JP2016037566A - 四酸化三鉄を含む可食性インクジェットインク組成物 - Google Patents

四酸化三鉄を含む可食性インクジェットインク組成物 Download PDF

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俊樹 渡邊
Toshiki Watanabe
俊樹 渡邊
渡邊 正人
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正人 渡邊
勝浩 今泉
Katsuhiro Imaizumi
勝浩 今泉
満博 福田
Mitsuhiro Fukuda
満博 福田
孝 吉武
Takashi Yoshitake
孝 吉武
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Abstract

【課題】優れた耐変色性、耐退色性および安定性を有する、可食性インクジェットインク組成物を提供する。
【解決手段】(A)平均粒径が700〜900nmの四酸化三鉄、および(B)平均粒径が50〜600nmの四酸化三鉄を含み、前記成分(A):(B)の重量比が40〜60:60〜40である、可食性インクジェットインク組成物であり、(A)と(B)の合計量が、前記組成物中1.8〜12.5重量%である可食性インクジェットインク組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、四酸化三鉄を含む可食性インクジェットインク組成物に関する。
可食性インクとは、全成分が可食材料から構成される食用インクであり、食品、医薬品などに用いられている。食品、医薬品ヘの印刷方式は、インクジェット印刷、スクリーン印刷、転写印刷等がある。例えば、シェラック樹脂と可食性色素を含む可食性インク組成物や、水、アルコール、界面活性剤、隠蔽力を有する可食性の不溶性無機質微粉末、安定剤としての増粘剤、および必要に応じて他の樹脂や可食性高分子化合物を含む可食性インク組成物が提案されている。
食品、医薬品は、形状および性状が種々であるため、スクリーン印刷や転写(タンポ印刷等)等の印刷方式を採用する場合、凹凸のある物、表面の柔らかい物、または不規則な形状の物への印刷は困難である。またこれらの印刷方式では、食品、医薬品が装置に直接触れるので衛生面において問題がある。このため、凹凸のある物、表面の柔らかい物、または不規則な形状の物への印刷が容易であり、かつ衛生的に印刷できるインクジェット印刷によって、食品、医薬品に印刷を施すことが提案されている。
このようなインクジェットインク組成物として、可食性色素、水溶性溶媒、および必要に応じて可食性樹脂とからなる組成物が知られている。しかしながら、このようなインクは、光照射による光分解や酸化等により変色や退色が生じるとの問題があった。これを解決するために、特許文献1には、可食性安定剤としてヤマモモ抽出物等を用いた可食性インクジェットインク組成物が提案されている。
特開平9−302294号公報
かかる事情を鑑み、本発明は、優れた耐変色性、耐退色性および安定性を有する、可食性インクジェットインク組成物を提供することを目的とする。
発明者らは、鋭意検討の結果、色材として粒径の異なる四酸化三鉄(黒酸化鉄)を用いることで前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、前記課題は、以下の本発明によって解決される。
(1)(A)平均粒径が700〜900nmの四酸化三鉄、および
(B)平均粒径が50〜600nmの四酸化三鉄
を含み、
前記成分(A):(B)の重量比が40〜60:60〜40である、
可食性インクジェットインク組成物。
(2)前記前記成分(A)と(B)の合計量が、前記組成物中1.8〜12.5重量%である、(1)に記載の組成物。
(3)水性である、(1)または(2)に記載の組成物。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「〜」は両端の数値を含む。
1.可食性インクジェットインク組成物
インクジェットインク組成物とは、インクジェット印刷を可能とするインク組成物である。組成物が可食性であるとは、食べることのできる材料で組成物が構成されていることである。当該材料は、日本薬局方に定められた材料であることが好ましい。本発明の可食性インクジェットインク組成物は、粒径の異なる四酸化三鉄を有する。以下、成分等について説明する。
(1)四酸化三鉄
本発明では可食性顔料として四酸化三鉄を用いる。顔料とは、特定の波長の光を反射しその他の波長の光を吸収する固体であって、対象物を着色するために用いられる固体である。四酸化三鉄は磁性体であるので、粒子としてインク組成中に分散すると時間の経過とともに凝集しやすい。このため、従来、インクジェットインク組成物に四酸化三鉄を使用することは困難であった。
しかし、本発明では、(A)平均粒径が700〜900nmの四酸化三鉄、および(B)平均粒径が50〜600nmの四酸化三鉄を用いるため、凝集しにくいインクジェットインク組成物を提供できる。この理由は限定されないが、適度な粒径分布により、組成物中で四酸化三鉄粒子同士が磁性によって凝集する力が弱まるためではないかと推察される。この観点から、(A)の平均粒径は750〜850nmが好ましい。また(B)の平均粒径は400〜600nmが好ましく、450〜550nmがより好ましい。平均粒径は、光散乱法等の公知の手段で測定できる。
さらに、分散性の観点から、(A):(B)の重量比は、40〜60:60〜40が好ましく45〜55:55〜45がより好ましい。
分散性およびコストの観点から、四酸化三鉄の合計量は組成物中1.8〜12.5重量%が好ましく、3〜10重量%がより好ましい。
(3)水
環境負荷や安全性を考慮すると、本発明の可食性インクジェットインク組成物は水性であることが好ましい。よって、本発明では溶媒として水を使用することが好ましい。特に精製水、イオン交換水など、純度の高い水が好ましい。インク組成物の流動性等を考慮すると、水の含有量は組成物中20〜65重量%が好ましく、40〜60重量%がより好ましい。
(4)水性有機溶媒
本発明の可食性インクジェットインク組成物は公知の水性有機溶媒を含んでいてもよい。水への溶解性に乏しい成分等を溶解できるからである。水性有機溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の可食性アルコールが挙げられる。この場合の水性有機溶媒の添加量は、組成物中0.5〜50重量%が好ましく、20〜45重量%がより好ましい。中でも、水性有機溶媒としてはグリセリンまたはプロピレングリコールがより好ましい。これらの溶媒は、保湿剤としても優れ、入手も容易であるからである。
(5)樹脂
印字をより明確にするために、あるいは顔料の分散安定性を高めるために、本発明の可食性インクジェットインク組成物は、樹脂を含んでいてもよい。樹脂としては当該分野で通常使用され、かつ可食性のものであれば限定されないが、天然樹脂が好ましい。天然樹脂としては、パームヤシ類等が挙げられる。天然樹脂の含有量は、組成物中0.2〜21重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。
(6)界面活性剤
本発明の可食性インクジェットインク組成物は可食性の界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤はインク組成物の表面張力を適正な範囲に調整して、インクの吐出安定性を向上させる。本発明で使用できる界面活性剤としては、カフェタンニン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、キラヤサポニン、ブロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、酵素処埋レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、アミロース、バリウム塩化物水和物、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ローズマリー類、ピロリン酸ナトリウム等が挙げられる。界面活性剤は単独で用いてもよいし複数種を併用してもよい。界面活性剤の含有量は、組成物中0.01〜0.5重量%が好ましい。
(7)添加剤
本発明の可食性インクジェットインク組成物は、通常、インク組成物に使用される各種添加剤であって、可食性の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、キレート剤や防かび剤が挙げられる。これらの量は、それぞれ組成物中0.01〜0.5重量%が好ましい。
中でもキレート剤は、可食性顔料の分散性向上に効果があるので好ましい。キレート剤としてはヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム等が挙げられる。
(8)その他の添加剤
本発明の可食性インクジェットインク組成物は、この他に以下の可食性添加剤を含んでいてもよい。
フラボノイド類、カルボキシナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウムレシチン、アエロジル、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、ポリビニル、リン酸水素二ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、グアーガム、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、ペクチン、タマリンドガム、キサンタンガム、メタリン酸カリウム、カルボキシメチルセルロース、クエン酸、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、エリソルビン酸ナトリウム、メチルセルロース。
これらの添加剤は単独で用いてもよいし複数種を併用してもよい。添加剤の含有量は、組成物中0.05〜11重量%が好ましい。
2.可食性インクジェットインク組成物の製造方法
本発明の可食性インクジェットインク組成物は、前記成分を公知の方法で撹拌して混合することで製造できる。製造方法は限定されないが、顔料の分散性を高める観点から、1)水と樹脂を混合する工程、2)当該混合物に可食性顔料を混合する工程、を含む製造方法が好ましい。
水性有機溶媒を用いる場合は、水性有機溶媒を工程1において混合することが好ましい。工程1は、ボールミル等の公知の混合手段を用いて10〜30分程度撹拌して行うことが好ましい。界面活性剤を用いる場合は、界面活性剤を工程2において混合することが好ましい。工程2はボールミル等の公知の混合手段を用いて0.5〜2時間程度撹拌して行うことが好ましい。添加剤を用いる場合、工程2で得られた混合物に添加剤を添加して混合する(工程3)ことが好ましい。工程3はボールミル等の公知の混合手段を用いて2〜4時間程度撹拌して行うことが好ましい。各工程の混合温度は室温が好ましい。
3.可食性インクジェットインク組成物の特性
(1)特性
本発明の可食性インクジェットインク組成物は、耐退色性および耐変色性に優れ、かつ分散安定性が高いという特徴を有する。退色および変色しにくい理由は、顔料である四酸化三鉄を使用するためである。従来、顔料を用いると分散性が低下し満足の行くインクジェットインク組成物を得ることができなかったが、本発明では前述のとおり特定の粒径を有する2種類の四酸化三鉄を使用するため、分散安定性を向上できると推察される。本発明の可食性インクジェットインク組成物は、これらに加えて水性とすることもでき、安全性が高く、かつ環境負荷が小さいという利点も有する。
(2)用途
このような特性から、本発明の可食性インクジェットインク組成物は、医薬品、食品等へインクジェット印刷する際のインクとして有用である。
[実施例1]
表1に示す材料を準備した。四酸化三鉄として平均粒径が800nmのもの、平均粒径が500nmのものを用いた。これらの材料を、ビーカーに装入し、ジルコニアビーズとともにマグネチックスターラーを用いて室温で4時間撹拌してインク組成物を得た。当該インク組成物は茶系の色調を有していた。
当該インク組成物を室温で30日間静置したところ、沈降は認められなかった。しかしながら、使用前はボトルシェーカーにインク組成物を入れて3時間撹拌することが望ましい。
[比較例1]
組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして組成物を製造した。当該インク組成物を室温で30日間静置したところ、沈降が認められた。
Figure 2016037566
[実施例2]
実施例1で得たインク組成物を用いて、インクジェット方式により錠剤へ印刷を施した。印字は、他に色移りせず、かつ滲まず、良好な安定性を有していた。この錠剤にキセノン光を120万lx・h照射して、印字の退色および変色を評価した。結果を表2に示す。
[比較例2]
株式会社松岡機械製作所製インクジェット式錠剤印刷システム「ツーアイム」を用いて印刷された錠剤について、実施例1と同様の実験を行った。当該システムで使用するインク組成物は本願発明のインク組成物とは異なる。
[比較例3]
パッド式印刷により印字された市販の錠剤について、実施例1と同様の実験を行った。これらの結果を表2に示す。
Figure 2016037566

Claims (3)

  1. (A)平均粒径が700〜900nmの四酸化三鉄、および
    (B)平均粒径が50〜600nmの四酸化三鉄
    を含み、
    前記成分(A):(B)の重量比が40〜60:60〜40である、
    可食性インクジェットインク組成物。
  2. 前記前記成分(A)と(B)の合計量が、前記組成物中1.8〜12.5重量%である、請求項1に記載の組成物。
  3. 水性である、請求項1または2に記載の組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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