JP2016017591A - 真空断熱材の製造方法、及びその製造方法で製造された真空断熱材 - Google Patents

真空断熱材の製造方法、及びその製造方法で製造された真空断熱材 Download PDF

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Abstract

【課題】製造コストを抑制することができる真空断熱材の製造方法、及びその製造方法で製造された真空断熱材を提供する。
【解決手段】芯材2及び芯材2が収容されるガスバリア性を有するフィルム5を備えた真空断熱材の製造方法であって、芯材2を圧縮するプレス機上に、芯材2を配置するとともに芯材2の上下面にそれぞれフィルム5を配置する配置工程と、プレス機でフィルム5を介して芯材2を圧縮する圧縮工程と、プレス機で芯材2を圧縮している状態で、フィルム5のうちの芯材2の周縁部をシールするシール工程と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、真空断熱材の製造方法、及びその製造方法で製造された真空断熱材に関するものである。
真空断熱材の芯材及び芯材を収容する外包材は、外包材内部の真空化(減圧)がなされているため、外包材を封止した後に大気圧に戻すと、大気圧で外包材が圧縮される。このため、真空断熱材は、真空化後に体積が減少する。そして、外包材を真空化すると、外包材のうちの芯材が配置されていない部分、すなわち外包材のみの耳部が、真空断熱材の周縁部に形成される。
このように、芯材を外包材に収容して真空断熱材を製造する場合には、密閉部分としての耳部を形成する必要がある分、断熱性能を有する芯材部分よりも大きな縦寸法及び横寸法の外包材が必要であり、その分、材料費が大きくなる。すなわち、余分に外包材が必要となるということである。
また、真空化の工程では、大気圧で圧縮される前の芯材を収容可能な大きさの真空容器が必要となり、真空ポンプの大容量化も必要となるため製造設備費が大きくなり、また、真空容器内を必要な圧力まで減圧するのに要する時間が長くなる。
そこで、真空断熱材には、芯材を加熱プレスにより予めボード状に成形し、その後、ボード状にした芯材を袋状に成形された外包材に収容するようにしたものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。なお、特許文献1に記載の真空断熱材は、芯材を収容した外包材の内部を減圧し、外包材の開口部を熱溶着により封止し、外包材を密閉することで作製される。このように、特許文献1に記載の真空断熱材は、芯材を予め加熱プレスして圧縮しておく分、余分な外包材が発生してしまうことを抑制することができ、材料費及び真空ポンプの大容量化などを抑制することができる。
また、その他の従来の真空断熱材には、繊維質材を有機系バインダーで固め成形した断熱材と、金属箔の層を積層して構成されたラミネートフィルム(外包材)とを有するものが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
さらに、その他の従来の真空断熱材には、無機繊維重合体を有する芯材と、芯材が収容される柔軟性を有する内袋と、芯材を収容している内袋を収容する外包材とを備えたものが提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
特許文献2、3に記載の真空断熱材においても、芯材を外包材に収容する前に、予め芯材の体積を小さくしておく分、材料費及び真空ポンプの大容量化などを抑制することができる。
特許第3580315号公報(たとえば、段落[0061][0062]及び図2参照) 特開平9−138058号公報(たとえば、段落[0013]参照) 特開2007−9928号公報(たとえば、図6及び図10参照)
特許文献1に記載の真空断熱材では、外包材に芯材を収納する前に予め芯材を加熱プレスしておくが、加熱プレスにおける動力費を要する分、製造コストが増大してしまうという課題がある。
特許文献2に記載の真空断熱材は、繊維集合体を結着させるために有機系バインダーなどの結合剤を用いる分、製造コストが増大してしまうという課題がある。
特許文献3に記載の真空断熱材は、内包材を用いて芯材を予備的に減圧密封する方法を採用しているため、内包材の材料コスト及び内包材に芯材を収容して予備的に減圧密閉する製造コストが増大してしまうという課題がある。また、予備的な減圧密封時には、内包材の周縁部に耳部が形成される。さらには、内包材は一般に外包材より薄いため、剛性が低く、予備的な減圧密封後に表面に皺が発生しやすい。このため、耳部や皺が外包材への挿入、外包材内部の真空化後に、表面に転写されて、真空断熱材の形状精度を悪化させるという問題がある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、製造コストを抑制することができる真空断熱材の製造方法、及びその製造方法で製造された真空断熱材を提供することを目的としている。
本発明に係る真空断熱材の製造方法は、芯材及び芯材が収容されるガスバリア性を有するフィルムを備えた真空断熱材の製造方法であって、芯材を圧縮するプレス機上に、芯材を配置するとともに芯材の上下面にそれぞれフィルムを配置する配置工程と、プレス機でフィルムを介して芯材を圧縮する圧縮工程と、プレス機で芯材を圧縮している状態で、フィルムのうちの芯材の周縁部をシールするシール工程と、を有するものである。
本発明に係る真空断熱材の製造方法によれば、上記構成を有しているため、製造コストを抑制することができる。
本発明の実施の形態1に係る真空断熱材1を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る真空断熱材1の断面図である。 本発明の実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法の積層工程の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法の切断工程の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法の配置工程の説明図であり、芯材2を圧縮する前の状態の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法の圧縮工程の説明図であり、芯材2を圧縮している状態の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法のシール工程の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法の乾燥工程における説明図である。 本発明の実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法の真空包装工程における説明図である。 本発明の実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法の配置工程の説明図であり、芯材2を圧縮する前の状態の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法の圧縮工程の説明図であり、芯材2を圧縮している状態の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法のシール工程の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法の厚さ規制冶具の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法の乾燥工程の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法の真空包装工程の説明図である。 フィルム5の張力だけで芯材2の厚みの復元を規制する場合における問題点についての説明図である。 本発明の実施の形態3に係る真空断熱材1の製造方法におけるシール工程の説明図である。 図18に示す封止部材16でフィルム5を封止した状態の斜視図である。 本発明の実施の形態3に係る真空断熱材1の製造方法における乾燥工程で用いる乾燥棚20の説明図である。 本発明の実施の形態3に係る真空断熱材1の製造方法の乾燥工程の説明図である。 本発明の実施の形態3に係る真空断熱材1の製造方法の真空包装工程の説明図である。
以下、本発明に係る真空断熱材及び真空断熱材の製造方法の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係る真空断熱材1を示す斜視図である。図2は、本実施の形態1に係る真空断熱材1の断面図である。
本実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法は、製造コストを抑制することができる改良が加えられたものである。
[構成説明]
真空断熱材1は、グラスファイバーの集合体である芯材2と、芯材2を被覆する外包材3と、外包材3の内部に配置された吸着剤4で構成されている。外包材内部は数Pa程度に減圧され、密封されている。
芯材2は、たとえば、グラスファイバーの集合体を複数積み重ねることで構成することができる。芯材2には、芯材2自体の熱伝導による熱の漏洩を抑制するため、内部の空間の割合が大きく、外包材3の内部が真空化された後も空間を維持できる繊維の集合体が採用されている。芯材2は、外包材3によって被覆されている。すなわち、芯材2は、外包材3に収容され、真空化された状態では外包材3を通して大気圧によって圧縮されている。真空化された状態の芯材2の厚みは、外包材3に収容される前の状態の芯材2の厚みと比較すると、数倍から数10倍程度の厚さを有している。たとえば、10mmから20mm程度の厚みを有する真空断熱材1を製作する場合においては、外包材3に収容される前の状態の芯材2の厚みは数100mm程度である。本実施の形態1では、芯材2は、内包材を介さずに外包材3に直接被覆されている。また、芯材2は、繊維集合体を結着させるバインダーを含んでいない。
外包材3は、ガスバリア性を有するフィルム5a及びフィルム5bが袋状に加工されて構成されるものである。そして、フィルム5a及びフィルム5bは、その周縁部Fにおける互いの合わせ面が、熱溶着によって結着され、袋状に加工されているものである。外包材3の内部には、芯材2及び吸着剤4が内包されている。
なお、以下の説明においては、フィルム5a及びフィルム5bを総称してフィルム5とも称する。フィルム5は、たとえば多層構造を有するラミネートフィルムで構成することができる。より詳細には、フィルム5は、加熱により熱溶着する熱溶着層としての樹脂フィルムと、気体の透過を防止するガスバリア層としての金属フィルムとを有している。
吸着剤4は、芯材2とともに外包材3内に収容されているものであり、たとえば通気性の良い袋に挿入された酸化カルシウムなどで構成されるものである。吸着剤4は、主に外包材3内の水分の吸着を目的として使用されるが、その他のガスに対して吸着性を有する物質も必要に応じて用いることができる。
[製造方法]
次に、本実施の形態に係る真空断熱材1の製造方法について説明する。図3は、本実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法を示すフローチャートである。
真空断熱材1の製造工程では、積層工程(ステップS1)と、切断工程(ステップS2)と、配置工程(ステップS3)と、圧縮工程(ステップS4)と、シール工程(ステップS5)と、乾燥工程(ステップS6)と、真空包装工程(ステップS7)とを有している。これらの工程について次に詳しく説明する。
(積層工程)
図4は、本実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法の積層工程の説明図である。図4に示すように、予め設定された厚みを有する綿材2Aを複数積層する。綿材2Aは、グラスファイバーの繊維集合体である。この積層工程では、製造する真空断熱材1の厚みに応じて綿材2Aの積層数、綿材2A自体の厚みを適宜変更する。
(切断工程)
図5は、本実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法の切断工程の説明図である。図5に示すように、複数積層した綿材2Aが、予め設定された幅(水平方向の幅)になるように切断し、芯材2を作製する。切断する方法は、特に限定されるものではなく、カッターなどを備えている切断機を用いることもできるし、レーザーで切断する切断機を用いることもできる。
(配置工程)
図6は、本実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法の配置工程の説明図であり、芯材2を圧縮する前の状態の説明図である。配置工程は、芯材2を圧縮するプレス機11上に、芯材2を配置するとともに芯材2の周囲にフィルム5を配置する。ここで、プレス機11は、フィルム5が配置された芯材2を圧縮する部分となるプレス部11A及びプレス部11Bを有している。
図6に示すように、芯材2は、下面がフィルム5bの上面と当接するように、上面がフィルム5aの下面と当接するように、フィルム5a及びフィルム5bに挟み込まれた状態でプレス部11B上に設置される。なお、このプレス部11Bに設置された状態において、フィルム5a及びフィルム5bの周縁部Fは、芯材2に当接していない。この当接していない部分は、後述するシール工程にてシールされる部分となる。
(圧縮工程)
図7は、本実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法の圧縮工程の説明図であり、芯材2を圧縮している状態の説明図である。図7を参照して圧縮工程について説明する。
プレス機11は、プレス部11Bが上下に動作せず固定されており、プレス部11Aが上下に移動自在となっている。なお、プレス機11は、図示は省略しているが、プレス部11Aを上下に移動させる駆動部を有している。なお、プレス機11は、プレス部11A及びプレス部11Bの両方が上下に移動するものを採用してもよいし、プレス部11Aが動作せず固定されており、プレス部11Bが上下に移動自在となっているものを採用してもよい。
図7に示すように、プレス機11のプレス部11Aが下側に移動し、フィルム5a及びフィルム5bに挟み込まれた状態の芯材2を圧縮する。このとき、芯材2の厚さが、製造する真空断熱材1の厚みの設定値と同等の厚さか、その数倍程度の厚さとなるまで圧縮する。
(シール工程)
図8は、本実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法のシール工程の説明図である。外包材3をシールする溶着シール機10は、プレス機11の側方に配置されている。シール工程では、圧縮工程で実施したプレス機11による圧縮を継続して実施している。
本実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法では、溶着シール機10を用い、まず、外包材3の周縁部Fのうち相対する2辺を加熱及び加圧することによって、フィルム5を圧着し、外包材3の耳部となる一対の溶着シール部6を形成する。さらに、残りの相対する2辺のうちの一方の辺を加熱及び加圧してフィルム5を圧着し、他方の辺については加熱及び加圧しない。すなわち、本実施の形態1に係る真空断熱材1の芯材2は、平面視形状が四角形状を有し、外包材3の4辺のうちの3辺を溶着シール機10で溶着し、3つの溶着シール部6を形成する。このため、真空断熱材1のシール工程では、コの字状に3つの溶着シール部6を形成することになる。そして、図8では、図示を省略しているが、残りの1辺については開放しておく。
本シール工程で溶着シール部6を形成し終えたら、プレス機11による圧縮を解除する。圧縮解除後においても、芯材2の復元をフィルム5が規制しているので、芯材2の圧縮状態が維持される。
なお、本実施の形態1に係る真空断熱材1のシール工程では、コの字状に3つの溶着シール部6を形成する場合を一例として説明したがそれに限定されるものではない。外包材3の一部が開放されていれば、4辺以上を有する多角形となるように溶着シール部6を形成してもよい。
ここで、溶着シール機10は、溶着シール部6と圧縮された芯材2の端部の距離Lが、繊維の集合体である芯材2の平均繊維長からその数倍である数10mm程度となるように配置されている。このような配置とすることで、芯材2の端面から突出している芯材2の一部である繊維が、溶着シール部6に挟み込まれてしまい、外包材3の密封性が低減してしまうことが抑制される。また、溶着シール部6と芯材2の端部の距離Lが数10mm程度であることから、プレス機11による圧縮の解除後に芯材2が数100mmに復元する前に、フィルム5の張力により芯材2の厚さを維持することができる。
(乾燥工程)
図9は、本実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法の乾燥工程における説明図である。周縁部Fの一部がシールされたフィルム5a、フィルム5b及びこれらに収容されている芯材2を、乾燥炉17内に投入する。このとき、乾燥炉17内はフィルム5a及びフィルム5bを構成する各層の繊維の融点のうち、最も低いものに対して10℃〜20℃程度低い温度に加熱されている。これにより、フィルム5a及びフィルム5bが溶融してしまうことを防止している。
フィルム5に収容されている芯材2を乾燥炉17に投入後は、数十分から数時間ほど乾燥炉17にて放置し、フィルム5及び芯材2を乾燥させる。このように乾燥させることにより、フィルム5の表面、及び芯材2に吸着している水分などを離脱させることができる。なお、フィルム5の表面、及び芯材2に吸着している水分が離脱すると、フィルム5の周縁部Fのうちの開放されている部分から放出される。したがって、後述する真空包装工程後にフィルム5内(外包材3内)でガスが離脱してしまうことを抑制することができる。すなわち、フィルム5内におけるガス分子の運動による熱の伝達を抑制し、真空断熱材1の断熱性が低減してしまうことを抑制することができる。
(真空包装工程)
図10は、本実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法の真空包装工程における説明図である。次に、真空包装工程において、まず、一体となったフィルム5a、フィルム5b及び芯材2を乾燥炉17から取り出し、真空容器18A内に設置する。真空容器18A内に設置した後に、フィルム5の開放部分を介してフィルム5内に吸着剤4を挿入する。その後、真空容器18Aを密閉し、弁18Cを開放するとともに真空ポンプ18Bを駆動して真空容器18A内を減圧する。なお、弁18Dについては閉とする。
真空容器18A内が減圧されるのに伴い、フィルム5a内の空気も開放部分を介して真空容器18A内から放出される。
真空容器18A内が十分排気され、圧力が数Pa程度になったところで、真空容器18A内に設置されている溶着シール機18Eを用いて、フィルム5の開放部分を熱溶着し、封止する。その後、真空ポンプ18Bを停止するとともに弁18Cを閉じて真空容器18A内の排気を停止し、弁18Dを開くことで真空容器18A内を大気開放する。これにより、芯材2は、フィルム5を介して大気圧により圧縮され、原綿に対して数十分の一の厚さとなる。このようにして、フィルム5内が真空化される。以上のような工程により真空断熱材1は製造される。
[本実施の形態1の効果について]
本実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法では、圧縮工程において、芯材2の上下面にフィルム5を配置し、その状態でプレス機11で予め設定された厚みに圧縮する。そして、圧縮している状態で、フィルム5の周縁部Fの一部をシールし、溶着シール部6を形成する。これにより、芯材2を加熱プレスで圧縮したり、バインダーを添加して結着させたり、内包材を用いたりするなどをしなくても、フィルム5に余分な耳部が発生することなどを抑制しながら、外包材3の内部に芯材2を収納することができる。
すなわち、本実施の形態1に係る真空断熱材の製造方法では、余分な耳部の発生を抑制できるだけでなく、加熱プレス、バインダー、内包材を用いない分、製造コストを抑制することができる。
また、本実施の形態1に係る真空断熱材1は、シール工程において、溶着シール部6と芯材2の端部の距離Lが数10mm程度となるようにしている。このため、プレス機11による圧縮が解除された後に、フィルム5が芯材2の状態を維持しようとする張力が効果的に働くため、芯材2が元の厚みに復元することを抑制することができる。
すなわち、ポンプの大容量化の抑制及び減圧時間の増大の抑制などを実現できる。
本実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法では、内包材を使用しない。このため、内包材の皺や耳部に起因する真空断熱材表面の形状精度の悪化を抑制することができる。
本実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法では、芯材2の復元が発生することを考慮して、過度に圧縮する方法は採用していない。すなわち、従来では、芯材2の厚みが元に戻ることを考慮して余分に圧縮している場合があったが、これでは、芯材2が破壊されてしまう場合がある。しかし、本実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法では、フィルム5の張力を利用して芯材2の復元を阻止するようにしているので、芯材2を予め設定された厚み以上に、過度に圧縮しなくてもよく、芯材2が破壊されてしまうことを抑制することができる。
実施の形態2.
本実施の形態2は、実施の形態1と共通する構成については同一符号を付し、相違点について中心に説明するものとする。本実施の形態2の製造方法では、規制板13a及び規制板13bと規制部材14a及び規制部材14bとを用いる。
規制板13a及び規制板13bは、対をなす板状部材である。規制板13aは、芯材2の上面に配置されたフィルム5aの上面に配置されるものであり、規制板13bは、芯材2の下面に配置されたフィルム5bの下面に配置されるものである。そして、規制部材14a及び規制部材14bは、規制板13aと規制板13bとの間の間隔が変わらないように規制板13aと規制板13b同士を固定するのに利用されるものである。規制板13a及び規制板13bの端部側には、規制部材14a及び規制部材14bが挿入される穴部Tが形成されている。規制板13a及び規制板13bの厚さは、数mm〜数10mm程度である。
規制部材14aは、穴部Tに挿入される2つの挿入部R1と、2つの挿入部を接続する接続部R2とを有しているものである。規制部材14bについても同様である。ここで、以下の説明では、規制板13a及び規制板13bと規制部材14a及び規制部材14bとを総称して厚さ規制冶具15とも称する。
(配置工程)
図11は、実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法の配置工程の説明図であり、芯材2を圧縮する前の状態の説明図である。
図11に示すように、配置工程において、芯材2とフィルム5をプレス機11上に設置する際に、上下一対の規制板13a及び規制板13bをフィルム5a及びフィルム5bの上下に配置する。すなわち、規制板13aは、配置工程において、プレス機11のプレス部11Aとフィルム5aとの間に介在するように配置され、規制板13bは、配置工程においてプレス部11Bとフィルム5bとの間に介在するように配置される。
(圧縮工程)
図12は、実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法の圧縮工程の説明図であり、芯材2を圧縮している状態の説明図である。図12に示すように、プレス機11によって、フィルム5a、フィルム5b、規制板13a及び規制板13bとともに芯材2を真空断熱材1の1.1倍程度の厚さまで圧縮する。
(シール工程)
図13は、本実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法のシール工程の説明図である。図14は、本実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法のシール工程にて用いられる厚さ規制冶具15の説明図である。次に、図13に示すように溶着シール機10により、上下のフィルム5a及びフィルム5bを、周縁部Fのうちの開放する部分を除いて溶着し、その後、溶着シール機10を退避させる。
図14に示すように、規制板13a及び規制板13bに、規制部材14a及び規制部材14bを取り付ける。次に、プレス機11による圧縮を解除する。このとき、芯材2は厚さ方向に復元しようとするが、厚さ規制冶具15により圧縮状態が維持される。
(乾燥工程)
図15は、本実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法の乾燥工程の説明図である。乾燥工程においては、一体となった芯材2とフィルム5を厚さ規制冶具15による規制を解除せず、プレス機11上から取り出し、乾燥炉17内に投入する。
(真空包装工程)
図16は、本実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法の真空包装工程の説明図である。真空包装工程においては、一体となった芯材2とフィルム5を厚さ規制冶具15による規制を解除せず取り出し、真空容器18A内に設置する。設置後、吸着剤4をフィルム5内に挿入し、真空容器18A内を減圧する。そして、フィルム5内を減圧して密封する。真空容器18A内の減圧をやめた後に、真空容器18A内を大気開放する。このとき、真空断熱材1は、規制板13aと規制板13bとの間の間隔よりも薄くなっているため、厚さ規制冶具15を容易に着脱することができる。
[実施の形態2の効果]
本実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法では、実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法と同様の効果を有することに加えて次の効果を有する。
本実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法では、フィルム5の周縁部のシールだけでなく、厚さ規制冶具15の作用によっても芯材2の厚みの復元を抑制することができる。
本実施の形態2に係る真空断熱材1の製造方法では、厚さ規制冶具15の厚さを加えた高さで、一体となった芯材2とフィルム5を真空容器18Aに投入することができる。このため、真空容器18A及び真空ポンプ18Bの容量を抑制することができ、製造設備費を抑制することができる。また、内包材などを用いて減圧、密封することなく、真空断熱材1と同等の厚さを維持できるため、真空包装工程の直前に乾燥工程を実施できる。
図17は、フィルム5の張力だけで芯材2の厚みの復元を規制する場合における問題点についての説明図である。実施の形態1のように、プレス機11による圧縮を解除し、フィルム5によって芯材2の復元を規制する場合には、復元方向と垂直な方向から芯材2がフィルム5によって圧縮されることで、内部が波打つなどの密度の不均一が生じ、真空化後に真空断熱材1の厚さが不均一になるという問題が生じる場合がある。
そこで、本実施の形態2では、プレス機11での圧縮の解除後も、芯材2を真空断熱材1と同等の厚さを維持するため、厚さの不均一の発生を抑制することができ、真空包装工程後の真空断熱材1の表面うねりを厚さの1割以下程度に抑制することができる。
すなわち、本実施の形態2によれば、形状精度及び断熱性能の良好な真空断熱材1を安価に得ることができる。
なお、本実施の形態2においては、圧縮工程及びシール工程において、芯材2を真空断熱材1の厚さの1.1倍程度まで圧縮し、維持する例について示したが、吸着剤4の挿入などの作業が容易となるよう適宜調整してもよい。
実施の形態3.
図18は、本実施の形態3に係る真空断熱材1の製造方法におけるシール工程の説明図である。図19は、図18に示す封止部材16でフィルム5を封止した状態の斜視図である。本実施の形態3は、実施の形態1、2と共通する構成については同一符号を付し、相違点について中心に説明するものとする。
(圧縮工程)
本実施の形態3においては、圧縮工程及びシール工程において、プレス機11により芯材2とフィルム5を同時に圧縮するときに、真空断熱材1と同等の厚さまで圧縮する。
(シール工程)
次に、溶着シール機10により、上下のフィルム5の周縁部Fを1辺を除いて溶着する。さらに、図18に示すように、周縁部Fの残りの部分である開放部分を着脱自在の封止部材16によって仮止めして封止する。これにより、図19に示すように、3辺が熱溶着、一辺が封止部材16によってフィルム5内部が密封された構成となる。このとき、封止部材16で封止する位置を、真空包装工程におけるシールする位置よりも、芯材2の端部からの距離が大きくなるようにしている。具体的には、図18に示すように、芯材2の右側に示す端部を基準としたとき、封止部材16の位置の方が、シールする位置SPよりも外側にくるようにしているということである。こうすることで、封止部材16によってフィルム5が損傷したとしても、真空化後にこの損傷による真空漏れが発生せず、断熱性能の劣化を防ぐことができる。
次にプレス機11による圧縮を解除する。このとき、芯材2の復元力と、フィルム5内外の差圧による圧縮力がつりあうことにより、芯材2の厚さは真空断熱材1と同等に維持される。
(乾燥工程)
図20は、本実施の形態3に係る真空断熱材1の製造方法における乾燥工程で用いる乾燥棚20の説明図である。図21は、本実施の形態3に係る真空断熱材1の製造方法における乾燥工程の説明図である。次に乾燥工程において、一体となった芯材2とフィルム5を、図20のような乾燥棚20に設置する。このとき、乾燥棚20は、真空断熱材1の厚さと同等の大きさの対向間隔をもって配置された複数の規制板21を有している。一体となった芯材2及びフィルム5は、この規制板21の間に挿入する。規制板21の間に挿入したら、封止部材16を取り外し、乾燥炉17で芯材2及びフィルム5の乾燥を開始する。このとき、芯材2は密封を解除されるため復元しようとするが、溶着シール6を形成したことによるフィルム5の張力に加えて規制板21の作用によって厚さが維持される。
乾燥完了後、規制板21間に挿入された状態のまま、再び、封止部材16をフィルム5の溶着されていない一辺に取り付け、乾燥棚20から真空断熱材1を取り出す。このとき、芯材2の厚さは規制板21間のクリアランスと同等に維持される。
(真空包装工程)
図22は、本実施の形態3に係る真空断熱材1の製造方法における真空包装工程の説明図である。次に真空包装工程において、一体となった芯材2とフィルム5を真空容器18A内に設置された真空断熱材1の厚さと同等のクリアランスを持つ規制板22間に挿入する。次に、封止部材16を取り外し、吸着剤4をフィルム内に挿入する。さらに、真空容器18A内を減圧して、フィルム5内を減圧し、密封する。
[実施の形態3の効果]
実施の形態3に係る真空断熱材1の製造方法では、実施の形態1に係る真空断熱材1の製造方法と同様の効果を有することに加えて次の効果を有する。本実施の形態3によれば、着脱可能な封止部材16によって、フィルム5の溶着されていない一辺を封止することで圧縮状態を維持する。このため、一体となった芯材2とフィルム5の高さで、これを真空容器18Aに投入することができる。このため、真空容器18A及び真空ポンプ18Bの容量を抑制することができ、製造設備費を抑制することができる。また、内包材などを用いて減圧、密封することなく、真空断熱材1と同等の厚さを維持できるため、真空包装工程の直前に乾燥工程を実施できる。さらに、真空乾燥工程及び真空包装工程において必要となる、乾燥炉17、真空容器18Aへの設置、及び、それぞれにおける密封の解除を容易に行うことができる。
本実施の形態3においては、圧縮工程及びシール工程における芯材2の圧縮量や、乾燥棚20の規制板21間のクリアランス、真空包装機内の規制板のクリアランスを真空断熱材1の厚さと同等とする例について示したが、乾燥棚20の台車への設置、取り出し、吸着剤4の挿入などの作業が容易となるよう適宜調整してもよい。
本実施の形態3においては、圧縮工程及びシール工程においてフィルム5の周縁部Fを1辺を除いて溶着し、溶着しない一辺を封止部材16によって封止することで、フィルム5内部を密閉する例を示したがそれに限定されるものではない。たとえば、封止部材16を用いず、周縁部Fを全て溶着することで密封し、乾燥工程においてはフィルム5の1辺を切断することで密封を解除するようにして真空断熱材1を製造してもよい。
1 真空断熱材、2 芯材、2A 綿材、3 外包材、4 吸着剤、5 フィルム、5a フィルム、5b フィルム、6 溶着シール部、10 溶着シール機、11 プレス機、11A プレス部、11B プレス部、13a 規制板、13b 規制板、14a 規制部材、14b 規制部材、15 規制冶具、16 封止部材、17 乾燥炉、18A 真空容器、18B 真空ポンプ、18C 弁、18D 弁、18E 溶着シール機、20 乾燥棚、21 規制板、22 規制板、F 周縁部、I1 真空断熱、L 距離、R1 挿入部、R2 接続部、T 穴部。

Claims (9)

  1. 芯材及び前記芯材が収容されるガスバリア性を有するフィルムを備えた真空断熱材の製造方法であって、
    前記芯材を圧縮するプレス機上に、前記芯材を配置するとともに前記芯材の上下面にそれぞれ前記フィルムを配置する配置工程と、
    前記プレス機で前記フィルムを介して前記芯材を圧縮する圧縮工程と、
    前記プレス機で前記芯材を圧縮している状態で、前記フィルムのうちの前記芯材の周縁部をシールするシール工程と、
    を有する
    ことを特徴とする真空断熱材の製造方法。
  2. 前記圧縮工程では、
    前記芯材の上面に配置された前記フィルムの上面、及び前記芯材の下面に配置された前記フィルムの下面にそれぞれ配置される一対の規制板を前記プレス機に設置した状態で前記芯材を圧縮し、
    前記プレス機で前記芯材を圧縮したときに、一対の前記規制板の対向間隔が変わらないように一対の前記規制板同士を固定する規制部材を取り付ける
    ことを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材の製造方法。
  3. 前記シール工程では、
    前記プレス機で前記芯材を圧縮している状態で、前記フィルムのうちの前記芯材の前記周縁部の一部をシールし、前記周縁部の残りを着脱自在の封止部材で封止する
    ことを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材の製造方法。
  4. 前記シール工程を経た後に実施され、前記圧縮工程で圧縮された前記芯材の厚みに対応する間隔を有する乾燥棚に、前記芯材及び前記フィルムを挿入した状態で前記芯材を乾燥させる乾燥工程をさらに有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の真空断熱材の製造方法。
  5. 前記シール工程では、
    前記フィルムのうちの前記芯材の前記周縁部の一部をシールし、前記周縁部の残りを着脱自在の封止部材で封止し、
    前記乾燥工程では、
    前記フィルムに収容された前記芯材、及び前記封止部材で封止された状態の前記フィルムを前記乾燥棚に挿入してから前記封止部材を外し、乾燥炉で前記芯材を乾燥させる
    ことを特徴とする請求項1、2に従属する請求項4に記載の真空断熱材の製造方法。
  6. 前記乾燥工程を経た後に実施され、前記芯材が収容されている前記フィルム内を減圧し、前記周縁部の残りの部分をシールする真空包装工程をさらに有し、
    前記シール工程では、
    前記封止部材で封止する位置を、前記真空包装工程におけるシールする位置よりも、前記芯材の端部からの距離が大きくなるようにしている
    ことを特徴とする請求項5に記載の真空断熱材の製造方法。
  7. 前記圧縮工程では、
    前記真空断熱材の厚みと同等の厚みまで前記芯材を圧縮する
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の真空断熱材の製造方法。
  8. 前記芯材は、繊維の集合体である
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の真空断熱材の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の真空断熱材の製造方法で製造された
    ことを特徴とする真空断熱材。
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