JP2016034242A - 酢飯 - Google Patents

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Abstract

【課題】 誰でも容易につくることができる酢飯を提供する。
【解決手段】 有機酸カルシウムまたは動物性カルシウムを溶解した醸造酢を一定量使用して容易な方法で酢飯を炊飯することで、従来の限定された米の用途を超えて料理の種類を広範囲に拡大できるのは、食生活上有意な技術の提供となる。
【選択図】 なし

Description

本発明は醸造酢を使用した酢飯に関する。
醸造酢の酸味の主成分の酢酸は、沸点が水より僅かに高い程度であることから食品加工時の加熱により揮発し醸造酢の酸味の利用が難しく、加熱工程を伴う食品の製造に際して醸造酢の酸味成分を利用するには制約がある。これを容易な方法で解決し醸造酢の調味機能を利用した新たな食品を提供するものである。
出願人はこれまで、動物性由来のカルシウムを醸造酢に溶解しこれを食品に使用することで細菌の増殖を抑制して腐敗や食中毒を防止できることを発見した。
この技術開発の過程において、カルシウム溶解の醸造酢の抗菌機能のなかで特にバチルス属またはクロストリジュウム属の耐熱芽胞菌の制御に優れていることに着目し、単なる醸造酢にはない優れた抗菌機能の原因に酢酸の揮発を抑制することにあるのを見出した。この抗菌機能の特徴をもってカルシウム溶解の醸造酢を食品に使用し加熱工程を経ることでも調味機能が有意に機能し、加熱による揮発成分の揮発の少ないことが醸造酢利用の新しい技術となった。
醸造酢は食品に酸味を付与し併せて食味を向上させるため広く利用されている調味料である。そして酢酸を主として原料あるいは醸造法または気温などにより複数の有機酸を生成し複合して調味成分となり、また利用する食品の種類は広範囲に及び食品の種類あるいは形状も多様であり、醸造酢を使用する食習慣の多くは日常性を有している。江戸時代の後半から醸造酢を量産する手法が確立され同時に食文化としての寿司が普及しているが、寿司に用いる酢飯は寿司の食材として必須の食品でありその製法も当時から変わらず現在に至っている。これは酢飯の食味が人の食欲を増進し具材の食味を補助しまた保存性に優れていることなど日本料理として合理性を有しているからである。
この酢飯の製法は、炊飯直後の熱い飯米に糖類と食塩を加えた醸造酢を散布し冷却して酢飯を作る工程であり、前述の醸造酢の酸味の主成分の酢酸の沸点が低いため揮発を防ぎながら飯米を調味することである。
散布と攪拌そして冷却の手間と時間をかけ、またこれには多少の経験と技術及び用具が前提となり、大量の調理を行う業務分野においてもまた少量の家庭用の調理にいてもその製法は同様である。
従来からのこの製法によって作る酢飯は、散布する醸造酢は併用した糖類及び食塩により米粒の表面に付着し酸味を呈味している。しかし糖類及び食塩は浸透圧が高いため米粒内の水分を米粒の表面に吸水する結果、時間の経過により米粒内での水分移動により酢飯は乾燥し食味を損なう結果となる。したがって時間経過による酢飯の乾燥はやむを得ない現象として容認されてきた。
特開2004−41071号公報 特開2005−229917号公報 特開2010−202868号公報 特開2004−201521号公報 特開2003−325152号公報 特開H11−60407号公報 特開H7−08239号公報
醸造酢を使用し加熱工程を経る食品で醸造酢の調味機能を容易に得ることが課題である。醸造酢は常温下においても常に少量の揮発はあり特有の酸の匂いがあるものとされてきた。そして醸造酢の主たる酸味成分である酢酸の沸点は摂氏118℃であり、これは常温下でも微量の揮発があるが食品加工の加熱温度が摂氏50℃程度からは揮発が進み、同95℃以上または100℃の水の沸点に到ると時間の経過と共にその成分の多くは揮発のため消失する。
このため飯米に酸味を付与し酢飯にするには、加熱炊飯後に醸造酢を使用する以外に方法はなく長い年月を経て現在もこれが継続されている。さらに酢飯に使用する合わせ酢には併用する砂糖と食塩があり、米粒の表面に醸造酢を付着する機能をもつが、砂糖と食塩の浸透圧の作用により、米粒内の水分は表面に水分移動をして表面から蒸発し酢飯は乾燥し食感が損なわれる。これまでの合わせ酢に使用する食塩量は1食につき2g前後であり減塩志向への対応が求められ、さらに酢飯を製造するには、飯米を加工する経験と技術と用具及び時間と手間を必要とするいわゆるシャリ切りでありだれでもが容易にはできない。
本発明は上述した従来の課題に鑑みてなされ、容易につくることができる酢飯を提供することを目的とする。
醸造酢に酸化カルシウムを溶解しこれを使用することで、醸造酢の揮発成分の揮発を抑制することができる。これにより加熱工程を経る食品加工において醸造酢の調味機能を付与し保存性に優れた食品を提供できる。
市場にある醸造酢は米その他の穀物、コーン、りんご果汁、アルコールなどを原料として製造し、酸濃度4.3から4.5%のものが広く製造販売され、また酸濃度10%から15%の食品加工の業務用がある。酸化カルシウムを醸造酢に溶解するにはこれら醸造酢の酸濃度や原料の種類は問わず、また加熱による揮発抑制の効果もすべて同様にある。なかでも酸化カルシウムの原料としての動物性カルシウムは食習慣もあり食味は良好で食品との親和性があり安全性も高い。
本発明の酢飯は、醸造酢に0.004mol/Lから0.142mol/Lとなるように酸化カルシウムを溶解し、この醸造酢を炊飯水として使用して製造され、醸造酢の揮発成分の揮発を抑制したものである。
ここで、醸造酢に溶解する酸化カルシウムが0.004mol未満の場合は酸味が弱いという問題が生じた。また、醸造酢に溶解する酸化カルシウムが0.12molを超えると酸味が強いという問題が生じた。一方、醸造酢に溶解する酸化カルシウムが0.004mol/Lから0.142mol/Lの場合は、食味、食感、保存性等において優れた特性が得られた。
この醸造酢を使用した水または食品は弱酸性域であり温度や振動あるいは圧力などの変化に対してpH値を維持する緩衝能を有している。
また、好適には、本発明の酢飯は、前記醸造酢を使用してpH5.7からpH6.3の緩衝能のある水を得て、当該水を炊飯用水として、精米重量の1.5倍から1.65倍使用して炊飯し、pH5.8からpH6.4である。
ここで、緩衝能のある水がpH5.7未満の場合は酸味が過剰という問題があった。また、緩衝能のある水がpH6.3を超える場合は酸味を呈味しないという問題があった。緩衝能のある水がpH5.7からpH6.3の場合は、食味、食感、保存性等において優れた特性が得られた。
また、好適には、本発明の酢飯は、前記酸化カルシウムとして、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、貝殻、珊瑚殻、魚骨、卵殻の1種あるいは2種以上を選択し使用している。
また、好適には、本発明の酢飯は、前記醸造酢に対して砂糖を3%から15%、食塩を1%から12%、醤油を2%から8%各重量%を1種あるいは2種以上を使用し、またステビアを0.01%から0.1%、エリスリトールを0.5%から6%、アスパルテームを0.03%から0.5%、ラクチトースを0.5%から2%各重量%を1種あるいは2種以上を使用し、あるいは昆布、鰹節、椎茸を材料としまたはこれらの抽出物を成分とする調味料の1種または2種以上を0.1%から1.2%各重量%を使用している。
好適には、本発明の酢飯は、使用時に解凍可能なように、容器に収容され、あるいは成形され、−10℃から同−45℃にて冷凍され、−5℃から−25℃で保存されている。
炊飯器を使用し炊飯用水に加えるだけの容易な方法で酢飯を作ることができることから、これまでの方法のように経験や技術や用具が不用であり、誰でもできることは従来の寿司用途に限定された食材が新たな主食の範疇となり、業務用及び家庭用にその利用は広範囲に拡大される。
酢飯を容易に作り利用できるため米食の推進を図り栄養効果における意義がある。新しい酢飯は、食味、食感とも良好であり時間経過による水分移動が少ないことから食味の保存性に優れ、作り置きを前提とする持ち帰り製品についても利用が容易になるほか、醸造酢の揮発を抑制し食品中に留めることができれば、加熱食品における調味効果を利用して新しい食品を提供できる。
酢飯は食欲を促進する酸味効果があり、栄養の摂取が不足しがちな高齢者や病弱者などにも好適である。これは一般的に寿司を喫食するときは平常の食事量の飯米の量を超えていることが多く、酢飯に食欲促進があることが明らかであり併せて日常裡にカルシウムを摂取できる。
醸造酢に溶解させる動物性カルシウムにほたて貝殻を焼成しこれを使用する。
貝殻を構成する炭酸カルシウムは温度845℃以上の加熱で酸化カルシウムに分子の変換となるが実施例の試料は1250℃にて焼成し粉末としたものを使用し、これを酸濃度4.5%から15%の醸造酢に溶解しこれを使用する。また貝殻のほか卵殻、珊瑚殻、魚骨または有機酸のカルシウム塩も使用できる。
実施例では醸造酢の酸化カルシウムのmol濃度について酸化カルシウムの質量56.07gmolを56gmolと省略し計算した。
市販の醸造酢の酸度は4.3%から4,5%が多く別に食品加工用の10%があり工業生産の製造可能な酸濃度は15%前後までがあり、pHは2.3から3.0前後であり、酸度は中和適定により測定した数値とし日本農林規格JASの規定では、醸造酢の酸濃度は4.2%以上とされている。
醸造酢の酸度は1%から4.3%、10%、15%まであって、これに酸化カルシウムを溶解する量は実施例にある各酸度の量に応じて溶解する濃度の上限があるが、溶解量の範囲内では用途や調味により濃度を任意に選択でき、選択した酸化カルシウムを溶解した醸造酢の所定を炊飯用の水に全量に添加し緩衝能をもつ炊飯水としこれで酢飯を炊飯する。濃度と使用量を任意に選択することで広範囲な調味と用途が可能であり寿司のほか海鮮丼あるいは弁当類など使用の範囲を拡大できる。
醸造酢の生産においては所定の酸度を上廻る酸度のものを醸造し加水により酸度を調整し規格の製品としている。
実施例では生の米は精米とし、ご飯は飯米、さらに醸造酢を使用して酸味のある飯米は酢飯とする。
従来の酢飯の製法では炊飯用の加水量は精米重量1に対して1.4倍である。これは飯米1合分320gに対して合わせ酢を25から40ml使用するため酢飯を水分過剰としないための水量であるが、当試料を添加した炊飯水での炊飯では精米の吸水性が向上するので1.6倍量としまた使用する試料の醸造酢の量は含まない。
実施例にある醸造酢1Lの酸化カルシウムmol濃度の試料は酢飯または食品の用途や食味により実施例にある範囲内の濃度で調整し、この醸造酢を炊飯用の水の全量に添加して緩衝能のある炊飯水とし、それを使用して酢飯を炊飯する。酸度と酸化カルシウムの溶解量は原料やたんぱく質、炭水化物の影響があり正比例しない。
炊飯器は加熱方式と共に構造が多様化し釜は常圧の外に密閉加圧または減圧方式があり、連続方式を除き加熱温度は約5ないし10分間の予熱を経て88℃から112℃前後まで多くの種類があるが当実施例での酢飯の炊飯はこれらの炊飯器に対応し炊飯できる。
炊飯試験は精米600gを加水量1.6倍の960gを炊飯用水としこれに試料を添加し、浸漬時間を30分間とし、IH加熱常圧方式の炊飯器を使用した。各試料は浸漬時の炊飯用水に加えるが水溶性であり直ちに拡散する。試料を使用して炊飯した酢飯は飯櫃などの容器に移し替えるなどの作業は通常の飯米の扱い方と同様である。
食味の調整は酢飯の用途または醸造酢の種類やその使用量、あるいは併用する調味料の種類及び量を調整することで容易にできる。
酸化カルシウムのmol濃度の表示は小数点4位以下省略した。
以下に実施例を記述するが、当該技術の利用範囲は広く多種多様な食品に使用できることから以下の実施例には限定されない。酸化カルシウムのmol濃度の表示は小数点4位以下は省略した。
酸度15%のアルコール原料の醸造酢に焼成カルシウム6gを溶解し酸化カルシウム濃度0.107molの醸造酢を試料1とし、この醸造酢10mlを90mlの水に添加し希釈水としこれのpHは5.7であった。この希釈水を恒温槽で94℃25分間加熱しこれを20℃に冷却後のpH5.8で、食味は酸味を呈しており、加熱条件下においても酢酸の揮発を抑制しており、酸味の調味も有効であり緩衝能もあることを確認した。
また酸度に対応する溶解量を試験するため、この醸造酢に酸化カルシウム7gを投入し溶解の状態を観察すると、投入後間もなくカルシウム結晶が析出し沈殿した。これのpHは7.8であり、食味は明らかなアルカリ性のものであり、酸化カルシウムの投入量が酸度15%の溶解限度を超えると水酸化カルシウムに変化しアルカリ性水溶液となり本試験の目的には不適であった。
前記0.107mol濃度の醸造酢の20倍希釈水と25倍希釈水及び30倍希釈水について同じく加熱後のpHと食味の試験により有効なmol濃度の下限を試験した。20倍希釈の0.005molは加熱前と後はpH6.2と6.3であり、25倍希釈の0.004molは同じくpH6.2と6.3であって緩衝能を有しており酸味もある。30倍希釈の0.003molは加熱前のpH6.7で加熱冷却後は6.8で緩衝能は無く微小の酸味があった。
この結果醸造酢の酸度15%では酸化カルシウムの溶解の上限は0.107molで同じく下限は0.004である。醸造酢の酸化カルシウムのmol濃度をこの上限値と下限値の範囲内で用途に対応した種類と濃度を選定し、また調味の内容により他種の醸造酢と混合し適宜使用することができる。
試験醸造により得たアルコール原料の醸造酢の酸度20%を使用して酸化カルシウムの溶解と酢酸の揮発防止の効果について試験をした。この醸造酢1Lに前記酸化カルシウム8gを溶解し0.142mol濃度の醸造酢とし、この醸造酢10mlを90mlの水に添加し10倍希釈水としpHは5.5であった。この希釈水を94℃で25分間加熱し20℃に冷却後の測定ではpH5.7であり、食味では酸味もあった。醸造酢の酸度20%の製品が上市され使用できる際はこの上限値まで使用できることが確認された。
この醸造酢1Lに酸化カルシウムを8.4gの0.15mol濃度相当を加えると、酸化カルシウムは溶解の途中から析出と沈殿が発生しpH8.1にて水酸化カルシウムを生成しアルカリ性水溶液となった。
醸造酢の酸度20%では酸化カルシウムは0.14molまでが濃度の上限であることを確認した。
酸度10%の前記醸造酢1Lに前記焼成カルシウム4gを溶解し0.071mol濃度の醸造酢を用意し試料2とした。この醸造酢10mlを90mlの水に添加し10倍の希釈水としこれはpH5.7であり、これを94℃の恒温槽で25分間加熱し取り出して20℃に冷却後pHを測定したpHは5.8であり食味では酸味があり有効であった。
酸度4.5%の米酢1Lに焼成カルシウム1.8gを溶解し0.032mol濃度の米酢を用意し試料3とする。これの10mlを90mlの水に添加し10倍希釈水とし、恒温槽で94℃、25分間加熱し20℃に冷却後pHと酸味について測定した。加熱前はpH6.0で加熱後はpH6.1であり、食味の酸味は良好であり米酢での加熱による酢酸の揮発は抑制され米酢の風味もあることが確認できた。
炊飯の加熱による醸造酢の揮発の状態と当試料を使用した炊飯での揮発の抑制効果について試験を実施して観察状態を表1に記載する。白飯の試験は炊飯の標準状態との比較のために実施した。
試験区1〜3では、それぞれ上述した実施例1〜3で得た醸造酢を使用した。
各区とも精米は600gで炊飯水は白飯のみ精米重量の1.4倍の840mlとし、対照区と試験区はすべて精米量600g炊飯水はこれの1.6倍の960mlとし、試験区の炊飯水には該当する試料を添加し炊飯水に溶解させて炊飯した。
対照1は酸濃度4.5%の米酢8%、対照2は同酸度10%のアルコール原料の醸造酢4%、対照3は対照1と同2を各3%を混合し6%とし、試験区1は試料3の米酢を8%、試験区2は試料2の醸造酢10%を4%試験区3は試料2と同3の各3%を混合して6%として試験区の試料を用意した。
白飯は予熱炊飯開始約6分経過して水蒸気が噴出を始めて約14分後まで噴出が継続し約25分後に炊飯は終了し、対照1と対照2及び3についても炊飯開始後約6分経過してから酸臭を伴う水蒸気が噴出しこれが14分後まで継続し25分後に炊飯は終了した。試験区1は約6分後に少し酸臭のある水蒸気を約2分間噴出しその後は水蒸気のみ14分間継続し25分後に炊飯は終了した。
試験区2及び試験区3も試験区1とほぼ同様の経過となった。
炊飯では100℃前後の加熱が約20分継続するが、対照では水蒸気と共に揮発成分が揮発し、炊飯の完了時には醸造酢の揮発成分の酸味は消失していた。
これに対して試験区1及び2と3では水蒸気の状況から揮発を抑制していることが確認できた。食味については試食の結果、白飯は硬めであり対照1と2はいずれも水っぽい食感であり、白飯と対照1と2及び3の酸味と食味、pH値、そして試料1と2及び3は揮発を抑制し酸味成分を保持した酢飯の酸味、食味、pH値でもこれを確認できた。
飯米及び酢飯の比較試験:
※記号:酸味−なし、+は有り、食感△水っぽい、食感〇普通、◆硬め
醸造酢に調味料を使用し寿司あるいは料理に適応した食味とする試験をした。
精米の重量に対し試料2を6重量%使用し、つぎに試料3に砂糖10%、食塩6%、液状昆布エキス0.5各重量%を加えた試料4を用意し同じく精米重量に対し6重量%を加水量1.6倍の炊飯用水に添加し炊飯し酢飯を作り、これを寿司に加工して食味を試験した。寿司の喫食経験のあるパネラー12名により試食し官能評価の結果を表3に記載する。
試食に用意した試料は、(1)酢飯20〜23gを具材なしのにぎりに成形し、(2)は(1)に鮪の切り身12〜16g加えたもの、(3)は具材無しの海苔の太巻き直径4.5cm〜5cm幅1.5cm前後のもの、(4)は市販の稲荷寿司用の揚げに酢飯約30g〜34gを充填し、試料3と試料4それぞれの酢飯に使用し、合わせて8種類を試食に供し結果を表3に記載した。評価の結果によれば糖類、食塩、昆布の調味効果があり、請求項1の醸造酢に調味料を加えることで寿司製品の酢飯として使用できることが確認できた。
※評価は、-3,-2.-1,1,2,3にて採点集計した。
酢飯の食塩について減塩志向があるので食塩の使用量と減塩の効果について比較をして表4に記載した。(酢の機能と科学、酢飯の減塩)
これまでの合わせ酢で作る酢飯では、1食の飯米の量を320gとし、これに合わせ酢20から40mlを使用するがこれには糖類と共に食塩を1.8gから3gを使用している。実施例の試料7の食塩量6重量%は酢飯320gで約0.44gである。
対照として飯米320gに市販の合わせ酢30ml食塩量2.4gと表示のあるものを使用した酢飯との比較では、試料7は約5分の1以下であり、またこの食塩量でも食味に何ら支障はなく効果的な減塩の酢飯であると確認した。
表4.酢飯1食320g中の食塩量:
試料4を使用して炊飯した酢飯を冷凍しこれを冷凍保存して、一定の日数を経過後に解凍し酢飯として利用する試験をした。以下の作業は炊飯後約2時間以内に実施した。酢飯を1個の重量が20gから23gの握りの形状とし、1個のトレーに24個を入れこれをポリ袋に収納し密閉して用意し、また別に酢飯300gをプラスチック容器に入れ同様にポリ袋に収納しこれらを各3個用意し-25度前後で冷凍した。
これを同-18度前後で17日保存した後、電子レンジで解凍し、マグロ切り身を具材としたにぎり寿司と300gの容器の酢飯で海苔巻き及び海鮮丼を用意して試食した。その結果はこれまでの試験により炊飯した酢飯と差はなく製造時の食味と食感を呈していた。
この結果、成形しまたは容器に収納した酢飯を冷凍し冷凍保存を経過しても酢飯として提供することが確認できた。
請求項1あるいは請求項2に記載の醸造酢を使用して酢飯を製造するためのその好適な使用量の範囲について試験を実施した。酢飯の食味の酸味についての官能の下限と上限については個人差を考慮しなければならず食味官能では特に差が大きく、これらを勘案して結果とし表5に記載した。
試験には試料2と同4を使用した酢飯を充てた。
試料使用量の重量%、1〜2は省略、
◎7〜15の間は酢飯に適している範囲内であり8から13は省略、
○酸味が食味として適している、
△酢の味は薄く酢飯には不適、
▲異味、渋味とえぐ味の混合した味、
試料の使用量の増加に伴い酸味は強くなるが17重量%以上では酸味ではなく渋みとえぐ味を混合した異味を呈するので酢飯として不適であり、試料2では4重量%以下は酸味が希薄であり、試料4では3以下を不適とした。
味覚器官の舌の味蕾は、甘味と酸味の感受性の幅がその他の味覚より狭く一定以上の味覚は全く別の味覚として官能することが知られており、試験の結果は使用量の範囲は5重量%から17重量%であることを確認した。
また酢飯については、品温と味覚の関係で品温が30℃前後では甘味が優先し、15℃以下では甘味が低下し酸味が上回ることから、試食を実施するのは炊飯後飯櫃に収納してから3時間から4時間前後の酸味と甘味の均衡のとれた酢飯を供した。これは氷菓製品での糖類使用量例などで知られている。
醸造酢で調味し加熱する食品で一般的に利用されている食品に餡かけがある。
これは調理の仕上げに際し料理にかけて食味を向上するために使用するもので、水に醤油、砂糖、醸造酢、みりんなどの調味料とでん粉を使用して粘液状の餡として料理にかけるもので、とくに醸造酢の調味効果が大きく大半の餡かけに使用している。これまではすべて調理の際に作って使用することから時間あるいは手間や経験の有無によりこの調味の利用に制約があった。
この餡かけを容易に利用するため請求項1あるいは請求項2の醸造酢を使用してその他の調味料とでん粉を水に加えて加熱加工し保存容器に収納して容易に使用できる。
本発明の酢飯は、醸造酢に0.004mol/Lから0.142mol/Lとなるように酸化カルシウムを溶解し、この醸造酢を炊飯水使用して製造され、醸造酢の揮発成分の揮発を抑制したものである。
ここで、醸造酢に溶解する酸化カルシウムが0.004mol未満の場合は酸味が弱いという問題が生じた。また、醸造酢に溶解する酸化カルシウムが0.12molを超えると酸味が強いという問題が生じた。一方、醸造酢に溶解する酸化カルシウムが0.004mol/Lから0.142mol/Lの場合は、食味、食感、保存性等において優れた特性が得られた。
この醸造酢を使用した水または食品は弱酸性域であり温度や振動あるいは圧力などの変化に対してpH値を維持する緩衝能を有している。
市販の醸造酢の酸度は4.3%から4,5%が多く別に食品加工用の10%があり工業生産の製造可能な酸濃度は15%前後までがあり、pHは2.3から3.0前後であり、酸度は中和適定により測定した数値とし日本農林規格JASの規定では、醸造酢の酸濃度は4.2%以上とされている。
醸造酢の酸度は1%から4.3%、10%、15%まであって、これに酸化カルシウムを溶解する量は実施例にある各酸度の量に応じて溶解する濃度の上限があるが、溶解量の範囲内では用途や調味により濃度を任意に選択でき、選択した酸化カルシウムを溶解した醸造酢の所定量を炊飯用の水に全量に添加し緩衝能をもつ炊飯水としこれで酢飯を炊飯する。濃度と使用量を任意に選択することで広範囲な調味と用途が可能であり寿司のほか海鮮丼あるいは弁当類など使用の範囲を拡大できる。
醸造酢の生産においては所定の酸度を上廻る酸度のものを醸造し加水により酸度を調整し規格の製品としている。
食味の調整は酢飯の用途または醸造酢の種類やその使用量、あるいは併用する調味料の種類及び量を調整することで容易にできる。
酸化カルシウムのmol濃度の表示は小数点4位以下省略した
以下に実施例を記述するが、当該技術の利用範囲は広く多種多様な食品に使用できることから以下の実施例には限定されない。
本発明の酢飯は、醸造酢に0.004mol/Lから0.142mol/Lとなるように酸化カルシウムを溶解し、当該酸化カルシウムが溶解した前記醸造酢を5〜17重量%となるように炊飯水として使用して製造され、醸造酢の揮発成分の揮発を抑制したものである
ここで、醸造酢に溶解する酸化カルシウムが0.004mol未満の場合は酸味が弱いという問題が生じた。また、醸造酢に溶解する酸化カルシウムが0.12molを超えると酸味が強いという問題が生じた。一方、醸造酢に溶解する酸化カルシウムが0.004mol/Lから0.142mol/Lの場合は、食味、食感、保存性等において優れた特性が得られた。
この醸造酢を使用した水または食品は弱酸性域であり温度や振動あるいは圧力などの変化に対してpH値を維持する緩衝能を有している。
また、好適には、本発明の酢飯は、前記酸化カルシウムが溶解した前記醸造酢を使用してpH5.7からpH6.3の緩衝能のある水を得て、当該水を炊飯用水として、精米重量の1.5倍から1.65倍使用して炊飯し、pH5.8からpH6.4である。
ここで、緩衝能のある水がpH5.7未満の場合は酸味が過剰という問題があった。また、緩衝能のある水がpH6.3を超える場合は酸味を呈味しないという問題があった。緩衝能のある水がpH5.7からpH6.3の場合は、食味、食感、保存性等において優れた特性が得られた。

Claims (5)

  1. 醸造酢に0.004mol/Lから0.142mol/Lとなるように酸化カルシウムを溶解し、この醸造酢を炊飯水に使用して製造され、醸造酢の揮発成分の揮発を抑制した酢飯。
  2. 前記醸造酢を使用してpH5.7からpH6.3の緩衝能のある水を得て、当該水を炊飯用水として、精米重量の1.5倍から1.65倍使用して炊飯したpH5.8からpH6.4の酢飯。
  3. 前記酸化カルシウムとして、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、貝殻、珊瑚殻、魚骨、卵殻の1種あるいは2種以上を選択し使用する
    請求項1または請求項2に記載の酢飯。
  4. 前記醸造酢に対して砂糖を3%から15%、食塩を1%から12%、醤油を2%から8%各重量%を1種あるいは2種以上を使用し、またステビアを0.01%から0.1%、エリスリトールを0.5%から6%、アスパルテームを0.03%から0.5%、ラクチトースを0.5%から2%各重量%を1種あるいは2種以上を使用し、あるいは昆布、鰹節、椎茸を材料としまたはこれらの抽出物を成分とする調味料の1種または2種以上を0.1%から1.2%各重量%を使用した請求項1〜3のいずれかに記載の酢飯。
  5. 使用時に解凍可能なように、容器に収容され、あるいは成形され、−10℃から同−45℃にて冷凍され、−5℃から−25℃で保存された請求項1〜4のいずれかに記載の酢飯。

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