JP2016037756A - 外装構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ビス穴からの雨水の浸入や毛細管現象による雨水の浸入を生ずることなく、施工性にも優れていることは勿論、負圧作用時の強度や水密性にも十分に配慮した外装構造を提供する。
【解決手段】本発明は、下地4上に、平板部11,21の左右側縁を同方向へ折り曲げ、更にその先端を内側に折り返して側縁成形部12,12、22,22を設けて山側外装板1、谷側外装板2とし、これらを交互に配置させることにより山部と谷部とが連続して形成される外装構造であって、山側外装板1の平板部11の裏面に弾性を有する裏貼り材1bを添設させると共に下向き側縁成形部12の上向き折返し部分124を、谷側外装板2の上向き側縁成形部22の下向き折返し部分224に係合させたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ビス穴からの雨水の浸入や毛細管現象による雨水の浸入を生ずることなく、施工性にも優れていることは勿論、負圧作用時の強度や水密性にも十分に配慮した外装構造に関する。
従来の「大和葺き」と称される屋根は、山と谷が交互に連続する葺き方であり、その固定方法としては、第1の方法として、後述する図5(a)及び図6(a)に示す側方から固定ビスを打ち込む方法と、第2の方法として、図5(b)及び図6(b)に示すハゼ締めにて固定する方法の2種類が一般的に採用されている。
しかしながら、前記第1の方法の問題点としては、固定ビスのビス穴からの雨水の浸入の問題や、強風及び経年劣化によるビスの抜けがある。
また、前記第2の方法の問題点としては、ハゼ締めによる毛細管現象にて雨水が浸入する問題や、ハゼ締めすることにより施工に手間がかかる等が挙げられる。
さらに、前記第1の方法や前記第2の方法については、後述する図5及び図6の説明において詳述するが、やはり負圧作用時の強度や水密性については、全く配慮されていないものであった。
そこで、本発明は、「大和葺き」の屋根構造において、ビス穴からの雨水の浸入や毛細管現象による雨水の浸入を生ずることなく、施工性にも優れていることは勿論、負圧作用時の強度や水密性にも十分に配慮した外装構造を提供することを目的とする。
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、下地上に、平板部の左右側縁を同方向へ折り曲げ、更にその先端を内側に折り返して側縁成形部を設けて山側外装板、谷側外装板とし、交互に配置させることにより山部と谷部とが連続して形成される外装構造(即ち前記山側外装板の下向きの側縁成形部は、平板部の左右側縁を下向きに折り下げ、更にその下端を内側に折り返した上向き折返し部分を有し、前記谷側外装板の上向きの側縁成形部は、平板部の左右側縁を上向きに折り上げ、更にその上端を内側に折り返した下向き折返し部分を有する構成)であって、山側外装板の平板部の裏面に弾性を有する裏貼り材を添設させると共に下向き側縁成形部の上向き折返し部分を、谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分に係合させたことを特徴とする外装構造に関するものである。
なお、以下の説明において、山側外装板の下向き側縁成形部の上向き折返し部分を「上ハゼ」、谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分を「下ハゼ」という。なお、後述する図示実施例では、下向き側縁成形部自体を「上ハゼ」、上向き成形部自体を「下ハゼ」と説明している。
また、本発明は、前記外装構造において、その下端に下地への固定部を有する起立部と、該起立部の上端を外側へ折返した折返し部と、を有する保持部材を下地上に固定し、谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分が前記保持部材の折返し部の内側に係合していることを特徴とする外装構造をも提案する。
さらに、本発明は、前記外装構造において、山側外装板の裏面に断熱材を配設していることを特徴とする外装構造をも提案する。
本発明の外装構造は、上ハゼ、下ハゼの係合を採用しているため、ビス穴からの雨水の浸入やハゼ締めによる毛細管現象による雨水の浸入を生ずることない。また、裏貼り材の弾性を利用して係合させる構成であるため、外装板同士が強固に且つ安定に取り付けられるものとなり、施工性にも優れている。
また、谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分を、山側外装板の下向き側縁成形部の上向き折返し部分に、面接触させて係合させた場合には、負圧がかかった際にも、山側外装板の上ハゼの先端が面接触を維持したまま(毛細管現象を防止した状態で)深く上方へ移動して谷側外装板の下ハゼと接近して接触するため、吹き込みが生ずる隙間がなくなり、吹き込みを防止でき、高い水密性を確保することができる。
また、係合部分の下方に上方が開放する空間が形成されている場合には、この空間が毛細管現象を防止する上、該空間が排水路として機能し、万が一浸入した雨水もこの排水路にて流下させることができる。
また、下向き折返し部分として更に内側に折り返した谷側当接面を、上向き折返し部分として更に内側に折り返した山側当接面に面接触させている場合には、前記係合部分の下方に毛細管現象を防止するために十分な空間を形成し易く、また負圧作用時における上ハゼの上方への移動が確実に且つ容易になる。
また、その下端に下地への固定部を有する起立部と、該起立部の上端を外側へ折返した折返し部と、を有する保持部材を下地上に固定し、谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分が前記保持部材の折返し部の内側に係合している場合には、前記下向き折返し部分が安定に位置規制され、この下向き折返し部分に対し、上側外装板の上向き折返し部分を安定に面接触させて強固に係合させることができる。
さらに、山側外装板の裏面に断熱材を配設している場合には、断熱機能が付与されることは説明するまでもないが、特に山側外装板を断熱材の表面上に載置した状態で安定に保持部材への配設を行うことができる。
(a)本発明の外装構造の第1実施例を示す断面図(左半が取付中)、(b)取付後の状態を示す断面図である。 (a)第1実施例の外装構造を示す断面図、(b)それに用いた外装板の側縁成形部、保持部材を示す拡大断面図、(c)山側外装板及び谷側外装板を示す断面図である。 (a)第1実施例の外装構造の側断面図、(b)第1実施例の外装構造が下地に隣接して取り付けられている状態を示す断面図である。 (a)第1実施例の外装構造の雨水の浸入を防止する毛細管現象を防止する空間が形成される状態を示す拡大断面図、(b)水の吹き込みを防止する効果を示す拡大断面図、(c)負圧作用時の防水性能を示す拡大断面図である。 (a)従来のビス止め仕様の外装構造の水密性を示す断面図、(b)従来のハゼ締め仕様の外装構造の水密性を示す断面図、(c)その係合部分を拡大した断面図である。 (a)従来のビス止め仕様の外装構造の負圧作用時の取付強度を示す断面図、(b)従来のビス止め仕様の外装構造の負圧作用時の取付強度を示す断面図である。
本発明の外装構造は、下地上に、平板部の左右側縁を同方向へ折り曲げ、更にその先端を内側に折り返して側縁成形部を設けて山側外装板、谷側外装板とし、交互に配置させることにより山部と谷部とが連続して形成される外装構造において、即ち前記山側外装板の下向きの側縁成形部は、平板部の左右側縁を下向きに折り下げ、更にその下端を内側に折り返した上向き折返し部分を有し、前記谷側外装板の上向きの側縁成形部は、平板部の左右側縁を上向きに折り上げ、更にその上端を内側に折り返した下向き折返し部分を有する構成であり、山側外装板の平板部の裏面に弾性を有する裏貼り材を添設させると共に下向き側縁成形部の上向き折返し部分を、谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分に係合させた構成である。
山側外装板の平板部の裏面に添設する弾性を有する裏貼り材は、山側外装板の配設に際し、上方からの押圧によって厚みが薄肉化するが、押圧の解除により、厚みが復元して上方へ弾性回復する応力が作用する。
その際、まず上方からの押圧時には、山側外装板の左右側縁の下向き側縁成形部が弾性に抗して拡開状に外側へ広がる。
その後、その上向き折返し部分の先端が谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分の先端を越えた段階で、左右側縁の下向き側縁成形部が内側向きに閉じるように弾性回復するため、谷側外装板の上向き側縁部に対して外側から弾性的に嵌合する。
このような挙動は、仮に裏貼り材が存在しなくても、外装板を構成する金属面材の弾性により、ほぼ同様に行うことができる。しかし、本発明の外装構造のように、弾性を有する裏貼り材を山側外装板の裏面に介在させることにより、係合後にも、山側外装板を全体的に上方へ持ち上げる作用を果たすため、より安定な係合が行われる。また、このように裏貼り材の弾性を利用するので、裏貼り材自体は山側外装板の裏面に位置するため、表面側に露出することがないため、意匠性を低下させることもないし、裏貼り材の厚みや反発力が多少強くても、施工や外観に支障を生ずることもない。
このように山側外装板の裏面に貼り付ける裏貼り材は、弾性を有するものであれば、特にその材質や機能等を限定するものではないが、気密性等の各種の機能を有する裏貼り材を貼り付けることにより、以下の効果を奏することができる。
即ち裏貼り材として、弾性及び気密性を有する材料を用いることにより、仮に予期せぬ原因で係合部分からの雨水等の侵入が起こったとしても、前述のように上方が開放する空間を排水路として雨水を排水することができるが、この排水路の上では、山側外装板の裏貼り材が谷側外装板に接していて隙間がなく、内部に風が吹き抜ける経路を塞ぐことになる。このように、風の吹き抜ける経路を塞ぐことにより、風が谷側外装板のハゼを超えることがなく、吹き込みが防止される。
なお、このような裏貼り材としては、例えば弾性のみを有するものであれば、多種のフォーム材(発泡樹脂シート)が市販されているので、適宜に用いればよく、弾性及び気密性を有する裏貼り材としては、例えば硬質ウレタンフォーム等を用いることができる。
本発明に用いる外装板は、従来の「大和葺き」と称される屋根葺きに用いられるものであって、前述のように平板部の左右側縁を同方向へ折り曲げ、更にその先端を内側に折り返して側縁成形部を設けた構成であって、原則的には表裏逆に且つ交互に配置することにより同一形状の外装板を、山側外装板及び谷側外装板として用いてもよく、山側と谷側とを連続して形成するが、必ずしも両者を完全に一致させる必要はない。即ち山側外装板と谷側外装板とは、細部の構成まで同一のものを用いても、細部の構成が相違する構成のものを用いてもよい。また、その裏面には、各種裏貼り材を一体的に貼り付けたものでもよいし、特に山側外装板としては、その裏面に、弾性や気密性等の各種の機能を有する裏貼り材を貼り付けたものでもよい。
これらの外装板としては、弾性的に係合させることができる金属面材を原材料として好ましいが、硬質樹脂板でもよい。また化粧性(意匠性)を有する(化粧材を兼ねる)金属面材を用いてもよく、例えば面板部が平坦状、或いは凹凸状などの成型を施したものでもよい。
この外装板は、平板部の左右に側縁成形部を設けた構成であり、側縁成形部は、平板部の左右側縁を折り上げるか、折り下げ、更にその先端を内側に折り返した構成である。
即ち山側外装板では、左右側縁を折り下げ(=下向き側縁成形部)、更にその下端を内側に折り返して上ハゼ(=上向き折返し部分)とした構成となる。
また、谷側外装板では、左右側縁を折り上げ(=上向き側縁成形部)、更にその上端を内側に折り返して下ハゼ(=下向き折返し部分)とした構成となる。
なお、前述のように山側外装板の配設に際し、左右側縁の下向き側縁成形部が弾性に抗して拡開状に外側へ広がり、その後、内側向きに閉じるように弾性回復するためには、略水平状に配設される平板部に対して少なくとも直交状に下向き側縁成形部を折り下げておけばよいが、より確実な係合を目的として鉛直状から僅かに内側に向くように成形してもよい。
これらの山側外装板と谷側外装板とは、相互に係合させるが、面接触させて係合させることが好ましい。
ここで面接触させる構成とは、配設状態において、前記下ハゼ(の下向き折返し部分)と前記上ハゼ(の上向き折返し部分)とがほぼ等しい傾斜角度に配されるばかりでなく、弾性の作用により、相互に圧接状に取り付けられている状態を指す。そのため、予め下ハゼ(の下向き折返し部分)は斜め下方へ向かって弾性(反発)が作用するように成形し、また予め上ハゼ(の上向き折返し部分)は斜め上方へ向かって弾性(反発)が作用するように成形することにより、両者を面接触状に圧接させることができる。また、弾性は、面接触となる構成であれば、上ハゼと下ハゼとの少なくとも一方にあればよい。
また、その係合部分の下方に、上方が開放する空間が形成されていることが望ましい。
即ちこの空間とは、山側外装板の上ハゼに形成される隅部空間であり、その形状や大きさについては特に限定するものではなく、毛細管現象を防止するものであれば、どのようなものでもよい。
さらに、前記山側外装板の上ハゼには、上向き折返し部分として更に内側に折り返した山側当接面を設けてもよく、前記谷側外装板の下ハゼには、下向き折返し部分として更に内側に折り返した谷側当接面を設けてもよい。
即ち、上ハゼは、上向き折返し片のみで形成される構成でも、後述する図示実施例のように、上向き折返し片と山側当接面とからなる構成でもよく、下ハゼは、下向き折返し片のみで形成される構成でも、後述する図示実施例のように、下向き折返し片との先端を更に折り返した谷側当接面とからなる構成でもよい。このように山側当接面、谷側当接面は何れか一方のみを設けてもよいし、両方を設けてもよい。そのため、面接触は、上向き折返し片と下向き折返し片とが面接触する態様、上向き折返し片と谷側当接面とが面接触する態様、山側当接面と下向き折返し片とが面接触する態様、山側当接面と谷側当接面とが面接触する態様とが想定される。
この場合(=上ハゼ又は下ハゼの何れか又は両方に当接面を設ける場合)、前述の面接触させるための構成を適宜に且つ容易に実施できる。
即ち例えば上ハゼが上向き折返し片のみで形成される場合には、上向き折返し片が面接触させる部分となるため、折り下げ片にも影響が生じてしまう。しかし、上ハゼが上向き折返し片と山側当接面とで形成される場合、山側当接面が面接触させる部分であるため、折り下げ片には殆ど影響なく、上向き折返し片に対して山側当接面が拡開する方向へ弾性反発するように成形すればよいため、成形が容易である。
また、この場合、前記係合部分の下方に、前述の上方が開放する空間を形成し易い。
即ち谷側当接面と山側当接面とが弾性的に面接触することになるため、係合部分自体の大きさが大きくなるため、毛細管現象が防止される大きさの空間を形成し易い。しかも、この場合の面接触は、相互にクッション性を有する面接触となるため、負圧作用時における上ハゼの上方への移動が確実に且つ容易になる。
また、その下端に下地への固定部を有する起立部と、該起立部の上端を外側へ折返した折返し部と、を有する保持部材を下地上に固定した場合には、前記谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分が前記保持部材の折返し部の内側に係合するように配設することにより、下向き折返し部分は安定に位置規制されるものとなり、この下向き折返し部分に対し、上側外装板の上向き折返し部分を安定に面接触させて係合できる。
このように保持部材を用いる場合には、保持部材に対する上ハゼ、下ハゼの係合を採用して取り付けているため、ビス穴からの雨水の浸入や毛細管現象による雨水の浸入を生ずることなく、施工性にも優れており、さらに負圧作用時の強度や水密性にも十分に配慮した外装構造である。
前記保持部材については、山側外装板の裏面側に配設されるものであって、その下端に下地への固定部を有する起立部と、該起立部の上端を外側へ折返した折返し部と、を有する構成である。この保持部材は、通し吊子と称される長尺材でもよいし、後述する図示実施例のようにピース材でもよい。
また、この保持部材への外装板の取付けについては、谷側外装板の下ハゼを、保持部材の折返し部の内側へ収容されるように直接的に係合させると共に、山側外装板の上ハゼの上端が、谷側外装板の下ハゼの下端に当接するように弾性的に係合すればよい。要するに谷側外装板は保持部材に対して直接的に係合させるものであり、山側外装板は、保持部材に対して間接的に、即ち谷側外装板を介して係合させるものである。
また、前記山側外装板の裏面には、断熱材を配設してもよく、別体を接着剤等にて一体的に固着してもよいし、バックアップ材として一体的に取り付けられるものでもよい。この場合、断熱機能が付与されることは説明するまでもないが、特に山側外装板を断熱材の表面上に載置した状態で安定に保持部材への配設を行うことができる。
このような断熱材は、パネルとしての強度を向上する効果をも奏する。
また、この断熱材としては、例えば合成樹脂製ボートに限らず木製ボードでもよく、また単層でも複層でもよく、異なる材質の複層構成でもよい。そのため、難燃性、不燃性等の機能性ボード材を用いてもよく、また厚み等についても何等制限がなく、どのような断熱材を用いてもよい。
本発明の効果について詳しく説明すると、上ハゼ、下ハゼの係合を採用しているため、従来のビス止め方式のようにビス自体を用いておらず、ビス穴自体が存在しないため、このビス穴からの雨水の浸入が生じない。また、従来のハゼ締め式のように毛細管現象による雨水の浸入を生ずることなく、施工に手間がかかる等の問題も生じない。
また、裏貼り材の弾性を利用して係合させる構成であるため、外装板同士が強固に且つ安定に取り付けられるものとなり、施工性にも優れている。
また、折返し部分を面接触させて係合した場合には、負圧がかかった際にも、山側外装板の上ハゼの先端が面接触を維持したまま(毛細管現象を防止した状態で)深く上方へ移動して谷側外装板の下ハゼと接近して接触するため、吹き込みが生ずる隙間がなくなり、吹き込みを防止でき、高い水密性を確保することができる。
さらに、この係合部分の下方に上方が開放する空間を形成した場合には、従来のハゼ締め方式のように毛細管現象にて雨水が浸入しない。即ち係合部分の下方に設けた上方が開放する空間が、毛細管現象を防止する上、該空間が排水路として機能し、万が一浸入した雨水もこの排水路にて流下させることができる。
また、負圧がかかった際にも、山側外装板の上ハゼの先端が下ハゼとの面接触を維持したまま(毛細管現象を防止した状態で)、深く上方へ移動して谷側外装板の下ハゼと接近して接触するため、吹き込みが生ずる隙間がなくなり、吹き込みを防止でき、高い水密性を確保することができる。
また、特に保持部材を山側外装板と谷側外装板との間に固定している構造では、下ハゼの下向き折返し部分が安定に位置規制することができ、この下向き折返し部分に対し、上側外装板の上ハゼを安定に面接触させて強固に係合させることができる。
図1に示す第1実施例の外装構造は、下地4上に、平板部11,21の左右側縁を同方向へ折り曲げ、更にその先端を内側に折り返して側縁成形部12,12、22,22を設けて山側外装板1、谷側外装板2とし、これらを交互に配置させることにより山部と谷部とが連続して形成される外装構造である。即ち前記山側外装板1の下向きの側縁成形部12は、平板部11の左右側縁を下向きに折り下げ、更にその下端を内側に折り返した上向き折返し部分124を有し、前記谷側外装板2の上向きの側縁成形部22は、平板部21の左右側縁を上向きに折り上げ、更にその上端を内側に折り返した下向き折返し部分224を有する構成である。そして、山側外装板1の平板部11の裏面に弾性を有する裏貼り材1bを添設させると共に下向き側縁成形部12の上向き折返し部分124を、谷側外装板2の上向き側縁成形部22の下向き折返し部分224に係合させた構成である。
この第1実施例における山側外装板1は、略平坦状の平板部11の左右側縁を折り下げ、更にその下端を内側に折り返して上ハゼ12とした構成であり、前記平板部11の裏面には、弾性を有する裏貼り材1bが添設されている。
より詳しくは、図2(b)に示すように上ハゼ12は、配設時に略垂直状に配される折り下げ片121と上向き折返し片122とその先端の内側に折り返した下向き片である山側当接面123とからなる。即ちこの第1実施例における上向き折返し部分124は、上向き折返し片122と山側当接面123とからなる。また、前記裏貼り材1bは、平板部11の長さ方向に亘って略同一厚みに形成されている。
また、この第1実施例における谷側外装板2は、略平坦状の平板部21の左右側縁を折り上げ、更にその上端を内側に折り返して下ハゼ22とした構成である。より詳しくは、図2(b)に示すように下ハゼ22は、配設時に略垂直状に配される折り上げ片221と下向き折返し片222とその先端を内側に折り返した上向き片である山側当接面223とからなる。即ちこの第1実施例における下向き折返し部分224は、下向き折返し片222と谷側当接面223とからなる。また、前記平板部21の裏面側には、略同一厚みの裏貼り材2bが添設されている。
そして、これらの山側外装板1及び谷側外装板2は、図2(c)に示すように裏貼り材1b,2bを配する方向が逆方向である以外は全く同一形状に金属素材を成形したものである。また、裏貼り材1b,2bとしては、弾性及び気密性を有する硬質ウレタンフォームを用いることができる。
この第1実施例には、ピース材である保持部材3を前記山側外装板1の裏面側に配設している。
この保持部材3は、図2(c)に示すように下端に下地4への固定部31を有する起立部32と、該起立部32の上端を外側へ折返した折返し部33と、を有する構成である。
前記固定部31は、略水平状に延在し、凹部311に上方から固定具(二点鎖線にて示す)を打ち込んで下地4に固定する。
また、前記折返し部33は、外側を向くように配設され、殆ど全ての図面では左側に向くように形成され、図3(b)にて右方に配されている保持部材3では、折返し部33は右側に向くように配設されている。
そして、これらの部材から構成される本発明の外装構造では、前記保持部材3への前記外装板1,2の取付けについては、図2(b)に示すように谷側外装板2の下ハゼ22を、保持部材3の折返し部33の内側へ収容されるように係合させると共に、山側外装板1の上ハゼ12を、下ハゼ22に面接触させて係合する。即ち前述のように谷側外装板2は保持部材3に対して直接的に係合させ、山側外装板1は保持部材3に対して谷側外装板2を介して間接的に係合させるものである。
なお、この第1実施例では、前述のように上ハゼ12は、折り下げ片121と上向きの折返し片122とその先端の内側に折り返した山側当接面123とからなり、下ハゼ22は、折り上げ片221と下向きの折返し片222とその先端を内側に折り返した山側当接面223とからなる構成であるため、上ハゼ12と下ハゼ22との面接触は、具体的には山状当接面123と谷状当接面223との面接触である。
前記下地4は、図1では略一定厚みの野地材4cの表面に、防水シート材4bを敷設した構成であるが、図3(b)に示すように野地材4cは駆体(C形鋼)4d上に固定した構成であり、図2(a)では破線にて示している。
また、前記山側外装板1の裏面、即ち左右に隣接する前記谷側外装板2,2間には、断面略矩形状の断熱材5を配した構成とした。
このような各部材から構成される本発明の外装構造の施工手順を、以下に簡単に説明する。
まず、下地4上に、所定間隔にて前記構成の保持部材3を固定する。
この工程の際には、予め谷側外装板2の寸法に応じて保持部材3を取り付けるが、配設する谷側外装板2に折返し部33が向くように保持部材3を配設し、その固定部31には固定具3bを上方から打ち込んで下地4(躯体4d)に固定する。
次に、前述のように下地4上に固定した保持部材3の折返し部33に、前記構成の谷側外装板2の下ハゼ22(の下向き折返し片222)を係合させて取り付ける。なお、この工程で、保持部材3,3の配設間隔に断熱材5を取り付けておくようにしてもよい。
この工程にて、谷側外装板2の配設は、隣接する保持部材3,3間に谷側外装板2を落とし込むように配設すればよい。
続いて山側外装板1を取り付けた谷側外装板2の上方に臨ませ、下方へ向かって押し下げるように係合させて取り付ける。この山側外装板1の配設に際し、断熱材5を抱き込むように同時に配設してもよいし、前述のように予め断熱材5のみを取り付けておくようにしてもよい。
この工程では、図1(a)左半に斜線ハッチングにて示すように山側外装板1を下方へ押圧するに伴って、山側外装板1が押し下げられ、裏貼り材1bが弾性に抗して薄肉化し、上ハゼ12,12(の上向き折返し片122,122)が、下ハゼ21,21(の下向き折返し片222,222)に当接しながら弾性に抗して外側へ拡開する。
ここで弾性に抗して行われる裏貼り材1bの薄肉化と、上ハゼ12,12の拡開とは、上向き折返し片122の上端が下ハゼ21,21の下向き折返し片222の下端を過ぎるまで行われ、図中に示した隙間Xを形成するまで行われる。
その後、弾性に抗して外側へ拡開していた上ハゼ12(の上向き折返し片122)が斜線ハッチングで示すように内側へ弾性回復するため、最終的に上ハゼ12の山状当接面123が下ハゼ22の谷状当接面223に面接触して係合する。
このように施工される本発明の外装構造では、上ハゼ12,12及び下ハゼ22,22の係合を採用し、しかも裏貼り材1bの弾性を利用して係合させる構成であるため、施工性にも優れている。特に、ハゼ12,22同士を裏貼り材1bの弾性を利用して係合したので、外装板1,2同士が強固に且つ安定に取り付けられるものとなる。
このように山側外装板1を上方から下方へ押圧するだけの簡易な操作にて、弾性的に係合(嵌合)させて取り付けることができるため、施工性が極めて優れている。
続いて図4に基づいて、本発明の外装構造の施工性以外の効果を説明するが、前述の従来のビス止め方式の外装構造を示す図5(a),図6(a)、並びに従来のハゼ締め式の外装構造を示す図5(b),図6(b)と比較しながら説明する。
まず、図4(a)には前記第1実施例にて採用した「面接触」箇所にハッチングを施すと共に、図4(a),(c)には上方が開放する空間13にクロスハッチングを施した。また、図4(b)には、その防水効果を示すため、想定される雨水の浸入経路を示した。
この図4(b)に示すように、係合部分(123,223)の下方に上方が開放する空間13を形成したので、該空間13が毛細管現象を防止する上、該空間13が排水路として機能し、万が一、浸入した雨水もこの排水路(13)にて流下させることができる。
また、「面接触」とは、前述のように上ハゼ12に形成した山側当接面123と下ハゼ22に形成した谷側当接面223とが面接触して係合するものであり、従来のハゼ締め式のような密接状の係合が決して行われない構成である。
さらに、山側外装板1の裏面に取り付けた気密性を有する裏貼り材1bにより、風雨が吹き込む経路を塞いでいる。そのため、図中に点線で示す矢印のように、水が内部に浸入するためには、裏貼り材1bや下ハゼ22を越えて吹き上げられなければならないため、防水性が高いものである。
これに対し、従来のビス止め方式や従来のハゼ締め式では、そのような毛細管現象を防止する空間13が形成されず、同様の効果も奏しないことは図5(a),(b)から明らかである。
即ち図5(a)には、従来のビス止め仕様を示したが、太線にて示すように山側外装板6の表面を伝う雨水Wが、この山側外装板6の側縁成形部62と谷側外装板6'の側縁成形部62'との重合部分に側方から打ち込んだ固定ビス7のビス穴から浸入してしまう。
また、図5(b)には、従来のハゼ締め仕様を示したが、やはり太線にて示すように山側外装板8の表面を伝う雨水Wが、谷側外装板8'と吊子9とのハゼ締め部分から毛細管現象により内部に浸入してしまう。即ちこの仕様における係合は、図5(c)に拡大して示すように上ハゼ82に設けた上向き折返し片821と下ハゼ83に設けた下向き折返し片831とが密接状に係合して吊子9の係合部92に係合させているため、毛細管現象が生じ,内部への雨水の浸入を生じてしまう。
なお、これらの従来の仕様において、仮に止水性に優れたシール材を使用してビス穴やハゼ締め部の水密性を向上したとしても、シール材の経年劣化にて雨水の浸入が生じてしまう。
次に、図4(c)に基づいて、本発明の外装構造の負圧作用時の防水性能について説明する。
図4(c)に示すように吹き上げ風等に起因する負圧が作用すると、図中に白抜き矢印にて示すように通常は水平状の平板部11,21を上方へ引っ張り上げるような力(負圧)が作用し、上方に凸状に変形させる現象が生じる。その際、谷側外装板2の下ハゼ22は負圧作用以前から保持部材3に当接しているため、山側外装板1の上ハゼ12に上方へ引っ張られる力(負圧)が作用し、ハッチング矢印にて示すようにその山側当接面123が下ハゼ22の谷側当接面223に当接しつつ上方へ滑るように引っ張り上げられ、山側当接面123と上向き折返し片122の上端が、谷側外装板2の折り上げ片221に当接する。また、上ハゼ12の下方からの押圧により引き上げられる下ハゼ22は、その上方に位置する裏貼り材1bを圧縮状に押圧する。
このように負圧作用時には、負圧が作用していない状態よりも上ハゼ12と下ハゼ22とがむしろ深く係合して外れ難くなる。
なお、山側外装板1と谷側外装板2とは同一形状に成形したので、前記上ハゼ12の上方へ引っ張り上げられる挙動に伴い、山側外装板1の上ハゼ12の折り下げ片121が、下ハゼ22の谷側当接面223と下向き折返し片222の下端に当接する。
このようにハゼ12,22が縦壁(折り上げ片221,折り下げ片121)に接することで2つの独立した空間13,23が発生し、毛細管現象による水の侵入が防止される。
また、係合部分123,223の下方の空間13は上方が塞がれ、一方、係合部分123,223の上方に位置する空間23は負圧作用以前には下方が開放しているが、負圧が作用すると前述のように下方が塞がれ、隙間がなくなり、風雨の吹き込みが防止される。しかも、前述のように裏貼り材1bは、下ハゼ22の下向き折返し片222から圧縮状に押圧されているので、水が内部に浸入する隙間がないため、極めて防水性が高い。
これに対し、図6(a)には、従来のビス止め仕様における負圧作用時を示しているが、ビス7自体の抜けは生じなくても、ビス7の直近の側縁成形部62,62'に変形が生じており、この状態では、所定の特性は得られない。
また、図6(b)には、従来のハゼ締め仕様における負圧作用時を示しているが、ハゼ締めの一部が負圧による引っ張り作用で解除されており、しかも前述のように上ハゼ82に設けた上向き折返し片821と下ハゼ83に設けた下向き折返し片831とが密接状に係合して吊子9の係合部92に係合しているため、毛細管現象が生じてしまうし、この状態では、到底所定の特性は得られない。
なお、前記図2(b),(c)には、前記第1実施例に用いた外装板1,2や保持部材3を示しているが、成形時の状態(=組み付け前)ではなく、組み付け状態における各部材を示すものである。
また、前記図4(c)にて説明したように、負圧が作用した際には、山側当接面123と上向き折返し片122の上端が、谷側外装板2の折り上げ片221に当接し、山側外装板1の折り下げ片121が、下ハゼ22の谷側当接面223と下向き折返し片222との下端に当接するが、通常の敷設状態では、折り上げ片221と上向き折返し部分124、折下片121と下向き折返し部分224は、接触していない。即ち少なくとも折り下げ片221と上向き折返し片124が接触していないことで、通常時の雨水の吸い込みを防止することができる(開放した下向き空間となるため、吹きつけたられた雨水が溜まることなく自然に流下する)。
1 山側外装板
11 平板部
12 下向き側縁成形部(上ハゼ)
121 折り下げ片
122 上向き折返し片
123 山側当接面
124 上向き折返し部分
13 上方が開放する空間
2 谷側外装板
21 平板部
22 上向き側縁成形部(下ハゼ)
221 折り上げ片
222 下向き折返し片
223 谷側当接面
224 下向き折返し部分
23 下方が開放する空間
3 保持部材
31 固定部
32 起立部
33 折返し部
4 下地
5 断熱材
6,6' (ビス止め仕様の)外装板
7 固定ビス
8,8' (ハゼ締め仕様の)外装板
82 上ハゼ
821 上向き折返し片
83 下ハゼ
831 下向き折返し片
9 吊子
92 係合部

Claims (3)

  1. 下地上に、平板部の左右側縁を同方向へ折り曲げ、更にその先端を内側に折り返して側縁成形部を設けて山側外装板、谷側外装板とし、交互に配置させることにより山部と谷部とが連続して形成される外装構造であって、
    前記山側外装板の平板部の裏面に弾性を有する裏貼り材を添設させると共に下向き側縁成形部の上向き折返し部分を、谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分に係合させたことを特徴とする外装構造。
  2. その下端に下地への固定部を有する起立部と、該起立部の上端を外側へ折返した折返し部と、を有する保持部材を下地上に固定し、谷側外装板の上向き側縁成形部の下向き折返し部分が前記保持部材の折返し部の内側に係合していることを特徴とする請求項1に記載の外装構造。
  3. 山側外装板の裏面に断熱材を配設していることを特徴とする請求項1又は2に記載の外装構造。
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