JP6046665B2 - 断熱膜の形成方法および断熱膜 - Google Patents

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Description

この発明は断熱膜の形成方法および断熱膜の構造に関する。
従来、特開2013−014830号公報には、エンジンバルブの傘部に断熱膜を形成する方法が開示されている。この従来法は、具体的に、エンジンバルブの全周にアルミニウムめっき被膜を形成する第1のステップと、当該アルミニウムめっき被膜の形成後、エンジンバルブの全周を陽極酸化処理して陽極酸化被膜を形成する第2のステップと、陽極酸化被膜の形成後、エンジンバルブの傘部を封孔処理して封孔被膜を形成する第3のステップと、を備えている。この従来法によれば、陽極酸化被膜の表面に封孔被膜が形成された構造を有する断熱膜を得ることができる。また、上記断熱膜が形成されたエンジンバルブによれば、エンジンの燃焼室の耐熱性や断熱性に加え、放熱性も向上できる。
特開2013−014830号公報 特開2012−047110号公報 特開2013−060620号公報 特開2012−172619号公報
ところで、アルミニウム合金の陽極酸化処理に際しては、アルミニウム合金に含まれる介在物が陽極酸化被膜の形成に影響を及ぼすことから、形成された陽極酸化被膜の表面は平滑とはならずに微細な凹凸が生じるという問題がある。この問題は、上記第1および第2のステップと同様にしてエンジンバルブの表面にアルミニウム合金のめっき被膜を形成し、その後に当該めっき被膜を陽極酸化処理した場合にも起こり得る。
陽極酸化被膜の表面に凹凸が生じると熱伝達面積が増加する。熱伝達面積が増加すれば、陽極酸化被膜による断熱性の向上効果が薄れてしまう。陽極酸化被膜の表面に凹凸が生じた場合、燃焼室内で生じた火炎の流動性が低下し、燃焼効率が悪化してしまう。この点、上記第3のステップにおいて形成する封孔被膜によれば、陽極酸化被膜と封孔被膜とから形成された構造を有する断熱膜の表面をある程度滑らかにすることができる。理想的には、陽極酸化処理前のアルミニウム合金の表面と同じ程度まで断熱膜の表面が平滑化されることが望ましい。
ここで、封孔被膜は、封孔被膜の原料である封孔材の乾燥・焼成を行うことで形成される。そのため、封孔被膜によって断熱膜の表面を平滑化するためには、陽極酸化被膜の表面の凹み部分に封孔材を多く設けて厚くする必要がある。しかし、封孔材には溶媒が含まれているので、封孔材を厚くするほど乾燥・焼成時に生じる溶媒のガスが外部に抜け難くなり、封孔被膜にクラックが生じ易くなるという問題がある。このように、封孔材を厚くして断熱膜の表面を平滑化することと、封孔被膜のクラックを低減することとはトレードオフの関係にあり、両立させることは困難であった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、陽極酸化被膜の表面に封孔被膜が形成された構造を有する断熱膜において、当該断熱膜の表面の平滑化と当該封孔被膜のクラックの低減化の両立を図ることを目的とする。
第1の発明は、断熱膜の形成方法であって、
母材の表面を構成するアルミニウム合金を陽極酸化処理して、細孔が開口する表面を有する陽極酸化被膜を形成するステップと、
ケイ素系ポリマー溶液と、当該ケイ素系ポリマー溶液に分散された前記母材の表面を構成するアルミニウム合金よりも低い熱伝導率と単位体積当たりの熱容量とを有する断熱性素材の粒子であって、前記細孔の外径よりも大きい一次粒子径を有する粒子と、を含む封孔材を前記陽極酸化被膜の表面に塗工するステップと、
前記封孔材を乾燥・焼成して封孔被膜を形成するステップと、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記粒子が中空構造を有する粒子であることを特徴とする。
また、第3の発明は、
前記粒子の平均一次粒子径が30nmよりも大きいことを特徴とする。
また、第4の発明は、断熱膜であって、
母材の表面を構成するアルミニウム合金と、
前記アルミニウム合金の表面に設けられ、細孔が開口する表面を有する陽極酸化被膜と、
前記陽極酸化被膜の表面を覆うように設けられ、前記母材の表面を構成するアルミニウム合金よりも低い熱伝導率と単位体積当たりの熱容量とを有する断熱性素材の粒子であって、前記細孔の外径よりも大きい一次粒子径を有する粒子を含む封孔被膜と、
を備え
前記粒子が中空構造を有する粒子であり、
前記封孔被膜における空孔率が27.3〜57.7%であることを特徴とする。
第1の発明によれば、ケイ素系ポリマー溶液と、当該ケイ素系ポリマー溶液に分散された母材の表面を構成するアルミニウム合金よりも低い熱伝導率と単位体積当たりの熱容量とを有する断熱性素材の粒子であって、陽極酸化被膜の細孔の平均細孔径よりも大きい平均粒子径を有する粒子と、を含む封孔材を使用して封孔処理を行うことができる。このようなサイズの断熱性素材の粒子を含む封孔材を使用した場合は、当該粒子を含まない封孔材を使用した場合に比べ、乾燥・焼成過程でのクラックの発生を抑制できる。そのため、陽極酸化被膜の表面の凹み部分に封孔材を多く設けて厚くした場合においても、クラックの発生を抑制できる。また、当該封孔材の乾燥・焼成により形成した厚い封孔被膜によって断熱膜の表面を平滑化できる。
第2の発明によれば、中空構造の粒子内の空気の断熱機能を利用できるので、中空構造の粒子を含まない断熱膜に比べて断熱性の高い断熱膜を形成できる。
第3の発明によれば、その平均一次粒子径が30nmよりも大きい粒子によって、断熱性の高い断熱膜を形成できる。
第4の発明によれば、陽極酸化被膜の細孔の開口部を覆うように形成された封孔被膜を備えるので、当該開口部よりも深い箇所に位置する細孔の内部の空気の断熱機能を利用した断熱性の高い断熱膜を提供できる。また、第4の発明によれば、空孔率が27.3〜57.7%の封孔被膜によって断熱性の高い断熱膜を提供できる。
本発明の断熱膜の形成方法の実施の形態を説明するフロー図である。 陽極酸化被膜の垂直断面図である。 図2の陽極酸化被膜10の部分拡大模式図である。 実施の形態の形成方法により形成した断熱膜22の垂直断面図である。 中空シリカ粒子を含まない封孔材を使用して形成した断熱膜の断面図である。 図5の封孔被膜の形成過程を示した図である。 本発明の断熱膜が適用された燃焼室の周辺を説明するための図である。 図7の断熱膜22の部分拡大模式図である。 熱伝導率λの測定結果を示した図である。 体積熱容量Cの測定結果を示した図である。 表面粗さRaの測定結果を示した図である。
以下、図1乃至図11を参照しながら、本発明の断熱膜の形成方法および断熱膜の実施の形態を説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化しまたは省略する。
[断熱膜の形成方法]
先ず、本発明の断熱膜の形成方法の実施の形態を説明する。図1は、断熱膜の形成方法の実施の形態を説明するフロー図である。本実施の形態では、先ず、母材の陽極酸化処理によりアルミニウム合金の表面に陽極酸化被膜を形成する(ステップS1)。本ステップでは、電解液を流通させる流路と一対の電極とを備える処理装置(図示しない)を使用する。また、本ステップでは、アルミニウム合金製の母材を使用する。但し、アルミニウム合金製の母材の代わりに、耐熱鋼、炭素鋼、チタン材料などの表面に、アルミニウム合金のめっき被膜を形成した母材を使用してもよい。
ステップS1においては、具体的に、上記処理装置に上記母材を設置し、上記流路に電解液を流通させながら上記一対の電極間に電圧を印加する。これにより、上記母材の表面に陽極酸化被膜を形成する。陽極酸化被膜は、その表面に開口する多数の細孔を有する多孔質アルミナの被膜である(詳細は後述)。このような多孔質構造により、陽極酸化被膜は、低い熱伝導率と、低い単位体積当たりの熱容量とを実現する(詳細は後述)。
但し、陽極酸化被膜の表面は、陽極酸化処理前の母材の表面に比べて粗いものとなる。図2は、陽極酸化被膜の垂直断面図である。図2に示すように、陽極酸化被膜10の表面には凹凸が生じており、表面粗さ(算術平均粗さ)Raは平均4〜5μmである。陽極酸化被膜10の表面に凹凸が生じるのは、アルミニウム合金に含まれる介在物が、陽極酸化被膜10の形成に影響を及ぼすためである。以下に説明するステップS2およびS3は、このような陽極酸化被膜10を構成要素とする断熱膜の表面の平滑化をその目的の一つとしている。
図1に戻り本実施の形態の説明を続ける。ステップS1に続いて、陽極酸化被膜の表面に封孔材を塗工する(ステップS2)。本ステップでは、主鎖骨格にケイ素を含むケイ素系ポリマー溶液(具体的には、ポリシラザンまたはポリシロキサンと、エーテル系の溶媒とを含むポリマー溶液)と、当該ケイ素系ポリマー溶液に分散されたシリカ粒子と、を含む封孔材を使用する。また、ポリマー溶液は必要に応じて添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、粒子の分散性を高める分散剤や、レベリング剤、界面活性剤、粘度調整剤等が挙げられる。また、本ステップでは、このシリカ粒子に、陽極酸化被膜の細孔の平均細孔径よりも大きい平均一次粒子径(凝集して二次粒子になる前の平均粒子径)を有し、尚且つ、中空構造を有するものを使用する。但し、中空構造のシリカ粒子(以下「中空シリカ粒子」と称す)の代わりに、中実構造のシリカ粒子を使用してもよいし、シリカ以外の断熱性素材の粒子(例えばアルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)の粒子など)を使用してもよい。また、上記3種類の粒子のうちの2種類以上を同時に使用してもよい。
陽極酸化被膜の細孔の平均細孔径が約30nmであることから、本ステップでは、平均一次粒子径が30nm(好ましくは50nm)よりも大きい中空シリカ粒子を使用する。但し、本実施の形態により形成する断熱膜の表面粗さRaの目標値が約1μmであることから、本ステップでは、平均二次粒子径が1μm(好ましくは500nm、より好ましくは150nm)よりも小さい中空シリカ粒子を使用する。
ここで、平均細孔径とは、走査型電子顕微鏡による断面画像を複数の倍率で撮影し、スキャナー入力法でデジタル化した後、コンピュータ画像解析によって抽出された各細孔の面積と等しい面積を有する円の直径の分布を算出して求めた算術平均径を意味するものとする。また、平均一次粒子径とは、透過型電子顕微鏡を用いて粒子透過画像を複数の倍率で撮影し、スキャナー入力法でデジタル化した後、コンピュータ画像解析によって抽出された各粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の分布を算出して求めた算術平均径を意味するものとする。また、平均二次粒子径とは、動的散乱法によって得られる平均粒子径(D50値)であり、市販の粒度分析測定装置によって簡便に測定することができる。
封孔材における中空シリカ粒子の配合割合は、封孔材の乾燥・焼成後(ステップS3の後)に形成される封孔被膜の空孔率の目標値(27.3%〜57.7%)に応じて適宜調節される。
ここで、封孔材塗布後の陽極酸化被膜の表面について図3を参照しながら説明する。図3は、図2の陽極酸化被膜10の部分拡大模式図である。図3に示すように、陽極酸化被膜10は、アルミニウム合金の表面に対して垂直な方向の長さが不均一なアルミナ10aと、細孔10bとから構成されている。また、ケイ素系ポリマー溶液14と中空シリカ粒子16とから構成される封孔材12は、細孔10bの開口部10cを覆うように設けられている。また、封孔材12は、陽極酸化被膜10の表面の凹み部分に多く設けられ、隆起部分に少なく設けられる。
図1に戻り本実施の形態の説明を続ける。ステップS2における封孔材の塗工手法は特に限定されず、例えば、スプレー法、ブレードコート法、スピンコート法、刷毛塗り法等が挙げられる。
ステップS2に続いて、封孔材を乾燥・焼成して封孔被膜を形成する(ステップS3)。乾燥・焼成時の条件(温度、時間等)は、陽極酸化被膜の表面に塗工した封孔材の厚さに応じて適宜調節される。本ステップを経ることで、断熱膜が形成される。図4は、本実施の形態の形成方法により形成した断熱膜の垂直断面図である。図4に示すように、陽極酸化被膜10の表面には、中空シリカ粒子16と、ケイ素系ポリマー由来のシリカ18とから構成される封孔被膜20が形成される。陽極酸化被膜10と封孔被膜20とから断熱膜22が構成される。断熱膜22の表面粗さRaは、1μm以下である。断熱膜22の構造の詳細や断熱膜22の構造による効果については後述する。
本実施の形態の効果について、図5乃至図6を参照しながら説明する。図5に示す断熱膜30a,30bは、断熱膜22との比較を目的として形成した断熱膜である。断熱膜30aは、中空シリカ粒子を含まない封孔被膜32aと、陽極酸化被膜10とから構成されている。図5(b)に示す断熱膜30bは、中空シリカ粒子を含まない封孔被膜32bと、陽極酸化被膜10とから構成されている。封孔被膜32bの膜厚は封孔被膜32aの膜厚よりも大きく、図4の封孔被膜20の膜厚と略同等である。但し、封孔被膜32bにはクラック34が生じている。
図6(a)は封孔被膜32aの形成過程を示した図であり、図6(b)は封孔被膜32bの形成過程を示した図である。中空シリカ粒子を含まない封孔材36aを薄く塗工した場合は(図6(a))、乾燥・焼成時における封孔材36aの上部(表面部)の乾燥速度と、封孔材36aの内部の乾燥速度とが略等しくなる。そのため、乾燥・焼成時に生じた溶媒のガスは、封孔材36aの内部から外部に放出される。一方、中空シリカ粒子を含まない封孔材36bを厚く塗工した場合は(図6(b1))、封孔材36bの内部よりも上部の方が先に硬化する。そのため、乾燥・焼成時に生じた溶媒のガスが封孔材36bの内部から抜け出すことができず、封孔被膜32bにクラック34が生じてしまう(図6(b2))。
図5乃至図6から分かるように、中空シリカ粒子を含まない封孔材を使用する場合は、封孔材を厚く塗工するほど乾燥・焼成時に封孔被膜にクラックが生じ易くなるという問題がある(図5(b),図6(b))。また、封孔材を薄く塗工すると、薄い封孔被膜が形成されるので断熱膜の表面を十分に平滑化することができない(図5(a),図6(a))。これに対し、本実施の形態では、上記サイズの中空シリカ粒子を含む封孔材を使用するので、乾燥・焼成時に生じた溶媒のガスを封孔材の内部から外部に放出できる。この理由の一つとして、封孔材の内部で生じた溶媒のガスが中空シリカ粒子の表面を伝って封孔材の上部に移動し易くなることが挙げられる。従って、封孔材を厚く塗工した場合においても、クラックが生じるのを良好に抑制できる。よって、厚い封孔被膜を形成して断熱膜の表面を平滑化できる。
断熱膜
次に、本発明の断熱膜の実施の形態を説明する。本発明の断熱膜は、エンジンの燃焼室の内壁に適用される。図7は、本発明の断熱膜が適用された燃焼室の周辺を説明するための図である。なお、図7においては、火花点火式のエンジンを前提に説明するが、本発明の断熱膜は圧縮着火式のエンジンにも適用できる。

エンジン40の気筒42は、シリンダブロック44の内部に形成されている。気筒42の内周面にはシリンダライナ46が設けられている。また、気筒42の内部には、ピストン48がシリンダライナ46に対し摺動可能に配置されている。シリンダブロック44の上部には、シリンダヘッド50が組み付けられている。シリンダヘッド50には、吸気ポート52と排気ポート54が形成されている。吸気ポート52には吸気バルブ56が設けられ、排気ポート54には排気バルブ58が設けられている。
シリンダライナ46の内周面、ピストン48の頂面、シリンダヘッド50の底面、吸気バルブ56の傘部の底面および排気バルブ58の傘部の底面によって囲まれた空間が燃焼室60に該当する。つまり、燃焼室60の内壁は、シリンダライナ46の内周面、ピストン48の頂面、シリンダヘッド50の底面、吸気バルブ56の傘部の底面および排気バルブ58の傘部の底面から構成される。上記方法で形成した断熱膜22は、この燃焼室60の内壁に設けられている。
図8は、図7の断熱膜22の部分拡大模式図である。図8に示すように、断熱膜22は、陽極酸化被膜10と封孔被膜20とを備える構造となっている。陽極酸化被膜10は、アルミナ10aと細孔10bとから構成されている。封孔被膜20は、中空シリカ粒子16とシリカ18とから構成され、開口部10cを覆うように形成されている。
シリカ18は、アルミニウム合金よりも低い熱伝導率と、アルミニウム合金よりも低い単位体積当たりの熱容量(体積熱容量)と、を有している。また、アルミナ10aは、アルミニウム合金は勿論のこと、従来のセラミック系の断熱材よりも低い熱伝導率と、低い体積熱容量とを有している。そのため、断熱膜22の構造を適用すれば、燃焼室60の耐熱性や断熱性に加え、放熱性も向上できる。
また、上記サイズの中空シリカ粒子16を含む断熱膜22の構造によれば、燃焼室60の断熱性を一層向上できる。この理由について、図9乃至図11を参照しながら詳細に説明する。図9は、2種類の断熱膜の熱伝導率λの測定結果を示した図である。また、図10は、2種類の断熱膜の体積熱容量Cの測定結果を示した図である。熱伝導率λおよび体積熱容量Cは、2種類の試料(中空シリカ粒子含有試料および中空シリカ粒子非含有試料)について比熱容量Cと熱拡散率αを測定し、次式により算出したものである。
λ=C・ρ・α
C=C・ρ
ここで、Cは比熱容量、ρは密度、αは熱拡散率をそれぞれ意味する。
中空シリカ粒子含有試料(以下、「試料A」と称す)は、次のように作製した。先ず、基材(アルミニウム合金のテストピース)を陽極酸化処理して、陽極酸化被膜を形成する。続いて、ポリシラザン溶液(含有成分および割合:ジエチルエーテル72%、ポリ(ペルヒドロシラザン)20%、アニソール8%)中に中空シリカ粒子(グランデックス株式会社製の中空シリカ粒子(一次粒子径90〜110nm))を混合し、スターラーにて十分に撹拌して封孔材を調製する。続いて、陽極酸化被膜に封孔材を刷毛にて5回塗布し、更に180℃の恒温槽で8時間乾燥・焼成して試料Aを作製した。中空シリカ粒子非含有試料(以下、「試料B」と称す)は、ポリシラザン溶液を封孔材として使用した以外は試料Aと同様にして作製した。
比熱容量Cと熱拡散率αの測定条件等は次のとおりである。
(1)比熱容量C
測定方法:DSC法
測定装置:TAインスツルメント製 DSC Q1000
参照試料:サファイア
測定雰囲気:N雰囲気
測定試料:各試料をΦ6mmに加工後、塩酸中で基材を溶解し、膜のみの試料を作製
(2)熱拡散率α
測定方法:レーザフラッシュ法
測定装置:NETZSCH製 LFA457
測温方法:InSbセンサによる非接触測温
表面処理:グラファイトスプレー
測定雰囲気:N雰囲気
算出手法:基材と膜が一体の状態で測定し、パルス幅補正・熱損失を含む多層解析により膜のみの熱拡散率を算出
図9乃至図10の測定結果は、試料Bを基準とした百分率として示している。図9乃至図10に示すように、試料A(粒子あり)は、試料B(粒子なし)に比べて熱伝導率λが低くなり、体積熱容量Cも低くなる。この結果から、試料Aは、試料Bよりも断熱性に優れることが分かる。この理由の一つとして、中空シリカ粒子を含むことで、中空シリカ粒子の内部空間の空気が細孔10bの内部の空気と同様に機能することが挙げられる。
試料Aが断熱性に優れる別の理由として、当該試料の表面粗さRaが小さいことが挙げられる。図11は、表面粗さRaの測定結果を示した図である。表面粗さRaは、上記同様に作製した試料Aと、試料Bの両者について測定したものである。但し、試料Aについては、中空シリカ粒子の配合割合を変えて調製した3種類の封孔材を用いて作製した。当該3種類の封孔材の乾燥・焼成後の空孔率(=中空シリカ粒子の内部空間の体積/試料の体積×100)は、次のとおりである。
試料A1:27.3%(空孔率:低)
試料A2:46.3%(空孔率:中)
試料A3:57.7%(空孔率:高)
表面粗さRaは、JISB601(2001)に準拠して測定した。図11の測定結果は、試料Bを基準とした百分率として示している。図11に示すように、試料A1乃至A3(粒子あり)は、試料B(粒子なし)に比べて表面粗さRaが小さくなる。また、試料A3は、試料A1や試料A2よりも表面粗さRaが小さくなる。表面粗さRaが小さいということは、当該試料の表面が滑らかで熱伝達面積が小さいことを意味する。従って、試料Aは試料Bよりも断熱性に優れることが分かる。また、試料A3は、試料A1や試料A2よりも断熱性に優れることが分かる。
10 陽極酸化被膜
10a アルミナ
10b 細孔
10c 開口部
12,36 封孔材
14 ケイ素系ポリマー溶液
16 中空シリカ粒子
18 シリカ
20,32a,32b 封孔被膜
22,30a,30b 断熱膜
34 クラック
60 燃焼室

Claims (4)

  1. 母材の表面を構成するアルミニウム合金を陽極酸化処理して、細孔が開口する表面を有する陽極酸化被膜を形成するステップと、
    ケイ素系ポリマー溶液と、当該ケイ素系ポリマー溶液に分散された前記母材の表面を構成するアルミニウム合金よりも低い熱伝導率と単位体積当たりの熱容量とを有する断熱性素材の粒子であって、前記細孔の外径よりも大きい一次粒子径を有する粒子と、を含む封孔材を前記陽極酸化被膜の表面に塗工するステップと、
    前記封孔材を乾燥・焼成して封孔被膜を形成するステップと、
    を備えることを特徴とする断熱膜の形成方法。
  2. 前記粒子が中空構造を有する粒子であることを特徴とする請求項1に記載の断熱膜の形成方法。
  3. 前記粒子の一次粒子径が30nmよりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の断熱膜の形成方法。
  4. 母材の表面を構成するアルミニウム合金と、
    前記アルミニウム合金の表面に設けられ、細孔が開口する表面を有する陽極酸化被膜と、
    前記陽極酸化被膜の表面を覆うように設けられ、前記母材の表面を構成するアルミニウム合金よりも低い熱伝導率と単位体積当たりの熱容量とを有する断熱性素材の粒子であって、前記細孔の外径よりも大きい一次粒子径を有する粒子を含む封孔被膜と、
    を備え
    前記粒子が中空構造を有する粒子であり、
    前記封孔被膜における空孔率が27.3〜57.7%であることを特徴とする断熱膜。
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