JP6581592B2 - コート金属基材の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1に記載された被覆層は溶射皮膜であるため、皮膜強度及び基材との接着性が充分ではなく、皮膜にクラックが発生したり、剥離したりするという問題があった。また、特許文献1には、ポーラス層の表面の凹凸を反映して被覆層の表面にも凹凸が形成されることが開示されている。凹凸の形成された被覆層の表面をガスが流通する場合、被覆層の凹凸によってガスの流れが乱され、流体抵抗の増加に起因する熱伝達係数の増加によって、断熱性能が低下するという問題があった。
金属がアルミニウム又はアルミニウム合金であると、軽量であるため、エンジン等の軽量化及び燃料消費率の向上を図ることができる。
また、アルミニウム又はアルミニウム合金はその表面にアルマイト処理等を施すことによってアルマイト層を形成することができる。
アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材の表面に形成されたアルマイト層はその表面に多数の凹凸を有しているので、セラミックコート層との接触面積が増えることとなる。加えて、アルマイト層は酸化物で構成されているため、酸素を介してセラミックコート層を構成する原子と化学結合することとなり、セラミックコート層との接着力が高まる。
セラミック原料の軟化点が250℃未満であると、軟化点が低すぎるため、加熱処理の際に、セラミックコート層となる層が溶融等により流れ易くならず、均一な厚さの膜を形成することが難しくなる。一方、セラミック原料の軟化点が550℃を超えると、セラミックコート原料を構成するセラミック原料が軟化するよりも前に界面活性剤の熱分解が終了してしまうことがある。このような場合、界面活性剤の熱分解により発生した分解ガスは、焼成雰囲気中に拡散してしまい、気孔を形成することができない。
界面活性剤が水溶性であると、軟化したセラミック原料中での自己分散性に優れ、均一な気孔を形成しやすくなる。そのため、高い断熱性能を有するセラミックコート層が得られる。
界面活性剤の熱分解温度が上記範囲であると、セラミックコート層中に均一に分散した気孔を形成しやすくなる。
熱分解温度が200℃未満であると、焼成工程の初期の段階において、セラミックコート原料を構成するセラミック原料が軟化するよりも前に界面活性剤の熱分解が終了してしまうことがある。このような場合、界面活性剤の熱分解により発生した分解ガスは、焼成雰囲気中に拡散してしまい、気孔を形成することができない。一方、熱分解温度が600℃を超える値とすることは技術的に困難である。
なお、界面活性剤の熱分解温度は、熱重量分析(TGA)によって測定される、界面活性剤の重量が5重量%減少する際の温度である。
セラミックコート原料にさらに結晶性無機材を含むことで、セラミックコート層の機械的強度、耐熱性、接着性、及び、断熱性等を向上させることができる。
これらの結晶性無機材は耐熱性に優れるため、上記結晶性無機材を含むセラミックコート層の耐熱性を向上させることができる。
セラミックコート原料の厚さ(塗布層の厚さ)が10μm未満の場合、形成されるセラミックコート層の厚さが薄すぎるため、コート金属基材が充分な断熱性を発揮することができない。
一方、セラミックコート原料の厚さ(塗布層の厚さ)が1000μmを超えると、形成されるセラミックコート層の厚さが厚くなりすぎて、セラミックコート層に熱衝撃等が加わった際に、クラックが発生しやすくなることがある。
塗布層形成工程よりも前に基材に対して粗化処理を行うことで、基材とセラミックコート層との接触面積を増やすことができ、密着性を向上させることができる。
なお、粗化処理はアルマイト層形成工程よりも前に行うことが好ましい。
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
本発明のコート金属基材の製造方法は、金属からなる基材を準備する基材準備工程と、上記基材上に、セラミック原料と界面活性剤とからなるセラミックコート原料を塗布することによりセラミックコート層形成用の塗布層を形成する塗布層形成工程と、上記塗布層が形成された基材を300〜600℃で焼成してセラミックコート層を形成させる焼成工程とからなることを特徴とする。
基材準備工程では、金属からなる基材を準備する。
金属からなる基材としては、ステンレス鋼、耐熱鋼(SUH)、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、インコネル、ハステロイ、インバー等が挙げられる。また、各種鋳造品(例えば、鋳鉄、鋳鋼、炭素鋼等)等が挙げられる。
耐熱鋼(SUH)として、具体的には、マルテンサイト系耐熱鋼(SUH3、SUH11等)、オーステナイト系耐熱鋼(SUH35等)、フェライト系耐熱鋼(SUH446等)等が挙げられる。また、インコネル(NCF751等)のNi基耐熱合金も挙げられる。
また、アルミニウム合金としては、純アルミ(1000番台)、Al−Cu系合金(2000番台)、Al−Mn系合金(3000番台)、Al−Si系合金(4000番台)、Al−Mg系合金(5000番台)、Al−Mg−Si系合金(6000番台)、Al−Zn―Mg系合金(7000番台)等が挙げられる。なお、上記合金の組成は、特に限定されるものではない。
上記洗浄処理としては特に限定されず、従来公知の洗浄処理法を用いることができ、具体的には、例えば、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行う方法等を用いることができる。
粗化処理された基材の表面粗さ(Ra)は、0.05〜10μmであることが好ましい。
上記表面粗さ(Ra)が0.05μm未満では、基材の表面積の増加が密着性の増加に余り寄与しない。一方、上記表面粗さ(Ra)が10μmを超えると、基材表面に形成されたセラミックコート層と基材表面との間に空気が介在し易くなり、セラミックコート層との密着性が低下する。
なお、表面粗さ(Ra)はJIS B 0601(2001)に準拠した算術平均粗さであり、例えば、表面粗さ測定機等により測定することができる。
なお、粗化処理は、後述する塗布層形成工程よりも先に行うことが好ましい。
また、粗化処理は後述するアルマイト層形成工程よりも前に行うことが好ましい。
アルマイト処理を施すことにより、基材表面にアルマイト層を形成し、基材とセラミックコート層との密着性をさらに向上させることができる。
アルマイト処理の方法は特に限定されるものではなく、種々の公知の方法を用いることができるが、例えば、基材を陽極として電解浴中で通電する方法[アルマイト処理(陽極酸化処理ともいう)]を採用することができる。
基材の一部にアルマイト処理を行う場合には、アルマイト処理を行わない部分にマスキングテープ等を貼り付けて保護することが好ましい。
なお、アルマイト処理は、後述する塗布層形成工程よりも先に行うことが好ましい。
また、アルカリ浴としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸カリウム、アンモニア水などを一種又は二種以上溶解した水溶液を用いることができる。
上記アルマイト処理により、基材の表面に0.2〜100μmのアルマイト層を形成する。
アルマイト層の厚さが0.2μm未満であると、アルマイト層の厚さが薄すぎるため、セラミックコート層との密着力の向上という効果がほとんど得られないことがある。一方、アルマイト層の厚さが100μmを超えると、アルマイト層を形成するための時間がかかり過ぎ、不経済である。アルマイト層の厚さは10〜50μmであることがより好ましい。
なお、アルマイト層の厚さは、コート金属基材の断面を走査型電子顕微鏡(以下、SEMともいう)等を用いて観察することによって測定することができる。
また、電解方法としては、定電流、低電圧、定電力法及び連続、断続あるいは電流回復を応用した高速アルマイト法などを用いることができる。
(b−1)セラミックコート原料調製工程
続いて、塗布層を形成するためのセラミックコート原料を調製する。
セラミック原料と界面活性剤を混合することによりセラミックコート原料が得られる。
セラミック原料と混合されてセラミックコート原料を構成する界面活性剤は、液体であってもよく、固体であってもよい。
なお、界面活性剤は、分子内に親水基と疎水基を有する物質の総称であり、その種類は特に限定されず、液体であってもよく、固体であってもよい。
上記有機結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、分散媒と有機結合剤とを併用してもよい。
界面活性剤の含有量が0.1重量%未満の場合、セラミックコート層に充分な量の気孔を形成できないことがある。一方、界面活性剤の含有量が10重量%を超える場合には、添加する界面活性剤の量が多すぎるため、気孔が大量に形成されて互いに連結してしまうことがある。このような気孔はセラミックコート層に均一に分散した気孔とはならず、断熱性能の低下及び機械的強度の低下を招くおそれがある。
界面活性剤が水溶性であると、軟化したセラミック原料中での自己分散性に優れ、均一な気孔を形成しやすくなる。そのため、高い断熱性能を有するセラミックコート層が得られる。また、上記界面活性剤の種類は特に限定されず、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれの界面活性剤を用いてもよいが、セラミック原料中での自己分散性及び均一な気孔の形成という観点から、アニオン系の界面活性剤を用いることがさらに好ましい。
アニオン系の界面活性剤としては、ポリカルボン酸及び/又はその塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物及び/又はその塩、ポリアクリル酸及び/又はその塩、ポリメタクリル酸及び/又はその塩、ポリビニルスルホン酸及び/又はその塩、等が挙げられる。
なお、水溶性の界面活性剤とは、グリフィン法におけるHLB値が8.0以上のものを示す。
界面活性剤の熱分解温度が上記範囲であると、セラミックコート層中に均一に分散した気孔を形成しやすくなる。
熱分解温度が200℃未満であると、焼成工程の初期の段階において、セラミックコート原料を構成するセラミック原料が軟化するよりも前に界面活性剤の熱分解が終了してしまうことがある。このような場合、界面活性剤の熱分解により発生した分解ガスは、焼成雰囲気中に拡散してしまい、気孔を形成することができない。一方、熱分解温度が600℃を超える値とすることは技術的に困難である。
非晶性無機材は、ガラスからなることが好ましく、軟化点が250〜550℃の低軟化点ガラスからなるものであることがより好ましい。
軟化点が250〜550℃の低軟化点ガラスとしては、SiO2−TiO2系ガラス、SiO2−PbO系ガラス、SiO2−PbO−B2O3系ガラス、B2O3−PbO系ガラス、Al2O3−SiO2−B2O3−PbO系ガラス、Na2O−P2O5−SiO2系ガラス等が挙げられる。
なお、軟化点は、JIS R 3103−1(2001)に規定される方法に基づいて、例えば、有限会社オプト企業製の硝子自動軟化点・歪点測定装置(SSPM−31)を用いて測定することができる。
上記結晶性無機材としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ランタニア、サマリア、シリカ、イットリア、カルシア、マグネシア、セリア、及び、ハフニアからなる群から選択される少なくとも一種からなることが好ましい。
セラミックコート原料に結晶性無機材を加える場合、結晶性無機材を添加するタイミングは特に限定されないが、例えば、上述したセラミック原料と界面活性剤と水とを混合する前に、セラミック原料と結晶性無機材を混合する工程を有していてもよい。
次に、塗布工程として、基材上に、セラミックコート層を形成するためのセラミックコート原料を塗布することによりセラミックコート層形成用の塗布層を形成する。
塗布層の厚さが10μm未満の場合、形成されるセラミックコート層の厚さが薄すぎるため、コート金属基材が充分な断熱性を発揮することができないことがある。一方、塗布層の厚さが1000μmを超えると、形成されるセラミックコート層の厚さが厚くなりすぎて、セラミックコート層に熱衝撃が加わった際に、クラックが発生しやすくなることがある。
次に、焼成工程として、塗布層が形成された基材に300〜600℃で焼成を施し、基材表面にセラミックコート層を形成する。
焼成温度は、非晶性無機材の軟化点以上とすることが好ましい。焼成温度を非晶性無機材の軟化点以上の温度とすることにより、塗布された非晶性無機材が軟化、溶融し、形成されたセラミックコート層と基材とが強固に密着する。
このとき、セラミックコート原料中に含まれる界面活性剤が、軟化したセラミック原料中に分散し、熱分解を起こすことによって気孔が形成される。
界面活性剤には自己分散性があるため、軟化したセラミック原料中に広く分散して、セラミックコート層中に均一に分散した気孔を形成することができる。さらに、界面活性剤が分解して形成された気孔はセラミックコート層に直接囲まれることとなるので、異物の発生が抑制され、断熱性能の低下やクラックの発生を抑制することができる。
また、焼成中に、気孔がセラミックコート層の表面に露出した場合、セラミックコート層を形成するセラミック原料は軟化しているため、気孔が露出した箇所を速やかに塞ぐことができる。そのため、焼成後のセラミックコート層は、表面に気孔が露出しておらず、平坦度の高い(表面粗さの低い)セラミックコート層が得られる。
本発明のコート金属基材の製造方法により製造されるコート金属基材は、例えば、金属からなる基材上にセラミック原料からなるセラミックコート層が形成されたコート金属基材であって、セラミックコート層の内部には、均一に分散した気孔が形成されている。
さらに、セラミックコート層の表面粗さ(Ra)は8μm以下となっていることが好ましく、また、気孔がセラミックコート層に直接囲まれていることが好ましい。
図1に示すように、コート金属基材10では、金属からなる基材11上にセラミックコート層12が形成されている。
セラミックコート層12の内部には、均一に分散した気孔13が存在している。
そして、図1(b)に示すように、気孔13はセラミックコート層12に直接囲まれている。さらに、セラミックコート層の表面12aでは、表面粗さ(Ra)が8μm以下となっている。
なお、本明細書における表面粗さ(Ra)はJIS B 0601(2001)に基づいて測定される値である。
図2(a)は、セラミックコート層中の気孔が均一に分散しているか確認する手順を模式的に示したものであり、図2(b)は、SEM画像を9つの領域に区画する方法を模式的に示した説明図である。
まず、気孔の分散を確認したいセラミックコート層の断面をSEMによって撮影する。
このとき、図2(a)に示す矩形Bで示された領域が、SEM画像を撮影する領域となる。図2(a)に示すように、SEM画像は、セラミックコート層12のうち、セラミックコート層の厚さ方向の全域がSEM画像内に収まる倍率を選択するようにする。
SEMの倍率はセラミックコート層の厚さ(膜厚)により異なり、セラミックコート層の厚さが5μm以上50μm未満の場合には2000倍、50μm以上100μm未満の場合には1000倍、100μm以上300μm未満の場合には500倍、300μm以上500μm未満の場合には200倍、500μm以上1000μm未満の場合には150倍、1000μm以上2000μm未満の場合には100倍とする。1つのセラミックコート層につき、無作為に5箇所のSEM画像を撮影する。図2(a)が無作為に撮影されたSEM画像の1つ(5箇所のうちの1箇所)であるとして、以下説明を続ける。
撮影したSEM画像は、図2(b)に示すように、縦3×横3の9ブロックに分割する。
図2(b)に示したSEM画像は、縦方向(図2(b)中、両矢印cで示す方向)をセラミックコート層の厚さ方向の全域を三等分するよう、両矢印cを三等分した両矢印c1、c2及びc3によって区画されている。セラミックコート層の厚さがSEM画像中で変動する場合、最も厚さが厚くなっている箇所におけるセラミックコート層の厚さを基準とする。
また、縦方向に垂直な方向である横方向(図2(b)中、両矢印bで示す方向)の長さbはセラミックコート層の厚さcの1.5倍の長さであり、これを三等分した両矢印b1、b2及びb3は全て、c1、c2、c3の1.5倍の長さである。
すなわち、SEM画像は、(セラミックコート層の厚さ)×(セラミックコート層の厚さの1.5倍の長さ)によって定義される長方形を、厚さ方向(縦方向)及び長さ方向(横方向)にそれぞれ三等分することにより9つの領域に区画される。
続いて、9つに区画された各領域中に存在する気孔径が0.1μm以上の気孔の数をカウントする。9領域×5箇所の合計45領域の全てにおいて、気孔径が0.1μm以上の気孔の数が10個以上あれば、そのセラミックコート層には気孔が均一に分散していると判断する。
気孔がセラミックコート層に直接囲まれていない場合としては、気孔がセラミックコート層とは異なる構造物、例えば中空状粒子等によって形成されている場合が挙げられる。このような場合、気孔は上記中空状粒子(殻層ともいう)を介してセラミックコート層に囲まれていることになる。セラミックコート層と上記殻層とは異なる物質である場合、熱膨張係数の違いによって、セラミックコート層にクラックが発生することがある。
本発明のコート金属基材の製造方法により製造されるコート金属基材では、気孔がセラミックコート層に直接囲まれており、殻層が存在しないため、上記のような問題が発生しない。
セラミックコート層の厚さが10μm未満では、セラミックコート層の厚さが薄すぎるため、コート金属基材が充分な断熱性を発揮することができない。一方、上記セラミックコート層の厚さが1000μmを超えると、セラミックコート層に熱衝撃等が加わった際に、クラックが発生しやすくなることがある。
熱伝導率が0.1W/m・K未満であると、上記熱伝導率を達成するために必要な気孔率が高くなるため、形成されたセラミックコート層の機械的強度が低下しすぎることがある。一方、熱伝導率が3W/m・Kを超えると、充分な断熱の効果が得られないという問題がある。所望の断熱効果を得るためには、セラミックコート層の厚さを厚くする必要があるため、コート金属基材をエンジン部材等に適用しようとする場合には設計におけるスペースの確保が困難となる問題がある。なお熱伝導率の測定は、レーザーフラッシュ装置(熱定数測定装置:NETZSCH LFA457 Microflash)を用い、JIS R 1611(2010)に基づいて測定される。
平均気孔径が0.1μm未満の場合、気孔によって得られる断熱効果が小さく、充分な断熱効果が得られないことがある。一方、平均気孔径が80μmを超えた場合、気孔の大きさが大きすぎるため、セラミックコート層の機械的強度が低下してしまうことがある。
気孔の平均気孔径は、上述した気孔が均一に分散しているかどうか、の判定に用いたSEM画像と同様の画像を用いて求めることができる。具体的には、区画された9つの領域に存在する全ての気孔についての気孔径を測定し、平均値を求めることにより平均気孔径が得られる。気孔の形状が円形でない場合、その気孔の直径は、投影面積円に相当する直径(ヘイウッド径)とする。
セラミックコート層の気孔率が5%未満である場合、セラミックコート層の断熱性能が充分でないことがある。一方、セラミックコート層の気孔率が75%を超える場合、気孔率が高すぎるためにセラミックコート層の機械的強度が低下し、クラックが発生し易くなることがある。
セラミックコート層の気孔率は、上述した気孔が均一に分散しているかどうか、の判定に用いたSEM画像と同様の画像を用いて求めることができる。具体的には、区画された9つの領域に存在している全ての気孔が占める面積の合計値を求め、これを9つの領域の合計面積で除した値とし、この値を5箇所で測定し、その5箇所の平均値をセラミックコート層の気孔率とする。
表面粗さ(Ra)の下限は特に限定されないが、製品の歩留まりの関係から1μmであることが好ましい。
セラミックコート層の表面粗さ(Ra)が8μmを超えた場合、セラミックコート層の表面を流れる流体の流れが乱流となりやすく、熱伝達係数が増加するため、エネルギーのロスにつながる。
(1)本発明のコート金属基材の製造方法では、セラミック原料と界面活性剤からなるセラミックコート原料を基材上に塗布し、焼成している。そのため、形成されるセラミックコート層の内部に気孔が均一に分散しており、断熱性能に優れたコート金属基材が得られる。
以下に実施例を掲げ本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(a)基材準備工程
基材として、アルミニウム(A1050)からなる板(150mm×70mm×0.5mmt)を準備し、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行い、続いて、サンドブラスト処理を行って基材の表面(両面)を粗化した。サンドブラスト処理は、Al2O3砥粒を用いて60分間行った。これにより、基材表面のJIS B 0601(2001)に基づき測定した表面粗さ(Ra)は、1.0μmとなった。
(b−1)セラミックコート原料調製工程
非晶性無機材の粉末として、SiO2−TiO2系ガラス(軟化点400℃)を準備した。
有機結合剤として、メチルセルロースを準備した。
界面活性剤としてはポリカルボン酸型界面活性剤を準備した。
原料混合物の調製にあたっては、非晶性無機材の粉末100重量部に界面活性剤を2重量部加え、さらに水を100重量部加えて、ボールミルで湿式混合することによりスラリーを調製し、セラミックコート原料を得た。
平板状の基材の表面に、スプレーコートによりセラミックコート原料を塗布した。
焼成後のセラミックコート層が330μmの膜厚となるように塗布時間を調整し、乾燥機内で100℃で60分乾燥した。
上記工程の後、空気中、520℃の加熱炉において10分間加熱することによりセラミックコート層を形成し、実施例1に係るコート金属基材を得た。この後、コート金属基材の表面を垂直に切断し、その断面をSEMにより撮影した。得られた写真を図3に示す。なお、図3の左上部にみられるセラミックコート層の欠けは、SEM画像を撮影するためにセラミックコート層を切断した際に欠けたものである。
(c)焼成工程において、560℃で60分間加熱したほかは、実施例1と同様の方法で実施例2に係るコート金属基材を得た。
(c)焼成工程において、610℃で10分間加熱したほかは、実施例1と同様の方法で比較例1に係るコート金属基材を得た。
各実施例及び比較例で製造したコート金属基材について、その特性を以下の手順で評価した。
各実施例及び比較例で製造したコート金属基材の表面を垂直に切断し、その断面を無作為に5箇所選び出し、SEMにより撮影した。得られた各SEM画像を上述した方法によりそれぞれ9つの領域に区画し、各領域中に存在する気孔径が0.1μm以上の気孔の数をカウントすることにより気孔が均一に分散されているかどうかを確認した。結果を表1に示す。なお、気孔が均一に分散しているものを○、気孔が均一に分散していないものを×として示している。
さらに、5つのSEM画像から無作為に選択した10箇所についてセラミックコート層の厚さを測定し、この平均値をセラミックコート層の厚さ(膜厚)とした。結果を表1に示す。
気孔の分散性の確認で用いたものと同様のSEM画像を用いて、セラミックコート層中に示す気孔の割合を求めた。5つのSEM画像における気孔の割合の平均値を気孔率として求めた。結果を表1に示す。
気孔の分散性の確認で用いたものと同様のSEM画像を用いて、目視により全ての気孔の大きさ(気孔径)を測定し、得られた数値を平均化することによって平均気孔径を測定した。結果を表1に示す。
各実施例及び比較例で製造したコート金属基材について、表面粗さ測定機(東京精密社製、ハンディサーフE−35B)を用いてセラミックコート層の表面粗さRaを測定した。結果を表1に示す。
各実施例及び比較例における(b−1)セラミックコート原料調製工程で調製したセラミックコート原料を水平面に静置したアルミ板上に塗布し、各実施例及び比較例と同様の条件で焼成することで、それぞれ、実施例1、実施例2、比較例1に係る熱伝導率測定用の試験片を作製した。熱伝導率測定用の試験片の膜厚は実施例1に係る試験片が330μm、実施例2に係る試験片及び比較例1に係る試験片が700μmであった。この試験片について、レーザーフラッシュ装置(熱定数測定装置:NETZSCH LFA457 Microflash)を用い、JIS R 1611(2010)に基づいて測定を行い、セラミックコート層の厚さ方向の熱伝導率を測定した。結果を表1に示す。ただし、比較例1に係る試験片は脆く、レーザーフラッシュ装置に設置する際に割れてしまい、熱伝導率を測定することができなかった。
11 基材
12 セラミックコート層
12a セラミックコート層の表面
13 気孔
Claims (9)
- 金属からなる基材を準備する基材準備工程と、
前記基材上に、セラミック原料と界面活性剤とからなるセラミックコート原料を塗布することによりセラミックコート層形成用の塗布層を形成する塗布層形成工程と、
前記塗布層が形成された基材を300〜600℃で焼成してセラミックコート層を形成させる焼成工程とからなり、
前記金属は、アルミニウム又はアルミニウム合金であることを特徴とするコート金属基材の製造方法。 - 前記塗布層形成工程よりも前に、前記基材の表面にアルマイト層を形成するアルマイト層形成工程を行う請求項1に記載のコート金属基材の製造方法。
- 前記セラミック原料は、軟化点が250〜550℃の低軟化点ガラスである請求項1又は2に記載のコート金属基材の製造方法。
- 前記界面活性剤は、水溶性である請求項1〜3のいずれかに記載のコート金属基材の製造方法。
- 前記界面活性剤の熱分解温度は200〜600℃である請求項1〜4のいずれかに記載のコート金属基材の製造方法。
- 前記セラミックコート原料は、さらに結晶性無機材を含む請求項1〜5のいずれかに記載のコート金属基材の製造方法。
- 前記結晶性無機材は、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ランタニア、サマリア、シリカ、イットリア、カルシア、マグネシア、セリア、及び、ハフニアからなる群から選択される少なくとも一種からなる請求項6に記載のコート金属基材の製造方法。
- 前記塗布層形成工程では、前記セラミックコート原料を10〜1000μmの厚さに塗布する請求項1〜7のいずれかに記載のコート金属基材の製造方法。
- 前記塗布層形成工程よりも前に、前記基材に対して粗化処理を行う請求項1〜8のいずれかに記載のコート金属基材の製造方法。
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