JP2016028972A - サーマルプリンタ - Google Patents

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Abstract

【課題】記録紙のカール矯正を行うことが可能でかつ、印画品質が良く、信頼性の高い、両面印刷が可能なサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】サーマルプリンタ100は、記録紙2aの第1主面がサーマルヘッド1側に来るように、サーマルヘッド1とプラテンローラ6との間隙の一方入口に導く第1の経路30bと、記録紙2aの第2主面がサーマルヘッド1側に来るように、サーマルヘッド1とプラテンローラ6との間隙の他方入口に導く第2の経路30cと、第1、第2の経路30b,30cを切り替える切り替えガイド20と、記録紙2aのカールを矯正するカール矯正機構40と、を備え、カール矯正機構40は、記録紙ロール2の内側の面に印刷する際に記録紙2aが導かれる内側面印刷経路において、プラテンローラ6の上流に配置され、カール矯正機構40は、記録紙2aのカールを矯正するか否かを切り替え可能である。
【選択図】図2

Description

本発明はサーマルプリンタに関し、特にロール状に巻かれた記録紙の巻き癖を矯正するため機構を備えた、両面印刷を行うサーマルプリンタに関するに関する。
記録紙に熱転写して印刷を行うサーマルプリンタにおいては、記録紙がロール状に巻かれた記録紙ロールがコスト面で有利のため、広く利用されている。この記録紙ロールは、長尺状の記録紙を例えば巻き芯となる紙管に円筒状に巻いたものである。印画の都度、記録紙ロールから必要量の記録紙を巻き出し、印画の終了後に所定の長さで記録紙を記録紙ロールからカットして排紙する。
記録紙ロールから巻き出された記録紙には、巻き癖(以降ではカールと呼ぶ)が付いている。カールは、記録紙が巻き芯に近いほど顕著となる。
そのため、巻き出された記録紙が、カールが付いたままの状態で排紙された場合、カールの影響で印画物がスタック出来ない、印画物の品位を損ねる、あるいは、紙詰まりなどの原因となっていた。
従来のサーマルプリンタにおいては、記録紙を、カールの湾曲方向に対して逆の方向に屈曲してカールを矯正する、カール矯正機構が配置されている。例えば特許文献1においては、カール矯正機構は、記録紙の印画される送り方向に対して、サーマルヘッドよりも下流側で、かつサーマルヘッドによる余熱が記録紙に残留している位置に配置される。
特開2007−197123号公報
従来のサーマルプリンタでは、記録紙がサーマルヘッドを通過後に記録紙とインクリボンを剥離するインクリボン剥離部材に記録紙とインクリボンをカール矯正ローラで一緒に押し付けることによりカールと逆方向の屈曲を与えている。しかしながら、インクリボン剥離部材でインクリボンのみを記録紙から離すように構成できていないのでインクリボンの剥離不良を起こすという問題があった。
また、印画時は、記録紙の搬送速度の変化が印画への影響とならないように、記録紙は所定の一定速度で精密に搬送されている。しかしながら、従来のカール矯正方法では、記録紙がサーマルヘッドを通過する速度が変動するため、印画が不均一となり印画品質を低下させるという問題があった。
また、両面印刷が可能なサーマルプリンタでは、ロールの巻き方向の矯正に対しては有効であるカール矯正機構が、反対の面の場合には逆効果となる問題があった。
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、記録紙のカール矯正を行うことが可能でかつ、印画品質が良く、信頼性の高い、両面印刷が可能なサーマルプリンタの提供を目的とする。
本発明に係るサーマルプリンタは、サーマルヘッドと、サーマルヘッドと対向配置されたプラテンローラと、記録紙ロールから引き出した記録紙を、記録紙の第1主面がサーマルヘッド側に来るように、サーマルヘッドとプラテンローラとの間隙の一方入口に導く第1の経路と、記録紙ロールから引き出した記録紙を、記録紙の第2主面がサーマルヘッド側に来るように、サーマルヘッドとプラテンローラとの間隙の他方入口に導く第2の経路と、第1、第2の経路を切り替える切り替えガイドと、記録紙のカールを矯正するカール矯正機構と、を備え、カール矯正機構は、第1、第2の経路のうち、記録紙ロールの内側の面に印刷する際に記録紙が導かれる内側面印刷経路において、プラテンローラの上流に配置され、カール矯正機構は、記録紙のカールを矯正するか否かを切り替え可能である。
本発明に係るサーマルプリンタにおいては、内側面印刷経路(即ち、第1の経路)において、カール矯正機構をサーマルヘッドの下流ではなく、上流側に配置したため、カール矯正機構がサーマルヘッドとグリップローラの間に配置されない。従って、カール矯正機構がインクシートの剥離を阻害することがない。また、記録紙の搬送速度を一定に保つことが可能である。また、カール矯正機構は、印刷動作に連動させて、カール矯正機構のオン、オフを自在に切り替えることができる。よって、印画品質が良く、信頼性の高いサーマルプリンタを得ることができる。
本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタの断面図である。 図1における記録紙の搬送経路を示す図である。 本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタに備わる切り替えガイドの構成および動作を示す図である。 本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタに備わるカール矯正機構の構成および動作を示す図である。 本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタに備わるカール矯正機構の構成および動作を示す図である。 本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタに備わるカール矯正機構の構成および動作を示す図である。 本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタの機能ブロック図である。 本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタの印刷動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタの裏面印刷動作を説明する図である。 本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタの裏面印刷動作を説明する図である。 本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタの裏面印刷動作を説明する図である。 本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタの裏面印刷動作を説明する図である。 本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタの表面印刷動作を説明する図である。 本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタの表面印刷動作を説明する図である。 本発明の実施の形態に係るサーマルプリンタの表面印刷動作を説明する図である。 本発明の実施形態に係るサーマルプリンタのカール矯正機構の動作を示すフローチャートである。 記録紙ロールの巻き径に対するカール量とカール矯正量の関係を示す図である。 本発明の実施形態に係るサーマルプリンタの記録紙の搬送方向、サーマルヘッドのヒータのオン、オフ、保持部材の回動のそれぞれのタイミングを示す図である。
<実施の形態1>
<全体構成>
図1は、本発明の実施の形態におけるサーマルプリンタ100の構成を示す図である。また、図2は、図1におけるサーマルプリンタ100の記録紙の搬送経路を示す図である。図1に示すように、サーマルプリンタ100は、サーマルヘッド1と、サーマルヘッド1と対向配置されたプラテンローラ6を備える。また、サーマルプリンタ100は、インクシート5を巻き取るインクシート巻取りボビン3と、インクシート5を巻き出すインクシート巻き出しボビン4を備える。また、サーマルプリンタ100には、記録紙2aがロール状に巻かれた記録紙ロール2がセットされる。
サーマルヘッド1は、プラテンローラ6上でインクシート5を記録紙2aに部分的に押し付けつつインクシート5を加熱することにより、熱転写を行うものである。図4に示すように、サーマルヘッド1は、本体と、ヒータ30と、IC(Integrate Circuit)カバー13と、ヒートシンク(図示せず)と、剥離ローラ31とを備える。ヒータ30はサーマルヘッド1の発熱部である。ICカバー13はサーマルヘッド1のIC部分を覆うものである。ヒートシンクはサーマルヘッド1を冷却するものである。剥離ローラ31は、インクシート5のうちサーマルヘッド1と巻取ボビン8との間に位置する部分に接する円筒面を有し、回転可能に支持され、記録紙2aからインクシート5を剥離するものである。ガイドローラ32は、インクシート5のうち剥離ローラ31と巻取ボビン8との間に位置する部分に接する円筒面を有し、インクシート5のうち熱転写が行われた部分を巻取ボビン8の方へと案内するものである。
図2に示すように、サーマルプリンタ100は、記録紙ロール2から引き出した記録紙2aを、切り替えガイド20まで導く導入経路30aを備える。また、サーマルプリンタは、記録紙2aの第1主面(即ち裏面)がサーマルヘッド1側に来るように、サーマルヘッド1とプラテンローラ6との間隙の一方入口に導く第1の経路30bを備える。また、サーマルプリンタ100は、記録紙ロール2から引き出した記録紙2aを、記録紙2aの第2主面(即ち、表面)がサーマルヘッド1側に来るように、サーマルヘッド1とプラテンローラ6との間隙の他方入口に導く第2の経路30cを備える。
サーマルプリンタ100はさらに、第1の経路30bと第2の経路30cを切り替える切り替えガイド20を備える。切り替えガイド20については後述する。
また、サーマルプリンタ100はさらに、記録紙2aの巻き癖(以降ではカールと呼ぶ)を矯正するとともに、記録紙2aの搬送経路を補助するカール矯正機構40を備える。カール矯正機構40については後述する。
また、サーマルプリンタ100はさらに、第1の経路30bからサーマルヘッド1とプラテンローラ6との間隙の一方入口に導かれて印刷された記録紙2aを収納する収納経路30dを備える。収納経路30dは、記録紙ロール2の巻き方向と同じ方向に湾曲している。
また、サーマルプリンタ100はさらに、第2の経路30cを通過した記録紙2aを排出口16まで導く排出経路30eをさらに備える。排出口16には記録紙2aを切断するカッター16aが備わっている。本実施の形態において、排出経路30eの距離は、サーマルプリンタ100において用いられるインクシート5の単位画面における有効印画長よりも大きい。ここで、排出経路30eの距離とは、サーマルヘッド1とプラテンローラ6との間隙から、排出口16までの搬送経路の距離である。
なお、インクシート5は、単位画面分のイエロー(Y)領域、単位画面分のマゼンタ(M)領域、単位画面分のシアン(C)領域、単位画面分のオーバーコート(OP)領域が順に配置され、これらの領域を一組として、この組が繰り返して配置されて構成される。各単位画面において、インクシート5の長手方向の両端には、印画に利用されないマージン(例えば10mm)が設けられている。各単位画面からマージンを除いた領域が、印画に利用される有効印画領域である。各単位画面において、有効印画領域のインクシート5の長手方向の長さを、有効印画長と呼ぶ。
導入経路30aには、記録紙2aを搬送するための給紙ローラ9と、給紙ローラ9と対向するピンチローラ10が設けられている。給紙ローラ9は給紙用モータ9aにより駆動される。また、ピンチローラ10の位置は、図示しないカムにより、給紙ローラ9と圧着した状態、もしくは給紙ローラ9から離れた状態に変化する。この図示しないカムは図示しないモータにより回動される。
導入経路30aには、記録紙2aを円滑に搬送するためにガイドローラ29a,29b,29c,29d,29e,29f,29gが設けられている。また、導入経路30aにおいて、切り替えガイド20の手前には第1センサ50aが設けられている。
また、導入経路30aには、ゴミ取りローラ13a,13bが設けられている。ゴミ取りローラ13a,13bは例えばシリコン製のローラであり、記録紙2aに付着している埃などを除去する。
第1の経路30bには、記録紙2aを搬送するための給紙ローラ11と、給紙ローラ11と対向するピンチローラ12が設けられている。給紙ローラ11は、給紙ローラ9と共通の給紙用モータ9aにより回動する。また、ピンチローラ12の位置は、図示しないカムにより、給紙ローラ11と圧着した状態、もしくは給紙ローラ11から離れた状態に変化する。この図示しないカムは、図示しないモータにより回動される。
第1の経路30bには、記録紙2aを円滑に搬送するためにガイドローラ29h,29i,29j,29nが設けられている。また、第1の経路30bにおいて、例えば、ガイドローラ29iとガイドローラ29jの間の経路には、第2センサ50bが設けられている。
第2の経路30cには、記録紙2aを搬送するためのグリップローラ7と、グリップローラ7と対向するピンチローラ8が設けられている。グリップローラ7は搬送用モータ7aにより回動される。また、ピンチローラ8の位置は、図示しないカムにより、グリップローラ7と圧着した状態、もしくはグリップローラ7から離れた状態に変化する。この図示しないカムは図示しないモータにより回動される。また、第2の経路30cにおいて、ピンチローラ8の手前には、第3センサ50cが設けられている。
収納経路30dの、切り替えガイド20とは反対側の端には第4センサ50dが設けられている。
排出経路30eには、記録紙2aを搬送するための排紙ローラ14と、排紙ローラ14と対向するピンチローラ15が設けられている。排紙ローラ14は排紙用モータ14aにより回動される。また、ピンチローラ15の位置は、図示しないカムにより、排紙ローラ14と圧着した状態、もしくは排紙ローラ14から離れた状態に変化する。この図示しないカムは図示しないモータにより回動される。
排出経路30eには、記録紙2aを円滑に搬送するためにガイドローラ29k,29l,29mが設けられている。また、排出経路30eにおいて、補助ガイド21とガイドローラ29kの間の経路には、第5センサ50eが設けられている。
なお、給紙用モータ9aおよび搬送用モータ7aはステッピングモータであり、後述するモータ制御部60から送られる駆動パルスにより駆動される。また、排紙用モータ14aはDCモータであり、モータ制御部60により駆動される。
また、ピンチローラ10,12,8,15の姿勢を変化させるためのカムを回動する図示しないモータ、記録紙ロール2を回動させるモータ、インクシート巻取りボビン3を回動するモータ、インクシート5を巻き出すインクシート巻き出しボビン4を回動するモータはDCモータであり、後述するモータ制御部60により駆動される。
<切り替えガイド>
図3(a),(b)は、サーマルプリンタ100に備わる切り替えガイド20の構成および動作を示す図である。図3(a),(b)において破線は、記録紙2aの搬送経路を示す。図3(a)は、切り替えガイド20が導入経路30aと第1の経路30bとを接続している状態、即ち、切り替えガイド20が第1の経路30bを選択した状態である。なお、切り替えガイド20が第1の経路30bを選択した状態において、同時に、第2の経路30cと収納経路30dとが接続される。
一方、図3(b)は、切り替えガイド20が導入経路30aと第2の経路30cとを接続している状態、即ち、切り替えガイド20が第2の経路30cを選択した状態である。
図3(a),(b)に示すように、カム20cが切り替えガイド用モータ20bにより回動することにより、カム20cに押し付けられたレバー20aの角度が変化する。レバー20aは切り替えガイド20に固定されているため、レバー20aの角度が変化することにより、切り替えガイド20の角度が変化して、図3(a)もしくは図3(b)に示す状態となる。
<カール矯正機構>
図4、図5および図6は、サーマルプリンタ100に備わるカール矯正機構40の構成および動作を示す図である。カール矯正機構40は、カール矯正ローラ41と、補助ローラ42と、回転軸45と、保持部材43と、DCモータ44とを備える。保持部材43は、カール矯正ローラ41と補助ローラ42を保持する。保持部材43は回転軸45を軸として回動する。DCモータ44は、連結駆動部(図示せず)を介して保持部材43を回動させるための動力である。DCモータ44により保持部材43が回転軸45を中心に回動することにより、カール矯正ローラ41と補助ローラ42の位置が移動する。
図4は、第1の経路30bと、サーマルヘッド1とプラテンローラ6との間隙の他方入口とが円滑に接続されるように、補助ローラ42が搬送経路を補助している状態である。即ち、補助ローラ42が第1の位置に移動して、第1の経路30bを選択した状態である。図4は、カール矯正を行っていない状態(以降、オフ状態と呼ぶ)である。オフ状態においては、保持部材43がプラテンローラ6から離れる方向に回動することによって、補助ローラ42の位置が移動して記録紙2aに押し付けられる。これにより、記録紙2aがプラテンローラ6のローラ面に沿わなくなる。
図5は、カール矯正機構40が記録紙2aのカール矯正を行っている状態(以降、オン状態と呼ぶ)である。図5に示すように、オン状態においては、保持部材43がプラテンローラ6に近づく方向に回動することによって、カール矯正ローラ41が記録紙2aの搬送経路に干渉する方向に移動する。このカール矯正ローラ41の干渉により、記録紙2aがプラテンローラ6のローラ面に沿う。
また、図6は、排出経路30eと、サーマルヘッド1とプラテンローラ6との間隙の他方入口とが円滑に接続されるように、カール矯正機構40の補助ローラ42が搬送経路を補助している状態である。即ち、補助ローラ42が第2の位置に移動して、排出経路30eを選択した状態である。
図4、図5および図6に示すように、カール矯正ローラ41および補助ローラ42が、保持部材43の回動に伴って移動することにより、カール矯正のオン、オフおよび補助ローラ42の選択経路(第1の経路30b、排出経路30e)が切り替わる。
なお、図4から図6において、プラテンローラ6は紙面に対して垂直方向に延在している。カール矯正機構40の保持部材43は、例えば、プラテンローラ6の紙面奥側の端よりも奥に配置されているため、保持部材43がプラテンローラ6に干渉することはない。
<機能ブロック図>
図7は、本発明の実施の形態におけるサーマルプリンタ100の機能ブロック図である。サーマルプリンタ100は、印刷動作を制御するサーマルプリンタ制御部80を備える。サーマルプリンタ制御部80には、第1〜5センサ50a,50b,50c,50d,50eから、記録紙2aを検出したことを示す検出信号が入力される。また、サーマルプリンタ100は、サーマルプリンタ100に備わる各モータを制御するモータ制御部60を備える。サーマルプリンタ制御部80は、第1〜5センサ50a,50b,50c,50d,50eから送信される検出信号に応じて、モータ制御部60を制御する。モータ制御部60は、サーマルプリンタ100に備わる各ステッピングモータを駆動するための駆動パルスを出力する。図5に示すように、モータ制御部60は、給紙用モータ9aと搬送用モータ7aに対して、駆動パルスを送る。また、排紙用モータ14a、プラテンローラ6を回動させるプラテンローラ用モータ6a、切り替えガイド用モータ20bおよびカール矯正用モータ21bはDCモータであり、モータ制御部60により駆動される。
なお、ピンチローラ10,12,8,15の位置を変化させるためのカムを回動する、図示しないDCモータの駆動もモータ制御部60が行う。また、記録紙ロール2、インクシート巻き取りボビン3、インクシート巻き出しボビン4を回動する、図示しないDCモータの駆動もモータ制御部60が行う。
図7に示すように、サーマルプリンタ100のカール矯正機構40は、巻き径検出部72と、カール量推定部46と、カール矯正機構制御部47とを備える。巻き径検出部72は、記録紙ロール2の巻き径を検出する。カール量推定部46は、記録紙ロール2の巻き径から記録紙2aのカール量を推定する。カール矯正機構制御部47は、カール量推定部46が推定したカール量に基づいて、保持部材43の回動量を計算する。そして、サーマルプリンタ制御部80が制御する印刷動作に連動させて、モータ制御部60を制御する。モータ制御部60は、カール矯正機構制御部47から送られる保持部材43の回動量を含む制御指示に基づいて、カール矯正用モータ44を駆動することにより、保持部材43を回動させる。
また、搬送中の記録紙2aのたるみを抑制するために、給紙用モータ9aと給紙ローラ9,11との間、および排紙用モータ14aと排紙ローラ14との間には、トルクリミッタが設けられている。
<動作>
本実施の形態におけるサーマルプリンタ100は、切り替えガイド20を第1の経路30bに切り替えて(即ち、切り替えガイド20を図3(a)の状態にして)、第1の経路30bに記録紙2aを導入して記録紙2aの第1主面(即ち裏面)に印刷を行う第1印刷機能を備える。
本実施の形態におけるサーマルプリンタ100はさらに、第1印刷機能により印刷を行った後に、記録紙2aを巻き戻す巻き戻し機能を備える。
本実施の形態におけるサーマルプリンタ100はさらに、巻き戻し機能により巻き戻した後に、切り替えガイド20を第2の経路30cに切り替えて(即ち、切り替えガイド20を図3(b)の状態にして)、第2の経路30cに記録紙2aを導入して記録紙2aの第2主面(即ち表面)に印刷を行う第2印刷機能を備える。また、本実施の形態におけるサーマルプリンタ100は、記録紙2aが記録紙ロール2に繋がった状態で、記録紙2aの第1、第2主面の両面に印刷を行う。
図8は、サーマルプリンタ100の印刷動作を示すフローチャートである。サーマルプリンタ100は、まず、記録紙2aの第1主面に印刷を行う(図8のステップS101〜S103)。これが第1印刷機能に対応する。次に、サーマルプリンタ100は、記録紙2aを巻き戻す(図8のステップS104)。これが巻き戻し機能に対応する。そして、サーマルプリンタ100は、記録紙2aの第2主面に印刷を行う(図8のステップS105〜S107)。これが第2印刷機能に対応する。
<裏面印刷動作>
まず、図8のフローチャートおよび図9〜図12を用いて裏面印刷動作の説明を行う。図9に示すように、初期状態として記録紙2aの先端は第1センサ50aに検出される位置にある。このとき、第1センサ50aだけが記録紙2aを検出したことを示す検出信号を出力しており、他のセンサ(第2〜第5センサ50b,50c,50d,50e)は検出信号を出力していない。この初期状態において、モータ制御部60は切り替えガイド用モータ20bの駆動を制御して、切り替えガイド20に第1の経路30bを選択させる(図8のステップS101)。つまり、切り替えガイド20は図3(a)の状態となる。それとともにモータ制御部60は、ピンチローラ10を記録紙2aを介して給紙ローラ9に圧着させる。同時に、モータ制御部60は、ピンチローラ12を給紙ローラ11に圧着させる。また、モータ制御部60はカール矯正用モータ84の駆動を制御して、補助ローラ82に第1の経路30bを選択させる。つまり、保持部材43が回動することにより、補助ローラ82は第1の位置(図4に示す位置)に移動する。
次に、図8のステップS102において、モータ制御部60が給紙用モータ9aの駆動を制御して給紙ローラ9を回動させることにより、記録紙2aは切り替えガイド20を通過して、第1の経路30bに導入される。なお、給紙ローラ9の回動に同期して、図示しないモータにより記録紙ロール2も搬送方向に回動される。モータ制御部60が給紙用モータ9aに所定数の駆動パルスを出力したところで、記録紙2aは給紙ローラ11とピンチローラ12の間に達する。モータ制御部60は、引き続き給紙用モータ9aの駆動を行う。記録紙2aが第2センサ50bに達すると、第2センサ50bは検出信号をサーマルプリンタ制御部80に出力する。サーマルプリンタ制御部80が第2センサ50bから検出信号を受けると、モータ制御部60は搬送用モータ7aを駆動してグリップローラ7を回転させる。なお、モータ制御部60が、記録紙2aが第2センサ50bに達するだけの駆動パルスを出力しているにもかかわらず、第2センサ50bから検出信号が出力されない場合、サーマルプリンタ制御部80は、例えば、紙詰まりなどを示す警告を使用者に対して発する。
モータ制御部60は引き続き給紙用モータ9aの駆動を行い、記録紙2aはサーマルヘッド1とプラテンローラ6との間隙の一方入口に導かれる。モータ制御部60は引き続き給紙用モータ9aの駆動を行い、記録紙2aはサーマルヘッド1とプラテンローラ6との間隙を通過して、第3センサ50cに達する。この状態を図10に示す。また、モータ制御部60は、インクシート巻取りボビン3およびインクシート巻き出しボビン4を回動させて、インクシート5のイエロー(Y)の画面を印画位置まで搬送する。
図10に示す状態において、第3センサ50cは検出信号を出力する。サーマルプリンタ制御部80は、第3センサ50cからの検出信号を受けると、給紙用モータ9aおよび搬送用モータ7aを停止させる。それとともに、ピンチローラ8を記録紙2aを介してグリップローラ7に圧着させる。そして、モータ制御部60は搬送用モータ7aを制御して、グリップローラ7を回動して、記録紙2aを、搬送されてきた方向とは逆方向に搬送する。このとき、モータ制御部60は、グリップローラ7の回動に同期して、給紙ローラ9,11も回動させる。モータ制御部60は、所定数の駆動パルスを搬送用モータ7aに出力したところで搬送用モータ7aを停止させる。そして、プラテンローラ6を記録紙2aおよびインクシート5を介してサーマルヘッド1に圧着させる。この状態を図11に示す。
次に、図8のステップS103において、記録紙2aの第1主面(即ち裏面)に印画を開始する。つまり、図11の状態において、モータ制御部60は、インクシート5を搬送するとともに、プラテンローラ6およびグリップローラ7を回動させて記録紙2aを搬送する。所定の駆動パルス数だけ搬送したところで、サーマルヘッド1を加熱することによりイエロー(Y)の印画を開始する。なお、記録紙2aの第1主面(即ち裏面)に印画を行う際に、カール矯正機構80が記録紙2aのカールを矯正する。カール矯正機構40の動作については後述する。イエロー(Y)が印画された記録紙2aは、第2の経路30cを通過し、切り替えガイド20を経由して収納経路30dに収納される。記録紙2aが所定の駆動パルス数だけ搬送されるとともに、インクシート5が記録紙2aと圧着されて搬送され、イエロー(Y)の印画が完了する。この状態を図12に示す。
図12の状態において、第4センサ50dは記録紙2aを検出して検出信号を出力する。イエロー(Y)の印画が完了しても第4センサ50dから検出信号が出力されない場合、サーマルプリンタ制御部80は、例えば、紙詰まりなどを示す警告を使用者に対して発する。
次に、モータ制御部60は、プラテンローラ6とサーマルヘッド1の圧着を解除して、グリップローラ7を回動させて、図10の位置まで記録紙2aを巻き戻す。このとき、給紙ローラ9,11および記録紙ロール2もグリップローラ7に同期して回動される。また、モータ制御部60は、インクシート巻取りボビン3およびインクシート巻き出しボビン4を回動させて、インクシート5のマゼンタ(M)の画面を印画位置まで搬送する。そして、イエロー(Y)の印画と同じ動作でマゼンタ(M)の印画を行う。以降、同様の印画動作を繰り返して、シアン(C)、オーバーコート(OP)の印画を行う。以上で記録紙2aの第1主面(即ち裏面)への印刷が完了する。
<表面印刷動作>
記録紙2aの第1主面(即ち裏面)への印刷に続いて、記録紙2aの第2主面(即ち表面)への印刷を行う。図8のフローチャートおよび図13〜図15を用いて表面印刷動作の説明を行う。
裏面印刷動作が完了したとき、記録紙2aは図12の状態である。モータ制御部60は、プラテンローラ6とサーマルヘッド1の圧着を解除するとともに、ピンチローラ8とグリップローラ7の圧着を解除する。そして、モータ制御部60は、記録紙ロール2を、記録紙2aを巻き取る方向に回動させる。また、記録紙ロール2の回動に同期して、給紙ローラ9,11も回動させる。記録紙2aが第1センサ50aを通過すると、第1センサ50aの出力が、検出信号有りから検出信号無しへと変化する。モータ制御部60は、第1センサ50aの出力が変化すると、所定数の駆動パルスを出力してから、記録紙2aの搬送を停止する。以上の動作により、記録紙2aは、切り替えガイド20の手前まで巻き戻される(図8のステップS104)。
次に、図8のステップS105において、モータ制御部60は、切り替えガイド用モータ20bの駆動を制御して、切り替えガイド20に第2の経路30cを選択させる。つまり、切り替えガイド20は図3(b)の状態となる。それとともにモータ制御部60は、カール矯正用モータ84の駆動を制御して、補助ローラ82に排出経路30eを選択させる。つまり、保持部材43が回動することにより、補助ローラ82は第2の位置(図6に示す位置)に移動する。また、モータ制御部60は、ピンチローラ10を記録紙2aを介して給紙ローラ9に圧着させている。この状態を図13に示す。
次に、図8のステップS106において、モータ制御部60が給紙用モータ9aの駆動を制御して給紙ローラ9を回動させることにより、記録紙2aは切り替えガイド20を通過して、第2の経路30cに導入される。記録紙2aが第3センサ50cに達すると、第3センサ50cは検出信号を出力する。サーマルプリンタ制御部80が第3センサ50cからの検出信号を受けると、モータ制御部60は、所定の駆動パルス数だけ、さらに記録紙2aを搬送する。そして、モータ制御部60は、ピンチローラ8を記録紙2aを介してグリップローラ7に圧着させる。この状態を図14に示す。
さらに、モータ制御部60は記録紙2aの搬送を行い、記録紙2aが第5センサ50eに達すると、第5センサ50eは検出信号を出力する。サーマルプリンタ制御部80が第3センサ50eからの検出信号を受けると、モータ制御部60は、所定の駆動パルス数だけ、さらに記録紙2aを搬送する。これにより、記録紙2aは印画開始位置まで搬送される。また、モータ制御部60は、インクシート巻取りボビン3およびインクシート巻き出しボビン4を回動させて、インクシート5のイエロー(Y)の画面を印画位置まで搬送する。また、モータ制御部60は、プラテンローラ6を記録紙2aおよびインクシート5を介してサーマルヘッド1に圧着させる。この状態を図15に示す。なお、記録紙2aが印画開始位置まで搬送された状態において、記録紙2aは排出口16には達していない。
次に、図8のステップS107において、記録紙2aの第2主面(即ち表面)に印画を開始する。つまり、図15の状態において、モータ制御部60は、インクシート5を搬送するとともに、プラテンローラ6およびグリップローラ7を回動させて記録紙2aを巻き戻す方向に搬送しながら、サーマルヘッド1を加熱することによりイエロー(Y)の印画を行う。記録紙2aおよびインクシート5は所定の駆動パルス数だけ搬送され、イエロー(Y)の印画が完了する。
次に、モータ制御部60は、プラテンローラ6とサーマルヘッド1の圧着を解除して、グリップローラ7を回動させて、図15の位置まで記録紙2aを搬送する。このとき、給紙ローラ9,11および記録紙ロール2もグリップローラ7に同期して回動される。また、モータ制御部60は、インクシート巻取りボビン3およびインクシート巻き出しボビン4を回動させて、インクシート5のマゼンタ(M)の画面を印画位置まで搬送する。そして、イエロー(Y)の印画と同じ動作でマゼンタ(M)の印画を行う。以降、同様の印画動作を繰り返して、シアン(C)、オーバーコート(OP)の印画を行う。以上で記録紙2aの第2主面(即ち表面)への印刷が完了する。
記録紙2aの第2主面(即ち表面)への印刷が完了した後、モータ制御部60は、ピンチローラ8をグリップローラ7に圧着したまま、グリップローラ7、給紙ローラ9および記録紙ロール2を回動して、排出口16に向かって記録紙2aを搬送する。記録紙2aが第5センサ50eに達すると、第5センサ50eは検出信号を出力する。第5センサ50eからの検出信号は紙詰まりの監視に利用される。モータ制御部60は、ピンチローラ15を記録紙2aを介して排紙ローラ14に圧着させて、排紙ローラ14、グリップローラ7、給紙ローラ9および記録紙ロール2を回動して、さらに所定の駆動パルス数だけ記録紙2aを搬送する。その結果、記録紙2aの印刷がなされた部分が、排出口16からサーマルプリンタ100筐体の外側に露出する。そして、排出口16に設けられたカッター16aにより記録紙2aが切断され、排出口16から印刷物が排出される(図8のステップS108)。
<カール矯正機構の動作>
熱転写時、インクシート5および記録紙2aはサーマルヘッド1とプラテンローラ6との間でいったん加熱圧着される。その後、サーマルヘッド1とプラテンローラ6との間を通り抜けたインクシート5は、剥離ローラ31およびガイドローラ32によって順に案内された後に巻取ボビン3(図1)に巻き取られる。このときインクシート5はサーマルヘッド1およびプラテンローラ6によって挟まれた位置から剥離ローラ31に向かう方向へと引っ張られることで記録紙2aから剥離される。この際にインクシート5へ適度な張力を与えないと、インクシート5が記録紙2aから完全に剥離されない不良、すなわち剥離不良が生じたり、インクシート5に皺が発生したりすることがある。
記録紙2aへの余計な搬送速度の変動を与えないようサーマルヘッド1とグリップローラ7の間に記録紙2aへ接触させるものを配置せず、かつサーマルヘッド1とグリップローラ7の距離を極力短くすることが望まれる。またインクシート5への余計な張力変動は避けることが望まれる。本発明では、記録紙2aの搬送速度とインクシート5の張力を安定のまま保つために、記録紙2aの印画される送り方向に対しサーマルヘッド1よりも上流側へカール矯正機構40を配置している。
髪の毛のセット方法において、髪の毛をカールやストレートにしたうえで熱を与えてその形に固定させる。これと同様に、本実施の形態では、図5に示すように、記録紙2aをカールとは逆の方向にプラテンローラ6へ巻き付け、サーマルヘッド1の熱を利用し、カール矯正を行う。
本実施形態では、カール矯正ローラ41が移動可能であるため、プラテンローラ6に記録紙2aが沿う長さ(記録紙2aの巻き付け量)を容易に変更可能である。これにより、記録紙2aのカール矯正量の調整を自在に管理できる。例えば、記録紙ロール2の巻き径を検出する巻き径検出部72により記録紙ロール2の巻き径を検出し、カール量推定部46が記録紙2aのカール量を推定し、そのカール量によりカール矯正量を決める事ができる。また、図4のように、カール矯正をオフ状態にすることで、記録紙2aの搬送経路がストレートに近くなり、搬送速度を速くでき、かつジャムの発生しにくい信頼性の高い記録紙搬送が可能となる。
図8のステップS103において、記録紙2aの第1主面(即ち裏面)、つまり、記録紙ロール2の内側の面に印刷を行う際に、カール矯正機構80は、記録紙2aのカールを矯正する。図16は、カール矯正機構の動作を示すフローチャートである。図8のステップS103におけるカール矯正機構の動作を説明する。
まず、図16のステップS1031において、記録紙ロール2の巻き径を測定する。これは、巻き径検出部72が記録紙ロール2の巻き径を検出することにより行われる。そして、ステップS1032において、カール量推定部46は、記録紙ロール2の巻き径よりカール矯正量を計算する。これは、例えば図17を参照することにより行われる。次に、ステップS1033において、カール矯正機構制御部47は、カール矯正量に基づいて保持部材43の回動量を計算して、サーマルプリンタ制御部80に回動量を送信する。そして、ステップS1034において、モータ制御部60は、サーマルプリンタ制御部80から送られる保持部材43の回動量を含む制御指示に基づいて、カール矯正用モータ44を駆動することにより、保持部材43を回動させる。
以後、カール矯正機構40の保持部材43の回動量は、図4のカール矯正オフ状態の位置を基準とする。図17に示すように、一般的に記録紙ロール2の巻き径が大きければ記録紙2aのカール量は小さく、巻き径が小さければ記録紙2aのカール量は大きい。よって、記録紙ロール2の巻き径が大きければカール矯正量を小さくするために保持部材43の回動量を小さくし、巻き径が小さければカール矯正量を大きくするために保持部材43の回動量を大きくする。このように、記録紙ロール2の巻き径の変化に応じてカール矯正量を変化させることで、記録紙2aのカールを適切に矯正することができる。
図18は、記録紙2aの搬送方向、サーマルヘッド1のヒータ30のオン、オフ、保持部材43の回動量のそれぞれのタイミングを示す図である。図18を用いて、カール矯正機構40の動作タイミング制御を説明する。カール矯正量は、保持部材43の回動量と、サーマルヘッド1に備わるヒータ30のオンの時間との積で求められると考えてよい。
図18において、回動量が最大とは、保持部材43が図5の位置にあることを指す。また、回動量が最小とは、保持部材43が図4の位置にあることを指す。図18の中の(a)は、印画動作の最初から最後まで常に、保持部材43の回動量を最大に維持した例である。この場合、カール矯正量は常に最大となる。
図18中の(b)は、ヒータ30がオンの時だけ保持部材43の回動量を最大にし、記録紙2aを巻き戻す時には保持部材43の回動量を最小(ゼロ)にした例である。この場合、記録紙2aを巻き戻す時には記録紙2aがプラテンローラ6に沿っていないので、記録紙2aの搬送速度を上げることができる。すなわち、カール矯正を行いつつ、印画のトータル時間を短くすることができる。
図18中の(c)は、特定の色(例えばY)を印画しているときのみ保持部材43の回動量を最大にし、他の色の印画時は回動量を最小とした例である。ここで、特定の色は(Y、M、C、保護層)のうちの1つだけでもよいし、複数の色でも良い。
図18中の(d)は、(a)と同様、印画動作の最初から最後まで常に、カール矯正機構40をオンにした例である。(a)との違いは、記録紙ロール2の巻き径に基づいて保持部材43の回動量を決定していることである。ここで、(b)および(c)においても、保持部材43の回動量を記録紙ロール2の巻き径に基づいた回動量に置き換えてもよい。
図18中の(e)は、Y、M、C、オーバーコート(OP)の各色の印画時において、各色の濃淡に合わせて自在に保持部材43の回動量を変化させた例である。印画する色の濃度が薄い場合はヒータ30の熱量が小さいので、保持部材43の回動量を大きくする。一方、印画する色の濃度が濃い場合はヒータ30の熱量が大きいので、保持部材43の回動量を小さくする。こうすることにより、記録紙2aの搬送負荷を小さくしたうえで、カール矯正を効率よく実現できる。また、記録紙ロール2の巻き径により求められたカール矯正量に対して、ヒータ30のオンの時間と保持部材43の回動量の積の各色の総和が合致すれば、(a)、(b)、(c)、(d)において、保持部材43の回動量を、各色の濃度に応じて変化させてもよい。
上記のように、記録紙2aのカールを軽減させることにより、印画後のスタック性が良く、印画品質の良く、かつ紙詰まりの起こりにくい、信頼性の高いサーマルプリンタを実現できる。
<効果>
本実施の形態におけるサーマルプリンタ100において、サーマルヘッド1と、サーマルヘッド1と対向配置されたプラテンローラ6と、記録紙ロール2から引き出した記録紙2aを、当該記録紙2aの第1主面がサーマルヘッド1側に来るように、サーマルヘッド1とプラテンローラ6との間隙の一方入口に導く第1の経路30bと、記録紙ロール2から引き出した記録紙2aを、当該記録紙2aの第2主面がサーマルヘッド1側に来るように、サーマルヘッド1とプラテンローラ6との間隙の他方入口に導く第2の経路30cと、第1、第2の経路30b,30cを切り替える切り替えガイド20と、記録紙2aのカールを矯正するカール矯正機構40と、を備え、カール矯正機構40は、第1、第2の経路30b,30cのうち、記録紙ロール2の内側の面に印刷する際に記録紙2aが導かれる内側面印刷経路において、プラテンローラ6の上流に配置され、カール矯正機構40は、記録紙2aのカールを矯正するか否かを切り替え可能である。
一般にサーマルプリンタにおいては、記録紙2aへの余計な搬送速度の変動を与えないようサーマルヘッド1とグリップローラ7の間に記録紙2aへ接触させるものを配置せず、かつサーマルヘッド1とグリップローラ7の距離を極力短くするのが望まれる。またインクシート5への余計な張力変動は避けることが望まれる。本実施の形態では、内側面印刷経路(即ち、第1の経路30b)において、カール矯正機構40をサーマルヘッド1の下流ではなく、上流側に配置したため、カール矯正機構40がサーマルヘッド1とグリップローラ7の間に配置されない。従って、カール矯正機構40がインクシート5の剥離を阻害することがない。また、記録紙2aの搬送速度を一定に保つことが可能である。また、カール矯正機構40は、印刷動作に連動させて、カール矯正機構のオン、オフを自在に切り替えることができる。よって、印画品質が良く、信頼性の高いサーマルプリンタを得ることができる。
また、本実施の形態におけるサーマルプリンタ100において、カール矯正機構40は、記録紙2aを挟んでプラテンローラ6と対向配置されたカール矯正ローラ41と、カール矯正ローラ41の位置を記録紙2aの搬送経路に干渉する方向に移動させる矯正ローラ位置移動機構と、を備え、カール矯正ローラ41が移動してカール矯正ローラ41が記録紙2aに干渉し、カール矯正ローラ41の移動に伴う干渉に応じて記録紙2aがプラテンローラ6のローラ面に沿う。
従って、本実施の形態では、カール矯正ローラ41により、記録紙2aをカールとは逆の方向にプラテンローラ6へ巻き付け、サーマルヘッド1の熱を利用して、カール矯正を行うことが可能となる。また、カール矯正ローラ41の移動量を調整することにより、カール矯正量を変化させることが可能である。
また、本実施の形態におけるサーマルプリンタ100において、カール矯正機構40は、補助ローラ42をさらに備え、カール矯正ローラ41と補助ローラ42とは同一の保持部材43に保持されており、矯正ローラ位置移動機構が保持部材43を移動させることにより補助ローラ42の位置も移動し、補助ローラ42が第1の位置に移動することにより、補助ローラ42は、内側面印刷経路から出た記録紙2aをサーマルヘッド1とプラテンローラ6との間隙の入口に導くことを補助し、補助ローラ42が第2の位置に移動することにより、補助ローラ42は、サーマルヘッド1とプラテンローラ6との間隙の入口から出た記録紙2aを、記録紙2aを排出する経路に導くことを補助する。
従って、カール矯正を行わない場合は、補助ローラ42を第1、第2の位置に移動させることにより、記録紙2aの搬送経路を切り替えることが可能である。また、補助ローラ42を、カール矯正ローラ41が保持されている部材と同じ保持部材43に配置することにより、カール矯正ローラ位置移動機構を補助ローラ42の移動に利用することが可能である。
また、本実施の形態のサーマルプリンタ100において、カール矯正機構40は、記録紙2aの第1主面、第2主面のいずれかを印画するときにのみ、記録紙2aのカールを矯正する。
従って、本実施の形態では、記録紙2aの裏面(即ち、記録紙ロール2の内側の面)に印刷を行うときのみ、記録紙2aのカール方向と反対の向きにカール矯正を行う。よって、記録紙2aの表面(即ち、記録紙ロール2の外側の面)の印刷時にはカール矯正を行わないため、記録紙2aのカール方向と同じ方向にカール矯正を行い、記録紙2aのカールを増大させることがない。
また、本実施の形態のサーマルプリンタ100において、サーマルヘッド1を加熱しているときにのみ、カール矯正機構40は記録紙2aのカールを矯正する。
従って、記録紙2aを巻き戻すときには、カール矯正機構40をオフ状態にすることにより、記録紙2aを巻き戻す際の搬送速度を上げることが可能である。よって、印刷に要する時間を短縮することができる。
また、本実施の形態のサーマルプリンタ100において、特定の色を印画しているときにのみ、カール矯正機構40は記録紙2aのカールを矯正する。
従って、特定の色以外の色を印画しているときにはカール矯正機構40をオフ状態にすることにより、記録紙2aの搬送速度を上げることが可能である。よって、印刷に要する時間を短縮することができる。
また、本実施の形態におけるサーマルプリンタ100において、記録紙ロール2の巻き径を検出する巻き径検出部72をさらに備え、カール矯正機構40は、記録紙ロール2の巻き径に基づいて、カール矯正ローラ41の移動量を調整して、記録紙2aをプラテンローラ6のローラ面に沿わせる長さを変化させることにより、記録紙2aのカール矯正量を調整する。
従って、記録紙2aのカール量は、記録紙ロール2の巻き径に応じて変化するため、記録紙ロール2の巻き径に基づいて記録紙2aのカール矯正を行うことにより、記録紙2aの実際のカール量の分だけ、カール矯正を適用することが可能となる。
また、本実施の形態におけるサーマルプリンタ100において、カール矯正機構40は、記録紙ロール2の巻き径およびサーマルヘッド1の加熱量に基づいて、カール矯正ローラ41の移動量を調整して、記録紙2aをプラテンローラ6のローラ面に沿わせる長さを変化させることにより、記録紙2aのカール矯正量を調整する。
従って、カール矯正量は、記録紙2aをプラテンローラ6のローラ面に沿わせる長さと、サーマルヘッド1の加熱量の積に応じて決まる。そこで、本実施の形態では、サーマルヘッド1の加熱量、即ち画像の濃淡に応じて、保持部材43の回動量(即ち、記録紙2aをプラテンローラ6のローラ面に沿わせる長さ)を調整する。これにより、サーマルヘッド1の加熱量が変化しても、一定量のカール矯正を行うことが可能となる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 サーマルヘッド、2 記録紙ロール、2a 記録紙、3 インクシート巻取りボビン、4 インクシート巻き出しボビン、5 インクシート、6 プラテンローラ、6a プラテンローラ用モータ、7 グリップローラ、7a 搬送用モータ、8,10,12,15 ピンチローラ、9,11 給紙ローラ、9a 給紙用モータ、13 ICカバー、13a,13b ゴミ取りローラ、14 排紙ローラ、14a 排紙用モータ、16 排出口、16a カッター、20 切り替えガイド、20a,21a レバー、20b 切り替えガイド用モータ、20c,21c カム、21 補助ガイド、29a,29b,29c,29d,29e,29f,29g,29h,29i,29j,29k,29l,29m,29n ガイドローラ、30a 導入経路、30b 第1の経路、30c 第2の経路、30d 収納経路、30e 排出経路、30 ヒータ、31 剥離ローラ、32 ガイドローラ、40 カール矯正機構、41 カール矯正ローラ、42 補助ローラ、43 保持部材、44 カール矯正用モータ、45 回転軸、46 カール量推定部、47 カール矯正機構制御部、50a 第1センサ、50b 第2センサ、50c 第3センサ、50d 第4センサ、50e 第5センサ、60 モータ制御部、72 巻き径検出部、80 サーマルプリンタ制御部、100 サーマルプリンタ。

Claims (8)

  1. サーマルヘッドと、
    前記サーマルヘッドと対向配置されたプラテンローラと、
    記録紙ロールから引き出した記録紙を、当該記録紙の第1主面が前記サーマルヘッド側に来るように、前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとの間隙の一方入口に導く第1の経路と、
    前記記録紙ロールから引き出した記録紙を、当該記録紙の第2主面が前記サーマルヘッド側に来るように、前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとの間隙の他方入口に導く第2の経路と、
    前記第1、第2の経路を切り替える切り替えガイドと、
    前記記録紙のカールを矯正するカール矯正機構と、
    を備え、
    前記カール矯正機構は、前記第1、第2の経路のうち、前記記録紙ロールの内側の面に印刷する際に前記記録紙が導かれる内側面印刷経路において、前記プラテンローラの上流に配置され、
    前記カール矯正機構は、前記記録紙のカールを矯正するか否かを切り替え可能である、
    サーマルプリンタ。
  2. 前記カール矯正機構は、
    前記記録紙を挟んで前記プラテンローラと対向配置されたカール矯正ローラと、
    前記カール矯正ローラの位置を前記記録紙の搬送経路に干渉する方向に移動させる矯正ローラ位置移動機構と、
    を備え、
    前記カール矯正ローラが移動して前記カール矯正ローラが前記記録紙に干渉し、前記カール矯正ローラの移動に伴う前記干渉に応じて前記記録紙が前記プラテンローラのローラ面に沿う、
    請求項1に記載のサーマルプリンタ。
  3. 前記カール矯正機構は、補助ローラをさらに備え、
    前記カール矯正ローラと前記補助ローラとは同一の保持部材に保持されており、
    前記矯正ローラ位置移動機構が前記保持部材を移動させることにより前記補助ローラの位置も移動し、
    前記補助ローラが第1の位置に移動することにより、当該補助ローラは、前記内側面印刷経路から出た前記記録紙を前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとの間隙の入口に導くことを補助し、
    前記補助ローラが第2の位置に移動することにより、当該補助ローラは、前記サーマルヘッドと前記プラテンローラとの間隙の入口から出た前記記録紙を、当該記録紙を排出する経路に導くことを補助する、
    請求項2に記載のサーマルプリンタ。
  4. 前記カール矯正機構は、前記記録紙の前記第1主面、前記第2主面のいずれかを印画するときにのみ、当該記録紙のカールを矯正する、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のサーマルプリンタ。
  5. 前記サーマルヘッドを加熱しているときにのみ、前記カール矯正機構は前記記録紙のカールを矯正する、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のサーマルプリンタ。
  6. 特定の色を印画しているときにのみ、前記カール矯正機構は前記記録紙のカールを矯正する、
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のサーマルプリンタ。
  7. 前記記録紙が巻かれた記録紙ロールの巻き径を検出する巻き径検出部をさらに備え、
    前記カール矯正機構は、前記記録紙ロールの巻き径に基づいて、前記カール矯正ローラの移動量を調整して、当該記録紙を前記プラテンローラのローラ面に沿わせる長さを変化させることにより、当該記録紙のカール矯正量を調整する、
    請求項2から請求項6のいずれか一項に記載のサーマルプリンタ。
  8. 前記カール矯正機構は、前記記録紙ロールの巻き径および前記サーマルヘッドの加熱量に基づいて、前記カール矯正ローラの移動量を調整して、当該記録紙を前記プラテンローラのローラ面に沿わせる長さを変化させることにより、当該記録紙のカール矯正量を調整する、
    請求項7に記載のサーマルプリンタ。
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