JP2016031783A - リチウムイオン二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】活物質粒子の層の密着性確保
【解決手段】リチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、以下の工程1〜8を含んでいる。1.集電体11を用意する工程:2.活物質粒子と第1バインダとを含む造粒粒子の粉体13を用意する工程:3.第2バインダを溶媒中に含むバインダ溶液12を用意する工程:4.集電体11の予め定められた領域にグラビアロール22aよりバインダ溶液12を塗る工程:5.バインダ溶液12が塗られた領域からはみ出すように、集電体11の上に供給装置24造粒粒子の粉体13を供給する工程:6.集電体11の上に供給された造粒粒子の粉体13をステージ25で均す工程:7.均された造粒粒子の粉体13をプレスローラ26,27でプレスする工程:8.バインダ溶液12が塗られた領域からはみ出た領域において、クリーナ28で造粒粒子の粉体13を除去する工程
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法に関する。本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な電池一般をいう。「リチウムイオン二次電池」は、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。リチウムイオン二次電池は、電解質塩を溶解した非水溶媒からなる非水電解質が用いられた非水電解質二次電池の一種である。
例えば、特開2014−78497号公報には、集電体の上に、バインダ溶液を塗布し、活物質粒子及びバインダを含有する合剤粒子の粉体を供給して、集電体の上に活物質粒子の層を形成する工程を含むリチウムイオン二次電池の電極の製造方法が提案されている。
また、特開2010―277798号公報には、集電体を切断する領域にマスキングテープを予め貼り付けた金属箔からなる集電体の上に、活物質と結着剤とを含む電極合剤を塗布し、乾燥させ、圧延した後で、マスキングテープを切断し剥離する電極の製造方法が提案されている。
特開2014−78497号公報 特開2010−277798号公報
ところで、特許文献1に開示されるように、集電体の上に活物質粒子の層を形成した場合、活物質粒子の層の端部で、活物質粒子の層の厚さが徐々に低くなる傾向があるとともに、当該端部では、活物質粒子の層の強度および剥離強度が弱い傾向がある。
ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、以下の工程を含んでいる。
1.集電体を用意する工程
2.活物質粒子と第1バインダとを含む造粒粒子の粉体を用意する工程
3.第2バインダを溶媒中に含むバインダ溶液を用意する工程
4.集電体の予め定められた領域にバインダ溶液を塗る工程
5.バインダ溶液が塗られた領域からはみ出すように、集電体の上に造粒粒子の粉体を供給する工程
6.集電体の上に供給された造粒粒子の粉体を均す工程
7.均された造粒粒子の粉体をプレスする工程
8.バインダ溶液が塗られた領域からはみ出た領域において、造粒粒子の粉体を除去する工程
この場合、集電体の上に活物質粒子の層が形成されるが、形成される活物質粒子の層は、端部の強度の弱い部分が除去される。集電体の上に残った活物質粒子の層は、端部の強度が他の領域と同程度に向上した電極が得られる。
ここで、集電体が帯状であってもよい。この場合、帯状の集電体を長さ方向に沿って搬送する工程を備えているとよい。そして、バインダ溶液を塗る工程では、集電体の幅方向において予め定められた領域にバインダ溶液を塗るとよい。また、造粒粒子の粉体を供給する工程では、集電体の幅方向において、バインダ溶液が塗られた領域からはみ出すように、集電体の上に粉体が供給されるとよい。
また、造粒粒子の粉体を均す工程では、例えば、造粒粒子の平均粒径の30個分の距離よりも長い距離、バインダ溶液が塗られた領域から造粒粒子の粉体をはみ出させるとよい。この場合、形成される活物質粒子の層の端部の強度が向上したリチウムイオン二次電池用電極がより確実に得られる。
図1は、製造装置10を示す模式図である。 図2は、造粒粒子13aを模式的に示す図である。 図3は、領域Aと、領域Bを示す平面図である。 図4は、集電体11の幅方向の断面において、スキージ後の粉体13の端部を示す断面図である。 図5は、バインダ溶液12が塗布される領域A、粉体13が供給される領域Bを模式的に示す平面図である。 図6は、粉体13が除去された状態を示す集電体11の幅方向の断面図である。 図7は、活物質粒子13a1の層について、幅方向の端から内側に向けて強度を測定した測定結果を示すグラフである。
以下、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法についての一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。また、各図は、模式的に描かれている。例えば、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、実際の寸法関係を反映するものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号が付されており、重複する説明は適宜に省略または簡略化されている。
《製造装置10》
図1は、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法を具現化する製造装置10を示す模式図である。ここで、製造装置10は、図1に示すように、搬送装置21と、塗布装置22と、供給装置24と、スキージ25と、プレスローラ26,27と、クリーナ28とを備えている。図中の矢印Fは、適宜、搬送方向を示している。ここで、搬送装置21は集電体11を搬送する装置である。塗布装置22は、バインダ溶液12を塗布する装置である。供給装置24は、造粒粒子13a(図2参照)の粉体13を供給する装置である。製造装置10を構成するこれらの装置については、後述する。ここで、図2は、造粒粒子13aを模式的に示す図である。
《リチウムイオン二次電池用電極の製造方法》
ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、以下の工程1〜8を含んでいる。
1.集電体11を用意する工程
2.活物質粒子13a1と第1バインダ13a2とを含む造粒粒子13aの粉体13を用意する工程
3.第2バインダを溶媒中に含むバインダ溶液12を用意する工程
4.集電体11の予め定められた領域にバインダ溶液12を塗る工程
5.バインダ溶液12が塗られた領域からはみ出すように、集電体11の上に造粒粒子の粉体13を供給する工程
6.集電体11の上に供給された造粒粒子の粉体13を均す工程
7.均された造粒粒子の粉体13をプレスする工程
8.バインダ溶液12が塗られた領域からはみ出た領域において、造粒粒子の粉体13を除去する工程
ここで、用意される集電体11は、図1に示すように、帯状の材料であってもよい。この場合、帯状の集電体11を長さ方向に沿って搬送する工程を備えているとよい。そして、バインダ溶液12を塗る工程では、帯状の集電体11の幅方向において予め定められた領域にバインダ溶液12を塗るとよい。また、造粒粒子の粉体13を供給する工程では、集電体11の幅方向において、バインダ溶液12が塗られた領域からはみ出すように、集電体11の上に粉体13が供給されるとよい。以下、より具体的に説明する。
《集電体11を用意する工程》
工程1では、集電体11が用意される。ここで用意される集電体11は、電極において電気が取り出される部材である。例えば、リチウムイオン二次電池に用いられる集電体11には、電子伝導性に優れ、電池内部で安定に存在する材料が用いられる。また、軽量化や所要の機械強度や加工のしやすさなどが求められる。例えば、リチウムイオン二次電池の正極には、集電体11としてアルミニウム箔が用いられる。また、負極には、集電体11として銅箔が用いられる。図1に示す例では、集電箔として、帯状の金属箔(具体的には、アルミニウム箔(厚さ15μm)または銅箔(厚さ10μm))が、図示は省略するが、巻芯に巻かれた状態で用意されている。
そして、図1に示された製造装置10では、帯状の集電体11を長さ方向に沿って搬送する工程を備えている。ここでは、帯状の集電箔11が、搬送装置21によって、予め定められた搬送経路に沿って搬送されている。かかる帯状の集電箔11は、図1に示すように、ロールtoロールによって、搬送しつつ、所定の処理を施すのに向いている。なお、集電体は金属箔に限定されない。例えば、製造される電極の用途によっては、集電体11は、導電性を有する樹脂フィルムでもよい。また、ここで「用意する」とは、例えば、適宜、所要の材料を材料メーカーから集電体11を入手することでもよい。
《造粒粒子13aを用意する工程》
工程2では、造粒粒子13aが用意される。ここで用意される造粒粒子13aは、図2に示すように、活物質粒子13a1と、バインダ13a2とを少なくとも含んでいるとよい。かかる造粒粒子13aの粉体13は、例えば、活物質粒子13a1とバインダ13a2とを溶媒に混ぜ合わせた合剤(懸濁液)を、スプレードライ製法で造粒することによって得られる。スプレードライ製法では、合剤が乾燥雰囲気中に噴霧される。この際、噴霧される液滴に含まれる粒子が概ね1つの塊になって造粒される。このため、液滴の大きさによって、造粒粒子13aに含まれる固形分量が変わり、造粒粒子13aの大きさや質量などが変わる。
噴霧される液滴には、活物質粒子13a1とバインダ13a2とが少なくとも含まれているとよい。噴霧される液滴には、活物質粒子13a1とバインダ13a2以外の材料が含まれていてもよく、例えば、導電材が含まれていてもよい。ここで用意される造粒粒子13aは、例えば、平均粒径が凡そ60μm〜100μmであるとよい。なお、本明細書中において「平均粒径」とは、特記しない限り、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布における積算値50%での粒径、すなわち50%体積平均粒子径を意味するものとする。より具体的には、レーザ回析・散乱式粒度分布測定装置(例えば、「マイクロトラックMT−3200II」、日機装株式会社製)を用い、圧縮空気による粒子分散は行わず、乾式測定した50%体積平均粒子径を採用するとよい。
〈活物質粒子13a1〉
ここで提案される電極の製造方法は、種々の電極に適用できる。例えば、リチウムイオン二次電池では、正極用の電極および負極用の電極の何れにも適用できる。造粒粒子13aに含まれる活物質粒子13a1は、作製される電極によって異なる。例えば、活物質粒子13a1には、リチウムイオン二次電池の正極用の電極を製造する場合には、当該正極に用いられる活物質粒子が用いられる。また、リチウムイオン二次電池の負極用の電極を製造する場合には、当該負極に用いられる活物質粒子が用いられる。
〈リチウムイオン二次電池の正極に用いられる活物質粒子の例〉
ここでは、リチウムイオン二次電池を例に挙げる。リチウムイオン二次電池の正極に用いられる活物質粒子13a1の好適例として、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)や、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩などが、挙げられる。これらは、粒子形態で使用され、適宜に、正極活物質粒子と称される。正極活物質粒子は、一種または二種以上を用いてもよい。これらの正極活物質粒子は導電性が低いので、正極活物質層には導電性を高めるために導電材が含まれている。この場合、導電材は、スプレードライで噴霧される液滴中に含められているとよい。
〈リチウムイオン二次電池の負極に用いられる活物質粒子の例〉
リチウムイオン二次電池の負極に用いられる活物質粒子の好適例としては、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物などが挙げられる。これらは、粒子形態で使用され、適宜に、負極活物質粒子と称される。負極活物質粒子は、一種または二種以上を用いてもよい。負極活物質層には、導電性を高めるために導電材が含まれていてもよく、この場合、導電材は、スプレードライで噴霧される液滴中に含められているとよい。
〈導電材(導電補助剤)〉
導電材としては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイトなどの粉末を用いることができる。かかる導電材は、活物質粒子13a1と集電箔11との導電パスを形成する上で、導電性が乏しい活物質粒子13a1を用いる場合に好適に添加される。
〈バインダ13a2〉
次に、造粒粒子13aを用意する工程において、造粒粒子13aに含ませるバインダ13a2を説明する。ここで造粒粒子13aは、好適には、スプレードライ製法で造粒される。このため、造粒粒子13aに含ませるバインダ13a2には、溶媒に溶解または分散可能なポリマーが用いられる。水性溶媒に溶解または分散可能なポリマーとしては、例えば、ゴム類(スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)など)、酢酸ビニル共重合体、アクリレート重合体などが挙げられる。また、非水溶媒に溶解または分散可能なポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が挙げられる。また、造粒粒子13aに含ませるバインダ13a2として、セルロース系ポリマー、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))などを用いてもよい。なお、ここでは、造粒粒子13aに含ませるバインダ13a2を例示しているが、造粒粒子13aに含ませるバインダ13a2は、ここに例示されるものに限定されない。
《バインダ溶液12を用意する工程》
工程3では、バインダ溶液12が用意される。ここで用意されるバインダ溶液12は、溶媒にバインダ(第2バインダ)を混ぜた溶液である。バインダ溶液12の溶媒としては、環境負荷を軽減するとの観点において、いわゆる水系の溶媒が好適に用いられる。この場合、水または水を主体とする混合溶媒が用いられる。また、バインダ溶液12の溶媒は、いわゆる水系の溶媒に限定されず、いわゆる有機溶剤系であってもよい。有機溶剤系のものとしては、例えばN−メチルピロリドン(NMP)などが挙げられる。
また、バインダ溶液12に含まれるバインダ(第2バインダ)としては、溶媒に分散し得るものが好ましい。本形態においては、溶媒が水系のものであるため、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)などが好ましい。また、溶媒として有機溶剤系のものを用いた際には、バインダとして、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリル酸(PAA)などを好ましく用いることができる。バインダ溶液12の好適例としては、例えば、リチウムイオン二次電池の正極では、水を溶媒とし、バインダとしてのアクリル樹脂(例えば、ポリメタクリル酸エステル樹脂)を混ぜるとよい。また、リチウムイオン二次電池の負極では、水を溶媒とし、バインダとしてのSBRを混ぜるとよい。
《バインダ溶液12を塗布する工程》
工程4では、集電体11の上にバインダ溶液12が塗布される。バインダ溶液12は、例えば、予め定められたパターンで集電体11に塗布されるとよい。ここでは、集電体11に予め定められた領域にバインダ溶液12が塗られる。ここで、図3は、バインダ溶液12が塗られる領域Aと、後述するスキージ後に造粒粒子13aの粉体13が供給される領域Bを例示している。ここでは、図3に示すように、帯状の集電体11を長さ方向に沿って搬送する工程を備えている。この場合、バインダ溶液12を塗る工程では、帯状の集電体11の幅方向において予め定められた領域Aにバインダ溶液12を塗るとよい。
バインダ溶液12は、例えば、1〜20μm程度に薄く塗られているとよく、グラビア印刷などで塗布されるとよい。例えば、塗布装置22には、ダイレクトグラビアロールコーター(direct gravure roll coater)が用いられうる。かかる塗布装置22では、微細なパターンが表面に彫刻されたグラビアロール22aを用いたダイレクトグラビアによって、バインダ溶液12が集電体11に転写される。グラビアロール22aは、例えば、版の深さが凡そ10μm〜30μm(例えば、20μm)、回転軸に対して傾いた斜線に沿った幅が50μm、ピッチが200μmの複数の溝を有しているとよい。また、グラビアロール22aに形成される溝のパターンは、横縞状、格子状でもよい。図示は省略するが、格子状は、例えば、斜線を格子状に組み合わせたパターンでもよい。また、横縞状は、帯状の集電体11の幅方向に沿って、また長さ方向に予め定められた間隔でバインダ溶液12が塗布されているとよい。グラビアロール22aの溝の幅やピッチは、種々変更してもよい。
図1に示す例では、搬送装置21において、バインダ溶液12が塗布される処理面(活物質粒子13a1の層14(図6参照)が形成される面)を下に向けて、帯状の集電体11を搬送し、当該集電体11にグラビアロール22aを当てるとよい。グラビアロール22aの下側は、貯留槽22bに貯められたバインダ溶液12に浸かっている。また、グラビアロール22aが集電体11に当たる面の裏側にはバックロール22cが当てられている。これにより、貯留槽22bに貯められたバインダ溶液12は、グラビアロール22aを通じて集電体11に連続して転写される。バインダ溶液12は、例えば、凡そ1μm〜10μmの厚さで集電体11に塗るとよい。
《粉体13を供給する工程》
工程5では、集電箔11の上に造粒粒子13aの粉体13が供給される。図1に示す例では、集電箔11(帯状の集電箔)は、搬送装置21の搬送ローラ21aに沿って転回され、バインダ溶液12が塗布された処理面を上に向けて搬送される。集電箔11の搬送経路には、供給装置24と、スキージ25と、プレスローラ26,27が順に配置されている。
〈供給装置24〉
造粒粒子13aの粉体13は、供給装置24によって集電箔11の上に供給される。ここでは、供給装置24は、造粒粒子13aの粉体13を貯留するホッパー24aを備えている。ホッパー24aは、図示は省略するが、造粒粒子13aの粉体13を供給する量を調整する調整装置を備えているとよい。この場合、ホッパー24aは、例えば、集電箔11の搬送速度などに応じて粉体13の供給量を調整し、適当な量の粉体13を集電箔11の上に供給するとよい。また、この実施形態では、造粒粒子の粉体13を供給する工程では、帯状の集電体11の上に造粒粒子13aの粉体13が供給される。
この工程5では、次の工程6で、供給された造粒粒子13aの粉体13が均された後において、バインダ溶液12が塗られた領域Aからはみ出すように、集電体11の上に所定量の粉体13が供給されるとよい。造粒粒子13aの粉体13は、さらに次の工程7においてプレスされ、結果的に、集電体11の幅方向において、バインダ溶液12が塗られた領域Aからはみ出し、予め定められた領域Bに至る(図3参照)。ここで、粉体13が領域Aからはみ出す領域Bは、プレス後の粉体13の幅で規定される。このように、プレス後において、造粒粒子13aの粉体13が、バインダ溶液12が塗られた領域Aからはみ出し、予め定められた領域Bに至るように、造粒粒子13aの粉体13が集電体11の上に供給される量が設定されているとよい。
《粉体13を均す工程》
工程6では、集電箔11の上に供給された造粒粒子13aの粉体13が均される。かかる工程では、例えば、集電箔11に供給された粉体13の厚さが均一に整えられる。この実施形態では、供給装置24の下流側(集電箔の搬送経路における下流側)にスキージ25が設けられている。スキージ25は、集電箔11の上に供給された粉体13の厚さを調整する。例えば、スキージ25と搬送される集電箔11との間には間隙があり、かかる間隙に応じて通過する粉体13の厚さが調整される。この実施形態では、スキージ25は、ロール状の部材である。なお、スキージ25は、ブレード状の部材でもよい。スキージ25と搬送される集電箔11との間隙は、造粒粒子13aの粒径および目付量(設計目付量)にもよるが、例えば、凡そ100μm〜300μm程度(好適例としては、凡そ150μm〜250μm程度)に調整するとよい。
この実施形態では、集電体11の上に供給された粉体13の厚さが均一に整えられる。ここで、図4は、集電体11の幅方向の断面において、スキージ後の粉体13の端部を示す断面図である。図5は、かかる製造方法において、バインダ溶液12が塗布される領域A、粉体13が供給される領域Bを模式的に示す平面図である。ここで、図4および図5に示すように、バインダ溶液12が塗られた領域Aおよび領域Aからすこしはみ出した領域13Aにおいて、集電体11の上に粉体13の厚さが均一に整えられるとよい。当該領域13Aをスキージによって、集電箔11に供給された粉体13の厚さが均一に整えられた(均された)場合、集電体11の上に粉体13の厚さが均一に整えられた領域13Aの外側の領域13Bでは、粉体13の厚さが徐々に低くなる。換言すれば、集電体11の幅方向において、粉体13の厚さが均一に整えられた(均された)外側における粉体13の端部13Bでは、粉体13の厚さが徐々に低くなる。
《均された粉体13をプレスする工程》
工程7では、均された造粒粒子13aの粉体13がプレスされ、集電箔11に押し付けられる。この実施形態では、プレスローラ26,27は、帯状の集電箔11が搬送される搬送経路において、造粒粒子13aの粉体13と集電箔11とを挟む部材である。この場合、集電箔11に堆積させる粉体13の厚さを考慮して、プレスローラ26,27の間隙を調整するとよい。これによって、適当な強さで造粒粒子13aの粉体13が集電箔11に押し付けられる。かかる工程によって、造粒粒子13aの粉体13中で、活物質粒子13a1および集電体11に対するバインダ13a2の接触箇所が増え、造粒粒子13aから成形された活物質粒子13a1の層14に所要の強度および密着力が得られる。なお、かかるプレス工程において、造粒粒子13aは必ずしも維持されず、プレス後において、粉体13は、造粒粒子13aが崩れた活物質粒子13a1の層14になっている場合がある。したがって、プレス後の粉体13の層は、適宜に、活物質粒子13a1の層14と称する。
なお、図4および図5に示すように、スキージ25(図1参照)によって、バインダ溶液12が塗られた領域Aおよび領域Aからすこしはみ出す領域13Aにおいて、集電体11の上に粉体13の厚さが均一に整えられる。さらに集電体11の幅方向の外側における粉体13の端部13Bでは、粉体13の厚さが徐々に低くなる。ここで、厚さが徐々に低くなった粉体13の端部13Bでは、プレス後における活物質粒子13a1の層14の強度および密着力が、集電体11の幅方向の内側で厚さが均一な領域13Aよりも弱くなる傾向がある。つまり、厚さが徐々に低くなった粉体13の端部13Bでは、粉体13を集電体11に押し付ける力が十分に伝わらず、粉体13中のバインダ13a2の接触箇所が増えにくい。このため、十分な強度および密着力が得られないと考えられる。本発明者の知見では、厚さが徐々に低くなった粉体13の端部13Bでは、厚さが均一な領域13Aよりも、プレス後の切削強度が30%程度も低くなるという試験結果も得られた。
《粉体13を除去する工程》
工程8では、バインダ溶液12が塗られた領域Aからはみ出た領域Cにおいて、造粒粒子の粉体13が除去される。ここで、工程8では、バインダ溶液12が塗られた領域Aからはみ出た領域Cに、クリーナ28が当てられ、当該領域Cの造粒粒子13aの粉体13(ここでは、造粒粒子13aが崩れて生じた活物質粒子13a1を含む)が除去される。この場合、クリーナ28は、先端にブラシが付いた吸引式の掃除機を用いるとよい。これにより、集電体11の幅方向の外側における粉体13の端部13Bにおいて、プレス後における活物質粒子13a1の層14の強度および密着力が弱い部分が除去される。ここで、図6は、粉体13が除去された状態を示す集電体11の幅方向の断面図である。この実施形態では、集電体11の幅方向において、予め定められた領域にバインダ溶液12が塗られている。集電体11の幅方向において、バインダ溶液12が塗られた領域Aの外側で粉体13(プレス後における活物質粒子13a1の層14)が除去される。そして、バインダ溶液12が塗られた領域Aでは、活物質粒子13a1の層14が残っている。残った活物質粒子13a1の層14は、プレス後における強度および密着力が強い。
この場合、図6に示すように、プレス後における活物質粒子13a1の層14の強度および密着力が弱い部分が除去される。したがって、工程8で、バインダ溶液12が塗られた領域Aからはみ出た領域Cにおいて、造粒粒子13aの粉体13が除去された後に集電体11の上に残った活物質粒子13a1の層14は、図6に示すように、端部を含む全体として、所要の強度および密着力を備えている。これにより、端部を含む全体として、所要の強度および密着力を備えた活物質粒子13a1の層14を有するリチウムイオン二次電池用電極を得ることができる。
本発明者の知見では、造粒粒子13aの粉体13をプレスする工程では、造粒粒子13aの平均粒径の30個分よりも長い距離、バインダ溶液12が塗られた領域Aから造粒粒子13aの粉体13をはみ出させるとよい。つまり、集電体11の幅方向において、プレス前の粉体13の端部は、粉体13の厚さが内側から端に向けて徐々に低くなる傾向がある。そして、プレス後の端部では、強度および密着性が平坦な部分よりも弱い傾向がある。本発明者の知見では、特に、造粒粒子13aの平均粒径が凡そ60μm〜100μmである場合には、プレス後の端部から造粒粒子13aの平均粒径の凡そ30個分の距離までは、形成される活物質粒子13a1の層14の端部の強度および密着性が弱い傾向がある。そして、プレス後の端部から造粒粒子13aの平均粒径の30個分の距離では、形成される活物質粒子13a1の層14は、凡そ平坦になっており、端部の強度および密着性が活物質粒子13a1の層14の厚さが凡そ均一な部分(内側の平坦な部分)と同程度になる。
図7は、造粒粒子13aの平均粒径の10個分の距離の粉体13を除去した後で、活物質粒子13a1の層14について、さらに幅方向の端から内側に向けて強度を測定した測定結果を示している。ここでは、プレス後の活物質粒子13a1の層14の端部から造粒粒子13aの平均粒径の10個分の距離の粉体13を除去する。そして、造粒粒子13aの平均粒径の10個分の距離の粉体13を除去した後で、活物質粒子13a1の層14について、さらに幅方向の端から内側に向けて強度を測定した。
図7の横軸は、プレス後の活物質粒子13a1の層14の端から、造粒粒子13aの平均粒径の10個分の距離の粉体13を除去した後、さらに内側で活物質粒子13a1の層14の強度を測定した位置を示している。図7では、造粒粒子13aの平均粒径の10個分の距離の粉体13を除去した後、さらに内側で活物質粒子13a1の層14の強度を測定した位置は、幅からの距離で示されている。幅からの距離は、造粒粒子13aの平均粒径に応じた個数分の距離で示されている。また、図7の縦軸は、膜強度を示している。ここでは、膜強度は、いわゆる切削強度であり、活物質粒子13a1の層14に切削刃を10μm刺し入れて、集電箔の長さ方向に沿って刃を水平に移動させた際に刃が受ける反力を測定する。そして、当該反力を、活物質粒子13a1の層14に刺し入れられた切削刃の幅(厚さ)(ここでは、500μm(0.5mm)で割った値(N/mm)を切削強度としている。ここでは、図7の各プロットは、活物質粒子13a1の層14の強度を測定した位置毎に、切削強度を複数回測定し、その平均値がプロットされている。
この結果、ここでは、図7に示すように、活物質粒子13a1の層14の端から、造粒粒子13aの平均粒径の20個分(プレス後の端部から造粒粒子の平均粒径の30個分)の距離までは、活物質粒子13a1の層14の強度および密着性が徐々に強くなっていく。そして、造粒粒子13aの平均粒径の20個分(プレス後の端部から造粒粒子の平均粒径の30個分)の距離で、それよりも内側とほぼ同等の強度および密着性が得られることが分かった。
つまり、造粒粒子13aの粉体13をバインダ溶液12が塗られた領域Aから造粒粒子の平均粒径の30個分程度までは、プレス後に形成される活物質粒子13a1の層14は、十分な強度および密着力が得られない傾向がある。したがって、造粒粒子13aの粉体13をプレスする工程では、プレス後の造粒粒子13aの粉体13が、バインダ溶液12が塗られた領域Aから造粒粒子13aの平均粒径の30個分よりも長い距離をはみ出るとよい。この場合、図6に示すように、プレス後の端部から、造粒粒子の平均粒径の30個分の強度および密着性が弱い部分が除去されるとよい。
これにより、バインダ溶液12が塗られた領域Aに残留した活物質粒子13a1の層14では、所要の強度が得られる。そして、端部を含む全体として活物質粒子13a1の層14の強度および密着性(剥離強度)が向上したリチウムイオン二次電池用電極がより確実に得られる。このような知見から、造粒粒子13aの粉体13をプレスする工程では、例えば、造粒粒子13aの平均粒径の30個分の距離よりも長い距離、バインダ溶液12が塗られた領域Aから造粒粒子13aの粉体13をはみ出させるとよい。
また、本発明者の他の知見では、プレス後の端部から、活物質粒子13a1の層14の厚さの20倍以内の距離では、形成される活物質粒子13a1の層14の端部の強度および密着性が弱い傾向がある。かかる知見から、本発明者は、造粒粒子13aの粉体13をプレスする工程では、プレス後の活物質粒子13a1の層14の厚さの凡そ20倍以上、例えば、25倍以上の長い距離、バインダ溶液12が塗られた領域Aから造粒粒子13aの粉体13をはみ出させるとよいと考えている。例えば、造粒粒子13aの粉体13をプレスする工程でバインダ溶液12が塗られた領域Aから造粒粒子13aの粉体13をはみ出させる距離は、造粒粒子13aの平均粒径の30個分よりも長く、かつ、プレス後の活物質粒子13a1の層14の厚さの20倍よりも長いとよい。この場合、図6に示すように、プレス後の端部から、活物質粒子13a1の層14の厚さの凡そ20倍以内の距離の強度および密着性が弱い部分が除去されるとよい。かかる観点を考慮することによって、端部を含む全体として活物質粒子13a1の層14の強度および密着性(剥離強度)が向上したリチウムイオン二次電池用電極がより確実に得られる。
以上、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法を説明したが、特に言及されない限りにおいて、本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は上述した実施形態に限定されない。
例えば、上述した実施形態では、帯状の集電体11を長さ方向に沿って搬送しつつ、集電体11の幅方向において予め定められた領域Aにバインダ溶液12を塗り、バインダ溶液12が塗られた領域Aからはみ出すように、集電体11の上に粉体13が供給している。ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、かかる形態に限定されない。例えば、図示は省略するが、予め定められた形状の集電体11を用意する。そして、集電体11の予め定められた領域Aにバインダ溶液12を塗る。
次に、バインダ溶液12が塗られた領域Aからはみ出すように、集電体11の上に造粒粒子13aの粉体13を供給する。そして、集電体11の上に供給された造粒粒子13aの粉体13を均す(図5参照)。そして、均された造粒粒子13aの粉体13をプレスし、バインダ溶液12が塗られた領域Aからはみ出た領域Cにおいて造粒粒子13aの粉体13を除去する(図6参照)。つまり、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、ロールtoロールによって、搬送しつつ、所定の処理を施す場合だけでなく、集電体11に一枚毎に活物質粒子13a1の層14を形成する場合、つまり枚葉式にも適用できる。
また、ここで提案される製造方法によって製造される電極は、生産性がよく、安定した品質の電極が得られる。このため、量産性と安定した性能が要求される用途で好ましく用いられる。かかる用途としては、例えば、車両に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)が挙げられる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、電気トラック、原動機付自転車、電動アシスト自転車、電動車いす、電気鉄道等が挙げられる。なお、かかる非水電解液二次電池は、それらの複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態で使用されてもよい。
10 製造装置
11 集電体(集電箔)
12 バインダ溶液
13 粉体
13A 粉体13の厚さが均一に整えられた領域
13B 粉体13の端部(粉体13の厚さが均一に整えられた領域13Aの外側の領域)
13a 造粒粒子
13a1 活物質粒子
13a2 造粒粒子13a中のバインダ
14 プレス後における活物質粒子13a1の層
21 搬送装置
21a 搬送ローラ
22 塗布装置
22a グラビアロール
22b 貯留槽
22c バックロール
24 供給装置
24a ホッパー
25 スキージ
26,27 プレスローラ
28 クリーナ
A バインダ溶液12が塗られる領域
B スキージ後に造粒粒子13aの粉体13が供給される領域
C バインダ溶液12が塗られた領域Aからはみ出た領域

Claims (4)

  1. 集電体を用意する工程と、
    活物質粒子と第1バインダとを含む造粒粒子の粉体を用意する工程と、
    第2バインダを溶媒中に含むバインダ溶液を用意する工程と、
    前記集電体の予め定められた領域に前記バインダ溶液を塗る工程と、
    前記バインダ溶液が塗られた領域からはみ出すように、前記集電体の上に前記造粒粒子の粉体を供給する工程と、
    前記集電体の上に供給された前記造粒粒子の粉体を均す工程と、
    均された前記造粒粒子の粉体をプレスする工程と、
    前記バインダ溶液が塗られた領域からはみ出た領域において、前記造粒粒子の粉体を除去する工程と
    を含む、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  2. 前記集電体が帯状であり、前記帯状の集電体を長さ方向に沿って搬送する工程を備え、
    前記バインダ溶液を塗る工程では、前記集電体の幅方向において予め定められた領域に前記バインダ溶液を塗り、
    前記造粒粒子の粉体を供給する工程では、前記集電体の幅方向において、前記バインダ溶液が塗られた領域からはみ出すように、前記集電体の上に前記粉体が供給される、
    請求項1に記載された、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  3. 前記造粒粒子の粉体をプレスする工程では、前記造粒粒子の粉体が、前記バインダ溶液が塗られた領域から前記造粒粒子の平均粒径の30個分よりも長い距離をはみ出る、請求項1または2に記載された、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  4. 前記造粒粒子の粉体をプレスする工程では、前記造粒粒子の粉体は、前記バインダ溶液が塗られた領域から、前記プレス後の活物質粒子の層の厚さよりも20倍以上長い距離はみ出る、請求項1から3までの何れか一項に記載された、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
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