JP2011055420A - 歪補償回路、及びこれを用いた無線送信装置、歪補償方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の歪補償回路20は、増幅器4に入力される入力信号及び増幅器4が出力する出力信号に基づいて、現在歪補償に用いている現在のモデルを更新するための新たなモデルを推定するモデル推定部23と、前記入力信号及び前記出力信号に異常信号が含まれているか否かを判定する判定部25と、判定部25の判定結果に応じて、前記新たなモデルに更新するか否かを決定する更新決定部26とを備えている。
【選択図】図2
Description
上記歪補償回路は、増幅器により増幅される前のデジタルの送信信号(入力信号)を取得するとともに、増幅器により増幅された後の送信信号(出力信号)をデジタル信号として取得し、これら入出力信号を用いて歪補償処理を行う。このため、前記歪補償回路と増幅器との間には、アナログの出力信号をデジタルの出力信号として前記歪補償回路へフィードバックするために、搬送周波数からベースバンドの周波数に変換するための周波数変換器や、アナログの出力信号をデジタル信号に変換するためのアナログ/デジタル変換器(ADC)等が設けられており、歪補償回路は、これらを介して出力信号を取得する。
前記増幅器に入力される入力信号、及びこの入力信号に対応して前記増幅器が出力する出力信号に基づいて、現在歪補償に用いている現在のモデルを更新するための新たなモデルを推定するモデル推定部と、
前記入力信号及び前記出力信号に異常信号が含まれているか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に応じて、前記新たなモデルに更新するか否かを決定する更新決定部と、を備えていることを特徴としている。
この場合、更新決定部は、現在のモデル以外に過去のモデルについても歪補償に用いるモデルとして選択することができ、選択範囲の幅が広がることで、より適切なモデルを用いて歪補償を行うことができる。
上記モデル化誤差量は、増幅器の入出力特性に大きな歪がなければ比較的小さい値となるが、大きな歪が生じている場合には、比較的大きな値となる。
これに対して、入力信号及び出力信号に瞬時的にも異常信号が含まれていれば、この異常信号は、見かけ上、増幅器の入出力特性に歪を生じさせるので、結果的にモデル化誤差量が比較的大きく現れることとなる。従って、新たなモデルのモデル化誤差量を求め、求めたモデル化誤差量を、過去の他のモデルのモデル化誤差量、又は、異常信号が含まれているか否かを判定するための判定値と比較することで、新たなモデルのモデル化誤差量の変化を把握することができ、この把握される変化に基づいて、入力信号又は出力信号に異常信号が含まれているか否かを判定することができる。
以上のようにして、判定部は、上記モデル化誤差量を用いることで、前記入力信号及び前記出力信号に異常信号が含まれているか否かの判定を好適に行うことができる。
従って、新たなモデルのパラメータを、過去の他のモデルのパラメータ、又は、異常信号が含まれているか否かを判定するための判定値と比較することで、新たなモデルの変化を把握することができ、この把握されるモデルの変化に基づいて、入力信号又は出力信号に異常信号が含まれているか否かを判定することができる。
以上のようにして、判定部は、上記パラメータを用いることで、前記入力信号及び前記出力信号に異常信号が含まれているか否かの判定を好適に行うことができる。
モデル推定部がモデルを推定するために用いる出力信号に異常信号が含まれていれば、その異常信号を漏洩電力として検出することができる。従って、判定部は、漏洩電力比を過去の出力信号の漏洩電力比、又は、瞬時的な異常信号が含まれているか否かを判定するための判定値と比較することで、この漏洩電力比の変化を把握することができ、この変化に基づいて、出力信号に異常信号が含まれているか否かを判定することができる。
よって、判定部は、上記漏洩電力比を用いることで、前記入力信号及び前記出力信号に異常信号が含まれているか否かの判定を、好適に行うことができる。
上記構成の無線送信装置によれば、上述の歪補償回路を備えているので、瞬時的にも異常信号が入力信号又は出力信号に含まれるおそれがある場合にも、歪補償の精度が低下するのを抑制することができる。
上記構成の歪補償方法によれば、瞬時的にも異常信号が入力信号又は出力信号に含まれるおそれがある場合にも、歪補償の精度が低下するのを抑制することができる。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る基地局装置の無線送信に係る増幅装置部分を示す回路図である。この基地局装置BSは、広帯域移動無線通信システムの送信装置として用いられるものであり、例えば、IEEE802.16に規定されるいわゆる「WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)」と呼ばれる無線通信システムに準拠して構成されており、送信信号を増幅するため増幅装置1を備えている。
デジタル処理部2は、増幅器4に入力される入力信号としての送信信号をデジタル信号としてアナログ処理部3に与えるとともに、増幅器4が出力する出力信号をデジタル信号としてアナログ処理部3から取得する。
アナログ処理部3は、デジタル処理部2と、増幅器4の信号入力端子との間に、デジタル/アナログ変換器(DAC)5、ローパスフィルタ(LPF)6、及び、第一周波数変換部7が配置接続されている。デジタル処理部2が出力するデジタルの入力信号は、これらを介することで、アナログ信号に変換されるとともに搬送周波数に変換された後、増幅器4に与えられる。
増幅器4の出力端子には、アンテナ8が接続されており、増幅器4が出力する出力信号は、送信信号としてアンテナ8から送信される。
増幅器4の出力信号は、これらを介することで、ベースバンドの周波数に変換されるとともにデジタル変換された後、デジタル処理部2に与えられる。
歪補償回路20は、増幅器4への入力信号と、アナログ処理部3から取得する増幅器4の出力信号とに基づいて増幅器4の入出力特性を推定し、その入出力特性に対して歪補償処理を行うことで、所望の増幅特性を得るものであり、増幅器4の入力信号を蓄積するための入力信号バッファ部21と、入力信号バッファ部21に蓄積される入力信号に対応して増幅器4が出力する出力信号を蓄積するための出力信号バッファ部22と、これら両バッファ部21、22に蓄積される入力信号及び出力信号を取得して増幅器4の入出力特性を表すモデルを推定するモデル推定部23と、このモデル推定部23により推定された入出力特性のモデルに基づいて、歪補償を行う歪補償部24とを備えている。
歪補償回路20は、さらに、モデル推定部23がモデルの推定に用いた入力信号及び出力信号に異常信号が含まれているか否かを判定する判定部25と、判定部25の判定結果に応じて、歪補償部24が行う歪補償に用いるモデルを新たなモデルに更新するか否かを決定する更新決定部26とを備えている。
具体的に、判定部25は、モデル推定部23が推定した新たなモデルを取得するとともに、この新たなモデルを推定するために用いた入出力信号を両バッファ部21,22から取得する。判定部25は、これらを用いて、モデル推定部23が推定した更新するための新たなモデルにより求まる推定値と、実際の信号電力との誤差(モデル化誤差量)を求めることで、新たなモデルの推定に用いた入力信号及び出力信号に異常信号が含まれているか否かを判定する。
ここで仮に、増幅器4自身の入出力特性に大きな変動がないとしたときに、入力信号及び出力信号に瞬時的にも異常信号が含まれていれば、この異常信号は、見かけ上、増幅器4の入出力特性に歪を生じさせる。このため、推定したモデルと実際の信号電力との誤差が大きくなり、結果的にモデル化誤差量が比較的大きく現れる場合がある。従って、上記新たなモデルのモデル化誤差量を求めれば、これに基づいて、入出力信号に異常信号が含まれているか否かを判定することができる。
判定部25は、上述のように、入力信号yを、出力信号zのべき級数多項式で表した増幅器モデル(逆モデル)を有しており、この逆モデルは、下記式(3)のように表される。
この観測点K1における実際の入力信号の電力値と、モデル推定部23が推定した逆モデルにより求まる推定入力電力値との誤差量は、図3に示すように下記式(4)で表される。
観測点K1における誤差量 = yz1 − f(z1) ・・・・(4)
判定部25が、新たなモデルについてのモデル化誤差量Jに基づいて行う、入力信号及び前記出力信号に異常な信号が含まれているか否かの判定については、後に説明する。
更新決定部26は、モデル推定部23が推定した新たなモデルを取得し、新たなモデルに更新する場合には、この取得した新たなモデルを歪補償部24に出力し、歪補償部24にモデルの更新をさせる。
まず、推定した新たなモデルをモデル推定部23が判定部25に与えると、判定部25は、新たなモデル及びこの新たなモデルの推定に用いられた入出力信号を用いて、新たなモデルのモデル化誤差量Jを求める(ステップS101)。
Jmean = (1−α)Jmean + αJ ・・・・(6)
ステップS103による判定では、新たなモデルによるモデル化誤差量Jを、当該新たなモデル化誤差量Jを含めた過去のモデルのモデル化誤差量Jの平均値Jmeanと比較し、その差分が閾値Δよりも小さければ、新たなモデルのモデル化誤差量Jが、平均値Jmeanに対して正常な値とみなせる範囲であると判断し、差分が閾値Δ以上であれば、新たなモデルのモデル化誤差量Jが、平均値Jmeanに対して異常な値と判断する。
以上のようにして、判定部25は、新たなモデルのモデル化誤差量Jと平均値との差分が閾値Δ以上となる場合には、新たなモデルのモデル化誤差量Jが平均値Jmeanに対する異常な値として一時的に現れていると判断し、このとき推定された新たなモデルに用いた入出力信号には異常信号が含まれていると判定する。
判定部25からの判定結果が、前記差分が閾値Δよりも小さいという判定である場合、新たなモデルの推定に用いた入出力信号には異常信号が含まれないものと判断できるので、新たなモデルを用いたとしても、精度よく歪補償を行うことができる。
従って、更新決定部26は、新たなモデルに更新することを決定し(ステップS104)、この新たなモデルを示す各次の係数ai´を歪補償部24に与えて処理を終える(ステップS105)。
歪補償部24は、更新決定部26から新たなモデルが与えられると、それまで用いていた現在のモデルから新たなモデルに更新し、この新たなモデルを用いて歪補償を行う。
このため、更新決定部26は、新たなモデルに更新しないことを決定し(ステップS106)、歪補償部24に新たなモデルを与えることなく処理を終える。
この場合、歪補償部24は、新たなモデルが与えられないので、モデルの更新を行うことなく引き続いて現在のモデルを用いて歪補償を行う。
つまり、更新決定部26が新たなモデルに更新しないことを決定した場合、異常信号を含まないと判定された入出力信号に基づいて推定されたモデルである現在のモデルによって、引き続き現在のモデルを用いて歪補償が行われるので、異常信号に起因する歪補償の精度低下が生じることはない。
判定部25は、出力信号バッファ部22が出力する出力信号を取得し、ACLR値を求めた上で、このACLR値に基づいて判定を行う。
判定部25は、上述のバンドパスフィルタにより、出力信号から使用可能周波数帯域の周波数成分と、この使用可能周波数帯域の周波数軸方向両側に隣接する隣接周波数帯域の周波数成分とを分離して取得する。
そして、判定部25は、両側の隣接周波数帯域成分の電力の平均値を漏洩電力とし、使用可能周波数帯域成分の電力に対する漏洩電力の電力比(ACLR値)を求める。
なお、判定部25は、出力信号のみを取得しているが、当該出力信号に対応する入力信号がアナログ処理部3を通過する際に、その入力信号に異常信号が付加された場合には、当該出力信号にもそれが反映される。このため、判定部25は、出力信号のACLR値のみから入力信号及び出力信号に異常信号が含まれているか否かを判定することができる。
つまり、判定部25は、モデル推定部23が新たなモデルを推定すると、その推定に用いた出力信号を取得してACLR値を求める。
判定部25は、過去に求めたACLR値の平均値を記憶しており、この平均値を更新しつつ、新たなモデルの推定に係る出力信号のACLR値を求めて判定を行い、その判定結果を更新決定部26に与える。
また、本実施形態の判定部25は、出力信号を使用可能周波数帯域と、隣接周波数帯域とに分けて双方の電力を比較すれば、判定を行うために用いるACLR値を求めることができるので、判定に係る処理を行うための構成を簡易なものとすることができる。
従って、仮に、モデル推定部23が新たなモデルの推定を終える前に更新を行わないことを決定した場合には、更新決定部26は、その旨をモデル推定部23に通知し、現在行っている(行おうとしている)モデルの推定を中止させることができる。
入力信号及び出力信号に異常信号が含まれていれば、上述のように、この異常信号によって増幅器4の入出力特性に見かけ上、歪を生じさせるため、推定されるモデルを表す各次の係数ai´にも変化が現れる。
従って、新たなモデルの各次の係数ai´の各次数ごとそれぞれを、上記各実施形態と同様、過去のモデルの各次の係数ai´の各次数ごとそれぞれの平均値と比較することで、新たなモデルの変化を数値的に把握することができ、この把握されるモデルの変化に基づいて、入力信号又は出力信号に一時的な異常信号が含まれているか否かを判定することができる。
この場合、更新決定部26は、現在のモデル以外に過去のモデルについても歪補償に用いるモデルとして選択することができ、選択範囲の幅が広がることで、より適切なモデルを用いて歪補償を行うことができる。
20 歪補償回路
23 モデル推定部
24 歪補償部
25 判定部
26 更新決定部
BS 基地局装置
Claims (8)
- 増幅器の入出力特性を表すモデルを用いて当該増幅器の入出力特性に対する歪補償を行う歪補償回路であって、
前記増幅器に入力される入力信号、及びこの入力信号に対応して前記増幅器が出力する出力信号に基づいて、現在歪補償に用いている現在のモデルを更新するための新たなモデルを推定するモデル推定部と、
前記入力信号及び前記出力信号に異常信号が含まれているか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に応じて、前記新たなモデルに更新するか否かを決定する更新決定部と、を備えていることを特徴とする歪補償回路。 - 前記更新決定部は、前記新たなモデルに更新しないことを決定した場合、前記現在のモデルを含む前記モデル推定部が過去に推定したモデルの中から、歪補償に用いるモデルを選択する請求項1に記載の歪補償回路。
- 前記判定部は、前記新たなモデルにおけるモデル化誤差量を求め、このモデル化誤差量に基づいて、前記入力信号及び前記出力信号に異常信号が含まれているか否かを判定する請求項1又は2に記載の歪補償回路。
- 前記判定部は、前記新たなモデルを数式としたときの当該モデルを表すパラメータに基づいて、前記入力信号及び前記出力信号に瞬時的な異常信号が含まれているか否かを判定する請求項1又は2に記載の歪補償回路。
- 前記パラメータは、前記新たなモデルをべき級数の多項式で表したときの各次それぞれの係数である請求項4に記載の歪補償回路。
- 前記判定部は、前記出力信号を取得し、前記出力信号として使用可能な使用可能周波数帯域の電力に対する、前記使用可能周波数帯域に隣接する隣接周波数帯域の電力の漏洩電力比を求め、この漏洩電力比に基づいて、前記入力信号及び前記出力信号に異常信号が含まれているか否かを判定する請求項1又は2に記載の歪補償回路。
- 増幅器の入出力特性を表すモデルを用いて当該増幅器の入出力特性に対する歪補償を行うための歪補償方法であって、
前記増幅器に入力される入力信号、及びこの入力信号に対応して前記増幅器が出力する出力信号に基づいて、現在歪補償に用いている現在のモデルを更新するための新たなモデルを推定するモデル推定ステップと、
前記入力信号及び前記出力信号に異常信号が含まれているか否かを判定する判定ステップと、
前記検知ステップの検知結果に応じて、前記新たなモデルに更新するか否かを決定する更新決定ステップと、を備えていることを特徴とするとする歪補償方法。 - 増幅器及びこの増幅器の入力特性についての歪補償を行う歪補償回路を有する送信部を備えた無線送信装置であって、
前記歪補償回路が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の歪補償回路であることを特徴とする無線送信装置。
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