JP2016029200A - 断熱膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】陽極酸化皮膜の細孔の外径よりも大きい一次粒子径を有する断熱性素材の粒子を含む封孔材を用いて当該細孔の開口部を封じる封孔皮膜を形成する断熱膜の形成方法において、封孔皮膜に開気孔が形成されることを抑制する。
【解決手段】母材の表面を構成するアルミニウム合金を陽極酸化処理して、細孔が開口する表面を有する陽極酸化皮膜を形成するステップS1と、ケイ素系ポリマー溶液から構成される第1の封孔材を当該陽極酸化皮膜の表面に塗工するステップS2と、ケイ素系ポリマー溶液と、当該ケイ素系ポリマー溶液に分散された断熱性素材の粒子であって、当該細孔の平均外径よりも大きい平均粒子径を有する粒子と、を含む第2の封孔材を、当該陽極酸化皮膜の表面に塗工するステップS3と、第1および第2の封孔材を乾燥・焼成して封孔皮膜を形成するステップS4と、を備える。
【選択図】図1

Description

この発明は断熱膜の形成方法に関する。
従来、特開2013−014830号公報には、エンジンバルブの傘部に断熱膜を形成する方法が開示されている。この従来法は、具体的に、エンジンバルブの全周にアルミニウムめっき皮膜を形成する第1のステップと、当該アルミニウムめっき皮膜の形成後、エンジンバルブの全周を陽極酸化処理して細孔が開口する表面を有する陽極酸化皮膜を形成する第2のステップと、陽極酸化皮膜の形成後、エンジンバルブの傘部の陽極酸化皮膜の細孔の開口部を封じる封孔皮膜を形成する第3のステップと、を備えている。この従来法によれば、陽極酸化皮膜の表面に封孔皮膜が形成された構造を有する断熱膜を得ることができる。また、上記断熱膜が形成されたエンジンバルブによれば、エンジンの燃焼室の耐熱性や断熱性に加え、放熱性も向上できる。
特開2013−014830号公報
ところで、アルミニウム合金はその機械的性質を向上するための添加物を含んでおり、この添加物(主にケイ素)が陽極酸化皮膜の形成を阻害し、形成された陽極酸化皮膜の表面に微細な凹凸を生じさせるという問題がある。この問題は、上記第1および第2のステップと同様にしてエンジンバルブの表面にアルミニウム合金のめっき皮膜を形成し、その後に当該めっき皮膜を陽極酸化処理した場合にも起こり得る。
陽極酸化皮膜の表面に凹凸が生じると熱伝達面積が増加する。熱伝達面積が増加すれば、陽極酸化皮膜による断熱性の向上効果が薄れてしまう。また、陽極酸化皮膜の表面に凹凸が生じた場合、燃焼室内で生じた火炎の流動性が低下し、燃焼効率が悪化してしまう。この点、上記第3のステップにおいて形成する封孔皮膜によれば、陽極酸化皮膜と封孔皮膜とから形成された構造を有する断熱膜の表面をある程度滑らかにすることができる。理想的には、陽極酸化処理前のアルミニウム合金の表面と同じ程度まで断熱膜の表面が平滑化されることが望ましい。
ここで、封孔皮膜は、封孔皮膜の原料である封孔材の乾燥・焼成を行うことで形成される。そのため、封孔皮膜によって断熱膜の表面を平滑化するためには、陽極酸化皮膜の表面の凹み部分に封孔材を多く設けて厚くする必要がある。しかし、封孔材には溶媒が含まれているので、封孔材を厚くするほど乾燥・焼成時に生じる溶媒のガスが外部に抜け難くなり、封孔皮膜の表面にクラックが生じ易くなるという問題がある。
封孔皮膜の表面のクラックの発生に関し、本出願の発明者は既に、ケイ素系ポリマー粒子と、当該ケイ素系ポリマー溶液に分散された断熱性素材の粒子であって陽極酸化皮膜の細孔の外径よりも大きい一次粒子径を有する粒子と、を含む封孔材を用いることで、封孔材の乾燥・焼成時に生じる溶媒のガスを外部に抜け易くできることを見出している。しかし、このような封孔材を用いると、封孔皮膜の表面のクラックの発生を抑制できる一方で、封孔材の乾燥・焼成時に溶媒のガスの移動経路が僅かな隙間として形成され、この隙間と陽極酸化皮膜の細孔が連通して開気孔を形成するという新たな問題が生じることが明らかとなった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、陽極酸化皮膜の細孔の外径よりも大きい一次粒子径を有する断熱性素材の粒子を含む封孔材を用いて当該細孔の開口部を封じる封孔皮膜を形成する断熱膜の形成方法において、封孔皮膜に開気孔が形成されることを抑制することを目的とする。
本発明は、エンジンの燃焼室を形成する表面に断熱膜を形成する方法であって、
母材の表面を構成するアルミニウム合金を陽極酸化処理して、細孔が開口する表面を有する陽極酸化皮膜を形成するステップと、
ケイ素系ポリマー溶液と、当該ケイ素系ポリマー溶液に分散された断熱性素材の粒子であって、前記細孔の外径よりも大きい一次粒子径を有する粒子と、を含む粒子含有封孔材を前記陽極酸化皮膜の表面に塗工するステップと、
前記粒子含有封孔材の塗工後、前記陽極酸化皮膜の表面を乾燥・焼成して前記陽極酸化皮膜の細孔の開口部を封じる封孔皮膜を形成するステップと、
を備え、
前記粒子含有封孔材を塗工するステップの前に、ケイ素系ポリマー溶液から構成される粒子非含有封孔材を前記陽極酸化皮膜の表面に塗工するステップを更に備えることを特徴とする。
本発明によれば、粒子含有封孔材を塗工するステップの前に、ケイ素系ポリマー溶液から構成される粒子非含有封孔材を陽極酸化皮膜の表面に塗工するので、粒子非含有封孔材の乾燥・焼成により得られる封孔皮膜によって陽極酸化皮膜の細孔の開口部を封じることができる。従って、粒子含有封孔材の乾燥・焼成により得られる封孔皮膜に隙間が形成されたとしても、粒子非含有封孔材の乾燥・焼成により得られる封孔皮膜によって、陽極酸化皮膜の細孔と上記隙間の連通を遮断できる。
実施の形態の断熱膜の形成方法を説明するフロー図である。 陽極酸化皮膜の垂直断面模式図である。 図2の陽極酸化皮膜10の表面周辺の拡大模式図である。 本実施の形態の形成方法により得られる断熱膜の垂直断面図である。 本実施の形態の形成方法による効果を説明するための図である。 本実施の形態の形成方法による効果を説明するための図である。 本実施の形態の形成方法による効果を説明するための図である。 本実施の形態の変形例による効果を説明するための図である。
以下、図1乃至図8を参照しながら、本発明の実施の形態の断熱膜の形成方法を説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化しまたは省略する。
図1は、本発明の実施の形態の断熱膜の形成方法を説明するフロー図である。本実施の形態では、先ず、エンジンの燃焼室を構成する母材としてのアルミニウム合金の表面を陽極酸化処理し、当該表面に陽極酸化皮膜を形成する(ステップS1)。なお、本発明が適用されるエンジンは、主としてシリンダブロックとシリンダヘッドとピストンから構成される。また、本発明において、エンジンの燃焼室は、シリンダブロックのボア面、ピストンの頂面、シリンダヘッドの底面、吸気バルブおよび排気バルブの傘部の底面から画成される空間を意味するものとする。
ステップS1では、内部に電解液(具体的には硫酸)を有する電解槽と、陰極と、電源とを備える処理装置(図示しない)が使用される。なお、ステップS1では、アルミニウム合金の代わりに、耐熱鋼、炭素鋼、チタン材料などの表面に、アルミニウム合金のめっき皮膜を形成したものを母材として使用してもよい。
ステップS1においては、具体的に、上記処理装置内に母材を配置し、上記電源によって上記陰極と、陽極としての母材との間に通電する。これにより、その表面に開口する多数の細孔を有する陽極酸化皮膜(アルマイト膜)を形成する。形成された陽極酸化皮膜の平均膜厚は約70μmである。なお、この平均膜厚は電流密度と通電時間とで調節できるので70μmより厚くすることもできる。陽極酸化皮膜は、このような多孔質構造により、アルミニウム合金は勿論のこと、従来のセラミック系の遮熱膜よりも低い熱伝導率と、低い単位体積当たりの熱容量とを実現する。
但し、陽極酸化皮膜の表面は、陽極酸化処理前のアルミニウム合金の表面に比べて粗いものとなる。図2は、陽極酸化皮膜の垂直断面模式図である。図2に示すように、陽極酸化皮膜10は、その表面から内部に向かう多数の細孔10aを有している。また、陽極酸化皮膜10の表面には凹凸が生じており、表面粗さRa(JIS B601(2001)に準拠して測定した算術平均粗さをいう。以下同じ。)は平均3〜4μmである。陽極酸化皮膜10の表面に凹凸が生じるのは、アルミニウム合金に含まれる添加物が、陽極酸化皮膜10の形成を阻害するためである。以下に説明するステップS2乃至S4は、このような細孔10aの開口部を封じ、尚且つ、陽極酸化皮膜10の表面を平滑化することを目的として行われる。
図1に戻り本実施の形態の説明を続ける。ステップS1に続いて、陽極酸化皮膜の表面に第1の封孔材(粒子非含有封孔材)を塗工する(ステップS2)。本ステップで使用する第1の封孔材は、主鎖骨格にケイ素を含むケイ素系ポリマー溶液(具体的には、ポリシラザンまたはポリシロキサンと、エーテル系の溶媒とを含むポリマー溶液)から構成される。第1の封孔材の塗工手法は特に限定されず、例えば、スプレー法、ブレードコート法、スピンコート法、刷毛塗り法等が挙げられる。第1の封孔材は、陽極酸化皮膜の細孔の開口部を封じる目的で陽極酸化皮膜の表面に薄く塗工されるものであり、第1の封孔材の具体的な塗工厚は1〜2μmとされる。
ステップS2に続いて、第1の封孔材が塗工された陽極酸化皮膜の表面に、第2の封孔材(粒子含有封孔材)を塗工する(ステップS3)。本ステップで使用する第2の封孔材は、第1の封孔材に更にシリカ粒子を加えたものである。即ち、第2の封孔材は、第1の封孔材に使用したケイ素系ポリマー溶液と、当該ケイ素系ポリマー溶液に分散されたシリカ粒子とから構成される。このシリカ粒子には、陽極酸化皮膜の細孔の平均外径よりも大きい平均一次粒子径(凝集して二次粒子になる前の平均粒子径)を有し、尚且つ、中空構造を有するものを使用する。
陽極酸化皮膜の細孔の平均外径が約30nmであることから、ステップS3では、平均一次粒子径が30nm(好ましくは50nm)よりも大きい中空シリカ粒子を使用する。但し、本実施の形態により形成する断熱膜の表面粗さRaの目標値が約1μmであることから、ステップS3では、平均二次粒子径が1μm(好ましくは500nm、より好ましくは150nm)よりも小さい中空シリカ粒子を使用する。
ここで、平均外径とは、走査型電子顕微鏡による断面画像を複数の倍率で撮影し、スキャナー入力法でデジタル化した後、コンピュータ画像解析によって抽出された各細孔の面積と等しい面積を有する円の直径の分布を算出して求めた算術平均径を意味するものとする。また、平均一次粒子径とは、透過型電子顕微鏡を用いて粒子透過画像を複数の倍率で撮影し、スキャナー入力法でデジタル化した後、コンピュータ画像解析によって抽出された各粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の分布を算出して求めた算術平均径を意味するものとする。また、平均二次粒子径とは、動的散乱法によって得られる平均粒子径(D50値)であり、市販の粒度分析測定装置によって簡便に測定することができる。
ステップS3で使用する封孔材における中空シリカ粒子の配合割合は、ステップS4の後に形成される封孔皮膜の空孔率の目標値に応じて適宜調節される。
第1の封孔材の塗工方法同様、第2の封孔材の塗工手法は、特に限定されず、例えば、スプレー法、ブレードコート法、スピンコート法、刷毛塗り法等が挙げられる。第2の封孔材は、陽極酸化皮膜の表面を平滑化する目的で厚く塗工されるものであり、第2の封孔材の具体的な塗工厚は4〜5μmとされる。
なお、第2の封孔材は、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、シリカ粒子の分散性を高める分散剤や、レベリング剤、界面活性剤、粘度調整剤等が挙げられる。また、第2の封孔材は、中空構造のシリカ粒子(以下「中空シリカ粒子」と称す)の代わりに、中実構造のシリカ粒子を含んでいてもよいし、シリカ以外の断熱性素材の粒子(例えばアルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)の粒子など)を含んでいてもよい。また、上記3種類の粒子のうちの2種類以上を同時に含んでいてもよい。
ここで、ステップS3の処理後の陽極酸化皮膜の表面について図3を参照しながら説明する。図3は、図2の陽極酸化皮膜10の表面周辺の拡大模式図である。図3に示すように、陽極酸化皮膜10の表面には、細孔10aの開口部を覆うように第1の封孔材12が塗工されている。また、第1の封孔材12を塗工した陽極酸化皮膜10の表面には、中空シリカ粒子16を含む第2の封孔材14が更に塗工されている。また、図3に示すように、第1の封孔材12の塗工厚は1〜2μmであり、第2の封孔材14の塗工厚は4〜5μmである。
図1に戻り本実施の形態の説明を続ける。ステップS3に続いて、第1および第2の封孔材を乾燥・焼成して封孔皮膜を形成する(ステップS4)。乾燥・焼成時の条件(温度、時間等)は、陽極酸化皮膜の表面に塗工した第1および第2の封孔材の総厚に応じて適宜調節される。本ステップを経ることで、陽極酸化皮膜と第1および第2の封孔皮膜とからなる断熱膜が形成される。
図4は、本実施の形態の形成方法により得られる断熱膜の垂直断面図である。図4に示すように、陽極酸化皮膜10の表面に第1の封孔材の乾燥・焼成により得られた第1の封孔皮膜18が形成され、第1の封孔皮膜18の表面に第2の封孔材の乾燥・焼成により得られた第2の封孔皮膜20が形成される。陽極酸化皮膜10、第1の封孔皮膜18および第2の封孔皮膜20という3種類の皮膜から断熱膜22が形成される。断熱膜22の表面粗さRaは1μm以下である。
本実施の形態の形成方法による効果について、図5乃至図7を参照しながら説明する。先ず、図5乃至図6を参照しながら、第2の封孔材を塗工することによる効果について説明する。図5乃至図6は、陽極酸化皮膜の表面に第1の封孔皮膜のみを形成した場合の問題点を説明するための図である。図5に示す断熱膜30,32は、断熱膜22との比較を目的として形成した断熱膜であり、第1の封孔皮膜18と陽極酸化皮膜10とから構成されている。図5(b)の第1の封孔皮膜18の膜厚は、同図(a)の第1の封孔皮膜18の膜厚よりも大きく、図4の第2の封孔皮膜20の膜厚と略同等である。但し、図5(b)の第1の封孔皮膜18の表面には、クラック34が生じている。
図6(a)は図5(a)の第1の封孔皮膜18の形成過程を示した図であり、図6(b)は図5(b)の第1の封孔皮膜18の形成過程を示した図である。第1の封孔材12を薄く塗工した場合は、乾燥・焼成時における第1の封孔材12の上部(表面部)の乾燥速度と、第1の封孔材12の内部の乾燥速度とが略等しくなる(図6(a))。そのため、乾燥・焼成時に生じた溶媒のガスは、第1の封孔材12の内部から外部に放出される。一方、第1の封孔材12を厚く塗工した場合は、第1の封孔材12の内部よりも上部の方が先に硬化する(図6(b1))。そのため、乾燥・焼成時に生じた溶媒のガスが第1の封孔材12の内部から抜け出すことができず、第1の封孔皮膜18の表面にクラック34が生じてしまう(図6(b2))。
図5乃至図6から分かるように、第1の封孔材のみを塗工する場合、第1の封孔材を厚く塗工するほど乾燥・焼成時に第1の封孔皮膜の表面にクラックが生じ易くなるという問題がある(図5(b),図6(b))。また、第1の封孔材を薄く塗工すると、第1の封孔皮膜が薄く形成されるので断熱膜の表面を十分に平滑化することができないという問題がある(図5(a),図6(a))。これに対し、上記サイズの中空シリカ粒子を含む第2の封孔材によれば、乾燥・焼成時に生じた溶媒のガスを第2の封孔材の内部から外部に放出できる。この理由の一つとして、第2の封孔材の内部で生じた溶媒のガスが中空シリカ粒子の表面を伝って第2の封孔材の上部に移動し易くなることが挙げられる。
本実施の形態においては、ステップS4において第1および第2の封孔材を乾燥・焼成しているので、第1の封孔材や第2の封孔材の内部で生じた溶媒のガスを、中空シリカ粒子の表面を伝わせて第2の封孔材の上部に移動できる。従って、第1および第2の封孔材を乾燥・焼成した場合においても第2の封孔皮膜の表面にクラックが生じるのを良好に抑制できる。よって、第2の封孔材の塗工厚を4〜5μmとして第2の封孔皮膜を厚く形成し、断熱膜の表面粗さRaを1μm以下にできる。
続いて、図7を参照しながら、ステップS3において第2の封孔材を塗工する前に、ステップS2において第1の封孔材を塗工することによる効果について説明する。図7は、陽極酸化皮膜10の表面に第2の封孔皮膜20のみを形成した場合の問題点を説明するための図である。図7に示す断熱膜40は、断熱膜22との比較を目的として形成した断熱膜であり、第2の封孔皮膜20と陽極酸化皮膜10とから構成されている。
上述したように、陽極酸化皮膜の表面に第2の封孔材を塗工すれば、第2の封孔皮膜を厚く形成できる。しかし、陽極酸化皮膜の表面に第2の封孔材のみを塗工すると、この第2の封孔材の乾燥・焼成時の溶媒のガスの移動経路が僅かな隙間として形成され、この隙間と陽極酸化皮膜の細孔が連通して開気孔を形成するという新たな問題が生じる。図7に示す断熱膜40はこのような開気孔が形成された断熱膜であり、断熱膜40をエンジンの燃焼室に適用した場合には、燃焼室に供給された燃料が当該開気孔を介して陽極酸化皮膜10の内部に侵入可能となるので、未燃損失が発生し、または、エミッション性能が低下する虞がある。また、当該開気孔を介して陽極酸化皮膜10の内部に燃焼ガスも侵入可能となるので、断熱膜40の性能が損なわれる虞もある。
この点、本実施の形態によれば、ステップS3において第2の封孔材を塗工する前に、ステップS2において第1の封孔材を塗工することができる。そのため、第1の封孔材の乾燥・焼成により得られた第1の封孔皮膜によって陽極酸化皮膜の細孔の開口部を封じることができる。従って、仮に第2の封孔材の乾燥・焼成時に第2の封孔皮膜に上述の隙間が形成されたとしても、この隙間と陽極酸化皮膜の細孔の連通を第1の封孔皮膜によって遮断できる。
ところで、上記実施の形態においては、ステップS2およびS3において第1および第2の封孔材を塗工し、その後のステップS4において第1および第2の封孔材を乾燥・焼成した。しかし、ステップS2において第1の封孔材を塗工した後、ステップS3において第2の封孔材を塗工する前に、第1の封孔材を乾燥・焼成し、ステップS3において第2の封孔材を塗工した後に、第2の封孔材を乾燥・焼成してもよい。ステップS3において第2の封孔材を塗工する前に第1の封孔材を乾燥・焼成すれば、陽極酸化皮膜の細孔の開口部を第1の封孔皮膜によって確実に封じることができる。また、ステップS2において第1の封孔材の塗工厚が均一とならず、部分的に塗工厚が大きくなった場合には、第1の封孔材の乾燥・焼成時にその部分においてクラックが形成される可能性がある。図8に示すクラック34は、第1の封孔材の塗工厚が大きい部分において形成されたものである。しかし、第1の封孔材を乾燥・焼成の後に第2の封孔材を塗工すれば、この第2の封孔材によってクラック34を埋めることができる。仮にクラック34を埋められないとしても、第2の封孔皮膜20によって、クラック34を覆うことができる。
また、ステップS2において第1の封孔材を塗工した後、ステップS3において第2の封孔材を塗工する前に、第1の封孔材の乾燥のみを行い、ステップS3において第2の封孔材を塗工した後に、第2の封孔材の乾燥・焼成と第1の封孔材の焼成とを行ってもよい。第1の封孔材の乾燥のみを行った場合、第1の封孔皮膜は形成されないものの、第1の封孔材を一定以上の硬度とすることができる。従って、このような硬度の第1の封孔材によって陽極酸化皮膜の細孔の開口部を封じることができる。
10 陽極酸化皮膜
10a 細孔
12 第1の封孔材
14 第2の封孔材
16 中空シリカ粒子
18 第1の封孔皮膜
20 第2の封孔皮膜
22,30,32,40 断熱膜
34 クラック

Claims (1)

  1. エンジンの燃焼室を形成する表面に断熱膜を形成する方法であって、
    母材の表面を構成するアルミニウム合金を陽極酸化処理して、細孔が開口する表面を有する陽極酸化皮膜を形成するステップと、
    ケイ素系ポリマー溶液と、当該ケイ素系ポリマー溶液に分散された断熱性素材の粒子であって、前記細孔の外径よりも大きい一次粒子径を有する粒子と、を含む粒子含有封孔材を前記陽極酸化皮膜の表面に塗工するステップと、
    前記粒子含有封孔材の塗工後、前記陽極酸化皮膜の表面を乾燥・焼成して前記陽極酸化皮膜の細孔の開口部を封じる封孔皮膜を形成するステップと、
    を備え、
    前記粒子含有封孔材を塗工するステップの前に、ケイ素系ポリマー溶液から構成される粒子非含有封孔材を前記陽極酸化皮膜の表面に塗工するステップを更に備えることを特徴とする断熱膜の形成方法。
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