以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「メッシュシート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「メッシュシート」は、「メッシュ板(基板)」や「メッシュフィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
本明細書において、「接合」とは、完全に接合を完了する「本接合」だけでなく、「本接合」の前に仮止めするための、いわゆる「仮接合」をも含むものとする。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図4は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、合わせガラスを備えた自動車を概略的に示す図であり、図2は、合わせガラスをその板面の法線方向から見た図であり、図3は、図2の合わせガラスの横断面図である。
図1に示されているように、乗り物の一例としての自動車1は、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、サイドウィンドウ等の窓ガラスを有している。ここでは、フロントウィンドウ5が合わせガラス10で構成されているものを例示する。また、自動車1はバッテリー等の電源7を有している。
この合わせガラス10をその板面の法線方向から見たものを図2に示す。また、図2の合わせガラス10のIII−III線に対応する横断面図を図3に示す。合わせガラス10は、一対のガラス板11,12と、一対のガラス板11,12を接合する接合層20と、接合層20と前記ガラス板11との間に配置された導電性メッシュ30とを有している。
また、合わせガラス10は、導電性メッシュ30に通電するための配線部15と、導電性メッシュ30と配線部15とを接続する接続部16とを有している。図2及び図3に示した例では、バッテリー等の電源7から、配線部15及び接続部16を介して導電性メッシュ30に通電し、導電性メッシュ30を抵抗加熱により発熱させる。導電性メッシュ30で発生した熱はガラス板11,12に伝わり、ガラス板11,12が温められる。これにより、ガラス板11,12に付着した結露による曇りを取り除くことができる。また、ガラス板11,12に雪や氷が付着している場合には、この雪や氷を溶かすことができる。したがって、乗員の視界が良好に確保される。
まず、図4を参照して、導電性メッシュ30について説明する。図4は、導電性メッシュ30の配置パターンの一例を示す平面図である。
導電性メッシュ30は、バッテリー等の電源7から、配線部15及び接続部16を介して通電され、抵抗加熱により発熱する。そして、この熱がガラス板11,12に伝わることで、ガラス板11,12が温められる。
図4に示されているように、導電性メッシュ30は、多数の開口33を画成するメッシュ状の部材である。導電性メッシュ30は、2つの分岐点32の間を延びて、開口33を画成する複数の導電細線31を含んでいる。すなわち、導電性メッシュ30は、両端において分岐点32を形成する多数の導電細線31の集まりとして構成されている。とりわけ図示された例では、分岐点32において、3つの導電細線31が等角度で接続されることにより、6つの導電細線31で囲まれた同一形状のハニカム状の開口33が多数画成されている。
また、各導電細線31は、各分岐点32において一体的に形成されている。すなわち、繋ぎ目なく同一の材料から形成されている。各導電細線31が、各分岐点32において一体的に形成されている場合、各分岐点32において、各導電細線31に割れや断線が発生することを効果的に防止することができる。
このような導電性メッシュ30を構成するための材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン、及び、これらの合金の一以上を例示することができる。
導電性メッシュ30は、上述したように不透明な金属材料を用いて形成され得る。その一方で、導電性メッシュ30は、70%以上90%以下程度の高い開口率で形成される。また、導電細線31の線幅は、2μm以上20μm以下程度となっている。このため、導電性メッシュ30は、全体として透明に把握され、視認性を害さないようになっている。
ところで、図15は、図3と同様の断面において、導電性メッシュ30の導電細線31の断面形状の一例を示している。図示された例では、導電細線31は、ガラス板11に接触する面31d、ガラス板11に対面する側とは反対側の面31a、及び、側面31b,31cを有し、全体として矩形状の断面を有している。導電細線31の幅W、すなわち、合わせガラス10の板面に沿った幅Wは2μm以上20μm以下とし、高さ(厚さ)H、すなわち、合わせガラス10の板面への法線方向に沿った高さ(厚さ)Hは1μm以上60μm以下とすることが好ましい。このような寸法の導電細線31によれば、その導電細線31が十分に細線化されているので、導電性メッシュ40を効果的に不可視化することができる。
また、図15に示された導電細線31は、ガラス板11上に設けられた第1の暗色層36、第1の暗色層36上に設けられた導電性金属層35、及び、導電性金属層35上に設けられた第2の暗色層37を含んでいる。言い換えると、導電性金属層35の表面のうち、ガラス板11に対面する側の面を第1の暗色層36が覆っており、導電性金属層35の表面のうち、ガラス板11に対面する側とは反対側の面及び両側面を第2の暗色層37が覆っている。
優れた導電性を有する金属材料からなる導電性金属層35は、比較的高い反射率を呈する。そして、導電性メッシュ30の導電細線31をなす導電性金属層35によって光が反射されると、その反射した光が視認されるようになり、乗員の視界を妨げる場合がある。また、外部から導電性金属層35が視認されると、意匠性が低下する場合がある。そこで、暗色層36,37が、導電性金属層35の表面の少なくとも一部分に配置されている。暗色層36,37は、導電性金属層35よりも可視光の反射率が低い層であればよく、例えば黒色等の暗色の層である。この暗色層36,37によって、導電性金属層35が視認されづらくなり、乗員の視界を良好に確保することができる。また、外部から見たときの意匠性の低下を防ぐことができる。
次に、ガラス板11,12について説明する。ガラス板11,12は、特にフロントウィンドウに用いる場合、乗員の視界を妨げないよう可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このようなガラス板11,12の材質としては、ソーダライムガラスが例示できる。ガラス板11,12は、可視光領域における透過率が90%以上であることが好ましい。ここで、ガラス板11,12の可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JISK0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。なお、ガラス板11,12の一部または全体に着色するなどして、可視光透過率を低くしてもよい。この場合、太陽光の直射を遮ったり、車外から車内を視認しにくくしたりすることができる。
また、ガラス板11,12は、1mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。このような厚みであると、強度及び光学特性に優れたガラス板11,12を得ることができる。
次に、接合層20について説明する。接合層20は、一対のガラス板11,12の間に配置され、一対のガラス板11,12を互いに接合する。なお、図3に示された例において、接合層20と一方のガラス板11との間に、導電性メッシュ30が配置されている。ただし、導電性メッシュ30は、上述したように、透明性または視認性を確保する観点から高い開口率にて、開口33を形成している。このため、図3に示すように、接合層20と一方のガラス板11は、導電性メッシュ30の開口33を介して接触している。すなわち、一方のガラス板11は、導電性メッシュ30の開口33を介して、接合層20に接合している。このため、導電性メッシュ30は、接合層20内に埋め込まれた状態となっている。
また、導電性メッシュ30の金属細線31は、一方のガラス板11に接触、とりわけ面接触している。したがって、導電性メッシュ30に通電した際の発熱を、導電性メッシュ30から一方のガラス板11に直接伝達することができる。すなわち、一方のガラス板11を極めて効率的に加熱することができる。これにより、ガラス板11の曇りを効率的に取り除いて、又は、ガラス板11に付着した雪や氷を効率的に溶かして、乗員の視界をより迅速且つより確実に確保することができる。とりわけ図示された例では、導電性メッシュ30は、一方のガラス板11の凹面に接触するようになっている。すなわち、一方のガラス板11は、自動車1への適用において、一対のガラス板11,12のうちの外方に露出するガラス板である。したがって、効率的に加熱されるガラス板11は、結露による曇りや、雪や氷等からなる付着物を除去されるべきガラス板であり、これにより、合わせガラス10の視認性を効率的に確保することが可能となる。
このような接合層20としては、種々の接着性または粘着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、接合層20は、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。典型的な接合層としては、ポリビニルブチラール(PVB)からなる層を例示することができる。接合層20の厚みは0.15mm以上1mm以下であることが好ましい。
なお、合わせガラス10には、図示された例に限られず、特定の機能を発揮することを期待されたその他の機能層が設けられても良い。また、一つの機能層が二以上の機能を発揮するようにしてもよいし、例えば、合わせガラス10の一対のガラス板11,12や接合層20の少なくとも1つに機能を付与するようにしてもよい。合わせガラス10に付与され得る機能としては、一例として、反射防止(AR)機能、耐擦傷性を有したハードコート(HC)機能、赤外線遮蔽(反射)機能、紫外線遮蔽(反射)機能、偏光機能、防汚機能等を例示することができる。
次に、図5〜図15を参照して、合わせガラス10の製造方法の一例について説明する。図5〜図15は、メッシュシート40の製造方法の一例を順に示す断面図である。
以下に説明する製造方法では、図15に示された合わせガラス10が製造される。製造された合わせガラス10において、導電性メッシュ30をなす導電細線31は、図15に示すように、導電性金属層35と、導電性金属層35を覆う第1の暗色層36及び第2の暗色層37と、を有している。以下に説明する製造方法では、まず、図12に示されたメッシュシート40を作製し、その後、このメッシュシート40を利用して合わせガラス10を作製する。ここで、メッシュシート40は、図12に示すように、基材41と、基材41上に設けられた剥離層42と、剥離層42上に設けられた導電性メッシュ30と、を有している。このメッシュシート40を用いることにより、導電性メッシュ30を形成するために用いる基材41を含まず熱伝導性に優れた合わせガラス10を容易且つ効率的に製造することが可能となる。とりわけ、上述した導電性メッシュ30がガラス板11に接触するとともに、導電性メッシュ30の開口33を介して、接合層20がガラス板11と接合した合わせガラス10を容易且つ効率的に製造することができる。以下においては、主として図5〜図12を参照して、メッシュシート40を製造する方法を最初に説明し、その後に、主として図12〜図15を参照して、メッシュシート40を用いて合わせガラス10を製造する方法について説明する。
メッシュシート40を製造するにあたり、まず、図5に示すように、基材41を準備する。基材41は、導電性メッシュ30を作成する際の基材として機能する。基材41としては、導電性メッシュ30を適切に保持し得るものであればいかなる材質のものでもよいが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン等を挙げることができる。また、導電性メッシュ30の保持性や、後述の、接合層20及び導電性メッシュ30からの剥離の容易性等を考慮すると、基材41の厚みとしては、30μm以上150μm以下のものを用いることが好ましい。
次に、図6に示すように、基材41上に剥離層42を設ける。剥離層42は、後述の工程で、接合層20及び導電性メッシュ30から基材41を除去する際に、基材41の剥離を助ける機能を有する。剥離層42としては、例えば界面剥離型の剥離層、層間剥離型の剥離層、凝集剥離型の剥離層等を用いることができる。界面剥離型の剥離層としては、基材41との密着性と比べて、接合層20及び導電性メッシュ30との密着性が相対的に低い剥離層を好適に用いることができる。このような層としては、シリコーン樹脂層、フッ素樹脂層、ポリオレフィン樹脂層等が挙げられる。また、接合層20及び導電性メッシュ30との密着性と比べて、基材41との密着性が相対的に低い剥離層を用いることもできる。層間剥離型のものとしては、複数層のフィルムを含み、接合層20及び導電性メッシュ30や、基材41との密着性と比べて、当該複数層間相互の密着性が相対的に低い剥離層を例示することができる。凝集剥離型のものとしては、連続相としてのベース樹脂中に分散相としてのフィラーを分散させた剥離層を例示することができる。なお、図3に示された導電性メッシュ30がガラス板11に接触するとともに、導電性メッシュ30の開口33を介して、接合層20がガラス板11と接合した合わせガラス10を効率的に作製する観点からは、基材41との密着性と比べて、接合層20及び導電性メッシュ30との密着性が相対的に低い剥離層を用いることが好ましい。
次に、図7に示すように、導電性金属層35の第1の暗色層36を形成するようになる暗色膜36aを、剥離層42上に設ける。暗色膜36aは、例えば、電界めっき及び無電界めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、又はこれらの二以上を組み合わせた方法により設けることができる。なお、暗色膜36aの材料としては、種々の公知のものを用いることができる。例えば窒化銅、酸化銅、窒化ニッケル等が例示できる。
次に、図8に示すように、導電性金属層35を形成するようになる金属膜35aを暗色膜36a上に設ける。金属膜35aは、導電性金属層35をなす材料として既に説明したように、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、タングステン、及び、これらの合金の一以上を用いて形成され得る。金属膜35aは、公知の方法で形成され得る。例えば、銅箔等の金属箔を貼着する方法、電界めっき及び無電界めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、又はこれらの二以上を組み合わせた方法を採用することができる。
次に、図9に示すように、金属膜35a上に、レジストパターン39を設ける。レジストパターン39は、形成されるべき導電性メッシュ30のパターンに対応したパターンとなっている。ここで説明する方法では、最終的に導電性メッシュ30をなす箇所の上にのみ、レジストパターン39が設けられている。このレジストパターン39は、公知のフォトリソグラフィー技術を用いたパターニングにより形成することができる。
次に、図10に示すように、レジストパターン39をマスクとして、金属膜35a及び暗色膜36aをエッチングする。このエッチングにより、金属膜35a及び暗色膜36aがレジストパターン39と略同一のパターンにパターニングされる。この結果、パターニングされた金属膜35aから、導電細線31の一部をなすようになる導電性金属層35が、形成される。また、パターニングされた暗色膜36aから、導電細線31の一部をなすようになる第1の暗色層36が、形成される。
なお、エッチング方法は特に限られることはなく、公知の方法が採用できる。公知の方法としては、例えば、エッチング液を用いるウェットエッチングや、プラズマエッチングなどが挙げられる。その後、図11に示すように、レジストパターン39を除去する。
最後に、導電性金属層35の第1の暗色層36と反対側の面35a及び側面35b,35cに第2の暗色層37を形成する。第2の暗色層37は、例えば導電性金属層35をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、導電性金属層35をなしていた一部分から、金属酸化物や金属硫化物からなる第2の暗色層37を形成することができる。また、暗色材料の塗膜や、ニッケルやクロム等のめっき層等のように、導電性金属層35の表面に第2の暗色層37を設けるようにしてもよい。また、導電性金属層35の表面を粗化して第2の暗色層37を設けるようにしてもよい。
以上のようにして製造されたメッシュシート40の断面図を図12に示す。メッシュシート40は、基材41と、基材41上に設けられた剥離層42と、剥離層42上に形成された導電性メッシュ30と、を有している。
図示された例では、基材41上に、剥離層42を介して、導電性メッシュ30をなす複数の導電細線31が形成されている。導電細線31は、剥離層42に対面する側とは反対側の面31a、側面31b,31c、剥離層42に対面する側の面31d、を有し、剥離層42に対面する側の面31dと剥離層42に対面する側とは反対側の面31aは平行をなしている。導電細線31は、全体として略四角形形状の断面形状を有している。
また、導電細線31は、剥離層42上に設けられた第1の暗色層36、第1の暗色層36上に設けられた導電性金属層35、及び、導電性金属層35を覆う第2の暗色層37を含んでいる。言い換えると、導電性金属層35の表面のうち、剥離層42に対面する側の面35dを第1の暗色層36が覆っており、導電性金属層35の表面のうち、剥離層42に対面する側とは反対側の面35a及び側面35b、35cを第2の暗色層37が覆っている。
次に、図12〜図15を参照して、以上に説明したメッシュシート40を利用して、合わせガラス10を製造する方法の一例について説明する。図13〜図15は、合わせガラス10の製造方法の一例を順に示す断面図である。
まず、メッシュシート40に、導電性メッシュ30の側(図12の上側)から、接合層20及びガラス板12を積層し、その後、メッシュシート40、接合層20及びガラス板12を接合して第1中間部材51(合わせガラス用中間部材)を作製する。例えば、メッシュシート40に接合層20及びガラス板12を積層したものをオートクレーブ装置へ搬入し、メッシュシート40、接合層20及びガラス板12を加熱・加圧し、オートクレーブ装置から取り出すようにすることができる。この場合、メッシュシート40、接合層20及びガラス板12を加熱・加圧する前に、オートクレーブ装置内を減圧するようにすると、接合層20内や、接合層20とメッシュシート40との界面、接合層20とガラス板12との界面に、気泡が残留することを抑制することができる。
これにより、図13に示されているように、基材41、剥離層42、導電性メッシュ30、接合層20及びガラス板12が積層された第1中間部材51が得られる。この第1中間部材51の接合層20は、第1の面20a及び第2の面20bを有しており、導電性メッシュ30が、接合層20の第1の面20aに少なくとも部分的に埋め込まれている。図示された例では、導電性メッシュ30は、接合層20の第1の面20aの側から接合層20内に完全に埋まり込んでいる。結果として、導電性メッシュ30の開口33を介して、接合層20が剥離層42に面接触している。さらには、接合層20は、導電性メッシュ30の33内に露出している剥離層42の全域に面接触している。
なお、図13〜図15に示した例では、図示の簡略化のためにガラス板12を平らなもので示しているが、この例では、ガラス板12は、メッシュシート40に対面する側(紙面の下側)の面12aが凸面となるように湾曲している。言い換えると、ガラス板12は、メッシュシート40に対面する側とは反対側(紙面の上側)の面12bが凹面となるように湾曲している。したがって、例えば図13では、ガラス板12と接合された接合層20及びメッシュシート40も、ガラス板12と同様に湾曲している。すなわち、第1中間部材51は、全体としてメッシュシート40側(紙面の下側)の面51aが凸面となるように湾曲している。
次に、図14に示されているように、第1中間部材51のメッシュシート40の基材41を除去して、第2中間部材52(合わせガラス用中間部材)を作製する。図14に示された例において、メッシュシート40の基材41を、剥離層42を用いて第1中間部材51から剥離し、第1中間部材51から除去する。剥離層42として、基材41との密着性と比べて、接合層20及び導電性メッシュ30との密着性が相対的に低い層を有する界面剥離型の剥離層を用いた場合、剥離層42と接合層20及び導電性メッシュ30との間で剥離される。この場合、剥離層42が、接合層20及び導電性メッシュ30側に残らないようにすることができる。すなわち、基材41は、剥離層42とともに、第1中間部材51から除去される。このようにして基材41及び剥離層42が除去された第1中間部材51において、導電性メッシュ30の開口33内に、接合層20が露出するようになる。
その一方で、剥離層42として、接合層20及び導電性メッシュ30との密着性と比べて、基材41との密着性が相対的に低い界面剥離型の剥離層を用いた場合には、剥離層42と基材41との間で剥離が生じるようになる。剥離層42として、複数層のフィルムを有し、接合層20及び導電性メッシュ30や、基材41との密着性と比べて、当該複数層間相互の密着性が相対的に低い層間剥離型の剥離層を用いた場合には、当該複数層間で剥離が生じるようになる。剥離層42として、連続相としてのベース樹脂中に分散相としてのフィラーを分散させた凝集剥離型の剥離層を用いた場合には、剥離層42内での凝集破壊による剥離が生じる。
第2中間部材52においても、接合層20は、第1の面20a及び第2の面20bを有しており、導電性メッシュ30が、接合層20の第1の面20aに少なくとも部分的に埋め込まれている。
なお、上述のように、図示は省略しているもののガラス板12は湾曲しているので、ガラス板12と接合された接合層20及び導電性メッシュ30も同様に湾曲している。すなわち、第2中間部材52は、全体として導電性メッシュ30側(紙面の下側)の面52aが凸面となるように湾曲している。
そして、第2中間部材52に、接合層20及び導電性メッシュ30の側(図14の下側)から、ガラス板11を積層し、その後、接合層20及びガラス板11を接合する。この例では、ガラス板11は、ガラス板12に合わせて、ガラス板12の反対側(紙面の下側)の面11aが凸面となるように湾曲している。言い換えると、ガラス板11は、ガラス板12側(紙面の上側)の面11bが凹面となるように湾曲している。したがって、湾曲したガラス板12の凸面12aと湾曲したガラス板11の凹面11bとが対向するように積層されている。そして、導電性メッシュ30は、湾曲したガラス板11の凹面11bと面接触している。
この接合は、上述の第1中間部材51の作製と同様の工程で行うことができる。すなわち、ガラス板11及び第2中間部材52が積層されたものをオートクレーブ装置へ搬入し、ガラス板11及び第2中間部材52を加熱・加圧し、オートクレーブ装置から取り出すようにすることができる。この場合も、ガラス板11及び第2中間部材52を加熱・加圧する前に、オートクレーブ装置内を減圧するようにすると、接合層20とガラス板11との界面に気泡が残留することを抑制することができる。
なお、上述の第1中間部材51の作製において、例えば加熱温度を低くする、加熱時間を短くしてもよい。この場合、作製された第1中間部材51において、接合層20を介したガラス板12の導電性メッシュ30への接合が、完全ではなくなるかもしれない。ただし、その後に実施される第2中間部材52を作製する際の加熱・加圧によって、接合層20を介してガラス板12を導電性メッシュ30に十分に接合することができる。すなわち、第1中間部材51の作製時における、接合層20を介したガラス板12の導電性メッシュ30への接合は、完全に接合を完了する「本接合」だけでなく、「本接合」の前に仮止めするための、いわゆる「仮接合」であってもよい。
以上のようにして製造された合わせガラス10を図15に示す。合わせガラス10は、一対のガラス板11,12と、一対のガラス板11,12の間に配置され、一対のガラス板11,12を接合する接合層20と、接合層20と一対のガラス板11,12の一方との間に配置された導電性メッシュ30と、を有している。この合わせガラス10は、上述したように、メッシュシート40を用いて製造することができる。メッシュシート40の導電性メッシュ30は、種々の材料および種々の方法を用いて、基材41上に作製することができ、さらに、所望のパターンを高精度に付与することもできる。したがって、導電性メッシュ30を構成する導電細線31での光の拡散や回折による視認性への悪影響を低減させることが可能となる。また、導電性メッシュ30と一対のガラス板11,12の一方とが接触しているので、導電性メッシュ30によるガラス板11,12の加熱効率を上げることができる。さらに、合わせガラス10内の界面数を低減することができ、且つ、合わせガラス10全体の厚みを小さくすることができる。したがって、光学特性の低下すなわち視認性の低下を抑制することができる。加えて、合わせガラス10全体の重量を軽くすることができ、車両の燃費改善に寄与する。
また、図示した合わせガラス10の導電性メッシュ30は、ガラス板11と面接触している。このような合わせガラス10では、導電性メッシュ30によるガラス板11の加熱効率を一層上げることができる。
また、図示した合わせガラス10において、湾曲したガラス板11の凹面11bと湾曲したガラス板12の凸面12aは対向しており、すなわち、一対のガラス板11,12は、それぞれ対向する凸面12a及び凹面11bを有して湾曲しており、導電性メッシュ30は、ガラス板11の凹面11bと面接触している。このような合わせガラス10では、ガラス板11,12の間に基材41が存在しないので、一対のガラス板11,12が湾曲していても、接合層20及び導電性メッシュ30がガラス板11,12の湾曲に追従しやすくなる。すなわち、基材41が,一対のガラス板11,12間でしわを発生させてしまうといった不具合を解消することができる。
また、この例による製造方法は、基材41と、基材41上に設けられた剥離層42と、剥離層42上に設けられた導電性メッシュ30と、を有するメッシュシート40に、導電性メッシュ30の側から、接合層20を介してガラス板12を接合する工程と、基材41を除去する工程と、接合層20に、ガラス板12に対面する側とは反対の側から、他のガラス板11を接合する工程と、を有する。この例では、基材41を第1中間部材51から剥離する際に、接合層20及び導電性メッシュ30がガラス板12に保持されているので、基材41の剥離が容易となる。また、メッシュシート40への接合層20及びガラス板12の接合を一度に行うので、工程数を削減できる利点がある。
なお、上述のように、剥離層42として、接合層20及び導電性メッシュ30との密着性と比べて、基材41との密着性が相対的に低い界面剥離型の剥離層を用いた場合には、剥離層42と基材41との間で剥離が生じるようになる。剥離層42として、複数層のフィルムを有し、接合層20及び導電性メッシュ30や、基材41との密着性と比べて、当該複数層間相互の密着性が相対的に低い層間剥離型の剥離層を用いた場合には、当該複数層間で剥離が生じるようになる。剥離層42として、連続相としてのベース樹脂中に分散相としてのフィラーを分散させた凝集剥離型の剥離層を用いた場合には、剥離層42内での凝集破壊による剥離が生じる。これらの剥離層42を用いた場合、剥離層42を用いて基材41が除去された第2中間部材52において、剥離層42の少なくとも一部が接合層20及び導電性メッシュ30側に残る。したがって、導電性メッシュ30の開口33内に、接合層20が露出していない状態が生じる。この場合、第2中間部材52にガラス板11を積層する際、第2中間部材52とガラス板11との間に更なる接合層21を設けることが、ガラス板11の確実な接合を確保する上で、好ましい。この場合、接合層20及び導電性メッシュ30側に残った剥離層42は、導電性メッシュ30を支持する支持層45となる。その結果得られる合わせガラス10は、図16に示すように、一対のガラス板11,12と、一対のガラス板11,12の間に配置された一対の接合層20,21と、一対の接合層20,21の間に配置された支持層45と、一対の接合層20,21の一方と支持層45との間に配置され、支持層45に支持された導電性メッシュ30と、を有するようになる。
次に、適宜図面を参照して、合わせガラス10の製造方法の他の例について説明する。なお、以下に説明する合わせガラス10の製造方法は、いずれも図12に示された上述のメッシュシートを利用するものである。
まず、図12に示されたメッシュシート40に、導電性メッシュ30の側(図12の上側)から、接合層20を積層し、且つ、メッシュシート40及び接合層20を接合して、図17に示す第3中間部材53(合わせガラス用中間部材)を作製する。接合層20とメッシュシート40との接合は、最終的な合わせガラス10における接合状態よりも弱い接合状態での「仮接合」であってもよいし、最終的な合わせガラス10における接合状態と同様の接合状態とする「本接合」であってもよい。図17に示すように、第3中間部材53の接合層20は、第1の面20a及び第2の面20bを有しており、導電性メッシュ30が、接合層20の第1の面20aに少なくとも部分的に埋め込まれている。図示された例では、導電性メッシュ30は、接合層20の第1の面20aの側から接合層20内に完全に埋まり込んでいる。結果として、導電性メッシュ30の開口33を介して、接合層20が剥離層42に面接触している。さらには、接合層20は、導電性メッシュ30の33内に露出している剥離層42の全域に面接触している。
そして、第3中間部材53に、接合層20の側(図17の上側)から、ガラス板12を積層し、第3中間部材53及びガラス板12を接合して第4中間部材54(合わせガラス用中間部材)を作製する。第4中間部材54において、接合層20とガラス板12との接合は、最終的な合わせガラス10における接合状態よりも弱い接合状態での「仮接合」であってもよいし、最終的な合わせガラス10における接合状態と同様の接合状態とする「本接合」であってもよい。
以上により作成された第4中間部材54は、図13に示した第1中間部材51と同様となる。第4中間部材54においても、接合層20は、第1の面20a及び第2の面20bを有しており、導電性メッシュ30が、接合層20の第1の面20aに少なくとも部分的に埋め込まれている。とりわけ図示された例では、導電性メッシュ30は、接合層20の第1の面20aの側から接合層20内に完全に埋まり込んでいる。結果として、導電性メッシュ30の開口33を介して、接合層20が剥離層42に面接触している。さらには、接合層20は、導電性メッシュ30の33内に露出している剥離層42の全域に面接触している。
なお、上述のように、ガラス板12は湾曲しているので、ガラス板12と接合された接合層20及び導電性メッシュ30も同様に湾曲している。すなわち、第4中間部材54は、全体として導電性メッシュ30側(紙面の下側)の面54aが凸面となるように湾曲している。
上述の実施の形態で説明した図13の第1中間部材51から合わせガラス10を製造する方法と同様の方法にて、図13に示された第4中間部材54から合わせガラス10を製造することができる。
この例による製造方法は、基材41と、基材41上に設けられた剥離層42と、剥離層42上に設けられた導電性メッシュ30と、を有するメッシュシート40に、導電性メッシュ30の側から接合層20を接合する工程と、接合層20に、前記メッシュシートに対面する側とは反対の側から、ガラス板12を接合する工程と、基材41を除去する工程と、接合層20に、ガラス板12に対面する側とは反対の側から、他のガラス板11を接合する工程と、を有する。この例では、基材41を第4中間部材54から剥離する際に、接合層20及び導電性メッシュ30がガラス板12に保持されているので、基材41の剥離が容易となる。
また、上述した第3中間部材53または第4中間部材54を用いれば、高い設計の自由度で作製された有用な導電性メッシュ30を含んだ合わせガラス10を、容易且つ安定して製造することができる。とりわけ、上述した第3中間部材53または第4中間部材54を用いれば、導電性メッシュ30と一対のガラス板11,12の一方とが接触した合わせガラス10を、容易且つ安定して製造することもできる。
次に、適宜図面を参照して、合わせガラス10の製造方法のさらに他の例について説明する。
まず、上述した方法と同様にして、メッシュシート40に、導電性メッシュ30の側(図12の上側)から、接合層20を積層し、且つ、メッシュシート40及び接合層20を接合して、第5中間部材55(合わせガラス用中間部材)を作製する。得られた第5中間部材55は、図17に示した第3中間部材53と同様とすることができる。したがって、第5中間部材55において、接合層20とメッシュシート40との接合は、最終的な合わせガラス10における接合状態よりも弱い接合状態での「仮接合」であってもよいし、最終的な合わせガラス10における接合状態と同様の接合状態とする「本接合」であってもよい。図17に示すように、第5中間部材55の接合層20は、第1の面20a及び第2の面20bを有しており、導電性メッシュ30が、接合層20の第1の面20aに少なくとも部分的に埋め込まれている。
次に、第5中間部材55から、メッシュシート40の基材41を除去して、図18に示す、導電性メッシュ30及び接合層20を有する第6中間部材56(合わせガラス用中間部材)を作製する。メッシュシート40の基材41を剥離層42で剥離して、第5中間部材55から除去する。図18に示された例では、メッシュシート40の基材41を、剥離層42とともに、接合層20および導電性メッシュ30から剥離している。第6中間部材56においても、接合層20は、第1の面20a及び第2の面20bを有しており、導電性メッシュ30が、接合層20の第1の面20aに少なくとも部分的に埋め込まれている。
そして、導電性メッシュ30及び接合層20を有する第6中間部材56の両面側から、ガラス板11及びガラス板12を積層し、すなわち、一対のガラス板11,12の間に、導電性メッシュ30及び接合層20を配置し、且つ、一対のガラス板11,12及び接合層20を接合して合わせガラス10を製造する。得られた合わせガラス10は、図15に示した合わせガラス10と同様の構成となる。
この例による製造方法は、基材41と、基材41上に設けられた剥離層42と、剥離層42上に設けられた導電性メッシュ30と、を有するメッシュシートに、導電性メッシュ30の側から接合層20を接合する工程と、基材41を除去する工程と、一対のガラス板11,12の間に、導電性メッシュ30及び接合層20を配置し、各ガラス板11,12と接合層20とを接合する工程と、を有する。この例では、各ガラス板11,12と接合層20とを接合する工程を一度に行うので、工程数を削減できる。
以上のように、本実施の形態における合わせガラス10は、一対のガラス板11,12と、一対のガラス板11,12の間に配置され、一対のガラス板11,12を接合する接合層20と、接合層20と一対のガラス板11,12の一方との間に配置された導電性メッシュ30と、を有している。
また、本実施の形態におけるメッシュシート40は、基材41と、基材41上に設けられた剥離層42と、剥離層42上に設けられた導電性メッシュ30と、を有している。
さらに、本実施の形態における合わせガラス用中間部材は、接合層20と、接合層20の第1の面及び第2の面の一方に少なくとも部分的に埋め込まれた導電性メッシュ30と、を有している。
このような合わせガラス10、メッシュシート40及び合わせガラス用中間部材51〜56では、種々の材料および種々の方法を用いて、導電性メッシュ30を基材41上に作製することができ、さらに、導電性メッシュ30に所望のパターンを高精度に付与することもできる。したがって、導電性メッシュ30を構成する導電細線31での光の拡散や回折による視認性への悪影響を低減させることが可能となる。
また、合わせガラス10において、導電性メッシュ30と一対のガラス板11,12の一方とが接触しているので、導電性メッシュ30によるガラス板11,12の加熱効率を上げることができる。さらに、合わせガラス10内の界面数を低減することができ、且つ、合わせガラス10全体の厚みを小さくすることができる。したがって、光学特性の低下すなわち視認性の低下を抑制することができる。加えて、合わせガラス10全体の重量を軽くすることができ、車両の燃費改善に寄与する。
さらに、本実施の形態の一例における合わせガラスの製造方法は、基材41と、基材41上に設けられた剥離層42と、剥離層42上に設けられた導電性メッシュ30と、を有するメッシュシート40に、導電性メッシュ30の側から、接合層20を介してガラス板12を接合する工程と、基材41を除去する工程と、接合層20に、ガラス板12に対面する側とは反対の側から、他のガラス板11を積層し、各ガラス板11,12と接合層20とを接合する工程と、を有している。
この製造方法では、まずメッシュシート40を作製し、このメッシュシート40を用いて合わせガラス10を作製する。メッシュシート40を作製する際に、基材41および剥離層42上に、所望のパターンの導電性メッシュ30を容易且つ安定して作製することができる。したがって、メッシュシート40を利用して合わせガラス10を製造する方法によれば、高い設計の自由度で作製された有用な導電性メッシュ30を含んだ合わせガラス10を、容易且つ安定して製造することができる。とりわけ、導電性メッシュ30と一対のガラス板11,12の一方とが接触した上述の合わせガラス10を、容易且つ安定して製造することもできる。
また、上述した第5中間部材55または第6中間部材56を用いれば、高い設計の自由度で作製された有用な導電性メッシュ30を含んだ合わせガラス10を、容易且つ安定して製造することができる。とりわけ、上述した第5中間部材55または第6中間部材56を用いれば、導電性メッシュ30と一対のガラス板11,12の一方とが接触した合わせガラス10を、容易且つ安定して製造することもできる。
このような合わせガラスの製造方法では、基材41を第1中間部材51から剥離する際に、接合層20及び導電性メッシュ30がガラス板12に保持されているので、基材41の剥離が容易となる。また、メッシュシート40への接合層20及びガラス板12の接合を一度に行うので、工程数を削減できる。
また、本実施の形態の他の例における合わせガラスの製造方法は、基材41と、基材41上に設けられた剥離層42と、剥離層42上に設けられた導電性メッシュ30と、を有するメッシュシート40に、導電性メッシュ30の側から接合層20を接合する工程と、接合層20に、前記メッシュシートに対面する側とは反対の側から、ガラス板12を接合する工程と、基材41を除去する工程と、接合層20に、ガラス板12に対面する側とは反対の側から、他のガラス板11を接合する工程と、を有している。
この製造方法でも、まずメッシュシート40を作製し、このメッシュシート40を用いて合わせガラス10を作製する。メッシュシート40を作製する際に、基材41および剥離層42上に、所望のパターンの導電性メッシュ30を容易且つ安定して作製することができる。したがって、メッシュシート40を利用して合わせガラス10を製造する方法によれば、高い設計の自由度で作製された有用な導電性メッシュ30を含んだ合わせガラス10を、容易且つ安定して製造することができる。とりわけ、導電性メッシュ30と一対のガラス板11,12の一方とが接触した上述の合わせガラス10を、容易且つ安定して製造することもできる。
このような合わせガラスの製造方法では、基材41を第4中間部材54から剥離する際に、接合層20及び導電性メッシュ30がガラス板12に保持されているので、基材41の剥離が容易となる。
また、本実施の形態の更に他の例における合わせガラスの製造方法は、基材41と、基材41上に設けられた剥離層42と、剥離層42上に設けられた導電性メッシュ30と、を有するメッシュシートに、導電性メッシュ30の側から接合層20を接合する工程と、基材41を除去する工程と、一対のガラス板11,12の間に、導電性メッシュ30及び接合層20を配置し、各ガラス板11,12と接合層20とを接合する工程と、を有している。
この製造方法でも、まずメッシュシート40を作製し、このメッシュシート40を用いて合わせガラス10を作製する。メッシュシート40を作製する際に、基材41および剥離層42上に、所望のパターンの導電性メッシュ30を容易且つ安定して作製することができる。したがって、メッシュシート40を利用して合わせガラス10を製造する方法によれば、高い設計の自由度で作製された有用な導電性メッシュ30を含んだ合わせガラス10を、容易且つ安定して製造することができる。とりわけ、導電性メッシュ30と一対のガラス板11,12の一方とが接触した上述の合わせガラス10を、容易且つ安定して製造することもできる。
このような合わせガラスの製造方法では、各ガラス板11,12と接合層20とを接合する工程を一度に行うので、工程数を削減できる。
以上のように、合わせガラス10を製造する上でメッシュシート40又は中間部材51〜56は有用である。そして、合わせガラス10を製造する際、予めメッシュシート40又は中間部材51〜56を準備しておき、合わせガラス10の製造量に合わせて、予め用意しておいたメッシュシート40又は中間部材51〜56を必要量だけ使用するようにしてもよい。すなわち、合わせガラス10を製造する上で、メッシュシート40又は中間部材51〜56を製造するまでの工程と、それ以降の工程とが、連続的に実施されなくてもよい。メッシュシート40又は中間部材51〜56は、巻取コアに巻き取られた巻体の状態で保管されるようにしてもよい。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
例えば、図4に示された例では、導電性メッシュ30は、同一形状のハニカム状の開口33が規則的に配置されたメッシュパターンを有しているが、このようなメッシュパターンに限られず、三角形、矩形等の同一形状の開口33が規則的に配置されたメッシュパターン、異形状の開口33が規則的に配置されたメッシュパターン、ボロノイメッシュのような、異形状の開口33が不規則的に配置されたメッシュパターン等、種々のメッシュパターンを用いてもよい。
また、図5〜図12に示された例では、導電性金属層35の第1の暗色層36と反対側の面35a及び側面35b,35cに第2の暗色層37を形成したが、これに限られず、導電性金属層35の第1の暗色層36と反対側の面35aのみ、又は、導電性金属層35の側面35b,35cのみに第2の暗色層37を形成してもよい。
導電性金属層35の第1の暗色層36と反対側の面35aのみに第2の暗色層37を形成する場合は、例えば、図8に示した工程の後に、導電性金属層35上に第2の暗色層37及びレジストパターン39を順に設け、その後、レジストパターン39をマスクとして、第2の暗色層37、導電性金属層35及び第1の暗色層36をエッチングすればよい。
また、導電性金属層35の側面35b,35cのみに第2の暗色層37を形成する場合は、例えば、図10に示した工程の後に、レジストパターン39を除去せずに第2の暗色層37を形成し、その後、レジストパターン39を除去すればよい。
なお、第1の暗色層36が必要ない場合には、図7に示した、剥離層42上に第1の暗色層36を設ける工程を省略してもよい。
導電細線31の断面形状は、上述の略長方形のものに限られず、例えば、導電細線31の幅が、メッシュシート40の法線方向に沿って剥離層42から離間するにつれて狭くなるように変化しているものであってもよい。このような断面形状のものとしては、剥離層42側の面31dと剥離層42と反対側の面31aが平行をなし、側面31bは、メッシュシート40のシート面の法線方向に沿って剥離層42から離間するにつれて側面31cに近づくようなテーパ面をなし、側面31cも、メッシュシート40のシート面の法線方向に沿って剥離層42から離間するにつれて側面31bに近づくようなテーパ面をなして、全体として略台形の断面を有するものが例示できる。導電細線31がこのような断面形状を有していると、導電性メッシュ30をなす導電細線31を確実に接合層20に埋め込むことができる。
また、導電性メッシュ30は、接合層20の第2の面20bに少なくとも部分的に埋め込むようにしてもよい。すなわち、導電性メッシュ30が、ガラス板12の凸面と接触するようにしてもよい。
合わせガラス10は、自動車1のリアウィンドウ、サイドウィンドウやサンルーフに用いてもよい。また、自動車以外の、鉄道、航空機、船舶、宇宙船等の乗り物の窓に用いてもよい。
さらに、合わせガラス10は、乗り物以外にも、特に室内と室外とを区画する箇所、例えばビルや店舗、住宅の窓等に使用することもできる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。