、各層を支持できる透明材料であれば、周知の有機材料や無機材料をそのまま用いることができる。
前記支持体としては、例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス基板を用いることができる。また、前記支持体としては、例えば、ポリカーボネイト樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基板を用いてもよい。
また、前記支持体の表面に、水蒸気バリア性、ガスバリア性、紫外線耐性、及び視認性を高めるために透明絶縁層、UVカット層、反射防止層等がコーティングされていてもよい。
前記支持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、長方形、正方形、矩形、円形、楕円形などが挙げられる。
前記支持体は複数の重ねあわせでもよく、例えば、2枚のガラス基板でエレクトロクロミック素子を挟持する構造にすることで、水蒸気バリア性及びガスバリア性を高めることが可能である。
−絶縁性多孔質層−
前記絶縁性多孔質層、第1の電極と第2の電極とが電気的に絶縁されるように隔離すると共に、電解質を保持する機能を有する。
前記絶縁性多孔質層の材料としては、多孔質であれば特に制限はなく、絶縁性及び耐久性が高く成膜性に優れた有機材料や無機材料、及びそれらの複合体を用いることが好ましい。
前記絶縁性多孔質層の形成方法としては、例えば、焼結法(高分子微粒子や無機粒子を、バインダ等を添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法などが挙げられる。
−劣化防止層−
前記劣化防止層の役割は、エレクトロクロミック層と逆の化学反応をし、電荷のバランスをとって第1の電極や第2の電極が不可逆的な酸化還元反応により腐食や劣化することを抑制することである。なお、前記逆の化学反応とは、劣化防止層が酸化還元する場合に加え、キャパシタとして作用することも含む。
前記劣化防止層の材料としては、第1の電極及び第2の電極の不可逆的な酸化還元反応による腐食を防止する役割を担う材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アンチモン錫や酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、又はそれらを複数含む導電性又は半導体性金属酸化物を用いることができる。
前記劣化防止層は、電解質の注入を阻害しない程度の多孔質薄膜から構成することができる。例えば、酸化アンチモン錫や酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の導電性又は半導体性金属酸化物微粒子を、例えば、アクリル系、アルキド系、イソシアネート系、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系等のバインダにより第2の電極に固定化することで、電解質の浸透性と、劣化防止層としての機能を満たす、好適な多孔質薄膜を得ることができる。
−保護層−
前記保護層の役割は、外的応力や洗浄工程の薬品から素子を守ることや、電解質の漏洩を防ぐこと、大気中の水分や酸素などエレクトロクロミック素子が安定的に動作するために不要なものの侵入を防ぐこと等である。
前記保護層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上200μm以下が好ましい。
前記保護層の材料としては、例えば、紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
(エレクトロクロミック素子の製造方法)
本発明のエレクトロクロミック素子の製造方法は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、
塗布工程を含み、架橋工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
<塗布工程>
前記塗布工程は、前記第1の電極上に、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物と、フィラーとを含むエレクトロクロミック組成物を塗布する工程である。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物、及び前記フィラーとしては、前記エレクトロクロミック素子で説明したものと同様のものを用いることができる。
前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物と、前記フィラーとを含有する塗布液を塗布する。前記塗布液は、必要に応じて溶媒により希釈して塗布する。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶媒による希釈率は、組成物の溶解性、塗工法、目的とするエレクトロクロミック層の厚みなどにより異なり特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記塗布は、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などにより行うことができる。
<架橋工程>
前記架橋工程は、塗布したエレクトロクロミック組成物に対して加熱又は光エネルギーを付与して架橋する工程である。
前記第1の電極上にエレクトロクロミック組成物を塗布後、外部からエネルギーを与え、硬化させて、エレクトロクロミック層を形成する。
前記外部エネルギーとしては、例えば、熱、光、放射線などが挙げられる。
前記熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素等の気体、蒸気、又は各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上170℃以下が好ましい。
前記光のエネルギーとしては、主に紫外光(UV)に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。
UVの照射光量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mW/cm以上15,000mW/cm以下が好ましい。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、例えば、第1の電極形成工程、第2の電極形成工程、絶縁性多孔質層形成工程、劣化防止層形成工程、保護層形成工程、貼り合わせ工程などが挙げられる。
ここで、図1に、本発明の前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物をエレクトロクロミック化合物として用いたエレクトロクロミック素子の構成の一例を示す。
この図1に示すように、前記エレクトロクロミック素子は、表示電極1と、該表示電極1に対して間隔をおいて対向して設けられた対向電極2と、両電極(表示電極1と対向電極2)間に電解質3とを備えている。
前記表示電極1の表面には、本発明の前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物であるエレクトロクロミック化合物4を有している。前記エレクトロクロミック素子では前記エレクトロクロミック化合物4は表示電極1表面で酸化還元反応により発消色する。
−用途−
本発明のエレクトロクロミック素子は、安定動作が可能であり、かつ光耐久性に優れているので、例えば、エレクトロクロミックディスプレイ、株価の表示板等の大型表示板、防眩ミラー、調光ガラス等の調光素子、タッチパネル式キースイッチ等の低電圧駆動素子、光スイッチ、光メモリー、電子ペーパー、電子アルバムなどに好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成>
第1の電極上にエレクトロクロミック層を形成するために、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・1官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物(例示化合物1):50質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2官能アクリレートを有するPEG400DA(日本化薬株式会社製):50質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、第1の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)上にスピンコート法により塗布し、得られた塗布膜をUV照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し、60℃で10分間アニール処理を行うことにより、平均厚み0.4μmの架橋したエレクトロクロミック層を形成した。
−第2の電極上への劣化防止層の形成−
第2の電極としてのITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に、劣化防止層として酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
−電解質の充填−
以下に示す組成の電解質液を調製した。
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・PEG400DA(日本化薬株式会社製):100質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(メルク社製):50質量部
得られた電解質液をマイクロピペットで30mg測り取り、前記劣化防止層を有するITOガラス基板に対して滴下した。その上に、電極の引き出し部分があるように、架橋したエレクトロクロミック層を有するITOガラス基板を貼り合せ、貼り合せ素子を作製した。
得られた貼り合せ素子をUV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射した。以上により、エレクトロクロミック素子を作製した。
<発消色駆動>
作製したエレクトロクロミック素子の発消色を確認した。具体的には、第1の電極層の引き出し部分と第2の電極層の引き出し部分との間に、−3Vの電圧を5秒間印加させたところ、前記第1の電極層と前記第2の電極層の重なった部分に、エレクトロクロミック架橋層のトリアリールアミン化合物のエレクトロクロミックに由来する青緑色の発色が確認できた。
次いで、前記第1の電極層の引き出し部分と前記第2の電極層の引き出し部分との間に、+3Vの電圧を5秒間印加させたところ、前記第1の電極層と前記第2の電極層の重なった部分が消色し、透明になることが確認できた。
<試験1:繰返し試験>
作製したエレクトロクロミック素子について、−3Vで5秒間、+3Vで5秒間の発消色駆動を500回繰り返した。そのときの可視領域(400nm〜800nm)の吸収極大をλmaxとした。その時の吸光度変化をOcean Optics社製、USB4000で測定し、下記基準で評価した。結果を表1に示した。なお、λmaxは材料によって異なり、実施例1の場合には680nmである。
[評価基準]
◎:λmaxの吸光度が初期状態に比べて90%以上である場合
○:λmaxの吸光度が初期状態に比べて80%以上90%未満である場合
△:λmaxの吸光度が初期状態に比べて50%以上80%未満である場合
×:λmaxの吸光度が初期状態に比べて50%未満である場合
<試験2:耐光性試験>
前記試験1と同様の繰返し条件において、可視光(フィルタ;UV、IR、熱線カット:光量;50,000Lx)を照射し続け、可視光に対する耐光性試験前後のλmaxの吸光度変化をOcean Optics社製、USB4000で測定し、下記基準で耐光性を評価した。結果を表1に示した。なお、λmaxは材料によって異なり、実施例1の場合には680nmである。
[評価基準]
○:λmaxの吸光度が前記試験1と比較して80%以上である場合
△:λmaxの吸光度が前記試験1と比較して50%以上80%未満である場合
×:λmaxの吸光度が前記試験1と比較して50%未満である場合
(実施例2〜40)
実施例1において、トリアリールアミンの例示化合物1を、下記表1に示したトリアリールアミン例示化合物2〜40に変更した以外は、実施例1と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
作製した各エレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び試験2を行った。結果を表1に示した。
(比較例1)
比較例1として、酸化チタンに担持したトリアリールアミン化合物を用いた。
−第1の電極上への酸化チタン粒子膜の形成−
第1の電極層であるITOガラス基板(40mm×40mm、平均厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に、劣化防止層として酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み1.0μmの酸化チタン粒子膜を形成した。
次に、酸化チタンに担持させるため、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
・下記構造式で示されるトリアリールアミン化合物101:50質量部
<トリアリールアミン化合物101>
・メタノール:950質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、前記酸化チタン粒子膜に対してスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことにより、酸化チタン粒子膜を形成した。
次に、実施例1と同様にして、第2の電極上への劣化防止層の形成、電解質の充填を行い、エレクトロクロミック素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、前記試験1及び前記試験2を行った。結果を表1に示した。
(比較例2)
比較例1において、トリアリールアミン化合物101を、下記構造式で表されるトリアリールアミン化合物102に変更した以外は、比較例1と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、試験1及び試験2を行った。結果を表1に示した。
<トリアリールアミン化合物102>
(比較例3)
比較例3として、トリアリールアミンが主鎖で連結した重合体を用いた。
−第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成−
以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
・下記一般式で示されるトリアリールアミン重合体103:50質量部
<トリアリールアミン重合体103>
ただし、前記式中、nは180〜150(ポリスチレン換算から推測)を表す。
・トルエン:950質量部
次に、得られたエレクトロクロミック組成物を、ITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に対してスピンコート法により塗布し、120℃で10分間乾燥処理を行うことにより、エレクトロクロミック層を形成した。
次に、実施例1と同様にして、第2の電極上への劣化防止層の形成、電解質の充填を行い、エレクトロクロミック素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック素子について、実施例1と同様にして、前記試験1及び前記試験2を行った。結果を表1に示した。
*比較例3の試験2の「−」は測定不能であることを示す。
表1の結果から、例示化合物1から40のトリアリールアミン化合物は、いずれも良好なエレクトロクロミズムを示し、500回の繰返し駆動に対して着色などの劣化はほとんど見られなかった。また、耐光性に対しても基準以上の耐性を有していた。特に、繰返し試験に関してはトリアリールアミンのフェニル基の4位の炭素が置換されている(水素原子ではない)ものがより好ましい結果を有していた。
これに対して、比較例1及び2の酸化チタンに担持したトリアリールアミン化合物は、繰返し500回は可能であるが、着色が見られた。また、耐光性試験をした後に目視レベルで着色が見られた。
また、比較例3のトリアリールアミン重合体は、繰返しに対する劣化が顕著であった。
(実施例41)
第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成において、下記のエレクトロクロミック組成物の組成の検討を行った。
即ち、表2に示すように、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物(例示化合物1)の質量割合をX=100質量部〜0質量部の範囲で調整することで、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物(例示化合物1)と、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物との質量割合の検討を行った。
なお、上記以外の操作は、実施例1と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
−第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成−
・1官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物(例示化合物1):X質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2官能アクリレートを有するPEG400DA(日本化薬株式会社製):(100−X)質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
得られたエレクトロクロミック素子について、組成の違いを確認するために、発色性、消色性、画素評価、及び総合評価を行った。結果を表2に示した。
<発色性及び消色性>
発色性に関しては、各素子に対して−3Vで5秒間発色し、そのときの透過率変化をOcean Optics社製USB4000にて測定した。λmaxの透過率が50%以上の場合を○、50%以下であるが発色した場合を△、発色しなかった場合を×と判定した。
消色性に関しては、発色した各エレクトロクロミック素子に対して、+3Vで5秒間印加し、λmaxが初期状態に戻った場合を○、透過率が減衰したが完全に初期に戻らなかった場合を△、透過率変化がまったくなかった場合を×と判定した。
<画素評価>
−3Vで5秒間発色、+3Vで5秒間消色を500回繰り返した後の画素をデジタルマイクロスコープ(ハイロックス社製、KH−7700)で確認した。繰返し後の発色の程度、消色の程度を官能的に評価することで画素評価を行った。
<総合判定>
総合判定として、発色性、消色性、及び画素評価の結果から、総合的に判断し、下記基準で評価した。
[評価基準]
○:発色性、消色性、及び画素評価のすべてを満足している
△:発色性、消色性、及び画像評価のいずれかを満足していない
×:発色性、及び消色性が機能していない
(実施例42)
実施例41において、以下の組成のエレクトロクロミック組成物を用い、表3に示す質量割合とした以外は、実施例41と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
得られたエレクトロクロミック素子を用い、実施例41と同様にして、発色性、消色性、画素評価、及び総合評価を行った。結果を表3に示した。
−第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成−
・2官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物(例示化合物8):X質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2−(2−Ethoxyethoxy)ethyl Acrylate(東京化成工業株式会社製):(100−X)質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
(実施例43)
実施例41において、以下の組成のエレクトロクロミック組成物を用い、表4に示す質量割合とした以外は、実施例41と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
得られたエレクトロクロミック素子を用い、実施例41と同様にして、発色性、消色性、画素評価、及び総合評価を行った。結果を表4に示した。
−第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成−
・1官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物(例示化合物12):X質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・アクリレートモノマー(DPCA−60、日本化薬株式会社製):(100−X)質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
実施例41から43の結果から、質量割合Xが100質量部から10質量部の範囲では、500回の繰返しでは、黄変などの材料が劣化する挙動は見られなかった。特に質量割合Xが90質量部から30質量部の範囲で良好な発色消色挙動を示すことがわかった。
(実施例44)
実施例41において、以下の組成のエレクトロクロミック組成物を用い、表5に示す質量割合とした以外は、実施例41と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
得られたエレクトロクロミック素子を用い、実施例41と同様にして、発消色性、画素評価及び総合評価を行った。結果を表5に示した。
−第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成−
・2官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物(例示化合物40):X質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):1質量部
・メタクリレートモノマー(ブレンマーPME400、日油株式会社製):(100−X)質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
(実施例45)
実施例41において、以下の組成のエレクトロクロミック組成物を用い、表6に示す質量割合とした以外は、実施例41と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
得られたエレクトロクロミック素子を用い、実施例41と同様にして、発消色性、画素評価及び総合評価を行った。結果を表6に示した。
−第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成−
・2官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物(例示化合物40):X質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):3質量部
・メタクリレートモノマー(ブレンマーPME1000、日油株式会社製):(100−X)質量部
・メチルエチルケトン:900質量部
実施例44から45の結果から、質量割合Xが100質量部から10質量部の範囲では、500回の繰返しにおいて、黄変などの材料が劣化する挙動は見られなかった。特に質量割合Xが90質量部から30質量部の範囲で良好な発色消色挙動を示すことがわかった。
(実施例46)
−第1の電極上へのエレクトロクロミック層の形成−
エレクトロクロミック層を形成するために、以下に示す組成のエレクトロクロミック組成物を調製した。
[組成]
・1官能アクリレートを有するトリアリールアミン化合物(例示化合物1):50質量部
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・2官能アクリレートを有するPEG400DA(日本化薬株式会社製):50質量部
・メチルエチルケトン:880質量部
・MEK−ST溶液(日産化学工業株式会社製、シリカのメチルエチルケトン溶液、固形分30質量%):20質量部
得られたエレクトロクロミック組成物を、ITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に対してスピンコート法により塗布し、得られた塗布膜をUV(250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射し、60℃で10分間アニール処理を行うことにより、平均厚み0.4μmの架橋したエレクトロクロミック層を形成した。
−第2の電極上への劣化防止層の形成−
次いで、第2の電極層であるITOガラス基板(40mm×40mm、厚み0.7mm、ITO膜厚:約100nm)に、劣化防止層として酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:約20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、平均厚みが1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
−電解質の充填−
電解質として、以下に示す組成の電解質液を調製した。
[組成]
・IRGACURE184(BASFジャパン株式会社製):5質量部
・PEG400DA(日本化薬株式会社製):100質量部
・1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート(メルク社製):50質量部
得られた電解質液をマイクロピペットで30mg測り取り、前記劣化防止層を有するITOガラス基板に対して滴下した。その上に、電極の引き出し部分があるように、架橋したエレクトロクロミック層を有するITOガラス基板を貼り合せ、貼り合せ素子を作製した。
得られた貼り合せ素子をUV(波長250nm)照射装置(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE)により10mWで60秒間照射した。以上により、エレクトロクロミック素子を作製した。
<発消色駆動>
作製したエレクトロクロミック素子の発消色を確認した。具体的には、第1の電極層の引き出し部分と第2の電極層の引き出し部分との間に、−3Vの電圧を5秒間印加させたところ、第1の電極層と第2の電極層の重なった部分に、架橋層のトリアリールアミン化合物のエレクトロクロミックに由来する青緑色の発色が確認された。
更に、第1の電極層の引き出し部分と第2の電極層の引き出し部分との間に、+3Vの電圧を5秒間印加させたところ、第1の電極層と第2の電極層の重なった部分が消色し、透明になることが確認された。
<<試験3:製膜性評価>>
第1の電極上にエレクトロクロミック組成物をスピンコート(1,500rpm、20秒間、1H−DX、ミカサ株式会社製)した後、形成された塗膜表面の様子を観察し、下記基準に基づき、製膜性を評価した。結果を表7に示した。
[評価基準]
◎:均一な連続膜が形成された場合
○:連続膜が形成されたが数か所に微小な孔を有する場合
△:連続膜が形成されたが局所的に微小な孔を有する場合
<<試験4:CV特性評価>>
作製したエレクトロクロミック素子に対して、CH660C(電源)、Ocean optics社製USB4000(光学測定)を用いて、掃引速度0.1V/sにて掃引電圧範囲−3V/+3V条件でCV(サイクリックボルタンメトリー)測定を行い、下記基準に基づき、CV特性を評価した。結果を表7に示した。なお、透過率に関しては消色時にサンプルを透過した光をリファリンスとして測定を行った。
[評価基準]
◎:電圧を−2.0V印加時に透過率20%未満の場合
○:電圧を−2.0V印加時に透過率20%以上30%未満の場合
△:電圧を−2.0V印加時に透過率30%以上の場合
(実施例47)
実施例46において、前記エレクトロクロミック組成物におけるMEK−ST溶液の含有量を30質量部(固形分濃度0.9質量部)、メチルエチルケトンの含有量を870質量部に変更した以外は、実施例46と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック素子について、実施例46と同様にして、前記試験3及び前記試験4を行った。結果を表7に示した。
(実施例48)
実施例46において、前記エレクトロクロミック組成物におけるMEK−ST溶液の含有量を10質量部(固形分濃度0.3質量部)、メチルエチルケトンの含有量を890質量部に変更した以外は、実施例46と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック素子について、実施例46と同様にして、前記試験3及び前記試験4を行った。結果を表7に示した。
(実施例49)
実施例46において、前記エレクトロクロミック組成物におけるMEK−ST溶液の含有量を40質量部(固形分濃度1.2質量部)、メチルエチルケトンの含有量を860質量部に変更した以外は、実施例46と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック素子について、実施例46と同様にして、前記試験3及び前記試験4を行った。結果を表7に示した。
(実施例50)
実施例46において、前記エレクトロクロミック組成物におけるMEK−ST溶液の含有量を50質量部(固形分濃度1.5質量部)、メチルエチルケトンの含有量を850質量部に変更した以外は、実施例46と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック素子について、実施例46と同様にして、前記試験3及び前記試験4を行った。結果を表7に示した。
(実施例51)
実施例46において、前記エレクトロクロミック組成物にMEK−ST溶液を配合せず、メチルエチルケトンの含有量を900質量部に変更した以外は、実施例46と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック素子について、実施例46と同様にして、前記試験3及び前記試験4を行った。結果を表7に示した。
表7の結果から、フィラーの添加によって均一なトリアリールアミンを含むエレクトロクロミック層の形成が可能となることがわかった。特に、MEK−ST溶液の含有量が20質量部及び30質量部(固形分濃度0.6質量部及び0.9質量部)の場合が前記試験3及び前記試験4ともに良好な結果を示した。
(実施例52)
以下に示したATO分散液(固形分濃度4.5質量%)を調製した。
・ATO:酸化スズにアンチモンドーピングした金属粒子
T−1(三菱マテリアル電子化成株式会社製):45質量部
・バインダ樹脂(HW140SF、DIC株式会社製):49質量部
・テトラフルオロプロパノール:906質量部
次に、実施例46において、MEK−ST溶液20質量部を前記ATO分散液180質量部(固形分濃度0.8質量部)に変更した以外は、実施例46と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック素子について、実施例46と同様にして、前記試験3及び前記試験4を行った。結果を表8に示した。
(実施例53)
実施例46において、MEK−ST溶液20質量部を、ATO分散液60質量部(固形分濃度0.3質量部)に変更した以外は、実施例46と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック素子について、実施例46と同様にして、前記試験3及び前記試験4を行った。結果を表8に示した。
(実施例54)
実施例46において、MEK−ST溶液20質量部を、アルミナ分散液(トーヨーカラー社製、固形分濃度75質量%)10質量部に変更した以外は、実施例46と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック素子について、実施例46と同様にして、前記試験3及び前記試験4を行った。結果を表8に示した。
(実施例55)
実施例46において、MEK−ST溶液20質量部を、アルミナ分散液(トーヨーカラー社製、固形分濃度75質量%)4質量部に変更した以外は、実施例46と同様にして、エレクトロクロミック素子を作製した。
作製したエレクトロクロミック素子について、実施例46と同様にして、前記試験3及び前記試験4を行った。結果を表8に示した。
表8の結果から、フィラーの種類をATO及びびアルミナに変更してもMEK−ST(シリカ)と同様の効果が得られることがわかった。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第1の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子である。
<2> 前記第1の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物を有する前記<1>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<3> 前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物及び前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物のいずれか一方が、ラジカル重合性官能基を2つ以上有している前記<2>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<4> 前記他のラジカル重合性化合物のラジカル重合性官能基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかである前記<2>から<3>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<5> 前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物のラジカル重合性官能基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<6> 前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物が、下記一般式1で示される前記<1>から<5>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<一般式1>
−B
ただし、n=2のときにはmは0であり、n=1のときmは0又は1である。A及びBの少なくとも1つはラジカル重合性官能基を有する。前記Aは下記一般式2で示される構造であり、RからR15のいずれかの位置で前記Bと結合している。前記Bは下記一般式3で示される構造であり、R16からR21のいずれかの位置で前記Aと結合している。
<一般式2>
<一般式3>
ただし、前記一般式2及び3中、RからR21は、いずれも一価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、前記一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。
<7> 前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(1−1)から(1−3)で表される化合物のいずれかである前記<1>から<6>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
[一般式1−1]
[一般式1−2]
[一般式1−3]
ただし、前記一般式(1−1)から(1−3)中、R27からR88は、いずれも一価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、前記一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。
<8> 前記エレクトロクロミック組成物が、フィラーを更に含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<9> 前記フィラーが、シリカ、酸化スズ、アンチモンをドープした酸化スズ、アルミナ、及び酸化ジルコニウム、及び酸化インジウムから選択される少なくとも1種である前記<8>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<10> 前記フィラーが、シリカ、アルミナ、及びアンチモンをドープした酸化スズ(ATO)から選択される少なくとも1種である前記<9>に記載のエレクトロクロミック素子である。
<11> 前記フィラーの含有量が、ラジカル重合性化合物の全量100質量部に対して、固形分濃度で、0.3質量部以上1.5質量部以下である前記<8>から<10>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<12> 前記エレクトロクロミック組成物の架橋が、加熱手段及び光エネルギー照射手段のいずれかで行われる前記<2>から<11>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子である。
<13> 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、
前記第1の電極上に、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物と、フィラーとを含むエレクトロクロミック組成物を塗布する工程を含むことを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方法である。
<14> 塗布したエレクトロクロミック組成物に対し加熱又は光エネルギーを付与して架橋する工程を含む前記<13>に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法である。
前記<1>から<12>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子、及び前記<13>から<14>のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子の製造方法は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、前記エレクトロクロミック素子、及び前記エレクトロクロミック素子の製造方法は、安定動作が可能であり、かつ光耐久性に優れるエレクトロクロミック素子などを提供することを目的とする。
1 表示電極
2 対向電極
3 電解質
4 エレクトロクロミック化合物
Chem. Mater. 2006, 18, 5823−58259. Org. Electron. 2014, 15, 428−434.

Claims (12)

  1. 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック素子であって、
    前記第1の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を重合した重合物を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  2. 前記第1の電極が、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、該トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物を含むエレクトロクロミック組成物を架橋した架橋物を有する請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  3. 前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物及び前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物のいずれか一方が、ラジカル重合性官能基を2つ以上有している請求項2に記載のエレクトロクロミック素子。
  4. 前記他のラジカル重合性化合物のラジカル重合性官能基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかである請求項2から3のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  5. 前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物のラジカル重合性官能基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかである請求項1から4のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  6. 前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物が、下記一般式1で示される請求項1から5のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
    <一般式1>
    −B
    ただし、n=2のときにはmは0であり、n=1のときmは0又は1である。A及びBの少なくとも1つはラジカル重合性官能基を有する。前記Aは下記一般式2で示される構造であり、RからR15のいずれかの位置で前記Bと結合している。前記Bは下記一般式3で示される構造であり、R16からR21のいずれかの位置で前記Aと結合している。
    <一般式2>
    <一般式3>
    ただし、前記一般式2及び3中、RからR21は、いずれも一価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、前記一価の有機基のうち少なくとも1つはラジカル重合性官能基である。
  7. 前記エレクトロクロミック組成物が、フィラーを更に含有する請求項1から6のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  8. 前記フィラーが、シリカ、酸化スズ、アンチモンをドープした酸化スズ、アルミナ、及び酸化ジルコニウム、及び酸化インジウムから選択される少なくとも1種である請求項7に記載のエレクトロクロミック素子。
  9. 前記フィラーの含有量が、ラジカル重合性化合物の全量100質量部に対して、固形分濃度で、0.3質量部以上1.5質量部以下である請求項7から8のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  10. 前記エレクトロクロミック組成物の架橋が、加熱手段及び光エネルギー照射手段のいずれかで行われる請求項2から9のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  11. 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電解質とを有するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、
    前記第1の電極上に、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物と、前記トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物と、フィラーとを含むエレクトロクロミック組成物を塗布する工程を含むことを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方法。
  12. 塗布したエレクトロクロミック組成物に対し加熱又は光エネルギーを付与して架橋する工程を含む請求項11に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
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