JP2020056352A - 内燃機関用部材およびその製造方法 - Google Patents

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俊男 堀江
北條 浩
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浩 北條
福井 健二
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健二 福井
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Fumio Shimizu
富美男 清水
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Naoki Nishikawa
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Abstract

【課題】陽極酸化膜からなる遮熱膜を用いつつ、従来よりも熱伝導率の低減(遮熱性の向上)を図れる内燃機関用部材を提供する。【解決手段】本発明は、アルミニウム合金からなり、内燃機関の燃焼室内壁面の一部を構成する受熱面を有する基体(1)と、受熱面上に形成された遮熱膜(2)とを備えた内燃機関用部材(M)である。遮熱膜は、受熱面に沿う方向に延びた管状の陽極酸化アルミニウムからなる横型ポーラス層(2)を有する。横型ポーラス層は、基体の被処理面にその略法線方向に延びた側壁面(121、122)を有する溝(12)を形成し、その被処理面に陽極酸化処理を行うことにより形成され得る。燃焼ガスからの入熱は、その横型ポーラス層の延在方向を横切る方向からなされるため、横型ポーラス層を有する遮熱膜は高遮熱性(低熱伝導性)を示す。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の燃焼室内壁面の一部を構成する受熱面上に遮熱膜を有する内燃機関用部材等に関する。
内燃機関は、省燃費化等を図るために、熱効率の向上が求められる。このため、燃焼ガスの温度低下を抑制して、燃焼ガスのエネルギーを膨張仕事へ有効に転換させることが必要となる。燃焼ガスの伝熱(放熱)による温度低下を抑制するため、内燃機関の燃焼室内壁面には、低熱伝導性の遮熱膜が設けられる。但し、高熱容量の遮熱膜は、吸気時や圧縮時の加熱源となり、吸気効率の低下や異常燃焼等を招く。そこで遮熱膜は、低熱伝導性(高遮熱性)であると共に、低熱容量で温度追従性に優れること(いわゆる「スイング特性」に優れること)が求められる。このような遮熱膜に関連する記載が下記の文献にある。
特開2010−249008号公報 特開2015−40482号公報
Victor W.Wong et al, "Assessment of Thin Thermal Barrier Coatings for I.C. Engines", Society of Automobile Engineers Document Number: 950980, Date Published: February1995
非特許文献1は、ZrOの溶射膜からなる遮熱膜を提案している。特許文献1は、非特許文献1の溶射膜で生じ易い剥離や脱落がなく、耐久性や信頼性に優れる陽極酸化膜(アルマイト膜)からなる遮熱膜を提案している。特許文献2は、板状のゼオライトを配向分散させたニッケルめっき膜からなり、熱伝導異方性を付与した遮熱膜を提案している。
特許文献1の陽極酸化膜からなる遮熱膜は、低熱伝導性が必ずしも十分ではない。特許文献2の遮熱膜は、母相がニッケル(金属)であるため、熱伝導率の低減がそもそも困難である。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、従来よりも低熱伝導な遮熱膜を備えた内燃機関用部材等を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究した結果、陽極酸化膜を主に構成するポーラス層の延在方向を制御することにより、陽極酸化膜からなる遮熱膜の熱伝導率をさらに低減することを着想した。これを具現化すると共に、その効果を確認した。これらの成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《内燃機関用部材》
本発明の内燃機関用部材は、アルミニウム合金からなり、内燃機関の燃焼室内壁面の一部を構成する受熱面を有する基体と、該受熱面上に形成された遮熱膜と、を備えた内燃機関用部材であって、前記遮熱膜は、前記受熱面に沿う方向に延びた管状の陽極酸化アルミニウムからなる横型ポーラス層を有する。
本発明に係る遮熱膜を構成する横型ポーラス層は、受熱面に沿う方向に延びた(中空)管状の陽極酸化アルミニウムからなる。その延在方向は、受熱面への入熱方向(熱流束方向)に対して略直交する方向となる。このため横型ポーラス層は、従来の縦型ポーラス層(陽極酸化アルミニウムが受熱面の略法線方向へ管状に延びたもの)よりも、燃焼ガスから基体への熱拡散距離が実質的に長くなり易い。その結果、本発明に係る遮熱膜は、従来の遮熱膜よりも熱伝導率が低下する傾向となる。
なお、膜厚(受熱面の法線方向の厚さ)が同じである限り、横型ポーラス層と縦型ポーラス層との間で、陽極酸化アルミニウムの容積差ひいては熱容量差に大差はない。従って、本発明に係る遮熱膜は、従来と同様に低熱容量である。よって本発明の内燃機関用部材は、低熱容量であると共に、従来よりも低熱伝導性(高遮熱性)に優れた遮熱膜を受熱面上に有するため、内燃機関の熱効率(ひいては省燃費化)や排ガス特性の向上により貢献し得る。
《内燃機関用部材の製造方法》
本発明は内燃機関用部材の製造方法としても把握できる。例えば、本発明は、アルミニウム合金からなる基体の被処理面を電解液に接触させて通電することにより、該被処理面に陽極酸化膜を形成する陽極酸化処理工程を備え、前記基体は、前記被処理面上に、該被処理面の略法線方向に延びた縦壁面を有し、前記陽極酸化膜は、該縦壁面の略法線方向に成長した管状の陽極酸化アルミニウムからなる横型ポーラス層を有する内燃機関用部材の製造方法でもよい。
本発明の製造方法では、略法線方向に延びた縦壁面を有する被処理面に陽極酸化処理を行っている。これにより、その縦壁面の略法線方向に成長した管状の陽極酸化アルミニウムからなる横型ポーラス層が、基体の被処理面上に沿って形成される。こうして本発明の製造方法によれば、低熱伝導性の横型ポーラス層を含む遮熱膜で受熱面が被覆された内燃機関用部材が得られる。
《その他》
特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
受熱面上の溝内に横型ポーラス層が形成された様子を示す模式図である。 陽極酸化処理に供される基体の模式図である。 その表面に形成した溝の断面写真である。 陽極酸化処理後の基体表面を観察したSEM像である。 横型ポーラス層と縦型ポーラス層の熱伝導性解析に用いたモデルとその結果を示す図である。
本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は、内燃機関用部材のみならず、その製造方法にも該当し得る。方法的な構成要素であっても、物に関する構成要素となり得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《内燃機関/内燃機関用部材/受熱面》
内燃機関には、レシプロエンジン(ピストンエンジン)、ロータリーエンジン、ガスタービンエンジン、ジェットエンジン等がある。本発明を適用できる限り、内燃機関の種類は問わない。以下、内燃機関の代表例であるレシプロエンジンを主に取り上げつつ、本発明を説明する。なお、レシプロエンジンは、ガソリンエンジンでもディーゼルエンジンでもよい。また、それらは4サイクルエンジンでも2サイクルエンジンでもよい。
内燃機関用部材は、レシプロエンジンの場合なら、ピストン、シリンダーヘッド、シリンダー(スリーブ)、バルブ等である。ロータリーエンジンの場合なら、内燃機関用部材は、ロータやロータハウジング等である。
受熱面は、高温な燃焼ガスが接触する基体の表面である。ピストンなら、頂面(冠面)、トップランドの側周面等が受熱面となる。シリンダーヘッドなら、燃焼室面(副室の内面を含む)が受熱面となる。シリンダーなら、上死点側の側周面(円筒面)が受熱面となる。バルブなら、傘部の裏面(燃焼室側面)が受熱面となる。
受熱面は、平面でも曲面でもよい。燃焼ガスから基体への入熱(熱流束)は、受熱面の法線方向からなされる。受熱面が曲面のとき、厳密な法線方向は、曲面上の各点における接平面に直交する方向となる。しかし、通常は、所定サイズ(例えば10mm以下さらには1mm以下)の平面領域について法線方向を規定すれば足る。本明細書でいう「受熱面の略法線方向」とは、そのように特定される法線方向(α=0°)に対する傾角(α)が、例えば0°〜40°さらには0°〜20°となる方向である。また「受熱面に沿う方向」は、上記の平面領域(θ=0°)に対する傾角(θ)が、例えば0°〜40°さらには0°〜20°となる方向である。
《基体》
基体は、遮熱膜が形成される受熱面を有する限り、内燃機関用部材の全体(本体)でも一部でもよい。基体は、遮熱膜が形成される少なくと燃焼室側(受熱面側)が、アルミニウム合金からなれば足る。つまり、遮熱膜が形成される表面近傍以外の部分は、アルミニウム合金でなくてもよい。
基体は、例えば、受熱面(陽極酸化処理される基体表面)の略法線方向に延びた縦壁面を有するとよい。この受熱面に陽極酸化処理を行うと、その縦壁面の略法線方向に管状の陽極酸化アルミニウム(つまり陽極酸化膜)が成長し、受熱面に沿った横型ポーラス層が形成され易くなる。
なお、縦壁面も、平面でも曲面(円周側面等)でもよい。縦壁面が曲面ときは、受熱面の場合と同様に、縦壁面の法線方向も、所定サイズ(例えば100μm以下さらには10μm以下)の平面領域について法線方向を規定すれば足る。本明細書でいう「縦壁面の略法線方向」は、そのように特定される法線方向(β=0°)に対する傾角(β)が、例えば0°〜40°さらには0°〜20°となる方向とすればよい。
縦壁面は、例えば、受熱面上に形成された溝の(対向した)側壁面でもよい。このとき、横型ポーラス層は、その溝内に形成される。溝の形態も種々考えられる。溝断面は、開溝側が拡張したテーパー状(逆台形状)でも略直方形状または略正方形状等でもよい。溝の延在方向は、直線状でも、曲線状(例えば環状、同心円状等)でもよい。
底部の溝幅(t)は、例えば、20〜200μm、25〜150μmさらには50〜100μmである。その溝幅が過小になると、底部で陽極酸化膜の形成が困難となる。溝幅が過大になると、底面から法線方向に延びる縦型ポーラス層が形成され易くなる。底部は、平坦状でも曲面状でもよい。底部の各溝幅は、上述した範囲内なら、一定でも変化していてもよい。なお、本明細書でいう底部の溝幅(t)は、レーザ顕微鏡(倍率:400倍)または形状測定機で観察した溝断面の画像または測定結果に基づいて、溝の側壁面と底面を直線近似した交点間(変曲点間)の長さとして特定される。ここで直線近似は測壁面中央から下部側の略直線部を外挿して行う。
溝の最表面から底部(最深部)までの溝深さ(d)は、溝幅(t)に対する比(d/t:深さ比)で、1〜10さらには1.3〜5とできる。溝深さ(比)が過大では、底部側で陽極酸化膜の形成が困難となる。溝深さ(比)が過小では、横型ポーラス層も薄くなる。敢えていうと、例えば、溝深さ(d)は30〜200μmさらには45〜100μmとしてもよい。なお、特に断らない限り、本明細書で規定する数値(寸法、比)は、その最大値を、規定した数値範囲に当てはめる。各数値が一定でないとき、上述した溝幅と同様にして、その数値を特定する。
溝は、通常、陽極酸化膜を形成する受熱面上に複数(多数)条形成される。略同形状の溝が受熱面上に複数形成されるとき、そのピッチ(p)は、例えば、溝幅(t)に対する比(p/t)で、1.5〜2.5さらには1.8〜2.2とするとよい。ピッチ(比)が過大になると、横型ポーラス層による被覆面が減少する。ピッチ(比)が過小になると、溝の形成または側壁面の維持が難しくなる。敢えていうと、例えば、ピッチ(p)は50〜150μmさらには75〜125μmとしてもよい。
受熱面上に形成された複数の溝が同形状であるか異形状であるかを問わず、溝の最表面側の隣接間隔であるランド幅(l)は、上述のように特定される溝幅(t)に対する比(l/t)で、0.9〜1.2とするとよい。ランド幅(比)が過大になると、横型ポーラス層による被覆面が減少する。ランド幅(比)が過小になると、溝の形成または側壁面の維持が難しくなる。敢えていうと、例えば、ランド幅(l)は20〜70μmさらには30〜50μmとしてもよい。
縦壁面は、例えば、受熱面上に形成された窪み(孤立した凹部)の周壁面でもよい。このとき、横型ポーラス層は、その窪み内に形成される。窪みの形態は種々考えられる。例えば、有底筒状の窪みなら、その内周壁面からその略法線方向に沿って中心側へ延びた管状の陽極酸化アルミニウムからなる横型ポーラス層が形成される。
窪みの底部、深さ等も、溝幅や溝深さと同様な寸法(比)とすればよい。また、窪みも、通常、受熱面上に複数形成される。窪みの配置を調整することにより、熱伝導率を領域毎に制御することも可能となる(上述した溝も同様)。
《遮熱膜》
遮熱膜は、基体の受熱面に形成される。遮熱膜は、受熱面を、全面的に被覆していてもよいし、部分的に被覆していてもよい。遮熱膜は、主に陽極酸化アルミニウムからなる。陽極酸化アルミニウムは、基体を構成するAlが酸化して生成された酸化アルミニウム(主にAl/アルミナ)からなる。陽極酸化アルミニウムからなる膜(陽極酸化膜)は、基体(基材)自体の酸化を伴う点でめっき膜と異なる。
陽極酸化膜は、通常、緻密なバリヤー層(活性層)と、バリヤー層上に成長するポーラス層とからなる。但し、ポーラス層の厚さは数十〜数百μmであるが、バリヤー層の厚さは高々数十nm程度である。このため陽極酸化膜は、実質的にポーラス層からなると把握できる。
ポーラス層は、一般的に、陽極となる被処理面上で、その被処理面の法線方向に酸化アルミニウムが(直)管状に成長して形成される。従来は、受熱面がそのまま被処理面とされていたため、受熱面の法線方向に酸化アルミニウムが成長した縦型ポーラス層が受熱面上に形成されていた。一方、本発明では、受熱面上にその略法線方向に延在する縦壁面等を設け、その縦壁面を酸化アルミニウムの成長起点としている。このため本発明では、酸化アルミニウムが縦壁面の略法線方向に成長した(つまり受熱面に沿って成長した)横型ポーラス層が受熱面上に形成される。
本発明に係る遮熱膜(陽極酸化膜)は、横型ポーラス層を含めば足る。膜全体が実質的に横型ポーラス層で構成されていてもよいし、横型ポーラス層と縦型ポーラス層が混在したものでもよい。例えば、溝を形成した受熱面上に横型ポーラス層を形成する場合でも、側壁面(縦壁面)がない領域(例えば、隣接する溝間のランド部)には縦型ポーラス層が形成されていてもよい。このように形成された縦型ポーラス層の全部または一部は、残存していてもよいし、研削等により除去されてもよい。
遮熱膜(陽極酸化膜)の膜厚は、例えば、25μm〜400μmさらには50μm〜200μmである。膜厚は、受熱面の法線方向(入熱方向)に沿って測定される。膜厚が一定でないとき、観察視野内で画像処理等により算出した膜厚の(算術)平均値について、数値範囲を適用する。本明細書でいう膜厚は、受熱面の表面近傍の縦断面を顕微鏡で観察した画像(SEM像等)上で、膜の最表面から基体との界面までの深さとして特定される。膜厚の平均値は観察像を画像処理して求められる。
陽極酸化膜(ポーラス層)は、適宜、管状の開口(微細孔)を閉塞する封孔処理がなされてもよい。封孔処理は、例えば、沸騰水や高圧蒸気等に曝したときに生じる体積膨張(酸化アルミニウムの水和物化)を利用して行える。また、ポリシラザンやポリシロキサン等のSi系ポリマーを塗布、焼成してできたケイ素化合物(例えば、シリカを含むケイ酸塩)により封孔処理をしてもよい。
《アルミニウム合金》
基体の受熱面近傍を構成するアルミニウム合金は、内燃機関用部材の仕様に応じて適宜選択される。アルミニウム合金には、鋳造材、展伸材、鍛造材が含まれる。アルミニウム合金の組成(例えばSi量、Cu量)や晶出物サイズ(例えばSi粒径等)等を調整して、遮熱膜(陽極酸化膜)全体の空孔率や空孔サイズを制御してもよい(特開2016−216763号公報、特開2017−214603号公報等参照)。
陽極酸化処理により、Al合金からなる基体の表面に、横型ポーラス層を有する陽極酸化膜(遮熱膜)を形成した試料を製作した。その試料の表面に形成された陽極酸化膜を観察した。横型ポーラス層と縦型ポーラス層の熱伝導性も評価した。このような具体例に基づいて、本発明をさらに詳しく説明する。
《横型ポーラス層の概要》
内燃機関用部材M(ピストン等)となる基体1の受熱面11(ピストン頂面等)に形成した溝12内に、横型ポーラス層2が形成された様子を模式的に図1に示した。図1は、説明の便宜上、溝12内の横型ポーラス層2のみを示している。このような状況は、例えば、陽極酸化処理後の最表面部分を研削することにより得られる。
溝12は、対向する側壁面121、122と、底面123とからなる開溝である。開溝断面は略(長)方形状(矩形状)の凹状であり、側壁面121、122は受熱面11に対して略直交した状態となっている。これにより、側壁面121、122の略法線方向(受熱面11に沿う方向)に、陽極酸化アルミニウムが管状に延在した横型ポーラス層2が形成されている。受熱面11上に多数の溝12を形成する場合を考慮して、各溝12の溝幅(t)および溝深さ(d)に加えて、隣接する溝間のランド幅(l)およびピッチ(p)も図1に併せて示した。
《試料の製造》
(1)被処理材
アルミニウム合金(JISH5202、AC8A)からなる板材(20mm×40mm×2mm)を用意した。その一方の表面上の中央域(20mm×20mm)に、ピッチ:100μmで200本の溝を、レーザ加工により形成した。こうして陽極酸化処理の被処理材(基体)を得た(図2A)。
その被処理材の表面に形成した溝(凹部)の断面を、レーザ顕微鏡で観察した様子を図2Bに示した。図2Bからわかるように、溝幅(t):25μm、溝深さ(d):190 μmの略同形状の溝が、ピッチ(p):100μmで繰り返し形成されていることが確認できた。これは、深さ比(d/t):7.6、ピッチ比(p/t):4、ランド比(l/t):1に相当する。
(2)陽極酸化処理工程
上述した被処理材の表面に陽極酸化処理を施した。陽極酸化処理は、硫酸水溶液(電解液)中に被処理材の表面(被処理面)を浸し、それを陽極、白金電極を陰極として通電して行った。この際、溝を形成した領域以外はマスキングし、被処理材と白金電極の間で通電した。また電解液は、硫酸濃度(質量%):20%、温度(浴温):10℃とした。
通電は、直流電源を用いて、電流密度:125mA/cm、通電時間:16分として行った。通電終了後、被処理材を電解液から取り出して蒸留水でよく洗浄した。さらに圧縮空気を吹き付けて水分を除去した後、大気中で十分に乾燥させた。こうして、被処理面上に陽極酸化膜が形成された試料を得た。
《観察》
(1)試料を陽極酸化膜の膜厚方向(被処理面の法線方向)に沿って切断して、陽極酸化処理後の表面近傍をSEMで観察した。その顕微鏡写真を図3に示した。なお、図3には、その一部(横型ポーラス層の形成部分)を拡大した観察像も併せて示した。
(2)図3から明らかなように、溝の側壁面に対して横方向(略法線方向/被処理面に沿った方向)へ、陽極酸化アルミニウムがナノスケールの管状に成長してできた横型ポーラス層が形成されていることが確認できた。
《熱伝導性の評価》
図4に示すモデルを用いて、横型ポーラス層と縦型ポーラス層の熱伝導性(遮熱性)を3次元熱伝導解析シミュレーションにより評価した。
(1)モデル
Al合金(JISH5202、AC8A相当)からなる基体上に形成された各ポーラス層は、上面側が加熱部(200℃)に接しており、基体の下面側は冷却部(80℃)に接している。
各ポーラス層は、アルミナ(Al)からなる立方体中に、81本(9×9本)の円筒状空洞が横方向(X方向)または縦方向(Z方向)に配列された構造をしている。円筒状空洞は、両端部がアルミナで封孔されている。そのため、立方体の一辺の長さは50であるが、円筒状空洞の長さは48とした。なお、ここで説明する寸法および図4に示した寸法は、便宜上、mm単位で計算した。また、解析対象の外側と円筒状空洞内は、断熱状態として計算した。
(2)解析結果
解析ソフト(メンター・グラフィックス・ジャパン株式会社製 FloEFD)を用いて、上述したモデルの各ポーラス層直下にある基体表面(受熱面)の温度をシミュレーションした。定常状態において、縦型ポーラス層の場合、基体表面(受熱面)の温度は90.78℃となった。一方、横型ポーラス層の場合、その温度は85.70℃となった。この計算結果から、横型ポーラス層の方が縦型ポーラス層よりも、基体の表面温度の上昇を約5℃抑制できることがわかった。また、受熱面の法線方向(Z方向)に関する平均熱伝導率は、横型ポーラス層:6.8W/mK、縦型ポーラス層:13.2W/mKとなった。
以上のことから明らかなように、横型ポーラス層の方が縦型ポーラス層よりも、加熱部から基体への熱流束が少ないこと(つまり低熱伝導性で高遮熱性であること)が明らかとなった。こうして本発明のように、横型ポーラス層を有する遮熱膜を受熱面に設けることにより、従来よりも遮熱性(断熱性)に優れた内燃機関用部材が提供されることが確認された。

Claims (9)

  1. アルミニウム合金からなり、内燃機関の燃焼室内壁面の一部を構成する受熱面を有する基体と、
    該受熱面上に形成された遮熱膜と、
    を備えた内燃機関用部材であって、
    前記遮熱膜は、前記受熱面に沿う方向に延びた管状の陽極酸化アルミニウムからなる横型ポーラス層を有する内燃機関用部材。
  2. 前記基体は、前記受熱面上に、該受熱面の略法線方向に延びた縦壁面を有し、
    前記横型ポーラス層は、該縦壁面の略法線方向に延びている請求項1に記載の内燃機関用部材。
  3. 前記基体は、前記縦壁面を側壁面とする溝を有し、
    前記横型ポーラス層は、該溝内に形成されている請求項2に記載の内燃機関用部材。
  4. 前記溝は、底部の溝幅(t)が20〜200μmである請求項3に記載の内燃機関用部材。
  5. 前記溝は、最表面から前記底部までの溝深さ(d)が前記溝幅に対する比(d/t)で1〜10である請求項4に記載の内燃機関用部材。
  6. 前記溝は、前記受熱面上に複数形成されており、ピッチ(p)が前記溝幅(t)に対する比(p/t)で1.5〜10である請求項4または5に記載の内燃機関用部材。
  7. 前記溝は、最表面側の隣接間隔であるランド幅(l)が前記溝幅(t)に対する比(l/t)で0.9〜1.2である請求項4〜6のいずれかに記載の内燃機関用部材。
  8. 前記基体は、前記縦壁面を周壁面とする窪みを有し、
    前記横型ポーラス層は、該窪み内に形成されている請求項2に記載の内燃機関用部材。
  9. アルミニウム合金からなる基体の被処理面を電解液に接触させて通電することにより、該被処理面に陽極酸化膜を形成する陽極酸化処理工程を備え、
    前記基体は、前記被処理面上に、該被処理面の略法線方向に延びた縦壁面を有し、
    前記陽極酸化膜は、該縦壁面の略法線方向に成長した管状の陽極酸化アルミニウムからなる横型ポーラス層を有する内燃機関用部材の製造方法。
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