JP2016019993A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 凸型クラウンロールを配置した軽圧下帯で鋳片の中心偏析を低減する。
【解決手段】 鋳片10の厚みを0.1〜3.0%の総バルジング量で拡大させた後、軽圧下帯で、総バルジング量の0.5倍〜1.5倍の総圧下量で、固相率が0.2〜0.9の鋳片を、0.30〜2.00mm/minの圧下速度で圧下する連続鋳造方法であって、軽圧下帯には、対向するロールの形状を、一方はフラットロールとし、他方は、鋳片と接触する凸型部分6TPが突出し且つ凸型部分が鋳片幅よりも狭い凸型クラウンロール6Bが配置され、前記凸型部分の幅(WRO)が、総バルジング量(δIB)、総圧下量(Rtotal)及び鋳片幅(WSL)に対して(1)式の関係を満足し、且つ、凸型部分の突出高さ(ΔDRO)が、総圧下量に対して(2)式の関係を満足するように構成されている。
WSL−300×RtotalIB<WRO<WSL−100×RtotalIB…(1) ΔDRO>Rtotal…(2)
【選択図】 図3

Description

本発明は、連続鋳造中の鋳片を凝固収縮量に相当する程度の圧下量で徐々に圧下して鋳片の厚み中心部に発生する成分偏析を抑制する連続鋳造方法に関する。
連続鋳造中の鋳片の凝固過程では凝固収縮が起こり、この収縮に伴って生成する負圧を解消するべく、未凝固溶鋼が鋳片の引き抜き方向に吸引され、最終凝固部である鋳片の厚み中心部に向かって流動し、鋳片の厚み中心部に集積する。この未凝固溶鋼は、炭素(C)、燐(P)、マンガン(Mn)、硫黄(S)などの溶質元素が濃縮(「濃化溶鋼」という)しており、鋳片の厚み中心部に集積した濃化溶鋼が凝固することで、周囲よりも溶質元素が濃化した中心偏析が発生する。凝固末期の濃化溶鋼が流動する要因としては、上記の凝固収縮の他に、溶鋼静圧による鋳片のロール間でのバルジング(膨らみ)や、鋳片支持ロールのロールアライメントの不整合なども挙げられる。
この中心偏析は、鋼製品、特に厚鋼板の品質を劣化させる。例えば、石油輸送用や天然ガス輸送用のラインパイプ材においては、サワーガスの作用により、中心偏析を起点として水素誘起割れが発生する。また、海洋構造物、貯槽、石油タンクなどにおいても、同様の問題が発生する。しかも近年、鋼材の使用環境は、より低温下或いはより腐食環境下といった厳しい環境での使用を求められることが多く、鋳片の中心偏析を低減することの重要性は益々大きくなっている。
したがって、連続鋳造工程から圧延工程に至るまで、鋳片の中心偏析を低減する或いは無害化する対策が多数提案されている。そのなかで、効果的な方法として、未凝固層を有する連続鋳造中の凝固末期の鋳片を、複数対の鋳片支持ロールによって凝固収縮量に相当する程度の少ない圧下量で徐々に圧下しながら鋳造する凝固末期軽圧下方法(例えば、特許文献1を参照)、及び、未凝固層を有する凝固末期の鋳片を、1対または2〜3対の圧下ロールで10mm程度またはそれ以上を圧下する凝固末期大圧下方法(例えば、特許文献2を参照)が行われている。
上記の凝固末期軽圧下方法は、鋳片の凝固完了位置付近の鋳造方向に圧下ロール群(「軽圧下帯」という)を配置し、この圧下ロール群によって連続鋳造中の鋳片を凝固収縮量に相当する程度の圧下量で徐々に圧下し、具体的には、0.3〜1.5mm/min程度の低い圧下速度で徐々に圧下し、鋳片中心部での空隙の形成を防止し、これによって濃化溶鋼の流動を抑止して鋳片の中心偏析を抑制するという技術である。一方、凝固末期大圧下方法は、鋳片の凝固完了位置付近に配置した1対または2〜3対の圧下ロールで鋳片を圧下し、デンドライト樹間に存在する濃化溶鋼を鋳造方向の上流側に排出させ、これによって鋳片の中心偏析を抑制するという技術である。
この凝固末期軽圧下方法では、圧下量が不足すると中心偏析や内質欠陥の生成防止が不十分となり、一方、圧下量が大き過ぎると内部割れが発生し、却って鋳片の内質を悪化させる。つまり、凝固末期軽圧下方法では、圧下量を凝固収縮量が補償される程度の範囲に適正に制御することが重要となる。
また、凝固末期軽圧下方法を適用する場合、鋳片の短辺側は凝固が完了しており、この部分が圧下抵抗となり、鋳片幅中央部に所定の圧下力が付与されにくくなるのみならず、ロールに過大の負荷が掛かり、軽圧下帯のロール寿命が低下するという問題が起こる。そこで、鋳片の短辺側を圧下せずに、鋳片幅中央部に所定の圧下力を付与する凝固末期軽圧下方法がいくつか提案されている。
例えば特許文献3には、鋳型と鋳片の液相線クレータエンドとの間の凝固シェルに、意図的にバルジング力を作用させて、鋳片の幅方向中央部の未凝固層の厚みを増大させ、その後、前記液相線クレータエンドと鋳片の固相線クレータエンドとの間で鋳片長辺面を、凝固収縮量に相当する程度の圧下量で圧下する技術が提案されている。この技術では、鋳片長辺面の短辺側は、鋳片短辺面に拘束されていることからバルジングせず、鋳片長辺面の中央部のみがバルジングするので、鋳片長辺面の短辺側は圧下されず、軽圧下帯のロールへの負荷荷重を増大させることなく、鋳片に所定量の圧下量を付与することが可能となる。
また、特許文献4には、鋳片厚み中心部の固相率が0.7〜1.0の範囲のクロム系ステンレス鋼鋳片を軽圧下帯で圧下するにあたり、対面する圧下ロールの形状を一方は固定圧下ロールのフラットロールとし、他方の側は移動圧下ロールの凸型クラウンロールとし、該凸型クラウンロールの凸型部分を鋳片幅よりも狭く且つロール径よりも7〜12mm突出させ、前記鋳片の長辺面を圧下する技術が提案されている。この技術では、鋳片長辺面の短辺側は圧下されず、鋳片に所定量の圧下を付与することが可能となる。
特開昭49−121738号公報 特開平9−57410号公報 特開昭60−6254号公報 特開2003−94154号公報
しかしながら、上記特許文献3及び特許文献4には以下の問題がある。
即ち、特許文献3は、鋳片長辺面を意図的にバルジングさせる際のバルジング量を規定しておらず、バルジング量が大きくなるほど、鋳片長辺面の短辺側の圧下されない範囲は拡大するが、その反面、バルジングさせることによって鋳片に内部割れの発生頻度が高くなる。つまり、特許文献3では、鋳片に内部割れの発生が懸念され、一方、バルジング量が少ない場合には、鋳片の中心偏析軽減のためには鋳片長辺面の短辺側も圧下せざるを得ず、ロールへの負荷荷重が増大する虞がある。
特許文献4は、鋳片長辺面つまり鋳片幅に対して、凸型クラウンロールの凸型部分の幅を規定しておらず、凸型部分の幅を鋳片幅に対して小さくし過ぎた場合には、内部に未凝固層を有する鋳片の端部側と凸型クラウンロールとが非接触となる範囲が広くなり、この非接触の部位で鋳片にバルジングが発生して、この部分の内質が悪化する可能性がある。一方、凸型部分の幅を鋳片幅に対して広くし過ぎた場合には、剛性が高く、圧下抵抗の大きい鋳片長辺面の短辺側も圧下され、中心偏析が軽減されない場合も発生する。また、圧下量が大きい場合には、鋳片表面の圧下される部分と圧下されない部分との境界位置に、表面疵の発生する可能性がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋳片の中心偏析を軽減するべく、凸型クラウンロールで構成される軽圧下帯で連続鋳造中の鋳片を凝固収縮量に相当する程度の圧下量で徐々に圧下しながら連続鋳造するにあたり、凸型クラウンロールの凸型部分の幅及び凸型部分の突出高さを適正に設定し、大きな圧下荷重を必要とせずに比較的小さい圧下荷重で、設定した値の圧下量を鋳片に確実に付与することができ、その結果、効率的に鋳片の中心偏析を低減することのできる、鋼の連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]連続鋳造機の複数対の鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に増加させて内部に未凝固層を有する矩形の鋳片の長辺面厚みを鋳型出口での鋳片長辺厚みの0.1〜3.0%の範囲の総バルジング量で拡大させ、
その後、複数対の鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に減少させた軽圧下帯で、該軽圧下帯における総圧下量が前記総バルジング量の0.5倍〜1.5倍の範囲内となるように、鋳片厚み中心部の固相率が少なくとも0.2から0.9までの範囲の鋳片の長辺面を、0.30〜2.00mm/minの圧下速度で圧下する鋼の連続鋳造方法であって、
前記軽圧下帯には、対向するロールの形状を、一方はフラットロールとし、他方は、鋳片と接触する凸型部分がロール径よりも突出し且つ凸型部分が鋳片幅よりも狭い凸型クラウンロールとする鋳片支持ロールが配置され、
前記凸型クラウンロールの凸型部分の幅が、前記総バルジング量、前記総圧下量及び鋳片幅に対して下記の(1)式の関係を満足し、且つ、前記凸型部分の突出高さが、前記総圧下量に対して下記の(2)式の関係を満足するように構成されていることを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
SL−300×Rtotal/δIB<WRO<WSL−100×Rtotal/δIB・・・(1)
ΔDRO>Rtotal・・・(2)
但し、(1)式及び(2)式において、WSLは、鋳片幅(mm)、Rtotalは、総圧下量(mm)、δIBは、総バルジング量(mm)、WROは、凸型クラウンロールの凸型部分の幅(mm)、ΔDROは、凸型クラウンロールの凸型部分の突出高さ(mm)である。
本発明によれば、軽圧下帯に設置した、凸型クラウンロールからなる鋳片支持ロールの凸型部分の幅を(1)式を満足する範囲内とし、且つ、凸型部分の突出高さを(2)式を満足する範囲内とするので、凸型部分で圧下する範囲が未凝固層の範囲から大きく外れることがなくなり、また、鋳片の強制的にバルジングさせた部分のみを効果的に圧下し、凸型クラウンロールからなる鋳片支持ロールによる鋳片表面の擦り傷などを防止することが可能である。また更に、鋳片長辺面の端部の完全凝固部は圧下しないので、鋳片からロールへの反力を小さくでき、軽圧下帯を構成するロールセグメントに過大な荷重の掛かることが防止され、鋳片に設定どおりの圧下量を付与することが可能となり、鋳片の中心偏析を安定的に軽減することが実現される。
本発明を実施する際に用いるスラブ連続鋳造機の1例の側面概略図である。 軽圧下帯を形成するロールセグメントの1例を示す概略図であり、鋳片の引き抜き方向と直行する、連続鋳造機の側方から見た概略図である。 図2に示すロールセグメントを、図2の方向とは直行する、鋳片の引き抜き方向から見た概略図である。 凸型クラウンロールで構成されるガイドロール(ピンチロール)と鋳片との位置関係を示す拡大概略図である。 本発明における鋳片支持ロールのロール開度のプロフィルの例を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明を実施する際に用いるスラブ連続鋳造機の1例の側面概略図である。
図1に示すように、スラブ連続鋳造機1には、溶鋼9を注入して凝固させ、鋳片10の長方形の外殻を形成するための鋳型5が設置され、この鋳型5の上方所定位置には、取鍋(図示せず)から供給される溶鋼9を鋳型5に中継供給するためのタンディッシュ2が設置されている。タンディッシュ2の底部には、溶鋼9の流量を調整するためのスライディングノズル3が設置され、このスライディングノズル3の下面には浸漬ノズル4が設置されている。一方、鋳型5の下方には、サポートロール、ガイドロール及びピンチロールからなる複数対の鋳片支持ロール6が配置されている。鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロール6の間隙には、水スプレーノズル或いはエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズル(図示せず)が配置された二次冷却帯が構成され、二次冷却帯の各スプレーノズルから噴射される冷却水(「二次冷却水」ともいう)によって鋳片10は引き抜かれながら冷却されるようになっている。また、鋳造方向最終の鋳片支持ロール6の下流側には、鋳造された鋳片10を搬送するための複数の搬送ロール7が設置されており、この搬送ロール7の上方には、鋳造される鋳片10から所定の長さの鋳片10aを切断するための鋳片切断機8が配置されている。
鋳片10の凝固完了位置13の鋳造方向上流側には、鋳片10を挟んで対向する鋳片支持ロール間の間隔(この間隔を「ロール開度」と呼ぶ)を鋳造方向下流側に向かって順次狭くなるように設定された、つまり圧下勾配(鋳造方向下流に向かって順次狭くなるように設定されたロール開度の状態)が設定された、複数対の鋳片支持ロール群から構成される軽圧下帯14が設置されている。
図1では、凝固完了位置13の鋳造方向上流側に軽圧下帯14が設置されているが、これは、鋳片厚み中心部の固相率が0.9となる部位の鋳片が軽圧下帯14の下部に位置し、鋳片厚み中心部の固相率が0.9を超えた鋳片は軽圧下帯14から直ちに遠ざかるようにするためである。このようにすることで、鋳片10の中心偏析が抑制され、且つ、剛性が高く、圧下抵抗の大きい、鋳片厚み中心部の固相率が0.9を超えた部位に圧下力が付与されず、軽圧下帯14の圧下負荷が軽減される。
但し、これは、鋳片引き抜き速度が目標とする所定値となった定常鋳造域での理想的な状態を示すものであり、この場合でも、取鍋交換時や鋳造終了時の鋳片引き抜き速度が前記の目標とする値よりも低下するときには、凝固完了位置13は鋳造方向上流側に移動し、軽圧下帯14の範囲内に入る。つまり、本発明では、鋳片厚み中心部の固相率が少なくとも0.2から0.9までの鋳片が、軽圧下帯14の設置範囲内に入るようにすればよく、この条件を満足する限り、どのような形態であっても構わない。
軽圧下帯14は、複数対の鋳片支持ロール6が一体的に配置されるロールセグメントで形成され、図1では、軽圧下帯14は、2基のロールセグメントによって構成されている。ここで、図1では、軽圧下帯14が2基のロールセグメント14A、14Bによって構成されているが、本発明において、軽圧下帯14を1基のロールセグメントで構成しても、また、3基以上のロールセグメントで構成しても、何れでも構わない。但し、何れの場合も、定常鋳造域の鋳片引き抜き速度のときには、鋳片厚み中心部の固相率が0.2から0.9までの鋳片が軽圧下帯14の範囲内に入るように、軽圧下帯14の鋳造方向長さを確保することが必要である。また、図1では、1つのロールセグメントが3対の鋳片支持ロール6によって構成されているが、ロールセグメントを構成する鋳片支持ロール6は3対に限るものではなく、2対以上であるならば幾つであっても構わない。
通常、軽圧下帯14における圧下勾配は、鋳造方向1mあたりのロール開度絞り込み量、つまり「mm/m」で表示されており、したがって、軽圧下帯14における鋳片10の圧下速度(mm/min)は、この圧下勾配(mm/m)と鋳片引き抜き速度(m/min)との積で求められる。尚、軽圧下帯14を構成する各鋳片支持ロール間にも鋳片10を冷却するためのスプレーノズルが配置されている。また、軽圧下帯14に配置される鋳片支持ロール6を圧下ロールとも称す。
図2、図3に、軽圧下帯14を形成するロールセグメントの1例として、ロールセグメント14Aの拡大概略図を示す。図2は、鋳片の引き抜き方向と直行する、連続鋳造機の側方から見た概略図、図3は、図2の方向とは直行する、鋳片の引き抜き方向から見た概略図である。図2及び図3に示すロールセグメント14Aは、5対の鋳片支持ロール6が配置された例を示す図で、5対の鋳片支持ロール6のうちの1対がピンチロール6Aで、他の4対がガイドロール6Bの例である。ロールセグメント14Bも図2及び図3と同様の構造である。
図2及び図3に示すように、ロールセグメント14Aは、ロールチョック22を介して5対の鋳片支持ロール6(5対の鋳片支持ロールのうちで、1対はピンチロール6Aで、4対はガイドロール6B)を保持した1対のフレーム17及びフレーム17′からなり、フレーム17及びフレーム17′を貫通させて合計4本(上流側の両サイド及び下流側の両サイド)のタイロッド18が配置され、このタイロッド18に設置されているウオームジャッキ20をモーター21にて駆動させることにより、フレーム17とフレーム17′との間隔の調整、つまり、ロールセグメント14Aにおける圧下勾配の調整が行われるようになっている。鋳造中は、ウオームジャッキ20は未凝固層12を有する鋳片10の溶鋼静圧によってセルフロックされ、鋳片10のバルジング力に対抗しており、鋳片10が存在しない条件下で、つまり、ロールセグメント14Aに設置されるピンチロール6A及びガイドロール6Bに鋳片10からの負荷が作用しない条件下で、圧下勾配の調整が行われるように構成されている。
また、タイロッド18には、フレーム17′とウオームジャッキ20との間に皿バネ19が設置されている。皿バネ19は、1個の皿バネで構成されるものではなく、複数個の皿バネを重ねて構成されるものである(多数個の皿バネを重ねるほど剛性が高くなる)。この皿バネ19は、皿バネ19に或る所定の荷重以上の負荷荷重が作用しない場合には収縮せずに一定の厚みを呈しているが、或る所定の負荷荷重が作用した場合に収縮し始め、或る所定の負荷荷重を超えた以降は負荷荷重に比例して収縮するように構成されている。例えば、鋳片10がロールセグメント14Aの範囲内で凝固完了した場合には、凝固完了した鋳片10を圧下することによってロールセグメント14Aに過大な荷重が負荷されるが、このような過大な荷重が負荷される場合には、皿バネ19が収縮することで、フレーム17′が開放し、つまり、ロール開度が拡大し、ロールセグメント14Aに過大な荷重が負荷されないように構成されている。尚、下面側のフレーム17は、連続鋳造機の基礎に固定されていて鋳造中には移動しないように構成されている。
フレーム17′に設置されるガイドロール6Bは、ロールチョック22がフレーム17′に固定されていて、フレーム17′と同一の動きをするが、フレーム17′に配置されるピンチロール6Aは、ロールチョック22が油圧シリンダー16のシリンダーロッド23で支持されており、油圧シリンダー16の油圧に応じて、鋳片10を押し付けるように構成されている。但し、ピンチロール6Aの押し付け力が鋳片10の静鉄圧よりも小さい場合には、他のガイドロール6Bの圧下勾配と同一の勾配になる位置に退避するように構成されている。また、ピンチロール6Aは電動機(図示せず)に接続され、この電動機によって所定の回転速度で回転するように構成されている。これに対してガイドロール6Bは、駆動せず、移動する鋳片10と接触することで回転する。
一方、フレーム17に設置されるピンチロール6Aは、フレーム17に設置されるガイドロール6Bと同様に、フレーム17に固定されており、鋳片厚み方向に移動しないように構成されている。但し、フレーム17に設置されるピンチロール6Aも電動機(図示せず)に接続されており、所定の回転速度で回転するように構成されている。
ピンチロール6Aがロールセグメント14Aでの圧下勾配と関係なく鋳片10を押し付け可能に構成される理由は、ピンチロール6Aによって鋳片10やダミーバー(鋳造開始時に鋳片の代わりに連続鋳造機内に挿入される物体)を所定の速度で引く抜く必要があり、そのためには、ピンチロール6Aは鋳片10やダミーバーへの所定の押し付け力を有することが必要であるからである。鋳片10やダミーバーに対して所定の押し付け力を確保できない場合には、鋳片10やダミーバーは駆動されない。
尚、図2では、ロールセグメント14Aに1対のピンチロール6Aが配置されているが、1つのロールセグメント14Aに2対以上のピンチロール6Aが配置されていても構わない。また、図示はしないが、軽圧下帯14以外の鋳片支持ロール6もロールセグメント構造となっている。
本発明において、鋳片上面側のフレーム17′に設置されるガイドロール6B及びピンチロール6Aは、図3及び図4に示すように、鋳片10と接触する凸型部分6TPがロール径よりも突出し且つ凸型部分6TPの幅が鋳片幅よりも狭い凸型クラウンロールで構成されている。一方、フレーム17に設置されるガイドロール6B及びピンチロール6Aは、ロール径が一定であるフラットロールで構成されている。尚、図4は、凸型クラウンロールで構成されるガイドロール6B(ピンチロール6A)と鋳片10との位置関係を示す拡大概略図であり、図中のWROは、凸型部分6TPの幅、ΔDROは、凸型部分6TPの突出高さ、WSLは、鋳片10の幅である。
つまり、軽圧下帯14において、鋳片10の下面側では、鋳片長辺面の全面がガイドロール6B及びピンチロール6Aによって支持されるが、鋳片10の上面側では、鋳片長辺面の端部側はガイドロール6B及びピンチロール6Aと接触せず、軽圧下帯14に配置された鋳片支持ロール6による圧下力は鋳片長辺面の幅方向中央部のみに作用し、鋳片長辺面の端部側は圧下されないように構成されている。
また、図1において、鋳型5の下端から鋳片10の液相線クレータエンド位置との間に配置される鋳片支持ロール6は、鋳造方向下流側に向かって、ロール開度の拡大量が所定値となるまで、1ロール毎または数ロール毎に順次ロール開度が広くなった、内部に未凝固層12を有する鋳片10の長辺面を強制的にバルジングさせるための強制バルジング帯15を構成している。強制バルジング帯15の下流側の鋳片支持ロール6は、ロール開度が一定値または鋳片10の温度降下に伴う収縮量に見合う程度に狭められ、その後、軽圧下帯14を構成するロールセグメント14Aにつながっている。
図5に、本発明における鋳片支持ロール6のロール開度のプロフィルの例を示す。図5に示すように、強制バルジング帯15で鋳片長辺面を溶鋼静圧によって強制的にバルジングさせて鋳片長辺面の中央部の厚みを増大させ(領域b)、強制バルジング帯15を通りすぎた下流側では、ロール開度が一定値または鋳片10の温度降下に伴う収縮量に見合う程度に狭められ(領域c)、その後、軽圧下帯14で鋳片長辺面を圧下する(領域d)というプロフィルである。図中のa及びeは、ロール開度が鋳片10の温度降下に伴う収縮量に見合う程度に狭められる領域である。図中のa′は、鋳片10の温度降下に伴う収縮量に見合う程度にロール開度を狭くする従来方法のロール開度の例である。
強制バルジング帯15では、鋳片支持ロール6のロール開度を鋳造方向下流側に向かって順次広くすることにより、鋳片10の短辺近傍を除く長辺面は、未凝固層12による溶鋼静圧によって鋳片支持ロール6のロール開度に倣って強制的にバルジングさせられる。鋳片長辺面の短辺近傍は、凝固の完了した鋳片短辺面に固持されることから、強制的なバルジングを開始した時点の厚みを維持しており、したがって、鋳片10は、強制的なバルジングによって鋳片長辺面のバルジングした部分のみが鋳片支持ロール6に接触することになる。
この構成のスラブ連続鋳造機1において、タンディッシュ2から浸漬ノズル4を介して鋳型5に注入された溶鋼9は、鋳型5で冷却されて凝固シェル11を形成する。この凝固シェル11を外殻とし、内部に未凝固層12を有する、横断面が長方形の鋳片10は、鋳型5の下方に設けられた鋳片支持ロール6に支持されつつ、鋳型5の下方に連続的に引き抜かれる。鋳片10は、鋳片支持ロール6を通過する間、二次冷却帯の二次冷却水で冷却され、凝固シェル11の厚みを増大し、且つ、強制バルジング帯15では鋳片長辺面の短辺側端部を除いた部分の厚みを増大させ、更に、軽圧下帯14では鋳片長辺面が圧下されながら引き抜かれ、凝固完了位置13で内部までの凝固を完了する。凝固完了後の鋳片10は、鋳片切断機8によって切断されて鋳片10aとなる。
本発明において、強制バルジング帯15を鋳型5の下端から鋳片10の液相線クレータエンド位置との間に配置する理由は、以下のとおりである。即ち、鋳片10の液相線クレータエンド位置よりも鋳造方向上流側は、鋳片厚み中心部は全て未凝固層12(液相)であり、且つ、鋳片10の凝固シェル11は温度が高くて変形抵抗が小さいことによる。鋳片10を強制的にバルジングさせる場合、鋳片10の内部に存在する未凝固層12が少ない時点でバルジングさせると、濃化溶鋼が流動して中心偏析は却って悪化する。しかし、鋳片10の液相線クレータエンド位置よりも鋳造方向上流側でバルジングさせた場合には、この時点では、溶質元素が濃化されていない初期濃度の溶鋼が鋳片内部に潤沢に存在し、且つ、この溶鋼が容易に流動する。この溶鋼が流動しても偏析は起こらず、したがって、この時点におけるバルジングは中心偏析の原因とはならない。また、凝固シェル11の変形抵抗が小さいことから、容易にバルジングさせることができる。
尚、鋳片10の液相線とは、鋳片10の化学成分によって決まる凝固開始温度であり、例えば、下記の(3)式から求めることができる。
TL=1536-(78×[%C]+7.6×[%Si]+4.9×[%Mn]+34.4×[%P]+38×[%S]+4.7×[%Cu]+3.1×[%Ni]+1.3×[%Cr]+3.6×[%Al])・・・(3)
但し、(3)式において、TLは液相線温度(℃)、[%C]は溶鋼の炭素濃度(質量%)、[%Si]は溶鋼の珪素濃度(質量%)、[%Mn]は溶鋼のマンガン濃度(質量%)、[%P]は溶鋼の燐濃度(質量%)、[%S]は溶鋼の硫黄濃度(質量%)、[%Cu]は溶鋼の銅濃度(質量%)、[%Ni]は溶鋼のニッケル濃度(質量%)、[%Cr]は溶鋼のクロム濃度(質量%)、[%Al]は溶鋼のアルミニウム濃度(質量%)である。
鋳片10の液相線クレータエンド位置は、二次元伝熱凝固計算により求められる鋳片内部の温度勾配と、(3)式で定まる液相線温度とを照らし合わせることで求めることができる。
強制バルジング帯15は、特別な機構は不要であり、ロール開度を調整するだけで形成されるので、鋳型5の下端から鋳片10の液相線クレータエンド位置との範囲である限り、任意の位置に設置することができる。
本発明においては、強制バルジング帯15では、強制的なバルジングの総量(「総バルジング量」という)を、鋳型出口での鋳片長辺厚みの0.1〜3.0%の範囲とすることが必要である。総バルジング量が鋳型出口での鋳片長辺厚みの0.1%未満では、軽圧下帯14において、負荷荷重を低く抑えた状態での圧下可能な量が少なく、鋳片10に対して中心偏析の改善効果が不十分になる。一方、総バルジング量が鋳型出口での鋳片長辺厚みの3.0%を超えると、バルジングによる歪により、強制バルジング帯15で鋳片10に内部割れを誘発する可能性がある。
尚、強制バルジング帯15において、1ロールあたりのロール開度の拡大量は、鋳片長辺面のバルジングする部位とバルジングしない部位との境界位置での亀裂発生を防止するために、1.5mm以下とすることが好ましい。
また、本発明では、軽圧下帯14における鋳片10の圧下量の総量(「総圧下量」という)を、下記の(4)式に示すように、総バルジング量の0.5倍以上1.5倍以下の範囲内に設定する。
0.5×δIB≦Rtotal≦1.5×δIB・・・(4)
但し、(4)式において、δIBは、強制バルジング帯15における鋳片の総バルジング量(mm)、Rtotalは、軽圧下帯14における鋳片の総圧下量(mm)である。
総圧下量が総バルジング量の0.5倍未満では、総圧下量が少なく、鋳片10の中心偏析軽減効果が十分とならない虞があるが、総圧下量を総バルジング量の0.5倍以上とすることで、鋳片長辺面へ所定量の圧下力が付与され、鋳片10の中心偏析を抑制することが可能となる。また、総圧下量を総バルジング量の1.5倍以下とすることで、軽圧下帯14を形成するロールセグメント14A、14Bの負荷荷重が軽減され、ロールセグメント14A、14Bでのベアリング破損や圧下ロールの折損などの設備トラブルを抑制することができる。
また、本発明では、軽圧下帯14における鋳片の圧下速度を0.30mm/min以上2.00mm/min以下の範囲内に設定する。圧下速度が0.30mm/min未満では、凝固収縮量に対して圧下速度が小さすぎ、濃化溶鋼の流動を抑制することが不十分であり、一方、圧下速度が2.00mm/minを超えると、凝固収縮量に対して圧下速度が大きすぎ、逆V偏析や内部割れを発生する虞がある。
また、更に本発明では、軽圧下帯14において、少なくとも、鋳片厚み中心部の固相率が0.2の時点から0.9になる時点まで、鋳片10を圧下する。鋳片厚み中心部の固相率が0.9を超える範囲では濃化溶鋼の流動は起こらず、圧下しなくても中心偏析は悪化しない。また、鋳片厚み中心部の固相率が0.9を超える鋳片は圧下抵抗が大きく、皿バネ19が収縮して所望する圧下量を鋳片に付与できなくなる可能性がある。一方、軽圧下帯14において鋳片厚み中心部の固相率が0.2を超えてから圧下を開始しても、それ以前に濃化溶鋼の流動が発生する可能性があり、これにより中心偏析が発生し、中心偏析軽減効果を十分に得ることができない。
鋳片厚み中心部の固相率は、液相線クレータエンド位置を求める場合と同様に、二次元伝熱凝固計算によって求めることができる。ここで、固相率とは、凝固開始前を固相率=0、凝固完了時を固相率=1.0と定義されるものであり、鋳片厚み中心部の固相率が1.0となる位置が凝固完了位置13(固相線クレータエンド位置)であり、液相線クレータエンド位置は、鋳片厚み中心部の固相率がゼロとなる最も下流側の位置に該当する。
本発明では、フレーム17′に設置される、凸型クラウンロールで構成されるガイドロール6B及びピンチロール6Aの凸型部分6TPの幅が、強制バルジング帯15における鋳片の総バルジング量(δIB、単位=mm)、軽圧下帯14における鋳片の総圧下量(Rtotal、単位=mm)、及び鋳造対象の鋳片10の幅に対して、下記の(1)式の関係を満足し、且つ、凸型部分6TPの突出高さが、前記総圧下量(Rtotal、単位=mm)に対して下記の(2)式の関係を満足するように、予め設定する。総バルジング量、総圧下量、鋳片幅に基づいて、凸型クラウンロールの形状を設計してもよく、また、凸型クラウンロールの形状に基づいて、総バルジング量、総圧下量、鋳片幅を設定してもよい。
SL−300×Rtotal/δIB<WRO<WSL−100×Rtotal/δIB・・・(1)
ΔDRO>Rtotal・・・(2)
但し、(1)式及び(2)式において、WSLは、鋳造対象の鋳片10の鋳片幅(mm)、WROは、凸型クラウンロールの凸型部分6TPの幅(mm)、ΔDROは、凸型クラウンロールの凸型部分6TPの突出高さ(mm)である。尚、(1)式は、凸型部分6TPの幅の異なる種々の凸型クラウンロールによる鋳片圧下試験に基づき、本発明者らが検討・研究によって見出した関係式である。
凸型部分6TPの幅(WRO)が「WSL−300×Rtotal/δIB」以下になると、凸型部分6TPの幅(WRO)が鋳片幅(WSL)に対して小さくなり過ぎ、内部に未凝固層12を有する鋳片の端部側と凸型クラウンロールからなるガイドロール6B及びピンチロール6Aとが非接触となる範囲が広くなり、この非接触の部位の鋳片にバルジングが生じて、非接触の部位の内質が悪化する可能性がある。
一方、凸型部分6TPの幅(WRO)が「WSL−100×Rtotal/δIB」以上になると、凸型部分6TPの幅(WRO)が鋳片幅(WSL)に対して大きくなり過ぎ、剛性が高く、圧下抵抗の大きい、鋳片長辺面の短辺側も圧下され、鋳片10の幅方向中央部に所望する圧下力が作用せず、鋳片10の中心偏析が軽減されない場合が発生する。
また、凸型部分6TPの突出高さ(ΔDRO)が総圧下量(Rtotal)以下になると、鋳片10を圧下する際に、凸型クラウンロールからなるガイドロール6B及びピンチロール6Aの凸型部分6TP以外の部分が、鋳片長辺面に接触し、接触した部分が抵抗となって所定の圧下量を付与できなくなる。この場合には、鋳片10の中心偏析は軽減されない。
本発明では、連続鋳造操業の種々の鋳造条件において、予め二次元伝熱凝固計算などを用いて凝固シェル11の厚み及び鋳片厚み中心部の固相率を求め、少なくとも、鋳片厚み中心部の固相率が0.2の時点から0.9になる時点まで、軽圧下帯14で鋳片10を圧下できるように、二次冷却水量、二次冷却の幅切り、鋳片引き抜き速度のうちの何れか1種または2種以上を調整する。ここで、「二次冷却の幅切り」とは、鋳片長辺面の両端部への冷却水の噴射を中止することである。二次冷却の幅切りを実施することで、二次冷却は弱冷化され、一般的に、凝固完了位置13は鋳造方向下流側に延長される。
以上説明したように、本発明によれば、軽圧下帯14に設置した、凸型クラウンロールからなる鋳片支持ロール6の凸型部分6TPの幅を(1)式を満足する範囲内とし、且つ、凸型部分6TPの突出高さを(2)式を満足する範囲内とするので、凸型部分6TPで圧下する範囲が未凝固層12の範囲から大きく外れることがなくなり、また、鋳片10の強制的にバルジングさせた部分のみを効果的に圧下し、凸型クラウンロールからなる鋳片支持ロール6による鋳片表面の擦り傷などを防止することが可能である。また更に、鋳片長辺面の端部の完全凝固部は圧下しないので、鋳片10からロールへの反力を小さくでき、軽圧下帯14を構成するロールセグメント14A、14Bに過大な荷重の掛かることが防止され、鋳片10に設定どおりの圧下量を付与することが可能となり、鋳片10の中心偏析を安定的に軽減することが実現される。
図1に示す、鋳造方向上流側に強制バルジング帯が配置され、その下流側に軽圧下帯が配置された垂直曲げ型スラブ連続鋳造機と類似のスラブ連続鋳造機を用い、鋳造対象鋳片の鋳片幅及び厚み、鋳片引き抜き速度、強制バルジング帯での総バルジング量(δIB)、軽圧下帯での総圧下量(Rtotal)及び圧下速度、並びに、軽圧下帯に配置される、凸型クラウンロールからなる圧下ロールの形状を種々変更し、低炭素アルミキルド鋼を鋳造する試験を合計12回行った。
具体的には、鋳片のサイズを、厚みが250mm、300mmの2水準、幅が1900mm、1950mm、2000mm、2100mmの4水準として、鋳片引き抜き速度を0.9〜1.6m/minとした。軽圧下帯を4基のロールセグメントによって構成し、これらのロールセグメントには、4対のガイドロールと1対のピンチロールが設置され、一つのロールセグメントの鋳造方向長さは2.0m(軽圧下帯の長さ=8.0m)である。軽圧下帯の鋳片上面側の鋳片支持ロールとして、凸型部分を有していないフラットロール、(1)式及び(2)式を満足する形状の凸型クラウンロール、(1)式または(2)式の一方のみを満足する形状の凸型クラウンロールを配置し、それぞれ鋳造試験を実施した。この場合、軽圧下帯を構成する2つのロールセグメントには、同一形状の鋳片支持ロールを配置した。
表1に、条件1〜12の各鋳造試験での鋳造条件、総バルジング量、圧下条件、及び、鋳造されたスラブ鋳片における中心偏析度、ポロシティー、内部割れ、表面疵の調査結果を示す。尚、表1の備考欄には、本発明の範囲内の条件の試験を「本発明例」と表示し、それ以外を「比較例」と表示している。
Figure 2016019993
鋳片の中心偏析度の測定方法は、鋳片の横断面中心部で鋳片厚さ方向に炭素濃度を分析し、その最大値をCmaxとし、平均炭素濃度(溶鋼から採取した試料の炭素濃度)をC0とし、Cmax/C0を中心偏析度と定義した。この定義では、中心偏析度が1.00に近づくほど中心偏析は低減することになる。中心偏析度が1.10以上になると水素誘起割れなどの中心偏析による弊害が激しくなるので、ここでは、中心偏析度の閾値を1.10とし、1.10以上を不合格と判定した。
鋳片のポロシティーは、圧延前のスラブ鋳片の厚み中央を超音波探傷し、直径2mm以上のポロシティーがあればポロシティーがあるとして不良判定を行った。鋳片の内部割れは、鋳造した鋳片の横断面をマクロ組織試験方法(JIS G 0553)によって腐食し、腐食面の鋳片厚み中心部を顕微鏡で観察し、内部割れの有無を調査した。また、鋳片の表面疵は、浸透探傷法により鋳片表面での疵の有無を調査した。
条件1〜5は、凸型クラウンロールの凸型部分の幅を1850mmとし、凸型部分の突出高さを10mmとした。鋳片幅、総バルジング量及び総圧下量に対する凸型部分の幅、並びに、総圧下量に対する凸型部分の突出高さは本発明の範囲内である。また、総バルジング量、総圧下量及び鋳片圧下速度も全て本発明の範囲内であり、表1の測定データに示すように、本発明の範囲内である条件1〜5では中心偏析度は低位であり、また、鋳片のポロシティー、内部割れ及び表面疵は確認されなかった。
これに対して、凸型部分を有しないフラットロールを用いた条件6は、総バルジング量、総圧下量及び鋳片圧下速度は全て本発明の範囲内であったが、中心偏析度は本発明例と比較して高位であった。これは、フラットロールで軽圧下を行ったために鋳片長辺面短辺側も圧下され、これによって負荷荷重が増加し、鋳片に適切な圧下が付与されなかったと考えられる。
条件7は、凸型クラウンロールで軽圧下を実施したが、凸型部分の幅が本発明の範囲よりも狭い条件であった。その結果、内部に未凝固層を有する鋳片長辺面端部に近い鋳片部位に圧下力が付与されず、その部位でバルジングが生じたと考えられ、中心偏析度は本発明例と比較して高位であり、ポロシティーも発生した。
条件8は、条件7と同様に凸型クラウンロールで軽圧下を実施したが、凸型部分の幅が本発明の範囲よりも広い条件であった。その結果、圧下荷重が増加して、適正圧下速度が付与されなかったと考えられ、中心偏析度は本発明例と比較して高位であった。更に、バルジング部よりも広い範囲で凸型クラウンロールによる圧下を付与した結果、鋳片表面に疵が発生した。
条件9は、凸型クラウンロールの凸型部分の幅は発明の範囲内であったが、凸型部分の突出高さが本発明の範囲よりも小さい条件であった。その結果、圧下不足により中心偏析度は本発明例と比較して高位であり、且つ、ポロシティーが発生した。
条件10〜12は、凸型クラウンロールは条件1〜5と同様で本発明の範囲内であったが、条件10では、総バルジング量と総圧下量との関係及び圧下速度が本発明の範囲外となり、条件11、12では総バルジング量と総圧下量との関係が本発明の範囲外となる鋳造条件であった。その結果、条件10〜12で中心偏析度は高位であり、条件10、11は総バルジング量に対する総圧下量が過大であり、圧下過多により内部割れが発生した。また、条件12では総バルジング量に対する総圧下量が過小であり、圧下不足によりポロシティーが発生した。
1 スラブ連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6 鋳片支持ロール
6A ピンチロール
6B ガイドロール
TP 凸型部分
7 搬送ロール
8 鋳片切断機
9 溶鋼
10 鋳片
11 凝固シェル
12 未凝固層
13 凝固完了位置
14 軽圧下帯
14A ロールセグメント
14B ロールセグメント
15 強制バルジング帯
16 油圧シリンダー
17 フレーム
17′ フレーム
18 タイロッド
19 皿バネ
20 ウオームジャッキ
21 モーター
22 ロールチョック
23 シリンダーロッド

Claims (1)

  1. 連続鋳造機の複数対の鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に増加させて内部に未凝固層を有する矩形の鋳片の長辺面厚みを鋳型出口での鋳片長辺厚みの0.1〜3.0%の範囲の総バルジング量で拡大させ、
    その後、複数対の鋳片支持ロールのロール開度を鋳造方向下流側に向かって段階的に減少させた軽圧下帯で、該軽圧下帯における総圧下量が前記総バルジング量の0.5倍〜1.5倍の範囲内となるように、鋳片厚み中心部の固相率が少なくとも0.2から0.9までの範囲の鋳片の長辺面を、0.30〜2.00mm/minの圧下速度で圧下する鋼の連続鋳造方法であって、
    前記軽圧下帯には、対向するロールの形状を、一方はフラットロールとし、他方は、鋳片と接触する凸型部分がロール径よりも突出し且つ凸型部分が鋳片幅よりも狭い凸型クラウンロールとする鋳片支持ロールが配置され、
    前記凸型クラウンロールの凸型部分の幅が、前記総バルジング量、前記総圧下量及び鋳片幅に対して下記の(1)式の関係を満足し、且つ、前記凸型部分の突出高さが、前記総圧下量に対して下記の(2)式の関係を満足するように構成されていることを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
    SL−300×Rtotal/δIB<WRO<WSL−100×Rtotal/δIB・・・(1)
    ΔDRO>Rtotal・・・(2)
    但し、(1)式及び(2)式において、WSLは、鋳片幅(mm)、Rtotalは、総圧下量(mm)、δIBは、総バルジング量(mm)、WROは、凸型クラウンロールの凸型部分の幅(mm)、ΔDROは、凸型クラウンロールの凸型部分の突出高さ(mm)である。
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