JP7135717B2 - 連続鋳造用鋳型及び鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼を連続鋳造する連続鋳造設備において用いられる連続鋳造用鋳型、及び、これを用いた鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造設備において用いられる連続鋳造用鋳型(以下、単に「鋳型」とも称する。)の形状は、基本的に、製造される製品の形状に応じて決定される。この際、鋳型の内側のコーナー部については、製品の品質あるいは操業の安定性の観点から、その形状に関する様々な検討がされている。
例えば、特許文献1には、溶鋼の凝固遅れを防止し、凝固遅れによる内部欠陥がない鋳片を製造することを目的として、鋳型の内側における全てのコーナー部に、水平方向の長さが2mm以上8mm以下となるテーパ状の角落とし部を設けた鋳型が開示されている。
また、特許文献1に記載の鋳型は固定の形状を有するものであるが、連続鋳造設備において用いられる鋳型の1つとして、連続鋳造設備により鋳造する鋳片の幅を変更することのできる幅可変の鋳型がある。幅可変の鋳型は、一対の長辺銅板と、一対の短辺銅板とにより構成されている。一対の短辺銅板は、一対の長辺銅板により挟まれており、長辺銅板の長辺方向に沿って移動可能である。
例えば、特許文献2には、鋳片のコーナー割れを防止することを目的とした鋼の連続鋳造方法が開示されている。かかる連続鋳造方法では、一対の鋳型長辺と一対の鋳型短辺とで区画される矩形空間の四隅を、鋳型長辺側の長さaに対する鋳型短辺側の長さbの比b/aが3.0以上6.0以下となる直角三角形状に取り除いた鋳造空間を有する鋳型を用いる。そして、鋳型の直下から曲げ矯正点に至る前において、鋳片の少なくともコーナー部の表面温度を、一旦Ar点以下まで低下し、次いで、少なくとも該コーナー部の表面温度を800℃以上にしてから曲げ矯正点を800℃以上で通過させる。
特開2007-331000号公報 国際公開第2016/013186号
ここで、上記特許文献2に記載されているような幅可変の鋳型を用いて鋳造する場合、鋳造中、溶鋼からの熱により、鋳型を構成する各銅板は熱膨張しようとする。このとき、長辺銅板は、その幅方向(すなわち、長辺方向)に拘束されていないため、自由に膨張することができる。しかし、短辺銅板は、長辺銅板で挟まれており、その幅方向(すなわち、短辺方向)を拘束されているため、自由な膨張ができない。このため、熱負荷が厳しい領域では、熱応力により銅板が降伏して変形する。かかる銅板の変形は、鋳型の高さ方向においてメニスカス位置からその下方200mm辺りまでの領域において顕著に現れる。
さらに、鋳造後、鋳型温度が低下すると、鋳型を構成する各銅板は熱収縮する。高温で変形して降伏した銅板は、その形状から収縮する。このため、例えば特許文献2に記載の鋳型のような、鋳型の高さ方向から平面視して内側のコーナー部にある直角三角形状の突起部が鋳型に設けられている場合、その先端が鋳型内側に倒れ込むように変形する。鋳造を繰り返すにつれて突起部の変形量は累積して大きくなる。その結果、長辺銅板の内面と短辺銅板の側面との間に隙間が発生し、鋳造中にこの隙間に溶鋼が入り込む危険性がある。長辺銅板の内面と短辺銅板の側面との間に溶鋼が入り込むとブレークアウトという重大な操業トラブルを引き起こす。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、幅可変の鋳型において、鋳造中の熱負荷による鋳型の変形を抑制し、安定した操業を行うことが可能な、新規かつ改良された鋳型及び連続鋳造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、鋼を連続鋳造する連続鋳造設備において用いられる連続鋳造用鋳型であって、一対の長辺銅板と、一対の長辺銅板によって挟み込み、長辺銅板の長辺方向に沿って移動可能な一対の短辺銅板と、を備え、一対の長辺銅板の内面と一対の短辺銅板の内面とにより、溶鋼が供給される矩形空間が形成され、短辺銅板は、内面の短辺方向両端部分に、鋳型の高さ方向に沿って延設された突出部を有し、突出部は、高さ方向からの平面視において、少なくとも、短辺方向端部から中央に向かって延び、かつ、短辺方向に略平行な平行部を有する、連続鋳造用鋳型が提供される。
突出部は、高さ方向からの平面視において、台形状を有してもよい。
また、突出部の平行部の長さは、0.5mm以上2.5mm以下とするのがよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記の連続鋳造用鋳型に溶鋼を供給し、鋳片を製造する鋼の連続鋳造方法が提供される。
以上説明したように本発明によれば、幅可変の鋳型において、鋳造中の熱負荷による鋳型の変形を抑制し、安定した操業を行うことが可能となる。
本発明の一実施形態に係る連続鋳造設備の概略構成を示す説明図である。 同実施形態に係る鋳型の形状を示す概略平面図である。 従来の直角三角形のチャンファーが設けられた鋳型の短辺銅板について、使用前の状態と、繰り返し鋳造に使用した後の状態とを示す概略斜視図である。 図3のI-I切断線における部分断面図であって、使用前の状態と、繰り返し鋳造に使用した後の状態とを示す。 本実施形態に係る台形状のチャンファーが設けられた鋳型の短辺銅板について、使用前の状態と、繰り返し鋳造に使用した後の状態とを示す概略斜視図である。 図5のII-II切断線における部分断面図であって、使用前の状態と、繰り返し鋳造に使用した後の状態とを示す。 同実施形態に係るチャンファーの変形例を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[1.連続鋳造設備の構成]
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係る鋳型を備える連続鋳造設備の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る連続鋳造設備1の概略構成を示す説明図である。図2は、本実施形態に係る鋳型10の形状を示す概略平面図である。
本実施形態に係る連続鋳造設備1は、連続鋳造用の鋳型10を用いて溶鋼2を連続鋳造し、鋳片3を製造するための装置である。図1に示す連続鋳造設備1は、垂直曲げ型の連続鋳造設備1であるが、本発明はかかる例に限定されず、湾曲型又は垂直型等、他の各種の連続鋳造設備に適用可能である。連続鋳造設備1は、鋳型10と、取鍋4と、タンディッシュ5と、浸漬ノズル6と、二次冷却装置7とを備える。
取鍋4は、溶鋼2を外部からタンディッシュ5まで搬送するための可動式の容器である。取鍋4は、タンディッシュ5の上方に配置され、取鍋4内の溶鋼2がタンディッシュ5に供給される。タンディッシュ5は、鋳型10の上方に配置され、溶鋼2を貯留して、当該溶鋼2中の介在物を除去する。浸漬ノズル6は、タンディッシュ5の下端から鋳型10に向けて下方に延び、その先端は鋳型10内の溶鋼2に浸漬されている。当該浸漬ノズル6は、タンディッシュ5にて介在物が除去された溶鋼2を鋳型10内に連続供給する。
鋳型10は、鋳片3の幅及び厚さに応じて形成された四角筒状の型である。本実施形態に係る鋳型10は、図2に示すように、一対の短辺銅板11、11と、一対の長辺銅板13、13とを用いて、一対の短辺銅板11、11を一対の長辺銅板13、13の内面13a、13aによって短辺方向(X方向)に両側から挟むように組み立てられている。一対の短辺銅板11、11は、長辺銅板13、13の長辺方向(Y方向)に沿って移動可能に構成されている。すなわち、本実施形態に係る鋳型10は、幅可変の鋳型である。なお、鋳型10の形状の詳細な説明は後述する。
鋳型10を構成する銅板11、11、13、13は、例えば水冷銅板である。かかる銅板11、11、13、13の内面11a、11a、13a、13aと接触した溶鋼2は冷却されて、外殻の凝固シェル3aの内部に未凝固部3bを含む鋳片3が製造される。凝固シェル3aが鋳型10下方に向かって移動するにつれて、内部の未凝固部3bの凝固が進行し、外殻の凝固シェル3aの厚さは、徐々に厚くなる。かかる凝固シェル3aと未凝固部3bを含む鋳片3は、鋳型10の下端から引き抜かれる。
二次冷却装置7は、鋳型10の下方の二次冷却帯9に設けられ、鋳型10下端から引き抜かれた鋳片3を支持及び搬送しながら冷却する。二次冷却装置7は、鋳片3の厚さ方向両側に配置される複数対の支持ロール8と、鋳片3に対して冷却水を噴射する複数のスプレーノズル(図示せず。)とを有する。二次冷却装置7に設けられる支持ロール8は、鋳片3の厚さ方向両側に対となって配置され、鋳片3を支持しながら搬送する支持搬送手段として機能する。当該支持ロール8により鋳片3を厚さ方向両側から支持することで、二次冷却帯9において凝固途中の鋳片3のブレークアウトやバルジングを防止できる。
支持ロール8は、二次冷却帯9における鋳片3の搬送経路(パスライン)を形成する。このパスラインは、図1に示すように、鋳型10の直下では垂直であり(垂直帯9A)、次いで曲線状に湾曲して(湾曲帯9B)、最終的には水平になる(水平帯9C)。支持ロール8は、垂直部9Aに設けられ、鋳型10から引き抜かれた直後の鋳片3を支持するサポートロール、鋳片3を鋳型10から引き抜く駆動式ロールであるピンチロール、湾曲帯9B及び水平帯9Cに設けられ、パスラインに沿って鋳片3を支持及び案内するセグメントロールからなる。
二次冷却帯9を通過した鋳片3は、その後、水平帯9Cの後段に設置された鋳片切断機(図示せず。)によって所定の長さに切断される。切断された鋳片3は、テーブルロール上を移動して次工程の設備に搬送される。以上、連続鋳造設備10の全体構成について説明した。
[2.鋳型形状]
次に、図2~図7に基づいて、本実施形態に係る鋳型10の形状について説明する。図3は、従来の直角三角形のチャンファー22が設けられた鋳型の短辺銅板21について、使用前の状態と、繰り返し鋳造に使用した後の状態とを示す概略斜視図である。図4は、図3のI-I切断線における部分断面図であって、使用前の状態と、繰り返し鋳造に使用した後の状態とを示す。図5は、本実施形態に係る台形状のチャンファー12が設けられた鋳型10の短辺銅板11について、使用前の状態と、繰り返し鋳造に使用した後の状態とを示す概略斜視図である。図6は、図5のII-II切断線における部分断面図であって、使用前の状態と、繰り返し鋳造に使用した後の状態とを示す。図7は、本実施形態に係るチャンファーの変形例を示す説明図である。
本実施形態に係る鋳型10は、上述したように、一対の短辺銅板11、11と、一対の長辺銅板13、13とから構成される。鋳型10を高さ方向から平面視すると、図2に示すように、鋳型10には、一対の短辺銅板11、11と一対の長辺銅板13、13とによって、略矩形状の空間(本発明の「矩形空間」に相当する。)Vが形成されている。本実施形態に係る鋳型10の短辺銅板11、11の内面11a、11aには、短辺方向の両端部分に、当該空間V内に向かって突出するチャンファー(本発明の「突起部」に相当する。)12が設けられている。チャンファー12は、鋳型10の高さ方向に沿って延設されている(後述の図5参照)。
本実施形態に係るチャンファー12は、少なくとも、短辺方向端部から中央に向かって延び、かつ、短辺方向に略平行な平行部12aを有する。例えば図2に示すように、チャンファー12は、平行部12aと、当該平行部12aと短辺銅板11の内面11aとを連結する傾斜部12bとからなる台形状を有する。これにより、チャンファー12は、長辺銅板13の内面13aと接する部分が、尖った形状ではなく、鈍った形状となる。これにより、鋳型10のコーナー部が溶鋼の凝固の起点となりにくくすることができる。なお、平行部12aは、厳密に短辺方向と平行でなくともよく、多少のずれは許容される。したがって、チャンファー12の形状も、厳密な台形状でなくともよい。
より詳細に説明すると、鋳型にチャンファーが設けられていない場合、鋳型の内側のコーナー部では、溶鋼は、長辺銅板と短辺銅板との2面により冷却されるため、他の部分よりも冷却されやすい。このため、鋳型の内側のコーナー部において、鋳片と鋳型の内面との間にエアーギャップと呼ばれる空気層が形成されやすい。エアーギャップは、凝固シェルに内部割れを生じさせる要因となることから、なるべく生じさせないようにするのが好ましい。そこで、鋳型の内側のコーナー部にチャンファーを設けることで、当該コーナー部において溶鋼が著しく冷却されることを抑制し、エアーギャップの発生を抑制している。しかし、チャンファーの形状によっては、鋳造中の熱負荷により、チャンファーが降伏して変形し、長辺銅板と短辺銅板との間に隙間が生じる可能性がある。
例えば、上記特許文献1、2に記載のような、直角三角形状の従来のチャンファー22を設けた場合を考える。この場合、チャンファー22は、使用前では図3左側に示すように、短辺銅板21の短辺方向両端部分に、真っ直ぐに鋳型の高さ方向(Z方向)に沿って延設されている。そして、かかる短辺銅板21を用いた鋳型により鋳造を繰り返すと、図3右側に示すように、熱負荷が厳しい領域(例えば、鋳型の高さ方向においてメニスカス位置からその下方200mm辺りまでの領域)においてチャンファー22は、内部側に倒れ込むように変形する。
図4を参照して、より詳細にチャンファー22の変形を見る。使用前は、図4上側に示すように、短辺銅板21の側面は長辺銅板23の内面23aと接しており、チャンファー22の先端は長辺銅板23の内面23aに接している。
この鋳型20を鋳造に用いると、溶鋼からの熱により、鋳型20を構成する各銅板21、23は熱膨張しようとする。このとき、長辺銅板23は、その幅方向(すなわち、長辺方向(Y方向))に拘束されていないため、自由に膨張することができる。しかし、短辺銅板21は、長辺銅板23で挟まれており、その幅方向(すなわち、短辺方向(X方向))を拘束されているため、自由な膨張ができない。このため、熱負荷が厳しい領域では、熱応力により銅板21が降伏して変形する。かかる銅板21の変形は、鋳型20の高さ方向においてメニスカス位置からその下方200mm辺りまでの領域において顕著に現れる。
さらに、鋳造後、鋳型温度が低下すると、鋳型20を構成する各銅板21、23は熱収縮する。高温で変形して降伏した銅板21、23は、その形状から収縮する。このため、図4下側に示すように、チャンファー22の先端24は長辺銅板23の内面23aから離れ、大きさdの隙間が生じる。隙間の大きさdは、長辺銅板23の内面23aからチャンファー22の先端24までの距離とする。鋳造を繰り返すにつれてチャンファー22の先端24の変形量は累積して大きくなるため、隙間の大きさdは大きくなる。
そこで、本実施形態に係る鋳型10は、図2及び図5に示すように、短辺銅板11に設けられたチャンファー12の先端を、短辺銅板11の内面11aに略平行な平行部12aとする。この場合、チャンファー12は、使用前では図5左側に示すように、短辺銅板21の短辺方向両端部分に、真っ直ぐに鋳型の高さ方向(Z方向)に沿って延設されている。そして、かかる短辺銅板11を用いた鋳型10により鋳造を開始すると、図5右側に示すように、チャンファー形状が直角三角形状である場合と同様、熱負荷が厳しい領域において、チャンファー12は内部側に倒れ込むように変形する。しかし、その倒れ込み量は小さい。
図6を参照して、より詳細にチャンファー12の変形を見る。使用前は、図6上側に示すように、短辺銅板11の側面は長辺銅板13の内面13aと接しており、チャンファー12の平行部12aの側面側の端部は長辺銅板13の内面13aに接している。一方、繰り返し鋳造に使用した後においては、図6下側に示すように、チャンファー12の平行部12aは長辺銅板13の内面13aから離れるものの、その隙間の大きさdは、チャンファー形状が直角三角形状である場合よりも小さい。チャンファー12の先端に平行部12aを設けることで、先端は鈍った形状となる。これにより、チャンファー12の先端が鋳造中に受ける熱負荷に対して変形抵抗を有することになり、長辺銅板13から離れる方向への変形が小さくなる。
ここで、チャンファー12の平行部12aの長さwは、0.5mm以上2.5mm以下とするのが好ましい。過去の操業実績より、長辺銅板13とチャンファー12の先端との間の隙間の大きさdが0.5mmを超えると、溶鋼が当該隙間に入り込み、操業トラブルが発生する危険性が高まる。平行部12aの長さwを0.5mm未満とすると、鋳型10の定期交換寿命に到達する前に、鋳型10の使用により生じる隙間の大きさdが0.5mmを超えてしまう。一方、平行部12aの長さwを2.5mmより大きくとすると、鋳型10の定期交換寿命に到達する前に、鋳型10の使用により生じる隙間の大きさdが0.5mmを超えないが、後続の工程において製造された鋼板に疵等の欠陥が生じる。したがって、チャンファー12の平行部12aの長さwは、0.5mm以上2.5mm以下とするのが好ましい。
以上のように、本実施形態に係る幅可変の鋳型10では、短辺銅板11の短辺方向両端部分に、少なくとも、短辺方向端部から中央に向かって延び、短辺方向に略平行な平行部12aを有するチャンファー12を設ける。これにより、繰り返し鋳造に使用することで高い熱負荷を繰り返し受けてもチャンファー12の先端の変形を抑制することができる。その結果、短辺銅板11と長辺銅板13との接触面に生じる隙間が小さくなり、当該隙間に溶鋼が入り込むことによる操業トラブルの発生を低減することができ、安定した操業を実現することができる。
なお、図6に示したチャンファー12の形状は、平行部12aと傾斜部12bとの交差部は角が生じているが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、図7に示す鋳型10Aの短辺銅板11Aのように、平行部12aと傾斜部12bとの交差部を、丸みを有する曲面部12cとしてもよい。このように、チャンファー12の形状は、厳密な台形状でなくともよい。この場合にも、チャンファー12は、少なくとも、短辺方向端部から中央に向かって延び、短辺方向に略平行な平行部12aを有する。これにより、鋳型10Aのコーナー部が溶鋼の凝固の起点となりにくくすることができる。
短辺銅板に形成するチャンファー形状を種々変化させた鋳型を複数台用意し、それぞれの鋳型を用いて、実際に鋳造を行った。鋳型の寸法は、いずれも、高さ900mmであり、長辺銅板の幅が2000mm、短辺銅板の幅が250mmであった。短辺銅板の短辺方向の両端には、チャンファーを設けた。比較例として、チャンファーの短辺方向長さが10mm、長辺方向の長さが5mmの直角三角形状のチャンファーを作成した。また、比較例のチャンファー形状を基準として、先端部である頂角部を削り、上辺長さ(すなわち、平行部の長さ)が異なる台形状の複数のチャンファーを形成した。各台形状のチャンファーの上辺長さは、下記表1のとおりである。
これらのチャンファーを有する短辺銅板を用いて構成された鋳型を用いて、幅可変を行い、850mm~1640mmの種々の板幅の鋳片を製造した。1チャージ当たりの溶鋼量は約300tonであり、鋳造速度は1.2m/分~2.2m/分であった。鋳造チャージ数の増加に伴い、チャンファーの形状は変化するが、使用中の鋳型のチャンファーの形状を測定するのは困難である。このため、チャンファーの先端の空間内部への倒れ込みによって短辺銅板の側面と長辺銅板の内面との間に発生する隙間(以下、「コーナーギャップ」とする。)の変化を調べた。コーナーギャップの測定は、キャスト間や定期修繕等の鋳造を行っていないときに適宜実施した。鋳造後の鋳型では銅板の内面に汚れが付着しているため、銅板の内面、特に内側のコーナー部を高圧水で洗浄した後、隙間ゲージを用いてコーナーギャップを測定した。
なお、チャンファーを設けていない矩形鋳型の場合、定期交換寿命は1500チャージ~1800チャージに設定されている。寿命原因は鋳型下端部の摩耗あるいは腐食によるものがほとんどであり、通常、コーナーギャップが大きくなることにより寿命に到達することはない。
Figure 0007135717000001
ケース1(比較例)で使用したチャンファーは、直角三角形状のチャンファーであり、325チャージ鋳造した後にコーナーギャップが0.5mmを超えた。使用中の鋳型のコーナーギャップの大きさが0.5mmを超えた以降は、鋳型の使用を中止した。
ケース2~10(実施例1~9)で使用したチャンファーは、本発明のチャンファーの形状を有するものである。
ケース2(実施例1)は、上辺長さが0.25mmの台形状のチャンファーの場合であり、694チャージ鋳造した後にコーナーギャップが0.5mmを超えた。この場合にも、使用中の鋳型のコーナーギャップの大きさが0.5mmを超えた以降は、鋳型の使用を中止したが、比較例と比べて2倍以上寿命を延ばすことができた。
ケース3~8(実施例2~7)は、鋳型の定期交換寿命に到達しても、コーナーギャップが0.5mmを超えることはなかった。
ケース9(実施例8)及びケース10(実施例9)で使用したチャンファーは、上辺長さが2.5mm以上であった。いずれの場合にも、鋳型の定期交換寿命に到達しても、コーナーギャップが0.5mmを超えることはなかった。しかし、どちらも鋳型以外の問題が発生した。具体的には、製造されたスラブが次工程の熱間圧延で熱延コイルに加工された際、製造したコイルの全長にわたり、板幅端部に疵(コイルエッジ疵)が発生した。これは、鋳型の短辺銅板に設けられた台形状のチャンファーの上辺長さが大きすぎで、当該台形状がスラブの板幅端部に転写されたためと考えられる。台形状が転写されたスラブを熱延することによって板幅端部に疵が発生した。これらのケースについては、熱延工程での疵発生が発覚した時点で使用中止とした。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10、10A 鋳型
11、11A 短辺銅板
11a 短辺銅板の内面
12 チャンファー
12a 平行部
12b 傾斜部
12c 曲面部
13 長辺銅板
13a 長辺銅板の内面

Claims (3)

  1. 鋼を連続鋳造する連続鋳造設備において用いられる連続鋳造用鋳型であって、
    一対の長辺銅板と、
    前記一対の長辺銅板によって挟み込み、前記長辺銅板の長辺方向に沿って移動可能な一対の短辺銅板と、
    を備え、
    前記一対の長辺銅板の内面と前記一対の短辺銅板の内面とにより、溶鋼が供給される矩形空間が形成され、
    前記短辺銅板は、前記内面の短辺方向両端部分に、鋳型の高さ方向に沿って延設された突出部を有し、
    前記突出部は、前記高さ方向からの平面視において、少なくとも、前記短辺方向端部から中央に向かって延び、かつ、前記短辺方向に平行な平行部を有し、
    前記突出部の前記平行部の長さは、0.5mm以上2.5mm以下である、連続鋳造用鋳型。
  2. 前記突出部は、前記高さ方向からの平面視において、台形状を有する、請求項1に記載の連続鋳造用鋳型。
  3. 請求項1または2記載の前記連続鋳造用鋳型に溶鋼を供給し、鋳片を製造する鋼の連続鋳造方法。
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