JP2016018822A - 半導体基板表面の有機物汚染評価方法およびその利用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】評価対象半導体基板表面においてフォトルミネッセンス強度情報を取得すること、ならびに、取得したフォトルミネッセンス強度情報に基づき、評価対象半導体基板表面の有機物汚染の有無、程度および面内分布からなる群から選ばれる評価項目の評価を行うこと、を含む半導体基板表面の有機物汚染の評価方法。
【選択図】なし
Description
より詳細に説明すると、半導体基板表面は、自然酸化膜の影響により正電荷を帯びやすい傾向があるため、負電荷を帯びた有機物が付着しやすい。そして負電荷を帯びた有機物が付着すると、負電荷によりエネルギーバンドが、p型では蓄積側に、n型では反転側に傾けられ、電子により充填されていない表面準位が多くなるため、表面準位でのSRH再結合が起こりやすくなる。その結果、半導体基板表面の有機物が付着した部位ではフォトルミネッセンス(以下、「PL」とも記載する。)信号(PL強度)が弱まる。この点を利用することにより、PL強度に関する情報(PL強度情報)によって、半導体基板表面の有機物汚染の評価が可能となることが、本発明者らの鋭意検討の結果、新たに見出されたものである。したがって、例えば有機物汚染のない(または有機物汚染の少ない)参照基板のPL強度情報との対比により、評価対象半導体基板表面の有機物汚染の有無や程度を評価することができる。また、評価対象半導体基板表面において取得されるPL強度の面内分布情報により、評価対象半導体基板表面の有機物汚染の面内分布(面内のどの部分に有機物が付着しているか、面内のどの部分に有機物が多く付着しているか等)を評価することも可能となる。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
評価対象半導体基板表面においてフォトルミネッセンス強度情報を取得すること、ならびに、
取得したフォトルミネッセンス強度情報に基づき、評価対象半導体基板表面の有機物汚染の有無、程度および面内分布からなる群から選ばれる評価項目の評価を行うこと、
を含む半導体基板表面の有機物汚染の評価方法、
に関する。
この点に関し、有機物汚染の半導体基板表面の有機物汚染の原因を推定し、その原因を排除すべく工程管理を行うためには、半導体基板表面の有機物汚染の面内分布情報を得ることが望ましい。半導体基板の製造装置や収容容器において、面内分布情報により有機物汚染が多く発生されていることが確認された領域近傍に位置していた(または当該領域に接触していた)部材が、半導体基板表面の有機物汚染の発生原因である可能性が高いからである。しかし、上記の特許文献2、3に記載の評価方法では、半導体基板表面において、有機物汚染の面内分布情報を得ることはできない。一方、例えば半導体基板表面の接触角測定による評価方法や、特許文献1に記載の表面光電圧による評価方法によれば、半導体基板表面の有機物汚染の面内分布情報を得ることは可能である。しかしこれら評価方法は測定感度の点で、より一層の改善が求められる。これに対し、上記評価方法によれば、半導体基板表面の有機物汚染の面内分布情報を高感度に評価することができる。そして、こうして得られた評価結果に基づき、表面有機物汚染の発生原因を推定することができる。
製造または保管時に半導体基板が配置される装置の評価方法であって、
前記装置に配置されていた半導体基板表面においてフォトルミネッセンス強度情報を取得すること、ならびに、
取得したフォトルミネッセンス強度情報に基づき、前記装置による半導体基板表面の有機物汚染の発生の有無および程度からなる群から選ばれる評価項目を評価すること、
を含む、前記装置の評価方法、
に関する。
複数の半導体基板からなる半導体基板のロットを準備する工程と、
前記ロットから少なくとも1つの半導体基板を抽出する工程と、
前記抽出された半導体基板を評価する工程と、
少なくとも、前記評価により良品と判定された半導体基板および該半導体基板と同一ロット内の他の半導体基板からなる群から選ばれる少なくとも1つの半導体基板を、製品基板として出荷すること、または、前記評価により不良品と判定された半導体基板および該半導体基板と同一ロット内の他の半導体基板からなる群から選ばれる少なくとも1つの半導体基板を、洗浄処理を施し表面有機物汚染を低減した後に製品基板として出荷すること、を含み、
前記抽出された半導体基板の評価を、上述の半導体基板表面の有機物汚染の評価方法によって行う、半導導体基板の製造方法、
に関する。
評価対象半導体基板表面においてフォトルミネッセンス強度情報を取得する測定部と、
取得したフォトルミネッセンス強度情報に基づき、評価対象半導体基板表面の有機物汚染の有無、程度および面内分布からなる群から選ばれる評価項目の評価を行う評価部と、
を含む半導体基板表面の有機物汚染の評価装置、
に関する。
(1)評価対象半導体基板表面においてフォトルミネッセンス強度(PL強度)情報を取得すること;ならびに、
(2)取得したPL強度情報に基づき、評価対象半導体基板表面の有機物汚染の有無、程度および面内分布からなる群から選ばれる評価項目の評価を行うこと。
以下、各工程について、順次説明する。
本工程では、評価対象半導体基板表面においてPL強度情報を取得する。先に説明した通り、半導体基板表面の有機物付着部位では未付着部位と比べてPL強度は弱まり、また付着量が多いほどPL強度は弱まる。したがって、本工程で取得されるPL強度情報によれば、例えば、PL強度が弱く観察される部位は表面有機物付着が発生している部位であると判定することができ、PL強度が弱いほど、当該部位における有機物付着量が多いと判定することができる。このようなPL強度の面内分布情報により、有機物汚染の面内分布を評価することができる。また、評価対象半導体基板表面において取得されるPL強度(例えば面内全面または一部領域において測定されるPL強度の平均値、最大値、最小値等)と、有機物汚染がないか、または有機物汚染がごくわずかで製品に許容される閾値以下であることが確認されている参照半導体基板表面において取得されるPL強度とを対比することにより、評価対象半導体基板表面における有機物汚染の有無や程度を判定することもできる。本発明におけるPL強度情報には、上記のようなPL強度の平均値、最大値、最小値、および面内全面または一部領域におけるPL強度の分布情報(面内分布情報)等のPL強度に関する各種情報が包含される。
判定の詳細については、工程(2)について後述する。
本工程は、工程(1)により取得されたPL強度情報に基づき、評価対象半導体基板表面の有機物汚染の有無、程度および面内分布からなる群から選ばれる評価項目の評価を行う工程である。一態様では、取得されたPL強度情報(例えば上述のPL面内分布情報)において、PL強度の高低の違いが確認されることにより、シリコンウェーハ表面に有機物汚染が発生している(より詳しくは、有機物汚染が局所的に発生している)と判定することができる。また、他の一態様では、先に記載したように、取得されたPL強度情報を、参照半導体基板について取得したPL強度情報と対比することにより、評価対象半導体基板における表面有機物付着の有無や汚染の程度(汚染が重度であるか軽度であるか)を、判定することができる。また、他の一態様では、工程(1)で取得されたPL面内分布情報において、PL強度が低い領域において表面有機物汚染が発生していると判定することで、表面有機物汚染の面内分布を評価することができる。
したがって本発明の一態様によれば、上述の評価方法を用いることにより、半導体基板の製造装置や収容容器による有機物汚染の発生の有無や程度を評価することもできる。
製造または保管時に半導体基板が配置される装置の評価方法であって、
前記装置に配置されていた半導体基板表面においてPL強度情報を取得すること、ならびに、
取得したPL強度情報に基づき、前記装置による半導体基板表面の有機物汚染の発生の有無および程度からなる群から選ばれる評価項目を評価すること、
を含む、前記評価方法、
に関する。評価の詳細は、先に記載した通りである。また、評価対象の装置としては、半導体基板の収容容器、および半導体基板が製造工程において配置される各種装置(例えば熱処理炉等)を挙げることができる。
また、他の一態様では、上記評価の結果、良品の判定基準に満たない不良品と判定された半導体基板や、不良品と判定された半導体基板と同一ロット内の他の半導体基板を、洗浄処理を施し表面有機物汚染を低減した後に製品基板として出荷することにより、高品質なデバイスを作製可能な製品基板を、高い信頼性をもって提供することもできる。洗浄処理は、公知の方法により行うことができる。また、表面有機物汚染を低減した後の半導体基板は、そのまま製品基板として出荷してもよく、上述の評価方法により良品であることを確認した後に、製品基板として出荷してもよい。
評価対象半導体基板表面においてPL強度情報を取得する測定部と、
取得したPL強度情報に基づき、評価対象半導体基板表面の有機物汚染の有無、程度および面内分布からなる群から選ばれる評価項目の評価を行う評価部と、
を含む半導体基板表面の有機物汚染の評価装置、
に関する。上記評価装置は、前述の評価方法に好適に使用することができる。
下記3水準のボロンドープp型シリコンウェーハを、各水準について、それぞれ3枚準備した。同水準の中の1枚はPL法、他の1枚はGC−MS法、残りの1枚は接触角法による評価に付した。評価の詳細は後述する。すべてのシリコンウェーハは、同一ロットで製造したものである。したがって、水準間での評価結果の違いは、評価法の違いまたは保管時の汚染による影響によるものと判断することができる。
<評価対象シリコンウェーハ>
参照ウェーハ:出荷前洗浄を行った直後のシリコンウェーハ。
ウェーハ1:参照ウェーハと同じ出荷前洗浄を行った後、半導体ウェーハ出荷容器に1か月保管したシリコンウェーハ。
ウェーハ2:参照ウェーハと同じ出荷前洗浄を行った後、ウェーハ1の保管に用いた半導体ウェーハ出荷容器とは別の半導体ウェーハ出荷容器に3か月保管したシリコンウェーハ。
図2に、シリコンウェーハを収容した状態の半導体ウェーハ収容容器の断面図を示す。
室温PL法による評価
図1に示す装置として、Nanometrics社製のPL測定装置SiPHERを用い、測定レーザーとして波長532nmの光源を利用し、参照ウェーハ、ウェーハ1およびウェーハ2について、500μmピッチでバンド端フォトルミネッセンス発光強度マップ測定を行った。
図3上段に、参照ウェーハ、ウェーハ1およびウェーハ2のPL強度のマッピングプロファイルを示す。マッピングプロファイルでは、PL強度の低い部分ほど暗く(黒く)、高い領域ほど明るく(白く)表示される。図3上段に示すマッピングプロファイル中、面内上方は半導体ウェーハ出荷容器において上方(ノッチ側)、面内下方は半導体ウェーハ出荷容器において下方に配置されていた領域の結果を示す。ウェーハ1およびウェーハ2のマッピングプロファイル中、面内上方に配置されていた領域にPL強度の低下が確認され、半導体ウェーハ出荷容器での保管期間が長いウェーハ2において、より重度のPL強度の低下が観察されている。これに対し、参照ウェーハでは、そのようなPL強度の低下は確認されず、面内全域でほぼ同等のPL強度を示している。
以上の結果から、ウェーハ1およびウェーハ2は、半導体ウェーハ出荷容器内で、ウェーハ上方の近傍に表面有機物汚染源が存在していたことが、ウェーハ面内の、半導体ウェーハ出荷容器内で上方に位置していた領域において、PL強度の低下が生じた理由と推定することができる。半導体ウェーハ出荷容器の構成部材の中で、上方にのみ位置し有機物汚染原因となり得る部材としては、ガスケット(シール部材)が挙げられる。以上より、半導体ウェーハ出荷容器のガスケットが、表面有機物汚染の発生原因と推定した。
参照ウェーハ、ウェーハ1およびウェーハ2を加熱することにより、ウェーハ表面に付着した有機物をガス化し回収した。回収した有機物をガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)による分析に付した。GC−MSのマススペクトルから、ウェーハ1およびウェーハ2には、半導体ウェーハ出荷容器のガスケットに含まれる可塑剤由来の有機物であることが確認された。可塑剤が脱ガスし、ウェーハ1およびウェーハ2に付着したものと考えられる。
標準物質を用いて作成した検量線から、ウェーハ1およびウェーハ2に付着した上記有機物量を定量した。結果を図4に示す。なお参照ウェーハを洗浄した有機溶媒からは、上記有機物は検出されなかった。ガスクロマトグラフィー分析では、半導体基板表面に付着した有機物の定量は可能であるが、表面有機物汚染の面内分布情報を得ることは困難である。これに対し、PL法によれば、実施例1に示したように、表面有機物汚染の面内分布情報の取得が可能である。更に、表面有機物汚染の面内分布情報に基づき、表面有機物汚染の発生原因を推定することもできる。この点からも、PL法による評価方法は、優れた手法である。
接触角測定による評価
上記評価により、半導体ウェーハ出荷容器のガスケットが、ウェーハ表面有機物汚染の発生原因であることが推定された。そこで、参照ウェーハ、ウェーハ1およびウェーハ2の面内において、半導体ウェーハ出荷容器内で上方に位置していた面内領域を中心として、面内の複数点において、市販の接触角測定装置により、水に対する接触角を測定した。水に対する接触角が大きいほど、有機物付着量が少ないと判定することができる。測定値をカラースケーリングし得たマッピングプロファイルを、図3下段に示す。
図3下段に示す接触角測定値のマッピングプロファイルでは、実施例1で得たPL強度のマッピングプロファイルのような面内での明瞭なコントラスト差は確認できなかった。
Claims (10)
- 評価対象半導体基板表面においてフォトルミネッセンス強度情報を取得すること、ならびに、
取得したフォトルミネッセンス強度情報に基づき、評価対象半導体基板表面の有機物汚染の有無、程度および面内分布からなる群から選ばれる評価項目の評価を行うこと、
を含む半導体基板表面の有機物汚染の評価方法。 - 前記フォトルミネッセンス強度情報は、評価対象半導体基板表面におけるフォトルミネッセンス強度の面内分布情報を含む請求項1に記載の半導体基板表面の有機物汚染の評価方法。
- 有機物汚染の面内分布の評価を少なくとも行い、得られた評価結果に基づき、表面有機物汚染の発生原因を推定することを更に含む請求項1または2に記載の有機物汚染の評価方法。
- 前記半導体基板は、p型半導体基板である請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機物汚染の評価方法。
- 製造または保管時に半導体基板が配置される装置の評価方法であって、
前記装置に配置されていた半導体基板表面においてフォトルミネッセンス強度情報を取得すること、ならびに、
取得したフォトルミネッセンス強度情報に基づき、前記装置による半導体基板表面の有機物汚染の発生の有無および程度からなる群から選ばれる評価項目を評価すること、
を含む、前記装置の評価方法。 - 前記フォトルミネッセンス強度情報は、前記装置に配置されていた半導体基板表面におけるフォトルミネッセンス強度の面内分布情報を含む請求項5に記載の装置の評価方法。
- 前記フォトルミネッセンス強度の面内分布情報に基づき、前記装置による半導体基板表面の有機物汚染の発生原因を推定することを更に含む請求項6に記載の装置の評価方法。
- 前記装置は、半導体基板の収容容器である請求項5〜7のいずれか1項に記載の評価方法。
- 複数の半導体基板からなる半導体基板のロットを準備する工程と、
前記ロットから少なくとも1つの半導体基板を抽出する工程と、
前記抽出された半導体基板を評価する工程と、
少なくとも、前記評価により良品と判定された半導体基板および該半導体基板と同一ロット内の他の半導体基板からなる群から選ばれる少なくとも1つの半導体基板を、製品基板として出荷すること、または、前記評価により不良品と判定された半導体基板および該半導体基板と同一ロット内の他の半導体基板からなる群から選ばれる少なくとも1つの半導体基板を、洗浄処理を施し表面有機物汚染を低減した後に製品基板として出荷すること、を含み、
前記抽出された半導体基板の評価を、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法によって行う、半導導体基板の製造方法。 - 評価対象半導体基板表面においてフォトルミネッセンス強度情報を取得する測定部と、
取得したフォトルミネッセンス強度情報に基づき、評価対象半導体基板表面の有機物汚染の有無、程度および面内分布からなる群から選ばれる評価項目の評価を行う評価部と、
を含む半導体基板表面の有機物汚染の評価装置。
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