JP2016014191A - セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材およびその製造方法 - Google Patents

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takanori Mazaki
貴則 眞▲崎▼
石田 新太郎
Shintaro Ishida
新太郎 石田
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Abstract

【課題】高密度で長尺のセラミックス円筒形スパッタリングターゲットの提供。【解決手段】セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材をバッキングチューブにボンディング材によって、複数本接合してなるセラミックス円筒形スパッタリングターゲットで、ターゲット材の内少なくとも1本は長さ500〜750mm未満かつ相対密度が95%以上で、一体品のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット。セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材が、Snの含有量がSnO2量換算で1〜10質量%のITO製又は、Alの含有量がAl2O3量換算で0.1〜5質量%のAZO製或いはInの含有量がIn2O3量換算で40〜60質量%、Gaの含有量がGa2O3量換算で20〜50質量%、Znの含有量がZnO量換算で5〜30質量%のIGZO製であるセラミックス円筒形スパッタリングターゲット。【選択図】なし

Description

本発明は、セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、高密度で長尺のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材およびその製造方法に関する。
マグネトロン型回転カソードスパッタリング装置は、円筒形ターゲットの内側に磁場発生装置を有し、ターゲットの内側から冷却しつつ、ターゲットを回転させながらスパッタリングを行う装置であり、ターゲット材の全面がエロージョンとなり均一に削られる。このため、平板型マグネトロンスパッタリング装置の使用効率が20〜30%であるのに対し、マグネトロン型回転カソードスパッタリング装置では60%以上の格段に高い使用効率が得られる。さらに、ターゲットを回転させることで、従来の平板型マグネトロンスパッタリング装置に比べて単位面積当り大きなパワーを投入できることから高い成膜速度が得られる。
近年は、フラットパネルディスプレイや太陽電池で使用されるガラス基板が大型化され、この大型化された基板上に薄膜を形成するために、長さ3mを超える長尺の円筒形ターゲットが必要となっている。
このような回転カソードスパッタリング方式は、円筒形状へ加工が容易で機械的強度が強い金属ターゲットでは広く普及している。しかし、セラミックスターゲット材は、強度が低く脆いので、製造中に割れや変形などが発生しやすい。このため、セラミックスターゲットにおいては、短尺の円筒形ターゲット材を製造することはできたが、性能の高い長尺の円筒形ターゲット材を製造することはできなかった。
特許文献1には、短尺の円筒形ターゲット材を積み重ねて作製した長尺の円筒形ターゲットにおいて、円筒形ターゲットの外周面を基準に各ターゲット材をボンディングして、ターゲットの分割部に生じる段差を0.5mm以下にすることにより、段差に起因するアーキングやパーティクルの発生を抑制する技術が開示されている。しかし、この技術においては、円筒形ターゲット材が短い場合には、多数のターゲット材を積み重ねなければ長尺の円筒形ターゲットが得られないので、ターゲット材とターゲット材との間に生じる分割部の数が多くなる。分割部が存在すれば、たとえ段差がなくても、その分割部に起因するアーキングの発生は避けられない。このため、分割部の数が多く生じる前記技術においては、アーキングの発生回数が増大する。また、スパッタリング中には分割部に放電が集中するので、分割部の数が多い場合には、スパッタリング中に分割部を起点にした割れが生じやすくなる。多数のターゲット材をボンディングすると時間がかかり、製造上効率も悪い。
特許文献2には、中空円筒形状のセラミックス焼結体の焼成において、セラミックス成形体の焼結収縮率と同等の焼結収縮率を有する板状のセラミックス成形体上に、前記セラミックス成形体を載置して焼成することにより、焼成時の割れを防止し、相対密度95%以上の焼成体を得る技術が開示されている。しかし、この技術においても、セラミックス粉末を成形、脱脂および焼成して長さが500mm以上の長尺の円筒セラミックス焼結体を作製する場合、成形、脱脂または焼成のいずれかの工程で割れが生じるという問題があった。
特許文献3には、溶射法にて長さ500mm以上のITO円筒形ターゲット材を製造する技術が開示されている。しかし、溶射法で得られた円筒形ターゲット材は、相対密度を高くすることができず、相対密度はせいぜい70%台である。相対密度の低いターゲット材を用いてスパッタリングを行うと、アーキングの発生回数が多くなる。このため、溶射法で得られた長尺の円筒形ターゲット材を用いてスパッタリングを行うと、アーキングの発生回数が多くなる。
特開2010−100930号公報 特開2005−281862号公報 特開平10−68072号公報
本発明の目的は、高密度で長尺のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材を提供することである。
本発明者は、成形体が長尺であっても製造中に割れや変形などが発生しないセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材の製造方法を見出し、高密度で長尺のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材を製造することに成功した。
すなわち、本発明は、長さが500mm以上かつ相対密度が95%以上であり、一体品であることを特徴とするセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材である。
前記セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材においては、外径が140mm以上かつ内径が130mm以上であることが好ましい。
前記セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材は、たとえば、
Snの含有量がSnO2量換算で1〜10質量%であるITO製、
Alの含有量がAl23量換算で0.1〜5質量%であるAZO製、または
Inの含有量がIn23量換算で40〜60質量%、Gaの含有量がGa23量換算で20〜40質量%、Znの含有量がZnO量換算で10〜30質量%であるIGZO製 とすることができる。
また、本発明は、
前記セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材をバッキングチューブにボンディング材によって接合してなることを特徴とするセラミックス円筒形スパッタリングターゲットである。
また、本発明は、
セラミックス原料粉末および有機添加物を含有するスラリーから顆粒を調製する工程1、
前記顆粒をCIP成形して円筒形の成形体を作製する工程2、
前記成形体を脱脂する工程3、および
前記脱脂された成形体を焼成する工程4
を含むセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材の製造方法であって、
前記工程1において、前記有機添加物の量が前記セラミックス原料粉末の量に対して0.1〜1.2質量%であることを特徴とするセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材の製造方法である。
前記セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材の製造方法においては、前記有機添加物がバインダを含み、該バインダが、重合度が200〜400かつ鹸化度が60〜80mol%であるポリビニルアルコールであることが好ましい。
本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材は、500mm以上の長さを有する一体品であるので、多数のスパッタリングターゲット材を積み重ねて長尺にして使用する必要がない。このため、マグネトロン回転カソードスパッタリング装置等において本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材を使用する場合、ターゲット全体に分割部が存在しないか、またはその数が少ないので、スパッタリング中にアーキングやパーティクルの発生が少ない。また、本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材は高密度であるので、スパッタリング中にアーキングの発生が少ない。
本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材の製造方法は、前記のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材を、割れや変形などを発生させないで効率的に製造することができる。
<セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材>
本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材は、長さが500mm以上かつ相対密度が95%以上であり、一体品である。一体品とは、複数のパーツから構成されるのではなく、ターゲット材全体が物体として分割のない、一個の物品であることを意味する。したがって、本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材は、複数の円筒形ターゲット材を積み重ねて、または接合して形成される長さ500mm以上の円筒状のターゲット材とは区別される。
本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材は、たとえば後述する製造方法により製造することができる。
前述のとおり、セラミックスターゲット材は強度が低く脆いので、従来の焼結法では、製造中に割れや変形などが発生し、長さが500mm以上である一体品のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材を製造することはできなかった。このため、従来は、長さが500mm未満である短尺の円筒形スパッタリングターゲット材を多数つなげて、長尺の円筒状のスパッタリングターゲット材を形成しなければならなかった。このような構成にすると、ターゲット材とターゲット材との間に生じる分割部の数が多くなるので、この構成を有するターゲット材を用いてスパッタリングを行うと、この分割部に起因するアーキングの発生回数が増大する。
本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材は、一体で500mm以上の長さを有する長尺体であるので、ターゲット材を多数つなげて長尺体にする必要がない。本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材においては、必要とされる長さに応じて、1本のみを用いてスパッタリングを行うことができ、また複数本をつなげてスパッタリングすることもできる。1本のみを用いてスパッタリングを行う場合には、分割部が存在しないので、分割部に起因するアーキングは発生しない。複数本をつなげてスパッタリングを行う場合にも、これを構成するセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材が500mm以上の長さを有するので、少ない本数で目的とする長さにすることができる。このため、短尺のターゲット材を多数つなげて長尺の円筒状スパッタリングターゲット材を形成する場合に比べて分割部の数が少ないので、分割部に起因するアーキングの発生回数が少ない。
従来の溶射法では、一体で500mm以上の長さを有する長尺のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材を製造することは可能であるが、溶射法で得られた円筒形ターゲット材は、相対密度が高くて70%台である。このため、溶射法で得られた円筒形ターゲット材を用いてスパッタリングを行うとアーキングの発生回数が多くなる。本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材は相対密度が95%以上であるので、溶射法で得られた円筒形ターゲット材に比較して、スパッタリング時に発生するアーキングの回数が少ない。
本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材は、長さが500mm以上であり、好ましくは750mm以上、より好ましくは1000mmm以上、さらに好ましくは1500mm以上である。本発明のターゲット材1本を用いてスパッタリングを行う場合には、ターゲット材が長いほど大面積の成膜が可能になり、分割部に起因するアーキングが発生しない。本発明のターゲット材を複数本つなげてスパッタリングを行う場合には、ターゲット材が長いほど少ない本数で目的とする長さにすることができ、分割部の数を少なくできるので、分割部に起因するアーキングの発生回数を減らすことができる。
本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材の長さの上限には特に制限はないが、マグネトロン回転カソードスパッタリング装置の制約などから、3400mm程度である。
本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材は、内径が100mm以上であることが好ましい。前記のような内径であると、回転カソードスパッタリング方式により効率的な成膜が可能になる。
本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材の真円度、円筒度および振れ公差は好ましくは1mm以内、より好ましくは0.5mm以内、さらに好ましくは0.1mm以内である。真円度、円筒度および振れ公差は、小さいほどアーキングが発生しにくいので好ましい。
本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材は、相対密度が95%以上であり、好ましくは99%以上、より好ましくは99.5%以上である。ターゲット材の相対密度が高いほど、スパッタリング時の熱衝撃や温度差などに起因するターゲット材の割れを防止することができ、ターゲット材厚を無駄なく有効に活用することができる。また、パーティクルおよびアーキングの発生が低減し、良好な膜質を得ることができる。前記相対密度の上限には特に制限はないが、通常100%である。
本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材の材料であるセラミックスの種類には、特に制限はなく、たとえば酸化インジウム−酸化錫系材料(ITO)、酸化アルミニウム−酸化亜鉛系材料(AZO)および酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛系材料(IGZO)等が挙げられる。
セラミックスがITOである場合には、本ターゲット材におけるSnの含有量はSnO2量換算で好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜10質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。Snの含有量が前記範囲内であると、ターゲット材が低抵抗になるという利点がある。
セラミックスがAZOである場合には、本ターゲット材におけるAlの含有量はAl23量換算で好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは1〜5質量%、さらに好ましくは2〜5質量%である。Alの含有量が前記範囲内であると、ターゲット材が低抵抗になるという利点がある。
セラミックスがIGZOである場合には、本ターゲット材におけるInの含有量がIn23量換算で40〜60質量%、Gaの含有量がGa23量換算で20〜50質量%、Znの含有量がZnO量換算で5〜30質量%あることが好ましく、Inの含有量がIn23量換算で40〜55質量%、Gaの含有量がGa23量換算で25〜35質量%、Znの含有量がZnO量換算で15〜30質量%あることがより好ましく、Inの含有量がIn23量換算で40〜50質量%、Gaの含有量がGa23量換算で25〜35質量%、Znの含有量がZnO量換算で20〜30質量%あることがさらに好ましい。In、GaおよびZnの含有量が前記範囲内であると、スパッタリングにより良好なTFT(薄膜トランジスタ:Thin Film Transistor)特性が得られるという利点がある。
<セラミックス円筒形スパッタリングターゲット>
本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲットは、前記セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材をバッキングチューブにボンディング材によって接合してなる。
前記バッキングチューブは、通常、セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材を接合しうる円筒形状を有する。バッキングチューブの種類には特に制限はなく、ターゲット材に応じて、従来使用されているバッキングチューブから適宜選択して使用することができる。たとえば、バッキングチューブの材料としてはステンレス、チタン等を挙げることができる。
前記ボンディング材の種類にも特に制限はなく、ターゲット材に応じて、従来使用されているボンディング材から適宜選択して使用することができる。たとえば、ボンディング材としては、インジウム製の半田等が挙げられる。
セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材は、1本のバッキングチューブの外側に、1本接合されてもよく、2本以上を同一軸線上に並べて接合されてもよい。2本以上を並べて接合する場合、各セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材間の隙間、つまり分割部の長さは通常0.05〜0.5mm、好ましくは0.05〜0.3mm、より好ましくは0.05mmである。分割部の長さが短いほどスパッタリング時にアーキングが発生しにくいが、0.05mm未満だとボンディング中やスパッタリング中の熱膨張によりターゲット材同士がぶつかり、割れることがある。
ボンディング方法にも特に制限はなく、従来のセラミックス円筒形スパッタリングターゲットと同様の方法を採用することができる。
<セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材の製造方法>
本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材の製造方法は、
セラミックス原料粉末および有機添加物を含有するスラリーから顆粒を調製する工程1、
前記顆粒をCIP成形して円筒形の成形体を作製する工程2、
前記成形体を脱脂する工程3、および
前記脱脂された成形体を焼成する工程4
を含むセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材の製造方法であって、
前記工程1において、前記有機添加物の量が前記セラミックス原料粉末の量に対して0.1〜1質量%であることを特徴とする。
この製造方法により、前記本発明のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材を、割れや変形などを発生させないで効率的に製造することができる。
この製造方法においては、前記有機添加物がバインダを含み、該バインダが、重合度が200〜400かつ鹸化度が60〜80mol%であるポリビニルアルコールことが好ましい。
(工程1)
工程1では、セラミックス原料粉末および有機添加物を含有するスラリーから顆粒を調製する。
セラミックス原料粉末および有機添加物から顆粒を調製し、その顆粒を工程2のCIP成形に供することにより、原料の充填性が向上し、高密度の成形体を得ることができる。また、充填むらが生じにくくなり、均一な充填が可能になる。プレスむらも生じにくくなる。
セラミックス原料粉末は、この製造方法によってターゲット材の構成材料であるセラミックスを作製できる粉末である。
たとえば、セラミックスがITOである場合には、セラミックス原料粉末として、In23粉末およびSnO2粉末の混合粉末を使用でき、ITO粉末を単独で、またはIn23粉末およびSnO2粉末と混合して用いてもよい。In23粉末、SnO2粉末およびITO粉末は、BET(Brunauer-Emmett-Teller)法で測定した比表面積がそれぞれ通常1〜40m2/gである。In23粉末、SnO2粉末およびITO粉末の混合比率は、本ターゲット材における構成元素の含有量が前述の範囲内になるように適宜決定される。本製造方法においては、In23粉末およびSnO2粉末の混合粉末をセラミックス原料粉末として使用する場合、セラミックス原料粉末におけるSnO2粉末の含有量(質量%)が、最終的に得られるターゲット材におけるSnO2量換算でのSnの含有量(質量%)と同視できることが確認されている。
セラミックスがAZOである場合には、セラミックス原料粉末として、Al23粉末およびZnO粉末の混合粉末を使用でき、AZO粉末を単独で、またはAl23粉末およびZnO粉末と混合して用いてもよい。Al23粉末、ZnO粉末およびAZO粉末は、BET法で測定した比表面積がそれぞれ通常1〜40m2/gである。Al23粉末、ZnO粉末およびAZO粉末の混合比率は、本ターゲット材における構成元素の含有量が前述の範囲内になるように適宜決定される。本製造方法においては、Al23粉末およびZnO粉末の混合粉末をセラミックス原料粉末として使用する場合、セラミックス原料粉末におけるAl23粉末の含有量(質量%)が、最終的に得られるターゲット材におけるAl23量換算でのAlの含有量(質量%)と同視できることが確認されている。
セラミックスがIGZOである場合には、セラミックス原料粉末として、In23粉末、Ga23粉末およびZnO粉末の混合粉末を使用でき、IGZO粉末を単独で、またはIn23粉末、Ga23粉末およびZnO粉末と混合して用いてもよい。In23粉末、Ga23粉末、ZnO粉末およびIGZO粉末は、BET法で測定した比表面積がそれぞれ通常1〜40m2/gである。In23粉末、Ga23粉末、ZnO粉末およびIGZO粉末の混合比率は、本ターゲット材における構成元素の含有量が前述の範囲内になるように適宜決定される。本製造方法においては、In23粉末、Ga23粉末およびZnO粉末の混合粉末をセラミックス原料粉末として使用する場合、セラミックス原料粉末におけるIn23粉末、Ga23粉末およびZnO粉末の含有量(質量%)が、それぞれ最終的に得られるターゲット材におけるIn23量換算でのInの含有量(質量%)、Ga23量換算でのGaの含有量(質量%)およびZnO量換算でのZnの含有量(質量%)と同視できることが確認されている。
粒子径の異なる2種類以上の粉末を混合して得られたセラミックス原料粉末を用いると、粒子径の大きい粉末の粒子間に粒子径の小さい粉末の粒子が入り込むので、成形体の密度が高くなり、焼結体の強度も向上するという利点がある。
粉末の混合方法には特に制限はなく、たとえば、各粉末およびジルコニアボールをポットに入れ、ボールミル混合することができる。
前記有機添加物は、スラリーや成形体の性状を好適に調整するために添加される物質である。有機添加物としては、バインダ、分散剤および可塑剤等を挙げることができる。
工程1において、有機添加物の量はセラミックス原料粉末の量に対して0.1〜1.2質量%であり、好ましくは0.2〜1.0質量%、より好ましくは0.4〜0.8質量%である。有機添加物の前記配合量が1.2質量%より多いと、脱媒中の成形体の強度低下が大きくなり、脱脂割れしやすくなったり、脱脂後に成形体中に空孔が多くなり、高密度化しにくくなったりする場合がある。有機添加物の前記配合量が0.1質量%より少ないと、各成分の十分な効果が得られない場合がある。有機添加物の配合量を前記範囲内にすると、長さが500mm以上かつ相対密度が95%以上であり、一体品であるセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材を製造することができる。
バインダは、成形体においてセラミックス原料粉末をバインドし、成形体の強度を高めるために添加される。バインダとしては、公知の粉末焼結法において成形体を得るときに通常使用されるバインダを使用することができる。
その中でも、ポリビニルアルコール(PVA)が好適であり、さらに重合度が200〜400かつ鹸化度が60〜80mol%であるポリビニルアルコールが好適である。このようなバインダを使用すると、バインダの添加量が少量であっても、CIP成形時に潰れやすい顆粒が調製され、CIP成形によりセラミックス原料粉末が緻密に充填された割れにくい成形体が得られ、その結果、割れや変形を生じさせることなく高密度で長尺のセラミックス円筒形ターゲット材を製造することができる。たとえば、有機添加物の配合量を前記範囲内にし、さらに前記バインダを使用すると、長さ750mm以上、相対密度95%以上で一体品のセラミックス円筒形ターゲット材を安定的に製造することができる。
一般に、セラミックス粉末を成形、脱脂および焼成という工程により長尺のセラミックス円筒形ターゲット材を作製しようとすると、成形、脱脂および焼成の何れかの工程で割れが発生する。このため従来の製造方法では、長さ500mm以上、相対密度95%以上で一体品のセラミックス円筒形ターゲット材を製造することはできなかった。成形時の割れは、CIP成形体の場合には、長尺すなわち大型になるとスプリングバックの力が大きくなるために起こると考えられる。鋳込み成形体の場合には、水分ムラや粒子偏析が起点となり割れると考えられる。バインダ量を増やせば成形割れをなくすことはできるが、バインダ量を増やすと、脱脂または焼成中に円筒成形体が脆化して割れる。また過度のバインダの添加は、バインダが偏析して脱脂割れの起点となるため好ましくない。
本発明の製造方法においては、前記のバインダを使用することにより、長尺の成形体であっても、少量のバインダ添加により割れにくい成形体が得られるので、脱脂および焼成中に円筒成形体が割れにくい。つまり、前記バインダを使用すると、成形、脱脂および焼成のいずれの工程でも割れが発生しにくく、長尺のセラミックス円筒形ターゲット材が安定的に得られる。
前記バインダの使用により、このような効果が得られるのは、次のような理由によると考えられる。
たとえば原料粉末、バインダおよび水を含有したスラリーをスプレードライにより顆粒を調製する場合、スラリーを噴霧して形成された液滴中で、乾燥により水が液滴の外側に移動し、それと共に原料粉末およびバインダも液滴の外側に移動する。水は液滴外に揮発し、その結果、液滴表面部に原料粉末およびバインダが緻密に凝集し、堅い被膜を持った顆粒が形成される。この顆粒は、原料粉末、バインダおよび水が外周部に移動しているため中空となり、その中空部は負圧になっている。その圧力差をなくそうとして、顆粒は陥没する。このような陥没した顆粒は堅いので、成形時に潰れにくい。このため、成形体は緻密化せず、割れの起点となる粗大欠陥を生じる。長尺の成形体を作製するとき割れが発生するのは、このようなことが主因になっていると考えられる。
重合度200〜400という重合度の低いバインダを使用すると、バインダの成分である高分子の絡み合いが少なく、粘度の低いスラリーが得られる。バインダ比を一定にして重合度の低いバインダを使用すると、低粘度で原料粉末の濃度が高いスラリーが作製される。このため、スラリーの噴霧時に液滴中で水の移動が少ないため、顆粒内部が中空になりにくく、陥没しにくい。顆粒においてはバインダの絡み合いが少ないので、バインダの結合力が弱く、顆粒が簡単に潰れる。また高濃度スラリーを噴霧すると、原料粉末およびバインダが液滴の表面部に凝集できないので、表面部が緻密になりにくく、顆粒の強度が低くなる。このような理由により、CIP成形によりセラミックス原料粉末が緻密に充填された割れにくい成形体が得られると考えられる。
また、鹸化度60〜80mol%という鹸化度の低いバインダを使用すると、原料粉末、バインダおよび水からなるスラリーにおいて、バインダの疎水基が粉末に吸着して、分散性の高いスラリーが得られる。曇点以上の温度でスラリーを噴霧すると、バインダが短時間で析出し、液滴の外側に移動しないので、顆粒全体にバインダが均一分散した状態で乾燥され、表面部の強度が低い顆粒が得られる。このような理由により、CIP成形によりセラミックス原料粉末が緻密に充填された割れにくい成形体が得られると考えられる。
以上のとおり、バインダであるポリビニルアルコールの重合度および鹸化度はともに小さいほうが、潰れやすい顆粒が得られる。このためバインダであるポリビニルアルコールの重合度は400以下、鹸化度は80mol%以下であることが好ましい。一方、重合度および鹸化度が小さすぎると、得られる成形体が柔らかくなりすぎ、ハンドリング性が低下する。このためバインダであるポリビニルアルコールの重合度は200以上、鹸化度は60mol%以上であることが好ましい。バインダであるポリビニルアルコールは、重合度が250〜350、鹸化度が65〜75mol%であることがより好ましく、重合度が280〜320、鹸化度が68〜72mol%であることがさらに好ましい。
バインダであるポリビニルアルコールの添加量は、セラミックス原料粉末に対して好ましくは0.1〜1.0質量%、より好ましくは0.1〜0.65質量%、さらに好ましくは0.1〜0.3質量%である。ポリビニルアルコールの添加量が多いほど、塑性が上がり成形割れしにくくなる一方、脱媒中の成形体の強度低下が大きくなり、脱脂割れしやすくなったり、脱脂後に成形体中に空孔が多くなり、高密度化しにくくなったりする場合がある。このため前記範囲が好適である。
分散剤は、スラリー中の原料粉末およびバインダの分散性を高めるために添加される。
分散剤としては、たとえばポリカルボン酸アンモニウム、ポリアクリル酸アンモニウム等を挙げることができる。
可塑剤は、成形体の可塑性を高めるために添加される。可塑剤としては、たとえば、ポリエチレングリコール(PRG)、エチレングリコール(EG)等を挙げることができる。
セラミックス原料粉末および有機添加物を含有するスラリーを調製する際に使用する分散媒には特に制限はなく、目的に応じて、水、アルコール等から適宜選択して使用することができる。
セラミックス原料粉末および有機添加物を含有するスラリーを調製する方法には特に制限はなく、たとえば、セラミックス原料粉末、有機添加物および分散媒をポットに入れ、ボールミル混合する方法が使用できる。
スラリーから顆粒を調製する方法には、特に制限はなく、たとえばスプレードライ法、転動造粒法、押出し造粒法等を使用することができる。これらのうちで、顆粒の流動性が高く、成形時に潰れやすい顆粒を作製しやすいなどの点で、スプレードライ法が好ましい。スプレードライ法の条件には特に制限はなく、セラミックス原料粉末の造粒に通常使用される条件を適宜選択して実施することができる。
(工程2)
工程2では、工程1で調製された顆粒をCIP成形( Cold Isostatic Pressing(冷間等方圧成形))して円筒形の成形体を作製する。CIP成形により成形体を作製すると、密度が均一で方向性の少なく、脱脂および焼成を行っても割れにくい長尺円筒形の成形体を得ることができる。
CIP成形に使用する型としては、CIP成形に通常使用される、長尺円筒形の成形体を作製できる型、たとえば、上下に密閉できる蓋があり、円柱状の中子(心棒)を有する円筒形状のウレタンゴム型などを使用することができる。
CIP成形時の圧力は、通常800kgf/cm2以上、好ましくは1000kgf/cm2以上、より好ましくは3000kgf/cm2以上である。圧力が高いほど、顆粒を緻密に充填でき、成形体を高密度化および高強度化できる。CIP成形時の圧力の上限値には特に制限はなく、通常5000kgf/cm2である。
CIP成形において加圧した後、減圧するときに、圧力が200kgf/cm2以下の範囲では、減圧速度を200kgf/cm2・h以下にすることが好ましく、100kgf/cm2・h以下にすることがより好ましく、50kgf/cm2・h以下にすることがさらに好ましい。200kgf/cm2以下の圧力範囲における減圧では、成形体に生じるスプリングバックの力が強いので、成形体が割れやすい。減圧速度を200kgf/cm2・h以下にすると、スプリングバックの力が弱くなり、成形体が割れにくくなる。このような減圧速度で減圧を行うと、高密度で長尺のセラミックス円筒形ターゲット材を安定的に製造することができる。たとえば、前記バインダを使用し、有機添加物の配合量を前記範囲内にし、さらに前記減圧速度を採用すると、長さ1000mm以上、相対密度95%以上で一体品のセラミックス円筒形ターゲット材を安定的に製造することができる。減圧速度の下限値には特に制限はなく、通常30kgf/cm2である。
圧力が200kgf/cm2より高い範囲での減圧速度には特に制限はなく、通常200〜1000kgf/cm2・hである。
(工程3)
工程3では、工程2で作製された成形体を脱脂する。脱脂は成形体を加熱することにより行われる。
脱脂温度は、通常600〜800℃、好ましくは700〜800℃、より好ましくは750〜800℃である。脱脂温度が高いほど成形体の強度が高くなるが、800℃を超えると成形体の収縮が起こるので、800℃以下で脱脂することが好ましい。
脱脂時間は通常3〜10時間、好ましくは5〜10時間、より好ましくは10時間である。脱脂時間が長いほど成形体の強度が高くなるが、10時間の加熱でほぼ脱脂は完了するので、脱脂時間をこれ以上長くしても成形体の強度は高くならない。
昇温速度は、400℃までの温度範囲では、好ましくは50℃/h以下、より好ましくは30℃/h以下、さらに好ましくは20℃/h以下である。400℃までに脱媒が行われ、脱媒中に高速で昇温すると、成形体が割れやすくなるので、400℃までは50℃/h以下の低速で昇温することが好ましい。昇温速度を前記範囲にすると、高密度で長尺のセラミックス円筒形ターゲット材を安定的に製造することができる。たとえば、前記バインダを使用し、有機添加物の配合量を前記範囲内にし、CIP成形時の減圧速度を前記範囲とし、さらに脱脂時の昇温速度を前記範囲にすると、長さ1500mm以上、相対密度95%以上で一体品のセラミックス円筒形ターゲット材を安定的に製造することができる。400℃より高い温度では、脱媒が完了しているのでリードタイムを短くするために、より高い速度、たとえば80℃/h程度で昇温することができる。
(工程4)
工程4では、工程3で脱脂された成形体を焼成する。
焼成炉には特に制限はなく、セラミックターゲット材の製造に従来使用されている焼成炉を使用することができる。
焼成温度は、セラミックスがITOである場合には、通常1450〜1700℃、好ましくは1500〜1650℃、より好ましくは1550〜1600℃である。セラミックスがAZOまたはIGZOである場合には、通常1250〜1500℃、好ましくは1300〜1450℃、より好ましくは1350〜1400℃である。焼成温度が高いほど高密度のターゲット材が得られるが、高すぎるとターゲット材の焼結組織が肥大化して割れやすくなる。
焼成時間は、通常3〜30時間、好ましくは5〜10時間、より好ましくは5〜8時間である。焼成時間が長いほどターゲット材が高密度化しやすいが、長すぎるとターゲット材の焼結組織が肥大化して割れやすくなる。
昇温速度は通常100〜500℃/hである。降温速度は通常10〜100℃/h、好ましくは10〜50℃/h、より好ましくは10〜30℃/hである。降温速度が小さいほど熱応力差による割れが起こりにくくなるが、10℃/hより小さくしても熱応力差は通常変わらない。
焼成雰囲気には特に制限なく、通常、大気雰囲気や酸素雰囲気である。
得られた焼結体は、切削加工等、必要な加工を施されてスパッタリングターゲット材として使用される。
実施例および比較例において得られたスパッタリングターゲット材の評価方法は以下のとおりである。
1.相対密度
スパッタリングターゲット材の相対密度はアルキメデス法に基づき測定した。具体的には、スパッタリングターゲット材の空中重量を体積(=スパッタリングターゲット焼結体の水中重量/計測温度における水比重)で除し、下記式(X)に基づく理論密度ρ(g/cm3)に対する百分率の値を相対密度(単位:%)とした。
Figure 2016014191
(式(X)中、C1〜Ciはそれぞれターゲット材の構成物質の含有量(重量%)を示し、ρ1〜ρiはC1〜Ciに対応する各構成物質の密度(g/cm3)を示す。)。
2.スパッタリングターゲット材または成形体の割れの評価
スパッタリングターゲット材および成形体を目視で観察し、スパッタリングターゲット材または成形体に割れが認められた場合には「×」、認められなかった場合には「○」と評価した。
<ITOターゲット>
[実施例1]
BET法により測定された比表面積が10m2/gであるSnO2粉末とBET法により測定された比表面積が10m2/gであるIn23粉末とを、SnO2粉末の含有量が1質量%になるように配合し、ポット中でジルコニアボールによりボールミル混合して、セラミックス原料粉末を調製した。
このポットに、バインダとして、セラミックス原料粉末に対して0.1質量%のポリビニルアルコール(重合度:280、鹸化度68mol%)、分散剤として、セラミックス原料粉末に対して0.3質量%のポリカルボン酸アンモニウム、および分散媒として、セラミックス原料粉末に対して15質量%の水を加え、ボールミル混合してスラリーを調製した。有機添加物の合計量(ポリビニルアルコール量とポリカルボン酸アンモニウム量との合計)のセラミックス原料粉末の量に対する比率は0.4質量%であった。
このスラリーをスプレードライ装置に供給し、アトマイズ回転数10,000rpm、入口温度250℃の条件でスプレードライを行い、顆粒を調製した。
上下に密閉できる蓋があり、外径165mmの円柱状の中子(心棒)を有する内径210mm(肉厚10mm)、長さ1219mmの円筒形状のウレタンゴム型に、前記顆粒をタッピングさせながら充填し、ゴム型を密閉後、800kgf/cm2の圧力でCIP成形して、円筒形の成形体を作製した。CIP成形後の減圧速度は、200kgf/cm2より高い圧力範囲では300kgf/cm2・h、200kgf/cm2以下の圧力範囲では200kgf/cm2・hとした。得られた成形体の長さは1212mmであった。
この成形体を加熱脱脂した。脱脂温度は700℃、脱脂時間は10時間、昇温速度は、400℃までの温度範囲では20℃/h、400℃より高い温度範囲では50℃/hとした。
脱脂された成形体を焼成して、焼結体を作製した。焼成は、大気雰囲気中で、焼成温度1600℃、焼成時間10時間、昇温速度300℃/h、降温速度50℃/hとした。
得られた焼結体を切削加工し、外径155mm、内径135mm、長さ1000mmのITO円筒形スパッタリングターゲット材を製造した。
外径133mm、内径123mm、長さ3200mmのSUS304製バッキングチューブに、前記ターゲット材3本をIn半田により接合し、ITOターゲットを作製した。各ターゲット材間の間隔(分割部の長さ)は0.2mmとした。
ターゲット材の相対密度、ならびにターゲット材および成形体の割れの評価を表1に記した。
[実施例2〜20、比較例1〜9]
実施例2〜20および比較例1〜9を以下の条件で行った。
セラミックス原料粉末におけるSnO2粉末の含有量、ポリビニルアルコールの重合度および鹸化度、ならびにポリビニルアルコールの添加量およびポリカルボン酸アンモニウムの添加量を表1に示した条件にし、それ以外は実施例1と同様に行い、顆粒を調製した。
この顆粒をCIP成形して、表1に示した長さを有する円筒形の成形体を作製した。CIP成形には、実施例2、3、9〜18、比較例6については実施例1と同じウレタンゴム型を用い、他の実施例および比較例については、実施例1で用いたウレタンゴム型と同じ中子および内径を有し、表1に示した長さの成形体が得られるような長さを有するウレタンゴム型を用いた。CIP成形後の、200kgf/cm2以下の圧力範囲における減圧速度を表1に示した条件にした。それ以外のCIP成形の条件は実施例1と同様とした。比較例5においては、成形工程で成形体に割れが生じた。
成形工程で割れが生じなかった成形体を加熱脱脂した。400℃までの温度範囲での昇温速度を表1に示した条件にし、それ以外の脱脂条件は実施例1と同様とした。比較例1〜4および8〜9においては、脱脂工程で成形体に割れが生じた。
脱脂工程で割れが生じなかった脱脂された成形体を実施例1と同様の条件で焼成して、焼結体を作製した。得られた焼結体を切削加工し、表1に示した外径、内径および長さを有するITO円筒形スパッタリングターゲット材を製造した。
表1に示した分割部の数が得られるように、外径133mm、内径123mm、長さ3200mmのSUS304製バッキングチューブに、複数本(分割部の数より1多い数の本数)の前記ターゲット材をIn半田により接合し、ITOターゲットを作製した。各ターゲット材間の間隔(分割部の長さ)は0.2mmとした。
得られた各ターゲット材の相対密度、ならびにターゲット材および成形体の割れの評価を表1に記した。
<AZOターゲット>
[実施例21]
BET法により測定された比表面積が5m2/gであるAl23粉末とBET法により測定された比表面積が10m2/gであるZnO粉末とを、Al23粉末の含有量が0.5質量%になるように配合し、ポット中でジルコニアボールによりボールミル混合して、セラミックス原料粉末を調製した。
このセラミックス原料粉末を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、顆粒を調製した。
この顆粒を、上下に密閉できる蓋があり、外径167mmの円柱状の中子(心棒)を有する内径213mm(肉厚10mm)、長さ1233mmの円筒形状のウレタンゴム型を用いて、実施例1と同様の条件でCIP成形を行い、表2に示した長さを有する円筒形の成形体を作製した。
この成形体を実施例1と同様の条件で脱脂した。
脱脂された成形体を実施例1と同様の条件で焼成して、焼結体を作製した。得られた焼結体を切削加工し、表2に示した外径、内径および長さを有するAZO円筒形スパッタリングターゲット材を製造した。
外径133mm、内径123mm、長さ3200mmのSUS304製バッキングチューブに、前記ターゲット材3本をIn半田により接合し、AZOターゲットを作製した。各ターゲット材間の間隔(分割部の長さ)は0.2mmとした。
ターゲット材の相対密度、ならびにターゲット材および成形体の割れの評価を表2に記した。
[実施例22〜33、比較例10〜18]
実施例22〜33および比較例10〜18を以下の条件でおこなった。
セラミックス原料粉末におけるAl23粉末の含有量、ポリビニルアルコールの重合度および鹸化度、ならびにポリビニルアルコールの添加量およびポリカルボン酸アンモニウムの添加量を表2に示した条件にし、それ以外は実施例21と同様に行い、顆粒を調製した。
この顆粒をCIP成形して、表2に示した長さを有する円筒形の成形体を作製した。CIP成形には、実施例22、28〜30、33、比較例14については実施例21と同じウレタンゴム型を用い、他の実施例および比較例については、実施例21で用いたウレタンゴム型と同じ中子および内径を有し、表2に示した長さの成形体が得られるような長さを有するウレタンゴム型を用いた。CIP成形後の、200kgf/cm2以下の圧力範囲における減圧速度を表2に示した条件にした。それ以外のCIP成形の条件は実施例21と同様とした。比較例13においては、成形工程で成形体に割れが生じた。
成形工程で割れが生じなかった成形体を加熱脱脂した。400℃までの温度範囲での昇温速度を表2に示した条件にし、それ以外の脱脂条件は実施例21と同様とした。比較例10〜12および16〜18においては、脱脂工程で成形体に割れが生じた。
脱脂工程で割れが生じなかった脱脂された成形体を実施例21と同様の条件で焼成して、焼結体を作製した。得られた焼結体を切削加工し、表2に示した外径、内径および長さを有するAZO円筒形スパッタリングターゲット材を製造した。
表2に示した分割部の数が得られるように、外径133mm、内径123mm、長さ3200mmのSUS304製バッキングチューブに、複数本(分割部の数より1多い数の本数)の前記ターゲット材をIn半田により接合し、AZOターゲットを作製した。各ターゲット材間の間隔(分割部の長さ)は0.2mmとした。
得られた各ターゲット材の相対密度、ならびにターゲット材および成形体の割れの評価を表2に記した。
<IGZOターゲット>
[実施例34]
BET法により測定された比表面積が10m2/gであるIn23粉末とBET法により測定された比表面積が10m2/gであるGa23粉末とBET法により測定された比表面積が10m2/gであるZnO粉末とを、In23粉末の含有量が44.2質量%、Ga23粉末の含有量が29.9質量%、ZnO粉末の含有量が25.9質量%になるように配合し、ポット中でジルコニアボールによりボールミル混合して、セラミックス原料粉末を調製した。
このセラミックス原料粉末を用いたこと、およびポリビニルアルコール(重合度:280、鹸化度68mol%)の代わりにポリビニルアルコール(重合度:500、鹸化度90mol%)を以外は実施例1と同様に行い、顆粒を調製した。
この顆粒を、上下に密閉できる蓋があり、外径171mmの円柱状の中子(心棒)を有する内径218mm(肉厚10mm)、長さ653mmの円筒形状のウレタンゴム型を用いて、CIP成形後の、200kgf/cm2以下の圧力範囲における減圧速度を300kgf/cm2・hにしたこと以外は実施例1と同様の条件でCIP成形を行い、表3に示した長さを有する円筒形の成形体を作製した。
この成形体を実施例1と同様の条件で脱脂した。
脱脂された成形体を実施例1と同様の条件で焼成して、焼結体を作製した。得られた焼結体を切削加工し、表3に示した外径、内径および長さを有するIGZO円筒形スパッタリングターゲット材を製造した。
外径133mm、内径123mm、長さ3200mmのSUS304製バッキングチューブに、前記ターゲット材6本をIn半田により接合し、IGZOターゲットを作製した。各ターゲット材間の間隔(分割部の長さ)は0.2mmとした。
ターゲット材の相対密度、ならびにターゲット材および成形体の割れの評価を表3に記した。
[実施例35〜44、比較例19〜25]
実施例35〜44および比較例19〜25を以下の条件でおこなった。
セラミックス原料粉末におけるIn23粉末の含有量、Ga23粉末の含有量およびZnO粉末の含有量、ポリビニルアルコールの重合度および鹸化度、ならびにポリビニルアルコールの添加量およびポリカルボン酸アンモニウムの添加量を表3に示した条件にし、それ以外は実施例34と同様に行い、顆粒を調製した。
この顆粒をCIP成形して、表3に示した長さを有する円筒形の成形体を作製した。CIP成形には、実施例35〜36、比較例19〜20、22〜25については実施例34と同じウレタンゴム型を用い、他の実施例および比較例については、実施例34で用いたウレタンゴム型と同じ中子および内径を有し、表2に示した長さの成形体が得られるような長さを有するウレタンゴム型を用いた。CIP成形後の、200kgf/cm2以下の圧力範囲における減圧速度を表3に示した条件にした。それ以外のCIP成形の条件は実施例34と同様とした。比較例20においては、成形工程で成形体に割れが生じた。
成形工程で割れが生じなかった成形体を加熱脱脂した。400℃までの温度範囲での昇温速度を表3に示した条件にし、それ以外の脱脂条件は実施例34と同様とした。比較例19および23〜25においては、脱脂工程で成形体に割れが生じた。
脱脂工程で割れが生じなかった脱脂された成形体を実施例34と同様の条件で焼成して、焼結体を作製した。得られた焼結体を切削加工し、表3に示した外径、内径および長さを有するIGZO円筒形スパッタリングターゲット材を製造した。
表3に示した分割部の数が得られるように、外径133mm、内径123mm、長さ3000mmのSUS304製バッキングチューブに、複数本(分割部の数より1多い数の本数)の前記ターゲット材をIn半田により接合し、IGZOターゲットを作製した。各ターゲット材間の間隔(分割部の長さ)は0.2mmとした。
得られた各ターゲット材の相対密度、ならびにターゲット材および成形体の割れの評価を表3に記した。
Figure 2016014191
Figure 2016014191
Figure 2016014191
表1〜3に示されたとおり、本発明の製造方法を実施した実施例1〜44では、ターゲットの作製過程においてターゲット材および成形体の割れが発生せず、500mm以上の長さを有し、95%以上の相対密度を有するITO円筒形スパッタリングターゲット材、AZO円筒形スパッタリングターゲット材またはIGZO円筒形スパッタリングターゲット材、およびこれらから形成されるターゲットが得られた。
本発明の製造方法でない製造方法を実施した比較例では、有機添加物の量がセラミックス原料粉末の量に対して1.2質量%より多い場合には、脱脂工程で成形体に割れが発生するか、またはターゲット材の相対密度が95%より低くなり、有機添加物の量がセラミックス原料粉末の量に対して0.1質量%より少ない場合には、成形工程で成形体に割れが発生した。比較例では、500mm以上の長さを有し、95%以上の相対密度を有するセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材を製造することはできなかった。

Claims (9)

  1. セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材を、バッキングチューブにボンディング材によって、複数本接合してなるセラミックス円筒形スパッタリングターゲットであって、前記セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材のうちの少なくとも1本は、長さが500mm以上750mm未満かつ相対密度が95%以上であり、一体品であるセラミックス円筒形スパッタリングターゲット材であるセラミックス円筒形スパッタリングターゲット。
  2. 前記セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材間の分割部の長さが0.05mm〜0.5mmである請求項1に記載のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット。
  3. 前記セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材の相対密度が99%以上である請求項1または2に記載のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット。
  4. 前記セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材が、Snの含有量がSnO2量換算で1〜10質量%のITO製である請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット。
  5. 前記セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材が、Alの含有量がAl23量換算で0.1〜5質量%のAZO製である請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット。
  6. 前記セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材が、Inの含有量がIn23量換算で40〜60質量%、Gaの含有量がGa23量換算で20〜50質量%、Znの含有量がZnO量換算で5〜30質量%のIGZO製である請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット。
  7. 前記セラミックス円筒形スパッタリングターゲット材間の分割部の数が1〜5個である請求項1〜6のいずれかに記載のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット。
  8. 前記バッキングチューブの材質がステンレスまたはチタンである請求項1〜7のいずれかに記載のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット。
  9. 前記ボンディング材がインジウム製の半田である請求項1〜8のいずれかに記載のセラミックス円筒形スパッタリングターゲット。
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