JP2016032127A - 無線通信システム、歪補償装置、及び歪補償方法 - Google Patents

無線通信システム、歪補償装置、及び歪補償方法 Download PDF

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Abstract

【課題】通信品質を向上させることができる、無線通信システム、歪補償装置、及び歪補償方法を提供する。
【解決手段】無線端末装置の送信装置に含まれる歪補償装置12において、補正部35は、無線端末装置が送信した信号を受信した無線基地局装置から送信されたフィードバック信号に基づいて、調整部34で用いられる調整係数を補正(更新)する。フィードバック信号は、無線端末装置が送信した既知信号の受信信号点と、その既知信号に期待される期待信号点とのズレに関する情報を含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、無線通信システム、歪補償装置、及び歪補償方法に関する。
無線通信システムにおける無線送信装置には、送信信号の電力を増幅する増幅器が備えられている。無線送信装置では、一般的に、増幅器の電力効率を高めるために、増幅器の飽和領域付近で増幅器を動作させる。しかし、増幅器を飽和領域付近で動作させると非線形歪が増大する。そこで、この非線形歪を抑えて隣接チャネル漏洩電力(ACLR:Adjacent Channel Leakage Ratio)を低減するために、無線送信装置には、非線形歪を補償する歪補償装置が備えられる。
歪補償装置で用いられる歪補償方式の一つに「プリディストーション(以下では「PD」と呼ぶことがある)方式」がある。PD方式の歪補償装置は、増幅器の非線形歪の逆特性を有する歪補償係数を増幅器への入力前の送信ベースバンド信号に予め乗算することで、増幅器の出力の線形性を高めて増幅器の出力の歪を抑圧する。送信ベースバンド信号に歪補償係数を乗算器で乗算した後の信号は「プリディストーション信号(PD信号)」と呼ばれることがある。よって、PD信号は、増幅器への入力前に、増幅器の非線形歪の逆特性に従って予め歪んだ信号となる。
例えば、従来のPD方式の歪補償装置として、複数の歪補償係数が格納されたテーブルを有し、送信ベースバンド信号の電力に応じたアドレス値とテーブルで対応する歪補償係数を読み出すものがある。そして、当該歪補償装置は、読み出した歪補償係数を「調整係数」を用いて調整した後に、調整後の歪補償係数を乗算器へ出力する。そして、当該歪補償装置は、無線送信装置の増幅器の出力信号の一部を無線送信装置内でフィードバックし、「フィードバック信号」において、無線送信装置に適用されている「送信帯域(つまり、チャネル)」外に現れる「歪成分」を検出する。そして、歪補償装置は、検出した「送信帯域外の歪成分」に基づいて、歪補償処理の調整(例えば、「上記の調整係数の補正(更新)」)を行っているものがある。
特開2009−303225号公報
しかしながら、上記の従来の歪補償装置では、無線送信装置内のフィードバック信号に含まれる「送信帯域外の歪成分」に基づいて歪補償処理の調整を行っているため、歪補償処理によって無線受信装置(つまり、歪補償装置の搭載された無線送信装置の通信相手)の通信品質(例えば、BER:Bit Error Rate)に与える、影響が考慮されていない。このため、歪補償処理によって無線受信装置における通信品質が低下している可能性がある。
また、上記の従来の歪補償装置では、「送信帯域外の歪成分」に基づいて歪補償処理の調整を行っているため、「送信帯域内の歪補償処理」の精度を向上できていない可能性がある。この結果として、無線受信装置における通信品質が低下している可能性がある。この傾向は、昨今の送信帯域の広帯域化によって益々高まっている可能性がある。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、通信品質を向上させることができる、無線通信システム、歪補償装置、及び歪補償方法を提供することを目的とする。
開示の態様では、無線通信システムは、送信信号の電力を増幅器で増幅して送信する第1の通信装置と、前記第1の通信装置から送信された信号を受信する第2の通信装置とを含む。前記第1の通信装置は、送信ベースバンド信号の電力値に応じて、アドレス値を算出するアドレス算出部と、複数のアドレス値にそれぞれ対応する複数の歪補償係数を記憶する記憶部と、前記算出したアドレス値と前記記憶部で対応する歪補償係数を読み出す読出部と、前記読み出された歪補償係数を、調整係数を用いて調整する調整部と、前記調整された歪補償係数を乗算した前記送信ベースバンド信号を出力する補償処理部と、前記出力された送信ベースバンド信号を、アップコンバート及び増幅して送信する送信部と、前記第2の通信装置からのフィードバック信号を受信する受信部と、前記受信したフィードバック信号に基づいて、前記調整係数を補正する補正部とを含む。前記第2の通信装置は、前記第1の通信装置から送信された信号を受信する受信部と、前記受信した信号の受信信号点と前記受信した信号に期待される期待信号点との間のズレを算出するズレ算出部と、前記算出したズレに関する情報を前記フィードバック信号として送信する送信部とを含む。
開示の態様によれば、通信品質を向上させることができる。
図1は、実施例1の無線通信システムの一例を示す図である。 図2は、実施例1の第1の通信装置の一例を示すブロック図である。 図3は、実施例1の歪補償装置の一例を示すブロック図である。 図4は、補償係数テーブルの説明に供する図である。 図5は、実施例1の調整部の一例を示すブロック図である。 図6は、実施例1の調整部の処理の説明に供する図である。 図7は、実施例1の第2の通信装置の一例を示すブロック図である。 図8は、実施例1のズレの算出の説明に供する図である。 図9は、実施例2の無線通信システムの一例を示す図である。 図10は、実施例2の第1の通信装置の一例を示すブロック図である。 図11は、実施例2の歪補償装置の一例を示すブロック図である。 図12は、実施例2の第2の通信装置の一例を示すブロック図である。 図13は、実施例3の無線通信システムの一例を示す図である。 図14は、実施例3の第1の通信装置の一例を示すブロック図である。 図15は、実施例3の歪補償装置の一例を示すブロック図である。 図16は、実施例3の第2の通信装置の一例を示すブロック図である。 図17は、実施例4の第1の通信装置の一例を示すブロック図である。 図18は、実施例4の歪補償装置の一例を示すブロック図である。 図19は、実施例5の第1の通信装置の一例を示すブロック図である。 図20は、実施例5の歪補償装置の一例を示すブロック図である。 図21は、実施例6の第1の通信装置の一例を示すブロック図である。 図22は、実施例6の歪補償装置の一例を示すブロック図である。 図23は、歪補償装置のハードウェア構成例を示す図である。
以下に、本願の開示する無線通信システム、歪補償装置、及び歪補償方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本願の開示する無線通信システム、歪補償装置、及び歪補償方法が限定されるものではない。また、実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
[実施例1]
[無線通信システムの概要]
図1は、実施例1の無線通信システムの一例を示す図である。図1において、無線通信システム1は、送信信号の電力を増幅器で増幅して「送信帯域」を用いて送信する通信装置10と、通信装置10から送信された信号を受信する通信装置50とを有する。通信装置10及び通信装置50は、例えば、一方が無線基地局装置で他方が無線端末装置であってもよいし、両方とも無線端末装置であってもよい。以下では、通信装置10を「第1の通信装置」と呼び、通信装置50を「第2の通信装置」と呼ぶことがある。
例えば、通信装置10は、複数のアドレス値にそれぞれ対応する複数の歪補償係数を記憶する「補償係数テーブル」を保持している。また、通信装置10は、送信ベースバンド信号の電力値に応じて、アドレス値を算出する。そして、通信装置10は、算出したアドレス値と「補償係数テーブル」で対応付けられた歪補償係数を読み出す。そして、通信装置10は、読み出した歪補償係数を、「調整係数」を用いて調整する。そして、通信装置10は、調整した歪補償係数と上記の送信ベースバンド信号とを乗算し、得られた「プリディストーション信号(PD信号)」を、アップコンバート及び増幅して送信する。
通信装置50は、通信装置10から「送信帯域」で送信された信号を受信し、受信した信号の「受信信号点」と、受信した信号に期待される「期待信号点」との「ズレ(つまり、誤差)」を算出する。そして、通信装置50は、算出した「ズレ」に関する情報を、「フィードバック信号」として通信装置10へ送信する。
通信装置10は、通信装置50からの「フィードバック信号」に基づいて、上記の「調整係数」を補正(更新)する。
以上のように、通信装置10は、「送信帯域」を用いて実際に送信した信号に基づく受信側装置(つまり通信装置50)からの「フィードバック信号」に基づいて「調整係数」を調整できるので、受信側装置における通信品質も加味した、調整係数の調整が可能となる。また、通信装置10は、「送信帯域」を用いて実際に送信した信号に基づく受信側装置(つまり通信装置50)からの「フィードバック信号」に基づいて「調整係数」を調整できるので、「送信帯域内の歪補償処理」の精度を向上することができる。
[第1の通信装置の構成例]
図2は、実施例1の第1の通信装置の一例を示すブロック図である。図2において、通信装置10は、ベースバンドユニット11と、歪補償装置12と、既知信号出力部13と、無線送信部14と、サーキュレータ15と、無線受信部16と、受信処理部17とを有する。また、無線送信部14は、DAC(Digital to Analog Converter;デジタルアナログ変換部)21と、アップコンバータ22と、PA(Power Amplifier;電力増幅器)23とを有する。また、無線受信部16は、ダウンコンバータ25と、ADC(Analog to Digital Converter;アナログデジタル変換部)26とを有する。
既知信号出力部13は、「所定のタイミング」で「既知信号」を出力する。「既知信号」は、送信ベースバンド信号の変調方式に対応するコンスタレーション上の「所定の信号点(シンボル)」をs個(sは自然数)含んでいる。また、「既知信号」は、PA23の非線形領域に対応する振幅を有している。従って、既知信号がPA23で増幅される際には、既知信号に非線形歪みが重畳されることになる。また、上記の「所定のタイミング」とは、例えば、フレーム中で予め決められたサブフレームである。すなわち、既知信号出力部13は、所定のタイミングで送信信号に既知信号を挿入している。なお、以下では、上記の「既知信号」を「キャリブレーションビット」と呼ぶことがある。
ベースバンドユニット11は、入力される送信データに対して符号化処理及び変調処理等のベースバンド処理を行って送信ベースバンド信号を生成し、生成した送信ベースバンド信号In(t)を歪補償装置12へ出力する。
歪補償装置12は、PD方式の歪補償装置であり、複数の電力範囲に対応する複数のアドレスにそれぞれ対応する複数の歪補償係数が記憶された「補償係数テーブル」を有する。歪補償装置12は、送信ベースバンド信号の電力に応じて生成したアドレスに従って補償係数テーブルを参照して歪補償テーブルから歪補償係数を読み出す。そして、歪補償装置12は、読み出した歪補償係数を「調整係数」で調整し、調整後の歪補償係数に送信ベースバンド信号に乗算してPD信号Out(t)を生成し、生成したPD信号Out(t)をDAC21へ出力する。また、歪補償装置12は、通信装置50からの「フィードバック信号」に基づいて、上記の「調整係数」を補正(更新)する。
DAC21は、入力信号(既知信号又はPD信号)をデジタル信号からアナログ信号に変換してアップコンバータ22へ出力する。
アップコンバータ22は、DAC21から受け取るアナログ信号をアップコンバートし、アップコンバート後の信号をPA23へ出力する。
PA23は、アップコンバート後の信号の電力を増幅し、電力増幅後の信号をサーキュレータ15及びアンテナを介して送信する。
ダウンコンバータ25は、アンテナ及びサーキュレータ15を介して受信された無線信号が入力される。そして、ダウンコンバータ25は、入力した無線信号をダウンコンバートし、ダウンコンバート後の信号をADC26へ出力する。
ADC26は、ダウンコンバート後の信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号を受信処理部17へ出力する。
受信処理部17は、ADC26から受け取ったデジタル信号に対して所定の受信処理(復調及び復号等)を施して、得られた受信データに含まれる「フィードバック信号」を歪補償装置12へ出力する。この「フィードバック信号」は、上記の通り、通信装置50から送信されたものである。
[歪補償装置の構成例]
図3は、実施例1の歪補償装置の一例を示すブロック図である。図3において、歪補償装置12は、アドレス算出部31と、読出部32と、テーブル記憶部33と、調整部34と、補正部35と、乗算部36とを有する。
アドレス算出部31は、送信ベースバンド信号In(t)の電力値に応じたアドレスAdr(t)を算出し、算出したアドレスAdr(t)を読出部32へ出力する。すなわち、アドレス算出部31は、複素信号である送信ベースバンド信号In(t)の振幅(つまり、モジュラー値)を、アドレスAdr(t)として算出している。
読出部32は、アドレス算出部31で算出されたアドレスAdr(t)に対応する歪補償係数を、テーブル記憶部33に記憶されている「補償係数テーブル」から読み出す。
テーブル記憶部33は、複数のアドレス値にそれぞれ対応する複数の歪補償係数を記憶する「補償係数テーブル」を保持している。
例えば、テーブル記憶部33は、互いに直交するN個の補償係数テーブルを記憶している。すなわち、どの2つの補償係数テーブルの歪補償係数ベクトルの内積もゼロとなる。図4は、補償係数テーブルの説明に供する図である。図4において、横軸は、アドレス値であり、縦軸は、歪補償係数である。例えば、アドレス算出部31で算出したアドレス値がxとした場合、読出部32は、各補償係数テーブルでアドレス値xとそれぞれ対応する、歪補償係数y,y,...,yを読み出す。なお、図4において、Xinは、送信ベースバンド信号In(t)の代表的な振幅値x〜xを含む。また、Xは、基本点ベクトル(essential point vector)であり、それの要素x01からx0mは、Xinから選択される。
調整部34は、読出部32で読み出された歪補償係数を、「調整係数」を用いて調整する。調整後の歪補償係数は、乗算部36へ出力される。
図5は、実施例1の調整部の一例を示すブロック図である。図6は、実施例1の調整部の処理の説明に供する図である。図5において、調整部34は、調整係数算出部41と、歪補償パラメータ記憶部42と、乗算部43と、加算部44とを有する。
調整係数算出部41は、各補償係数テーブルから、「基本点ベクトル」を受け取る。図6において網掛けされた部分は、基本点ベクトルの要素を示す。また、調整係数算出部41は、歪補償パラメータ記憶部42から「歪補償パラメータ」を取得する。「歪補償パラメータ」は、「振幅成分補償パラメータ」と、「位相成分補償パラメータ」とを含む。
「振幅成分補償パラメータVam」及び「位相成分補償パラメータVpm」は、例えば、次の式(1)及び式(2)のベクトルでそれぞれ表すことができる。なお、式中の上付き文字Tは、転置操作を示す。
Figure 2016032127
Figure 2016032127
そして、調整係数算出部41は、各「基本点ベクトル」と「歪補償パラメータ」との内積を計算することにより、「調整係数」を算出する。すなわち、「調整係数」は、スカラー値である。例えば、図6に示すように、調整係数算出部41は、調整係数テーブル1から受け取った「基本点ベクトル」と「振幅成分補償パラメータ」との内積を計算することにより、振幅調整係数1を得る。また、調整係数算出部41は、調整係数テーブル1から受け取った「基本点ベクトル」と「位相成分補償パラメータ」との内積を計算することにより、位相調整係数1を得る。振幅調整係数2〜N及び位相調整係数2〜Nについても同様に算出される。
調整係数算出部41で算出された「調整係数」は、乗算部43へ出力される。
歪補償パラメータ記憶部42は、上記の「歪補償パラメータ」を記憶する。なお、記憶されている「歪補償パラメータ」は、後述する補正部35によって補正(更新)される。
乗算部43は、読出部32によって各補償係数テーブルから読み出された歪補償係数と、当該歪補償係数の読み出し元の補償係数テーブルと対応する「調整係数」とを乗算し、乗算結果を加算部44へ出力する。
加算部44は、乗算部43で各振幅調整係数について得られた乗算結果の総和を算出する。この算出によって得られた総和を、「振幅プレディストーション値」と呼ぶことがある。「振幅プレディストーション値」は、調整後の歪補償係数の振幅成分に相当する。また、加算部44は、乗算部43で各位相調整係数について得られた乗算結果の総和を算出する。この算出によって得られた総和を、「位相プレディストーション値」と呼ぶことがある。「位相プレディストーション値」は、調整後の歪補償係数の位相成分に相当する。
乗算部36は、調整後の歪補償係数と上記の送信ベースバンド信号とを乗算し、得られた「プリディストーション信号(PD信号)」をDAC21へ出力する。
補正部35は、通信装置50からの「フィードバック信号」に基づいて、調整部34で用いられる「調整係数」を補正(更新)する。例えば、補正部35は、歪補償パラメータ記憶部42に記憶されている歪補償パラメータを補正(更新)することにより、調整係数を補正(更新)する。補正方法としては、例えば、傾斜降下法(gradient descent method)を用いることができる。傾斜降下法を用いた場合、「振幅成分補償パラメータ」及び「位相成分補償パラメータ」の更新は、次の式(3),(4)でそれぞれ表すことができる。
Figure 2016032127
Figure 2016032127
なお、式中のJ(n)はn回目の繰り返しの「フィードバック信号」の値(つまり、ズレの量)である。また、式中のμとμは、更新するステップ長である。
ここで、補正部35は、通信装置50からの「フィードバック信号」の値(つまり、ズレの量)が「閾値」未満の場合には、上記の補正(更新)を行わず、補正部35は、通信装置50からの「フィードバック信号」の値が「閾値」以上である場合に、上記の補正(更新)を行ってもよい。
[第2の通信装置の構成例]
図7は、実施例1の第2の通信装置の一例を示すブロック図である。図7において、通信装置50は、無線受信部51と、受信処理部52と、ズレ算出部53と、送信処理部54と、無線送信部55とを有する。
無線受信部51は、アンテナを介して受信した信号に対して所定の無線受信処理(ダウンコンバート及びアナログデジタル変換等)を施して、受信処理部52へ出力する。
受信処理部52は、無線受信部51から受け取る信号に対して所定の受信処理(復調等)を施して、ズレ算出部53へ出力する。特に、受信処理部52は、通信装置10から送信された「既知信号」に対応する信号をズレ算出部53へ出力する。
ズレ算出部53は、受信処理部52から受け取った、「既知信号」に対応する信号の「受信信号点」と、その信号に期待される「期待信号点」との「ズレ」を算出する。ここで、上記の通り、「既知信号」は、送信ベースバンド信号の変調方式に対応するコンスタレーション上の「所定の信号点(シンボル)」をs個(sは自然数)含んでいる。すなわち、「既知信号」は、例えば、QPSKに対応するコンスタレーション上の「11」に対応するシンボルを含んでいる。この場合、「期待信号点」は、「11」である。
例えば、ズレ算出部53は、「ズレ」として、「期待信号点」を起点とし「受信信号点」を終点とする「誤差ベクトル」を算出してもよい。すなわち、「誤差ベクトル」は、「期待信号点」から「受信信号点」へ伸ばした線分と基準線との為す角度と当該線分の長さとによって表される。又は、ズレ算出部53は、「ズレ」として、「期待信号点」を起点とし「受信信号点」を終点とする「誤差ベクトル」に基づく「変調誤差比(MER:Modulation Error Ratio)」を算出してもよい。図8は、実施例1のズレの算出の説明に供する図である。図8の左図には、QPSKのコンスタレーションが示されている。図8の右図は、図8の第1象限を拡大した図である。図8の右図に示すコンスタレーションにおいて、十字で示した位置は、「期待信号点」の位置を示す。上記の通り、ズレ算出部53は、「ズレ」として、図8に示すk番目の「受信信号点」と「期待信号点」との「誤差ベクトル」を算出してもよい。又は、ズレ算出部53は、「ズレ」として、図8の右図に示すs個の「受信信号点」のそれぞれと「期待信号点」との「誤差ベクトル群」と、下記の式(5)とに基づいて、「変調誤差比」を算出してもよい。
Figure 2016032127
送信処理部54は、ズレ算出部53で算出した「ズレ」に関する情報を含むフィードバック信号に対して、所定の送信処理(符号化及び変調等)を施して、無線送信部55へ出力する。
無線送信部55は、送信処理部54から受け取ったフィードバック信号に対して、所定の無線送信処理(デジタルアナログ変換及びアップコンバート等)を施して、アンテナを介して送信する。
[無線通信システムの動作例]
以上の構成を有する無線通信システム1の処理動作例について説明する。
通信装置10は、上記の通り、「所定のタイミング」で「既知信号(つまり、キャリブレーションビット)」をPA23で増幅して、通信装置50へ送信する。
通信装置50は、通信装置10から送信された既知信号を受信すると、受信した既知信号の受信信号点と、その既知信号に期待される期待信号点とのズレを算出する。そして、通信装置50は、算出したズレに関する情報を含むフィードバック信号を通信装置10へ送信する。
通信装置10は、通信装置50からのフィードバック信号を受信すると、補正部35において、フィードバック信号に基づいて、調整部34で用いられる「調整係数」を補正(更新)する。
以上のように本実施例によれば、歪補償装置12において、補正部35は、通信装置10から送信した信号を受信した通信装置50から送信されたフィードバック信号に基づいて、調整部34で用いられる調整係数を補正(更新)する。フィードバック信号は、通信装置10が送信した既知信号の受信信号点と、その既知信号に期待される期待信号点とのズレに関する情報を含む。
この歪補償装置12の構成により、「送信帯域」を用いて実際に送信された信号に基づく受信側装置(つまり通信装置50)からの「フィードバック信号」に基づいて「調整係数」を調整できるので、受信側装置における通信品質も加味した、調整係数の調整が可能となる。また、この歪補償装置12の構成により、「送信帯域」を用いて実際に送信された信号に基づく受信側装置(つまり通信装置50)からの「フィードバック信号」に基づいて「調整係数」を調整できるので、「送信帯域内の歪補償処理」の精度を向上することができる。また、通信装置10内にフィードバック経路を設けることを回避できるので、通信装置10の回路規模が増大することを防止することができる。
また、既知信号(つまり、キャリブレーションビット)は、PA23の非線形領域に対応する振幅を有する。これにより、PA23から出力される既知信号に非線形歪成分を確実に重畳させることができる。
また、通信装置50において、ズレ算出部53は、受信した「既知信号」に対応する信号の「受信信号点」と、その信号に期待される「期待信号点」との「ズレ」を算出する。ズレ算出部53は、「ズレ」として、「期待信号点」を起点とし「受信信号点」を終点とする「誤差ベクトル」を算出してもよい。又は、ズレ算出部53は、「ズレ」として、「期待信号点」を起点とし「受信信号点」を終点とする「誤差ベクトル」に基づく「変調誤差比(MER:Modulation Error Ratio)」を算出してもよい。
[実施例2]
実施例1では、歪補償装置を含む送信側の通信装置が送信した既知信号の受信信号点と、期待信号点とのズレに関する情報をフィードバック信号としている。これに対して、実施例2では、歪補償装置を含む送信側装置が送信する通常のデータ信号(つまり、実施例1で説明した送信ベースバンド信号)の受信信号点と、期待信号点とのズレに関する情報をフィードバック信号とする。
[無線通信システムの構成例]
図9は、実施例2の無線通信システムの一例を示す図である。図9において、無線通信システム2は、送信信号の電力を増幅器で増幅して「送信帯域」を用いて送信する通信装置110と、通信装置110から送信された信号を受信する通信装置150とを有する。通信装置110及び通信装置150は、例えば、一方が無線基地局装置で他方が無線端末装置であってもよいし、両方とも無線端末装置であってもよい。以下では、通信装置110を「第1の通信装置」と呼び、通信装置150を「第2の通信装置」と呼ぶことがある。
通信装置110は、実施例1の通信装置10と異なり、上記の「既知信号」を送信しない。
通信装置150は、実施例1の通信装置50と同様に、通信装置110から「送信帯域」で送信された信号を受信し、受信した信号の「受信信号点」と、受信した信号に期待される「期待信号点」との「ズレ」を算出する。そして、通信装置150は、算出した「ズレ」に関する情報を、「フィードバック信号」として通信装置110へ送信する。
ただし、実施例2の場合、ズレの算出に用いられる受信信号は既知信号ではないので、「期待信号点」としては、受信した信号の「受信信号点」と最も近い、コンスタレーション上のシンボル(信号点)が用いられる。そして、通信装置150は、コンスタレーション上の各シンボルを期待信号点として、各期待信号点について、「ズレ」を算出する。算出対象の「ズレ」は、実施例1と同様に、誤差ベクトルであってもよいし、変調誤差比であってもよい。
通信装置150は、各期待信号点について算出した「ズレ」に関する情報をフィードバック信号に含めて、通信装置110へ送信する。
通信装置110は、フィードバック信号に含まれる複数の「ズレ」の値を、重み係数を用いて加重平均する。重み係数は、コンスタレーション上の原点からの離間距離が大きい期待信号点に対する重み係数ほど大きい。
そして、通信装置110は、加重平均値と「閾値」との大小関係に基づいて、実施例1と同様に、「調整係数」の補正(更新)の実行非実行を制御する。
なお、ここでは、通信装置110において加重平均を算出しているが、これに限定されるものではなく、通信装置150において加重平均を算出し、得られた加重平均値をフィードバック信号としてもよい。
以上のように、通常のデータ信号を用いても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
[第1の通信装置の構成例]
図10は、実施例2の第1の通信装置の一例を示すブロック図である。図10において、通信装置110は、歪補償装置112を有する。
図11は、実施例2の歪補償装置の一例を示すブロック図である。図11において、歪補償装置112は、補正部135を有する。
補正部135は、通信装置150からの「フィードバック信号」に基づいて、調整部34で用いられる「調整係数」を補正(更新)する。フィードバック信号は、上記の通り、各期待信号点について算出した「ズレ」に関する情報を含む。例えば、補正部135は、フィードバック信号に含まれる複数の「ズレ」の値を、重み係数を用いて加重平均し、得られた加重平均値に基づいて、例えば、上記の傾斜降下法を用いて、調整係数を補正(更新)する。
[第2の通信装置の構成例]
図12は、実施例2の第2の通信装置の一例を示すブロック図である。図12において、通信装置150は、ズレ算出部153を有する。
ズレ算出部153は、コンスタレーション上の各シンボルを期待信号点として、各期待信号点について、「ズレ」を算出する。算出対象の「ズレ」は、実施例1と同様に、誤差ベクトルであってもよいし、変調誤差比であってもよい。
以上のように本実施例によれば、通信装置150において、ズレ算出部153は、コンスタレーション上の各シンボルを期待信号点として、各期待信号点について、「ズレ」を算出する。そして、送信処理部54及び無線送信部55は、ズレ算出部153で算出したズレに関する情報を、通信装置110へフィードバックする。
この通信装置150の構成により、通信装置110に「既知信号」の出力機能を設けることを回避できるので、実施例1の通信装置10に比べて通信装置110の装置規模をコンパクトにすることができる。
なお、上記の通り、通信装置150において、加重平均値を算出し、算出した加重平均値に関する情報をフィードバック信号としてもよい。こうすることで、フィードバック信号のデータ量を低減することができる。
[実施例3]
実施例1及び実施例2では、受信側の通信装置における、受信信号点と期待信号点とのズレをフィードバック信号としている。これに対して、実施例3では、受信側の通信装置における受信信号の「誤り率」をフィードバック信号とする。
[無線通信システムの構成例]
図13は、実施例3の無線通信システムの一例を示す図である。図13において、無線通信システム3は、送信信号の電力を増幅器で増幅して「送信帯域」を用いて送信する通信装置210と、通信装置210から送信された信号を受信する通信装置250とを有する。通信装置210及び通信装置250は、例えば、一方が無線基地局装置で他方が無線端末装置であってもよいし、両方とも無線端末装置であってもよい。以下では、通信装置210を「第1の通信装置」と呼び、通信装置250を「第2の通信装置」と呼ぶことがある。
通信装置250は、実施例1の通信装置50と同様に、通信装置210から「送信帯域」で送信された信号を受信する。そして、通信装置250は、受信信号の「誤り率(例えば、BER:ビットエラーレート)」を算出する。そして、通信装置250は、算出した誤り率に関する情報を、「フィードバック信号」として通信装置210へ送信する。
通信装置210は、フィードバック信号に含まれる「誤り率」と「閾値」との大小関係に基づいて、実施例1と同様に、「調整係数」の補正(更新)の実行非実行を制御する。
[第1の通信装置の構成例]
図14は、実施例3の第1の通信装置の一例を示すブロック図である。図14において、通信装置210は、歪補償装置212を有する。
図15は、実施例3の歪補償装置の一例を示すブロック図である。図15において、歪補償装置212は、補正部235を有する。
補正部235は、通信装置250からの「フィードバック信号」に基づいて、調整部34で用いられる「調整係数」を補正(更新)する。フィードバック信号は、上記の通り、「誤り率」に関する情報を含む。例えば、補正部235は、「誤り率」に基づいて、上記の傾斜降下法を用いて、調整係数を補正(更新)する。
[第2の通信装置の構成例]
図16は、実施例3の第2の通信装置の一例を示すブロック図である。図16において、通信装置250は、誤り率算出部253を有する。誤り率算出部253は、通信装置210から送信された信号の誤り率を算出する。
以上のように本実施例によれば、通信装置250において、誤り率算出部253は、通信装置210から送信された信号の誤り率を算出する。そして、送信処理部54及び無線送信部55は、誤り率算出部253で算出した誤り率に関する情報を、通信装置210へフィードバックする。
この通信装置250の構成により、通信装置210に「既知信号」の出力機能を設けることを回避できるので、実施例1の通信装置10に比べて通信装置210の装置規模をコンパクトにすることができる。
[実施例4]
実施例4は、実施例1の送信側である第1の通信装置の構成に、従来の「装置内のフィードバック経路」を追加する実施例である。
[第1の通信装置の構成例]
図17は、実施例4の第1の通信装置の一例を示すブロック図である。図17において、通信装置10Mは、歪補償装置12Mを有する。また、通信装置10Mは、カプラ18と、ダウンコンバータ19と、ADC20とを有する。すなわち、通信装置10Mは、装置内のフィードバック経路を有している。
カプラ18は、PA23の出力信号の一部をダウンコンバータ19へ、つまり装置内のフィードバック経路へ出力する。
ダウンコンバータ19は、カプラ18を介して受け取ったPA23の出力信号をダウンコンバートし、ダウンコンバート後の信号をADC20へ出力する。
ADC20は、ダウンコンバート後の信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号(以下では、「装置内フィードバック信号」と呼ぶことがある)を歪補償装置12Mへ出力する。
図18は、実施例4の歪補償装置の一例を示すブロック図である。図18において、歪補償装置12Mは、選択部37を有する。
選択部37は、通信装置50からのフィードバック信号(以下では、「装置外フィードバック信号」と呼ぶことがある)及び上記の装置内フィードバック信号のいずれか一方を選択し、選択した信号を補正部35へ出力する。すなわち、選択部37は、装置外のフィードバック経路と装置内のフィードバック経路とを切り替えている。
例えば、選択部37は、通信装置10Mと通信装置50との間の通信が確立されていない状態(例えば、通信の開始前)では、装置内のフィードバック経路に切り替える。そして、選択部37は、通信装置10Mと通信装置50との間の通信が確立された状態(例えば、通信の開始後)では、装置外のフィードバック経路に切り替える。
また、選択部37は、装置外のフィードバック経路に切り替えた状態で、通信装置50から通信装置10Mへの通信路の通信品質レベルが所定レベルより低い場合、装置外のフィードバック経路から装置内のフィードバック経路に切り替える。「通信装置50から通信装置10Mへの通信路の通信品質レベルが所定レベルより低い場合」とは、例えば、通信装置50と通信装置10Mとの間の通信が断絶した場合、又は、通信装置50から通信装置10Mへの伝送信号の誤り率(例えば、BER)が所定値よりも低くなった場合である。
以上のように本実施例によれば、通信装置10Mは、通信装置10と同様の構成の他に、装置内フィードバック経路を有する。そして、歪補償装置12Mにおいて、選択部37は、通信装置10から送信した信号を受信した通信装置50から送信されたフィードバック信号、又は、装置内フィードバック信号を、補正部35へ出力する。
この歪補償装置12Mの構成により、通信装置10Mと通信装置50との間の通信が確立されていない状態でも調整係数の補正(更新)を行うことができる。
[実施例5]
実施例5は、実施例2の送信側である第1の通信装置の構成に、従来の「装置内のフィードバック経路」を追加する実施例である。
[第1の通信装置の構成例]
図19は、実施例5の第1の通信装置の一例を示すブロック図である。図19において、通信装置110Mは、歪補償装置112Mを有する。また、通信装置110Mは、カプラ18と、ダウンコンバータ19と、ADC20とを有する。すなわち、通信装置110Mは、装置内のフィードバック経路を有している。
図20は、実施例5の歪補償装置の一例を示すブロック図である。図20において、歪補償装置112Mは、選択部137を有する。
選択部137は、通信装置150からのフィードバック信号(つまり、「装置外フィードバック信号」)及び装置内フィードバック信号のいずれか一方を選択し、選択した信号を補正部135へ出力する。すなわち、選択部137は、装置外のフィードバック経路と装置内のフィードバック経路とを切り替えている。選択部137による切り替え処理は、実施例4の選択部37と同様にすることができる。
以上のように本実施例によれば、通信装置110Mは、通信装置110と同様の構成の他に、装置内フィードバック経路を有する。そして、歪補償装置112Mにおいて、選択部137は、通信装置110から送信した信号を受信した通信装置150から送信されたフィードバック信号、又は、装置内フィードバック信号を、補正部135へ出力する。
この歪補償装置112Mの構成により、通信装置110Mと通信装置150との間の通信が確立されていない状態でも調整係数の補正(更新)を行うことができる。
[実施例6]
実施例6は、実施例3の送信側である第1の通信装置の構成に、従来の「装置内のフィードバック経路」を追加する実施例である。
[第1の通信装置の構成例]
図21は、実施例6の第1の通信装置の一例を示すブロック図である。図21において、通信装置210Mは、歪補償装置212Mを有する。また、通信装置210Mは、カプラ18と、ダウンコンバータ19と、ADC20とを有する。すなわち、通信装置210Mは、装置内のフィードバック経路を有している。
図22は、実施例6の歪補償装置の一例を示すブロック図である。図22において、歪補償装置212Mは、選択部237を有する。
選択部237は、通信装置250からのフィードバック信号(つまり、「装置外フィードバック信号」)及び装置内フィードバック信号のいずれか一方を選択し、選択した信号を補正部235へ出力する。すなわち、選択部237は、装置外のフィードバック経路と装置内のフィードバック経路とを切り替えている。選択部237による切り替え処理は、実施例4の選択部37と同様にすることができる。
以上のように本実施例によれば、通信装置210Mは、通信装置210と同様の構成の他に、装置内フィードバック経路を有する。そして、歪補償装置212Mにおいて、選択部237は、通信装置210から送信した信号を受信した通信装置250から送信されたフィードバック信号、又は、装置内フィードバック信号を、補正部235へ出力する。
この歪補償装置212Mの構成により、通信装置210Mと通信装置250との間の通信が確立されていない状態でも調整係数の補正(更新)を行うことができる。
[他の実施例]
実施例1から実施例6で図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
さらに、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしてもよい。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしてもよい。
実施例1から実施例6の歪補償装置は、例えば、次のようなハードウェア構成により実現することができる。
図23は、歪補償装置のハードウェア構成例を示す図である。図23に示すように、歪補償装置300は、プロセッサ301と、メモリ302とを有する。プロセッサ301の一例としては、CPU、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。また、メモリ302の一例としては、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられる。
そして、実施例1から実施例6の歪補償装置で行われる各種処理機能は、不揮発性記憶媒体などの各種メモリに格納されたプログラムをプロセッサで実行することによって実現してもよい。すなわち、アドレス算出部31と、読出部32と、調整部34と、補正部35,135,235と、乗算部36と、選択部37,137,237とによって実行される各処理に対応するプログラムがメモリ302に記録され、各プログラムがプロセッサ301で実行されてもよい。また、テーブル記憶部33は、メモリ302によって実現される。
なお、ここでは、実施例1から実施例6の歪補償装置で行われる各種処理機能が1つのプロセッサ301によって実行されるものとしたが、これに限定されるものではなく、複数のプロセッサによって実行されてもよい。
以上、本実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)送信信号の電力を増幅器で増幅して送信する第1の通信装置と、前記第1の通信装置から送信された信号を受信する第2の通信装置とを含む無線通信システムであって、
前記第1の通信装置は、
送信ベースバンド信号の電力値に応じて、アドレス値を算出するアドレス算出部と、
複数のアドレス値にそれぞれ対応する複数の歪補償係数を記憶する記憶部と、
前記算出したアドレス値と前記記憶部で対応する歪補償係数を読み出す読出部と、
前記読み出された歪補償係数を、調整係数を用いて調整する調整部と、
前記調整された歪補償係数を乗算した前記送信ベースバンド信号を出力する補償処理部と、
前記出力された送信ベースバンド信号を、アップコンバート及び増幅して送信する送信部と、
前記第2の通信装置からのフィードバック信号を受信する受信部と、
前記受信したフィードバック信号に基づいて、前記調整係数を補正する補正部と、
を具備し、
前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置から送信された信号を受信する受信部と、
前記受信した信号の受信信号点と前記受信した信号に期待される期待信号点との間のズレを算出するズレ算出部と、
前記算出したズレに関する情報を前記フィードバック信号として送信する送信部と、
を具備する、
ことを特徴とする無線通信システム。
(付記2)前記ズレ算出部は、前記ズレとして、前記期待信号点を起点とし前記受信信号点を終点とするベクトルを算出する、
ことを特徴とする付記1に記載の無線通信システム。
(付記3)前記ズレ算出部は、前記ズレとして、前記期待信号点を起点とし前記受信信号点を終点とするベクトルに基づく変調誤差比を算出する、
ことを特徴とする付記1に記載の無線通信システム。
(付記4)前記送信ベースバンド信号は、前記増幅器の非線形領域に対応する振幅を有する既知信号を含む、
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の無線通信システム。
(付記5)前記ズレ算出部は、前記送信ベースバンド信号の変調方式に対応するコンスタレーションにおいて前記受信信号点との離間距離が最も小さい信号点を、前記期待信号点とする、
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の無線通信システム。
(付記6)前記第2の通信装置の受信部は、複数の前記送信ベースバンド信号にそれぞれ対応する複数の信号を受信し、
前記ズレ算出部は、前記受信した各信号について前記ズレを算出し、
前記補正部は、前記算出された複数のズレと、各ズレの算出に用いられた期待信号点に対応する重み係数とを用いて算出された、ズレの平均値に基づいて、前記調整係数を補正し、前記重み係数は、前記コンスタレーションの原点からの離間距離が大きい期待信号点ほど大きい、
ことを特徴とする付記5に記載の無線通信システム。
(付記7)前記第1の通信装置は、前記第2の通信装置から送信された第1のフィードバック信号、又は、前記増幅器の出力信号が前記第1の通信装置の内部でフィードバックされた第2のフィードバック信号を選択する選択部をさらに具備し、
前記補正部は、前記選択部で選択された信号に基づいて、前記調整係数を補正する、
ことを特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載の無線通信システム。
(付記8)送信信号の電力を増幅器で増幅して送信する通信装置に搭載される歪補償装置であって、
送信ベースバンド信号の電力値に応じて、アドレス値を算出するアドレス算出部と、
複数のアドレス値にそれぞれ対応する複数の歪補償係数を記憶する記憶部と、
前記算出したアドレス値と前記記憶部で対応する歪補償係数を読み出す読出部と、
前記読み出された歪補償係数を、調整係数を用いて調整する調整部と、
前記調整された歪補償係数を乗算した前記送信ベースバンド信号を出力する補償処理部と、
前記送信信号を受信した受信装置から送信され、且つ、前記受信装置で受信した信号の受信信号点と前記受信した信号に期待される期待信号点との間のズレに関する情報に基づいて、前記調整係数を補正する補正部と、
を具備することを特徴とする歪補償装置。
(付記9)送信信号の電力を増幅器で増幅して送信する通信装置に搭載される歪補償装置における歪補償方法であって、
送信ベースバンド信号の電力値に応じて、アドレス値を算出し、
複数のアドレス値にそれぞれ対応する複数の歪補償係数を記憶する記憶部で、前記算出したアドレス値と対応する歪補償係数を読み出し、
前記読み出された歪補償係数を、調整係数を用いて調整し、
前記調整された歪補償係数を乗算した前記送信ベースバンド信号を出力し、
前記送信信号を受信した受信装置から送信され、且つ、前記受信装置で受信した信号の受信信号点と前記受信した信号に期待される期待信号点との間のズレに関する情報に基づいて、前記調整係数を補正する、
ことを特徴とする歪補償方法。
(付記10)送信信号の電力を増幅器で増幅して送信する第1の通信装置と、前記第1の通信装置から送信された信号を受信する第2の通信装置とを含む無線通信システムであって、
前記第1の通信装置は、
送信ベースバンド信号の電力値に応じて、アドレス値を算出するアドレス算出部と、
複数のアドレス値にそれぞれ対応する複数の歪補償係数を記憶する記憶部と、
前記算出したアドレス値と前記記憶部で対応する歪補償係数を読み出す読出部と、
前記読み出された歪補償係数を、調整係数を用いて調整する調整部と、
前記調整された歪補償係数を乗算した前記送信ベースバンド信号を出力する補償処理部と、
前記出力された送信ベースバンド信号を、アップコンバート及び増幅して送信する送信部と、
前記第2の通信装置からのフィードバック信号を受信する受信部と、
前記受信したフィードバック信号に基づいて、前記調整係数を補正する補正部と、
を具備し、
前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置から送信された信号を受信する受信部と、
前記受信した信号の誤り率を算出する誤り率算出部と、
前記算出した誤り率に関する情報を前記フィードバック信号として送信する送信部と、
を具備する、
ことを特徴とする無線通信システム。
(付記11)送信信号の電力を増幅器で増幅して送信する通信装置に搭載される歪補償装置であって、
送信ベースバンド信号の電力値に応じて、アドレス値を算出するアドレス算出部と、
複数のアドレス値にそれぞれ対応する複数の歪補償係数を記憶する記憶部と、
前記算出したアドレス値と前記記憶部で対応する歪補償係数を読み出す読出部と、
前記読み出された歪補償係数を、調整係数を用いて調整する調整部と、
前記調整された歪補償係数を乗算した前記送信ベースバンド信号を出力する補償処理部と、
前記送信信号を受信した受信装置から送信され、且つ、前記受信装置で受信した信号の誤り率に関する情報に基づいて、前記調整係数を補正する補正部と、
を具備することを特徴とする歪補償装置。
(付記12)送信信号の電力を増幅器で増幅して送信する通信装置に搭載される歪補償装置における歪補償方法であって、
送信ベースバンド信号の電力値に応じて、アドレス値を算出し、
複数のアドレス値にそれぞれ対応する複数の歪補償係数を記憶する記憶部で、前記算出したアドレス値と対応する歪補償係数を読み出し、
前記読み出された歪補償係数を、調整係数を用いて調整し、
前記調整された歪補償係数を乗算した前記送信ベースバンド信号を出力し、
前記送信信号を受信した受信装置から送信され、且つ、前記受信装置で受信した信号の誤り率に関する情報に基づいて、前記調整係数を補正する、
ことを特徴とする歪補償方法。
1,2,3 無線通信システム
10,10M,50,110,110M,150,210,210M,250 通信装置
11 ベースバンドユニット
12,12M,112,112M,212,212M 歪補償装置
13 既知信号出力部
14,55 無線送信部
15 サーキュレータ
16,51 無線受信部
17,52 受信処理部
18 カプラ
19,25 ダウンコンバータ
20,26 ADC
21 DAC
22 アップコンバータ
23 PA
31 アドレス算出部
32 読出部
33 テーブル記憶部
34 調整部
35,135,235 補正部
36,43 乗算部
37,137,237 選択部
41 調整係数算出部
42 歪補償パラメータ記憶部
44 加算部
53,153 ズレ算出部
54 送信処理部
253 誤り率算出部

Claims (8)

  1. 送信信号の電力を増幅器で増幅して送信する第1の通信装置と、前記第1の通信装置から送信された信号を受信する第2の通信装置とを含む無線通信システムであって、
    前記第1の通信装置は、
    送信ベースバンド信号の電力値に応じて、アドレス値を算出するアドレス算出部と、
    複数のアドレス値にそれぞれ対応する複数の歪補償係数を記憶する記憶部と、
    前記算出したアドレス値と前記記憶部で対応する歪補償係数を読み出す読出部と、
    前記読み出された歪補償係数を、調整係数を用いて調整する調整部と、
    前記調整された歪補償係数を乗算した前記送信ベースバンド信号を出力する補償処理部と、
    前記出力された送信ベースバンド信号を、アップコンバート及び増幅して送信する送信部と、
    前記第2の通信装置からのフィードバック信号を受信する受信部と、
    前記受信したフィードバック信号に基づいて、前記調整係数を補正する補正部と、
    を具備し、
    前記第2の通信装置は、
    前記第1の通信装置から送信された信号を受信する受信部と、
    前記受信した信号の受信信号点と前記受信した信号に期待される期待信号点との間のズレを算出するズレ算出部と、
    前記算出したズレに関する情報を前記フィードバック信号として送信する送信部と、
    を具備する、
    ことを特徴とする無線通信システム。
  2. 前記ズレ算出部は、前記ズレとして、前記期待信号点を起点とし前記受信信号点を終点とするベクトルを算出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  3. 前記ズレ算出部は、前記ズレとして、前記期待信号点を起点とし前記受信信号点を終点とするベクトルに基づく変調誤差比を算出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  4. 前記送信ベースバンド信号は、前記増幅器の非線形領域に対応する振幅を有する既知信号を含む、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の無線通信システム。
  5. 前記ズレ算出部は、前記送信ベースバンド信号の変調方式に対応するコンスタレーションにおいて前記受信信号点との離間距離が最も小さい信号点を、前記期待信号点とする、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の無線通信システム。
  6. 前記第2の通信装置の受信部は、複数の前記送信ベースバンド信号にそれぞれ対応する複数の信号を受信し、
    前記ズレ算出部は、前記受信した各信号について前記ズレを算出し、
    前記補正部は、前記算出された複数のズレと、各ズレの算出に用いられた期待信号点に対応する重み係数とを用いて算出された、ズレの平均値に基づいて、前記調整係数を補正し、前記重み係数は、前記コンスタレーションの原点からの離間距離が大きい期待信号点ほど大きい、
    ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信システム。
  7. 送信信号の電力を増幅器で増幅して送信する通信装置に搭載される歪補償装置であって、
    送信ベースバンド信号の電力値に応じて、アドレス値を算出するアドレス算出部と、
    複数のアドレス値にそれぞれ対応する複数の歪補償係数を記憶する記憶部と、
    前記算出したアドレス値と前記記憶部で対応する歪補償係数を読み出す読出部と、
    前記読み出された歪補償係数を、調整係数を用いて調整する調整部と、
    前記調整された歪補償係数を乗算した前記送信ベースバンド信号を出力する補償処理部と、
    前記送信信号を受信した受信装置から送信され、且つ、前記受信装置で受信した信号の受信信号点と前記受信した信号に期待される期待信号点との間のズレに関する情報に基づいて、前記調整係数を補正する補正部と、
    を具備することを特徴とする歪補償装置。
  8. 送信信号の電力を増幅器で増幅して送信する通信装置に搭載される歪補償装置における歪補償方法であって、
    送信ベースバンド信号の電力値に応じて、アドレス値を算出し、
    複数のアドレス値にそれぞれ対応する複数の歪補償係数を記憶する記憶部で、前記算出したアドレス値と対応する歪補償係数を読み出し、
    前記読み出された歪補償係数を、調整係数を用いて調整し、
    前記調整された歪補償係数を乗算した前記送信ベースバンド信号を出力し、
    前記送信信号を受信した受信装置から送信され、且つ、前記受信装置で受信した信号の受信信号点と前記受信した信号に期待される期待信号点との間のズレに関する情報に基づいて、前記調整係数を補正する、
    ことを特徴とする歪補償方法。
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