JP2016033994A - 樹脂シート - Google Patents

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Abstract

【課題】低粗度の表面を有する金属箔を使用する場合であっても、HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下を抑制することができる樹脂シート(樹脂付き金属箔)を提供する。
【解決手段】サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路形成するための樹脂シートであって、第1及び第2の主面を有する金属箔と、金属箔の第1の主面と接合している樹脂層とを含み、金属箔の第1の主面の算術平均粗さ(Ra)が300nm以下であり、樹脂層の厚さが8μm〜400μmであり、樹脂層が、(a)エポキシ樹脂、(b)活性エステル系硬化剤及びトリアジン構造含有フェノール系硬化剤からなる群から選択される1種以上の硬化剤を含む、樹脂シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂シートに関する。さらに、該樹脂シートを用いて得られる、積層板、半導体装置に関する。
プリント配線板の製造技術として、絶縁層と導体層(回路層)を交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法において、絶縁層は、一般に、樹脂層を含む樹脂シート等を用いて樹脂層を回路基板に積層し、該樹脂層を硬化させることにより形成される。例えば、特許文献1には、金属箔と、該金属箔上に形成された樹脂層とを含む樹脂シートが開示されている。
特開2007−22091号公報
ビルドアップ方式による製造方法においては、絶縁層の形成後、該絶縁層上に回路が形成される。金属箔上に樹脂層を形成した樹脂シートを使用する場合、該金属箔を利用して、サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法に従って回路を形成することが可能である。この場合、微細な回路を形成するにあたっては、絶縁層と金属箔との界面粗さが低いことが好適である。
しかしながら、絶縁層と金属箔との界面粗さを低下させるべく、低粗度の表面を有する金属箔上に樹脂層を形成してなる樹脂シートを用いると、得られる絶縁層と回路との密着強度(ピール強度)が低下する場合がある。とりわけHAST(Highly Accelerated temperature and humidity Stress Test)による高温高湿環境下において、絶縁層と回路との密着強度が著しく低下する傾向があることを本発明者らは見出した。
本発明は、低粗度の表面を有する金属箔を使用する場合であっても、HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下を抑制することができる樹脂シート(樹脂付き金属箔)を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題につき鋭意検討した結果、エポキシ樹脂及び特定の硬化剤を含む樹脂層を使用することによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路形成するための樹脂シートであって、
第1及び第2の主面を有する金属箔と、
金属箔の第1の主面と接合している樹脂層と
を含み、
金属箔の第1の主面の算術平均粗さ(Ra)が300nm以下であり、
樹脂層の厚さが8μm〜400μmであり、
樹脂層が、(a)エポキシ樹脂、(b)活性エステル系硬化剤及びトリアジン構造含有フェノール系硬化剤からなる群から選択される1種以上の硬化剤を含む、樹脂シート。
[2] 樹脂層が(c)無機充填材をさらに含む、[1]に記載の樹脂シート。
[3] (c)無機充填材がシリカである、[2]に記載の樹脂シート。
[4] 樹脂層中の(c)無機充填材の含有量が、樹脂層中の不揮発成分を100質量%としたとき、40質量%〜85質量%である、[2]又は[3]に記載の樹脂シート。
[5] 樹脂層が(d)ポリマー成分をさらに含み、(d)ポリマー成分が有機充填材及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂シート。
[6] (d)ポリマー成分が、有機充填材、フェノキシ樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される1種以上を含む、[5]に記載の樹脂シート。
[7] 樹脂層中の(d)ポリマー成分の含有量が、樹脂層中の不揮発成分を100質量%としたとき、0.5質量%〜10質量%である、[5]又は[6]に記載の樹脂シート。
[8] 樹脂層が(e)硬化促進剤をさらに含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂シート。
[9] 樹脂層中の(e)硬化促進剤の含有量が、樹脂層中の樹脂成分を100質量%としたとき、0.03質量%〜4質量%である、[8]に記載の樹脂シート。
[10] 樹脂層中の(e)硬化促進剤の含有量が、樹脂層中の樹脂成分を100質量%としたとき、0.3質量%〜3質量%である、[8]に記載の樹脂シート。
[11] (e)硬化促進剤が、イミダゾール系硬化促進剤及びアミン系硬化促進剤からなる群から選択される1種以上を含む、[8]〜[10]のいずれかに記載の樹脂シート。
[12] (e)硬化促進剤が、イミダゾール−エポキシ樹脂のアダクト体、及び4−ジメチルアミノピリジンからなる群から選択される1種以上を含む、[8]〜[11]のいずれかに記載の樹脂シート。
[13] 樹脂層が(c)無機充填材、(d)ポリマー成分及び(e)硬化促進剤をさらに含み、
(d)ポリマー成分が有機充填材及び熱可塑性樹脂からなる群から選択され、
樹脂層中の不揮発成分を100質量%としたとき、(c)無機充填材の含有量が40質量%〜85質量%、(d)ポリマー成分の含有量が0.5質量%〜10質量%であり、
樹脂層の樹脂成分を100質量%としたとき、(e)硬化促進剤の含有量が0.03質量%〜4質量%である、[1]に記載の樹脂シート。
[14] (c)無機充填材がシリカであり、
(d)ポリマー成分が、有機充填材、フェノキシ樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される1種以上を含み、
(e)硬化促進剤が、イミダゾール−エポキシ樹脂のアダクト体、及び4−ジメチルアミノピリジンからなる群から選択される1種以上を含む、[13]に記載の樹脂シート。
[15] 樹脂層の最低溶融粘度が8000〜40000ポイズである、[1]〜[14]のいずれかに記載の樹脂シート。
[16] 樹脂層の最低溶融粘度が300〜12000ポイズである、[1]〜[14]のいずれかに記載の樹脂シート。
[17] 樹脂層を硬化して絶縁層を形成し、サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路を形成した後の、該絶縁層と回路とのピール強度が0.5kgf/cm以上であり、
樹脂層を硬化して絶縁層を形成し、サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路を形成し、さらに130℃、85%RHの条件下で100時間経過した後の、該絶縁層と回路とのピール強度が0.3kgf/cm以上である、[1]〜[16]のいずれかに記載の樹脂シート。
[18] 金属箔の厚さが1μm〜40μmである、[1]〜[17]のいずれかに記載の樹脂シート。
[19] 金属箔の第1の主面の算術平均粗さ(Ra)が250nm以下である、[1]〜[18]のいずれかに記載の樹脂シート。
[20] 金属箔の第2の主面の算術平均粗さ(Ra)が300nm以上である、[1]〜[19]のいずれかに記載の樹脂シート。
[21] [1]〜[20]のいずれかに記載の樹脂シート2枚の間に、樹脂層と内層基板とが接合するように、内層基板を配置し、真空熱プレス処理又は真空ラミネート処理によって一括成形して得られる、積層板。
[22] サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により形成された回路を含む、[21]に記載の積層板。
[23] 配線ピッチが50μm以下の回路を含む、[22]に記載の積層板。
[24] [21]〜[23]のいずれかに記載の積層板を用いて得られる半導体装置。
本発明によれば、低粗度の表面を有する金属箔を使用する場合であっても、HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下を抑制することができる樹脂シート(樹脂付き金属箔)を提供することができる。
本発明の樹脂シートによれば、微細な回路を有する信頼性の高いプリント配線板を実現することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路形成するための樹脂シート(樹脂付き金属箔)である。当該樹脂シートは、第1及び第2の主面を有する金属箔と、該金属箔の第1の主面と接合している樹脂層とを含み、金属箔の第1の主面の算術平均粗さ(Ra)が300nm以下であり、樹脂層の厚さが8μm〜400μmであり、樹脂層が、(a)エポキシ樹脂、(b)活性エステル系硬化剤及びトリアジン構造含有フェノール系硬化剤からなる群から選択される1種以上の硬化剤を含むことを特徴とする。
本発明の樹脂シートは、プリント配線板の製造に際して、樹脂層を硬化させることで絶縁層を形成することができる。また、金属箔を利用して、サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路を形成することができる。本発明の樹脂シートを使用することにより、微細な回路を形成し得ると共に、HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下を抑制し得る信頼性の高いプリント配線板を実現することができる。
<金属箔>
金属箔は、第1及び第2の主面を有する。本発明の樹脂シートにおいては、金属箔の第1の主面が樹脂層と接合することとなる。
微細な回路を形成し得る観点から、金属箔の第1の主面は実質的に粗化処理されておらず、算術平均粗さ(Ra)が300nm以下である。微細な回路を形成し得る観点から、金属箔の第1の主面のRaは、好ましくは280nm以下、より好ましくは260nm以下、さらに好ましくは250nm以下である。先述のとおり、表面粗度の低い金属箔上に樹脂層を形成してなる樹脂シートを用いると、得られる絶縁層と回路とのピール強度が低下する場合がある。とりわけHASTによる高温高湿環境下において、絶縁層と回路との密着強度が著しく低下する傾向があることを本発明者らは見出している。これに対し、エポキシ樹脂と特定の硬化剤とを含む樹脂層を使用する本発明の樹脂シートによれば、ピール強度の低下なしに、さらに低粗度の表面を有する金属箔を使用することが可能である。本発明において、金属箔の第1の主面のRaは、例えば、240nm以下、220nm以下、200nm以下、180nm以下、又は160nm以下であってもよい。金属箔の第1の主面のRaの下限は特に限定されないが、得られる絶縁層と回路とのピール強度を安定化させる観点から、通常、1nm以上、5nm以上、10nm以上などとし得る。
金属箔の第2の主面のRaは、特に限定されないが、プリント配線板の製造に際してレーザーによる穴あけ加工性を向上させる観点から、好ましくは300nm以上、より好ましくは320nm以上、さらに好ましくは340nm以上、360nm以上、380nm以上、又は400nm以上である。金属箔の第2の主面のRaの上限は、特に限定されないが、通常、1000nm以下、900nm以下、800nm以下などとし得る。
金属箔表面の算術平均粗さ(Ra)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。非接触型表面粗さ計としては、例えば、ビーコインスツルメンツ社製の「WYKO NT3300」が挙げられる。
金属箔の材料としては、例えば、銅、アルミニウム等が挙げられ、銅が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
金属箔は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。金属箔が複層構造である場合、樹脂層と接する層は、ニッケル、スズ、クロム、亜鉛、モリブデン、コバルト若しくはチタンの単金属層、又はそれらの合金層であることが好ましい。
金属箔の厚さは、特に限定されないが、サブトラクティブ法により微細な回路を形成する観点、モディファイドセミアディティブ法により円滑に回路を形成し得る観点から、好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは30μm以下、28μm以下、26μm以下、24μm以下、22μm以下、又は20μm以下である。金属箔の厚さの下限は特に限定されず、回路形成に使用する方法、所期のプリント配線板の設計等に応じて決定してよい。金属箔の厚さの下限は、通常、1μm以上、2μm以上、3μm以上、5μm以上、10μm以上などとし得る。なお、金属箔が複層構造の場合、金属箔全体の厚さが斯かる範囲であることが好ましい。
所期の表面粗度を有する金属箔が得られる限り、金属箔の製造方法は特に限定されない。金属箔は、例えば、電解法、圧延法等の公知の方法により製造することができる。電解法を用いて金属箔を製造する場合、金属箔製造時のドラム表面の平滑性、電流密度、及びめっき浴温度等を制御することでRa値を変化させることができる。
金属箔は市販品を用いてもよい。金属箔の市販品としては、例えば、JX日鉱日石金属(株)製のHLP箔、三井金属鉱山(株)製のTP−III箔等が挙げられる。
<樹脂層>
本発明の樹脂シートにおいて、樹脂層の厚さは、所期のプリント配線板の設計に応じて決定してよいが、プリント配線板の薄型化の観点から、400μm以下であり、好ましくは350μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは250μm以下、200μm以下、180μm以下、160μm以下、140μm以下、120μm以下、100μm以下、80μm以下、60μm以下、又は40μm以下である。樹脂層の厚さの下限は、8μm以上であり、好ましくは10μm以上、15μm以上、又は20μm以上である。
本発明の樹脂シートにおいて、樹脂層は、(a)エポキシ樹脂、(b)活性エステル系硬化剤及びトリアジン構造含有フェノール系硬化剤からなる群から選択される1種以上の硬化剤を含む。
−(a)エポキシ樹脂−
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に2個以上(好ましくは3個以上)のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂層が得られる。また、得られる絶縁層の破断強度も向上する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」、「HP4032H」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「828US」、「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス(株)製の「EX−721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、(株)ダイセル製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP7200」、「HP7200HH」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」、「EXA7311−G3」、「EXA7311−G4」、「EXA7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル(株)製の「PG−100」、「CG−500」、三菱化学(株)製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:6の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)樹脂シートの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)樹脂シートの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する絶縁層を得ることができるなどの効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:5の範囲がより好ましく、1:0.6〜1:4の範囲がさらに好ましい。
樹脂層中のエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下又は35質量%以下である。
なお、本発明において、樹脂層中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂層中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜5000、より好ましくは50〜3000、さらに好ましくは80〜2000、さらにより好ましくは110〜1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
−(b)活性エステル系硬化剤及び/又はトリアジン構造含有フェノール系硬化剤−
(b)成分は、(b1)活性エステル系硬化剤及び(b2)トリアジン構造含有フェノール系硬化剤からなる群から選択される1種以上の硬化剤である。本発明者らは、サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路形成するための樹脂シート(樹脂付き金属箔)において、エポキシ樹脂の硬化剤として斯かる特定の硬化剤を使用することにより、HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下を抑制し得ることを見出した。
(b1)活性エステル系硬化剤は、1分子中に活性エステル基を1個以上有する活性エステル化合物である。活性エステル系硬化剤としては、1分子中に活性エステル基を2個以上有する活性エステル化合物が好ましく、例えば、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する活性エステル化合物が好ましく用いられる。活性エステル系硬化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下を抑制する観点、耐熱性の観点から、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られる活性エステル化合物が好ましい。中でも、カルボン酸化合物と、フェノール化合物、ナフトール化合物及びチオール化合物から選択される1種以上とを反応させて得られる活性エステル化合物がより好ましく、カルボン酸化合物と、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させて得られる、1分子中に2個以上の活性エステル基を有する芳香族化合物がさらに好ましく、少なくとも2個以上のカルボキシ基を1分子中に有するカルボン酸化合物と、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させて得られる芳香族化合物であって、1分子中に2個以上の活性エステル基を有する芳香族化合物がさらにより好ましい。活性エステル化合物は、直鎖状であってよく、分岐状であってもよい。また、少なくとも2個以上のカルボキシ基を1分子中に有するカルボン酸化合物が脂肪族鎖を含む化合物であれば樹脂層を構成する他の樹脂成分との相溶性を高くすることができ、芳香環を有する化合物であれば耐熱性を高くすることができる。
カルボン酸化合物としては、例えば、炭素原子数1〜20(好ましくは2〜10、より好ましくは2〜8)の脂肪族カルボン酸、炭素原子数7〜20(好ましくは7〜10)の芳香族カルボン酸が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。中でも、HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下を抑制する観点、耐熱性の観点から、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸がより好ましい。
チオカルボン酸化合物としては、特に制限はないが、例えば、チオ酢酸、チオ安息香酸等が挙げられる。
フェノール化合物としては、例えば、炭素原子数6〜40(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜23、さらに好ましくは6〜22)のフェノール化合物が挙げられ、好適な具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール等が挙げられる。フェノール化合物としてはまた、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、特開2013−40270号公報記載のフェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーを使用してもよい。
ナフトール化合物としては、例えば、炭素原子数10〜40(好ましくは10〜30、より好ましくは10〜20)のナフトール化合物が挙げられ、好適な具体例としては、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。ナフトール化合物としてはまた、ナフトールノボラックを使用してもよい。
中でも、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、フェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーが好ましく、カテコール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール、フェノールノボラック、、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、フェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーがより好ましく、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエン型ジフェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、フェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーがさらに好ましく、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエン型ジフェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、フェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーがさらにより好ましく、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエン型ジフェノール、フェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーが殊更好ましく、ジシクロペンタジエン型ジフェノールが特に好ましい。
チオール化合物としては、特に制限はないが、例えば、ベンゼンジチオール、トリアジンジチオール等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤の好適な具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物、芳香族カルボン酸とフェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーとを反応させて得られる活性エステル化合物が挙げられ、中でもジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、芳香族カルボン酸とフェノール性水酸基を有するリン原子含有オリゴマーとを反応させて得られる活性エステル化合物がより好ましい。なお本発明において、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンタレン−フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤としては、特開2004−277460号公報、特開2013−40270号公報に開示されている活性エステル化合物を用いてもよく、また市販の活性エステル化合物を用いることもできる。活性エステル化合物の市販品としては、例えば、DIC(株)製の「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」、「HPC−8000L−65M」(ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物)、DIC(株)製の「9416−70BK」(ナフタレン構造を含む活性エステル化合物)、三菱化学(株)製の「DC808」(フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物)、三菱化学(株)製の「YLH1026」(フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物)、DIC(株)製の「EXB9050L−62M」(リン原子含有活性エステル化合物)が挙げられる。
(b2)トリアジン構造含有フェノール系硬化剤は、1分子中にトリアジン構造とフェノール性水酸基とを併せ持つフェノール系硬化剤である。トリアジン構造含有フェノール系硬化剤は、1分子中に好ましくは2個以上、3個以上、又は4個以上のトリアジン構造を含むことが好適であり、1分子中に好ましくは2個以上、3個以上、又は4個以上のフェノール性水酸基を含むことが好適である。トリアジン構造含有フェノール系硬化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
トリアジン構造含有フェノール系硬化剤は、例えば、フェノール化合物及びナフトール化合物からなる群から選択される1種以上と、トリアジン環含有化合物と、ホルムアルデヒドとを反応させて得られる。
フェノール化合物及びナフトール化合物の好適な例は、(b1)活性エステル系硬化剤について説明したとおりである。中でも、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラックが好ましい。
トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等が挙げられ、メラミン、ベンゾグアナミンが好ましい。
HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下を抑制する観点、耐熱性の観点から、トリアジン構造含有フェノール系硬化剤としては、トリアジン構造含有フェノールノボラック型硬化剤、トリアジン構造含有クレゾールノボラック型硬化剤、トリアジン構造含有ナフトールノボラック型硬化剤が好ましく、トリアジン構造含有フェノールノボラック型硬化剤、トリアジン構造含有クレゾールノボラック型硬化剤がより好ましい。
トリアジン構造含有フェノール系硬化剤の市販品としては、例えば、DIC(株)製の「LA−3018」(トリアジン構造含有クレゾールノボラック型硬化剤)、DIC(株)製の「LA−7052」、「LA−7054」、「LA−1356」(トリアジン構造含有フェノールノボラック型硬化剤)等が挙げられる。
HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下を抑制する観点から、樹脂層中の(b)成分の含有量は、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上、4質量%以上、又は5質量%以上がさらに好ましい。(b)成分の含有量の上限は特に限定されないが、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、18質量%以下、16質量%以下又は15質量%がさらにより好ましい。
また、(a)成分のエポキシ基数を1とした場合、機械強度の良好な絶縁層を得る観点から、(b)成分の反応基数は、0.2〜2が好ましく、0.3〜1.5がより好ましく、0.35〜1がさらに好ましい。ここで、「(a)成分のエポキシ基数」とは、樹脂層中に存在する(a)成分に該当する各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値である。また、(b)成分についていう「反応基」とは活性エステル基及びフェノール性水酸基を意味し、「(b)成分の反応基数」とは、樹脂層中に存在する(b)成分に該当する各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値を全て合計した値である。
−(c)無機充填材−
樹脂層は、無機充填材をさらに含んでもよい。無機充填材を含むことにより、得られる絶縁層の熱膨張率を低く抑えることができる。
無機充填材の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられ、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。市販されている球状溶融シリカとして、(株)アドマテックス製「SO−C2」、「SO−C1」、Unimin社製「IMSIL A−8」、「IMSIL A−10」等が挙げられる。
無機充填材の平均粒径は、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下、さらにより好ましくは2μm以下、特に好ましくは1μm以下、0.7μm以下、又は0.5μm以下である。無機充填材の平均粒径の下限は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.03μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上、0.07μm以上、又は0.1μm以上である。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製「LA−500」、「LA−750」、「LA−950」等を使用することができる。
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤などの1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上がさらに好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下がさらに好ましい。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、(株)堀場製作所製「EMIA−320V」等を使用することができる。
熱膨張率の低い絶縁層を得る観点から、樹脂層中の無機充填材の含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、55質量%以上、又は60質量%以上である。無機充填材の含有量の上限は、得られる絶縁層の機械強度の観点から、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
−(d)ポリマー成分−
樹脂層は、(d1)有機充填材及び(d2)熱可塑性樹脂からなる群から選択されるポリマー成分をさらに含んでもよい。(a)エポキシ樹脂及び(b)特定の硬化剤と組み合わせてポリマー成分を含むことにより、HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下をさらに抑制することができる。
(d1)有機充填材としては、プリント配線板の製造に際し使用し得る任意の有機充填材を使用してよく、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子などが挙げられ、ゴム粒子が好ましい。
ゴム粒子としては、ゴム弾性を示す樹脂に化学的架橋処理を施し、有機溶剤に不溶かつ不融とした樹脂の微粒子体である限り特に限定されず、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、ブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。ゴム粒子の市販品としては、例えば、日本合成ゴム(株)製の「XER−91」、アイカ工業(株)製の「スタフィロイドAC3355」、「スタフィロイドAC3816」、「スタフィロイドAC3401N」、「スタフィロイドAC3816N」、「スタフィロイドAC3832」、「スタフィロイドAC4030」、「スタフィロイドAC3364」、「スタフィロイドIM101」、呉羽化学工業(株)製の「パラロイドEXL2655」、「パラロイドEXL2602」などが挙げられる。
有機充填材の平均粒子径は、好ましくは0.005μm〜1μmの範囲であり、より好ましくは0.2μm〜0.6μmの範囲である。有機充填材の平均粒子径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤に有機充填材を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(大塚電子(株)製「FPAR−1000」)を用いて、有機充填材の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定することができる。
(d2)熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8,000〜70,000の範囲が好ましく、10,000〜60,000の範囲がより好ましく、20,000〜60,000の範囲がさらに好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度を40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、新日鉄住金化学(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YL7553」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、例えば、電気化学工業(株)製の「電化ブチラール4000−2」、「電化ブチラール5000−A」、「電化ブチラール6000−C」、「電化ブチラール6000−EP」、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のポリイミド)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等に記載のポリイミド)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
中でも、(a)エポキシ樹脂及び(b)特定の硬化剤との組み合わせにおいて、HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下をさらに抑制し得る観点から、ポリマー成分としては、有機充填材、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。したがって好適な一実施形態において、(d)ポリマー成分は、有機充填材、フェノキシ樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される1種以上を含む。
樹脂層中のポリマー成分の含有量は、ピンホールの発生を抑制する観点、絶縁層と回路とのピール強度の低下を抑制する観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上、又は2質量%以上である。ポリマー成分の含有量の上限は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは9質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、又は5質量%以下である。
−(e)硬化促進剤−
樹脂層は、硬化促進剤をさらに含んでもよい。
硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられる。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、(a)エポキシ樹脂及び(b)特定の硬化剤との組み合わせにおいて、HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下をさらに抑制し得る観点から、硬化促進剤は、イミダゾール系硬化促進剤及びアミン系硬化促進剤からなる群から選択される1種以上を含むことが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体(「イミダゾール−エポキシ樹脂のアダクト体」ともいう。)が挙げられ、イミダゾール−エポキシ樹脂のアダクト体が好ましい。イミダゾール−エポキシ樹脂のアダクト体の具体例としては、三菱化学(株)製の「P200H50」が挙げられる。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられ、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンが好ましい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体などが挙げられる。有機金属塩の具体例としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。
これらの中でも、(a)エポキシ樹脂及び(b)特定の硬化剤との組み合わせにおいて、HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下をさらに抑制し得る観点から、硬化促進剤としては、イミダゾール−エポキシ樹脂のアダクト体、4−ジメチルアミノピリジンが好ましい。したがって好適な一実施形態において、硬化促進剤は、イミダゾール−エポキシ樹脂のアダクト体、及び4−ジメチルアミノピリジンからなる群から選択される1種以上を含む。
HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下をさらに抑制し得る観点から、樹脂層中の硬化促進剤の含有量は、樹脂層中の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.15質量%以上、又は0.2質量%以上である。プリント配線板の製造に際して、樹脂シートと内層基板を真空熱プレス処理により一括成形する場合には、樹脂層中の硬化促進剤の含有量は、より高いことが好適であり、樹脂層中の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.6質量%以上、0.8質量%以上、又は1質量%以上である。硬化促進剤の含有量の上限は、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3.5質量以下、3質量%以下、又は2.5質量%以下である。なお、硬化促進剤の含有量についていう「樹脂成分」とは、樹脂層を構成する不揮発成分のうち、無機充填材を除いた成分をいう。
なお、硬化促進剤として金属系硬化促進剤を使用する場合、樹脂層中の金属系硬化促進剤の含有量は、上記の範囲より低くてもよい。例えば、樹脂層中の金属系硬化促進剤の含有量は、樹脂層中の樹脂成分を100質量%としたとき、金属系硬化促進剤に由来する金属の量が好ましくは25ppm〜1000ppm、より好ましくは40ppm〜500ppmであってよい。
好適な実施形態において、樹脂層は、(a)エポキシ樹脂及び(b)特定の硬化剤に加えて、(c)無機充填材、(d)ポリマー成分及び(e)硬化促進剤をさらに含み、(d)ポリマー成分が有機充填材及び熱可塑性樹脂からなる群から選択され、
樹脂層中の不揮発成分を100質量%としたとき、(c)無機充填剤の含有量が40質量%〜85質量%、(d)ポリマー成分の含有量が0.5質量%〜10質量%であり、
樹脂層中の樹脂成分を100質量%としたとき、(e)硬化促進剤の含有量が0.03質量%〜4質量%である。
斯かる実施形態によれば、低粗度の表面を有する金属箔を使用する場合であっても、HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下をより一層抑制することができる樹脂シート(樹脂付き金属箔)を実現することができる。
斯かる実施形態の中でも、(c)無機充填材がシリカであり、(d)ポリマー成分が、有機充填材、フェノキシ樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される1種以上を含み、(e)硬化促進剤が、イミダゾール−エポキシ樹脂のアダクト体、及び4−ジメチルアミノピリジンからなる群から選択される1種以上を含む実施形態は、HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下を抑制する性能においてとりわけ優れている。
−(f)活性エステル系硬化剤及びトリアジン構造含有フェノール系硬化剤以外の硬化剤−
樹脂層は、(b)成分以外の硬化剤、すなわち、活性エステル系硬化剤及びトリアジン構造含有フェノール系硬化剤以外の硬化剤をさらに含んでもよい。
(b)成分以外の硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化させる機能を有する限り特に限定されないが、例えば、フェノール系硬化剤(トリアジン構造含有フェノール系硬化剤を除く)、シアネートエステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤(トリアジン構造含有フェノール系硬化剤を除く)としては、特に限定されないが、例えば、ビフェニル型硬化剤、ナフタレン型硬化剤、フェノールノボラック型硬化剤、ナフチレンエーテル型硬化剤等が挙げられる。具体例としては、明和化成(株)製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」(ビフェニル型硬化剤)、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」(ナフタレン型硬化剤)、新日鉄住金化学(株)製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN375」、「SN395」(ナフタレン型硬化剤)、DIC(株)製の「TD−2090」(フェノールノボラック型硬化剤)、DIC(株)製の「EXB−6000」(ナフチレンエーテル型硬化剤)等が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、ノボラック型(フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型など)シアネートエステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル系硬化剤、ビスフェノール型(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型など)シアネートエステル系硬化剤、及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。具体例としては、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート))、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」、「PT30S」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BADcy」(ビスフェノールAジシアネート)、「BA230」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル(株)製の「V−03」、「V−07」等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’−4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸が共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物等が挙げられる。酸無水物系硬化剤の具体例としては、Cray Valley HSC社製の「SMA EF30」等が挙げられる。
(b)成分以外の硬化剤を使用する場合、樹脂層中の該硬化剤の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上、又は2質量%以上である。該含有量の上限は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、又は10質量%以下である。
−(g)難燃剤−
樹脂層は、難燃剤をさらに含んでもよい。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂層中の難燃剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは0.5質量%〜10質量%、より好ましくは1質量%〜9質量%である。
−その他の添加剤−
樹脂層は、必要に応じて、さらに他の成分を含んでいてもよい。斯かる他の成分としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
樹脂層の最低溶融粘度は、プリント配線板の製造に際して樹脂シートと内層基板とを一括成形する方法に応じて決定してよい。
樹脂シートと内層基板とを真空熱プレス処理によって一括成形する場合、樹脂層の最低溶融粘度は、樹脂の染みだしを抑制する観点から、好ましくは8000ポイズ以上、より好ましくは8500ポイズ以上、又は9000ポイズ以上である。樹脂層の最低溶融粘度の上限は、良好な積層性(回路埋め込み性)を達成する観点から、好ましくは40000ポイズ以下、より好ましくは38000ポイズ以下、36000ポイズ以下、34000ポイズ以下、又は32000ポイズ以下である。
樹脂シートと内層基板とを真空ラミネート処理によって一括成形する場合、樹脂層の最低溶融粘度は、樹脂の染みだしを抑制する観点から、好ましくは300ポイズ以上、より好ましくは500ポイズ以上、700ポイズ以上、900ポイズ以上、又は1000ポイズ以上である。樹脂層の最低溶融粘度の上限は、良好な積層性(回路埋め込み性)を達成する観点から、好ましくは12000ポイズ以下、より好ましくは10000ポイズ以下、さらに好ましくは8000ポイズ以下、7000ポイズ以下、6000ポイズ以下、5000ポイズ以下又は4000ポイズ以下である。
なお、樹脂層の「最低溶融粘度」とは、樹脂層の樹脂が溶融した際に樹脂層が呈する最低の粘度をいう。詳細には、一定の昇温速度で樹脂層を加熱して樹脂を溶融させると、初期の段階は溶融粘度が温度上昇とともに低下し、その後、ある温度を超えると温度上昇とともに溶融粘度が上昇する。「最低溶融粘度」とは、斯かる極小点の溶融粘度をいう。樹脂層の最低溶融粘度は、動的粘弾性法により測定することができ、例えば、後述する<樹脂層の最低溶融粘度の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
樹脂層の最低溶融粘度は、例えば、(e)成分の含有量、後述する樹脂ワニスの乾燥条件等を変更することによって調整することができる。
本発明の樹脂シートは、絶縁層と回路とのピール強度が高いプリント配線板をもたらすことができる。具体的には、樹脂層を硬化して絶縁層を形成し、サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路を形成した後の、絶縁層と回路とのピール強度(S1)は、好ましくは0.5kgf/cm以上、より好ましくは0.52kgf/cm以上、さらに好ましくは0.54kgf/cm以上、0.56kgf/cm以上、0.58kgf/cm以上又は0.6kgf/cm以上とすることができる。該ピール強度(S1)の上限は特に限定されないが、通常、1.2kgf/cm以下などとし得る。
本発明の樹脂シートは、HASTによる高温高湿環境下における絶縁層と回路とのピール強度の低下を抑制し得る信頼性の高いプリント配線板をもたらすことができる。具体的には、樹脂層を硬化して絶縁層を形成し、サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路を形成し、さらに130℃、85%RHの条件下で100時間経過した後の、絶縁層と回路とのピール強度(S2)は、好ましくは0.3kgf/cm以上、より好ましくは0.32kgf/cm以上、さらに好ましくは0.34kgf/cm以上、0.36kgf/cm以上、0.38kgf/cm以上又は0.4kgf/cm以上とすることができる。該ピール強度(S2)の上限は特に限定されないが、通常、1.2kgf/cm以下などとし得る。
絶縁層と回路との剥離強度の測定は、JIS C6481に準拠して行うことができ、例えば、後述する<絶縁層と回路とのピール強度の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂シートにおいて、樹脂層の金属箔と接合していない面(即ち、金属箔とは反対側の面)には、保護フィルムをさらに積層することができる。したがって一実施形態において、本発明の樹脂シートは、第1及び第2の主面を有する金属箔と、該金属箔の第1の主面と接合している樹脂層と、該樹脂層と接合している保護フィルムとを含む。保護フィルムとしては、プラスチック材料からなるフィルムが好適に使用される。ここで、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミドなどが挙げられる。保護フィルムを積層することにより、樹脂層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能であり、プリント配線板の製造に際しては、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
本発明の樹脂シートは、金属箔の第1の主面と接合するように樹脂層を設けることによって作製し得る。
樹脂層は、公知の方法で設けることができる。例えば、溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどの塗布装置を用いて金属箔の第1の主面に塗布し、樹脂ワニスを乾燥させて樹脂層を設けることができる。
樹脂ワニスの調製に用いる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類、セロソルブ、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。溶剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂ワニスの乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の乾燥方法により実施してよい。樹脂層中に溶剤が多く残留すると、硬化後に膨れが発生する原因となるため、樹脂層中の残留溶剤量が通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3分間〜10分間乾燥させることにより、樹脂層を形成することができる。
保護フィルムを設ける場合、保護フィルムは、ロールやプレス圧着等で樹脂層にラミネート処理することが好ましい。ラミネート処理は、市販の真空ラミネーターを用いて実施することができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、(株)名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、ニチゴー・モートン(株)製のバキュームアップリケーター等が挙げられる。
あるいはまた、樹脂層を含む接着フィルムを用いて、金属箔の第1の主面と接合するように樹脂層を設けることができる。斯かる態様では、支持体と、該支持体と接合している樹脂層とを含む接着フィルムを、樹脂層が金属箔の第1の主面と接合するように金属箔に積層する。これにより、樹脂ワニスの塗工が困難な薄型の金属箔を使用する場合であっても、樹脂層を容易に設けることができる。支持体の材料は、上記の保護フィルムと同じとしてよく、斯かる態様では、支持体が上記の保護フィルムの機能を兼ねることが可能である。
接着フィルムは、例えば、溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて支持体上に塗布し、樹脂ワニスを乾燥させて樹脂層を形成させることにより調製することができる。溶剤は、上記と同じものを用いてよい。
接着フィルムと金属箔との積層は、作業性が良好であり、一様な接触状態が得られやすいので、ロール圧着やプレス圧着等で、接着フィルムを金属箔にラミネート処理することが好ましい。中でも、減圧下でラミネートする真空ラミネート法がより好ましい。ラミネート処理は、市販の真空ラミネーターを用いて実施することができる。市販の真空ラミネーターは先述のとおりである。
接着フィルムを使用して作製した樹脂シートは、プリント配線板を製造するに際して、接着フィルム由来の支持体を除去することによって使用可能となる。
[積層板]
本発明の樹脂シートを用いて積層板を製造することができる。
好適な実施形態において、本発明の積層板は、本発明の樹脂シート2枚の間に、樹脂層と内層基板とが接合するように、内層基板を配置し、真空熱プレス処理又は真空ラミネート処理によって一括成形して得られる。
本発明において、「内層基板」とは、主として、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板、又は該基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された回路基板をいう。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物の内層回路基板も本発明でいう「内層基板」に含まれる。
以下、真空熱プレス処理によって一括成形する実施形態を「第1実施形態」、真空ラミネート処理によって一括成形する実施形態を「第2実施形態」という。
−第1実施形態−
第1実施形態において、本発明の積層板は、真空熱プレス装置を用いて以下の手順で製造することが好適である。
まず、本発明の樹脂シート2枚の間に、樹脂層と内層基板とが接合するように、内層基板を配置した積層構造を準備し、該積層構造を真空熱プレス装置にセットする。
積層構造は、クッション紙、ステンレス板(SUS板)等の金属板、離型フィルムなどを介して真空熱プレス装置にセットすることが好ましい。積層構造は、例えば、クッション紙/金属板/離型フィルム/積層構造(すなわち、樹脂シート/内層基板/樹脂シート)/離型フィルム/SUS板/クッション紙の順に積層されて真空熱プレス装置にセットされる。ここで記号「/」はこれを挟むように示されている構成要素同士が互いに接するように配置されていることを意味している(以下、積層構造の説明等において同様である。)。
次いで、減圧条件下で積層構造を加熱圧着する真空熱プレス処理を行う。
真空熱プレス処理は、加熱されたSUS板等の金属板によって積層構造をその両面側から押圧する従来公知の真空熱プレス装置を用いて実施することができる。市販されている真空熱プレス装置としては、例えば、(株)名機製作所製の「MNPC−V−750−5−200」、北川精機(株)製の「VH1−1603」等が挙げられる。
真空熱プレス処理は、1回のみ実施してもよく、2回以上繰り返して実施してもよい。
真空熱プレス処理において、圧着圧力(押圧力)は、好ましくは5kgf/cm〜80kgf/cm(0.49MPa〜7.9MPa)、より好ましくは10kgf/cm〜60kgf/cm(0.98MPa〜5.9MPa)である。
真空熱プレス処理において、雰囲気の圧力、すなわち、処理対象の積層構造が格納されるチャンバ内の減圧時の圧力は、好ましくは3×10−2MPa以下、より好ましくは1×10−2MPa以下である。
真空熱プレス処理において、加熱温度(T)は、樹脂層の組成によっても異なるが、通常150℃以上であり、好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上、又は180℃以上である。加熱温度(T)の上限は特に限定されないが、通常、240℃以下などとし得る。
真空熱プレス処理は、クラックや歪みを抑制する観点から、温度を段階的に若しくは連続的に上昇させながら、及び/又は温度を段階的に若しくは連続的に下降させながら、実施することが好ましい。斯かる場合、最高到達温度が、上記所望の温度条件を満たすことが好ましい。
真空熱プレス処理は、例えば、常温から加熱温度(T)まで昇温速度Sで昇温し、加熱温度(T)にて所定時間保持した後、降温速度Sで加熱温度(T)から常温まで降温する加熱条件で実施してよい。昇温速度S及び降温速度Sは、通常0.5℃/分〜30℃/分、好ましくは1℃/分〜10℃/分、より好ましくは2℃/分〜8℃/分である。加熱温度(T)にて保持する時間は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、通常1分間〜180分間、好ましくは5分間〜150分間、より好ましくは10分間〜120分間である。
真空熱プレス処理によって、樹脂層は硬化して絶縁層を形成する。したがって、得られる積層板は、金属箔/絶縁層/内層基板/絶縁層/金属箔の層構成を有する。
−第2実施形態−
第2実施形態において、本発明の積層板は、下記工程(I)及び(II)を含む方法により製造することが好適である。
(I)本発明の樹脂シート2枚の間に、樹脂層と内層基板とが接合するように、内層基板を配置し、真空ラミネート処理する工程
(II)樹脂層を熱硬化して絶縁層を形成する工程
工程(I)において、本発明の樹脂シート2枚の間に、樹脂層と内層基板とが接合するように、内層基板を配置し、真空ラミネート処理する。
真空ラミネート処理は、金属箔側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
真空ラミネート処理において、加熱温度は、好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは80℃〜140℃の範囲であり、圧着圧力は、好ましくは1kgf/cm〜18kgf/cm(0.098MPa〜1.77MPa)、より好ましくは3kgf/cm〜15kgf/cm(0.29MPa〜1.47MPa)の範囲であり、圧着時間は、好ましくは20秒間〜400秒間、より好ましくは30秒間〜300秒間の範囲である。真空ラミネート処理は、好ましくは26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
真空ラミネート処理は、市販の真空ラミネーターを用いて行うことができる。市販の真空ラミネーターは、先述のとおりである。
真空ラミネート処理の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を金属箔側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理の加熱圧着条件は、上記真空ラミネート処理の加熱圧着条件と同様の条件としてよい。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
工程(II)において、樹脂層を熱硬化して絶縁層を形成する。
熱硬化の条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば、樹脂層の熱硬化条件は、樹脂層の組成によっても異なるが、硬化温度は120℃〜240℃の範囲(好ましくは150℃〜210℃の範囲、より好ましくは170℃〜190℃の範囲)、硬化時間は5分間〜90分間の範囲(好ましくは10分間〜75分間、より好ましくは15分間〜60分間)としてよい。
樹脂層を熱硬化させる前に、樹脂層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、樹脂層を5分間以上(好ましくは5分間〜150分間、より好ましくは15分間〜120分間)予備加熱してもよい。
工程(II)により、樹脂層が硬化して絶縁層が形成され、金属箔/絶縁層/内層基板/絶縁層/金属箔の層構成を有する積層板が得られる。
第1実施形態及び第2実施形態の別を問わず、(A)穴あけする工程、(B)デスミア処理を行う工程、(C)サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路を形成する工程をさらに実施してもよい。したがって一実施形態において、本発明の積層板は、サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により形成された回路を含む。
工程(A)は、穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホールを形成することができる。工程(A)は、絶縁層の形成に使用した樹脂層の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用する公知の手順で実施してよい。
工程(B)は、デスミア処理を行う工程である。工程(A)において形成されたビアホール内部には、一般に、絶縁層由来の樹脂残渣(スミア)が付着している。斯かるスミアは、層間の電気接続不良の原因となるため、工程(B)においてスミアを除去する処理(デスミア処理)を実施する。
デスミア処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の製造において通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤溶液による酸化処理、中和液による中和処理をこの順に実施してデスミア処理を行うことができる。膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等を挙げることができる。膨潤処理は、ビアホールの形成された積層板を、60℃〜80℃に加熱した膨潤液に5分間〜10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。酸化剤溶液としては、アルカリ性過マンガン酸水溶液が好ましく、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解した溶液を挙げることができる。酸化剤溶液による酸化処理は、膨潤処理後の積層板を、60℃〜80℃に加熱した酸化剤溶液に10分間〜30分間浸漬させることにより行うことが好ましい。アルカリ性過マンガン酸水溶液の市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ド−ジングソリューション・セキュリガンスP」等が挙げられる。中和液による中和処理は、酸化処理後の積層板を、30℃〜50℃の中和液に3分間〜10分間浸漬させることにより行うことが好ましい。中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。
工程(C)は、サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路を形成する工程である。
工程(C)においては、本発明の樹脂シート由来の金属箔を利用して、サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路を形成することができる。
サブトラクティブ法においては、金属箔の不要部分(非回路形成部)をエッチング等によって選択的に除去して、回路を形成する。サブトラクティブ法による回路形成は公知の手順に従って実施してよい。例えば、サブトラクティブ法による回路形成は、i)積層板の金属箔の表面(すなわち、第2の主面)にエッチングレジストを設けること、ii)エッチングレジストを露光、現像して配線パターンを形成すること、iii)露出した金属箔部分をエッチングして除去すること、iv)エッチングレジストを除去すること、を含む方法により実施することができる。
モディファイドセミアディティブ法においては、金属箔の非回路形成部をめっきレジストにより保護し、電解めっきにより回路形成部に銅等の金属を厚付けした後、めっきレジストを除去し、回路形成部以外の金属箔をエッチングで除去して、回路を形成する。モディファイドセミアディティブ法による回路形成は公知の手順に従って実施してよい。例えば、モディファイドセミアディティブ法による回路形成は、i)積層板の金属箔の表面(すなわち、第2の主面)にめっきレジストを設けること、ii)めっきレジストを露光、現像して配線パターンを形成すること、iii)めっきレジストを介して電解めっきすること、iv)めっきレジストを除去すること、v)回路形成部以外の金属箔をエッチングして除去すること、を含む方法により実施することができる。なお、樹脂シート由来の金属箔が厚い場合には、上記i)の前に、金属箔が所望の厚さ(通常5μm以下、4μm以下、又は3μm以下)となるようにエッチング等により金属箔全面を薄化してもよい。
絶縁層と回路とは十分な密着強度(ピール強度)を示すことが求められ、一般に、絶縁層と回路の界面粗さに起因するアンカー効果によって斯かる密着性を得ている。しかしながら、界面の凹凸が大きいと、回路形成時にエッチングで金属箔の不要部(非回路形成部)を除去する際、アンカー部分の金属箔が除去され難く、アンカー部分の金属箔を十分に除去し得る条件でエッチングした場合、配線パターンの溶解が顕著化し、回路の微細化の妨げとなっていた。この点、本発明の樹脂シートによれば、絶縁層と回路との良好なピール強度を実現しつつ、表面粗度の低い金属箔を使用することが可能である。このため、本発明の樹脂シートを用いて得られる積層板では、金属箔と絶縁層との界面粗さが低く、配線パターンの溶解なしに、金属箔の不要部分(非回路形成部)をエッチングにより容易に除去し得る。
本発明においては、微細な回路を形成することができる。例えば、回路幅(ライン;L)と回路間の幅(スペース;S)の比(L/S)が35μm/35μm以下(すなわち、配線ピッチ70μm以下)の回路を歩留まりよく形成することができる。さらには、L/S=30μm/30μm以下(配線ピッチ60μm以下)、L/S=25μm/25μm以下(配線ピッチ50μm以下)、又はL/S=20μm/20μm以下(配線ピッチ40μm以下)の微細な回路を歩留まりよく形成することができる。
本発明の積層板は、その製造方法や構造(回路形成の有無、使用する内層基板の種類など)に応じて、種々の用途に使用し得る。例えば、プリント配線板の製造に用いられる金属張積層板や内層回路基板として用いてもよく、プリント配線板として用いてもよい。
[半導体装置]
本発明の積層板からなるプリント配線板を用いて、あるいは本発明の積層板を用いて製造されたプリント配線板を用いて、半導体装置を製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
本発明の半導体装置は、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
本発明の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、などが挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
<測定方法・評価方法>
まずは各種測定方法・評価方法について説明する。
〔測定・評価用基板の調製〕
(1)内層基板の下地処理
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.4mm、255mm×340mmサイズ、パナソニック(株)製「R1515A」)の両面を、マイクロエッチング剤(メック(株)製「CZ8100」)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
(2)積層板の作製
下記作製例で作製した樹脂シートを250mm×335mmサイズにカットした。次いで、該樹脂シート2枚の間に、樹脂層と内層基板とが接合するように、内層基板を配置し、真空熱プレス処理(実施例1〜3及び比較例1〜4)又は真空ラミネート処理(実施例4)により一括成形して、金属箔/絶縁層/内層基板/絶縁層/金属箔の層構成を有する積層板を得た。真空熱プレス処理及び真空ラミネート処理は、以下の手順に従って実施した。
(2A)真空熱プレス処理
真空熱プレス処理は、真空熱プレス装置(北川精機(株)製「VH1−1603」)を用いて実施した。詳細には、下記積層構造を準備し、該積層構造を真空熱プレス装置にて真空熱プレス処理した。
積層構造:クッション紙/SUS板/離型シート/樹脂シート(金属箔/樹脂層)/内層基板/樹脂シート(樹脂層/金属箔)/離型シート/SUS板/クッション紙
クッション紙としては阿波製紙(株)製「AACP−9N」(厚さ800μm)を用い、離型フィルムとしては旭硝子(株)製「アフレックス 50N NT」(厚さ50μm)を用いた。また、SUS板の厚さは1μmであった。
真空熱プレス処理の条件は下記のとおりである。
温度:昇温速度5℃/分にて室温(常温)から表2記載の温度Tまで昇温し、温度Tにて60分間保持し、その後、降温速度5℃/分にて温度Tから室温まで降温
圧力(押圧力):温度が約125℃となった時点で押圧力を30kgf/cm(2.9MPa)としてこれを降温終了時まで保持
雰囲気の圧力:70mmHg〜74mmHg(9.3×10−3MPa〜9.9×10−3MPa)
(2B)真空ラミネート処理
真空ラミネート処理は、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニチゴー・モートン(株)製の2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて実施した。詳細には、樹脂層と内層基板とが接合するように、内層基板の両面に樹脂シートを真空ラミネート処理した。真空ラミネート処理は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaにて30秒間プレスすることにより実施した。次いで、積層された樹脂シートを、大気圧下、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間プレスして平滑化した。平滑化の後、樹脂層を180℃、60分間の条件で熱硬化させて絶縁層を形成した。
(3)回路形成
積層板の金属箔(銅箔)を利用して、サブトラクティブ法(実施例1〜3及び比較例1〜4)又はモディファイドセミアディティブ法(実施例4)により回路を形成した。
(3A)サブトラクティブ法
(3A−1)ドライフィルムの現像
積層板表面を5%硫酸水溶液で30秒間処理した。得られた積層板の両面に、PETフィルム付きドライフィルム(ニチゴー・モートン(株)製「ALPHO NIT3025」、ドライフィルムの厚さ25μm)を、ドライフィルムが積層板と接合するように、バッチ式真空加圧ラミネーター((株)名機製作所製「MVLP−500」)を用いて積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、温度70℃、圧力0.1MPaにて20秒間プレスすることにより行った。
その後、配線パターン(詳細は以下に示す。)を形成したガラスマスク(フォトマスク)を、ドライフィルムの保護層であるPETフィルム上に配置し、UVランプにより照射強度150mJ/cmにて紫外光を照射した。UV照射後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を噴射圧0.15MPaにて30秒間スプレー処理した。その後、水洗して、ドライフィルムの現像(パターン形成)を行った。
ガラスマスクの配線パターン:
下記i)乃至iv)の櫛歯パターンを各10個、下記v)の銅ベタパターンを5個有するガラスマスクを使用した。なお、下記i)乃至iv)の櫛歯パターンは微細回路形成能の評価用、下記v)の銅ベタパターンは絶縁層と金属箔(銅箔)とのピール強度測定用である。
i)L/S=20μm/20μm、すなわち配線ピッチ40μmの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)
ii)L/S=25μm/25μm、すなわち配線ピッチ50μmの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)
iii)L/S=30μm/30μm、すなわち配線ピッチ60μmの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)
iv)L/S=35μm/35μm、すなわち配線ピッチ70μmの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)
v)幅10mm、長さ150mmの銅ベタパターン
(3A−2)回路の形成
次いで、塩化第二銅系エッチング液(塩化第二銅:1x10mol/m、塩酸:2.9x10mol/m)を使用して、40℃にて水平スプレー処理し、銅箔をエッチングして、回路を形成した。その後、50℃の3%水酸化ナトリウム溶液を噴射圧0.2MPaにてスプレー処理し、PET付きドライフィルムを剥離した。
(3B)モディファイドセミアディティブ法
(3B−1)銅箔のエッチング
積層板の銅箔に対して、塩化第二銅系エッチング液を使用して、銅箔の厚さが約3μmとなるように全面エッチングした。
(3B−2)ドライフィルムの現像
次いで、上記(3A−1)と同様にして、ドライフィルムの現像(パターン形成)を行った。
(3B−3)電解めっき
ドライフィルムの現像後、電解銅めっきを行い、厚さ約17μmの導体層(銅層)を形成した(樹脂シート由来の銅箔との合計厚さは約20μm)。
(3B−4)回路の形成
次いで、50℃の3%水酸化ナトリウム溶液を噴射圧0.2MPaにてスプレー処理し、PETフィルム付きドライフィルムを剥離した。190℃にて60分間加熱してアニール処理を行った後、フラッシュエッチング用エッチャント(菱光化学(株)製「CPE−800D」)を使用して、30℃にて水平スプレー処理し、不要な銅箔(樹脂シート由来の銅箔)を除去することにより回路を形成した。
<金属箔表面の算術平均粗さ(Ra)の測定>
下記作製例で使用した金属箔について、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値によりRa値を求めた。各サンプルについて無作為に選んだ10点の平均値を求めた。
<樹脂層の最低溶融粘度の測定>
下記作製例で作製した樹脂シートの樹脂層について、動的粘弾性測定装置((株)ユー・ビー・エム製「Rheosol−G3000」)を使用して溶融粘度を測定した。試料樹脂組成物1gについて、直径18mmのパラレルプレートを使用して、開始温度60℃から200℃まで昇温速度5℃/分にて昇温し、測定温度間隔2.5℃、振動数1Hz、歪み1degの測定条件にて動的粘弾性率を測定し、最低溶融粘度(ポイズ)を算出した。
<絶縁層と回路とのピール強度の測定>
(1)HAST前のピール強度
測定・評価用基板の銅ベタパターン部分(幅10mm、長さ150mm)の一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定した。測定には、引っ張り試験機((株)TSE製のオートコム型試験機「AC−50C−SL」)を使用した。表2には銅ベタパターン5個についての平均値を示す。
HAST前に良好なピール強度(0.5kgf/cm以上)を示した基板について、HAST後のピール強度の測定および微細回路形成能の評価を行った。
(2)HAST後のピール強度
測定・評価用基板を、高度加速寿命試験装置(楠本化成(株)製「PM422」)を用いて、130℃、85%RHの条件で100時間の高度加速高温高湿寿命試験(HAST)を実施した。HAST後に、上記(1)と同様の方法でピール強度を測定した。表2には銅ベタパターン5個についての平均値を示す。
<微細回路形成能の評価>
測定・評価用基板の上記i)乃至iv)の櫛歯パターンについて、回路の剥離の有無を光学顕微鏡にて確認すると共に、不要な銅箔の残渣の有無を櫛歯パターンの絶縁抵抗を測定することで確認した。そして、櫛歯パターン10個全てについて問題のなかった場合に合格と判定した。微細回路形成能は、合格と判定された最小の配線ピッチにより評価した。当該評価においては、合格と判定された最小の配線ピッチが小さいほど、微細回路形成能に優れることとなる。
<調製例1>樹脂ワニス1の調製
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製「ZX1059」、エポキシ当量約169、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)5部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)10部、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP7200HH」、エポキシ当量280)10部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:MEKの1:1溶液)20部を、ソルベントナフサ25部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、活性エステル系硬化剤(DIC(株)製「HPC8000−65T」、活性基当量約223、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)30部、アミン系硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)3部、イミダゾール系硬化促進剤(三菱化学(株)製「P200H50」、イミダゾール−エポキシ樹脂のアダクト体、不揮発成分50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)1.5部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径2μm)2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ((株)アドマテックス製「SO−C2」、平均粒径0.5μm、単位表面積当たりのカーボン量0.38mg/m)120部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散し、樹脂ワニス1を調製した。
<調製例2>樹脂ワニス2の調製
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製「ZX1059」、エポキシ当量約169、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)5部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)10部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000L」、エポキシ当量269)10部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:MEKの1:1溶液)15部を、ソルベントナフサ30部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、活性エステル系硬化剤(DIC(株)製「HPC8000−65T」、活性基当量約223、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)10部、トリアジン構造含有フェノール系硬化剤(水酸基当量151、DIC(株)製「LA−3018」、固形分50%の2−メトキシプロパノール溶液)10部、アミン系硬化促進剤(DMAP、固形分5質量%のMEK溶液)2部、イミダゾール系硬化促進剤(三菱化学(株)製「P200H50」、イミダゾール−エポキシ樹脂のアダクト体、不揮発成分50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)1.8部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、平均粒径2μm)2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ((株)アドマテックス製「SO−C2」、平均粒径0.5μm、単位表面積当たりのカーボン量0.38mg/m)80部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理されたシリカ(Unimin社製「IMSIL A−8」、平均粒径2.2μm、単位表面積当たりのカーボン量0.29mg/m)60部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散し、樹脂ワニス2を調製した。
<調製例3>樹脂ワニス3の調製
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製「ZX1059」、エポキシ当量約169、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)3部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032SS」、エポキシ当量約144)5部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)10部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000L」、エポキシ当量269)10部を、ソルベントナフサ15部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、トリアジン構造含有フェノール系硬化剤(水酸基当量125、DIC(株)製「LA−7054」、固形分60%のMEK溶液)12部、フェノールノボラック系硬化剤(水酸基当量105、DIC(株)製「TD−2090」、固形分60%のMEK溶液)10部、ポリビニルブチラール樹脂(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS-1」、固形分15%のエタノール:トルエンの1:1溶液)15部、アミン系硬化促進剤(DMAP、固形分5質量%のMEK溶液)1部、イミダゾール系硬化促進剤(三菱化学(株)製「P200H50」、イミダゾール−エポキシ樹脂のアダクト体、不揮発成分50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)2部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、平均粒径2μm)2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理されたシリカ(Unimin社製「IMSIL A−8」、平均粒子径2.2μm、単位表面積当たりのカーボン量0.29mg/m)90部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散し、樹脂ワニス3を調製した。
<調製例4>(樹脂ワニス4の調製)
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製「ZX1059」、エポキシ当量約169、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)5部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP4032SS」、エポキシ当量約144)5部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)10部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000L」、エポキシ当量269)10部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:MEKの1:1溶液)10部を、ソルベントナフサ15部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、トリアジン構造含有フェノール系硬化剤(水酸基当量125、DIC(株)製「LA−7054」、固形分60%のMEK溶液)12部、ナフタレン系硬化剤(新日鉄住金化学(株)製「SN−485」、水酸基当量215、固形分60%のMEK溶液)10部、ポリビニルブチラール樹脂(ガラス転移温度105℃、積水化学工業(株)製「KS−1」、固形分15%のエタノール:トルエンの1:1溶液)10部、イミダゾール系硬化促進剤(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(1B2PZ)、固形分5%のMEK溶液)1.5部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、平均粒径2μm)2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ((株)アドマテックス製「SO−C2」、平均粒径0.5μm、単位表面積当たりのカーボン量0.38mg/m)90部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散し、樹脂ワニス4を調製した。
<調製例5>樹脂ワニス5の調製
トリアジン構造含有フェノール系硬化剤(水酸基当量125、DIC(株)製「LA−7054」、固形分60%のMEK溶液)を使用しなかった点、及びフェノールノボラック系硬化剤(水酸基当量105、DIC(株)製「TD−2090」、固形分60%のMEK溶液)の配合量を22部に変更した点以外は、調製例3と同様にして、樹脂ワニス5を調製した。
<調製例6>樹脂ワニス6の調製
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製「ZX1059」、エポキシ当量約169、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)6部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)10部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:MEKの1:1溶液)20部を、ソルベントナフサ25部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、酸無水物系硬化剤(Cray Valley HSC社製「SMA EF30」、酸価280mgKOH/g、固形分60%のトルエン:MEKの1:1溶液)45部、アミン系硬化促進剤(DMAP、固形分5質量%のMEK溶液)2部、イミダゾール系硬化促進剤(三菱化学(株)製「P200H50」、イミダゾール−エポキシ樹脂のアダクト体、不揮発成分50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)1.5部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、平均粒径2μm)2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ((株)アドマテックス製「SO−C2」、平均粒径0.5μm、単位表面積当たりのカーボン量0.38mg/m)120部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散し、樹脂ワニス6を調製した。
<調製例7>樹脂ワニス7の調製
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製「ZX1059」、エポキシ当量約169、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)3部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)7部、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC(株)製「HP7200HH」、エポキシ当量280)8部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:MEKの1:1溶液)20部、シアネートエステル系硬化剤(ロンザジャパン(株)製「BADCy」、ビスフェノールAジシアネート)7部を、ソルベントナフサ15部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、シアネートエステル系硬化剤(ロンザジャパン(株)製「PT30S」、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂、シアネート当量約133、不揮発分85質量%のMEK溶液)9部、アミン系硬化促進剤(DMAP、固形分5質量%のMEK溶液)0.6部、金属系硬化促進剤((東京化成(株)製のナフテン酸亜鉛(II)、亜鉛含有量8%のミネラルスピリット溶液)の3質量%シクロヘキサノン溶液)4部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、平均粒径2μm)2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ((株)アドマテックス製「SO−C2」、平均粒径0.5μm、単位表面積当たりのカーボン量0.38mg/m)90部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散し、樹脂ワニス7を調製した。
樹脂ワニス1乃至7の組成を表1に示す。
Figure 2016033994
<作製例1>樹脂シート1の作製
金属箔として、銅箔(JX日鉱日石金属(株)製のHLP箔、厚さ18μm)を用意した。以下、該銅箔を「銅箔1」ともいう。銅箔1の第1の主面のRaは160nm、第2の主面のRaは390nmであった。該銅箔1の第1の主面に、ダイコーターにて樹脂ワニス1を塗布し、80℃〜120℃(平均100℃)にて5分間乾燥させ、厚さ40μmの樹脂層を有する樹脂シート1を作製した。
<作製例2>樹脂シート2の作製
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス2を使用した以外は、作製例1と同様にして、樹脂シート2を作製した。
<作製例3>樹脂シート3の作製
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス3を使用した以外は、作製例1と同様にして、樹脂シート3を作製した。
<作製例4>樹脂シート4の作製
(1)接着フィルムの作製
支持体として、アルキド樹脂系離型剤(リンテック(株)製「AL−5」)で離型処理したPETフィルム(東レ(株)製「ルミラーT6AM」、厚さ25μm)を用意した。該支持体の離型面に、ダイコーターにて樹脂ワニス4を塗布し、80℃〜110℃(平均100℃)にて5分間乾燥させ、厚さ40μmの樹脂層を有する接着フィルムを作製した。
(2)樹脂シートの作製
金属箔として、銅箔(三井金属鉱山(株)製のTP−III箔、厚さ11μm)を用意した。以下、該銅箔を「銅箔2」ともいう。銅箔2の第1の主面のRaは290nm、第2の主面のRaは610nmであった。該銅箔2を、上記(1)で得られた接着フィルムに、接着フィルムの樹脂層と銅箔2の第1の主面とが接合するように、加熱ロール(60℃)にてラミネート処理して、樹脂シート4を作製した。該樹脂シート4は、測定・評価用基板の調製に際しては、接着フィルム由来の支持体であるPETフィルムを剥離した後に使用した。
<作製例5>樹脂シート5の作製
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス5を使用した以外は、作製例1と同様にして、樹脂シート5を作製した。
<作製例6>樹脂シート6の作製
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス6を使用した以外は、作製例1と同様にして、樹脂シート6を作製した。
<作製例7>樹脂シート7の作製
銅箔1に代えて銅箔3(三井金属鉱山(株)製の3EC−M3−VLP箔、厚さ18μm)を使用した以外は、作製例1と同様にして、樹脂シート7を作製した。なお、銅箔3の第1の主面のRaは630nm、第2の主面のRaは410nmであった。
<作製例8>樹脂シート8の作製
樹脂ワニス1に代えて樹脂ワニス7を使用した以外は、作製例1と同様にして、樹脂シート8を作製した。
<実施例1>
樹脂シート1を使用して、上記〔測定・評価用基板の調製〕に従って、測定・評価用基板を調製し、各評価を行った。
<実施例2>
樹脂シート2を使用して、上記〔測定・評価用基板の調製〕に従って、測定・評価用基板を調製し、各評価を行った。
<実施例3>
樹脂シート3を使用して、上記〔測定・評価用基板の調製〕に従って、測定・評価用基板を調製し、各評価を行った。
<実施例4>
樹脂シート4を使用して、上記〔測定・評価用基板の調製〕に従って、測定・評価用基板を調製し、各評価を行った。
<比較例1>
樹脂シート5を使用して、上記〔測定・評価用基板の調製〕に従って、測定・評価用基板を調製し、各評価を行った。
<比較例2>
樹脂シート6を使用して、上記〔測定・評価用基板の調製〕に従って、測定・評価用基板を調製し、各評価を行った。
<比較例3>
樹脂シート7を使用して、上記〔測定・評価用基板の調製〕に従って、測定・評価用基板を調製し、各評価を行った。
<比較例4>
樹脂シート8を使用して、上記〔測定・評価用基板の調製〕に従って、測定・評価用基板を調製し、各評価を行った。
Figure 2016033994

Claims (24)

  1. サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路形成するための樹脂シートであって、
    第1及び第2の主面を有する金属箔と、
    金属箔の第1の主面と接合している樹脂層と
    を含み、
    金属箔の第1の主面の算術平均粗さ(Ra)が300nm以下であり、
    樹脂層の厚さが8μm〜400μmであり、
    樹脂層が、(a)エポキシ樹脂、(b)活性エステル系硬化剤及びトリアジン構造含有フェノール系硬化剤からなる群から選択される1種以上の硬化剤を含む、樹脂シート。
  2. 樹脂層が(c)無機充填材をさらに含む、請求項1に記載の樹脂シート。
  3. (c)無機充填材がシリカである、請求項2に記載の樹脂シート。
  4. 樹脂層中の(c)無機充填材の含有量が、樹脂層中の不揮発成分を100質量%としたとき、40質量%〜85質量%である、請求項2又は3に記載の樹脂シート。
  5. 樹脂層が(d)ポリマー成分をさらに含み、(d)ポリマー成分が有機充填材及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  6. (d)ポリマー成分が、有機充填材、フェノキシ樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される1種以上を含む、請求項5に記載の樹脂シート。
  7. 樹脂層中の(d)ポリマー成分の含有量が、樹脂層中の不揮発成分を100質量%としたとき、0.5質量%〜10質量%である、請求項5又は6に記載の樹脂シート。
  8. 樹脂層が(e)硬化促進剤をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  9. 樹脂層中の(e)硬化促進剤の含有量が、樹脂層中の樹脂成分を100質量%としたとき、0.03質量%〜4質量%である、請求項8に記載の樹脂シート。
  10. 樹脂層中の(e)硬化促進剤の含有量が、樹脂層中の樹脂成分を100質量%としたとき、0.3質量%〜3質量%である、請求項8に記載の樹脂シート。
  11. (e)硬化促進剤が、イミダゾール系硬化促進剤及びアミン系硬化促進剤からなる群から選択される1種以上を含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  12. (e)硬化促進剤が、イミダゾール−エポキシ樹脂のアダクト体、及び4−ジメチルアミノピリジンからなる群から選択される1種以上を含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  13. 樹脂層が(c)無機充填材、(d)ポリマー成分及び(e)硬化促進剤をさらに含み、
    (d)ポリマー成分が有機充填材及び熱可塑性樹脂からなる群から選択され、
    樹脂層中の不揮発成分を100質量%としたとき、(c)無機充填材の含有量が40質量%〜85質量%、(d)ポリマー成分の含有量が0.5質量%〜10質量%であり、
    樹脂層の樹脂成分を100質量%としたとき、(e)硬化促進剤の含有量が0.03質量%〜4質量%である、請求項1に記載の樹脂シート。
  14. (c)無機充填材がシリカであり、
    (d)ポリマー成分が、有機充填材、フェノキシ樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される1種以上を含み、
    (e)硬化促進剤が、イミダゾール−エポキシ樹脂のアダクト体、及び4−ジメチルアミノピリジンからなる群から選択される1種以上を含む、請求項13に記載の樹脂シート。
  15. 樹脂層の最低溶融粘度が8000〜40000ポイズである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  16. 樹脂層の最低溶融粘度が300〜12000ポイズである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  17. 樹脂層を硬化して絶縁層を形成し、サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路を形成した後の、該絶縁層と回路とのピール強度が0.5kgf/cm以上であり、
    樹脂層を硬化して絶縁層を形成し、サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により回路を形成し、さらに130℃、85%RHの条件下で100時間経過した後の、該絶縁層と回路とのピール強度が0.3kgf/cm以上である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  18. 金属箔の厚さが1μm〜40μmである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  19. 金属箔の第1の主面の算術平均粗さ(Ra)が250nm以下である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  20. 金属箔の第2の主面の算術平均粗さ(Ra)が300nm以上である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  21. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の樹脂シート2枚の間に、樹脂層と内層基板とが接合するように、内層基板を配置し、真空熱プレス処理又は真空ラミネート処理によって一括成形して得られる、積層板。
  22. サブトラクティブ法又はモディファイドセミアディティブ法により形成された回路を含む、請求項21に記載の積層板。
  23. 配線ピッチが50μm以下の回路を含む、請求項22に記載の積層板。
  24. 請求項21〜23のいずれか1項に記載の積層板を用いて得られる半導体装置。
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