JP2019125863A - 歪補償装置及び歪補償方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】係数量を削減しつつ、目標の補償性能を達成する歪補償装置を提供する。【解決手段】DPD(デジタルプリディストータ)1は、DPDの前段でアップサンプリングされていない入力信号をサンプリングするサンプリングレートで動作し、入力信号のサンプル点とサンプル点との間に疑似的にサンプル点を内挿し、疑似的に内挿したサンプル点をサブサンプル分シフトさせる疑似内挿兼サブサンプルシフト処理部101a、bを含む多項式構造と、多項式構造の後段に設けられ、入力信号のサンプル点をサブサンプル分遅延させるサブサンプル遅延フィルタを含むFIRフィルタ107a、b、cと、を備える。そして、DPDは、多項式構造及びFIRフィルタを用いて、入力信号のサンプル点による歪を補償すると共に、デジタルプリディストータにとっての入力信号のサンプル点とサンプル点との間のサブサンプル点による歪を補償する。【選択図】図1

Description

本発明は、無線通信システムに用いられる基地局等の送信装置において、電力増幅器の歪を補償する歪補償装置及び歪補償方法に関する。
無線通信システムにおける送信装置には、送信信号の電力を増幅する電力増幅器が備えられている。電力増幅器は、電力効率の向上の為、可能な限り飽和に近い領域での動作が要求されるが、電力増幅器の線形性と電力効率とはトレードオフの関係にある。そこで、線形性と電力効率を同時に高めるべく、送信装置には歪補償装置が備えられている。歪補償装置は、高効率動作時に、電力増幅器で発生する非線形歪を抑えて、キャリア帯域外(アウトオブバンド)の非線形歪によるACLR(Adjacent Channel Leakage Ratio:隣接チャネル漏洩電力比)や、キャリア帯域内(インバンド)の非線形歪によるEVM(Error Vector Magnitude:エラーベクトル振幅)を低減する目的で使用される。
歪補償装置で使用される方式の一つにDPD(Digital Predistortion:デジタルプリディストーション)方式がある。DPD方式の歪補償装置は、電力増幅器の非線形歪の逆特性を有する信号を、電力増幅器の入力信号に予め付加することで、電力増幅器の出力信号の線形性を高めて出力歪を抑圧するものである。
電力増幅器の出力歪には、ある時間の入力信号にのみ依存する、メモリレス非線形による歪だけでなく、ある時間の入力信号に対して時間がずれたタイミングでのバイアス電流や入力信号に起因して生じる、メモリ効果による歪が存在する。更に、電力増幅器のメモリ効果は、入力信号の帯域幅が拡大するにつれて顕著になり、DPDの性能が制限される。
上記メモリ効果による歪を補償する為にDPDが行う具体的な信号処理として、例えば、ボルテラ級数(Volterra Series)、メモリ多項式(Memory Polynomial)、及び一般化メモリ多項式(Generalized Memory Polynomial)等の級数方式に基づく逆歪生成処理が提案されている。
ボルテラ級数に基づくDPDは、DPDの複雑性が指数関数的に増大する場合がある為、現実のハードウェアに実装することが極めて困難であるという問題がある。その為、この問題を克服すべく、メモリ多項式構造及び一般化メモリ多項式構造が、例えば、非特許文献1や非特許文献2に提案されている。メモリ多項式構造は、補償性能とはトレードオフの関係にある係数量を最低限に低減する目的で、ボルテラ級数を簡略化したものである。一般化メモリ多項式構造は、メモリ多項式構造の性能を向上させる為、ある時間の入力信号に対するメモリ効果項の時間シフト量を、遅れ項(Lagging Term)だけでなく、進み項(Leading Term)にまで一般化して拡張したものである。
メモリ多項式構造や一般化メモリ多項式構造を実現するハードウェアとして、一般的に、べき級数と同等の演算をLUT(Look Up Table:ルックアップテーブル)を用いて行う信号処理装置が提案されている。また、例えば、非特許文献2には、実測または回路シミュレーションに基づいた具体的な電力増幅器の非線形モデルを表す一般化メモリ多項式モデルが提案されている。しかし、非特許文献2に開示された一般化メモリ多項式モデルでは、最大で、8(非線形次数:0〜7)×7(メモリ次数:7)×2(I相Q相:2)=112個もの、非常に多くの非線形モデル係数に対して、その逆システムを導出することが必要である。その為、非特許文献2に開示された一般化メモリ多項式モデルでは、簡略化された一般化メモリ多項式構造に基づいて信号処理を行う場合でさえ、なおも多大な演算量を要するという、関連技術における第一の課題がある。
次に、技術動向の変化に伴う課題について説明する。
5G(5th Generation:第5世代)無線通信システムでの大容量通信の実現の為、3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、先行リリース5G Phase 1の標準化が検討されている。しかし、5G Phase 1においても、既存の4G(4th Generation)と比較して、5倍から20倍の広帯域化が求められており、特に、準ミリ波/ミリ波帯における最大システム帯域幅としては800MHzが必要である。
5G Phase 1では、準ミリ波/ミリ波帯におけるシステム帯域800MHzを実現する為に、同一帯域内連続キャリアアグリゲーション(Intra‐band Contiguous Carrier Aggregation)でキャリアを束ねることが合意されている。例えば、サブキャリア間隔(SCS:Sub‐carrier Spacing)を60kHz、サブキャリア数を1500〜1584、及びFFTサイズを2048とする、チャネルバンド幅(Ch BW:Channel Bandwidth)100MHzのキャリアを、8キャリア束ねることが考えられる。または、サブキャリア間隔を60kHz、サブキャリア数を3000〜3168、及びFFTサイズを2048とする、チャネルバンド幅200MHzのキャリアを、4キャリア束ねることが考えられる。または、サブキャリア間隔を120kHz、サブキャリア数を3000〜3168、及びFFTサイズを4096とする、チャネルバンド幅400MHzのキャリアを、2キャリア束ねることが考えられる。しかし、上記のように同一帯域内連続キャリアアグリゲーションでキャリアを束ねてシステム帯域800MHzを実現する場合、キャリアを束ねた後のトータル800MHz帯域のベースバンド信号を処理する為には、たとえ歪補償を行わない場合であっても、983.04MHzという非常に高いサンプリング周波数での動作が必要となる。
例えば、上記ベースバンド信号の処理をFPGA(Field Programmable Gate Array)で実現する場合、FPGAにおいて1GHzを超える最大動作周波数(Fmax.と呼ばれる)は、今後リリースされる次期7nmや5nm以降のプロセスで達成できる見込みの値である。従って、現行プロセス品のFPGAを使用する条件下では、前述の歪補償を行わない場合の983.04MHzの動作に対しても、2相のポリフェーズ(Poly−phase)構造を採用し、各相のチェインの動作を上記サンプリング周波数983.04MHzの1/2で動作させることが必要となる。
3GPPでは、準ミリ波/ミリ波帯に対する5G標準化動向として、隣接チャネル干渉の観点から、BS(Base Station:基地局)のACLRと、UE(User Equipment:ユーザー端末)のACS(Adjacent Channel Selectivity:隣接チャネル選択度)によるACIR(Adjacent Channel Interference Ratio:隣接チャネル干渉比)と、の尺度を導入して、BSに対するACLR規格を緩和することについて議論、検討がなされている。その結果、3GPPでは、24GHz以上の周波数帯におけるBSのACLR規格を、28dBc(24.24〜33.4GHz帯)及び26dBc(37〜52.6GHz帯)に緩和することが現時点では合意されている。その為、準ミリ波/ミリ波帯におけるキャリア帯域外(アウトオブバンド)の非線形歪によるACLR規格に限っては、歪補償を前提としなくても実現の可能性がある。
しかし、キャリア帯域内(インバンド)の非線形歪の観点では、EVM(エラーベクトル振幅)への影響が残る。準ミリ波/ミリ波帯での無線回路用ローカル(局部発振)信号の位相雑音の影響や、信号のピークファクタ抑圧信号の影響に伴うEVM劣化を含めて、256QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)時のEVM規格3.5%を満足する為には、キャリア帯域内の非線形歪によるSNR(Signal to Noise Ratio)配分としては、大よそ40dBcを実現しなければならない。その為、特に、キャリア帯域内における非線形歪を補償する為の歪補償が必要となる。
歪補償を行う場合、一般的に、k次の非線形性は、入力信号の変調帯域(=入力信号の振幅エンベロープ変化の最大周波数)のk倍の帯域幅を占める歪成分を発生させる。その為、この歪成分を全帯域に渡って補償するDPDには、入力信号の変調帯域のk倍のサンプリング周波数での動作が必要である。例えば、準ミリ波/ミリ波帯における800MHzの入力信号の帯域に対して、5次の非線形まで補償するDPDには、大よそ4GHzの動作周波数(サンプリング周波数)が要求される。また、仮に補償を3次の非線形までに制限したとしても、DPDには、大よそ2.4GHzの動作周波数が要求される。その為、DPDの動作周波数に対するシステム要件が、実現デバイスの性能トレンドを上回るという、関連技術における第二の課題がある。
次に、関連技術の具体的な課題について、図面を参照しながら説明する。
図8は、送信装置における、関連技術の歪補償装置の構成を示すブロック図である。
図8に示す通り、歪補償装置は、DPD(デジタルプリディストータ)1、DA(デジタル/アナログ)変換器2、送信アップコンバータ3、電力増幅器4、方向性結合器5、帰還ダウンコンバータ6、AD(アナログ/デジタル)変換器7、及び内挿補間回路8を有する。
歪補償装置の入力信号(ベースバンド信号)x(n)は、DPD1の前段で、内挿補間回路8によってアップサンプリングされ、アップサンプリングされたxu(n)がDPD1に入力される。内挿補間回路8によるアップサンプリングは、入力信号x(n)のサンプリングレート(サンプリング周波数)を高めて、DPD1における歪補償用のデジタル信号の帯域を拡大する。DPD1の動作周波数(サンプリング周波数)を入力信号x(n)の変調帯域の何倍に設定するかは、内挿補間回路8によるアップサンプリングの倍数比によって決定される。
尚、DPDの前段で、DPDの入力信号をアップサンプリングし、アップサンプリングされた信号をDPDに入力することは、例えば、特許文献1、2に記載されている技術である。以降、DPDの前段で、DPDの入力信号をアップサンプリングする歪補償装置を適宜、アップサンプリング型歪補償装置と呼ぶ。また、アップサンプリング型歪補償装置において、その前段でアップサンプリングされた入力信号を入力するDPDを適宜、アップサンプリング型DPDと呼ぶ。
前述の準ミリ波/ミリ波帯における800MHz帯域の入力信号x(n)を処理する為に必要なサンプリング周波数983.04MHzに対して、例えば、内挿補間回路8により2倍アップサンプリングしたxu(n)をDPD1に入力すると仮定する。この場合、DPD1の動作周波数、すなわち歪補償用のデジタル信号の帯域は、入力信号x(n)の帯域800MHzの2.4576倍の1.96608GHzとなる。
DPD1は、入力されたアップサンプリング後のxu(n)に対して、電力増幅器4の非線形歪の逆特性を有する信号を予め付加したyu(n)を生成する処理(歪補償処理)を行い、生成したyu(n)をDA変換器2に出力する。尚、DPD1の詳細については後述する。
DA変換器2は、DPD1の出力信号yu(n)をデジタル信号からアナログ信号にDA変換し、DA変換後のアナログ信号を送信アップコンバータ3へ出力する。
送信アップコンバータ3は、DA変換器2からのアナログ信号を、RF(Radio Frequency)信号にアップコンバートし、アップコンバート後のRF信号を電力増幅器4に出力する。
方向性結合器5は、電力増幅器4で増幅されて出力されたRF信号の一部を帰還させて、出力観測用のフィードバックRF信号として出力する。方向性結合器5によって得られたフィードバックRF信号は、帰還ダウンコンバータ6及びAD(アナログ/デジタル)変換器7を介してDPD1にフィードバックされる。
帰還ダウンコンバータ6は、方向性結合器5からのフィードバックRF信号をダウンコンバートし、ダウンコンバート後の信号をAD変換器7へ出力する。
AD変換器7は、帰還ダウンコンバータ6からの信号をアナログ信号からデジタル信号にAD変換し、AD変換後のデジタル信号をフィードバック信号zu(n)としてDPD1へ帰還出力する。
DPD1は、AD変換器7からのフィードバック信号zu(n)を用いて、上記歪補償処理を行う。詳細には、DPD1は、LUTを備えており、フィードバック信号zu(n)に応じてLUTを更新する。そして、DPD1は、上記歪補償処理において、更新後のLUTを用いて、電力増幅器4の非線形歪の逆特性を有する信号を演算し、演算した信号をxu(n)に付加することでyu(n)を生成する。尚、LUTの詳細については後述する。
近年では、アナログ直交変調器の不完全性から生じるDCオフセットや、直交誤差によるイメージを補正する必要をなくし、且つ、無線回路を簡素化する目的から、図8中のDA変換器2として、内挿補間型DA変換器(Interpolation DAC)が使用される(以下、DA変換器2を内挿補間型DA変換器2と適宜呼ぶ)。内挿補間型DA変換器は、内挿補間(Interpolation)機能とデジタル直交変調(Digital Quadrature Modulator)機能とを内蔵したDA変換器である。
尚、上記内挿補間型DA変換器は、上記デジタル直交変調を実現する目的の為だけではなく、デジタル直交変調を行わない場合であっても、DA変換器として使用される。例えば、上記内挿補間型DA変換器は、DA変換器の出力部分に必要なアナログフィルタへの要求性能を緩和でき、小型化効果のあるオーバーサンプリング(Over sampling)を行う目的から、ディスクリートDA変換器のみならず、小型集積化が必要な特定用途向けの汎用ICに内蔵されるDA変換器としても、一般的に使用される。
上記デジタル直交変調方式は、例えば、非特許文献3に記載されている技術である。
図9は、内挿補間型DA変換器2の機能例を示すブロック図である。
内挿補間型DA変換器2は、次のようにしてデジタル直交変調機能を実現する構成である。まず、内挿補間型DA変換器2を、入力I、Q信号のサンプリング周波数の4倍のサンプリングクロックレートで動作させ、入力I、Q信号を各々4倍に内挿補間する。4倍に内挿補間されたI信号は、NCO(Numerical Controlled Oscillator:数値制御発振器)205からのI相用サイン信号(例えば、0、1、0、−1、0、・・・)と複素乗算器206で複素乗算される。また、4倍に内挿補間されたQ信号は、NCO205からのQ相用コサイン信号(例えば、1、0、−1、0、1、・・・)と複素乗算器207で複素乗算される。そして、複素乗算器206、207で各々複素乗算された信号を加算器208で加算することでデジタル直交変調信号を得る。そして、このデジタル直交変調信号を1つ(シングルチャネル)のDA変換部209でアナログ信号に変換する。これにより、内挿補間型DA変換器2のサンプリングクロックレートの1/4のIF(Intermediate Frequency)周波数の、直交変調されたリアルIF信号が出力される。
ここで、内挿補間型DA変換器2は、各段の入力信号にゼロ内挿(zero‐stuffing)した後に、内挿用のハーフバンドフィルタ(Half‐band Filter)でイメージを除去する2倍内挿補間回路を、2段接続することで、4倍内挿補間機能を実現する構成である。
上記ハーフバンドフィルタは、マルチレート信号を処理するアプリケーションにおいて、2倍に内挿または1/2に間引きする際に使用されるものである。上記ハーフバンドフィルタは、係数の約半分がゼロに等しくなる為、ポリフェーズ形式で実装される。
内挿補間型DA変換器2は、初段(1段目)の2倍内挿補間回路として、初段2倍内挿用のハーフバンドフィルタ 201、及びハーフバンドフィルタ 202が内蔵され、また、後段(2段目)の2倍内挿補間回路として、後段4倍内挿用のハーフバンドフィルタ 203、及びハーフバンドフィルタ 204が内蔵されている。これらハーフバンドフィルタは、80%ナイキストパスバンドの内挿用ハーフバンドフィルタである。一般的に、初段2倍内挿用のハーフバンドフィルタ 201、及びハーフバンドフィルタ 202は、59タップ程度のFIR(Finite Impulse Response)フィルタであり、また、後段4倍内挿用のハーフバンドフィルタ 203、及びハーフバンドフィルタ 204は、23タップ程度のFIRフィルタである。
内挿補間型DA変換器2の採用により、内挿補間型DA変換器2の後段の送信アップコンバータ3は、内挿補間型DA変換器2から出力されたリアルIF信号をRF信号に変換するだけでよく、アナログ直交変調器が不要となる。従って、内挿補間型DA変換器2の採用により、無線回路を簡素化でき、更に、アナログ直交変調器の不完全性から生じるDCオフセットと直交誤差によるイメージとを補正する処理を削除できるという効果がある。
図8に示す関連技術の歪補償装置において、前述のデバイス性能に関する第二の課題に対し、DPD1自体の動作周波数を低減する目的から、内挿補間回路8を削除して、DPD1用のアップサンプリングを行わない構成にしたと仮定する。この構成の場合、図14(詳細説明は後述)に示すように、例えば、準ミリ波/ミリ波帯における800MHzの入力信号の帯域に対するDPD1の動作周波数は、800MHz帯域の入力信号x(n)を処理する為に必要な983.04MHzのままとなり、入力信号x(n)の帯域の1.2288倍にしかならない。
次に、関連技術を参照して比較しながら、上記で仮定した、内挿補間回路8を削除する構成を実現することが、如何に困難な課題であるか、について説明する。
AD変換器は、一般的に、DA変換器よりも比較的サンプリングレートが低く、性能面で律速となる。そこで、歪補償装置のコスト低減の目的から、AD変換器への要求を抑える為、AD変換器が配置されたフィードバック経路の帯域幅を狭帯域にすることが可能なDPD方式が、例えば、非特許文献4に提案されている。
非特許文献4は、Fig.1に記載された通り、変調帯域100MHzの入力信号に対し、電力増幅器の出力観測用のフィードバック信号をBPF(Band‐pass Filter)で100MHzまで狭帯域に制限することで、フィードバック経路用のAD変換器のサンプリング周波数を368.64MHzまで低減することが可能なDPD方式の提案である。しかし、非特許文献4に開示された技術では、DPDを入力信号の帯域の3.68倍のサンプリング周波数で動作させている。
一方、更なる歪補償装置のコスト低減の目的から、フィードバック経路用のAD変換器、送信用のDA変換器、及びDPDのサンプリング周波数を低減する手段として、Band‐Limited Volterra Series‐Based DPD方式が、例えば、特許文献1に提案されている。
特許文献1に開示された技術においては、変調帯域100MHzの入力信号に対し、Band‐Limited Volterra Seriesモデルに基づくDPDで歪補償信号を生成する。また、このDPDで生成した歪補償信号を帯域制限するフィルタの帯域外の歪は、電力増幅器の出力部分に配置された関連技術のBPFで抑圧する。特許文献1は、この構成によって、DPDのサンプリング周波数を、関連技術の500MHzから200MHzまで低減することが可能なDPD方式の提案である。しかし、特許文献1に開示された技術では、DPDを入力信号の帯域の2倍のサンプリング周波数で動作させている。
尚、特許文献1に開示された技術は、予め設定された帯域(pre‐set bandwidth)内に歪補償信号を帯域制限する帯域制限部(bandwidth limitation unit)の前段に、非線形処理部(Non‐linear processing unit)が備えられている。非線形処理部では、ボルテラ級数パラメータに基づいて、帯域制限後の帯域内に出力するべき、未だ制限されていない補償用の高次の非線形歪と高次のメモリ効果を生成しなければならない。その為、非線形処理部では、ハードウェアのサンプリング周波数は200MHzに低減しているものの、(特許文献1に明示されてはいないが)非線形処理部の演算用プロセッサには高速動作が要求される。例えば、制限された帯域内の補償性能を、関連技術の500MHzサンプリング時と同等にする補償用の高次非線形歪と高次のメモリ効果を生成すると仮定する。この場合には、CPU等のマイクロプロセッサまたはエンベデッドプロセッサ(Embedded Processor:組み込みプロセッサ)で実現される非線形処理演算用プロセッサを、入力信号の帯域の5倍の周波数で動作させることが必要になる。
また、他にも、フィードバック経路用のAD変換器及び送信用のDA変換器のサンプリングレートを、関連技術に対して増加させることなく、歪補償特性を改善させることが可能なDPDサブシステムが特許文献2に提案されている。
特許文献2に開示された技術は、DPDサブシステム内において、DPD本体と、DPD本体の前段にPre‐DPD Processorとして配置された内挿補間(Interpolation)回路と、DPD本体の後段にPost‐DPD Processorとして配置された間引き(Decimation)回路と、が備えられている。この構成によって、DPDサブシステムの入力と出力とのサンプリングレートが関連技術と見掛け上は変わらず、フィードバック経路用のAD変換器及び送信用のDA変換器のサンプリングレートは関連技術と同一にすることが可能となる。しかし、実際にはDPDサブシステム内に上記の通り内挿補間回路が備えられている。その為、特許文献2に開示された技術は、内挿比Lが最低の2とした場合でも、DPD本体を入力信号のレートの2倍のサンプリング周波数で動作させる技術に他ならない。
また、特許文献2に開示された技術は、特許文献1に開示された技術における上記補償用の高次の非線形歪と高次のメモリ効果を生成した後に帯域制限する為に、特許文献1に開示された非線形処理演算用プロセッサで行う処理を、ハードウェアによる内挿補間回路と間引き回路とに置き換えた帯域制限型のDPDと言える。
以上の通り、例えば前述の準ミリ波/ミリ波帯における800MHz帯域の入力信号(ベースバンド)に対して歪補償を行うには、特許文献1に開示された技術でも、入力信号の帯域800MHz×2倍の1.6GHzが、DPDの動作周波数として必要となる。また、特許文献2に開示された技術でも、入力信号の帯域800MHz×2.4576倍(=入力信号のレート983.04MHz×2倍)の1.966GHzが、DPDの動作周波数として必要となる。
次に、基準となる関連技術の歪補償性能を示す為、前述の準ミリ波/ミリ波帯における800MHz帯域の入力信号(=入力信号のレート983.04MHz)に対して、DPD1の前段に2倍の内挿補間回路8を備えた、図8に示したアップサンプリング型歪補償装置による歪補償特性について、具体的な電力増幅器の非線形モデルを用いて説明する。
図8に示した歪補償装置の入力信号(ベースバンド信号)x(n)は、DPD1の前段で、内挿補間回路8によってアップサンプリングされ、アップサンプリングされたxu(n)がDPD1に入力される。内挿補間回路8によるアップサンプリングは、入力信号x(n)のサンプリングレート(サンプリング周波数)を高めて、DPD1における歪補償用のデジタル信号帯域を拡大する。ここでは、内挿補間回路8によるアップサンプリング比を2倍とし、DPD1の動作周波数を入力信号のレート983.04MHz×2倍=1.96608GHzとする。このときのDPD1の動作周波数は、入力信号x(n)の帯域800MHzの2.4576倍に等しい。
DPD1では、入力されたアップサンプリング後のxu(n)に対して、電力増幅器4の非線形歪の逆特性を有する信号を予め付加したyu(n)を生成する。
DPD1において、一般化メモリ多項式構造を適用すれば、DPD1の出力信号yu(n)は、アップサンプリング後のDPD1の入力信号xu(n)に対して次の式(1)を演算した結果である。
ここで、式(1)におけるメモリ効果項の時間シフト量l は、DPD1の出力信号yu(n)におけるサンプリング周期(=1/サンプリング周波数)単位での時間シフト量(言い換えるとサンプルシフト量)である。更に、一般化メモリ多項式では、あるサンプルタイミングの入力信号に対する上記時間シフト量を、遅れ項だけでなく、進み項にまで一般化して拡張する。その為、l は、
から
まで取り得るものとする。尚、Lは、メモリ次数(Memory order)またはメモリタップ数(Number of Memory Taps)と呼ばれる。その為、以降、上記メモリ効果項の時間シフト量l を便宜上メモリタップと呼ぶ。
上記式(1)におけるメモリタップl の各項毎のべき級数演算
を、演算用プロセッサによる直接的な演算ではなく、ハードウェアとしてのLUT(Look Up Table : ルックアップテーブル)による、メモリタップl の各項毎の振幅に対する、べき級数関数
で実現すれば、式(1)は次の式(2)で表現できる。
式(2)におけるl=0の項では、DPD1の入力信号に対するDPD1の出力信号の時間シフト量がゼロとなる。その為、l=0での多項式がメモリレス多項式に相当する。
上記式(2)に対して、具体的にL=7を与え、更に時間シフト量l に対してl=ls−3とする置換を行えば、式(2)は次の式(3)で表せる。
上記式(3)のnを3サンプル遅延させると次の式(4)で表せる。
尚、式(3)と式(4)におけるls=3(すなわちl=0)の項では、DPD1の入力信号に対するDPD1の出力信号の時間シフト量がゼロとなる。その為、ls=3での多項式がメモリレス多項式に相当する。
関連技術に係るDPD1における上記式(4)の演算を、例えばハードウェア機能で構成した場合のブロック図を図10に示す。
図10に係るDPD1は、上記式(4)の演算を実現するものである。図10に係るDPD1は、1サンプル遅延器301a、301b、301c、301d、301e、301fと、振幅アドレス演算回路302a、302b、302c、302d、302e、302f、302gと、LUT(ルックアップテーブル)303a、303b、303c、303d、303e、303f、303gと、複素乗算器304a、304b、304c、304d、304e、304f、304gと、加算器305と、を備える。尚、図10の詳細説明は割愛する。
この式(4)及び図10の構成を適用した場合、非線形次数を0〜7、メモリ次数(メモリタップ数)を7とすると、(I相、Q相の)複素係数として、8×7×2=112個の非線形モデル係数に対する逆システムを導出することが必要となる。
前述の関連技術における、多大な演算量を要するという第一の課題に対して、係数量を削減する為、上記式(4)及び図10を実現する7次メモリ多項式モデルを、3タップの多項式と5タップのFIRフィルタとを組み合わせた近似モデルで表現する手法を導入する。
この近似モデルによる手法は、関連技術に関する文献等で開示された例はない。ただし、この近似モデルによる手法は、非特許文献1のFig.2(c)に示されたウィーナー‐ハマースタイン(Wiener‐Hammerstein)モデルによる関連技術に対し、このモデルを3つ並列に接続した拡張構成と言える。
上記式(2)を、係数量を削減した多項式とFIRフィルタとの組み合わせによる近似モデルに変形し、次の式(5)で表現する。ここで、L(メモリ次数)は、係数量を削減する前の上記式(3)で与えた7よりも低減することを想定する。
上記式(2)と同様に、式(5)におけるl=0、r=0の項では、DPD1の入力信号に対するDPD1の出力信号の時間シフト量がゼロとなる。その為、l=0、r=0での多項式がメモリレス多項式に相当する。
上記式(5)に対して、具体的に係数量を削減すべくL=3タップと、R=5タップとを与えると、式(5)は次の式(6)で表せる。
更に、時間シフト量l に対してl=ls−1とする置換と、rに対してr=rs−2とする置換とを行えば、式(6)は次の式(7)で表せる。
式(7)のnを3サンプル遅延させると次の式(8)で表せる。
尚、式(7)と式(8)における、ls=1(すなわちl=0)且つrs=2(すなわちr=0)の項では、DPD1の入力信号に対するDPD1の出力信号の時間シフト量がゼロとなる。その為、ls=1且つrs=2での多項式がメモリレス多項式に相当する。
係数量を削減したDPD1における上記式(8)の演算を、例えばハードウェア機能で構成した場合のブロック図を図11に示す。
図11に係るDPD1は、上記式(8)の演算を実現するものである。図11に係るDPD1は、1サンプル遅延器401a、401bと、振幅アドレス演算回路402a、402b、402cと、LUT403a、403b、403cと、複素乗算器404a、404b、404cと、FIRフィルタ 405a、FIRフィルタ 405b、FIRフィルタ 405cと、加算器406と、を備える。更に、FIRフィルタ 405a、FIRフィルタ 405b、FIRフィルタ 405cは各々いずれも、1サンプル遅延器411a、411b、411c、411dと、複素乗算器412a、412b、412c、412d、412eと、加算器413と、を備える。
尚、図11中では、説明の簡略化の為、上記式(8)のメモリタップls の各項毎の、複素乗算器404a、404b、404cの出力における、係数量を削減した多項式
を、次の式(9)の通り、関数du(n−ls)に置き換えて表現している。
アップサンプリングされた、あるサンプルタイミングのDPD1の入力信号xu(n)に対し、1サンプル遅延器401a、401bによって、1サンプルずつ遅延したxu(n)、xu(n−1)、xu(n−2)を生成する。この1サンプルずつ遅延したxu(n)、xu(n−1)、xu(n−2)の各信号に対して、振幅アドレス演算回路402a、402b、402cによって、この各信号の振幅 |xu(n)|、|xu(n−1)|、|xu(n−2)| に相当するLUT用振幅アドレスが各々演算される。この1サンプルずつ遅延した各信号に対するLUT用振幅アドレスに基づいてLUT403a、403b、403cが参照され、LUT用振幅アドレスに対応する各LUTの出力信号が得られる。そして、各LUTの出力信号と、1サンプルずつ遅延した各信号とが、複素乗算器404a、404b、404cによって複素乗算される。複素乗算器404a、404b、404cによる複素乗算の結果は、メモリタップls =0、1、2の各項毎の、係数量を削減した多項式du(n−ls)として、各々FIRフィルタ 405a、FIRフィルタ 405b、FIRフィルタ 405cに入力される。FIRフィルタ 405aは、メモリタップls =0に対応する。FIRフィルタ 405bは、メモリタップls =1に対応する。FIRフィルタ 405cは、メモリタップls =2に対応する。
FIRフィルタ 405a、FIRフィルタ 405b、及びFIRフィルタ 405cでは、各々入力されたdu(n−ls)に対し、1サンプル遅延器411a、411b、411c、411dによって、1サンプルずつ遅延したdu(n−ls)、du(n−ls−1)、du(n−ls−2)、du(n−ls−3)、du(n−ls−4)を生成する。この1サンプルずつ遅延した各信号に対して、複素乗算器412a、412b、412c、412d、412eによって、FIRタップrs =0、1、2、3、4に対応したフィルタ(複素)係数Wls,0、Wls,1、Wls,2、Wls,3、Wls,4が各々複素乗算される。その後、複素乗算器412a、412b、412c、412d、412eで各々複素乗算された信号は、加算器413で加算される。加算器413で加算された信号は、各メモリタップls に対する
として、FIRフィルタ 405a、FIRフィルタ 405b、及びFIRフィルタ 405cから各々出力される。
メモリタップls =0に対応するFIRフィルタ 405aの出力信号は以下となる。
メモリタップls =1に対応するFIRフィルタ 405bの出力信号は以下となる。
メモリタップls =2に対応するFIRフィルタ 405cの出力信号は以下となる。
FIRフィルタ 405a、FIRフィルタ 405b、及びFIRフィルタ 405cの出力信号は、最終的に加算器406で加算され、上記式(8)で表現される係数量を削減した多項式としてDPD1から出力される。
式(8)及び図11の構成を適用した場合、非線形次数を0〜7、メモリ次数(メモリタップ数)を3、FIRタップ数を5とすると、(I相、Q相)複素係数として、(8+5)×3×2=78個の非線形モデル係数に対する逆システムを導出すればよい。その為、前述の式(4)及び図10の構成を適用した場合(係数量は112個)と比較して、係数量の30%削減が可能となる。
LUT403a、403b、403cにおける、べき級数係数(8×3×2=48個)及びFIRフィルタ 405a、FIRフィルタ 405b、FIRフィルタ 405cのタップ係数(5×3×2=30個)は、次のように導出する。すなわち、LUT403a、403b、403cにおける、これらのべき級数係数及びタップ係数は、基準となるDPD1の入力信号xu(n)のN個のサンプルにおけるRMS(Root Mean Square:二乗平均平方根)値に対する、同N個のサンプルのフィードバック信号zu(n)における入力信号xu(n)とのRMSE(Root Mean Square Error:二乗平均平方根誤差)の比を、誤差評価関数として適応制御を行って導出する。
上記誤差評価関数は、次の式(10)に示す通り、NRMSE(Normalized Root Mean Square Error:正規化二乗平均平方根誤差)であり、xu(n)に対するフィードバック信号zu(n)のEVM(エラーベクトル振幅)と等価である。
次に、上記式(8)及び図11の構成を適用した内挿補間回路によるアップサンプリング型歪補償装置について、具体的な電力増幅器の非線形モデル係数に対する歪補償特性を確認する。
ここでは、チャネルバンド幅を狭くし、束ねるキャリア数を多く設定することで、信号エンベロープ変化を大きくすることを考える。その為、サブキャリア間隔(SCS)を60kHz、サブキャリア数を1200としたチャネルバンド幅80MHzのキャリアを10キャリア束ねたサンプリング周波数983.04MHzの信号を、上記準ミリ波/ミリ波帯を想定したシステム帯域800MHzの信号とする。この信号を、図8における内挿補間回路8によってアップサンプリングされる前の歪補償装置の入力信号x(n)とする。また、内挿補間回路8によるアップサンプリング比を2倍として、DPD1に入力されるアップサンプリング後の信号をxu(n)とする。また、DPD1の動作周波数を入力信号x(n)のレート983.04MHzの2倍の1.96608GHzとする。
具体的な電力増幅器の非線形モデル係数としては、上記非特許文献2に記載された一般化メモリ多項式係数のうち、上記サンプリング周波数の条件に近く、モデル測定時の入出力データがサンプリングレート約2GHzで採取された、28GHz用GaN(Gallium Nitride:窒化ガリウム)による電力増幅器モデル係数を使用する。一般的に、メモリ多項式モデルにおけるメモリタップは、採用するDPDの動作周波数(=サンプリングレート)で測定され、このメモリタップの時間シフト量は、測定時のサンプリング周期(=1/サンプリングレート)単位での時間シフト(サンプルシフト)量である。これは、モデルを補償するDPDに必要なメモリタップ数(またはメモリ次数)の選定には、モデル測定時の入出力データのサンプリングレートが重要な指標となる為である。
まず、図12に、DPDを動作させない場合の、内挿補間後のアップサンプリング信号に対する電力増幅器モデル出力の歪特性を示す。
図12の例では、サンプリング周波数983.04MHzのシステム帯域800MHzの入力信号x(n)を、内挿補間回路8によって1.96608GHzへ2倍アップサンプリングする。図12に示した特性は、この2倍アップサンプリング後の信号xu(n)を、DPDを動作させずに、すなわち、上記xu(n)を、直接、上記電力増幅器の一般化メモリ多項式モデルに入力した、電力増幅器単体の出力歪特性である。
出力バックオフ9dBの動作条件では、ACLRで規定されるキャリア帯域外の歪は上記28dBcよりも低くなる。しかし、キャリア帯域内の歪によるキャリア信号とのエラーは、帯域外歪よりも5〜10dB高い。その為、キャリア帯域内の歪を前述の256QAM時のEVM規格を満足する配分目標の上記40dBcまで抑圧する補償量は、約20dB以上必要である。
図13に、関連技術に係るアップサンプリング型DPDによる補償特性を示す。
図13の例では、図12と同一のサンプリング周波数983.04MHzのシステム帯域800MHzの入力信号x(n)を、DPD1の前段の内挿補間回路8によって1.96608GHzへ2倍アップサンプリングする。この2倍アップサンプリング後の信号xu(n)をDPD1の入力信号とし、上記式(8)及び図11の構成を適用して上記式(10)を誤差評価関数とする適応制御によって、DPD1を動作させる。図13に示した特性は、このときのDPD1の出力信号yu(n)を、上記電力増幅器の一般化メモリ多項式モデルに入力した、上記係数量を30%削減した2倍アップサンプリング型DPDによる歪補償特性である。
2倍アップサンプリング型DPDにより、キャリア帯域内の歪によるキャリア信号とのエラーは、図12に示したDPDを動作させない場合の平均値23.6dBcに対し、平均値48.4dBcまで抑圧できる。
米国特許第9209753号明細書 米国特許第8537041号明細書
D.R.Morgan, Z.Ma, J.Kim, M.G.Zierdt, and J.Pastalan, "A generalized memory polynomial model for digital predistortion of RF power amplifiers", IEEE Transactions on Signal Processing, vol.54, no.10, pp.3852‐3860, Oct.2006. 3GPP TR 38.803, Technical Report, "3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Study on new radio access technology: Radio Frequency(RF) and co‐existence aspects", Annex A: PA models V.Leung, and L.Larson, "Improved Digital‐IF Transmitter Architecture for Highly Integrated W‐CDMA Mobile Terminals", IEEE Transactions on Vehicular Technology, vol.54, no.1, pp.20‐32, Jan.2005. Y.Liu, W.Pan, S.Shao, and Y.Tang,"A New Digital Predistortion for Wideband Power Amplifiers With Constrained Feedback Bandwidth," IEEE Microwave and Wireless Components Letters, vol.23, no.12, pp.683‐685, Dec.2013
以上述べた通り、多大な演算量を要するという関連技術における第一の課題に対して、係数量を削減する為に、上記式(8)及び図11の構成を適用した内挿補間回路によるアップサンプリング型歪補償装置を導入することが考えられる。この内挿補間回路によるアップサンプリング型歪補償装置によれば、関連技術に係る上記式(4)及び図10の構成を適用したDPDと比較して、係数量を30%削減できる。且つ、この内挿補間回路によるアップサンプリング型歪補償装置によれば、図13に示す通り、キャリア帯域外及び帯域内共に、上記目標を達成する補償性能が得られることがわかる。
しかし、上記式(8)及び図11の構成を適用した内挿補間回路によるアップサンプリング型歪補償装置では、DPD1の前段の内挿補間回路8によって1.96608GHzへ2倍アップサンプリングする為、DPD1の動作周波数に対するシステム要件は、前述の通り、実現デバイスの性能トレンドを上回っている。その為、前述の第二の課題は解決されないままである。
図14は、関連技術の歪補償装置におけるデバイス性能に関する第二の課題に対し、図8に示した内挿補間回路8を削除し、DPD用アップサンプリングを行わない構成とした歪補償装置のブロック図である。
既に説明済みの図8との構成上の差分は、内挿補間回路8の削除に伴い、DPD用アップサンプリングが行われていない入力信号x(n)が直接DPD1の入力信号となる点にある。また、図8との構成上の更なる差分は、DPD1は入力されたx(n)に対して、電力増幅器4の非線形歪の逆特性を有する信号を予め付加したy(n)を生成し出力するが、DPD1の出力信号y(n)と入力信号x(n)のサンプリング周波数が同一である点である。
図14に示した構成の場合、前述の準ミリ波/ミリ波帯における800MHzの入力信号x(n)の帯域に対するDPD1の動作周波数は、DPD用アップサンプリングを行わない為、800MHz帯域のベースバンド入力信号を処理する上で必要な983.04MHzである。その為、入力信号x(n)の帯域に対するDPD1の動作周波数の比は、関連技術における2倍に満たない1.2288倍となる。
次に、内挿補間回路8を削除してDPD用アップサンプリングを行わない図14の構成とした歪補償装置における課題について説明する。
図14における800MHz帯域の入力信号x(n)とDPD1の出力信号y(n)はサンプリング周波数983.04MHzでサンプリングされた信号である。変調帯域が800MHzの入力信号x(n)における振幅エンベロープ変化の最大周波数は800MHzである。しかし、入力信号x(n)における振幅エンベロープ変化の最大周波数とサンプリング周波数とが近い場合、内挿補間型DA変換器2によって内挿補間された信号の振幅エンベロープの変化が、内挿前の信号の振幅エンベロープの変化と乖離する問題がある。
図15に、内挿前のサンプリング周波数983.04MHzの800MHz帯域の信号の振幅変化と、この信号を2倍内挿補間処理によってサンプリング周波数1.96608GHzへ2倍アップサンプリングした後の信号の振幅変化と、の比較を示す。尚、上記2倍内挿補間処理は、図9に示した前述の内挿補間型DA変換器2における、入力信号にゼロ内挿した後に内挿用ハーフバンドフィルタでイメージを除去する初段の2倍内挿補間回路による処理である。
上記2倍内挿補間によって、内挿前の信号のサンプル間隔の間に内挿されたサンプル点が生成される。しかし、内挿前の信号におけるサンプル間の振幅エンベロープ変化に対して、2倍内挿補間後の信号の振幅エンベロープ変化が大きく乖離するサンプルが存在している(図15中、大きく乖離するサンプルは、二重破線で囲っている)。
次に、図16に、上記2倍内挿補間処理によってサンプリング周波数1.96608GHzへ2倍アップサンプリングされた信号の振幅変化と、この信号を更に2倍内挿補間処理によってサンプリング周波数3.93216GHzへ4倍アップサンプリングされた信号の振幅変化と、の比較を示す。尚、上記4倍アップサンプリングする為に追加した2倍内挿補間処理は、図9に示した前述の内挿補間型DA変換器2における後段の2倍内挿補間回路による処理である。
2倍内挿補間後の信号の振幅エンベロープ変化と、4倍内挿補間後の信号の振幅エンベロープ変化には大きな差がない。
以上より、振幅エンベロープ変化の最大周波数とサンプリング周波数とが近い(例えば、入力信号の帯域に対するサンプリング周波数の比が2未満となる)場合に、内挿補間された信号の振幅エンベロープの変化が、内挿前の信号の振幅エンベロープの変化と乖離することがわかる。
以上の通り、内挿補間回路を削除してDPD用アップサンプリングを行わない構成とした場合には、DPD1の後段の内挿補間型DA変換器2によって内挿補間された信号と、DPD1が処理する内挿前の信号との振幅エンベロープ変化に乖離が生じるという問題が観られる。この問題は、関連技術に係る内挿補間によるアップサンプリング型のDPD1を採用し、DPD1の前段で2倍以上アップサンプリングする歪補償装置においては考慮する必要がなく、DPD用アップサンプリングを行わない構成とした歪補償装置に限られた解決すべき課題となる。
図14において、DPD1は、サンプリング周波数983.04MHzの入力信号x(n)とフィードバック信号z(n)とによって同サンプリング周波数のDPD1の出力信号y(n)を生成する。しかし、電力増幅器4に入力される変調信号のエンベロープは、y(n)が内挿補間型DA変換器2によって内挿補間された後にアナログ信号に変換された変調信号のエンベロープに等しい。その為、電力増幅器4で発生する歪を補償する上で、特に、あるサンプル点の前後のサンプルの影響を受けるメモリ効果の補償には、内挿補間型DA変換器2によって内挿補間されたサンプル点まで考慮する必要がある。しかし、この内挿補間されたサンプル点は、内挿前のサンプリングレートで動作するDPD1にとってはサンプル点とサンプル点の間に内挿されたサブサンプル点となる為、メモリ効果を補償する歪補償信号に反映できない。
上記の問題について具体的に説明する。上記DPD用2倍アップサンプリングを行う式(8)及び図11の構成におけるメモリタップは、DPD1の前段で1.96608GHzへ2倍アップサンプリングした後のサンプリング周期(=1/サンプリング周波数)単位でのサンプルシフト量である。従って、上記式(8)における、例えばメモリタップls =1は、図14に示した、内挿補間回路を削除してDPD用アップサンプリングを行わない構成でのサンプリング周波数983.04MHzで動作するDPD1にとっては、メモリタップ=0.5に相当するサブサンプルのメモリタップである。その為、メモリタップls =1は、サンプリング周波数983.04MHzで動作するDPD1にとってはメモリタップの対象とはならない為、メモリ効果を補償する歪補償信号に反映できない。
以上の通り、DPD前段の内挿補間回路を削除してDPD用アップサンプリングを行わない構成を適用し、DPDを入力信号の帯域800MHzに対して1.2288倍のサンプリング周波数で動作させる場合、関連技術に係るDPD及び歪補償装置では、目標の補償性能を達成することが困難である。
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、DPDの前段の内挿補間回路を削除してDPD用アップサンプリングを行わない構成を適用した場合でも、係数量を削減しつつ、目標の補償性能を達成することが可能な歪補償装置及び歪補償方法を提供することにある。
上記課題を解決する為に、本発明に係る歪補償装置は、
電力増幅器の非線形歪を補償する歪補償装置であって、
前記電力増幅器の出力信号を帰還させてAD(アナログ/デジタル)変換し、AD変換した信号をフィードバック信号として出力するAD変換器と、
入力信号に対し、前記フィードバック信号を用いて、歪補償処理を行い、歪補償処理を行った信号を出力するデジタルプリディストータと、
前記デジタルプリディストータと前記電力増幅器との間に設けられ、前記デジタルプリディストータの出力信号をDA(デジタル/アナログ)変換し、DA変換した信号を前記電力増幅器に出力するDA変換器と、を備え、
前記デジタルプリディストータは、
前記デジタルプリディストータの前段でアップサンプリングされていない前記入力信号をサンプリングするサンプリングレートで動作し、
前記入力信号のサンプル点とサンプル点との間に疑似的にサンプル点を内挿し、疑似的に内挿したサンプル点をサブサンプル分シフトさせる疑似内挿 兼 サブサンプルシフト処理部を含む多項式構造と、
前記多項式構造の後段に設けられ、前記入力信号のサンプル点をサブサンプル分遅延させるサブサンプル遅延フィルタを含むFIR(Finite Impulse Response)フィルタと、を備え、
前記多項式構造及び前記FIRフィルタを用いて、前記入力信号のサンプル点による歪を補償すると共に、前記デジタルプリディストータにとっての前記入力信号のサンプル点とサンプル点との間のサブサンプル点による歪を補償する。
上記課題を解決する為に、本発明に係る歪補償方法は、
電力増幅器の非線形歪を補償する歪補償装置による歪補償方法であって、
デジタルプリディストータにおいて、入力信号に対し、前記電力増幅器の出力信号を帰還させてAD(アナログ/デジタル)変換したフィードバック信号を用いて、歪補償処理を行い、歪補償処理を行った信号を出力し、
前記デジタルプリディストータの出力信号をDA(デジタル/アナログ)変換し、DA変換した信号を前記電力増幅器に出力し、
前記デジタルプリディストータは、
前記デジタルプリディストータの前段でアップサンプリングされていない前記入力信号をサンプリングするサンプリングレートで動作し、
前記入力信号のサンプル点とサンプル点との間に疑似的にサンプル点を内挿し、疑似的に内挿したサンプル点をサブサンプル分シフトさせる疑似内挿 兼 サブサンプルシフト処理部を含む多項式構造と、
前記多項式構造の後段に設けられ、前記入力信号のサンプル点をサブサンプル分遅延させるサブサンプル遅延フィルタを含むFIR(Finite Impulse Response)フィルタと、を備え、
前記多項式構造及び前記FIRフィルタを用いて、前記入力信号のサンプル点による歪を補償すると共に、前記デジタルプリディストータにとっての前記入力信号のサンプル点とサンプル点との間のサブサンプル点による歪を補償する。
本発明によれば、DPDの前段の内挿補間回路を削除してDPD用アップサンプリングを行わない構成を適用した場合でも、係数量を削減しつつ、目標の補償性能を達成することが可能な歪補償装置及び歪補償方法を提供することができるという効果が得られる。
本発明の実施の形態に係るDPDの一構成例を示すブロック図である。 内挿補間型DA変換器に内蔵された、2倍内挿用ハーフバンドFIRフィルタのタップ係数例を示す図である。 内挿補間型DA変換器における2倍内挿補間処理の例を図示化したタイミングチャート図である。 アップサンプリングされていないサンプリングレートで動作するDPDにとってのサブサンプルメモリタップ=±0.5を得る為の、疑似内挿フィルタのタップ係数を求める手順の例を示す図である。 遅延がサンプルに対して非整数の場合の、0.5サンプル遅延フィルタのインパルス応答例を示す図である。 0.5サンプル遅延フィルタをFIRフィルタで構成した場合の、タップ数に対するフィルタ減衰量の周波数特性の例を示す図である。 DPD用アップサンプリングを行わない構成の歪補償装置におけるDPDに、関連技術の構成を適用した場合の歪補償特性の例を示す図である。 DPD用アップサンプリングを行わない構成の歪補償装置におけるDPDに、本発明の実施の形態に係る構成を適用した場合の歪補償特性を示す図である。 関連技術に係る歪補償装置の構成例を示すブロック図である。 内挿補間型DA変換器の機能例を示すブロック図である。 図8に示した関連技術に係る歪補償装置におけるDPDの構成例を示すブロック図である。 図10に示した関連技術に係るDPDに対して、係数量を削減する施策を適用したDPDの一構成例を示すブロック図である。 DPDを動作させない場合の、内挿補間後のアップサンプリング信号に対する電力増幅器モデルの出力の歪特性の例を示す図である。 関連技術に係るアップサンプリング型DPDによる補償特性を示す図である。 内挿補間回路を削除してDPD用アップサンプリングを行わない構成とした、本発明の実施の形態に係る歪補償装置の構成例を示すブロック図である。 内挿前のサンプリング周波数983.04MHzの800MHz帯域の信号の振幅変化と、この信号を2倍内挿補間処理によってサンプリング周波数1.96608GHzへ2倍アップサンプリングした後の信号の振幅変化と、の比較の例を示す図である。 2倍内挿補間処理によってサンプリング周波数1.96608GHzへ2倍アップサンプリングされた信号の振幅変化と、この信号を更に2倍内挿補間処理によってサンプリング周波数3.93216GHzへ4倍アップサンプリングされた信号の振幅変化と、の比較の例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
<実施の形態の概要>
図1に、本実施の形態に係るDPD1の一構成例のブロック図を示す。本実施の形態に係るDPD1は、図14に示した歪補償装置におけるDPD1に相当する。図14に示した歪補償装置は、前述の通り、関連技術の歪補償装置におけるデバイス性能に関する上記第二の課題に対し、図8における内挿補間回路8を削除し、DPD用アップサンプリングを行わない構成としている。
以下、図1に示した本実施の形態に係るDPD1の説明をする前に、まず、本実施の形態の概要について説明する。
図14に示した歪補償装置は、前述のように、DPD1の前段でDPD用アップサンプリング処理を行わず、アップサンプリングされていない低サンプリングレートで動作する。図14に示した歪補償装置であっても、以下の(A)及び(B)の2つが可能であれば、DPD1の後段の内挿補間型DA変換器2によって生じるDPD1のサンプル点とサンプル点の間のサブサンプルメモリタップによるメモリ効果を補償することが可能となる。
(A)係数量を削減した上記式(8)及び図11における2倍アップサンプリング後の信号xu(n−ls)に相当する信号を、アップサンプリングされていないDPD1の入力信号のサンプル信号列から生成すること
(B)図11に示した、2倍のサンプリング周波数で動作するFIRフィルタ 405a、FIRフィルタ 405b、FIRフィルタ 405cと等価なFIRフィルタを、2倍アップサンプリングすることなく実現すること
次の式(11)において、アップサンプリングされていないDPD1の入力信号のサンプル信号列から、疑似内挿とサブサンプルシフトとによって生成する、上記式(8)における2倍アップサンプリングされた後のxu(n−ls)に相当する信号を疑似内挿信号xu’(n−ls)と置く。また、次の式(11)において、このxu’(n−ls)とサブサンプル遅延タップを備えたサブサンプルFIRフィルタとによって生成する、2倍アップサンプリングされた後の上記式(8)で求まるyu(n−3)に相当する信号をyu’(n−3)と置く。また、次の式(11)において、上記式(8)のxu(n−ls−rs)をxu’(n−ls−rs)に置き換え、yu(n−3)をyu’(n−3)に置き換える。以下、次の式(11)を、2倍アップサンプリングすることなく実現する手段について説明する。
尚、式(11)において、メモリタップlsは、0、+1、+2であり、FIRタップrsは、0、+1、+2、+3、+4であるが、いずれも2倍アップサンプリングされた後のサンプルシフト量である。従って、アップサンプリングされていないサンプリングレートで動作するDPD1にとっては、上記メモリタップは0、+0.5、+1のサブサンプルシフトに相当し、上記FIRタップは0、+0.5、+1、+1.5、+2のサブサンプルシフトに相当する。
第一に、上記式(11)のFIRタップrs=0におけるメモリタップls=0、+1、+2に相当するxu’(n−ls)を、アップサンプリングされていないDPD1の入力信号のサンプル信号列から生成する手段について説明する。
図2に、内挿補間型DA変換器2に内蔵された、2倍内挿用ハーフバンドFIRフィルタのタップ係数例を示す。
ハーフバンドFIRフィルタは、センタータップがiタップ目であり、タップ数が(2i−1)であり、タップ係数がC1 、C2 、・・・、Ci-1 、Ci 、Ci+1 、・・・、C2i-1であるとする。このハーフバンドFIRフィルタは、前述の通り、タップ係数の約半分がゼロに等しく、一般的に59タップ程度で構成される。尚、図示と説明の簡略化の為、図2中のタップは、センタータップと、センタータップ±5タップと、による11タップ分のみを示している。
図3に、内挿補間型DA変換器2における2倍内挿補間処理を図示化したタイミングチャート図を示す。
2倍内挿補間処理は、例えば、内挿前の信号を入力信号x(n)とすると、入力信号x(n)のサンプリング間にゼロ内挿(zero‐stuffing)した後、図2に示した2倍内挿用ハーフバンドFIRフィルタを通してイメージを除去して、2倍内挿補間後の出力信号xu(n)を得る処理である。
ここで、2倍内挿補間処理は、前述のように、内挿前のサンプリング間にゼロ内挿した後、ハーフバンドFIRフィルタを通す処理である。その為、内挿前のサンプルが存在する、あるサンプルタイミングnにおける2倍内挿補間後のサンプルxu(n)の導出には、内挿前のサンプル信号列に対して、上記2倍内挿用ハーフバンドFIRフィルタのセンタータップ係数Ciのみが有効係数となる。その為、xu(n)は、内挿前のサンプル信号列に対して次の式(12)で表現できる。
次に、2倍内挿補間後のサンプルタイミングn+1は、上記サンプルタイミングnとは異なり、内挿前のサンプルが存在しないサンプルタイミングである。その為、サンプルタイミングn+1におけるxu(n+1) の導出には、内挿前のサンプル信号列に対して、上記2倍内挿用ハーフバンドFIRフィルタのセンタータップ以外と係数ゼロのタップ以外との、(2i−1)タップ中のiタップのみが有効係数となる。その為、例えば、図2及び図3中の、説明上簡略化した11タップのタップ係数を用いれば、xu(n+1)は、内挿前のサンプル信号列に対して次の式(13)で表現できる。
更に、2倍内挿補間後のサンプルタイミングn−1も、上記サンプルタイミングnとは異なり、内挿前のサンプルが存在しないサンプルタイミングである。その為、サンプルタイミングn−1におけるxu(n−1) の導出には、内挿前のサンプル信号列に対して、上記2倍内挿用ハーフバンドFIRフィルタのセンタータップ以外と係数ゼロのタップ以外との、(2i−1)タップ中のiタップのみが有効係数となる。その為、例えば、図2及び図3中の、説明上簡略化した11タップのタップ係数を用いれば、xu(n−1)は、内挿前のサンプル信号列に対して次の式(14)で表現できる。
次に、図4に、上記式(13)及び式(14)に示した、アップサンプリングされていないサンプリングレートで動作するDPD1にとってのサブサンプルメモリタップ=±0.5を得る為の、疑似内挿フィルタ(図1中の疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101a、101bに相当)のタップ係数を求める手順を示す。
上記疑似内挿フィルタのタップ係数を求めることは、図1に示した2倍内挿用ハーフバンドFIRフィルタのタップ係数例に対して、図2に示した2倍内挿補間処理を実際に行うことが目的ではない。上記疑似内挿フィルタのタップ係数を求めることは、アップサンプリングされていないサンプリングレートで動作するDPD1にとってのサブサンプルメモリタップ=±0.5を得る為に、内挿前のDPD1の入力信号のサンプル信号列に対して、同内挿前のサンプリングタイミングで乗算する有効係数を求めることが目的である。
内挿前のサンプルが存在するサンプルタイミングにおいては、上記式(12)において、xu(n)=x(n)(すなわちCi=1.0)となるよう、全係数をセンタータップ係数Ciで正規化した上で、センタータップと係数ゼロのタップとを除く。これにより、内挿前のサンプリングタイミングで乗算するべきiタップの有効係数が得られる。この得られた有効係数が、アップサンプリングされていないサンプリングレートで動作するDPD1にとってのサブサンプルメモリタップ=±0.5を得る為の、iタップの疑似内挿フィルタのタップ係数となる。
従って、上記式(13)における全係数をセンタータップ係数Ciで正規化することで、疑似内挿信号xu’(n+1)は次の式(15)で表せる。更に、上記式(14)における全係数をセンタータップ係数Ciで正規化することで、疑似内挿信号xu’(n-1)は次の式(16)で表せる。
ここで、上記iタップの疑似内挿フィルタの処理遅延は、2倍内挿補間後のサンプリングで(i−1)サンプル、すなわち、アップサンプリングされていないサンプリングレートで動作するDPD1のサンプリング換算で(i/2−0.5)である。その為、上記疑似内挿フィルタを配置しないサブサンプルメモリタップ=0の経路において、入力に対してDPD1のサンプリングでi/2サンプル遅延させれば、上記疑似内挿フィルタを配置した経路の上記疑似内挿フィルタは、上記サブサンプルメモリタップ=0の経路に対して0.5サンプル早い、すなわちDPD1にとってのサブサンプルメモリタップ=−0.5を得る為の疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ(図1中の疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101aに相当)となる。また、入力に対してDPD1のサンプリングで1サンプル遅延させた後に上記疑似内挿フィルタを配置すれば、上記1サンプル遅延後に配置した上記疑似内挿フィルタは、上記サブサンプルメモリタップ=0の経路に対して0.5サンプル遅い、すなわちDPD1にとってのサブサンプルメモリタップ=+0.5を得る為の疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ(図1中の疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101bに相当)となる。
尚、上記疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタは、I相用タップ係数とQ相用タップ係数が同一で複素乗算を必要としない構成である。
以上より、上記疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタを配置した経路の各々において、アップサンプリングされていないサンプリングレートで動作するDPD1にとってのサブサンプルメモリタップ=±0.5が得られる。また、上記疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタを配置しないサブサンプルメモリタップ=0の経路を含めると、−0.5、0、+0.5のサブサンプルメモリタップを実現できる。この−0.5、0、+0.5のサブサンプルメモリタップは、上記式(6)における、2倍アップサンプリングされた後のメモリタップl=−1、0、+1に相当する。その為、上記式(6)から上記式(7)及び上記式(8)への置換と同様に、時間シフト量l に対してl=ls−1とする置換を行うことで、上記式(11)におけるメモリタップls=0、+1、+2に相当するxu’(n−ls)が得られる。
尚、上記疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタのタップ数を示すiは、内挿補間型DA変換器2における2倍内挿用ハーフバンドFIRフィルタの(2i−1)タップに対して想定されるタップ数の例示であるが、制限的なものではない。前述の通り、一般的な2倍内挿用ハーフバンドFIRフィルタが59タップである場合、上記の例に従えばi=30となる。しかし、実際には、上記疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタの回路規模を低減する目的から、性能に影響のない範囲で、上記疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタのタップ数iを小さくしてもよい。
第二に、上記式(11)における、アップサンプリングされていないサンプリングレートで動作するDPD1のサンプリングでの、サブサンプルFIRタップ=0、+0.5、+1、+1.5、+2を得る手段について説明する。
図5‐aに、遅延がサンプルに対して非整数、例えば、遅延が0.5サンプルである場合の0.5サンプル遅延フィルタのインパルス応答例を示す。
遅延τがサンプルに対して非整数の場合、インパルス応答s(n)は、次の式(17)の通り、有限(FIR)ではなく、無限(IIR:Infinite Impulse Response)となる。
従って、現実的な実装観点では、有限タップ数jで打ち切ってフィルタの回路規模を小さくすることになる。サブサンプル遅延IIRフィルタのタップを打ち切った際には、通過帯域内リップルが生じる。この過帯域内リップルを抑制する為、遅延させた点をセンターとした窓関数を掛ける処理が必要である。しかし、この処理に伴って、通過帯域が狭くなる為、タップ数と特性との間はトレードオフの関係となる。
図5‐bに、タップ係数を有限に制限し、窓関数を掛けて、0.5サンプル遅延フィルタをFIRフィルタで構成した場合の、タップ数jに対するフィルタ減衰量の周波数特性を示す。
サブサンプル遅延フィルタ(図1中のサブサンプル遅延フィルタ111に相当)は、上記800MHzキャリア帯域内の歪補償を目的とするフィルタである。その為、片側400MHzオフセット点での減衰量を0.5dB以下に抑えるとすると、サブサンプル遅延フィルタに必要なタップ数jの一例は14タップ以上となる。
但し、このサブサンプル遅延フィルタは、上記疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタとは異なり、単純にサブサンプル遅延を与えるフィルタである。その為、1つの経路に、jタップの0.5サンプル遅延フィルタを1つ備えれば、その後段に1サンプル遅延器を配置して1.5サンプル遅延も実現可能である。
ここで、上記jタップのサブサンプル遅延フィルタの処理遅延は、2倍内挿補間後のサンプリングで(j−1)サンプル、すなわち、アップサンプリングされていないサンプリングレートで動作するDPD1のサンプリング換算で(j/2−0.5)である。その為、上記サブサンプル遅延フィルタを配置しない経路において、FIRフィルタの入力に対してDPD1のサンプリングで(j/2−1)サンプル遅延させれば、この(j/2−1)サンプル遅延後の信号に対して、上記サブサンプル遅延フィルタを通過した後の信号は0.5サンプル遅延した信号となる。その為、上記サブサンプル遅延フィルタは、DPD1にとってのサブサンプルFIRタップ=+0.5を得る為のサブサンプル遅延フィルタとなる。
尚、上記サブサンプル遅延フィルタは、I相用タップ係数とQ相用タップ係数が同一で複素乗算を必要としない構成である。
上記サブサンプル遅延フィルタを配置した経路においては、上記サブサンプル遅延フィルタによって、上記(j/2−1)サンプル遅延後の信号に対して、0.5サンプル遅延した信号と、この0.5サンプル遅延した信号を更にDPD1のサンプリングで1サンプル遅延させて1.5サンプル遅延させた信号とを各々出力する。また、一方で、上記サブサンプル遅延フィルタを配置しない経路においては、DPD1のサンプリングで(j/2−1)サンプル遅延させた信号と、更にこの信号をDPD1のサンプリングで1サンプル及び2サンプル遅延させた信号とを各々出力する。これにより、上記(j/2−1)サンプル遅延後の信号に対して、DPD1のサンプリングにおける遅延量が0サンプル、0.5サンプル、1サンプル、1.5サンプル、及び2サンプルの信号を得ることができ、その結果、5タップの、サブサンプルFIRタップ=0、+0.5、+1、+1.5、+2を実現できる。この5タップによって、2倍のサンプリング周波数で動作するFIRタップrs=0、+1、+2、+3、+4に相当するFIRフィルタを、2倍アップサンプリングすることなく実現できる。
以上の通り、疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタを備えた係数量を削減した多項式構造と、サブサンプル遅延フィルタを備えたサブサンプルFIRフィルタと、により、上記式(11)に相当する信号を実現できる。
実際には、上記疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタと上記サブサンプル遅延フィルタの追加に伴って、上記疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタの、2倍内挿補間後のサンプリングでの遅延量(i−1)サンプルと、上記サブサンプル遅延フィルタを配置しない経路に追加した、DPD1のサンプリングでの(j/2−1)サンプル遅延を2倍内挿補間後のサンプリングに換算した遅延量(j−2)サンプルと、の合計遅延量(i−1)+(j−2)サンプルが、DPD1の入力信号の、あるサンプルタイミングnに対して、ls=0、rs=0においても加算される処理遅延となる。その為、上記式(11)は、次の式(18)となる。
更に式(18)を整理し、次の式(19)を得る。
すなわち、2倍アップサンプリングレートに置き換えた式(19)に相当する演算は、2倍アップサンプリングされていないサンプリングレートで動作するDPD1のサンプリングレートにおいては、次の式(20)を演算することによって実現できる。
尚、式(20)においても、上記式(8)と同様に、DPD1の入力信号に対するDPD1の出力信号の時間シフト量がゼロとなるls=1且つrs=2での多項式が、メモリレス多項式に相当する。
以上の通り、上記疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタを備えた多項式構造と、上記サブサンプル遅延フィルタを備えたFIRフィルタと、によって、アップサンプリングされていないDPD1の入力信号のサンプル信号列から、2倍アップサンプリングすることなく、上記式(20)を実現できることが確認された。
<実施の形態の構成>
本実施の形態に係るDPD1は、上記疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタを備えた多項式構造と、この多項式構造の後段に配置され、上記サブサンプル遅延フィルタを備えたFIRフィルタと、を備える構成である。この構成によって、以上で実現性を確認したように、アップサンプリングされていないDPD1の入力信号のサンプル信号列から、2倍アップサンプリングすることなく、上記式(20)を実現する。
前述の図1は、上記式(20)の演算を、例えばハードウェア機能で構成した場合の、本実施の形態に係るDPD1の一構成例を示したものである。以下、図1に示した本実施の形態に係るDPD1について具体的に説明する。
図1に示した本実施の形態に係るDPD1は、前述の通り、図14に示した歪補償装置におけるDPD1に相当する。図14は、本実施の形態で提案する歪補償装置の構成例を示している。図14に示した歪補償装置は、前述の通り、関連技術の歪補償装置におけるデバイス性能に関する上記第二の課題に対し、図8に示した内挿補間回路8を削除し、DPD用アップサンプリングを行わない構成である。
図1に示した本実施の形態に係るDPD1は、iタップのFIRフィルタで構成される疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101a、101bと、i/2サンプル遅延器102と、1サンプル遅延器103と、振幅アドレス演算回路104a、104b、104cと、LUT105a、105b、105cと、複素乗算器106a、106b、106cと、FIRフィルタ 107a、FIRフィルタ 107b、FIフィルタR 107cと、加算器108と、を備える。更に、FIRフィルタ 107a、FIRフィルタ 107b、FIRフィルタ 107cは各々いずれも、jタップのFIRフィルタで構成されるサブサンプル遅延フィルタ111と、(j/2−1)サンプル遅延器112と、1サンプル遅延器113a、113b、113cと、複素乗算器114a、114b、114c、114d、114eと、加算器115と、を備える。
図1に示した本実施の形態に係るDPD1は、DPD1の入力段から、3個の経路(第1経路)に並列に分岐され、3個の経路には各々、疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101a、i/2サンプル遅延器102、疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101bが配置される。
疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101a、101bは、自身に入力された信号のサンプル点とサンプル点との間に疑似的にサブサンプル点を内挿し、疑似的に内挿したサブサンプル点をサブサンプル分シフトさせるもので、疑似内挿 兼 サブサンプルシフト処理部の一例である。i/2サンプル遅延器102は、自身に入力された信号のサンプル点をi/2サンプル分遅延させるもので、第1遅延器の一例である。
疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101aの後段には、振幅アドレス演算回路104a、LUT105a、複素乗算器106a、及びFIRフィルタ 107aが配置される。i/2サンプル遅延器102の後段には、振幅アドレス演算回路104b、LUT105b、複素乗算器106b、及びFIRフィルタ 107bが配置される。疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101bの前段には、1サンプル遅延器103が配置され、疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101bの後段には、振幅アドレス演算回路104c、LUT105c、複素乗算器106c、及びFIRフィルタ 107cが配置される。1サンプル遅延器103は、自身に入力された信号のサンプル点を1サンプル分遅延させるものである。更に、FIRフィルタ 107a、FIRフィルタ 107b、及びFIフィルタR 107cの後段には、加算器108が配置される。加算器108は、第1加算器の一例である。尚、多項式構造とは、例えば、疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101aが配置された経路では、先頭から複素乗算器106aまでの構造と定義する。他の経路も同様である。
FIRフィルタ 107a、FIRフィルタ 107b、及びFIフィルタR 107cの各々は、自身のFIRフィルタの入力段から、2個の経路(第2経路)に並列に分岐され、2個の経路には各々、サブサンプル遅延フィルタ111、(j/2−1)サンプル遅延器112が配置される。
サブサンプル遅延フィルタ111は、自身に入力された信号のサンプル点をサブサンプル分遅延させるものである。(j/2−1)サンプル遅延器112は、自身に入力された信号のサンプル点を(j/2−1)サンプル分遅延させるもので、第2遅延器の一例である。
(j/2−1)サンプル遅延器112の後段には、直列に接続された1サンプル遅延器113a、113bが配置される。また、(j/2−1)サンプル遅延器112の後段には、1サンプル遅延器113aと並列に複素乗算器114aが配置され、1サンプル遅延器113aの後段には、1サンプル遅延器113bと並列に複素乗算器114bが配置され、1サンプル遅延器113bの後段には、複素乗算器114cが配置される。サブサンプル遅延フィルタ111の後段には、1サンプル遅延器113cが配置される。また、サブサンプル遅延フィルタ111の後段には、1サンプル遅延器113cと並列に複素乗算器114dが配置され、1サンプル遅延器113cの後段には、複素乗算器114eが配置される。1サンプル遅延器113a、113b、113cは、自身に入力された信号のサンプル点を1サンプル分遅延させるものである。更に、複素乗算器114a、114b、114c、114d、114eの後段には、加算器115が配置される。加算器115は、第2加算器の一例である。
以上説明した各遅延のサンプル量は、いずれもアップサンプリングされていないサンプリングレートで動作するDPD1のサンプリングレートでの値である。
また、図1中では、説明の簡略化の為、上記式(20)のメモリタップls の各項毎の、複素乗算器106a、106b、106cの出力における多項式
を、次の式(21)の通り、関数
に置き換えて表現している。
<実施の形態の動作>
以下、図1に示した本実施の形態に係るDPD1の動作について説明する。
あるサンプルタイミングのDPD1の入力信号x(n)に対して、疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101aによって、2倍内挿補間後のサンプリングで(i−1)サンプル遅延した2倍内挿信号xu’(n−i+1)に相当する、DPD1のサンプリングレートにおける
を生成する。
また、i/2サンプル遅延器102によって、2倍内挿補間後のサンプリングでiサンプル(=i/2×2サンプル)遅延した信号xu’(n−i)に相当する、DPD1のサンプリングレートにおける
を生成する。
更に、1サンプル遅延器103と疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101bとによって、2倍内挿補間後のサンプリングで(i+1)サンプル遅延した2倍内挿信号xu’(n−i−1)に相当する、DPD1のサンプリングレートにおける
を生成する。
このようにして、2倍内挿補間後のサンプリングで1サンプルずつ遅延させたことに相当する、
の各信号を生成する。
上記各信号は、振幅アドレス演算回路104a、104b、104cによって、この各信号の振幅
に相当するLUT用振幅アドレスが各々演算される。
上記2倍内挿補間後のサンプリングで1サンプルずつ遅延させたことに相当する各信号に対するLUT用振幅アドレスに基づいて、LUT105a、105b、105cが参照され、LUT用振幅アドレスに対応する各LUTの出力信号が得られる。そして、各LUTの出力信号と、上記2倍内挿補間後のサンプリングで1サンプルずつ遅延させたことに相当する各信号とが、複素乗算器106a、106b、106cによって複素乗算される。複素乗算器106a、106b、106cによる複素乗算の結果は、2倍内挿補間後のサンプリングにおけるメモリタップls =0、1、2の各項毎の多項式
として、各々FIRフィルタ 107a、FIRフィルタ 107b、FIRフィルタ 107cに入力される。FIRフィルタ 107aは、2倍内挿補間後のサンプリングにおけるメモリタップls =0に対応する。FIRフィルタ 107bは、2倍内挿補間後のサンプリングにおけるメモリタップls =1に対応する。FIRフィルタ 107cは、2倍内挿補間後のサンプリングにおけるメモリタップls =2に対応する。
FIRフィルタ 107a、FIRフィルタ 107b、及びFIRフィルタ 107cでは、各々入力された
に対して、2倍内挿補間後のサンプリングにおけるFIRタップrs =0、1、2、3、4に各々対応するように、以下の信号を各々出力する。
FIRタップrs =0においては、(j/2-1)サンプル遅延器112によって、2倍内挿補間後のサンプリングで(j−2)サンプル遅延した信号に相当する
を出力する。
FIRタップrs =1においては、jタップのFIRフィルタで構成されるサブサンプル遅延フィルタ111によって、2倍内挿補間後のサンプリングで(j−1)サンプル遅延した信号に相当する
を出力する。
FIRタップrs =2においては、(j/2-1)サンプル遅延器112の後段の1サンプル遅延器113aによって、2倍内挿補間後のサンプリングでjサンプル遅延した信号に相当する
を出力する。
FIRタップrs =3においては、サブサンプル遅延フィルタ111の後段の1サンプル遅延器113cによって、2倍内挿補間後のサンプリングで(j+1)サンプル遅延した信号に相当する
を出力する。
FIRタップrs =4においては、1サンプル遅延器113aの後段の1サンプル遅延器113bによって、2倍内挿補間後のサンプリングで(j+2)サンプル遅延した信号に相当する
を出力する。
以上、各メモリタップls に対応するFIRlsにおける、上記5タップ各々の出力を、メモリタップls (=0、1、2)、及びFIRタップrs (=0、1、2、3、4)を変数として一般化して表すと、
である。
即ち、上記2倍内挿補間後のサンプリングで1サンプルずつ遅延させたことに相当する各FIRタップrsの出力信号は、以下で表される。
各FIRタップrsの出力信号は、各々複素乗算器114a、114d、114b、114e、114cによって、各々FIRタップrs =0、1、2、3、4に対応したフィルタ(複素)係数Wls,0、Wls,1、Wls,2、Wls,3、Wls,4が各々複素乗算される。その後、複素乗算器114a、114d、114b、114e、114cで各々複素乗算された信号は、加算器115で加算される。加算器115で加算された信号は、各メモリタップls に対する
として、FIRフィルタ 107a、FIRフィルタ 107b、及びFIRフィルタ 107cから各々出力される。
このとき、メモリタップls =0に対応するFIRフィルタ 107aの出力信号は以下となる。
また、メモリタップls =1に対応するFIRフィルタ 107bの出力信号は以下となる。
また、メモリタップls =2に対応するFIRフィルタ 107cの出力信号は以下となる。
FIRフィルタ 107a、FIRフィルタ 107b、及びFIRフィルタ 107cの出力信号は、最終的に加算器108で加算され、上記式(20)で表現される、係数量を削減した多項式としてDPD1から出力される。
ここで、疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101a,101bのタップ係数、及びサブサンプル遅延フィルタ111のタップ係数は、前述の通り、既知の固定係数であり、変更の必要はない。
また、i/2サンプル遅延器102は、疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101a,101bのタップ数iによって決まる固定遅延器である。同様に、(j/2-1)サンプル遅延器112は、サブサンプル遅延フィルタ111のタップ数jによって決まる固定遅延器である。
従って、図1に示した本実施の形態に係るDPD1において、適応制御によって導出し更新する必要のある、LUT105a、105b、105cにおける、べき級数係数量及びFIRフィルタ 107a、FIRフィルタ 107b、FIRフィルタ 107cのタップ係数量は、関連技術と比較して、係数量を30%削減した上記式(8)及び図11に示した構成における係数量と同一である。
<実施の形態の効果>
図6に、図14に示した、DPD用アップサンプリングを行わない構成の歪補償装置におけるDPD1に、上記式(8)及び図11の構成を適用した場合の歪補償特性を示す。
図6の例では、サンプリング周波数983.04MHzのシステム帯域800MHzの信号を、アップサンプリングすることなくDPD1の入力信号とし、上記式(8)及び図11の構成を適用して、次の式(22)を誤差評価関数とする適応制御によって、DPD1を動作させる。図6に示した特性は、このときのDPD1の出力信号を、内挿補間型DA変換器2で内挿補間した後、上記電力増幅器の一般化メモリ多項式モデルに入力した歪補償特性である。
尚、式(22)は、DPD用アップサンプリングを行わない構成に伴い、図14に従って、上記式(10)のxu(n)をx(n)に、zu(n)をz(n)に、各々置き換えたものである。
上記式(8)及び図11の構成では、DPD1の後段の内挿補間型DA変換器2によって内挿補間される内挿前のサンプリングレートで動作するDPD1にとっては、サブサンプルに対するキャリア帯域内のメモリ効果を補償する歪補償信号が生成できない。その為、特に、キャリア帯域内の歪によるキャリア信号とのエラーは、図12に示したDPD1を動作させない場合の平均値23.6dBcに対して、平均値41.1dBcまでしか抑圧できていない。また、ピーク値では、上記256QAM時のキャリア帯域内のSNR配分の目標を満足できていない。
図7に、本実施の形態で提案する、図14に示した、DPD用アップサンプリングを行わない構成の歪補償装置におけるDPD1に、上記式(20)及び図1の構成を適用した場合の歪補償特性を示す。
図7の例では、サンプリング周波数983.04MHzのシステム帯域800MHzの信号を、アップサンプリングすることなくDPD1の入力信号とし、上記式(20)及び図1の構成を適用して、上記式(22)を誤差評価関数とする適応制御によって、DPD1を動作させる。図7に示した特性は、このときのDPD1の出力信号を、内挿補間型DA変換器2で内挿補間した後、上記電力増幅器の一般化メモリ多項式モデルに入力した歪補償特性である。
上記式(20)及び図1の説明で示したように、疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101a、101bで実現したサブサンプルメモリタップと、サブサンプル遅延フィルタ111で実現したサブサンプルFIRタップとにより、DPD1にとってのサブサンプルに対するキャリア帯域内のメモリ効果を補償する歪補償信号を生成することが可能となる。その為、キャリア帯域内の歪によるキャリア信号とのエラーは、図12に示したDPDを動作させない場合の平均値23.6dBcに対して、平均値45.5dBcまで抑圧できていることがわかる。また、ピーク値を含めて、上記256QAM時のキャリア帯域内のSNR配分の目標を達成する補償性能が得られることがわかる。
上述したように、本実施の形態に係るDPD1は、DPD1前段でDPD用アップサンプリングされていない入力信号をサンプリングする低サンプリングレートで動作することを前提とする。
本実施の形態に係るDPD1は、疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ101a、101bを備えた多項式構造を用いることにより、例えば、係数量を削減した上記式(8)及び図11における2倍アップサンプリング後の信号xu(n−ls)に相当する信号を、アップサンプリングされていないDPD1の入力信号のサンプル信号列から生成することができる。
また、本実施の形態に係るDPD1は、多項式構造の後段に配置された、サブサンプル遅延フィルタ111を備えたFIRフィルタ 107a、FIRフィルタ 107b、FIRフィルタ 107cを用いることにより、例えば、図11における、2倍のサンプリング周波数で動作するFIRフィルタ 405a、FIRフィルタ 405b、FIRフィルタ 405cと等価なFIRフィルタを実現することができる。
そのため、本実施の形態に係るDPD1は、上記多項式構造及びFIRフィルタ 107a、FIRフィルタ 107b、FIRフィルタ 107cを用いることにより、サンプル点による歪を補償するだけでなく、DPD1にとってのサンプル点とサンプル点との間のサブサンプル点による歪についても補償する構成となる。
従って、本実施の形態に係る歪補償装置は、DPD1の前段でのDPD用アップサンプリング処理を行わず、低サンプリングレートで動作する歪補償装置でありながらも、関連技術のアップサンプリング型歪補償装置と比較して、係数演算量を削減し、且つ、DPD1の動作周波数と、DA変換器2及びAD変換器7のサンプリングレートと、を低減することが可能となる。更に、DPD1のサンプル点とサンプル点の間のサブサンプルメモリタップによるキャリア帯域内のメモリ効果を補償することが可能となるため、目標の補償性能を達成することが可能となる。
以上、実施の形態を参照して本発明における様々な観点を説明したが、本発明は上記によって限定されるものではない。本発明の各観点における構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
例えば、上記実施の形態で示したメモリタップls の個数、及びFIRタップrs の個数は例示であって制限的なものではない。例えば、上記実施の形態では、7次メモリ多項式モデルを近似する例として、メモリタップls の個数を3個、FIRタップrs の個数を5個としたが、メモリタップls の個数を5個、FIRタップrs の個数を3個として、7次メモリ多項式モデルを近似してもよい。また、回路規模と係数演算量の増加を許容すれば、上記タップ数を増加させた構成としてもよい。
また、上記実施の形態で示した、疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタを備えた多項式構造は例示であって制限的なものではない。例えば、上記式(20)に示した多項式構造に関して、信号
と、LUT出力
とを、メモリタップls の値が異なる項同士で複素乗算する構成、すなわちクロスタームの複素乗算をする構成としてもよい。
1 DPD(デジタルプリディストータ)
2 DA(デジタル/アナログ)変換器
3 送信アップコンバータ
4 電力増幅器
5 方向性結合器
6 帰還ダウンコンバータ
7 AD(アナログ/デジタル)変換器
101a、101b 疑似内挿 兼 サブサンプルシフトフィルタ
102 i/2サンプル遅延器
103 1サンプル遅延器
104a、104b、104c 振幅アドレス演算回路
105a、105b、105c LUT(ルックアップテーブル)
106a、106b、106c 複素乗算器
107a FIRフィルタ
107b FIRフィルタ
107c FIRフィルタ
108 加算器
111 サブサンプル遅延フィルタ
112 (j/2-1)サンプル遅延器
113a、113b、113c 1サンプル遅延器
114a、114b、114c、114d、114e 複素乗算器
115 加算器
201、202 ハーフバンドフィルタ
203、204 ハーフバンドフィルタ
205 NCO(数値制御発振器)
206、207 複素乗算器
208 加算器
209 DA変換部

Claims (10)

  1. 電力増幅器の非線形歪を補償する歪補償装置であって、
    前記電力増幅器の出力信号を帰還させてAD(アナログ/デジタル)変換し、AD変換した信号をフィードバック信号として出力するAD変換器と、
    入力信号に対し、前記フィードバック信号を用いて、歪補償処理を行い、歪補償処理を行った信号を出力するデジタルプリディストータと、
    前記デジタルプリディストータと前記電力増幅器との間に設けられ、前記デジタルプリディストータの出力信号をDA(デジタル/アナログ)変換し、DA変換した信号を前記電力増幅器に出力するDA変換器と、を備え、
    前記デジタルプリディストータは、
    前記デジタルプリディストータの前段でアップサンプリングされていない前記入力信号をサンプリングするサンプリングレートで動作し、
    前記入力信号のサンプル点とサンプル点との間に疑似的にサンプル点を内挿し、疑似的に内挿したサンプル点をサブサンプル分シフトさせる疑似内挿 兼 サブサンプルシフト処理部を含む多項式構造と、
    前記多項式構造の後段に設けられ、前記入力信号のサンプル点をサブサンプル分遅延させるサブサンプル遅延フィルタを含むFIR(Finite Impulse Response)フィルタと、を備え、
    前記多項式構造及び前記FIRフィルタを用いて、前記入力信号のサンプル点による歪を補償すると共に、前記デジタルプリディストータにとっての前記入力信号のサンプル点とサンプル点との間のサブサンプル点による歪を補償する、
    歪補償装置。
  2. 前記デジタルプリディストータは、
    複数の前記FIRフィルタと、
    複数の前記FIRフィルタの各々の出力信号を加算して出力する第1加算器と、を備え、
    前記デジタルプリディストータの入力段から、前記多項式構造の複数の第1経路が並列に分岐され、複数の前記第1経路の各々の後段に複数の前記FIRフィルタが配置され、複数の前記FIRフィルタの後段に前記第1加算器が配置された構成であり、
    前記疑似内挿 兼 サブサンプルシフト処理部は、前記第1経路に配置される、
    請求項1に記載の歪補償装置。
  3. 複数の前記第1経路は、
    前記疑似内挿 兼 サブサンプルシフト処理部が配置された前記第1経路と、
    前記疑似内挿 兼 サブサンプルシフト処理部が配置されていない前記第1経路と、を含む、
    請求項2に記載の歪補償装置。
  4. 前記疑似内挿 兼 サブサンプルシフト処理部は、固定のタップ係数を持つフィルタであり、
    前記疑似内挿 兼 サブサンプルシフト処理部が配置されていない前記第1経路には、前記疑似内挿 兼 サブサンプルシフト処理部のタップ数によって決まる遅延量を持つ第1遅延器が配置される、
    請求項3に記載の歪補償装置。
  5. 複数の前記FIRフィルタの各々は、当該FIRフィルタの入力段から、複数の第2経路が並列に分岐された構成であり、
    前記サブサンプル遅延フィルタは、前記第2経路に配置される、
    請求項2から4のいずれか1項に記載の歪補償装置。
  6. 複数の前記第2経路は、
    前記サブサンプル遅延フィルタが配置された前記第2経路と、
    前記サブサンプル遅延フィルタが配置されていない前記第2経路と、を含む、
    請求項5に記載の歪補償装置。
  7. 前記サブサンプル遅延フィルタは、固定のタップ係数を持つフィルタであり、
    前記サブサンプル遅延フィルタが配置されていない前記第2経路には、前記サブサンプル遅延フィルタのタップ数によって決まる遅延量を持つ第2遅延器が配置される、
    請求項6に記載の歪補償装置。
  8. 複数の前記FIRフィルタの各々は、
    前記入力信号のサンプル点を1サンプル分遅延させる1サンプル遅延器を備え、
    前記サブサンプル遅延フィルタが配置された前記第2経路では、前記1サンプル遅延器は、前記サブサンプル遅延フィルタの後段に配置され、
    前記サブサンプル遅延フィルタが配置されていない前記第2経路では、前記1サンプル遅延器は、前記第2遅延器の後段に配置される、
    請求項7に記載の歪補償装置。
  9. 複数の前記FIRフィルタの各々は、
    前記サブサンプル遅延フィルタ、前記第2遅延器、前記1サンプル遅延器の各々の出力信号を、対応するフィルタ係数と乗算する複数の乗算器と、
    複数の前記乗算器の各々の出力信号を加算して出力する第2加算器と、を備える、
    請求項8に記載の歪補償装置。
  10. 電力増幅器の非線形歪を補償する歪補償装置による歪補償方法であって、
    デジタルプリディストータにおいて、入力信号に対し、前記電力増幅器の出力信号を帰還させてAD(アナログ/デジタル)変換したフィードバック信号を用いて、歪補償処理を行い、歪補償処理を行った信号を出力し、
    前記デジタルプリディストータの出力信号をDA(デジタル/アナログ)変換し、DA変換した信号を前記電力増幅器に出力し、
    前記デジタルプリディストータは、
    前記デジタルプリディストータの前段でアップサンプリングされていない前記入力信号をサンプリングするサンプリングレートで動作し、
    前記入力信号のサンプル点とサンプル点との間に疑似的にサンプル点を内挿し、疑似的に内挿したサンプル点をサブサンプル分シフトさせる疑似内挿 兼 サブサンプルシフト処理部を含む多項式構造と、
    前記多項式構造の後段に設けられ、前記入力信号のサンプル点をサブサンプル分遅延させるサブサンプル遅延フィルタを含むFIR(Finite Impulse Response)フィルタと、を備え、
    前記多項式構造及び前記FIRフィルタを用いて、前記入力信号のサンプル点による歪を補償すると共に、前記デジタルプリディストータにとっての前記入力信号のサンプル点とサンプル点との間のサブサンプル点による歪を補償する、
    歪補償方法。
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