JP2016037624A - 高炉へのガス供給装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高炉シャフト部供給用の還元ガスを省CO2の条件で製造する装置および方法を提供すること。【解決手段】本発明の高炉へのガス供給装置は、1)コークス炉ガス中の水分低減手段を備えたコークス炉(1)と、2)700℃以上に保持され、コークス炉から発生したコークス炉ガスを熱分解する炭化炉(2)と、3)炭化炉(2)から抽気したガス中のタールおよび少なくとも一部の水分を除去するガス精製装置(3)と、4)精製後のガスを昇圧するガス搬送装置(4)と、5)ガスの予熱装置(5)と、6)予熱した前記ガスの部分酸化のため当該ガスに燃焼ガスを混合するための手段(8)を装備している部分酸化改質装置(6)と、7)高炉(7)のシャフト部へのガス供給口と、8)上記1)〜7)をこの順に連結する通気管と、から構成されることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、触媒を用いた流体の化学反応を行うための装置と方法に関する。より詳しく言えば、本発明は、高炉法を用いた製鉄において発生する二酸化炭素(CO2)の削減を可能にする、高炉へのガス供給装置と方法に関する。
地球温暖化対策として、工業生産に伴って発生するCO2量を削減することが広く求められている。この一環として、高炉法を用いた製鉄において発生するCO2量を削減するために、水素ガスを製造してこれを高炉シャフト部に供給することによって鉄鉱石を水素により還元して銑鉄を製造し、還元材および燃料として高炉で併用されるコークス等の炭材の使用量(カーボンインプット:銑鉄1tを生産する際に投入されるカーボン量)を削減する技術が非特許文献1、2に開示されている。ここで、水素ガスを高炉羽口からではなく、シャフト部から供給する理由は、高炉羽口からは既に供給可能な限界量の微粉炭が通常、吹きこまれており、これに追加して水素ガスを羽口から供給した場合、空間体積的にも熱的にも効率的な高炉操業が困難であるので、残存酸素が少なく、かつ、熱的に余裕のある高炉シャフト部から水素を供給することが有利だからとされている。
高炉へのガスの供給に関連したこのほかの先行技術文献として、特許文献1〜5、非特許文献3を挙げることができる。
特許文献1には、タールおよびメタンを含むガスを触媒を用いて水蒸気改質して水素を製造する技術が記載されている。
特許文献2には、予熱されたH2、COを主体としたガスを高炉シャフト部から供給する技術が記載されている。
特許文献3には、天然ガスまたはコークス炉ガスを部分酸化したガスを高炉シャフト部から供給する技術が記載されている。
特許文献4には、コークス炉ガス、水蒸気および酸素を改質炉内に導入して無触媒で部分酸化および水蒸気改質反応させる技術が記載されている。
特許文献5には、コークス炉ガス、燃料ガスおよび酸素をミキシングエンリアに供給し、次いで反応室内に導入して改質反応(部分酸化反応)させることによってメタンに富むガスを製造する技術が記載されている。
非特許文献3には、石炭の水分低減手段として、DAPS(Dry−cleaned and Agglomerated Precompaction System)やSCOPE21(Super Coke Oven for Productivity and Environmental enhancement toward the 21th century)の技術が記載されている。
特開2011−212552号公報 特公昭46−33378号公報 特公昭37−8804号公報 特開2011−11959号公報 特開2001−220584号公報
CAMPS−ISIJ, vol.23(2010), pp.1025 CAMPS−ISIJ, vol.25(2012), pp.886 加藤健次: 日本エネルギー学会誌, vol.87(2008), pp.344−352
水素ガスを高炉シャフト部に供給することによって、高炉単体でのカーボンインプットは減少する。しかし、供給する水素ガスは、工業的に生産される必要があり、水素ガスを製造する際には一般にエネルギを消費する。この消費されるエネルギを化石燃料を用いて得る限り、水素製造に伴って必ずCO2が生成する(単位水素ガス製造量(mol)当たりの生成CO2(mol)を、水素製造時生成CO2量と呼ぶことにする)。
高炉法を用いた製鉄において水素を用いた精錬により発生CO2量を削減するためには、少なくとも、水素製造と高炉操業を通じて発生するCO2の合計量を削減する必要がある。従って、高炉シャフト部への単位水素ガス供給量(mol)当たり削減可能なカーボンインプット量(mol)よりも、水素製造時生成CO2量(mol)は、十分に小さくなければならない。
水素をもともと含有するガス、例えばコークス炉ガス(COG)をそのまま高炉シャフト部に供給すれば、水素製造に伴うCO2発生はない。しかし、COGには、高炉シャフト部での操業を阻害しうるメタンガス等の低沸点炭化水素(メタン・エタン・プロパン・エチレン等、常温常圧で気相で存在しうる炭化水素。以下、簡単のために単に「メタン」と呼ぶことにする)が多量に含有されているので、そのまま高炉シャフト部に供給することはできず、COGからメタンを除去する必要がある。COGからメタンを除去する方法には、膜分離、物理吸着、化学吸収を用いる方法等が考えられるが、いずれもメタン除去に要するエネルギが大きく(CO2が多量に発生)、かつ、これらの方法では水素を新たに製造するわけではないので、水素製造時生成CO2量も加味されることになる(省CO2ではない)。このため、COGのメタンを分解することによって除去するとともに、この際、水素を発生させるメタン改質法が必要である。
天然ガス、重油、COG等の炭化水素を改質して炭化水素の大半を分解する従来技術では、省CO2条件での高炉シャフト部供給用のガス成分(高純度の水素(例えば、70vol%以上)、メタンをほとんど含まない(例えば、メタン濃度が3vol%以下)、CO2をほとんど含まない(例えば、3vol%以下))を満足する供給ガスを省CO2条件(水素製造時生成CO2量を高炉でのカーボンインプット減少量よりも十分に小さくする)では製造できなかった。例えば、特許文献1、5の技術による場合はメタン濃度が過大となり、特許文献2、3、4、5の技術による場合は水素濃度が過小となり、特許文献4、5の場合はさらに副生CO2が過大となってしまう。例えば、特許文献5の場合、後に比較例5で検討するように、特許文献5によるコークス炉ガスの部分酸化での改質では、高炉シャフト部供給用の還元ガスを省CO2の条件で製造することはできない。
本発明は、上記の実情に鑑み、高炉シャフト部供給用の還元ガスを省CO2の条件で製造する装置および方法を提供することを目的とする。
高炉法を用いた製鉄において水素を用いた精錬により発生CO2量を削減するためには、上述のように、高炉シャフト部への単位水素ガス供給量(mol)当たり削減可能なカーボンインプット量(mol)よりも、水素製造時生成CO2量(mol)が十分に小さくなければならない。
従来技術について、カーボンインプット量と水素製造時生成CO2量との関係を調べてみたところ、例えば、非特許文献2では、銑鉄1t製造当たり水素5.22kmolの水素ガスを模擬高炉に供給して、銑鉄1t製造当たり約10kg(即ち、0.83kmol)のカーボンインプットを減少させたと記載されている。従って、供給した5.22kmolの水素ガスを全て生産したとすると、水素ガス1molを製造する際に許容される水素製造時生成CO2量は、高々、0.16mol(=0.83/5.22)に過ぎない。現実には、この値よりも十分小さな水素製造時生成CO2量でなければ、水素を製造する意味がない。即ち、
[水素製造時生成CO2量] << 0.16 molCO2/molH2
でなければならない。
このことを手始めに、本発明者は鋭意研究を進めた結果、上記課題を解決するためには以下のことが有効であるとの結論に至った。
(1)高炉シャフト部に吹き込み可能な水素主体の還元ガスを、水素製造時生成CO2量が0.10molCO2/molH2未満といった、省CO2性の高い条件で製造する。
(2)上記還元ガスの原料として製鉄所で自給可能なCOGを用いることにより、石油や天然ガスといった炭化水素を新たに購入して還元ガスの原料とする場合に比べて、製鉄所の購入するカーボンをより少なくし、省CO2性を高める。
(3)特に、従来、製鉄プロセスで消費されることのなかった、粗COG中のタールを原料のひとつとして水素製造を行うことにより、原料を有効利用し、省CO2性を高める。
(4)タールを含有する粗COGの熱分解反応によって得られた1次改質ガスから高温下での部分酸化により2次改質ガスを製造することにより、高炉シャフト用還元ガスとして好適な成分の還元ガスを省CO2条件下で製造する。
こうして完成した本発明の要旨は次のとおりである。
(1)1)コークス炉ガス中の水分低減手段を備えたコークス炉と、
2)700℃以上に保持され、コークス炉から発生したコークス炉ガスを熱分解する炭化炉と、
3)炭化炉から抽気したガス中のタールおよび少なくとも一部の水分を除去するガス精製装置と、
4)精製後のガスを昇圧するガス搬送装置と、
5)ガスの予熱装置と、
6)予熱した前記ガスの部分酸化のため当該ガスに燃焼ガスを混合するための手段を装備している部分酸化改質装置と、
7)高炉シャフト部へのガス供給口と、
8)上記1)〜7)をこの順に連結する通気管と、
から構成されることを特徴とする、高炉へのガス供給装置。
(2)前記部分酸化改質装置における前記予熱したガスと前記燃焼ガスとの混合のための手段が、
(a)酸素ガスと可燃性ガスの供給を受け、可燃性ガスの燃焼により生じる燃焼ガスを前記部分酸化改質装置へ供給するための燃焼器、
(b)前記部分酸化改質装置内に酸素ガスと可燃性ガスとを個別にまたは一緒にして供給するための供給管、
(c)前記部分酸化改質装置内に酸素ガスを単独に供給するための供給管、
のうちのいずれかであることを特徴とする、上記(1)に記載の高炉へのガス供給装置。
(3)前記炭化炉がタールを改質するため充填された触媒層を含むことを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の高炉へのガス供給装置。
(4)前記炭化炉が、前記触媒層の触媒間に堆積する固体カーボンをオンラインで除去する固体カーボン分離手段を備えることを特徴とする、上記(3)に記載の高炉へのガス供給装置。
(5)前記固体カーボン分離機構が、前記炭化炉の内壁に接する前記触媒層を保持する保持器と、前記保持器を昇降させることにより前記触媒層を昇降させるための駆動機構とから構成されることを特徴とする、上記(4)に記載の高炉へのガス供給装置。
(6)前記可燃性ガスが天然ガスであることを特徴とする、上記(1)から(5)のいずれかに記載の高炉へのガス供給装置。
(7)精製後のガスを昇圧する前記ガス搬送装置と前記予熱装置との間に、前記精製後のガスを一時的に貯留するガスホルダと、ガスホルダからのガスを昇圧する別のガス搬送手段とを含むことを特徴とする、上記(1)から(6)のいずれかに記載の高炉へのガス供給装置。
(8)1)上記(1)から(6)のいずれかに記載の高炉へのガス供給装置を用い、
2)前記コークス炉からのコークス炉ガスを前記炭化炉に通気させる際に、コークス炉ガス中の炭化水素をコークと水素に分解することによって水素濃度を増大させ、
3)前記炭化炉を通過したガス中のタールおよび少なくとも一部の水分を前記ガス精製装置によって除去して第1の改質ガスを製造し、
4)前記第1の改質ガスを前記ガス搬送装置で昇圧し、
5)昇圧した前記第1の改質ガスを前記予熱装置で予熱し、
6)前記部分酸化改質装置に、予熱された前記第1の改質ガスを供給するとともに、燃焼ガスを供給して、前記第1のガス中の炭化水素を改質して水素濃度を増大させた第2の改質ガスを製造し、
7)前記第2の改質ガスを前記高炉シャフト部へのガス供給口から高炉内に供給する、
ことを特徴とする高炉へのガス供給方法。
(9)前記第1の改質ガスを前記ガス搬送装置で少なくとも0.2MPaの圧力に昇圧することを特徴とする、上記(8)に記載の高炉へのガス供給方法。
(10)前記予熱装置において前記第1の改質ガスを300〜800℃に予熱することを特徴とする、上記(8)または(9)に記載の高炉へのガス供給方法。
(11)前記部分改質装置への燃焼ガスを、
(a)酸素ガスと可燃性ガスを燃焼器に供給して生じさせた燃焼ガスとして供給するか、
(b)酸素ガスと可燃性ガスを前記部分改質装置内に供給して当該部分酸化改質装置内で燃焼ガスを生じさせることにより供給するか、
(c)酸素ガスを前記部分酸化改質装置内に供給して前記第1の改質ガスの一部を燃焼させることにより供給する、
ことを特徴とする、上記(8)から(10)のいずれかに記載の高炉へのガス供給方法。
(12)前記ガス搬送装置で昇圧したガスを一時的にガスホルダに貯留し、このガスホルダからのガスを別のガス搬送手段によりさらに昇圧してから前記予熱装置に供給することを特徴とする、上記(8)から(11)のいずれかに記載の高炉へのガス供給方法。
端的に言えば、本発明は、高炉への還元ガスの原料として粗コークス炉ガス(粗COG)を用い、これまでは製鉄プロセスで消費されることのなかった粗COG中のタールを原料のひとつとする熱分解(1次改質)による水素製造を行い、それにより得られた1次改質ガスを高温下でさらに改質(2次改質)するものである。
このように2段階での改質を利用する本発明に対し、単独での改質だけでは、以下に示すとおり、省CO2性の高い高炉用還元ガスの製造は困難である。
(a)粗COGの触媒を用いた水蒸気改質法
粗COG中には通常、10%弱の水蒸気が含有されている。また、粗COGのタールを全量(分解)改質することを目的として、多くの場合、水蒸気を粗COGに多量に添加したうえで、タールの改質(水蒸気改質)が実施される。このため、粗COG中の触媒改質においては、水分過剰条件での改質となり、以下の水性シフト反応によってCO2の生成が卓越する。
CO + H2O → CO2 + H2
即ち、水性シフト反応による水素製造時のCO2副生量は、1.0mol/molであり、省CO2性は極めて低い。このため、改質時に多量のCO2が副生するので、省CO2条件での粗COG触媒改質は、困難である。また、粗COG中に多量に(数千ppm)含まれるH2Sは、粗COG中のメタンの触媒改質を著しく阻害し、改質ガス中に多量のメタンが残留するので、このままでは高炉シャフト部用還元ガスには使えない。
(b)粗COGの部分酸化法
特許文献4でのように、粗COGを部分酸化する方法もありうる。しかし、粗COGに酸素を供給すると、燃焼速度の速い水素が先ず選択的に燃焼して水蒸気化するので、やはり水蒸気過剰条件下での改質となり、省CO2性は低いという問題がある。
また、粗COG中のメタンを改質する際には、粗COG中に含まれるタールも同時に改質されるので、有害なメタンを改質によって除去するためには、より多くの酸素を供給する必要があり、水蒸気の発生量が一層多いという問題も存在する。
さらに、常圧の粗COGを高温のまま昇圧する安価な工業的手段がないので、改質ガスを一旦冷却したうえで、昇圧、加熱して高炉へ供給しなければならず、エネルギ効率の点でさらに省CO2性を低下させる。
(c)精製COGの触媒を用いた水蒸気改質法
精製COGを触媒改質する手段も存在する。しかし、精製COG中にはタールは存在せず、水分濃度も低い。容易に熱分解(水分を必要としない改質)するタール改質とは異なり、精製COG中の主成分であるメタンを改質するためには水蒸気改質によるしかなく、このため、多量の水蒸気を添加したうえで水蒸気ごと精製COGを昇温したうえで改質する必要があり、エネルギ的にロスが大きく省CO2性は低い。
また、COG改質用触媒の耐熱限界である800℃程度まで再び精製COGを加熱したうえで触媒改質しても、このような低温では平衡論的に改質後の組成を好適とするために常圧操業せざるをえないので(低温、かつ、水蒸気が高濃度、かつ、高圧条件下では副生CO2量が過大になる)、高圧で操業される高炉シャフト部へ改質ガスを直接には供給できず、冷却、加圧、再昇温といった操作を必要とするため、エネルギ効率が低く、省CO2でのガス製造は困難である。
(d)精製COGの部分酸化法
精製COGを部分酸化すれば、主成分であるメタンの大半を改質しうる。しかし、部分酸化法は、水蒸気改質法(触媒改質法)に比べて炭化水素当たりの水素発生量が小さく、かつ、水素を選択的に燃焼・消費する効果もあることから、改質ガス中の水素濃度を十分に高めることが困難である(改質ガス中でCO濃度ばかりが増える傾向となる)。水蒸気を添加したうえで部分酸化を行えば、燃焼時の高温下で水蒸気改質を生じるが、精製COGの触媒改質法と同様の省CO2性のガス製造の困難を生じる。
以上から明らかなように、タールを含む粗COGの改質(触媒法、部分酸化法)単独、またはタールの存在しない精製COGの改質(触媒法、部分酸化法)単独では、所望の成分の還元ガスを省CO2条件では製造できない。
(e)粗COG・精製COGの熱分解法
1000℃以上に保持されるコークス炉内の上部空間においてコークス炉ガス中の炭化水素が一部、熱分解されることが知られているものの、その分解速度は小さく、コークス炉ガスを単に高温に保持しただけでは、炭化炉として機能しない。
また、コークス炉ガス中の炭化水素で比較すると、タールは比較的容易に熱分解してコークを生成するが、メタンの分解速度は極めて低い。このため、炭化炉を用いてコークス炉ガス中の炭化水素を分解できたとしても、改質ガス(粗COG・精製COG)中にメタンが多量に残留するため、高炉シャフト部吹き込み用の還元ガスには適用することができない。
次に、上記の改質方法の組み合わせについて検討する。
精製COGの改質ガスを1次改質ガスとして、さらに2次改質(触媒改質、部分酸化)を行う場合、1次改質時の昇温およびその後の冷却、再度の昇温と、複数回の昇温過程が必要なため、還元ガスを省CO2条件では製造できない。
粗COGの改質ガスを1次改質ガスとして、さらに触媒改質で2次改質を行う場合、2次改質時の昇温およびその後の冷却、高炉供給前の昇圧後の再昇温と、複数回の昇温過程が必要なため、還元ガスを省CO2条件では製造できない。
粗COGの改質ガスを1次改質ガスとして、さらに部分酸化で2次改質を行う場合、上記のような粗COG改質(触媒改質・部分酸化)によって得られた省CO2性の低い1次改質ガスを原料とする限り、水蒸気改質法に比べて、元々、水素濃度の増大能力の劣る部分酸化による2次改質では、総合的な省CO2性を満足できない。
粗COG中には多量の水分が含まれているため、触媒を用いた粗COG改質では、必ず水蒸気改質が主体となり、熱分解主体の改質を行うことができない。
このように、上記の改質方法を組み合わせたとしても、省CO2でのガス製造は困難であることが分かる。
本発明では、粗COGを熱分解処理(1次改質)して水素製造を行い、それにより得られた水素を含む1次改質ガスを部分酸化(2次改質)することで、高炉シャフト部吹き込み用還元ガスを省CO2条件で製造する。
粗COG中には熱分解しやすいタールが含有されているので、粗COGを熱分解することにより、水素製造が可能となる。熱分解する粗COGが多量の水分を含んでいると熱分解反応の妨げとなるため、コークス炉に粗COG中の水分除去手段を設けるようにする。粗COGの熱分解は触媒を含む炭化炉で行う。粗COGは、700℃以上の温度で発生するので、この温度を維持して炭化炉に供給することで、熱分解に必要な温度(触媒使用時には700℃以上)を炭化炉で得るための供給COGの昇温は必要なく、省CO2条件での水素製造が可能である。
次に、炭化炉から得られる水素を含んだ1次改質ガスを1000℃を大きく超える温度まで加熱することによって、1次改質ガス中に残留するメタンの大半を部分酸化法により改質して水素をさらに製造して、高炉シャフト部供給用の還元ガス(2次改質ガス)を製造できる。1次改質ガスを予め0.2MPa以上に昇圧しておくことによって、2次改質ガスを直接高炉シャフト部に供給することができ、改質に必要なガス昇温回数は1回でよい。また、部分酸化によってガス体積は増大する(標準状態で)ので、圧縮すべきガス流量も少なくてよい。これらの効果から、省CO2条件での還元ガス製造が可能となる。
1次改質ガスの昇温には、燃焼ガスとの混合を用い、燃焼ガス中に含まれる水蒸気を用いて1次改質ガスの改質を行うことによって、昇温に多量のエネルギを必要とする外部からの水や水蒸気の添加が不要となり、省CO2条件での還元ガス製造が可能である。
1次改質ガスのように水素濃度の高いガスを燃焼させると、水素が選択的に燃焼して水蒸気を生成する。適量の水蒸気の製造は改質のために必要であるが、過剰な水蒸気はそのまま2次改質ガス中に残留して燃焼時に消費される水素が無駄になり、改質効率を低下させる。そこで、上記燃焼ガスの燃料として、天然ガス等の水素ガス濃度の低い燃料を用いることによって、水素濃度の消費を避けることができる。
(水素製造時生成CO2量の評価方法)
本発明に関しては、高炉へ供給する還元ガスに含まれる水素の製造時に生成されるCO2量を評価して、検討する装置と方法が省CO2条件での高炉ガスの供給に有効であるかどうかを判断する。
従来技術では高炉シャフト部への供給用水素の水素製造時生成CO2量に関して十分に配慮されていなかったため、従来技術での水素製造時生成CO2量の値は、正確には知られていない。本発明者は、以下の評価方法を考案して、代表的な従来技術での水素製造時生成CO2量ΔCO2を算出し、いずれも省CO2での高純度水素製造の困難であることを見出した。
水素製造手法として、炭化水素の改質を考える。他の方法、例えば水の電気分解によるものは、改質法に比べて著しくΔCO2が大きいことが明らかなので、検討対象から除外した。
対象とする炭化水素の改質反応は、以下のとおりである(但し、反応式の係数は省略した)。
水蒸気改質反応: CnHm(炭化水素)+ H2O → H2 + CO + CO2
熱分解改質反応: CnHm(炭化水素) → CnHm'(コーク、n≫m’) + H2
部分酸化改質反応: CnHm(炭化水素) + H2 + O2 → H2 + H2O + CO + CO2
部分酸化改質反応は、高温場をもたらすので、水蒸気改質反応が付随する場合が多い。
改質ガスの組成は、改質温度での平衡組成とした。一般に改質による水素の生成反応では反応速度が小さく、平衡組成に近いほど、改質ガス中の水素濃度が有利になるので、最良の条件で検討した。改質後の改質ガスは、速やかに冷却されて反応性が低下するので、改質時の平衡組成を維持できる。但し、炭化水素として多量のタールを含むガス(粗COG等)を改質しても容易には平衡組成の得られないことが知られているので、粗COGを原料とする際の改質ガス組成には試験結果の実績を用いる。
高炉シャフト部に供給する改質ガスは、高炉シャフト部に供給可能な高圧(ここでは1MPa)、かつ、高炉内を通常操業よりも冷却させないための高温(800℃以上)とする。
水素製造時生成CO2量ΔCO2は、次に式により計算できる
ΔCO2 = ΔCO2,comp + ΔCO2,heat + ΔCO2,cmp + ΔCO2,ph + ΔCO2,O2
この式において、ΔCO2,compは、原料炭化水素+添加物(水等)の組成の、改質時の温度における平衡組成におけるCO2濃度に対応するCO2量を表す。粗COGや精製COG中のCO2濃度は、通常、0に近いので、高炉供給ガス中CO2濃度は、実質的に改質で発生したCO2流量に対応し、すなわち、
[高炉供給ガス中CO2濃度]×[高炉供給ガス流量]
に対応する。
ΔCO2,heatは、 改質反応に必要な種々の熱量(反応発熱、原料の予熱等)のうち外部から直接に供給する熱量を発生させる際に発生するCO2量を表す。所要熱量を天然ガスの燃焼によって与えるものとして、天然ガスの完全燃焼によって生成するCO2量を次の式で与える。
ΔCO2,heat = [消費する天然ガスmol流量] × 1 molCO2/molCH4
= [所要熱量] / ([熱効率ηheat] × [天然ガス発熱量])
以降の算定では、ηheat=70%として計算した。
ΔCO2,cmpは、高炉内の深部に吹き込むために高炉内の圧力よりも十分大きい圧力(少なくとも0.2MPa)で供給する必要がある高炉への供給ガスを常圧から昇圧するための動力を発生させる際に発生するCO2量を表し、例えば、天然ガス火力発電によって発電された電力を用いる場合には、消費電力に対応して火力発電所から排出されるCO2発生量として、次の式で与える。
ΔCO2,cmp = [消費する天然ガスmol流量] × 1 molCO2/molCH4
= [昇圧用コンプレッサ消費電力]/([発送電効率ηel]×[天然ガス発熱量])
以降の算定では、昇圧用コンプレッサ消費電力を常圧から0.3MPaまでの断熱圧縮仕事率から求め、また、ηel=50%として計算した。
ΔCO2,phは、高炉シャフト部への供給ガスの予熱に必要な熱量を発生させる際に発生するCO2発生量を表す。高炉シャフト部への供給ガスは、通常、予熱される場合が多い。
以降の算定では、ΔCO2,phはΔCO2,heatと同様の方法で算出した。
ΔCO2,O2は、粗COGの改質に部分酸化法を用い、かつ、酸素を純酸素の形で与える場合の、酸素製造時に必要なエネルギを発生させる際に発生するCO2発生量を表す。
以降の算定では、酸素製造時の電力原単位を0.3kWh/Nm3 O2とし、ΔCO2,heatと同様の方法で算出した。
本発明の高炉へのガス供給装置及び方法によれば、高炉シャフト部供給用の還元ガスの製造に関連して発生する二酸化炭素(CO2)の削減が可能となり、省エネルギ対策にとって、ひいては地球温暖化対策にとって資するところが大きい。
本発明の第1の実施形態の模式図である。 炭化炉の模式図である。 固体カーボン分離機構の実施形態の模式図である。 固体カーボン分離機構の他の実施形態の模式図である。 固体カーボン分離機構の他の実施形態の模式図である。 固体カーボン分離機構の他の実施形態の模式図である。 部分酸化改質装置の実施形態の模式図である。 部分酸化改質装置の他の実施形態の模式図である。 部分酸化改質装置の他の実施形態の模式図である。 本発明の第2の実施形態の模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
まず、第1の実施形態を模式的に示す図1を参照して、本発明の高炉へのガス供給装置の基本的な全体構成を説明する。
(全体構成)
本発明の装置は、コークス炉1、炭化炉2、ガス精製装置3、ガス搬送装置4、予熱装置5、部分酸化改質装置6、高炉7が上流からこの順に連結されることによって構成される。これらの装置は、通気管などの手段を用いて連結することができる。コークス炉1には、発生するコークス炉ガス(COG)の水分低減手段1Aが付帯する。例えば、石炭の水分を低減するためのDAPSやSCOPE21等を水分低減手段1Aとし、水分低減手段1Aで脱水された石炭は、ベルトコンベヤ等の石炭搬送手段1Bによってコークス炉1まで輸送することができる。部分酸化改質装置には、酸素ガスおよび可燃性ガスを供給して燃焼させる燃焼器8が接続している。
(コークス炉)
コークス炉1としては、製鉄業等で用いられる一般的なコークス炉を適用することができる。あるいは、より小型のシステムであれば、キルン等の加熱炉に石炭を連続的に供給して加熱し、COGを連続的に発生させてもよい。
(石炭)
COGを発生させるための石炭には、高炉法による鉄鋼精錬に適したコークスの原料となる石炭である、水分濃度6質量%以上、かつ、15%以下の瀝青炭を用いることができる。あるいは、COGの発生量や品質を重視して、亜瀝青炭や褐炭を用いてもよい。これらの石炭は、採掘、取引、輸送、保管等の際の火災や飛散を防止するために、一般に、コークス炉に供給される直前まで、所定の水分濃度以上を維持するように保持される。このような所定水分濃度下限値は、上記6質量%とすべきである。また、石炭中の過剰な水分濃度は、作業性や作業コストの点で問題があるので、製鉄用の瀝青炭に関しては、概ね上記15質量%以下とすべきである。
(コークス炉ガス(COG))
石炭乾留時に発生するCOGには、メタン・エタン等の脂肪族有機物ガス、ベンゼン・トルエン等の芳香族炭化水素軽質油ガス、芳香族重質炭化水素を主体とするタールガス等が含有されている。また、使用する石炭に付着または含有された水分がコークス炉内で蒸発することにより、COG中には一般に水蒸気が含まれる。
本発明において炭化炉2での水素生成反応で熱分解される主な物質としては、タールが適当である。これは、タールの主成分である芳香族炭化水素を熱分解した場合、水素を放出した残りの炭化水素が二次元的芳香族多環組織からなる巨大分子として容易に成長して直径が数μm〜数mmの固体カーボン粒が得られ易いので、固体カーボンを炭化炉内に保持することが容易だからである。生成した固体カーボンを炭化炉内に一定時間保持することによって、固体カーボン中に残留していた水素も徐々に水素ガスとして離脱するので、熱分解は、一層促進される。一方、脂肪族有機物も熱分解しうるが、その際、生成する固体カーボンは、一般にダイヤモンド状結晶構造がランダムに配置したアモルファス状の組織となることが多く、直径がナノメートルからサブミクロンの超微粒子として固体カーボンが生成するため、生成固体カーボンを炭化炉内に保持することや炭化炉からまとめて分離・排出することが困難となりがちである。また、硫化水素ガスを高い濃度で含有することの避けられないCOGの場合、触媒を用いた水素生成反応では、タールの反応の方が脂肪族炭化水素の反応よりも反応速度が一般に高い点でも、タールを熱分解することが有利である。この点は、硫化水素濃度の低い原料ガスを用いるエチレンプラントでの脂肪族炭化水素の改質反応では反応速度が極めて大きいことに対する、本発明の対象とするプロセスの特徴である。
(COGの水分低減手段)
COGの水分低減手段1Aとしては、従来技術であるDAPSやSCOPE21炉を用いて、コークス炉に供給される石炭を事前に乾燥させておくことができる。乾燥した石炭を乾留すれば、発生するCOG中の水分を減少させることができる。あるいは、より小型のシステムの場合には、数カ月以上といった長期間、石炭を石炭庫で保管し、その間に水分を自然に蒸発させてもよい。
COGの炭化炉2での水素生成反応において、タール等の熱分解反応を卓越させるためには、水分低減手段を用いて石炭の水分(全水分)濃度を4質量%未満とすることが好ましい。その理由は、以下の知見によるものである。本発明者らは、コークス炉用の瀝青炭を連続式のコークス炉に供給して、熱分解で用いる触媒の水素生成反応特性を調査した。その際に用いた瀝青炭は、当初、実機と同レベルの6〜10質量%の水分含有量のものであった。この試験結果から、いずれの試験条件においても、水素生成に伴って、水素発生量の約20mol%以上のCO2の発生が避けられず、省CO2の観点から問題であった。あるとき、貯炭場の天日にさらされ易い場所から瀝青炭を採取して同様の試験にかけたところ、水素発生量やCO発生量にあまり影響を与えることなく、CO2の発生量が発生水素量の約8mol%に低減した。供給した石炭の残材を分析した結果、この石炭の水分含有量は3〜4質量%であり、天日によって自然乾燥のなされた石炭を試験に適用していたことがわかった。このように、実機で常用される石炭水分の下限値である6質量%の条件では大量に発生していた水素生成反応時の生成CO2量を、石炭水分量を4質量%弱に低減することで、劇的に低減できることを、本発明者らは見出した。
石炭中の水分を低減するほど、CO2発生量を低減できるので、工業的に可能な範囲で石炭水分量をできるだけ低減することが好ましい。例えば、DAPSを用いれば、1質量%弱まで、石炭の水分量を低減することが可能である。また、ラボレベルの乾燥装置であれば、石炭の水分量をほぼ0にすることもできる。これらから、本発明においては、水分(全水分)含有量を4質量%未満、例えば0質量%超4質量%未満、あるいは1質量%以上4質量%未満、あるいは2質量%以上4質量%未満、あるいは1質量%以上3質量%以下、あるいは1質量%以上2質量%以下、に調整した石炭、特に瀝青炭、を使用するのが好ましい。但し、石炭の水分量を低減するためには、一般により多くのエネルギを消費する。特に、石炭の固有水分(瀝青炭の場合、約2%)未満の水分濃度を得ようとする場合には、石炭を105℃以上に加熱しなければならないので、石炭乾燥工程でCO2発生量が増加し易い。従って、石炭の目標水分レベルは、石炭乾燥工程でのエネルギ消費に伴って発生するCO2と、水素製造工程で発生するCO2とを合計した得失を考慮して、決定されるべきである。
場合によっては、石炭の水分を減少させることなくコークス炉に供給し、コークス炉で発生した高濃度の水蒸気を含むCOGを抽気して、高温用ゼオライト等の吸着剤を通過させることによってCOG中の水分を低減させてもよい。
次に、本発明における炭化炉2とそれに付随する装置について、図2に例示した態様を参照して具体的に説明する。
(炭化炉)
炭化炉2は、コークス炉1から連続的に供給されるCOG14中の炭化水素(主にタールガス)を熱分解により改質して、水素ガスと固体カーボンに分離し、改質ガス15を下流に排出するとともに、生成した固体カーボンを貯留するための炉である。炉内温度を熱分解反応に好適な温度に保持し、かつ、熱分解を主体とする水素生成反応に要する反応熱を供給するために、炭化炉には、炉体外部から(あるいは、炉内に発熱体等を設けて炉内から)熱供給を行うための熱供給手段32を設ける。この熱供給手段32には、一般的な電気ヒータ加熱や直火加熱を用いることができる。炭化炉2は、生成した固体カーボンのそこでの燃焼を避けるため、酸化源となる酸素・空気・水蒸気等の炭化炉への流入を極力避ける構造とする。具体的には、部分酸化法におけるような、水素生成反応中のCOGへの酸素供給手段等を設けることをしない。水蒸気も、COGに元々含まれていたもの以外、COGへの添加を行わない。タールの熱分解反応に好適な反応温度は、熱分解触媒を用いる場合には、概ね650℃から900℃の範囲である。この温度範囲以下でCOGを炭化炉に通気させると、タールの凝縮が生じ、この凝縮液が固体カーボン微粒子間の空間を塞ぐため、固体カーボンを炭化炉内に保持する本発明では、容易に炭化炉の閉塞を生じる問題が存在する。しかし、本発明では、この熱分解反応に好適な温度範囲に炭化炉内を保持することによって、COG中に含まれるタールを凝縮させることなく、熱分解によって副生した固体カーボンは乾燥した状態に維持でき、固体カーボンによる通気性低下を最小化することができる。また、炭化炉内の圧力は、コークス炉内圧よりも低いことが好ましい。例えば、コークス炉内圧は通常、10Pa(ゲージ圧)超であるので、炭化炉内圧力を10Pa(ゲージ圧)以下として、COGの通気を維持することができる。炭化炉内圧力の下限は特に存在しないが、炭化炉の耐圧性、炭化炉内のガス密度、必要な真空装置能力(これは場合により必要となることがある)等の観点から、−20000Pa(ゲージ圧)以上とすることができる。
炭化炉2の中には、保持器12によって保持された粒状体層13から構成される固体カーボン保持機構30が設けられる。粒状体層13は、熱分解反応の好適に進行する温度に加熱、保温されるとともに、コークス炉1から直送された新鮮なCOGが常に通気するので、COGの熱分解反応の促進領域(反応領域)である。
炭化炉内壁11は、上下両端近傍に開口16、17を有し、これらの開口間に固体カーボン保持機構30を収納できるものであればどのような形状でもよい。開口16は、炭化炉2へのCOG14の流入口であり、コークス炉1(図1)に接続する通気管33に接続する。開口17は、炭化炉2からの改質ガス15の流出口であり、ガス精製装置3(図1)に連結する通気管34に接続する。炭化炉2内に導入されたCOGは、粒状体層13を矢印18の方向に下方から上方へ流れて水素生成反応を受け、改質ガス(1次改質ガス)として流出する。炭化炉内壁11は、例えば、円筒状、角型ダクト状などの形状であることができる。以下では、角型ダクト状の炭化炉内壁11を例に説明する。
以下の説明において、「炭化炉厚」は、水平断面における炭化炉内壁11の代表長さのうちの最小の長さに相当し、「炭化炉幅」は、水平断面における炭化炉内壁11の代表長さのうちの最大の長さに相当する。炭化炉内壁11が円筒の場合には、炭化炉内壁11の「幅」および「厚」を「直径」と置き換えればよい。「炭化炉高さ」は、炭化炉内壁11に囲まれた空間の代表高さのうちの最大の高さに相当する。
炭化炉内壁11の材質は、触媒などの粒状体を保持する強度、触媒反応に関与する流体への耐熱・耐食性、反応生成物への耐汚染性を有する材料であれば、どのようなものでも使用できる。例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス材料(煉瓦に加工されたものを含む)、ソーダガラス、溶融石英等のガラス材料を使用することができる。
炭化炉厚は、内蔵する固体カーボン保持機構30の代表厚よりも大きくなければならず、また、炭化水素の水素生成反応で一般的に生じる吸熱反応熱を外部からの伝熱で供給可能なように十分薄くなければならない。これらの観点から、炭化炉厚は、10mm以上、かつ、500mm以下とすることができ、より好ましくは、50mm以上、かつ、200mm以下とすることができる。炭化炉幅には、機能上、特段の制約はない。保持すべき固体カーボン保持機構の体積、炭化炉厚を基に、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
炭化炉高さは、固体カーボン保持機構の高さよりも大きくなければならない。一方、炭化炉内壁高さの上限については、機能上の制約はなく、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
(固体カーボン保持機構)
固体カーボン保持機構30は、炭化炉内壁11で構成される反応領域(ガス流路)内に設けられ、COGと接触するように固体カーボンを保持する機構である。
固体カーボン保持機構30は、図2に示すように、積層された複数の粒状体で構成される粒状体層13を炭化炉2の流路内に設けるとともに、互いに隣り合う粒状体間の空間に粒状、粉状、または多孔質体などの固体カーボンを保持する機構であることができる。粒状体の代わりに、単一の多孔質体を用いることもできる。粒状体層13や多孔質体を流入口の開口16や流出口の開口17をうずめることなく炭化炉内壁11流路内の定位置に保持するために、これらの下端に個々の粒状体等の落下を防止するとともに通気性を備えた保持器12を設ける。
粒状体層13を支持する保持器12には、網、パンチングメタル、複数の棒を用いて棒の間に空間を生じるように水平方向に各棒を互いに平行に並べて棒の両端を固定したもの等を用いることができる。このような保持器は、単一の多孔質体を固体カーボン保持機構に用いた場合にも用いることができる。保持器12の材質は、耐熱・耐腐食性・強度を備えた金属材料が好ましい。そのような金属材料の例として、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)やインコネル(登録商標)等のNi合金、チタン、チタン合金等を挙げることができる。
固体カーボンの性状は、粒子の落下し易さや、熱分解反応時の固体カーボン核生成サイトを多数確保する観点から、例えば直径0.1mm以下の微粉であることが好ましいが、作業性や設備制約のために、それより大きい粒状、または多孔質体であってもよい。固体カーボンの材質は、例えば、市販のカーボンブラック粉や、炭化水素の熱分解反応で副生した固体カーボンを用いることができる。
粒状体には、熱分解反応条件における耐熱性、耐食性、耐ガス汚染性、並びに固体カーボンを保持可能な強度を有するものであれば、どのような材質のものでも使用できる。例えば、シリカガラス、アルミナのようなセラミックス粒子や、銅やニッケルの粒を使用することができる。また、個々の粒状体の寸法は、ガスの通気性を阻害しないように極端に小径のものは好ましくなく、かつ、固体カーボンを保持可能なように極端に粗大なものも好ましくない。代表寸法(例えば、直径)が0.1〜50mmのものを使用することができる。
粒状体層の通気方向の厚みは、通気性の確保と固体カーボンの保持の観点から、10〜3000mmの範囲とすることができる。
単一の多孔質体を固体カーボン保持機構に用いた場合には、多孔質体には、気孔率20〜80%程度の市販のセラミックス多孔質材、例えば、アルミナ多孔質材、等を用いることができる。
(触媒)
炭化炉内壁11で形成される流路内に、熱分解触媒を配置することができる。熱分解触媒を粒状に加工して、前記粒状体層13を構成する粒状体として使用することができる。
熱分解触媒には、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなる触媒を用いることができる。
本発明の炭化炉に好適に使用できる触媒の具体的な例としては、たとえば、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む酸化物であって、少なくとも1種の複合酸化物を含み、単独化合物としてアルミナを含まないタール含有ガスの改質用触媒を挙げることができる(国際公開第2010/134326号パンフレット)。この複合酸化物の好適な例は、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなり、さらには、各結晶相のうち、X線回折測定により求めたNiMgO結晶相の(200)面の結晶子の大きさが1nm〜50nm、MgAl24結晶相の(311)面の結晶子の大きさが1nm〜50nm、CeO2結晶相の(111)面の結晶子の大きさが1nm〜50nmである。この触媒は、炭素質原料を熱分解した際に発生する多量の硫化水素を含み、炭素析出を起こし易い縮合多環芳香族主体のタール含有ガスであっても、随伴するタール等重質炭化水素を高効率に改質して、水素、一酸化炭素、メタンを主体とする軽質炭化水素に変換すること、また、触媒性能が劣化した際、水蒸気又は空気の少なくともいずれかを高温下で触媒に接触させることにより、触媒上の析出炭素や吸着硫黄を除去して触媒性能を回復させ長期間安定した運転が可能になるという特徴を有する。なお、CeO2を含まない以外の条件を上記の触媒と同様にして製造した、より安価な触媒(Ni−MgO系触媒)でも上記の触媒に近い性能を得ることができる。
本触媒がタールの水蒸気改質に好適に適用されることは知られていたが、熱分解反応特性に関する知見は、従来存在しなかった。本発明者らは、供給水分を極力減らした条件下で本触媒を800℃程度のタールガスに接触させると、タールは、COやCO2をほとんど生成することなく水素ガスと固体カーボンに分解することを見出した。即ち、本触媒は、タールの熱分解反応を促進するために好適に適用でき、また、供給水分濃度を調整することによって、水素製造におけるCOおよびCO2発生量を低減可能である。
(固体カーボン分離機構)
本発明で用いる炭化炉2は、炭化炉2内で生成した炉温相当温度の固体カーボンの一部または全部を炭化炉2内の少なくとも反応領域から分離・除去して固体カーボンとして回収するための固体カーボン分離機構を有することができる。
例えば、図3に示す、炭化炉2の内壁に接する粒状体層13を保持する保持器12と、前記保持器12を昇降させることにより前記粒状体層13を昇降させるための保持器駆動機構20と、分離した固体カーボン25を貯留するための非反応部35とを含む固体カーボン分離機構31を用いることができる。
炭化炉2の中には、保持器12によって保持された粒状体層13から構成される固体カーボン保持機構30が設けられる。また、炭化炉2の下部には、保持器12を昇降させるための保持器駆動機構20と、保持機構30から落下した固体カーボン25を貯留するための非反応部35とを含む、固体カーボン分離機構31が設けられる。粒状体層13は、熱分解反応の好適に進行する温度に加熱、保温されるとともに、コークス炉1から直送された新鮮なCOGが常に通気するので、COGの熱分解反応の促進領域(反応領域)である。一方、落下した固体カーボンを貯留する領域は、温度を反応温度域よりも低く維持するとともに、通気を淀ませて新鮮なCOGを供給しない、あるいは触媒から遠ざける等の手段によって、水素生成反応や酸化反応を進ませないための非反応部35である。
図3に示した実施形態では、固体カーボン分離機構31は、固体カーボン保持機構30、保持器駆動機構20、並びに非反応部35から構成され、保持器12を保持器駆動機構20によって昇降させることによって保持器12上の粒状体層13を炭化炉内壁11内で昇降させる。粒状体層13が昇降する際には、粒状体間に相対運動を生じて、粒状体間に堆積していた固体カーボンが粒状体層から落下して除去され、非反応部35に貯留される。非反応部35は、炭化炉2内の下部に配置してもよく、または図3に示したように炭化炉2の下方に配置してもよい。いずれの場合も、非反応部35は、上述のように、炭化炉4内の反応領域から区分されるとともにCOG流れとの接触の抑制された空間である。保持器駆動機構20には、駆動装置21が装備され、伝導軸22を経由して保持器12に接続し、駆動装置21の昇降動作によって、保持器12と粒状体層13の全体が昇降する。駆動装置21には、エアシリンダ、ラックピニオン等の歯車を利用した機構などの、一般的な駆動装置を用いることができる。
少なくとも、伝導軸22の保持器12側の一部は炭化炉2の中の反応領域内に設置する必要がある。但し、駆動装置21は、炭化炉4の外部に設けることができる。この場合、市販の昇降装置を使える一方で、伝導軸22が炭化炉2の壁を貫通する部分を高温用パッキン等で封止する必要がある。
保持器12の上昇時に、保持器12の一部が粒状体層13に食い込んで固体カーボンが自由落下しなくなる場合があるので、固体カーボンの自由落下を促進するために保持器12は上昇時だけでなく下降時も駆動することが好ましい。
粒状体間の相対運動を十分行うため、また、装置の大型化を回避する観点から、保持器12の昇降ストロークを、粒状体外面の代表寸法(例:直径)の0.1倍以上、かつ、10倍以下とすることができ、さらに好ましくは、1倍以上、かつ、5倍以下とすることができる。
保持器12とともに粒状体層13を上昇させるのに要する所要上昇力は、上昇速度が小さいほど小さいので、低速が好ましい。本発明者らの調査の結果、10mm/sで保持器12とともに粒状体層13を上昇させるときの所要上昇力は、1mm/sで上昇させる場合の2倍が必要であることがわかった。また、大きな上昇速度では、粒状体が破壊しやすくなる。但し、1mm/sで上昇させる場合と0.5mm/sで上昇させる場合の所要上昇力の差は小さいので、1mm/sよりも遅くする必要は必ずしもない。また、10mm/sの上昇速度であっても、粒状体が破壊しないのであれば、適用してよい。
保持器12の下降速度は大きいことが好ましい。特に、最下端での触媒の自由落下速度よりも大きい速度(例:100mm/s)で保持器12を下降すれば、粒状体は保持器12から離脱して粒状体間の拘束が小さくなり、粒状体間の相対運動を大きくとれるので好ましい。但し、粒状体の自由落下速度よりも極端に大きな速度で保持器12を下降させても得られる効果に差はない。
粒状体層13の上昇時に、粒状体層13では上方ほど粒状体間に働く反力が等方化し、粒状体層13を押し上げるための上下方向の力と同程度の力がこれ以外の方向にも生じ、この力に比例した摩擦力が触媒間で生じる。この摩擦力の下向き成分が粒状体層押し上げの抵抗力として働く。例えば、粒状体層13のアスペクト比(粒状体層高さ/炭化炉厚比)が2を超えると、押し上げ荷重が急激に上昇して、最下段で粒状体を破壊しうることを本発明者らは見出した。従って、粒状体層の高さは低いほどよく、粒状体層のアスペクト比(粒状体層高さ/炭化炉厚比)が2以下であることが好ましい。一方、昇降によって粒状体間の相対運動を生じるために粒状体層13に最低限必要な高さが存在するので、粒状体層高さは、平均的に粒状体の3層分以上の長さであることが好ましい。
粒状体層13から分離されて非反応部35に貯留された固体カーボン25は、オフラインで個別に回収することができる。回収された固体カーボンは、焼却することなく工業原料等に利用することによって、CO化やCO2化することを回避でき、水素製造時に発生するCO及びCO2の生成量を従来法に比べて大幅に削減できる。
固体カーボン分離機構は、上記の方式に限るものではなく、粒状体層中に堆積する固体カーボンをCOGの改質中に除去できるものであればどのような形式のものでも適用することができる。
例えば、図4に示す流動層方式の粒状体層13’を固体カーボン分離機構に適用することができる。炭化炉2内で保持器12によって保持された粒状体層13’にCOG流入口16から導入されたCOG14を上向きに通気する。COG14は、粒状体層13’を通過する際に熱分解して改質ガス15と固体カーボンを生成する。この際、粒状体層13’の流動化流速を超えるようにガス流れ18の流速を設定すると、粒状体層13’は流動化して流動層を形成する。ガス流れ18の流速が過大でないように設定すれば、粒状体は、下流に飛散することなく、炭化炉内で安定して流動層を形成できる。この流動層の中では固体カーボンは比較的自由に移動する。一般に、粒状体よりも密度の小さく、かつ、小径である、生成固体カーボン粒は、より下流に移動しやすく、ついには流動層から離脱して固体カーボン流れ47を形成し、改質ガス流出口17を通じて炭化炉2から流出する。非反応領域である、炭化炉より下流領域に除塵装置46を設けることによって、固体カーボン25を回収することができ、固体カーボン25を粒状体層13’からオンラインで分離・回収することができる。除塵装置46を通過した改質ガス15は、ガス精製装置3(図1)に供給される。
粒状体を流動化させるためには、粒状体の直径に適切な範囲が存在する。例えば、50〜300μmに設定すればよい。炭化炉2内で生成する固体カーボンの直径は、少なくとも生成初期には50μmであって粒状体直径よりも小さいので、粒状体を飛散させず、かつ、固体カーボンを飛散させることのできるガス流れ18の流速範囲が存在する。この流速範囲は、装置の設計条件として適宜決めればよく、例えば、0.1〜1m/sとすることができる。
保持器12には、粒状体直径よりも小さな孔径を有する多孔質材料を用いることができる。例えば、微小なアルミナ粉の焼結体を用いることができる。
除塵装置46には、例えば、バグフィルタ、スクラバ、あるいは、電気集塵装置等を用いることができる。
この実施形態において、一部の固体カーボン、例えば、成長して粒径の大きいものは、飛散することがなく、流動層中に保持されるので、固体カーボン保持機構30は、粒状体層に一致する。
流動層方式の粒状体層を利用するもう一つの固体カーボン分離機構の例を、図5に示す。運転開始前(粒状体層の流動化前)の炭化炉2内には、図3と同様の構成の粒状体層13、粒状体回収器55、並びに粒状体還流路56が配置され、加熱・保温される。炭化炉2内の粒状体層13にCOG14を供給し、粒状体層13における所定値以上のガス流れ18の流速に設定すると、粒状体層13は流動層化して、粒状体は流動化するだけではなく、一部の粒状体は下流に飛散して粒状体流れ48を生じる。併せて、流動層内で生成した固体カーボンの一部も下流へ飛散して、固体カーボン流れ47を形成する。粒状体流れ48および固体カーボン流れ47は、ガス流れ18とともに粒状体回収器55に流入する。粒状体回収器55は、下流での流路断面積が大きく、ここでの流速が粒状体を上昇させるほどには大きくないため、粒状体は粒状体回収器55を通過することはできず、下方に落下する。一方、比較的粒径の小さく、かつ、密度も小さい、固体カーボン粒子は、ここでの低い流速のガス流れであっても上昇することができ、炭化炉2から下流へ流出できる。炭化炉2から流出した固体カーボンは、非反応領域において除塵器46で捕集され、固体カーボン25を粒状体層からオンラインで分離・回収することができる。除塵器46は、例えば、図4を参照して先に説明したタイプのものでよい。
粒状体回収器55から落下した粒状体は、粒状体還流路56内に堆積するともに、重力によって粒状体還流路56内を落下して、流動化した粒状体層13に戻る。即ち、粒状体は、炭化炉内を循環して流れる。
粒状体を飛散させ、かつ、炭化炉内で循環させるためのガス流れ18の流速範囲は、装置の設計条件として適宜決めればよく、例えば、2〜10m/sとすることができる。
あるいは、図6に示す機構を固体カーボン分離機構に適用することができる。炭化炉2には頂部に粒状体供給口50が、底部に粒状体排出口51が設けられており、粒状体供給口50から供給された粒状体は、炭化炉2内で側方を通気性を有する保持器12によって保持され、粒状体層13を形成する。炭化炉2内は、粒状体層13によって、入側空間57および出側空間58に隔てられ、入側空間57にはCOG14が流入し、粒状体層13をガス流れ18として通過する際に熱分解されて出側空間58に流入し、改質ガス15として炭化炉2から流出する。
熱分解によって粒状体層13中に固体カーボンが堆積するので、炭化炉2内に所定時間滞留した粒状体を堆積した固体カーボンとともに、それぞれ粒状体流れ48および固体カーボン流れ47として、粒状体排出口51を通じて炭化炉2の外へ排出する。粒状体の排出タイミングや排出速度の制御は、粒状体排出手段52を用いて行う。粒状体の排出は、断続的であってよく、また、連続的に行ってもよい。改質操業中には、排出された粒状体の量と等しい量の粒状体を粒状体供給口から速やかに補填する。
炭化炉2から排出された粒状体および固体カーボンの混合物から固体カーボンのみを分離して回収する。その手段としては、例えば、粒状体および固体カーボンの混合物を篩53を用いて篩分けして小径の固体カーボン25を回収することができる。このように回収された固体カーボン25は、当然のことながら、非反応部35に存在する。固体カーボン25を分離後に篩53上に残った粒状体54は、篩上から適宜取り除かれる。
このような手法に用いられる粒状体には特段の制約はない。粒径として、例えば1mm〜30mmのものを使用できる。ガス流れの流速の制約も少ない。例えば、0.01〜10m/sとすることができる。
炭化炉2への粒状体の供給には、例えば、ベルトコンベアやスクリューフィーダ等の市販の装置(図示せず)を用いることができる。
粒状体排出手段52としては、ロータリーバルブやスクリューフィーダ等の市販の装置を用いることができる。粒状体排出手段52には、粒状体が必要以上に落下することを防止することを防ぐはたらきもある。従って、図6の炭化炉2においては、保持器12および粒状体の排出手段52によって囲まれた粒状体の領域が固体カーボン保持機構30である。
(ガス精製装置)
ガス精製装置3は、炭化炉2から排出された1次改質ガス中の、少なくともタール・軽油・ベンゼン等の高沸点炭化水素や水分等の凝縮性ガスを除去する装置である。凝縮性ガスの除去は、スクラバ等によるガスの水冷装置や、蒸留塔を用いて行うことができる。必要に応じて、脱硫処理や脱アンモニア処理を追加してもよい。炭化炉2からの高温の1次改質ガスは、ガス精製装置における処理によって、少なくともガス搬送装置4の耐熱温度より低い温度まで、通常は常温付近まで、冷却される。
(ガス搬送装置)
ガス搬送装置4は、1次改質ガスを炭化炉2から吸引するとともに、昇圧して部分酸化改質装置6に送りこむための装置である。このために、ガス搬送装置4は、入側圧力を−10kPa程度、出側圧力を少なくとも0.2MPa、一般には0.2〜1MPa程度に維持できる揚程が必要である。ガス搬送装置4には、市販の多段軸流コンプレッサ等を用いることができる。
(予熱装置)
1次改質ガスの部分酸化のための改質装置6では、酸素ガスを用いたガス燃焼を利用して通気ガスの昇温を行うものの、CO2生成量の削減や純水素原単位の観点から、供給する酸素量を必要最低源に設定すべきである。このため、常温の1次改質ガスをガス燃焼で昇温した場合、昇温後の通気ガス温度が水蒸気改質によるメタン分解を促進しうるほどには上昇しない場合が多い。このため、1次改質ガスを予熱装置5で予熱したうえでガス燃焼による通気ガスの昇温を行うことによって、昇温後の通気ガス温度を好適な範囲とすることができる。1次ガスの予熱温度は、300〜800℃程度が好ましい。
予熱装置5における1次改質ガスの予熱は、例えば、市販の熱交換器を用いて、あるいは別途設けた燃焼炉で生成させた燃焼ガスと熱交換させて、行うことができる。
(部分酸化改質装置)
部分酸化改質装置6は、1次改質ガスに燃焼ガスを混合して、1次改質ガスを1000℃を大幅に超える温度(例:1500℃)に昇温することによって反応速度を高め、1次改質ガス中のメタン等の炭化水素を化学平衡に基づいて触媒を用いることなく分解して水素ガスやCOガスを生成する装置である。部分酸化改質装置6としては、これらの要件を満たす限り、どのようなものを用いてもよい。
本発明において用いることができる部分酸化改質装置6の1つの実施形態を、図7を参照して説明する。
改質装置6の本体は、内面をアルミナ成形材やケイ石煉瓦等の耐火物で覆われた、鋼製の耐圧反応容器であり、一端に接続した通気管68から1次改質ガスを導入して、部分酸化改質反応により生じた2次改質ガスを他端から通気管69を通して排気する。
改質装置6には燃焼器61が接続しており、燃焼器61には酸素ガスと可燃性ガスがそれぞれの供給管62、63から供給され、燃焼器内で混和、着火させて燃焼ガスを改質装置6内に排気する。燃焼器61としては、市販の軸流バーナ等を用いることができる。
酸素ガスは、純酸素の形で供給することが2次改質ガス品質上好ましいが、空気や、酸素富化させた空気等の酸素含有ガスも、酸素ガスとして供給することができる。
酸素ガスの供給流量(mol流量)は、1次改質ガス中炭化水素および可燃性ガス中炭化水素に含まれるカーボン原子のmol流量の合計値の0.4〜1.0倍(即ち、O2/C=0.4〜1.0)程度であることが、2次改質ガス品質上好ましく、O2/C=0.4〜0.7であることがより好ましい。
可燃性ガスには、天然ガス、液化石油ガス、精製COG、改質COG、高炉ガス(BFG)、転炉ガス(LDG)等を用いることができる。また、ナフサ、軽油、重油等の液体燃料も、ミスト化して燃焼器内に供給すれば、可燃性ガスと本質的な差はないので、これらを用いることも可能である。
これらの可燃性ガスのうち、メタンを主成分とする天然ガスを用いることが特に有利である。天然ガスは、発熱量当たりの価格が安価であること、発熱量当たりのCO2発生量が比較的少ないこと、ガス中に(COGのように)水素ガスを含まないため、燃焼時に水素を消費することがないこと等が利点である。
酸素ガスと可燃性ガスを同時に供給する場合には、可燃性ガスの供給流量(mol流量)は、酸素ガス供給流量(mol流量)の0.2〜2倍であることが好ましい。但し、1次改質ガス中に酸素ガスを直接供給する場合には、燃焼ガスとしての1次改質ガス量を1次改質ガス全体から切り分けることが困難なので、この場合の可燃性ガスの供給流量は、酸素ガス供給流量の0.2倍未満であってもよい。
酸素ガスおよび可燃性ガスは、常温で燃焼器61に供給してもよいし、予熱して供給してもよい。可燃性ガスの発火温度以下で供給する場合には、燃焼器61に着火手段(図示せず)を設ける必要がある。燃焼器61にパイロットバーナを設けるか、あるいは、改質装置6および燃焼器61を発火点以上まで予熱することで、可燃性ガスと酸素ガスの混合ガスを着火させることができる。
改質装置6内でのガス温度は、少なくとも1000℃以上を維持しなければならない。最高温度は、1200〜1800℃の範囲とすることが好ましい。この温度範囲未満では化学反応速度が過小なため、反応器としての改質装置6の寸法が巨大となる問題を生じること、この温度範囲を超えると、ガスに接触する改質装置内壁温度が高すぎて、内面構成材料の寿命を著しく短縮する問題があることが理由である。
部分酸化改質装置6内に温度計64を設けて、装置内でのガスの温度を測定し、この測定値に基づいて、装置内ガスの温度管理を行うことができる。温度計には、セラミック等の耐熱材料で被覆保護されたR型またはB型熱電対等を用いることができる。
反応器としての改質装置6の容積は、ガスの見掛け平均滞留時間([反応容器容積]/([処理1次改質ガス流量(標準状態)]+[外部からの供給燃焼ガス流量(常圧、100℃換算)]))が30秒以上100秒以下となるものが好ましい。この範囲未満では、処理ガスの改質装置滞留時間が過少であって、反応が十分に進まない問題を生じる。またこの範囲を超えると、改質装置滞留時間が過大であって、過剰な設備費を必要とする問題を生じる。
燃焼ガスの改質装置6への供給箇所は、複数設けてよい。例えば、装置の周方向に均等間隔で4〜8箇所の供給口を設けることができる。このようにすることで、燃焼ガスと1次改質ガスの混合・反応をより均一化することができる。
本発明において用いることができる部分酸化改質装置6のもう1つの実施形態を、図8を参照して説明する。
この実施形態の改質装置6では、独立した燃焼器を省略して、酸素ガスと可燃性ガスを近接させて直接、改質装置内に供給するようにしている。この場合、供給された酸素ガスと可燃性ガスが近接しているので、これらのガス供給口の近傍に燃焼領域65を生じ、ここでは主に酸素ガスと可燃性ガスが燃焼するので、実質的に燃焼領域6が燃焼器と同じ役割を果たす。場合により、酸素ガスと可燃性ガスを予め一緒にして改質装置内へ供給してもよい。
この実施形態でも、図7を参照して先に説明した実施形態と同様に、天然ガスを可燃性ガスとして供給することにより、天然ガスの燃焼ガスを改質装置内に供給することができる。また、先に挙げた天然ガス以外の燃料の使用も可能である。また、酸素ガスと可燃性ガスの改質装置6への供給箇所を複数設けてもよく、例えば装置の周方向に均等間隔で4〜8箇所設けることができる。
本発明において用いることができる部分酸化改質装置6の別の実施形態を、図9を参照して説明する。
1次改質ガスは可燃性ガスの1種であるので、1次改質ガスを可燃性ガスとして用いてもよく、この場合には、1次改質ガスを必ずしも別系統で燃焼器61(図7)または燃焼領域65(図8)に供給する必要はなく、改質装置6内に酸素ガスのみを直接供給すればよい。改質装置6内の酸素供給口近傍の空間が燃焼領域65となり、図8を参照して先に説明した実施形態の場合と同様に、この燃焼領域65が実質的に燃焼器と同じ役割を果たす。
なお、1次改質ガス中にはメタンとともに多量の水素ガスが含有されており、水素ガスの燃焼速度はメタンガスに比べて一般に速いので、改質装置6内に酸素が供給されると、1次改質ガス中の水素を消費して水蒸気を生じる。改質装置6内でこのガスを高温保持すると、生成した水蒸気はメタンを水蒸気改質して水素を生成するので、十分な高温保持時間を改質装置6内で設定できれば、1次改質ガス中のメタンの分解に問題はない。しかし、この保持時間が不十分であれば、メタンの水蒸気改質が十分に進行する前に2次改質ガスは排気されるため、燃焼によって消費された水素ガスを回復することができないことになる。従って、本実施形態を採用する場合には、反応容器としての改質装置6の寸法を十分に大きく設定する必要がある。一方、図7、8を参照して説明した実施形態のように、1次改質ガス中の水素ガス以外(例えば天然ガス)を可燃性ガスとして用いる場合には、仮に改質装置6の寸法を十分に大きく設定できなくても、1次改質ガス中の水素ガスは2次改質ガス中に残留するので、このような問題は少ない。
この実施形態でも、酸素ガスの改質装置6への供給箇所は複数設けてもよい。例えば、装置の周方向に均等間隔で4〜8箇所の供給口を設けることができる。
いずれの実施形態の場合も、部分酸化改質装置6から通気管69を介して排出された2次改質ガスは、高炉7へそのシャフト部から供給することができる。高炉へ2次改質ガス(還元ガス)を供給する技術は広く知られているとおりであり、ここで詳しく説明するには及ばない。
次に、図10の模式図を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。
(全体構成)
第2の実施形態の高炉へのガス供給装置は、コークス炉1、炭化炉2、ガス精製装置3、第1のガス搬送装置4’、ガスホルダ9、第2のガス搬送装置4”、予熱装置5、部分酸化改質装置6、高炉7が上流からこの順に連結されることによって構成される。
第2の実施形態は、ほとんどが第1の実施形態と共通しており、第1の実施形態との違いのみを説明する。
第2の実施形態では、ガスホルダ9をバッファとして1次改質ガスを一時的に貯留することができ、1次改質ガスの生産と2次改質ガスの生産を完全には同期する必要がない点で、操業性が向上する。ガスホルダ9の容量は、コークス炉1や高炉7の操業条件などに基づいて、適宜決めることができる。ガスホルダ9の入側・出側にそれぞれガス搬送装置4’、4”を設けるので、1次改質ガス生産側と2次改質ガス生産側それぞれの操業条件の特性に応じて、それぞれ最適なガス搬送装置を選択できる。例えば、第1のガス搬送装置4’は、昇圧が不要なので、ルーツブロワ等の安価な装置を適用することができる。第2の搬送装置4”には、市販の多段軸流コンプレッサ等を用いることができる。
図10に示した第2の実施形態における部分酸化改質装置6は、図1の燃焼器8を省略したもの(図8を参照して説明したタイプのもの)としている。とは言え、部分酸化改質装置6に熱を提供するための外部から供給するガスは、酸素と可燃性ガスを燃焼器を介して燃焼ガスとして供給してもよく(図7参照)、あるいは、酸素ガスだけを改質装置6へ供給してもよい(図9参照)。
以下の実施例により本発明をさらに説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の例では、水分低減手段を使わずコークス炉から得られた粗COGと、水分低減手段としてDAPSを用い石炭水分を低減させて操業するコークス炉から得られた減水粗COGを、原料ガスとして用いた。粗COGと減水粗COGの成分組成を表1に示す。
Figure 2016037624
〔比較例1〕
DAPSで減水処理された石炭を使用するコークス炉から抽気したCOGを、図3に示した炭化炉(固体カーボン分離機構なし)で処理(温度700℃以上、Ni−MgO系触媒使用)して1次改質ガスを製造し、スクラバを通して精製して、次いで昇圧(0.3MPa)し、部分酸化することなく間接加熱により昇温(800℃)して、高炉シャフト部へ供給した。
DAPSでの減水処理では、石炭水分を7%から4%に低減させた。減水処理した石炭をベルトコンベアでコークス炉上の貯炭槽に搬送後、市販の装入車を用いて貯炭槽からコークス炉内へ搬送した。コークス炉のコークス上昇管に設けた分岐管から、約800℃の減水粗COGを吸引して抽気した。抽気した減水粗COGを、その温度低下抑制のため周囲を保温した通気管により炭化炉に供給した。
炭化炉は、通気断面(水平面)寸法が120mm×900mm、通気方向高さが1200mmであった。炭化炉内の粒状体層(触媒層)は、炭化炉内に充填された触媒(直径15mm)を底部がすのこ状の保持器で保持して形成され、高さが600mmであった。操業中、炭化炉は外部加熱によって800℃の温度を維持し、2時間の運転で4kgのコークを生成した。特に断らない限り、炭化炉の触媒層に堆積したコーク(固体カーボン)は運転中に触媒層から分離・回収はしなかった。触媒層に堆積したコーク(固体カーボン)を定期的に保持器を上下に昇降させて分離・回収する場合は、運転時間を24時間とした。保持器の昇降は、炭化炉壁を貫通する伝導軸の炉外末端にエアシリンダを装着してこれを往復動(ストローク30mm)させて行った。
精製装置としてはスクラバを使用し、減水粗COG中のタールと水分の大半を除去して、一次改質ガスを製造した。スクラバ通過後のガス温度は約50℃であった。スクラバからの出口側の通気管にサンプリング用の分岐を設け、1次改質ガスを抽気して、これを市販のガスクロマトグラフィ装置に供給してオンライン成分分析を行った。分析結果を表2に示す(「減水粗COGの熱分解組成」)。
Figure 2016037624
水素製造時CO2生成量を、1次改質ガス中のCO2量、上記熱分解反応における理論反応熱+1次改質ガスの昇温・昇圧に要するエネルギを天然ガスの完全燃焼によって得る場合の燃焼排ガス中理論CO2量から算出した。算出結果を表2にΔCO2値として示す。得られた値(0.13%)は、前述の水素ガス1molを製造する際に許容される水素製造時生成CO2量の許容値(0.16molCO2/molH2)の範囲内であるが、メタン濃度が過大であり、このままでは高炉シャフト部供給用還元ガスには適用できない。
〔比較例2〕
水素製造時CO2生成量が前記の許容値範囲内となる、比較例1の減水粗COGの熱分解よる1次改質ガスを用いて、触媒水蒸気改質により2次改質ガスを製造した場合の2次改質ガス成分組成および1次・2次改質を総合した水素製造時CO2生成量を、2次改質の反応温度における平衡条件を仮定して熱力学計算によって算出した。2次改質については、平衡計算により得られる100%のメタン分解時の各成分の生成量の値と、各成分の生成量を約100%メタン分解時の値のそれぞれ70%とし、1次改質ガスでの30%のメタンが改質ガスに残留すると仮定して得た値とを使用した(改質においては約100%のメタン分解(平衡)が得られるとは限らないので、メタンが不完全に分解される例も検討したものである)。表3に、使用した100%メタン分解時の各成分の生成量と70%分解時の各成分の生成量を示す。
Figure 2016037624
1000℃を大きく超える条件での炭化水素の水蒸気改質反応または部分酸化反応(無触媒)で得られるガス成分は、反応器内でのガスの滞留時間を十分に設ければ、反応終了温度(実質的に反応器出側温度)での平衡組成に近いものになることが知られているので、平衡成分を算出することによって、1000℃を大きく超える条件での水蒸気改質反応または部分酸化反応(無触媒)の改質性能を評価できる。
触媒水蒸気改質による2次改質ガスは、1次改質ガスを昇温(800℃)し、触媒反応器で処理(水蒸気添加(S/C(H2O分子数/炭化水素中C原子数)=2、反応温度700℃以上、Ni−MgO系触媒使用)して製造し、こうして製造した2次改質ガスを一旦冷却し、昇圧(0.3MPa)後、間接加熱で昇温(800℃)して高炉シャフト部に供給するものとした。
水素製造時CO2生成量を、1次改質時に供給するエネルギに起因するCO2、上記成分中のCO2、上記水蒸気改質反応における理論反応熱+2次改質ガスの昇温・昇圧に要するエネルギを天然ガスの完全燃焼によって得る場合の燃焼排ガス中理論CO2量から算出した。結果を表3に示す。
100%メタン分解時の平衡組成、非平衡の70%改質組成とも、水素製造時CO2生成量が前記の許容値(0.16molCO2/molH2)を超え、過大となった。よって、この場合の2次改質ガスは高炉シャフト部供給用還元ガスとして好適でない。さらに、2次改質ガス中の水分が過大(許容値:10%)であり、このままでは高炉シャフト部へ供給できず、冷却による水分除去工程が必須である。従って、1次改質ガスを予め昇圧・昇温してから触媒水蒸気改質を行ったとしても、やはり一旦改質ガスを冷却する必要がある。
〔実施例1〕
比較例1の減水粗COGの熱分解よる1次改質ガスを用いて、部分酸化により2次改質ガスを製造した場合の2次改質ガス成分組成および1次・2次改質を総合した水素製造時CO2生成量を、比較例2で説明したようにして求めた。表4に、使用した100%メタン分解時の各成分の生成量と70%分解時の各成分の生成量を、減水粗COGの熱分解組成(表2に示したものと同じ)とともに示す。
Figure 2016037624
部分酸化による2次改質ガスは、1次改質ガスを昇圧(0.3MPa)、昇温(500℃)し、部分酸化改質装置で処理(純酸素ガス添加(1次改質ガス中の全カーボン原子モル流量の0.5倍)による部分酸化)して製造し、こうして製造した2次改質ガスを直接高炉シャフト部に供給するものとした。部分酸化時の可燃性ガスとしては、1次改質ガスを使用し、酸素ガスを1次改質ガス中に直接、供給するものとした(酸素ガス供給モル流量は、1次改質ガス流量の0.12倍)。
水素製造時CO2生成量を、1次改質時に供給するエネルギに起因するCO2、上記成分中のCO2、O2の製造に要するエネルギを天然ガス火力発電によって得る場合の燃焼排ガス中理論CO2量、1次改質ガスの昇温・昇圧に要するエネルギを天然ガスの完全燃焼によって得る場合の燃焼排ガス中理論CO2量から算出した。結果を表4に示す。
水素製造の効率性は、次の水素増幅率を用いて評価することができる。
[水素増幅率] = [製品ガス中の水素流量] / [原料ガス中の水素流量]
この式により求めた水素増幅率も、表4に示す。本実施例での水素増幅率は2を大きく超える値であり、水素製造の効率は比較的高いと言える。
100%メタン分解時の平衡組成、非平衡の70%改質組成とも、水素製造時CO2生成量が前記の許容値(0.16molCO2/molH2)よりも十分小さく、問題がない。また、メタン成分は粗COGに比べて微量であり、水素濃度も高く、残りのガス成分中でも還元性を有するCOの比率が高い。H2O濃度も許容範囲である。従って、本例で製造した2次改質ガスは高炉シャフト部供給用還元ガスとして好適である。
熱計算を行って、上記の供給酸素量での部分酸化反応で処理ガス(2次改質ガス)が最高1500℃に到達することも確認した。
反応器としての部分酸化改質装置は、例えば、1次改質ガス1m3当たり0.15m3の容量とすることで十分なガス滞留時間を確保できることも確認した。
〔実施例2〕
炭化炉に図3に示す固体カーボン分離機構を追加し、運転時間を24時間とした以外は、実施例1と同様にして1次改質ガスを部分酸化し、2次改質ガスを製造した。スクラバで精製後の1次改質ガスのオンライン分析により得た減水粗COGの熱分解組成と、100%メタン分解時の各成分の生成量と70%分解時の各成分の生成量の計算値、水素製造時CO2生成量の計算値を表5に示す。
Figure 2016037624
24時間の運転で、炭化炉において40kgのコークが生成し、そのうちの37kgをオンラインで触媒層から除去した。固体カーボン(コーク)分離手段の適用によって、炭化炉閉塞を防止でき、省CO2での水素製造を長時間にわたって実施できた。
100%メタン分解時の平衡組成、非平衡の70%改質組成とも、水素製造時CO2生成量が前記の許容値(0.16molCO2/molH2)よりも十分小さく、問題がない。また、メタン成分は粗COGに比べて微量であり、水素濃度も高く、残りのガス成分中でも還元性を有するCOの比率が高い。H2O濃度も許容範囲である。従って、本例で製造した2次改質ガスも高炉シャフト部供給用還元ガスとして好適である。
〔比較例3〕
精製COG(粗COG中のタール・BTX(ベンゼン等の芳香族化合物)・水分・硫化物・窒化物の大半を除去する精製処理を施して燃料ガスとしたもの。製鉄所内での燃料として広く用いられている)の触媒水蒸気改質を説明する。
ガスホルダからの精製COG(1次改質ガス)を昇温(800℃)し、触媒反応器で処理(水蒸気添加(S/C=2)、反応温度700℃以上、Ni−MgO系触媒使用)して2次改質ガスを製造し、これを冷却し、昇圧(0.3MPa)後、間接加熱で昇温(800℃)して高炉シャフト部へ供給するものとし、比較例2で説明したように2次改質ガスの100%メタン分解時の各成分の生成量と70%分解時の各成分の生成量を計算で求めた。
水素製造時CO2生成量を、上記成分中のCO2、上記水蒸気改質反応における理論反応熱+2次改質ガスの昇温・昇圧に要するエネルギを天然ガスの完全燃焼によって得る場合の燃焼排ガス中理論CO2量から算出した。
得られた結果を表6に示す。
Figure 2016037624
100%メタン分解時の平衡組成、非平衡の70%改質組成とも、水素製造時CO2生成量が前記の許容値(0.16molCO2/molH2)を超え、過大となった。よって、この例の2次改質ガスは高炉シャフト部供給用還元ガスとして好適でない。さらに、2次改質ガス中の水分が過大(許容値:10%)であり、このままでは高炉シャフト部へ供給できず、冷却による水分除去工程が必須である。従って、精製COGを予め昇圧・昇温してから触媒水蒸気改質を行ったとしても、やはり一旦改質ガスを冷却する必要がある。
〔比較例4〕
粗COG(水分低減手段を使わずコークス炉から得られたCOG、組成は表1参照)の触媒水蒸気改質を説明する。
コークス炉(24時間の運転を実施)から抽気した粗COGを触媒反応器で処理(800℃水蒸気添加(S/C=2)、反応温度700℃以上、Ni−MgO系触媒使用)して2次改質ガスを製造し、スクラバを通して精製後、昇圧(0.3MPa)し、間接加熱で昇温(800℃)して高炉シャフト部供給するものとし、比較例2で説明したように2次改質ガスの100%メタン分解時の各成分の生成量と70%分解時の各成分の生成量を計算で求めた。また、水素製造時CO2生成量を、上記成分中のCO2、上記触媒水蒸気反応における理論反応熱+改質ガスの昇温・昇圧に要するエネルギを天然ガスの完全燃焼によって得る場合の燃焼排ガス中理論CO2量から算出した。得られた結果を表7に示す。
Figure 2016037624
100%メタン分解時の平衡組成、非平衡の70%改質組成とも、水素製造時CO2生成量が前記の許容値(0.16molCO2/molH2)を超え、過大となった。よって、この例の2次改質ガスは高炉シャフト部供給用還元ガスとして好適でない。
〔比較例5〕
特許文献5に記載された部分酸化改質による、高炉シャフト部供給用還元ガスの製造を説明する。
特許文献5では、コークス炉から抽気した粗COGを、純酸素添加による部分酸化(粗COG自体を可燃性ガスとして用いる)で改質後、スクラバで精製して、高炉シャフト部供給用還元ガスを製造している。特許文献5の実施例に示された部分酸化による改質ガスの成分組成と、そのCO2生成量及び水素生成量から算出した水素製造時CO2生成量を表8に示す。
Figure 2016037624
水素製造時CO2生成量が前記の許容値(0.16molCO2/molH2)を超え、非常に過大であることが分かる。
〔比較例6〕
減水粗COGの炭化炉での熱分解による1次改質ガスの製造と、触媒水蒸気改質による2次改質ガスの製造の例を説明する。
1次改質ガスの製造は、実施例2で説明したとおりに行った。次いで、1次改質ガスを昇温(800℃)し、触媒反応器で処理(水蒸気添加(S/C=2、反応温度700℃以上、Ni−MgO系触媒使用)して2次改質ガスを製造し、これを一旦常温まで冷却後、昇圧(0.3MPa)、昇温(800℃)して、高炉シャフト部へ供給するものとした。比較例2で説明したように2次改質ガスの100%メタン分解時の各成分の生成量と70%分解時の各成分の生成量を計算で求めた。
水素製造時CO2生成量を、1次改質時に供給するエネルギに起因するCO2、上記成分中のCO2、上記触媒水蒸気改質反応における理論反応熱+2次改質ガスの昇温・昇圧に要するエネルギを天然ガスの完全燃焼によって得る場合の燃焼排ガス中理論CO2量から算出した。
得られた結果を表9に示す。
Figure 2016037624
100%メタン分解時の平衡組成、非平衡の70%改質組成とも、水素製造時CO2生成量が前記の許容値(0.16molCO2/molH2)を超え、過大となった。よって、この例の2次改質ガスは高炉シャフト部供給用還元ガスとして好適でない。さらに、2次改質ガス中の水分が過大であり、このままでは高炉シャフト部へ供給できず、冷却による水分除去工程が必須である。従って、1次改質ガスを予め昇圧・昇温してから触媒水蒸気改質を行ったとしても、やはり一旦改質ガスを冷却する必要がある。
〔比較例7〕
精製COGの部分酸化による改質を説明する。
ガスホルダからの精製COG(1次改質ガス)を昇圧(0.3MPa)、昇温(500℃)し、実施例1で説明したように部分酸化改質装置で処理(純酸素添加による部分酸化)して2次改質ガスを製造し、こうして製造した2次改質ガスを直接高炉シャフト部に供給するものとした。比較例2で説明したように、2次改質ガスの100%メタン分解時の各成分の生成量と70%分解時の各成分の生成量を、計算で求めた。水素製造時CO2生成量を、2次改質ガス成分中のCO2量、O2の製造に要するエネルギを天然ガス火力発電によって得る場合の燃焼排ガス中理論CO2量+精製COGの昇温・昇圧に要するエネルギを天然ガスの完全燃焼によって得る場合の燃焼排ガス中理論CO2量から算出した。得られた結果を表10に示す。
Figure 2016037624
100%メタン分解時の平衡組成、非平衡の70%改質組成とも、水素製造時CO2生成量が前記の許容値(0.16molCO2/molH2)の範囲内ではあるものの、実施例1、2よりも水素増幅率が大幅に低く、水素製造の効率性は本発明例の実施例1、2に比べて劣る。また、製品ガス成分に関しても、水素濃度が原料ガス(精製COG:水素濃度53%)から僅かに増加しているだけであり、水素の純度の観点からも本発明での製品ガスに劣る。
以上の結果から、代表的な従来法では省CO2条件での還元ガス製造を実施できず、本発明の優位性は明らかである。
1 コークス炉
1A 水分低減手段
1B 石炭搬送手段
2 炭化炉
3 ガス精製装置
4、4’、4” ガス搬送手段
5 予熱装置
6 部分酸化改質装置
7 高炉
8 燃焼器
11 炭化炉内壁
12 保持器
13、13’ 粒状体層
14 COG
15 改質ガス
16、17 炭化炉の開口
18 ガス流れ
20 保持器駆動機構
21 駆動装置
22 伝導軸
25 固体カーボン
30 固体カーボン保持機構
31 固体カーボン分離機構
32 熱供給手段
33、34 通気管
35 非反応部
46 除塵装置
47 固体カーボン流れ
48 粒状体流れ
50 粒状体供給口
51 粒状体排出口
52 粒状体排出手段
53 篩
54 粒状体
55 粒状体回収器
56 粒状体還流路
57 入側空間
58 出側空間
61 焼器
62 酸素ガス供給管
63 可燃性ガス供給管
64 温度計
65 燃焼領域
68、69 通気管

Claims (12)

  1. 1)コークス炉ガス中の水分低減手段を備えたコークス炉と、
    2)700℃以上に保持され、コークス炉から発生したコークス炉ガスを熱分解する炭化炉と、
    3)炭化炉から抽気したガス中のタールおよび少なくとも一部の水分を除去するガス精製装置と、
    4)精製後のガスを昇圧するガス搬送装置と、
    5)ガスの予熱装置と、
    6)予熱した前記ガスの部分酸化のため当該ガスに燃焼ガスを混合するための手段を装備している部分酸化改質装置と、
    7)高炉シャフト部へのガス供給口と、
    8)上記1)〜7)をこの順に連結する通気管と、
    から構成されることを特徴とする、高炉へのガス供給装置。
  2. 前記部分酸化改質装置における前記予熱したガスと前記燃焼ガスとの混合のための手段が、
    (a)酸素ガスと可燃性ガスの供給を受け、可燃性ガスの燃焼により生じる燃焼ガスを前記部分酸化改質装置へ供給するための燃焼器、
    (b)前記部分酸化改質装置内に酸素ガスと可燃性ガスとを個別にまたは一緒にして供給するための供給管、
    (c)前記部分酸化改質装置内に酸素ガスを単独に供給するための供給管、
    のうちのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の高炉へのガス供給装置。
  3. 前記炭化炉がタールを改質するため充填された触媒層を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の高炉へのガス供給装置。
  4. 前記炭化炉が、前記触媒層の触媒間に堆積する固体カーボンをオンラインで除去する固体カーボン分離手段を備えることを特徴とする、請求項3に記載の高炉へのガス供給装置。
  5. 前記固体カーボン分離機構が、前記炭化炉の内壁に接する前記触媒層を保持する保持器と、前記保持器を昇降させることにより前記触媒層を昇降させるための駆動機構とから構成されることを特徴とする、請求項4に記載の高炉へのガス供給装置。
  6. 前記可燃性ガスが天然ガスであることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の高炉へのガス供給装置。
  7. 精製後のガスを昇圧する前記ガス搬送装置と前記予熱装置との間に、前記精製後のガスを一時的に貯留するガスホルダと、ガスホルダからのガスを昇圧する別のガス搬送手段とを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の高炉へのガス供給装置。
  8. 1)請求項1から6のいずれかに記載の高炉へのガス供給装置を用い、
    2)前記コークス炉からのコークス炉ガスを前記炭化炉に通気させる際に、コークス炉ガス中の炭化水素をコークと水素に分解することによって水素濃度を増大させ、
    3)前記炭化炉を通過したガス中のタールおよび少なくとも一部の水分を前記ガス精製装置によって除去して第1の改質ガスを製造し、
    4)前記第1の改質ガスを前記ガス搬送装置で昇圧し、
    5)昇圧した前記第1の改質ガスを前記予熱装置で予熱し、
    6)前記部分酸化改質装置に、予熱された前記第1の改質ガスを供給するとともに、燃焼ガスを供給して、前記第1のガス中の炭化水素を改質して水素濃度を増大させた第2の改質ガスを製造し、
    7)前記第2の改質ガスを前記高炉シャフト部へのガス供給口から高炉内に供給する、
    ことを特徴とする高炉へのガス供給方法。
  9. 前記第1の改質ガスを前記ガス搬送装置で少なくとも0.2MPaの圧力に昇圧することを特徴とする、請求項8に記載の高炉へのガス供給方法。
  10. 前記予熱装置において前記第1の改質ガスを300〜800℃に予熱することを特徴とする、請求項8または9に記載の高炉へのガス供給方法。
  11. 前記部分改質装置への燃焼ガスを、
    (a)酸素ガスと可燃性ガスを燃焼器に供給して生じさせた燃焼ガスとして供給するか、
    (b)酸素ガスと可燃性ガスを前記部分改質装置内に供給して当該部分酸化改質装置内で燃焼ガスを生じさせることにより供給するか、
    (c)酸素ガスを前記部分酸化改質装置内に供給して前記第1の改質ガスの一部を燃焼させることにより供給する、
    ことを特徴とする、請求項8から10のいずれかに記載の高炉へのガス供給方法。
  12. 前記ガス搬送装置で昇圧したガスを一時的にガスホルダに貯留し、このガスホルダからのガスを別のガス搬送手段によりさらに昇圧してから前記予熱装置に供給することを特徴とする、請求項8から11のいずれかに記載の高炉へのガス供給方法。
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