{実施形態}
以下、第1実施形態に係るサンシェードについて説明する。
<全体構成>
まず、サンシェードの全体構成について説明する。図1、図3及び図5は、サンシェード20を車両10に組込んだ状態を示す概略側面図であり、図2、図4及び図6はサンシェード20を車両10に組込んだ状態において車両後方から見た状態を示す概略背面図である。図1及び図2はシェード22が巻取シャフト32に巻取られた収納状態を示しており、図3及び図4はシェード22が途中まで引出された状態を示しており、図5及び図6はシェード22が窓14の全体を覆うように引出された状態を示している。
本サンシェード20の適用対象としては、車両10の後方の窓14が想定される。すなわち、車両の後方には、台形状(より具体的には、上方に向けて徐々に幅寸法が狭くなる等脚台形状)の窓14が設けられている。窓14の下方にはパネル部材11(パッケージトレイとも呼ばれる)が設けられ、窓14の両側方には枠部材12(ピラーとも呼ばれる)が設けられ、窓14の上方には天井13が設けられている。
本サンシェード20は、車室内において上記パネル部材11に組込まれ、窓14の下縁部に沿って配設される。そして、パネル部材11に形成されたスリット11Sを通じてシェード22が引出され、これにより、窓14が車室内側からシェード22によって遮蔽されるようになっている。
もっとも、本サンシェード20の適用対象は、上記例に限られず、車両のサイド窓等であってもよい。
このサンシェード20は、シェード22と、巻取装置30と、引出部材40と、一対のレール50と、一対のランナー60と、一対のリンク部材80とを備える。
シェード22は、巻取可能な程度に柔軟なシート状部材によって形成されており、展開状態で、対象となる窓14を遮蔽可能な形状に形成されている。シェード22は、布材、樹脂シート等を、窓14の外形状に応じて裁断等することによって形成されている。シェード22は、メッシュ状に形成されていてもよい。ここでは、シェード22は、窓14の外形状に合わせた等脚台形状に形成されている。このシェード22は、平行な状態で対向する2つの辺を有しており、2つの辺のうちの長い方の下底側の辺が長辺側縁部22aであり、2つの辺のうち短い方の上底側の辺が短辺側縁部22bである(図6参照)。また、シェード22は、長辺側縁部22aの両端部と短辺側縁部22bの両端部とをそれぞれ結ぶ一対の傾斜縁部22cを有している(図6参照)。一対の傾斜縁部22cは、直線状に形成されている。そして、長辺側縁部22aから短辺側縁部22bに向けて、一対の傾斜縁部22cの間隔寸法が徐々に小さくなるように形成されている。
そして、シェード22が巻取装置30からほぼ全体的に引出された状態で、本シェード22が窓14の内側から当該窓14のほぼ全体を覆えるようになる。
巻取装置30は、所定の軸周りに回転可能に支持された巻取シャフト32を備える。巻取シャフト32は、その両端側でシャフト固定ブラケットによって回転可能に支持されている。そして、このシャフト固定ブラケットが上記パネル部材11のスリット11Sの下方で車両10に固定される。また、巻取シャフト32は、コイルバネ等の巻取付勢機構によってその回転方向一方側(シェード22を巻取る方向)に回転付勢されている。
上記シェード22の長辺側縁部22aは、本巻取シャフト32に対して回転不能に固定されている。なお、以下の説明では、シェード22の長辺側縁部22a側を基端側、短辺側縁部22b側を先端側という場合がある。そして、巻取シャフト32を一方側に回転させることで、シェード22が巻取シャフト32に巻取られて収容される。また、この状態からシェード22の短辺側縁部22bを引っ張ることで、前記巻取付勢機構の付勢力に抗して巻取シャフト32が引出方向に回転し、シェード22が外部に引出されるようになる。上記のように巻取装置30をパネル部材11の下方に取付けた状態では、シェード22は、スリット11Sを通って、外部に引出される。
引出部材40は、シェード22の先端側である短辺側縁部22bに取付けられた棒状部材に形成されている。ここでは、引出部材40の長さ寸法は、短辺側縁部22bの長さ寸法と同じであるか、短辺側縁部22bの長さ寸法よりも大きい(僅かに大きい)。引出部材40は、樹脂材、アルミニウム等の金属材によって形成することができる。引出部材40の短辺側縁部22bの全体が引出部材40に取付けられていることが好ましいが、これは必須ではない。
一対のレール50は、金属等により形成された長尺部材に形成されている。一対のレール50は、同じ長さ寸法に形成されている。
また、ここでは、レール50は、直線状に延在する長尺部材に形成されている。もっとも、レール50は、ランナー60を移動可能に支持できる範囲内で湾曲していてもよい。
レール50の内部には、その延在方向に沿ってランナー60をガイド可能なガイド溝51が形成されている(図7参照)。ガイド溝51は、一対のレール50の間を向くように開口している。
また、一対のレール50は、巻取装置30からシェード22が引出された状態においてシェード22の両側縁部に沿って配設される。ここでは、シェード22は、上記したように等脚台形状に形成されており、その一対の傾斜縁部22cに沿って配設される。従って、一対のレール50は、その延在方向の全体において、対向する間隔寸法がシェード22の先端側に向けて徐々に小さくなるように配設される。そして、一対のレール50の間隔寸法が徐々に小さくなる構成によって、後に説明するように、引出部材40を窓14側に向けて移動させる。
もっとも、一対のレール50の延在方向全体において、対向する間隔寸法がシェード22の先端側に向けて徐々に小さくなるように配設されていることは必須ではない。一対のレールがその延在方向において部分的に湾曲しており、それらの延在方向の少なくとも一部において、間隔寸法が徐々に小さくなるように設定されていてもよい。この場合であっても、一対のレールの間隔寸法が徐々に小さくなる部分で、引出部材40を窓14側に向けて移動させることができる。
上記一対のレール50の上記姿勢での固定は、各レール50の基端部を巻取装置30の両端部に固定することで行われてもよいし、窓14の両側方の枠部材12に固定することで行われてもよい。一対のレール50は、ランナー60等を通じて、引出部材40を案内する。
一対のランナー60は、それぞれ一対のレール50の延在方向に沿って移動可能に構成されている。ここでは、ランナー60は、樹脂等で形成された部材であり、上記レール50のガイド溝51内に配設可能なブロック状に形成されたランナー本体部60aを含む。このランナー本体部60aがレール50のガイド溝51内を一定姿勢で移動できるようになっている。
ランナー本体部60aに対して、一対のレール50間に向けて突出するように支持部70が設けられている。支持部70は、樹脂又は金属等で形成された部材であり、ガイド溝51の開口を通過可能な程度の太さの長尺部材に形成されている。そして、ランナー60がレール50を移動する際に、支持部70はガイド溝51の開口を通って一対のレール50間に向けて突出した状態で、当該ランナー本体部60aと共に移動するようになっている。
一対のリンク部材80は、それぞれ樹脂又は金属等によって長尺状部材に形成されている。リンク部材80の一端部は、ランナー60の支持部70の先端部に対して回転可能に取付けられており、リンク部材80の他端部は引出部材40に回転可能に取付けられている。なお、ここでは、リンク部材80の他端部は、引出部材40の端部に取付けられている。もっとも、リンク部材80の他端部は、引出部材40の端部に取付けられる必要はなく、中央よりの位置に取付けられていてもよい。
一対のリンク部材80のそれぞれによって、一対のランナー60と、引出部材40とが連結される。これにより、シェード22を引出し或は巻取る際に、一対のランナー60と、引出部材40とが、一対のレール50の延在方向において同じ向きに移動することになる。
なお、ここでは、シェード22をモータ等の駆動装置(図示省略)による駆動力によって手作業によって引出或は巻取・収納することを想定している。例えば、ワイヤーがレール50に沿って配設されると共に、当該ワイヤーにランナー60が連結されており、当該ワイヤーをモータ等によって巻取、送り駆動等することによって、ランナー60がレール50に沿って引出方向、巻取方向に移動する。
<リンク部材の連結構成>
図7はリンク部材80の連結構成を示す説明図であり、図7(a)はシェード22が完全に巻取られた状態、図7(b)はシェード22が途中まで引出された状態、図7(c)はシェード22が完全に引出された状態を示している。
図1〜図7に示すように、引出部材40の両端部には一対のリンク部材80が連結され、一対のリンク部材80には一対の支持部70が連結されている。引出部材40と一対のリンク部材80と一対の支持部70とを直線状に配列した収納状態では、その長さ寸法は、一対のレール50の基端部に位置する一対のランナー60の支持部70間に配設可能な程度に設定されている。
このため、一対のランナー60が一対のレール50の基端部に位置する状態では、引出部材40と一対のリンク部材80とが、一対のランナー60を結ぶラインに沿って直線状又は直線状に近い状態で延在する。
一方、既に説明したように、一対のレール50の間隔寸法は、それらの先端側に向けて徐々に小さくなる。このため、一対のランナー60が一対のレール50の先端側に移動すると、一対のランナー60間には、引出部材40と一対のリンク部材80とが直線状に延在し得る間隔寸法を確保できなくなる。このため、一対のランナー60が移動してシェード22が巻取シャフト32から引出される際に、一対のランナー60を結ぶ方向における引出部材40と一対のリンク部材80との長さを、一対のランナー60間の距離に応じて調整するように、一対のリンク部材80が一対のランナー60及び引出部材40に対して回転する。すなわち、引出部材40と一対のリンク部材80との各間及び一対のリンク部材80と一対の支持部70との各間で曲げられる。これにより、シェード22を収納した位置からの引出部材40の引出に伴って、引出部材40が一対のレール50に対して離れるように移動する。すなわち、引出部材40が、一対のランナー60を結ぶラインから離れる方向に移動する。
ここで、一対のリンク部材80のそれぞれの一端部は、一対の支持部70に対してピン状部材88を介して一対の第1回転軸X1を中心に回転可能に取付けられており、一対のリンク部材80のそれぞれの他端部が引出部材40に対して他のピン状部材88を介して一対の第2回転軸X2を中心に回転可能に取付けられている。このため、一対のリンク部材80は、第1回転軸X1に対して直交する面内で回転し、引出部材40は第2回転軸X2に対して直交する面内で回転する。
ここでは、一対の第1回転軸X1と一対の第2回転軸X2とは平行に設定されている。これにより、一対のリンク部材80と引出部材40とは、第1回転軸X1と第2回転軸X2との双方に対して直交する平面上で円滑に移動できるようになっている。もっとも、引出部材が湾曲している態様あり得る。このような場合には、引出部材40の両端部の関係において、一対の第1回転軸X1同士が平行で、また、一対の第2回転軸X2同士が平行である必要はない。一対のリンク部材の少なくとも一方において(好ましくは両方のそれぞれにおいて)、第1回転軸と第2回転軸とが平行であることが好ましい。
また、一対のランナー60が一対のレール50の先端側に移動する際において、引出部材40が移動する方向は、第1回転軸X1及び第2回転軸X2との方向によって決る。
ここでは、引出部材40が一対のランナー60を結ぶラインの移動軌跡に対して交差する方向(つまり、窓14側に近づく方向か離れる方向)に離れて移動できるように、第1回転軸X1に対する直交面が、一対のランナー60を結ぶラインの移動軌跡に対して斜めに交わる位置関係となるように設定されている。ここでは、一対のレール50は直線状に形成され、ランナー60は直線状に移動する。このため、一対のランナー60を結ぶラインの移動軌跡は、一対のランナー60間において平面を描く。第1回転軸X1及び第2回転軸X2が前記平面に対して直交していると、引出部材40は当該平面に沿って移動してしまう。そこで、ここでは、第1回転軸X1及び第2回転軸X2は、当該平面に対して非直交状態で交わるように設定されている。これにより、引出部材40は、一対のランナー60を結ぶラインの移動軌跡に対して交差する方向に離れて移動できるようになっている。この際の引出部材40の移動方向は、第2回転軸X2に対して第1回転軸X1よりも反対側である。
より具体的には、第1回転軸X1及び第2回転軸X2は、サンシェード20を側面視した状態(一対のレール50を結ぶ方向における一方側から視た状態)において、窓14側で、上記移動軌跡に対する直交方向に対して一対のレール50の基端側、つまり、窓14の下端側に傾くように設定されている(図3参照)。このため、一対のリンク部材80及び引出部材40は、第1回転軸X1及び第2回転軸X2に対して直交する方向、即ち、窓14側において移動軌跡に対する直交方向に対して一対のレール50の先端側に傾く方向に沿って移動できるようになっている。
ここでは、第1回転軸X1及び第2回転軸X2は、重力方向である鉛直方向に対して直交する水平方向に沿うように設定されている。従って、一対のリンク部材80及び引出部材40は、第1回転軸X1及び第2回転軸X2に対して直交する方向、即ち、重力方向である鉛直方向に移動できるようになっている。
このように、一対のリンク部材80は、一対のランナー60が一対のレール50に沿って移動するのに伴って互いの間隔を変動させるように動く力を、シェード22が巻取シャフト32に巻取られた状態よりも巻取シャフト32から引出された状態で、引出部材40を、前記移動軌跡に対して交差する方向に離れて移動させる力に変換する構成とされている。
なお、上記例では、引出部材40は、窓14に近づく側へも窓14から遠ざかる側へも移動し得る。シェード22を引出した状態において、引出部材40(つまり、シェード22の先端部)を窓14側へ近づけた方がよいのか、窓14から遠ざけた方がよいのかについては、一対のレール50の先端部近くでの車両10の構成部品の配置等によって決定される。
ここでは、窓14に対してシェード22の引出方向には、車両10の天井13の縁部が設けられている。天井13自体は、窓14よりも車室側に突出しているが、レール50の先端部は天井13に達する手前に位置している。このため、ランナー60がレール50の先端部に達した状態で、一対のランナー60を結ぶラインと窓14との間には隙間が形成されている。そこで、ここでは、シェード22が完全に引出された状態で、引出部材40(即ち、シェード22の先端部)が窓14の縁部に近づく側に移動するようにしている。
より具体的には、シェード22が巻取シャフト32に巻取られた状態で、第2回転軸X2が第1回転軸X1よりもレール50の先端側に位置する状態に保たれるようになっている。この状態において、ランナー60がレール50のさらに基端側に向わないようにするための位置規制は、例えば、ランナー60がレール50に設けられたストッパ52に当接すること(図7(a)参照)、又は、引出部材40がパネル部材11のスリット11Sの周縁部に当接すること等によりなされる。これにより、引出部材40は、シェード22が巻取シャフト32に巻取られた状態を含む全ての状態において、一対のランナー60を結ぶラインよりもレール50の先端側かつ窓14側に位置する状態が保たれている。従って、上記状態から一対のランナー60が一対のレール50の先端側に移動すると、リンク部材80及び引出部材40は、上記第1回転軸X1及び第2回転軸X2に直交する面内において、一対のレール50の先端側かつ窓14側に向う方向に移動する。
これにより、一対のリンク部材80は、一対のランナー60が一対のレール50に沿って移動するのに伴って互いの間隔を変動させるように動く力を、シェード22が巻取シャフト32に巻かれた状態よりも巻取シャフト32から引出された状態で、引出部材40を、窓14に近づける側に移動させる力に変換できる。
なお、上記実施形態では、シェード22が巻取シャフト32に巻取られて、第2回転軸X2が第1回転軸X1よりもレール50の先端側に位置する状態で、引出部材40に対してリンク部材80が傾斜する状態となっているが、必ずしもこのような配置になっている必要はない。
例えば、図9に示す変形例のように、リンク部材80に対応するリンク部材180として、ある程度の幅のある長尺形状のものを用いてもよい。そして、リンク部材180における第1回転軸X1の位置及び第2回転軸X2の位置を、リンク部材180の幅方向にずらせば、引出部材40に対してリンク部材180が直線状に延在する状態で、第2回転軸X2が第1回転軸X1よりもレール50の先端側(引出部材40の引出時における移動方向側)に位置するように設定することができる。
<リンク部材の具体的な連結構造例>
リンク部材80の具体的な連結構造例について説明する。
図10及び図11に示す例では、リンク部材80に対応するリンク部材280は、長尺形状に形成されており、その延在方向中間部に規制凸部282が形成されると共に、その両端部に連結端部284が形成された構成とされている。
一対の連結端部284は、同方向に偏平な形状に形成されており、それぞれの中央部に挿通孔284hが形成されている。挿通孔284hの軸方向に沿って視ると、一対の連結端部284の外側コーナー部は丸められている。
規制凸部282は、一対の連結端部284の一主面側(挿通孔284hの軸方向一方側)に突出する直方体形状に形成されている。規制凸部282のうち一対の連結端部284側を向く各面は、リンク部材280の延在方向に対して直交する面をなしている。
また、引出部材40に対応する引出部材240の端部には、挿通孔240hが形成されている。挿通孔240hの軸方向に沿って視ると、この引出部材240の外側の2つの角部のうちの一方の角部240a(窓14の反対側の角部)は丸められており、他方の角部240b(窓14側の角部)は直角形状を呈している。
また、支持部70に対応する支持部270には挿通孔270hが形成されている。挿通孔270hの軸方向に沿って視ると、この支持部270の外側の2つの角部270a、270bのうちの一方の角部270a(窓14側の角部)は丸められており、他方の角部270b(窓14の反対側の角部)は直角形状を呈している。
そして、ピン部材290を、リンク部材280の一方の挿通孔284h及び支持部270の挿通孔270hに挿通し、必要に応じてピン部材290の先端部を圧壊等して抜止めする。また、他のピン部材290を、リンク部材280の他方の挿通孔284h及び引出部材240の挿通孔240hに挿通し、必要に応じてピン部材290の先端部を圧壊等して抜止めする。これにより、支持部270に対してリンク部材280が回転可能に連結され、リンク部材280に対して引出部材240が回転可能に連結される。これが、引出部材240の両端部において行われる。
この例では、この支持部270の外側の2つの角部のうちの一方の角部270aは丸められているため、支持部270に対してリンク部材280が窓14側に回転する際には、当該角部270aと規制凸部282との干渉は抑制される。一方、支持部270の他方の角部270bは直角形状を維持しているため、支持部270に対してリンク部材280が窓14と反対側に回転しようとすると、角部270bは規制凸部282に干渉する。
同様に、引出部材240の外側の2つの角部のうちの一方の角部240aは丸められているため、リンク部材280が窓14側に回転しようとする際には、角部240aと規制凸部282との干渉は抑制される。一方、引出部材240の他方の角部240bは直角形状を呈しているため、リンク部材280が窓14とは反対側に回転しようとする際には、角部240aは規制凸部282に干渉する。
このため、リンク部材280及び引出部材240をより確実に窓14側に移動させることができる。
図12及び図13に示す例では、リンク部材80に対応するリンク部材380は、長尺板形状に形成されており、その両端部に連結端部384が形成された構成とされている。
一対の連結端部384は、偏平な形状に形成されており、それぞれの中央部に挿通孔384hが形成されている。挿通孔384hの軸方向に沿って視ると、一対の連結端部384の外側コーナー部は丸められている。
また、引出部材40に対応する引出部材340の端部は、底部341と底部341の両側部から立上がる一対の側壁部342とを備えている。引出部材340の端部は、底部341の反対側(窓14の反対側)では開口している。また、一対の側壁部342の端部には、同軸上に挿通孔342hが形成されている。
また、支持部70に対応する支持部370は、底部371と底部371の両側部から立上がる一対の側壁部372とを備えている支持部370の端部は、底部371の反対側(窓14側)では開口している。また、一対の側壁部372には、同軸上に挿通孔372hが形成されている。
そして、リンク部材380の一端部を、支持部370の一対の側壁部372間に配設した状態で、ピン部材390を、一対の側壁部372の挿通孔372h及びリンク部材380の一方の挿通孔384hに挿通し、必要に応じてピン部材390の先端部を圧壊等して抜止めする。また、リンク部材380の他端部を、引出部材340の一対の側壁部342間に配設した状態で、他のピン部材390を、一対の側壁部342の挿通孔342h及びリンク部材380の他方の挿通孔384hに挿通し、必要に応じてピン部材390の先端部を圧壊等して抜止めする。これにより、支持部370に対してリンク部材380が回転可能に連結され、リンク部材380に対して引出部材340が回転可能に連結される。これが、引出部材340の両端部において行われる。
この例では、支持部370の端部のうち、一対の側壁部372の一側は底部371によって閉塞され、他側は開口している。このため、支持部370に対してリンク部材380が窓14側に回転しようとする際には、リンク部材380は支持部370の端部の他側の開口を通って回転することができる。なお、この際、リンク部材380の連結端部384の外側コーナー部は丸められているため、当該外側コーナー部と底部371との干渉は抑制されている。一方、支持部370に対してリンク部材380が窓14と反対側に回転しようとすると、リンク部材380は底部371に当ってしまう。このため、支持部370に対してリンク部材380が窓14と反対側に回転することは抑制されている。
同様に、引出部材340の端部のうち、一対の側壁部342の一側は底部341によって閉塞され、他側は開口している。このため、リンク部材380が窓14側に回転しようとする際には、リンク部材380は引出部材340の端部の他側の開口を通って回転することができる。一方、リンク部材380が窓14とは反対側に回転しようとすると、リンク部材380は引出部材340の底部341に当接し、当該方向への回転が抑制される。
このため、リンク部材380及び引出部材340をより確実に窓14側に移動させることができる。
<動作>
上記サンシェード20の動作について説明する。
まず、収納状態では、シェード22は巻取シャフト32に巻取られ、一対のランナー60は一対のレール50の基端部に位置しているとする。この状態では、一対のランナー60の基端側への一対のランナー60の移動は規制されており、第2回転軸X2は第1回転軸X1よりもレール50の先端側に位置している(図1、図2及び図7(a)参照)。この状態では、好ましくは、引出部材40は、パネル部材11のスリット11Sを覆う位置又はスリット11S内に配設されている。
この状態から、利用者は、操作部等を通じて、シェード22を引出すように駆動装置を作動させる。すると、一対のランナー60が一対のレール50の先端側に向けて移動する。これにより、一対のランナー60が互いの接近方向に移動する。すると、一対のリンク部材80が第1回転軸X1を中心にして窓14側に移動するように回転し、また、引出部材40は第2回転軸X2を中心にして回転する。これにより、引出部材40が、一対のランナー60を結ぶラインに対して、窓14側かつ一対のレール50の先端側に移動する(図3、図4、図7(b)及び図8参照)。
シェード22が完全に引出されると、引出部材40は、一対のランナー60を結ぶラインに対して、窓14側かつ一対のレール50の先端側により大きく移動する(図5、図6及び図7(c)参照)。一対のランナー60が一対のレール50の先端側に移動した状態では、駆動装置の動作を停止し、ランナー60に連結されているワイヤーをロックする、または、一対のランナー60と一対のレール50との摩擦力によって保持されるようにするとよい。
この状態では、好ましくは、引出部材40は、天井13に接する迄又は運転者から視て天井13と重複する位置に配設されるまで、窓14の上外側にある天井13の縁部に向って、窓14側かつ一対のレール50の先端側に移動する。これにより、一対のランナー60を結ぶラインと、窓14の上側縁部又は天井13の縁部との間に、引出部材40及び当該引出部材40によって引出されたシェード22の先端部を配設することができ、シェード22と、車両10における窓14の周辺部分との隙間を有効に抑制することができる。これにより、車室内を外部からより確実に覆い隠すことが可能となる。
上記のようにシェード22を引出した状態から、引出部材40を一対のレール50の基端側に移動させると、上記とは逆に動作し、引出部材40が一対のランナー60を結ぶラインに向けて移動する。これにより、引出部材40を、レール50を結ぶラインに沿って又は当該ライン近くに配設し、例えば、パネル部材11内に容易に収納することが可能となる。
<作用効果等>
以上のように構成されたサンシェード20によると、それぞれの一端部が一対のランナー60の支持部70に対して回転可能に取付けられると共に、それぞれの他端部が引出部材40に回転可能に取付けられた一対のリンク部材80を備えている。そして、一対のリンク部材80が、一対のランナー60が一対のレール50に沿って移動するのに伴って互いの間隔寸法を変動させるように動く力を、シェード22がより引出された状態で、引出部材40を一対のランナー60を結ぶラインの移動軌跡に対して交差する方向に離れて移動させる力に変換する。このため、引出部材40が巻取シャフト32から引出されると、引出部材40は一対のランナー60を結ぶラインの移動軌跡に対して交差する方向、即ち、窓14に近づく方向又は窓から遠ざかる方向に移動する。このため、一対のレール50に対する一対のランナー60の移動に伴って、シェード22の先端側に取付けられた引出部材40がより自由な方向に移動できるようにすることができる。これにより、窓14の周辺部材のレイアウトに応じて引出部材40の移動方向を比較的自由に設定することが可能となり、シェード22とその周辺部材との隙間を可及的に抑制することが可能となる。
また、一対のランナー60が近づく方向へ移動すること又はその逆に遠ざかる方向に移動することを利用して、引出部材40を移動させているため、引出部材40を移動させるための構成をランナー60の移動方向においてコンパクト化することができる。
さらに、引出部材に板状部分を設け、この板状部分を姿勢変更させてシェードの周りの隙間を塞ぐ構成では、引出部材の構成が大きくなってしまう。ここでは、引出部材40自体の位置を変えてシェード22の引出位置及び方向を工夫してシェード22の周りの隙間を抑制する構成であるため、引出部材40のコンパクト化も可能となる。
また、一対の第1回転軸X1と一対の第2回転軸X2とが平行に設定されているため、一対のリンク部材80と引出部材40とが同一平面上で移動することができる。このため、一対のリンク部材80及び引出部材40が円滑に移動することができる。
また、巻取装置30は、巻取シャフト32を回転付勢することでシェード22を巻取方向に引っ張っている。このため、引出部材40の延在方向全体においてバランスよく巻取力が作用することになり、巻取シャフト32と引出部材40とが平行状態を保つようにすることができる。この状態で、一対のランナー60の移動に伴って、引出部材40の両端側でリンク部材80が動作するため、引出部材40の両端側で、一対の第1回転軸X1及び一対の第2回転軸X2を中心とする一対のリンク部材80の回転動作をバランスよく行わせることができる。これにより、引出部材40が両端側でバランスよく移動動作することができる。なお、引出部材40の一端側のリンク部材80を含む構造部分と、引出部材40の他端側のリンク部材80を含む構造部分とは、引出部材40の延在方向中央を通りかつ引出部材40に対して直交する面を基準として、鏡面対称性を有することが好ましい。鏡面対称性を有していれば、引出部材40が窓14の上端縁部に沿うように湾曲していても、リンク部材80と引出部材40とが同一平面上で移動することができる。この場合、それぞれのリンク部材80において、第1回転軸X1と第2回転軸X2は平行に設定され、第2回転軸X2は引出部材40の湾曲と直交して設定される。
また、シェード22が巻取シャフト32に巻取られた状態で、一対の第2回転軸X2は、一対の第1回転軸X1よりも一対のレール50の先端側に位置している。このため、この状態から一対のランナー60が一対のレール50の先端側に移動し、一対のランナー60間の距離が短くなると、引出部材40はより確実に一対のレール50の先端側に移動することができる。
また、本実施形態では、一対のランナー60が一対のレール50に沿ってその先端側に移動し、もってそれらの間隔寸法が小さくなると、引出部材40が窓14に近づく側に移動する。このため、シェード22と窓14との隙間を効果的に抑制することが可能となる。
{変形例}
上記実施形態を前提として各種変形例について説明する。
<引出部材に関する変形例>
図14は引出部材40に関する変形例を示す説明図である。図14はシェード22が完全に引出された状態を示している。
この例では、引出部材440は、引出本体部材442と、一対の端部延長部材444とを備える。引出本体部材442は、上記引出部材40と同様構成であり、その端部にリンク部材80が回転可能に連結されている。一対の端部延長部材444は、引出本体部材442の両端部から外方に延出するようにして、当該引出本体部材442の両端部に取付けられた部材である。本引出部材440では、引出本体部材442の両端部に端部延長部材444が取付けられることで、長尺部材が構成され、その長手方向全体に対して、シェード22の先端側端縁部が取付けられている。換言すれば、シェード22の先端側端縁部の延在方向中間部が引出本体部材442に取付けられ、シェード22の先端側端縁部の両端部のそれぞれが一対の端部延長部材444に取付けられている。
この変形例に示すように、リンク部材80が、引出部材440の端部に取付けられていることは必須ではない。
<ねじりコイルバネを設けた変形例>
図15は支持部70とリンク部材80との連結部分に、リンク部材80を前記移動軌跡から離れる方向に回転させる付勢部材としてねじりコイルバネ590を設けた変形例である。図15はシェード22が完全に引出された状態を示している。
ねじりコイルバネ590は、線状のバネ材を、リング状に曲げると共にそのリング状部分592の2箇所からそれぞれの接線方向に沿ってバネ材の端部593を外方に延出させた構成とされている。このねじりコイルバネ590のリング状部分592は、支持部70とリンク部材80との間の第1回転軸X1周りに配設され、一方の端部593が支持部70に沿って配設され、他方の端部593がリンク部材80に沿って配設されている。そして、第1回転軸X1軸周りでの一対の端部593のねじりモーメントによって、支持部70に対してリンク部材80が第1回転軸X1周りにおいて窓14側かつレール50の先端側に回転するように付勢している。
この変形例によると、シェード22が巻取られ一対のランナー60が一対のレール50の基端側に位置する状態で、シェード22が引出されて一対のランナー60が近づこうとすると、ねじりコイルバネ590の付勢力によって、支持部70に対してリンク部材80が第1回転軸X1周りにおいて窓14側かつレール50の先端側に回転するようになる。このため、リンク部材80及び引出部材40をより確実に所望の方向に回転させることができるという利点がある。
この構成を採用する場合、シェード22が巻取シャフト32に巻取られた状態で、一対の第2回転軸X2は、一対の第1回転軸X1よりも一対のレール50の先端側に位置しなくてもよい。
なお、リンク部材80と引出部材40との間に、引出部材40を、一対のランナー60を結ぶラインから遠ざける方向に付勢するように、ねじりコイルバネを設けてもよい。
すなわち、一対の第1回転軸X1と、一対の第2回転軸X2の少なくとも一方に、引出部材40を一対のランナー60を結ぶラインから遠ざける方向に付勢する付勢部材が設けられていると、引出部材40をより確実に所望の方向に移動させることが可能となる。
<第2回転軸X2を変位可能にするための変形例>
図16は、第2回転軸X2を変位可能にするための変形例を示す説明図である。図16(a)はシェード22が完全に巻取られた状態、図16(b)はシェード22が途中まで引出された状態、図16(c)はシェード22が完全に引出された状態を示している。また、図17は本変形例において、引出部材40が天井13の縁部に当接した状態を示している。
この変形例では、引出部材40に対応する引出部材640の両端部と、一対のランナー60のそれぞれの他端部との間に連結機構が設けられている。この連結機構は、ガイドとしての挿通孔640hと、連結部材としてのピン状部分682と、付勢部材としてのコイルバネ690とを備える。
より具体的には、引出部材640の両端部に、その延在方向に沿って長孔状の挿通孔640hが形成されている。また、リンク部材80に対応するリンク部材680の他端部に突設されたピン状部分682が、挿通孔640hに挿入されている。ピン状部分682の先端部は必要に応じて圧壊等され、挿通孔640hから抜止めされている。そして、ピン状部分682が引出部材640の延在方向に沿って移動可能な状態で引出部材640に連結されている。つまり、第2回転軸X2が引出部材640の延在方向において一定範囲内へ変位可能とされている。
また、引出部材640とピン状部分682との連結部分に、ピン状部分682を外方(引出部材40の各端部側)に付勢するコイルバネ690が組込まれている。ここでは、コイルバネ690が圧縮された状態で、その一端部が挿通孔640hのうち引出部材640の中央よりの部分に連結され、その他端部がピン状部分682に連結されている。
このため、引出部材640に対して大きな外力が加わらない状態では、第2回転軸X2が挿通孔640hのうち引出部材640の外側部分に位置した状態のままで、一対のランナー60の移動に伴い、上記実施形態と同様に、引出部材640が、一対のランナー60を結ぶラインから離れる方向又は当該ラインに近づく方向に移動する。
そして、一対のランナー60を一対のレール50の先端側に向けて移動させる際に、引出部材640が、窓14の上部(シェード22の引出方向の延長上)にある天井13の縁部に当接すると、図17に示すように、ピン状部分682(第2回転軸X2)が引出部材640の中央よりの位置に向けて移動する。これにより、引出部材640を天井13の縁部に当てた状態のまま、一対のランナー60をさらに一対のレール50の先端側に移動させることができる。なお、引出部材を窓の縁部に当接させるようにしてもよい。
この変形例によると、例えば、一対のランナー60を移動させることによってシェード22を開閉する構成において、一対のランナー60の到達位置と、引出部材640が天井13の縁部に当る位置とがずれているような場合でも、引出部材640をより確実に天井13の縁部に当てることができる。これにより、付勢部材としてのコイルバネ690が一種のダンパーとなって動作し、本サンシェード20の加工構成部品の誤差、組立誤差、車両に対するサンシェード20組付誤差等を吸収して、より確実にシェード22とその周辺部材との隙間を抑制することができる。また、引出部材40が天井13の縁部に当接する際の衝撃吸収を行うこともできる。
なお、リンク部材側に長孔状の挿通孔が形成され、引出部材側のピン状部分が当該挿通孔に移動可能に挿入され、当該ピン状部分がコイルバネ等の付勢部材によってリンク部材の端部側に付勢されていてもよい。また、リンク部材及びランナー部の支持部のいずれか一方側に長孔状の挿通孔が形成され、他方に設けられたピン状部分が挿通孔に移動可能に挿通され、当該ピン状部分がコイルバネ等の付勢部材によってリンク部材及びランナー部の支持部のいずれか一方側の外方に向けて付勢されていてもよい。これらの場合でも、上記と同様に、引出部材が移動先の部材に当った場合に第1回転軸X1又は第2回転軸X2を変位させることで、組付誤差等を吸収して、より確実にシェードとその周辺部材との隙間を抑制することができる。
<回転軸の方向を調整可能にするための変形例>
車両に対するサンシェード20の固定姿勢が異なれば、引出部材40と天井13との間に隙間が生じてしまう恐れがある。そこで、本変形例では、第1回転軸X1及び第2回転軸X2の方向を調整可能にする例を説明する。
図18及び図19は、第1回転軸X1及び第2回転軸X2の方向を調整可能にするための変形例を示す説明図である。図20では、本変形例が簡略化して描かれている。図20(a)はシェード22が完全に巻取られた状態、図20(b)はシェード22が途中まで引出された状態、図20(c)はシェード22が完全に引出された状態を示している。
この変形例に関して、まず、図18及び図19を参照して、図12及び図13示す変形例との差異を中心に説明する。
すなわち、この変形例では、ランナー60に対応するランナー760に、レール50の内側開口から突出する突出部761が形成され、この突出部761に一対のランナー760を結ぶラインに沿った支持穴部762が形成されている(図20(a)参照)。支持穴部762は、一対のランナー760間に向けて開口している。
支持部70に対応する支持部770は、支持穴部762に回転可能に嵌め込み可能な軸部772と、リンク部材80を回転可能に連結可能な連結部774とを含む。連結部774は、図12及び図13示す変形例の支持部370と同様構成である。
ランナー760のうち上記支持穴部762周りの部分には、ネジ孔762hが形成されており、当該ネジ孔762hにネジSが螺合可能とされている。
そして、支持穴部762に軸部772を嵌め込んだ状態で、軸部772の中心軸周りに支持部770を回転させることができる。支持部770を回転させることで、連結部774に形成された挿通孔372hの中心軸である第1回転軸X1の方向を変更することができる(図19の矢印参照)。同時に、第1回転軸X1と平行な第2回転軸X2の方向をも変更することができる。そして、第1回転軸X1及び第2回転軸X2の方向を適切な位置に調整した状態で、ネジSを締付けることで、当該ネジSの先端部が支持穴部762内で軸部772に当接する。これにより、ランナー760において支持部770が一定姿勢で固定され、もって、第1回転軸X1及び第2回転軸X2の方向が一定に保たれる。
これにより、サンシェード20の組付誤差、又は、車種違い等に応じて、シェードの周りの隙間を可及的になくせるように、第1回転軸X1及び第2回転軸X2の方向を調整することができる。
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。