JP2016011448A - 微粒子、微粒子の製造方法、及び微粒子分散溶液 - Google Patents

微粒子、微粒子の製造方法、及び微粒子分散溶液 Download PDF

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Abstract

【課題】粒子径が小さく分散安定性に優れかつデンドライト化が抑制された金属微粒子、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)と炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)とで被覆された、一次粒子の粒子径が1〜300nmの金属元素(M)からなる微粒子。並びに、
少なくとも、金属元素(M)のイオン、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)、及び炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)が溶解している還元反応水溶液において、金属元素(M)のイオンの電解還元反応により、一次粒子の粒子径が1〜300nmの金属元素(M)が第4級アンモニウム化合物(A)とラクタム系化合物(L)で被覆された、微粒子(P)を析出させることを特徴とする、微粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属元素のイオンの電解還元反応により、一次粒子の粒子径が1〜300nmの金属元素からなる微粒子、該微粒子の製造方法、及び微粒子分散溶液に関する。
従来から、金属微粒子は、融点の低下、触媒活性、磁気特性、比熱特性、光学特性の変化等を発現することから、電子材料、触媒材料、蛍光体材料、発光体材料等の分野で広く用いられている。特に、電子材料用の導電性ペーストのような配線形成材料として、プリント配線、半導体の内部配線、プリント配線板と電子部品との接続等に利用されている。最近では、インクジェットプリンターを用いて金属微粒子を含有するインクにより配線パターンの印刷を行い、低温焼成して配線を形成する技術が着目され、研究開発が進められている。しかし、インクジェットプリンターの場合、インクに含まれる金属微粒子は、インク中において分散性を向上し、かつ長期間分散性を保つことが要請されており、そのため金属微粒子のより微細化が必要となっている。
また、金属微粒子を焼成して得られる配線等の導電性の向上、及び金属微粒子の焼成体により電子部品の導電接続部材に使用する際の接合強度の向上も求められている。
下記特許文献1には、還元剤等の不純物混入を防止し、粒子寸法を制御するために、溶媒中で第4級アンモニウム塩又はホスホニウム塩からなる安定剤の存在下で、Fe、Co、Ni等の金属を陰極還元して、30nmより小さい粒子径を有する金属コロイドを電気化学的に調製する方法が開示されている。
下記特許文献2には、ナノ粒子の表面に水酸基を含む層の外殻上に、界面活性剤として第4級アンモニウム化合物等を含む有機物層が形成された、ナノ粒子が開示されている。下記特許文献3には、粒子径が50nm以下であり、支持電解質及び/又は安定剤として、第4級アンモニウム塩又はホスホニウム塩が存在する、有機媒体に溶解性もしくは再分散性の金属コロイドが開示されている。
下記特許文献4には、1種以上の貴金属からなるコロイド粒子と、水又は水と有機溶媒との混合溶媒からなる溶媒と、前記コロイド粒子を保護する、保護剤として水酸化物の4級アンモニウム塩を用いたコロイド溶液が開示されている。下記特許文献5には、表面に金属酸化物層の接着のためのアンカーとして機能する4級アンモニウム塩等の界面活性剤が吸着した微粒子物質が開示されている。
下記特許文献6には、簡便な処理で金属銅を触媒付与して、無電解銅メッキを施すことを技術的課題として、
平均粒径1〜250nmの銅ナノ粒子を分子量2000〜100万の高分子分散剤、又は分子量2000未満の低分子無機分散剤の存在下で溶媒中に分散させた前処理液に、非導電性基板を浸漬して銅の触媒付与をした後、当該基板に無電解銅メッキを施す無電解メッキ方法が開示されている。
特許文献7、8には、有機溶媒中で安定剤の存在下に、金属塩のカソード電解還元により、30nm以下の金属粒子を製造する方法において、安定剤として、第4級アンモニウム及びリン酸塩の使用が開示されている。
また、特許文献9には、溶媒及び安定剤として、有機カーボネート、カルボン酸アミド、硫酸アミド等の極性溶媒を用いた、溶媒で安定化された金属コロイド及び支持体に固定した金属クラスターの製造方法が開示されている。非特許文献1には、凝集を防止するために、安定化配位子、ポリマー、第4級アンモニウム塩のような界面活性剤等の存在下に遷移金属クラスターの粒子径の選択性に優れた銅微粒子の製造法が開示されている。
特許第4270476号公報 特許第4418220号公報 特許第4667492号公報 特許第4765092号公報 特許第5382723号公報 特開2013−127110号公報 米国特許第5620584号明細書 米国特許第5925463号明細書 米国特許第6224739号明細書
Manfred T. Reetz and Wolfgang"Eelbig, Size-Selective Synthesis of Nanostructured Transition Metal Clusters" J. Am. Chem. Soc. 1994, 116, 7401-7402
上記特許文献1〜4には安定剤・保護剤として、第4級アンモニウム塩が開示され、特許文献5には、粒子表面の金属酸化物層に界面活性剤としてアンモニウム塩の付与が開示され、特許文献6には銅ナノ粒子の分散剤としてアンモニウム塩と高分子のポリビニルピロリドンを記載しているが、これらの第4級アンモニウム塩は金属微粒子を被覆して、微粒子のデンドライト化を抑制する効果は十分ではなく、また形成される焼結体の導電性とダイシェア強度の向上は期待できない。
特許文献7〜8、及び非特許文献1に開示の銅微粒子製造において開示されている安定剤、界面活性剤等では、還元反応で晶析される微粒子がデンドライト状に凝集するのを抑制する効果は十分ではない。また、特許文献9には、還元反応で晶析する微粒子がデンドライト状に凝集するのを抑制方法については開示されていない。
従って、一次粒子の粒子径が小さく、焼結性を低下させずに分散安定性を向上させ、かつ還元反応により析出する銅微粒子がデンドライト状に凝集するのを抑制した金属微粒子を、簡便な方法でかつ大量に生成することのできる製造方法の確立が望まれている。
本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、少なくとも、金属元素のイオンと、炭素原子数4〜12のラクタム系化合物、及び炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム塩が溶解している還元反応水溶液で電解還元反応を行うことにより、生成する金属微粒子の微細化と分散性が向上すると共に、析出する金属微粒子がデンドライト状に凝集するのが顕著に抑制され、焼成して得られる焼結体は導電性に優れ、導電接続部材として使用すると接合強度も向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の(1)から(34)に記載する発明を要旨とする。
(1)炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)と炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)とで被覆された、一次粒子の粒子径が1〜300nmの金属元素(M)からなる微粒子(以下、第1の態様ということがある)。
(2)前記金属元素(M)が銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(1)に記載の微粒子。
(3)前記微粒子の表面層が金属元素(M)の酸化物からなり、X線源としてCuKαを用いたX線回折において、金属元素(M)の最大強度であるメインピークの2θでのピーク高さをH、金属元素(M)の酸化物の最大強度であるメインピークの2θでのピーク高さをHとしたときのX線回折ピーク強度比(H/[H+H])が0.75以下の、コア部が金属であり、シェル部の一部又は全体が金属酸化物であるコア/シェル構造を有することを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の微粒子。
(4)前記ラクタム系化合物(L)が五員環構造を有する、2−ピロリドン、アルキル−2−ピロリドン、及びヒドロキシアルキル−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(1)から(3)のいずれかに記載の微粒子。
(5)前記アルキル−2−ピロリドンがN−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−n−プロピル−2−ピロリドン、N−n−ブチル−2−ピロリドン、N−iso−ブチル−2−ピロリドン、N−n−オクチル−2−ピロリドン、3−メチル−2−ピロリドン、4−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−3−メチル−2−ピロリドン、及びN−メチル−4−メチル−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(4)に記載の微粒子。
(6)前記ヒドロキシアルキル−2−ピロリドンがN−(ヒドロキシメチル)−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、及びN−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(4)に記載の微粒子。
(7)前記第4級アンモニウム化合物(A)がテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルエチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルジプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、モノメチルトリエチルアンモニウムハイドロオキサイド、モノメチルトリプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、及びトリオクチルメチルアンモニウムクロリドから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(1)から(6)のいずれかに記載の微粒子。
(8)前記微粒子(P)における、ラクタム系化合物(L)及び第4級アンモニウム化合物(A)の割合が質量百分率([(L+A)/P]×100)で0.1〜20質量%であることを特徴とする、前記(1)から(7)のいずれかに記載の微粒子。
(9)前記微粒子(P)における、第4級アンモニウム化合物(A)とラクタム系化合物(L)の質量比(A/L)が0.05〜19であることを特徴とする、前記(1)から(8)のいずれかに記載の微粒子。
(10)少なくとも、金属元素(M)のイオン、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)、及び炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)が溶解している還元反応水溶液において、金属元素(M)のイオンの電解還元反応により、一次粒子の粒子径が1〜300nmの金属元素(M)が第4級アンモニウム化合物(A)とラクタム系化合物(L)で被覆された、微粒子(P)を析出させることを特徴とする、微粒子の製造方法
(以下、第2の態様ということがある)。
(11)前記微粒子(P)を、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)が含まれる溶媒に添加して、第4級アンモニウム化合物(A)の追加被覆を行うことを特徴とする、前記(10)に記載の微粒子の製造方法。
(12)前記金属元素(M)が銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(10)又は(11)のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
(13)前記ラクタム系化合物(L)が五員環構造を有する、2−ピロリドン、アルキル−2−ピロリドン、及びヒドロキシアルキル−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(10)から(12)のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
(14)前記アルキル−2−ピロリドンがN−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−n−プロピル−2−ピロリドン、N−n−ブチル−2−ピロリドン、N−iso−ブチル−2−ピロリドン、N−n−オクチル−2−ピロリドン、3−メチル−2−ピロリドン、4−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−3−メチル−2−ピロリドン、及びN−メチル−4−メチル−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(13)に記載の微粒子の製造方法。
(15)前記ヒドロキシアルキル−2−ピロリドンがN−(ヒドロキシメチル)−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、及びN−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(13)に記載の微粒子の製造方法。
(16)前記第4級アンモニウム化合物(A)がテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルエチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルジプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、モノメチルトリエチルアンモニウムハイドロオキサイド、モノメチルトリプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、及びトリオクチルメチルアンモニウムクロリドから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(10)から(15)のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
(17)前記微粒子(P)における、ラクタム系化合物(L)及び第4級アンモニウム化合物(A)の割合が質量百分率([(L+A)/P]×100)で0.1〜20質量%であることを特徴とする、前記(10)から(16)のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
(18)前記微粒子(P)における、第4級アンモニウム化合物(A)とラクタム系化合物(L)の質量比(A/L)が0.05〜19であることを特徴とする、前記(10)から(17)のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
(19)前記電解還元反応が、還元反応水溶液中に設けられたアノードとカソード間に電位を加えることにより金属元素(M)イオンを還元して、カソード表面付近に金属元素(M)の微粒子を析出させる還元反応であることを特徴とする、前記(10)から(18)のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
(20)前記前記(1)から(9)のいずれかに記載の微粒子(P)が、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物(S1)を含む有機溶媒(S)に分散していることを特徴とする、微粒子分散溶液(以下、第3の態様ということがある)。
(21)前記少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物(S1)がメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2ジメチル−1−プロパノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、及び1,2,4−ブタントリオールの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(20)に記載の微粒子分散溶液。
金属元素(M)のイオンを還元反応水溶液中で電解還元して金属微粒子を生成させる際に、還元反応水溶液に炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)と、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)を有機添加剤として併用すると、ラクタム系化合物(L)の添加効果に加えて、第4級アンモニウムカチオンがアルカリ金属イオンと同様の微粒子化・デンドライト抑制効果を示しつつ、金属微粒子への同時被覆が可能となる。
第4級アンモニウム化合物(A)は、微粒子(P)を焼成する際に熱分解によって、アミンとエーテルに分解され、焼成時のリーチング反応におけるエーテルの自動酸化からエーテルペルオキシドを生成する。ペルオキシドの酸素-酸素間の単結合は非常に壊れやすく、RO・形のフリーラジカルが発生し、同時に被覆されているラクタム系化合物(L)がラクタム環の開裂を起こす。開裂したラクタム環は揮発・分解しやすくなり焼結体中への残留がより少なくなるとともに、ラジカル反応でラクタム環から分解生成した窒素酸化物などが金属粒子表面のリーチング反応を維持し続けることで、焼結反応が促進される相乗効果を示す。また、エーテルと共に生成したアミンは還元焼結反応を安定化する作用も発揮する。ラクタム系化合物(L)に比べて、生成したエーテル類は揮発しやすいため、該アミンは4級アンモニウムの形で粒子表面に保持することで、ラクタム系化合物(L)との相乗効果を100℃以上の焼成温度域においても示せるようになる。
金属微粒子表面での有機添加剤修飾量の上限が増加することにより、微粒子(P)表面の過度な酸化を抑制するので耐酸化性が向上する。また、微粒子(P)が金属微粒子表面に酸化膜を有する前記コア/シェル構造を有している場合であっても、上記効果と同様の効果を奏することが可能である。
実施例1において、生成した銅微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真である。 実施例1において、生成した銅微粒子のエネルギー分散型X線分光(EDX)の測定チャートである。 実施例14において、生成した銅-スズ合金微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真である。 実施例14において生成した銅-スズ合金微粒子のエネルギー分散型X線分光(EDX)の測定チャートである。
以下に本発明の〔1〕微粒子(P)の製造方法(第2の態様)、〔2〕微粒子(P)(第1の態様)、及び〔3〕微粒子分散溶液(第3の態様)について説明する。
〔1〕微粒子(P)の製造方法(第2の態様)
本発明の第の2の態様の「微粒子(P)の製造方法」は、少なくとも、金属元素(M)のイオン、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)、及び炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)が溶解している還元反応水溶液において、金属元素(M)のイオンの電解還元反応により、一次粒子の粒子径が1〜300nmの金属元素(M)が第4級アンモニウム化合物(A)とラクタム系化合物(L)で被覆された、微粒子(P)を析出させることを特徴とする。以下に微粒子(P)の製造方法について説明する。
(1)還元反応水溶液の成分
上記還元反応水溶液の成分には、少なくとも金属元素(M)のイオン、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)、及び炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)が含まれる。尚、該還元反応水溶液は、水溶液にメタノール、エタノール等の親水性化合物を添加した混合水溶液として使用することも可能であるが、水溶液が好ましい。
上記還元反応水溶液には任意の成分として、金属微粒子が生成する際にデンドライト状に凝集するのを更に抑制することが可能となるアルカリ金属イオンを添加することもできる。
(イ)金属元素(M)のイオン
還元反応水溶液中に存在する金属元素(M)のイオン(以下、金属イオンということがある)は、電解還元により還元されて、後述する、金属微粒子を生成する。金属イオンは、銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。上記銅、亜鉛、スズ、及びニッケルは電解法で形成可能な元素であり、また本発明における微粒子の形成性にも優れている。その他の金属イオンとして、微粒子の形成が可能なパラジウム、コバルト、クロム、銅、カドミウム、インジウム等を挙げることができる。
金属イオンは、イオン性化合物を使用することができる。
使用可能なイオン性化合物として、酢酸塩、硝酸塩、ハロゲン化塩、シアン化塩、ピロリン酸塩、硫酸塩等が挙げられるが,酢酸塩の使用が好ましい。還元反応水溶液中の金属イオン濃度は、0.01〜4.0モル/リットルであることが好ましい。金属イオン濃度は、金属微粒子の生成量が低減して反応相からの金属微粒子の収率が低下するのを抑制する点から0.01モル/リットル以上が好ましく、一方、生成される粒子間での粗大な凝集を抑制する点から4.0モル/リットル以下が好ましい。より好ましい金属イオン濃度は、0.05〜0.5モル/リットルである。
(ロ)ラクタム系化合物(L)
ラクタム系化合物(L)は、炭素原子数4〜12のラクタム系化合物である。
ラクタム系化合物は、一般的にカルボキシル基とアミノ基が脱水縮合して環を成している化合物の総称であり、環の一部に−CO−NR−(Rは水素でもよい)結合を有しており、本発明で使用するラクタム系化合物(L)は、炭素原子数4〜12の低分子化合物である。炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)は、還元反応水溶液で金属イオンの電解還元反応を行う際に、金属イオンが還元されて金属元素(M)の微粒子結晶核が顆粒状に生成するのを助長し、更に析出してくる金属元素(M)の微粒子(以下、金属微粒子ということがある)を被覆して分散性を向上させ、該顆粒状の結晶粒子がデンドライト状に成長するのを抑制する効果を発揮する。
この場合のラクタム系化合物(L)による「金属微粒子の被覆」とは、金属微粒子の全表面がラクタム系化合物(L)で覆われていなくとも、その一部が覆われている場合も含まれる。金属微粒子の一部がラクタム系化合物(L)で覆われている場合でも、上記分散性の効果と、該顆粒状の結晶粒子がデンドライト状に成長するのを抑制する効果は顕著に発揮される。金属微粒子の「被覆」は、当該技術分野において、「覆われた」、「囲まれた」、「保護された」等の記載表現が使用されることもある。尚、第4級アンモニウム化合物(A)による「金属微粒子の被覆」も同様に、金属微粒子の全表面が第4級アンモニウム化合物(A)で覆われていなくとも、その一部が覆われている場合も含まれる。
ラクタム系化合物(L)が析出する金属微粒子の分散性を向上させるメカニズムは完全に解明されているものではないが、例えばラクタム系化合物(L)に存在する官能基の非共有電子対を有する原子部分が金属微粒子の表面に吸着して、分子層を形成し、互いに金属微粒子同士の接近をさせない、斥力が発生していることが予想される。
このような効果を発揮する、炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)として、五員環構造を有する、2−ピロリドン、アルキル−2−ピロリドン、及びヒドロキシアルキル−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上を挙げることができる。前記アルキル−2−ピロリドンの具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−n−プロピル−2−ピロリドン、N−n−ブチル−2−ピロリドン、N−iso−ブチル−2−ピロリドン、N−n−オクチル−2−ピロリドン、3−メチル−2−ピロリドン、4−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−3−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−4−メチル−2−ピロリドン等を挙げることができる。
また、前記ヒドロキシアルキル−2−ピロリドンの具体例としては、N−(ヒドロキシメチル)−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、N−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ピロリドン等を挙げることができる。
金属イオンを還元する際に、有機添加剤として、高分子有機化合物であるポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等の分子サイズの大きい高分子型分散剤を使用するよりも、分子サイズの小さい上記炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)を使用すると、分子間の立体障害の影響が少ないために高表面積の反応場でも拡散し易く、更に分子量が小さいため1金属微粒子あたりに作用する−NHCO−基の数を増加させることにより、下記(i)〜(iv)の効果を発揮させることが可能になる。
(i)生成する金属微粒子の微細化と分散性の向上効果
(ii)生成する金属微粒子がデンドライト状に凝集するのを抑制する効果
(iii)有機添加剤として高分子有機化合物を使用する場合と対比して、金属微粒子表面の被覆量が増加することによる金属微粒子が過度に酸化されるのを抑制する効果
(iv)金属微粒子表面を被覆するラクタム系化合物(L)の熱分解性の向上による金属微粒子間焼結促進効果
(ハ)第4級アンモニウム化合物(A)
第4級アンモニウム化合物(A)は、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム系化合物である。
第4級アンモニウム系化合物は、一般式、[R、R、R、R][OH]で表すことができる。式中、R、R、R、Rは、それぞれ好ましくは炭素原子数1〜8程度のアルキル基で、同一又は異なっていてもよく、かつこれらのアルキル基の炭素原子数の合計は4〜25である。
第4級アンモニウム化合物(A)は、ラクタム系化合物(L)と併存させることにより、金属イオンが還元されて析出する際に、金属イオン(陽イオン)が金属微粒子に接近するのを第4級アンモニウムイオン(陽イオン)が妨げることで、該顆粒状の結晶粒子がデンドライト状に成長するのを一層抑制する効果を発揮する。また、析出する金属微粒子がラクタム系化合物(L)及び第4級アンモニウム化合物(A)により被覆されて、金属微粒子の耐酸化性の向上や特有の焼結促進特性を示す効果も発揮する。
このようなラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の同時添加による相乗効果について、メカニズムは明らかではないが、電解反応場において析出金属へ特異的な配位作用を示す官能基をもつ有機添加剤同士が、分子間で相互に絡むような配位状態となるためと推定される。
上記効果を発揮する、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)として、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルエチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルジプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、モノメチルトリエチルアンモニウムハイドロオキサイド、モノメチルトリプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。これらの第4級アンモニウム化合物(A)は、単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
(ニ)アルカリ金属イオン
上記還元反応水溶液に、更にアルカリ金属イオンを溶解させると、金属イオンが還元されて析出する際に金属微粒子結晶の分散性を向上させて、該顆粒状の結晶粒子がデンドライト状に成長するのを一層抑制する効果を発揮する。このような効果は、還元反応水溶液にアルカリ金属イオンが溶解していると、還元反応により金属微粒子の結晶が結晶核から成長する際に、金属イオン(陽イオン)が金属微粒子に接近するのをアルカリ金属イオン(陽イオン)が妨げ、金属微粒子がデンドライト状に凝集するのを抑制するためと推定される。
前記アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンから選択される1種又は2種以上であることが望ましい。該アルカリ金属イオンの供給源として、フッ化物、塩化物、臭化物、沃化物、酢酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、ピロリン酸塩、及びシアン化物から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。
前記還元反応水溶液におけるアルカリ金属イオン濃度は0.001〜0.2(モル/リットル)が望ましい。アルカリ金属イオンの濃度が前記0.001(モル/リットル)以上でアルカリ金属イオンの添加効果が発揮されるようになり、一方、0.2(モル/リットル)以下で析出した微粒子(P)からアルカリ金属イオンの除去が容易になる。より好ましいアルカリ金属イオンの濃度は、0.005〜0.2(モル/リットル)である。
(ホ)その他の添加剤
還元反応水溶液のpH調整等は特に不要である。光沢剤(アミン誘導体とエピハロヒドリンとのモル比1:1の反応生成物等)や光沢補助剤(パラホルムアルデヒド等のアルデヒド誘導体)を添加すると析出物が膜状となり、粒子状物の析出を抑制するので、これらの添加剤の添加は避けることが望ましい。
(2)微粒子(P)の製造方法
第2の態様の「微粒子(P)の製造方法」は、上記の通り、少なくとも、金属元素(M)のイオン、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)、及び炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)が溶解している還元反応水溶液において、金属元素(M)のイオンの電解還元反応により、一次粒子の粒子径が1〜300nmの金属元素(M)が第4級アンモニウム化合物(A)とラクタム系化合物(L)で被覆された、微粒子(P)を析出させることを特徴とする。
該一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定された値である。微粒子(P)における、金属元素(M)の「粒子径が1〜300nmの範囲」とは、該電解還元反応により得られる微粒子数の90%(該「微粒子数の90%」とは、電子顕微鏡で観察可能である、最も小さい側の粒子径の微粒子数の5%と、最も大きい側の粒子径の微粒子数の5%を除いたものをいう)以上が該粒子径の範囲に含まれていればよいことを意味する。
還元反応で析出する金属元素(M)の一次粒子の平均粒子径の制御は、特に金属元素(M)のイオン種、第4級アンモニウム化合物(A)と炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)の添加量、及び金属イオンを還元反応させる際の、かく拌速度、温度、時間、pH等の調整により行うことが可能である。
(イ)還元反応水溶液の組成
還元反応水溶液中の金属イオン濃度は、前記の通り、0.01〜4.0モル/リットルであることが好ましい。
還元反応水溶液中のラクタム系化合物(L)と、第4級アンモニウム化合物(A)の含有量は、(a)還元反応で得られる微粒子(P)における、ラクタム系化合物(L)及び第4級アンモニウム化合物(A)の割合が質量百分率([(L+A)/P]×100)で好ましくは0.1〜20質量%であること、(b)還元反応で得られる微粒子(P)における、第4級アンモニウム化合物(A)とラクタム系化合物(L)の質量比(A/L)が好ましくは0.05〜19であること、(c)第4級アンモニウム化合物(A)は還元反応で得られた微粒子に更に追加被覆可能であること等を考慮して決めることが好ましい。
還元反応により析出する微粒子(P)における、ラクタム系化合物(L)及び第4級アンモニウム化合物(A)の割合が質量百分率([(L+A)/P]×100)0.1質量%以上で、これらの有機添加剤による金属微粒子への同時被覆効果が発揮されるようになり、一方、該質量百分率が20質量%を超えても生成する微粒子のデンドライト状の凝集抑制、上記耐酸化性等の更なる向上は期待できない。
また、還元反応により生成する微粒子(P)における、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)が0.05以上で第4級アンモニウム化合物(A)に基づく被覆効果が発揮されるようになり、一方、該質量比(A/L)が19以下でラクタム系化合物(L)に基づく被覆効果が発揮されるようになる。実用的には、還元反応水溶液中のラクタム系化合物(L)の含有量は1〜200(g/リットル)、好ましくは2〜80(g/リットル)程度とし、該ラクタム系化合物(L)の含有量を基準にして、第4級アンモニウム化合物(A)の含有量は0.05〜5(g/リットル)程度とするのが望ましい。
(ロ)電解還元反応
前記電解還元反応は、還元反応水溶液中に設けられたアノードとカソード間に電位を加えることにより金属イオンを還元して、カソード表面付近に金属微粒子を析出させる還元反応である。
(i)電極
還元反応水溶液中で金属イオンを電解還元する際に使用されるカソード(陰極)材料としては、白金、カーボン、ステンレス鋼等の棒状、板状電極、ドット電極のようなナノ構造電極が例示でき、アノード(陽極)材料としては、銅、カーボン、白金、チタン、イリジウム等の棒状・板状・網状の形状電極が例示できる。
(ii)電流密度、電解温度、電解時間
還元反応水溶液中で金属イオンを電解還元する際の電流密度は、0.01〜150A/dmが好ましく、1〜50A/dm程度がより好ましく、直流のほかパルス電流とすることもできる。還元温度は、10〜70℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。還元温度は、高温になるほど還元反応速度は速くなり、低温になるほど析出する粒子の粒子径は小さくなるとともに、酸化による粒子の腐食速度も小さくなる傾向がある。還元反応水溶液中の溶存酸素濃度は特に制限はないが、溶存酸素濃度が低いほど粒子の酸化による腐食速度は小さくなる傾向がある。電解還元時間は、1〜60分程度が好ましく、3〜10分程度がより好ましい。
(ハ)生成した金属微粒子の回収と洗浄
還元反応水溶液中で生成した金属微粒子は、還元反応水溶液中に長い時間保持されると、該水溶液中に溶解している酸素により過度に酸化を受けて、前記X線回折ピーク強度比(H/[H+H])が0.75を超える金属酸化物を形成するおそれがある。一方、エタノール等のアルコール溶媒中では、金属微粒子は比較的酸化を受けづらく、安定して存在するので、電解還元槽中の金属微粒子スラリーはろ過、遠心分離等の操作により、微粒子(P)を回収して、炭素原子数1〜4の低級アルコール等を洗浄液として、還元反応水溶液から同伴されてきた不純物を除去するために、洗浄されることが望ましい。
該洗浄操作の具体例としては、回収した微粒子(P)にエタノールを加えて撹拌洗浄して遠心分離機で微粒子(P)を回収するエタノール洗浄操作を1度又は2度以上行い、次にエタノール等のアルコールを添加して撹拌洗浄後、遠心分離機で微粒子(P)を回収する洗浄操作を1度又は2度以上行い、その後、得られた微粒子(P)を回収する方法が挙げられる。
(ニ)微粒子(P)の表面酸化処理
表面層が後述するX線回折ピーク強度比となるように、酸化された金属微粒子とすることで、該酸化された金属微粒子により発揮される触媒作用により、焼結を焼成初期から促進させて焼結構造の緻密化をさらに向上することもできる。表面酸化処理された微粒子(P)は、微粒子の表面層が金属元素(M)の酸化物からなり、X線源としてCuKαを用いたX線回折において、金属元素(M)の最大強度であるメインピークの2θでのピーク高さをH、金属元素(M)の酸化物の最大強度であるメインピークの2θでのピーク高さをHとしたときのX線回折ピーク強度比(H/[H+H])が0.75以下の、コア部が金属であり、シェル部の一部又は全体が金属酸化物であるコア/シェル構造を有する。
前記X線回折ピーク強度比が0.09未満であると上記触媒作用による焼結性の促進が期待できず、一方、0.75を超えると酸化物層が厚くなり微粒子間の焼結性が低下するおそれがある。X線源としてCuKαを用いたX線回折によると、上記金属元素(M)が、銅の場合は2θ=43度付近に存在するCu(111)面のピーク高さをH、2θ=36度付近に存在するCuO(111)面のピーク高さをH、亜鉛の場合は2θ=43度付近に存在するZn(101)面のピーク高さをH、2θ=34.5度付近に存在するZnO(002)面のピーク高さをH、スズの場合は2θ=32度付近に存在するSn(101)面のピーク高さをH、2θ=30度付近に存在するSnO(101)面のピーク高さをH、ニッケルの場合は2θ=44.5度付近に存在するNi(111)面のピーク高さをH、2θ=43.3度付近に存在するNiO(200)面のピーク高さをHとしたときにX線回折ピーク強度比(H/[H+H])から求められる。
前記酸化処理を行う際の酸化剤又は酸化源は特に限定されるものではないが、酸素、酸素プラズマ、オゾン、酢酸、ギ酸等から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
表面酸化処理の具体例としては、例えば、酸性もしくは中性の水溶液中で酸素ガスを含むガスをバブリングさせながら撹拌することにより行うことができる。その他、過酸化水素や硝酸などの酸化剤を反応水溶液中へ添加することにより表面酸化処理を行うことができる。この場合、前記表面層が金属酸化物からなる微粒子の一次粒子の粒子径が300nm以下であることが好ましい。金属微粒子の触媒作用により、有機溶媒(S)から水素ガスなどの還元性物質をを発生させて焼結を促進する還元作用が発揮されるが、上記粒子径が300nmを超えると触媒作用が大きく低下するため、上記粒子径を300nm以下とすることが好ましい。該粒子径を300nm以下に制御する手段は、前述の他に表面酸化処理条件によって可能である。微粒子(P)の被覆分子としてカルボン酸化合物が存在していてもよい。特に微粒子を製造するか還元反応水溶液組成や酸化処理でカルボン酸化合物を含む溶液を用いたときにカルボン酸化合物で被覆することができる。
(ホ)微粒子(P)の第四級アンモニウム化合物(A)の追加被覆
前記還元反応により生成した微粒子(P)を、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)が含まれる溶媒に添加して、第4級アンモニウム化合物(A)の追加被覆を行うことにより、ラクタム系化合物(L)とともに併存される第4級アンモニウム化合物(A)の被覆効果を向上することが可能である。
一方、追加した第4級アンモニウム化合物(A)の被覆量が過剰であるとラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比[A/L]が適切な範囲を超えてしまい、かえって焼結特性が低下してしまうおそれがある。また、電解反応場における特異的な配位作用ではないので、金属微粒子に対して優先配位している官能基の状態にも差異がある可能性がある。上記第4級アンモニウム化合物(A)とラクタム系化合物(L)の好ましい質量率[A/L]は、上記の通り0.05〜19である。
上記第四級アンモニウム化合物(A)の追加被覆効果として、第4級アンモニウム化合物(A)とラクタム系化合物(L)が同時に添加された還元反応水溶液から生成された金属微粒子に対して、前記の通り、焼結性、微粒子(P)表面の過度な酸化を抑制する耐酸化性等の向上が挙げられる。
第四級アンモニウム化合物(A)の追加被覆処理は、例えば、水もしくはアルコールを溶媒とした第四級アンモニウム化合物溶液中へ添加して、撹拌することにより得ることができる。
〔2〕微粒子(P)(第1の態様)
本発明の第1の態様の「微粒子(P)」は、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)と炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)とで被覆された、一次粒子の粒子径が1〜300nmの金属元素(M)からなることを特徴とする。
(1)微粒子(P)
上記電解還元反応で得られる微粒子(P)の不純物の除去は溶媒を用いた洗浄により容易に行いうるので、比較的容易な操作で高純度の金属微粒子を得ることができる。上記した電解還元反応により得られる金属微粒子は、製造と実用的な面から粒子径が1〜300nmの範囲にあり、その形状はデンドライト状に凝集していない顆粒状の微粒子である。ここで、一次粒子の粒子径とは、二次粒子を構成する個々の金属等の微粒子の一次粒子の直径の意味である。該一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定された値である。本発明の第1の態様において、金属イオンの電解還元反応により得られる微粒子(P)の「粒子径が1〜300nmの範囲」とは、該電解還元反応により得られる微粒子数の90%(該「微粒子数の90%」とは、電子顕微鏡で観察可能である、最も小さい側の粒子径の微粒子数の5%と、最も大きい側の粒子径の微粒子数の5%を除いたものをいう)以上が該粒子径の範囲に含まれていればよいことを意味する。
前記分散溶液中の微粒子(P)の二次粒子の平均粒子径は、動的光散乱型粒度分布測定装置を用いた測定値である。動的光散乱型粒度分布測定装置としては、例えば、シスメックス(株)製、型式:ゼータサイザーナノシリーズ Nano-ZSを用いることができる。
微粒子(P)を構成する金属元素(M)としては、銅、亜鉛、スズ、及びニッケルを挙げることができ、また微粒子の形成が可能なパラジウム、コバルト、クロム、銅、カドミウム、インジウム等を挙げることができる。また、これらの金属元素(M)は1種、又は2種以上を使用できることは第2の態様に記載したと同様である。
微粒子(P)を構成する金属元素(M)からなる微粒子の表面層が金属元素(M)の酸化物からなり、X線源としてCuKαを用いたX線回折において、金属元素(M)の最大強度であるメインピークの2θでのピーク高さをH、金属元素(M)の酸化物の最大強度であるメインピークの2θでのピーク高さをHとしたときのX線回折ピーク強度比(H/[H+H])が0.75以下の、コア部が金属であり、シェル部の一部又は全体が金属酸化物であるコア/シェル構造の微粒子(P)を用いると、触媒的な焼結を焼成初期から充分に発揮させて、焼結構造の緻密化をさらに促進させることができることは第2の態様に記載したと同様である。
(2)ラクタム系化合物(L)、第4級アンモニウム化合物(A)
ラクタム系化合物(L)は、前記第1の態様に記載したと同様に、炭素原子数4〜12のラクタム系化合物である。ラクタム系化合物(L)は、還元反応水溶液で金属イオンの電解還元反応を行う際に、金属イオンが還元されて金属微粒子結晶核が顆粒状に生成するのを助長し、更に析出してくる金属微粒子結晶の分散性を向上させて、該顆粒状の結晶粒子がデンドライト状に成長するのを抑制する効果を発揮する。
前記ラクタム系化合物(L)が五員環構造を有する、2−ピロリドン、アルキル−2−ピロリドン、及びヒドロキシアルキル−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることが好ましく、前記アルキル−2−ピロリドン、及びヒドロキシアルキル−2−ピロリドンとして、第2の態様に記載したものが挙げられる。
第4級アンモニウム化合物(A)は、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物であり、好ましい第4級アンモニウム化合物として、第2の態様に記載したものが挙げられる。第4級アンモニウム化合物(A)は、ラクタム系化合物(L)と併存させることにより、金属イオンが還元されて析出する際に、金属イオン(陽イオン)が金属微粒子に接近するのを第4級アンモニウムイオン(陽イオン)が妨げることで、該顆粒状の結晶粒子がデンドライト状に成長するのを一層抑制する効果を発揮する。また、析出する金属微粒子がラクタム系化合物(L)及び第4級アンモニウム化合物(A)により被覆されて、金属微粒子の耐酸化性の向上や特有の焼結促進特性を示す効果も発揮する。
微粒子(P)における、ラクタム系化合物(L)及び第4級アンモニウム化合物(A)の割合が質量百分率([(L+A)/P]×100)で0.1〜20質量%が好ましく、第4級アンモニウム化合物(A)とラクタム系化合物(L)の質量比(A/L)が0.05〜19が好ましいことは第2の態様に記載したと同様である。
〔3〕微粒子分散溶液(第3の態様)
本発明の第3の態様の「微粒子分散溶液」は、前記第1の態様に記載の微粒子(P)が、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物(S1)を含有している有機溶媒(S)に分散していることを特徴とする。
以下、(1)微粒子(P)、(2)分散溶媒(S)、及び(3)微粒子分散溶液について説明する。
(1)微粒子(P)
(イ)微粒子(P)と、その形状等
微粒子(P)を構成する金属微粒子は、一次粒子の粒子径が1〜300nmの金属元素(M)である。微粒子(P)は、製造と実用的な面から金属元素(M)の粒子径が1〜300nmの範囲にあり、その形状はデンドライト状に凝集していない顆粒状の微粒子であることは第1の態様に記載した通りである。
ここで、一次粒子の粒子径とは、二次粒子を構成する個々の金属微粒子の一次粒子の直径の意味である。該一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定された値である。本発明の第3の態様において、金属イオンの電解還元反応により得られる微粒子(P)における、金属元素(M)の「一次粒子の粒子径が1〜300nmの範囲」とは、該電解還元反応により得られる金属微粒子数の90%(該「微粒子数の90%」とは、電子顕微鏡で観察可能である、最も小さい側の粒子径の微粒子数の5%と、最も大きい側の粒子径の微粒子数の5%を除いたものをいう)以上が該粒子径の範囲に含まれていればよいことを意味する。微粒子(P)を構成する金属元素(M)としては、銅、亜鉛、スズ、及びニッケルを挙げることができ、また微粒子の形成が可能なパラジウム、コバルト、クロム、銅、カドミウム、インジウム等を挙げることができることは第1の態様に記載した通りである。
(ロ)ラクタム系化合物(L)、第四級アンモニウム化合物(A)
ラクタム系化合物(L)は、前記第1の態様に記載したと同様に、炭素原子数4〜12のラクタム系化合物である。このような効果を発揮する、炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)は、前記第1の態様の「炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)」に記載した通りである。
第4級アンモニウム化合物(A)は、前記第1の態様に記載したと同様に、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物であり、好ましい第4級アンモニウム化合物として、第2の態様に記載したものが挙げられる。
前記微粒子(P)における、ラクタム系化合物(L)及び第4級アンモニウム化合物(A)の割合が質量百分率([(L+A)/P]×100)で0.1〜20質量%が好ましく、第4級アンモニウム化合物(A)とラクタム系化合物(L)の質量比(A/L)が0.05〜19が好ましいことは第2の態様に記載したと同様である。
(2)分散溶媒(S)
有機溶媒(S)は、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物(S1)を含有している有機溶媒である。有機溶媒(S)の常圧における沸点が140℃以上であることが好ましく、一方、350℃以下であることが好ましい。前記の通り、微粒子(P)の触媒活性が著しく高いので、焼結の際に有機溶媒(S)の沸点よりも50〜40℃低い温度範囲で還元性ガス雰囲気を形成して焼結反応が開始することが好ましいが、100℃以上で金属微粒子の焼結が進行しやすいため、有機溶媒(S)の沸点は140℃以上とするのが好ましい。また、沸点が350℃を超える有機溶媒を用いると揮発しづらく焼結後も残留する可能性があるので有機溶媒(S)の沸点は350℃以下とすることが好ましい。
前記少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物(S1)は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2ジメチル−1−プロパノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、及び1,2,4−ブタントリオールの中から選択される1種又は2種以上であることが望ましい。
また、有機化合物(S1)として、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシト−ル、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセルアルデヒド、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコ−ス、フルクト−ス、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクト−ス、キシロ−ス、アラビノ−ス、イソマルト−ス、グルコヘプト−ス、ヘプト−ス、マルトトリオース、ラクツロース、及びトレハロース、等の糖類も使用することが可能であるが、これらの中で融点が高いものについては他の有機溶媒と混合して使用することができる。
有機化合物(S1)は、優れた分散性を有しており、一般に時間の経過により分散溶液中の微粒子同士は接合する傾向にあるが、有機化合物(S1)を混合溶媒中に存在させるとこのような接合をより効果的に抑制して、分散液の一層の長期安定化を図ることが可能になる。また有機化合物(S1)を有機溶媒(S)中に存在させると、その微粒子分散液を基板上に塗布して焼結した際、その焼結膜の均一性が向上し、導電性の高い焼成膜を得ることが出来る。有機化合物(S1)は、ヒドロキシル基の結合している炭素原子に1又は2の水素原子が結合している有機化合物であることが好ましい。炭素原子に水素原子が結合した第一級アルコール又は第二級アルコールでは酸化反応によって還元性の水素ガスを放出しやすいからである。
有機溶媒(S)として、有機化合物(S1)以外に使用できる溶媒は特に限定されるものではないが、以下に記載する有機化合物(S2)、有機化合物(S3)等が挙げられる。
有機化合物(S2)は、アミド基(−CON=)を有する化合物であり、特に比誘電率が高いものが好ましい。アミド基を有する有機化合物(S2)として、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルプロパンアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトアミド等が挙げられるが、これらを混合して使用することもできる。これらの中でも比誘電率が100以上である、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、アセトアミドなどが好適に使用できる。尚、N−メチルアセトアミド(融点:26〜28℃)のように常温で固体の場合には他の溶媒と混合して作業温度で液状として使用することができる。有機化合物(S2)は、混合溶媒中で微粒子の分散性と保存安定性を向上する作用を有し、また本発明の微粒子分散溶液を基板上に塗布後焼成して得られる焼成膜の導電性を向上する作用をも有する。
有機化合物(S3)として、一般式R11−O−R12(R11、R12は、それぞれ独立にアルキル基で、炭素原子数は1〜4である。)で表されるエーテル系化合物(S31)、一般式R14−C(=O)−R15(R14、R15は、それぞれ独立にアルキル基で、炭素原子数は1〜2である。)で表されるケトン系化合物(S32)、及び一般式R16−(N−R17)−R18(R16、R17、R18は、それぞれ独立にアルキル基、又は水素原子で、炭素原子数は0〜2である。)で表されるアミン系化合物(S33)、の中から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
前記エーテル系化合物(S31)としては、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、t−アミルメチルエーテル、ジビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アリルエーテル等が例示出来る。前記ケトン系化合物(S32)としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が例示できる。また、前記アミン系化合物(S33)としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン等が例示できる。
有機化合物(S3)は、混合溶媒中で溶媒分子間の相互作用を低下させ、分散粒子の溶媒に対する親和性を向上する作用を有していると考えられる。このような効果は一般に沸点の低い溶媒において期待され、特に常温における沸点が100℃以下の有機化合物は、有効な溶媒分子間の相互作用を低減する効果が得られることから好ましい。有機化合物(S3)の中でも特にエーテル系化合物(S31)が、その溶媒分子間の相互作用を低減する効果が大きいことから好ましい。
(3)微粒子分散溶液
微粒子分散溶液中の微粒子(P)の割合は5〜85質量%が好ましい。微粒子(P)の割合が前記範囲の下限未満であると焼結後の膜厚が薄くなってクラックが発生しやすくなり、一方、前記範囲の上限を超えると有機溶媒(S)の還元作用が低下して焼結が不十分になる。分散溶媒(S)中に微粒子(P)を添加して、分散性を向上させるために、撹拌手段を採用することが望ましい。分散溶液の撹拌方法としては、公知の撹拌方法を採用することができるが、超音波照射方法を採用するのが好ましい。
上記超音波照射時間は、特に制限はなく任意に選択することが可能である。例えば、超音波照射時間を5〜60分間の間で任意に設定すると照射時間が長い方が平均二次凝集サイズは小さくなる傾向にある。更に超音波照射時間を長くすると分散性は一層向上する。
回収された微粒子(P)の二次粒子の平均粒子径は300nm以下であり、二次粒子の平均粒子径の下限値は粒子同士がある程度接触していた方が焼結反応が進行し易くなることから、40nm程度が好ましい。
前記分散溶液中の微粒子(P)の二次粒子の平均粒子径は、動的光散乱型粒度分布測定装置を用いた測定値である。動的光散乱型粒度分布測定装置としては、例えば、シスメックス(株)製、型式:ゼータサイザーナノシリーズ Nano-ZSを用いることができる。上記方法で製造された微粒子(P)は、分散溶媒に分散させて微粒子分散溶液として、電子材料用の導電性ペーストのような配線形成材料、プリント配線、半導体の内部配線、プリント配線板と電子部品との接続等に利用することができる。
以下に、上記微粒子(P)と、微粒子分散溶液を用いた〔4〕焼結導電体の製造方法、及び〔5〕導電接続部材の製造方法の例を記載する。
〔4〕焼結導電体の製造方法
前記第1の態様に記載の微粒子(P)を基板に配置し、水素、ギ酸、及びホルムアルデヒドから選択される還元ガス雰囲気中で、金属微粒子を被覆している「ラクタム系化合物(L)の沸点より50℃高い温度」以下の温度で加熱・焼結することにより、基板上に金属元素(M)からなる焼結導電体を形成することができる。例えば200℃程度の比較的低温でかつ分散剤を使用することなく、基板上に配置して焼成し、導電性を有する焼結導電体を形成することが可能である。
また、前記第3の態様に記載の微粒子分散溶液を基板に塗布し、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、「有機溶媒(S)の沸点よりも40℃低い温度」以下の温度で加熱・焼結することにより、基板上に金属元素(M)からなる焼結導電体を形成することができる。具体的には、百数十℃から200℃程度の比較的低温でかつ水素ガス等の還元剤を使用することなくスピンコータやインクジェット等により基板上に微粒子分散溶液を配置して焼成し、導電性を有する焼結導電体を形成することが可能であり、150℃以下での焼結温度でも焼結導電体を形成することが可能となる。
上記基板としては特に制限はなく使用目的等により、ガラス、ポリイミド等が使用できる。
〔5〕導電接続部材の製造方法
導電接続部材は、前記第3の態様に記載の微粒子分散溶液を電子部品における半導体素子又は回路基板の電極端子又は導電性基板の接合面に載せた後、該微粒子分散溶液上に更に接続する他方の電極端子又は導電性基板の接合面を配置し、「有機溶媒(S)の沸点よりも40℃低い温度」以下の温度で加熱・焼結して形成することができる。導電接続部材としては半導体素子間を接合するための導電性バンプ、半導体素子と導電性基板間を接合するための導電性ダイボンド部等が挙げられるがこれらに限定されない。
導電性バンプは、微粒子分散液を電子部品における半導体素子もしくは回路基板の電極端子の接合面に載せ(塗布、印刷等も含まれる)、該微粒子分散液上に更に接続する他方の電極端子の接合面を配置した後、加熱処理、又は加圧下に加熱処理により焼結して形成される。前記接続する他方の電極端子にはワイヤボンディングを行う場合の金ワイヤ等のワイヤも含まれる。尚、前記微粒子分散液上に更に接続する他方の電極端子の接合面を配置する際に位置合わせを行うことが望ましい。導電性ダイボンド部は、通常、微粒子分散液を電子部品における回路基板の接合面に載せ(塗布、印刷等も含まれる)、該微粒子分散液上に更に接続する他方の電極端子の接合面を配置した後、加熱処理、又は加圧下に加熱処理により焼結して形成される。
前記加圧下の加熱処理は、両電極端子間、又は電極端子と基板間の加圧により導電接続部材前躯体と両電極端子接合面、又は電極端子と導電性基板間との接合を確実にするか、又は導電接続部材前躯体に適切な変形を生じさせて電極端子接合面との確実な接合を行うことができるとともに、導電接続部材前躯体と電極端子接合面との接合面積が大きくなり、接合信頼性を一層向上することができる。また、半導体素子と導電接続部材前躯体間を加圧型ヒートツ−ル等を用いて加圧下で焼成すると、接合部での焼結性が向上してより良好な接合部が得られる。前記両電極端子間、又は電極端子と基板間の加圧は、0.5〜15MPaが好ましい。
本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下に本実施例、比較例における評価方法を記載する。
(1)金属元素の一次粒子径の測定方法
実施例1〜15、及び比較例1〜5における、「金属元素の一次粒子径の範囲」は、走査型電子顕微鏡(SEM(Scanning Electron Microscope))を使用した観察により、任意に80個の微粒子の一次粒子径を測定して、最も小さい側の粒子径の微粒子数の5%と、最も大きい側の粒子径の微粒子数の5%を除いた、残り90%の粒子の一次粒子径の測定値の範囲であり、「微粒子の平均一次粒子径」は該残り90%の粒子の一次粒子径の測定値の平均値である。観察用試料の調製は、エタノールに分散した微粒子をポーラスアルミナフィルター(Whatman社製、商品名:アノディスク)に通過させながら溶媒を乾燥除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。
(2)微粒子の平均二次粒子径の測定方法
動的光散乱型粒度分布測定装置(シスメックス社(Sysmex Corporation )製、型式:ゼータサイザーナノシリーズ(Zetasizer Nano Series) Nano-ZS)を用いて測定した値である。
(3)微粒子の平均アスペクト比の測定方法
微粒子の一次粒子径の測定方法と同様に、実施例1〜15、及び比較例1〜5においては走査型電子顕微鏡(SEM)を使用した観察により、任意に80個の微粒子の一次粒子径を測定して、最も小さい側の粒子径の微粒子数の5%と、最も大きい側の粒子径の微粒子数の5%を除いた、残り90%の粒子の一次粒子径のアスペクト比の平均値である。
(4)デンドライト状の析出物の有無
走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して1000倍の倍率で観察した際に、観察像中にミクロンサイズのデンドライト状析出物が1%以下(該百分率は、「[デンドライト状に凝縮した微粒子数/全微粒子数]×100(%)」から求められる割合である。)の場合にはデンドライト状の凝集は無とし、1%を超える場合にはデンドライト状の凝集は有とした。
(5)微粒子の金属組成の同定方法
走査型電子顕微鏡に付属のエネルギー分散型X線分光装置(SEM−EDX)を使用して、微粒子に対して金属組成の分析を実施した。また、X線回折測定装置((株)リガク製、型式:Geigerflex RAD-A)を用いて、X線源としてCuKαを用いたX線回折測定を行い、微粒子(P)の結晶構造分析も行った。
(6)微粒子の被覆分子構造の同定方法
顕微ラマン分光装置((株)東京インスツルメンツ製、型式:Nanofinder@30)とフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)製、型式:FT/IR−4100)を用いて、金属微粒子を被覆した化合物種を同定した。なお、顕微ラマン分光装置では必要に応じて、局在表面プラズモン共鳴によってラマン散乱強度を高めることが可能なナノサイズの凹凸構造体(Ag又はCu)に試料を塗布して解析した。
(7)微粒子における有機添加剤被覆量の測定方法
炭素・硫黄分析計((株)堀場製作所製、型式:EMIA−920V2)を用いて、有機添加剤で被覆された微粒子(P)における有機添加剤(L+A)の割合([有機添加剤(L+A)/微粒子(P)]×100(質量%))を求めた。
また、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)については、まず質量比が既知のラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)をアルコールに分散させた溶液を標準試料としてラマン分光測定し、ラマンスペクトルにおけるピロリドン基(CNO)に帰属する1650cm-1付近のピーク強度と四級アンモニウム基(NR)に帰属する760cm-1付近のピーク強度の比率と質量比との検量線を作成した。この検量線に基づいて、微粒子(P)をアルコールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルのピロリドン基(CNO)と四級アンモニウム基(NR)のピーク強度比からラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)を算出した。
(8)X線回折ピーク強度比
酸化処理した微粒子(P)に対しては、粒子X線回折測定装置((株)リガク製、X線回折測定装置、型式:Geigerflex RAD-A)を用いて、X線源としてCuKαを用いたX線回折測定を行い、金属元素(M)の最大強度であるメインピークの2θでのピーク高さをH、金属元素(M)の酸化物の最大強度であるメインピークの2θでのピーク高さをHとしたときのX線回折ピーク強度比(H/[H+H])を求めた。
本願の実施例においては、上記金属元素(M)が、銅の場合は2θ=43度付近に存在するCu(111)面のピーク高さをH、2θ=36度付近に存在するCuO(111)面のピーク高さをH、亜鉛の場合は2θ=43度付近に存在するZn(101)面のピーク高さをH、2θ=34.5度付近に存在するZnO(002)面のピーク高さをH、スズの場合は2θ=32度付近に存在するSn(101)面のピーク高さをH、2θ=30度付近に存在するSnO(101)面のピーク高さをH、ニッケルの場合は2θ=44.5度付近に存在するNi(111)面のピーク高さをH、2θ=43.3度付近に存在するNiO(200)面のピーク高さをHとしているが、金属元素(M)と酸素の比率が上記と異なる金属酸化物が形成されている場合も同様にメインピークの強度比によって定義できる。
[実施例1]
銅イオンの電解還元反応により銅微粒子を生成させ、得られた銅微粒子の評価を行った。尚、還元反応水溶液に添加する有機添加剤として、ラクタム系化合物(L)であるN−ビニル−2−ピロリドン、第4級アンモニウム化合物(A)であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドをそれぞれ使用した。
(1)銅微粒子の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CHCOO)Cu・1HO)20g、有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(炭素原子数:6)30g、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(炭素原子数:4)の25%水溶液3.7gを使用して、還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([(L+A)/銅(M)]質量比:4.8)。還元反応水溶液のpHは約6.0であった。
次にこの溶液中でSUS304製棒陰極(カソード電極)と白金板陽極(アノード電極)との間を浴温15℃で、電流密度15A/dmで3分間通電して、カソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。
還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅微粒子を得た。
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、3〜60nmの範囲で、平均一次粒子径は10nmであった。また、該微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
実施例1において、生成した銅微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真を図1に示し、該銅微粒子のエネルギー分散型X線分光(EDX)の測定チャートを図2に示す。
(ロ)銅微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅微粒子の平均二次粒子径は、65nmであった。これらの銅微粒子の平均アスペクト比は1.2で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、有機添加剤であるN−ビニル−2−ピロリドンとテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆された銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/銅微粒子(P)]×100(質量%))は、5.5質量%であった。また、銅微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、1であった。
[実施例2]
銅イオンの電解還元反応により銅微粒子を生成させ、得られた銅微粒子の評価を行った。尚、還元反応水溶液に添加する有機添加剤として、ラクタム系化合物(L)であるN−ビニル−2−ピロリドン、第4級アンモニウム化合物(A)であるトリオクチルメチルアンモニウムクロリドをそれぞれ使用した。
(1)銅微粒子の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CHCOO)Cu・1HO)20g、有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(炭素原子数:6)60g、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド(炭素原子数:25)4.2gを使用して、還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([(L+A)/銅(M)]質量比:10)。還元反応水溶液のpHは約5.5であった。
次に該還元反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により銅イオンを電解還元してカソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅微粒子を得た。
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、1〜40nmの範囲で、平均一次粒子径は7nmであった。また、該微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
(ロ)銅微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅微粒子の平均二次粒子径は、50nmであった。これらの銅微粒子の平均アスペクト比は1.1で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、有機添加剤であるN−ビニル−2−ピロリドンとトリオクチルメチルアンモニウムクロリドで被覆された銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/銅微粒子(P)]×100(質量%))は、10質量%であった。また、銅微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、0.47であった。
[実施例3]
銅イオンの電解還元反応により銅微粒子を生成させ、得られた銅微粒子の評価を行った。尚、還元反応水溶液に添加する有機添加剤として、ラクタム系化合物(L)である2−ピロリドン、第4級アンモニウム化合物(A)であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドをそれぞれ使用した。
(1)銅微粒子の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CHCOO)Cu・1HO)20g、有機添加剤として2−ピロリドン(炭素原子数:4)5g、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(炭素原子数:4)の25%水溶液0.37gを使用して、還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([(L+A)/銅(M)]質量比:0.8)。還元反応水溶液のpHは約5.2であった。
次に該還元反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により銅イオンを電解還元してカソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅微粒子を得た。
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、35〜300nmの範囲で、平均一次粒子径は60nmであった。また、該微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
(ロ)銅微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅微粒子の平均二次粒子径は、210nmであった。これらの銅微粒子の平均アスペクト比は1.2で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、2−ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、有機添加剤である2−ピロリドンとテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆された銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/銅微粒子(P)]×100(質量%))は、0.1質量%であった。また、銅微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、0.05であった。
[実施例4]
銅イオンの電解還元反応により銅微粒子を生成させ、得られた銅微粒子の評価を行った。尚、還元反応水溶液に添加する有機添加剤として、ラクタム系化合物(L)である1-n-オクチル-2-ピロリドン、第4級アンモニウム化合物(A)であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドをそれぞれ使用した。
(1)銅微粒子の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CHCOO)Cu・1HO)20g、有機添加剤として1-n-オクチル-2-ピロリドン(炭素原子数:12)2g、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(炭素原子数:4)の25%水溶液1.84gを使用して、還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([(L+A)/銅(M)]質量比:0.38)。還元反応水溶液のpHは約5.4であった。
次に該還元反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により銅イオンを電解還元してカソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅微粒子を得た。
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、10〜130nmの範囲で、平均一次粒子径は20nmであった。また、該微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
(ロ)銅微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅微粒子の平均二次粒子径は、100nmであった。これらの銅微粒子の平均アスペクト比は1.2で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、1-n-オクチル-2-ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、有機添加剤である1-n-オクチル-2-ピロリドンとテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆された銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/銅微粒子(P)]×100(質量%))は、1.5質量%であった。また、銅微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、0.21であった。
[実施例5]
銅イオンの電解還元反応により銅微粒子を生成させ、得られた銅微粒子の評価を行った。尚、還元反応水溶液に添加する有機添加剤として、ラクタム系化合物(L)であるN-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、第4級アンモニウム化合物(A)であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドをそれぞれ使用した。
(1)銅微粒子の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CHCOO)Cu・1HO)20g、有機添加剤としてN-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン(炭素原子数:6)5g、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(炭素原子数:4)の25%水溶液1.84gを使用して、還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([(L+A)/M]質量比:0.85)。還元反応水溶液のpHは約5.4であった。
次に該還元反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により銅イオンを電解還元してカソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅微粒子を得た。
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、5〜65nmの範囲で、平均一次粒子径は15nmであった。また、該銅微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
(ロ)銅微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅微粒子の平均二次粒子径は、70nmであった。これらの銅微粒子の平均アスペクト比は1.2で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、有機添加剤であるN-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドンとテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆された銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/銅微粒子(P)]×100(質量%))は、2.3質量%であった。また、銅微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、0.1であった。
[実施例6]
銅イオンの電解還元反応により銅微粒子を生成させ、さらに表面酸化処理を行うことで得られた、表面層が亜酸化銅(CuO)からなる銅微粒子の評価を行った。
(1)銅微粒子の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CHCOO)Cu・1HO)20g、有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(炭素原子数:6)5g、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(炭素原子数:4)の25%水溶液0.37gをそれぞれ使用して、還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([(L+A)/M]質量比:0.8)。還元反応水溶液のpHは約5.3であった。
次に該還元反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により銅イオンを電解還元してカソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅微粒子を得た。
(2)銅微粒子の表面酸化処理
銅微粒子を酢酸(0.005モル/リットル)水溶液へ添加して、空気でバブリングして循環させることにより水溶液中の溶存酸素量を約8ppmになるように維持しながら、浴温10℃で10分間、撹拌状態を保持した。その後、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に微粒子を採取し、水洗して溶媒を乾燥除去することで、表面層が亜酸化銅(CuO)からなる銅微粒子を得た。
(3)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、30〜300nmの範囲で、平均一次粒子径は55nmであった。また、該銅微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。さらに、銅微粒子の一部をエタノールに分散させた銅微粒子分散溶液をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、2θ=43°付近に存在するCu(111)面のピーク高さをH1、2θ=36°付近に存在するCuO(111)面のピーク高さをHとしたときのX線回折ピーク強度比(H/[H+H])は、0.5であった。
(ロ)銅微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅微粒子の平均二次粒子径は、200nmであった。これらの銅微粒子の平均アスペクト比は1.3で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、有機添加剤であるN−ビニル−2−ピロリドンとテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆された銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/銅微粒子(P)]×100(質量%))は、0.5質量%であった。また、銅微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、0.05であった。
[実施例7]
銅イオンの電解還元反応により銅微粒子を生成させ、さらに第4級アンモニウム化合物の追加被覆を行うことで得られた、銅微粒子の評価を行った。
(1)銅微粒子の調製
銅イオンとしてピロリン酸銅(II)の3水和物(Cu・3HO)19.7g、有機添加剤としてN−メチル−2−ピロリドン(炭素原子数:5)80g、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(炭素原子数:4)の25%水溶液3.7g、アルカリ金属イオンとしてピロリン酸ナトリウムの10水和物(Na・10HO)113gをそれぞれ使用して、還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([(L+A)/銅(M)]:12.7)。該反応水溶液のpHは約10.5であった。
次に該還元反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により銅イオンを電解還元してカソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅微粒子を得た。
(2)第4級アンモニウム化合物の追加被覆
銅微粒子をテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(0.01モル/リットル)メタノール溶液へ添加して、浴温10℃で10分間、撹拌状態を保持した。その後、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に微粒子を採取し、水洗して溶媒を乾燥除去することで、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドが追加被覆された銅微粒子を得た。
(3)生成した銅微粒子の評価
(イ)銅微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、8〜80nmの範囲で、平均一次粒子径は25nmであった。また、該微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
(ロ)銅微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅微粒子の平均二次粒子径は、80nmであった。これらの銅微粒子の平均アスペクト比は1.2で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−メチル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、有機添加剤であるN−メチル−2−ピロリドンとテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆された銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/銅微粒子(P)]×100(質量%))は、12質量%であった。また、銅微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、5.6であった。
[実施例8]
銅イオンの電解還元反応により銅微粒子を生成させ、さらに第4級アンモニウム化合物の追加被覆を行うことで得られた、銅微粒子の評価を行った。
(1)銅微粒子の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CHCOO)Cu・1HO)20g、有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(炭素原子数:6)60g、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド(炭素原子数:25)4.2g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CHCOONa・3HO)1.36gを使用して還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([(L+A)/銅(M)]質量比:10)。還元反応水溶液のpHは約5.6であった。
次に該還元反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により銅イオンを電解還元してカソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅微粒子を得た。
(2)第4級アンモニウム化合物の追加被覆
銅微粒子をトリオクチルメチルアンモニウムクロリド(0.01モル/リットル)メタノール溶液へ添加して、浴温10℃で10分間、撹拌状態を保持した。その後、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に微粒子を採取し、水洗して溶媒を乾燥除去することで、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドが追加被覆された銅微粒子を得た。
(3)生成した銅微粒子の評価
(イ)微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した銅微粒子の一次粒子径は、1〜40nmの範囲で、平均一次粒子径は7nmであった。また、該微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。
(ロ)銅微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅微粒子の平均二次粒子径は、50nmであった。これらの銅微粒子の平均アスペクト比は1.1で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、有機添加剤であるN−ビニル−2−ピロリドンとトリオクチルメチルアンモニウムクロリドで被覆された銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/銅微粒子(P)]×100(質量%))は、20質量%であった。また、銅微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、19であった。
[実施例9]
銅イオンの電解還元反応により銅微粒子を生成させ、さらに表面酸化処理と第4級アンモニウム化合物の追加被覆を行うことで得られた、表面層が亜酸化銅(CuO)からなる銅微粒子の評価を行った。
(1)銅微粒子の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CHCOO)Cu・1HO)20g、有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(炭素原子数:6)60g、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(炭素原子数:4)の25%水溶液3.7g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CHCOONa・3HO)1.36gを使用して還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([(L+A)/銅(M)]質量比:9.6)。還元反応水溶液のpHは約5.8であった。
次に該還元反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により銅イオンを電解還元してカソード外表面付近に銅微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅微粒子を得た。
(2)銅微粒子の表面酸化処理
銅微粒子を酢酸(0.02モル/リットル)水溶液へ添加して、空気でバブリングして循環させることにより水溶液中の溶存酸素量を約4ppmになるように維持しながら、浴温10℃で10分間、撹拌状態を保持した。その後、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に微粒子を採取し、水洗して溶媒を乾燥除去することで、表面層が亜酸化銅(CuO)からなる銅微粒子を得た。
(3)第4級アンモニウム化合物の追加被覆
表面層が亜酸化銅(CuO)からなる銅微粒子をトリオクチルメチルアンモニウムクロリド(0.01モル/リットル)メタノール溶液へ添加して、浴温10℃で10分間、撹拌状態を保持した。その後、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に微粒子を採取し、水洗して溶媒を乾燥除去することで、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドが追加被覆された銅微粒子を得た。
(4)生成した銅微粒子の評価
(イ)微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した微粒子の一次粒子径は、5〜70nmの範囲で、平均一次粒子径は15nmであった。また、該微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅100質量%であった。さらに、銅微粒子の一部をエタノールに分散させた銅微粒子分散溶液をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、2θ=43°付近に存在するCu(111)面のピーク高さをH1、2θ=36°付近に存在するCuO(111)面のピーク高さをHとしたときのX線回折ピーク強度比(H/[H+H])は、0.75であった。
(ロ)銅微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅微粒子の平均二次粒子径は、75nmであった。これらの銅微粒子の平均アスペクト比は1.3で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、及びテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、有機添加剤であるN−ビニル−2−ピロリドンとトリオクチルメチルアンモニウムクロリド、及びテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆された銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/銅微粒子(P)]×100(質量%))は、15質量%であった。また、銅微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、11.5であった。
[実施例10]
亜鉛イオンの電解還元反応により亜鉛微粒子を生成させ、さらに表面酸化処理を行うことで得られた、表面層が酸化亜鉛(ZnO)からなる亜鉛微粒子の評価を行った。
(1)亜鉛微粒子の調製
亜鉛イオンとして酢酸亜鉛(II)の2水和物((CHCOO)Zn・2HO)22g、有機添加剤としてN−メチル−2−ピロリドン(炭素原子数:5)80g、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(炭素原子数:4)の25%水溶液0.37g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CHCOONa・3HO)1.36gを使用して、還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([(L+A)/亜鉛(M)]質量比:12.2)。還元反応水溶液のpHは約5.6であった。
次に該還元反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により亜鉛イオンを電解還元してカソード外表面付近に亜鉛微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの亜鉛微粒子を得た。
(2)亜鉛微粒子の表面酸化処理
亜鉛微粒子を純水へ添加して、空気でバブリングして循環させることにより水中の溶存酸素量を約8ppmになるように維持しながら、浴温10℃で10分間、撹拌状態を保持した。その後、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に微粒子を採取し、水洗して溶媒を乾燥除去することで、表面層が亜酸化亜鉛(ZnO)からなる亜鉛微粒子を得た。
(3)生成した亜鉛微粒子の評価
(イ)微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した微粒子の一次粒子径は、10〜200nmの範囲で、平均一次粒子径は65nmであった。また、該微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、亜鉛100質量%であった。さらに、亜鉛微粒子の一部をエタノールに分散させた銅微粒子分散溶液をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、2θ=43°付近に存在するZn(101)のピーク高さをH1、2θ=34.5度付近に存在するZnO(002)面のピーク高さをHとしたときのX線回折ピーク強度比(H/[H+H])は、0.55であった。
(ロ)亜鉛微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて亜鉛微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該亜鉛微粒子の平均二次粒子径は、200nmであった。これらの亜鉛微粒子の平均アスペクト比は1.3で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた亜鉛微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−メチル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた亜鉛微粒子の分析では、有機添加剤であるN−メチル−2−ピロリドンとテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆された亜鉛微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/亜鉛微粒子(P)]×100(質量%))は、2.1質量%であった。また、亜鉛微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、0.087であった。
[実施例11]
スズイオンの電解還元反応によりスズ微粒子を生成させ、さらに表面酸化処理を行うことで得られた、表面層が酸化スズ(SnO)からなるスズ微粒子の評価を行った。
(1)スズ微粒子の調製
スズイオンとして酢酸スズ(II)((CHCOO)Sn)25g、有機添加剤としてN−メチル−2−ピロリドン(炭素原子数:5)80g、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(炭素原子数:4)の25%水溶液0.37g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CHCOONa・3HO)1.36gを使用して、還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([(L+A)/スズ(M)]質量比:6.7)。還元反応水溶液のpHは約5.6であった。
次に該還元反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法によりスズイオンを電解還元してカソード外表面付近にスズ微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgのスズ微粒子を得た。
(2)スズ微粒子の表面酸化処理
スズ微粒子を純水へ添加して、空気でバブリングして循環させることにより水中の溶存酸素量を約8ppmになるように維持しながら、浴温10℃で10分間、撹拌状態を保持した。その後、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に微粒子を採取し、水洗して溶媒を乾燥除去することで、表面層が酸化スズ(SnO)からなるスズ微粒子を得た。
(3)生成したスズ微粒子の評価
(イ)微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した微粒子の一次粒子径は、10〜250nmの範囲で、平均一次粒子径は65nmであった。また、該微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、スズ100質量%であった。さらに、スズ微粒子の一部をエタノールに分散させたスズ微粒子分散溶液をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、2θ=32度付近に存在するSn(101)のピーク高さをH1、2θ=30度付近に存在するSnO(101)面のピーク高さをHとしたときのX線回折ピーク強度比(H/[H+H])は、0.6であった。
(ロ)スズ微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いてスズ微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該スズ微粒子の平均二次粒子径は、220nmであった。これらのスズ微粒子の平均アスペクト比は1.3で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られたスズ微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−メチル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いたスズ微粒子の分析では、有機添加剤であるN−メチル−2−ピロリドンとテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆されたスズ微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/スズ微粒子(P)]×100(質量%))は、1.8質量%であった。また、スズ微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、0.075であった。
[実施例12]
ニッケルイオンの電解還元反応によりスズ微粒子を生成させ、さらに表面酸化処理を行うことで得られた、表面層が酸化ニッケル(NiO)からなるスズ微粒子の評価を行った。
(1)スズ微粒子の調製
ニッケルイオンとして酢酸ニッケル(II)の4水和物((CHCOO)Ni・4HO)26g、有機添加剤としてN−メチル−2−ピロリドン(炭素原子数:5)80g、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(炭素原子数:4)の25%水溶液0.37g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CHCOONa・3HO)1.36gを使用して、還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([(L+A)/スズ(M)]質量比:13.6)。還元反応水溶液のpHは約5.6であった。
次に該還元反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法によりニッケルイオンを電解還元してカソード外表面付近にニッケル微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgのニッケル微粒子を得た。
(2)ニッケル微粒子の表面酸化処理
ニッケル微粒子を純水へ添加して、空気でバブリングして循環させることにより水中の溶存酸素量を約8ppmになるように維持しながら、浴温10℃で10分間、撹拌状態を保持した。その後、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に微粒子を採取し、水洗して溶媒を乾燥除去することで、表面層が酸化ニッケル(NiO)からなるニッケル微粒子を得た。
(3)生成したニッケル微粒子の評価
(イ)微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した微粒子の一次粒子径は、10〜300nmの範囲で、平均一次粒子径は70nmであった。また、該微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、ニッケル100質量%であった。さらに、ニッケル微粒子の一部をエタノールに分散させたニッケル微粒子分散溶液をガラス基板上に塗布後、真空乾燥させてX線回折による分析を行ったところ、2θ=44.5度付近に存在するNi(111)のピーク高さをH1、2θ=43.3度付近に存在するNiO(200)面のピーク高さをHとしたときのX線回折ピーク強度比(H/[H+H])は、0.6であった。
(ロ)ニッケル微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いてニッケル微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該ニッケル微粒子の平均二次粒子径は、270nmであった。これらのニッケル微粒子の平均アスペクト比は1.3で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られたニッケル微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−メチル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いたニッケル微粒子の分析では、有機添加剤であるN−メチル−2−ピロリドンとテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆されたニッケル微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/ニッケル微粒子(P)]×100(質量%))は、1.9質量%であった。また、ニッケル微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、0.064であった。
[実施例13]
銅イオンと亜鉛イオンの電解還元反応により銅-亜鉛合金微粒子を生成させ、得られた銅-亜鉛合金微粒子の評価を行った。
(1)銅-亜鉛合金微粒子の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CHCOO)Cu・1HO)20g、亜鉛イオンとして酢酸亜鉛(II)の2水和物((CHCOO)Zn・2HO)3.3g、有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(炭素原子数:6)30g、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(炭素原子数:4)の25%水溶液3.7g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CHCOONa・3HO)1.36gを使用して、還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([有機添加剤(L+A)/銅-亜鉛(M)]質量比:4.8)。還元反応水溶液のpHは約5.5であった。
次に該還元反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により電解還元してカソード外表面付近に銅-亜鉛合金微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅-亜鉛合金微粒子を得た。
(2)生成した銅-亜鉛合金微粒子の評価
(イ)微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した微粒子の一次粒子径は、3〜75nmの範囲で、平均一次粒子径は12nmであった。また、該微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅90.2質量%、亜鉛9.8質量%(以下、銅−9.8%亜鉛合金のように表示することがある。)であった。
(ロ)銅-亜鉛合金微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅-亜鉛合金微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅-亜鉛合金微粒子の平均二次粒子径は、80nmであった。これらの銅-亜鉛合金微粒子の平均アスペクト比は1.2で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅-亜鉛合金微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅-亜鉛合金微粒子の分析では、有機添加剤であるN−ビニル−2−ピロリドンとテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆された銅-亜鉛合金微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/銅-亜鉛合金微粒子(P)]×100(質量%))は、4.5質量%であった。また、銅-亜鉛合金微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、0.9であった。
[実施例14]
銅イオンとスズイオンの電解還元反応により銅-スズ合金微粒子を生成させ、得られた銅-スズ合金微粒子の評価を行った。
(1)銅-スズ合金微粒子の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CHCOO)Cu・1HO)20g、スズイオンとして酢酸スズ(II)((CHCOO)Sn)1.23g、有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(炭素原子数:6)30g、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(炭素原子数:4)の25%水溶液3.7g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CHCOONa・3HO)1.36gを使用して、還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([(L+A)/銅-スズ(M)]質量比:4.6)。還元反応水溶液のpHは約5.5であった。
次に該還元反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により電解還元してカソード外表面付近に銅-スズ合金微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅-スズ合金微粒子を得た。
(2)生成した銅-スズ合金微粒子の評価
(イ)微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、生成した微粒子の一次粒子径は、10〜150nmの範囲で、平均一次粒子径は35nmであった。また、該微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅90.5質量%、スズ9.5質量%(以下、銅−9.5%スズ合金のように表示することがある。)であった。
実施例14において生成した銅-スズ合金微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真を図3に示し、該銅-スズ合金微粒子のエネルギー分散型X線分光(EDX)の測定チャートを図4に示す。
(ロ)銅-スズ合金微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅-スズ合金微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅-スズ合金微粒子の平均二次粒子径は、140nmであった。これらの銅-スズ合金微粒子の平均アスペクト比は1.2で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅-スズ合金微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅-スズ合金微粒子の分析では、有機添加剤であるN−ビニル−2−ピロリドンとテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆された銅-スズ合金微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/銅-スズ合金微粒子(P)]×100(質量%))は、4.2質量%であった。また、銅-スズ合金微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、1.1であった。
[実施例15]
銅イオンとニッケルイオンの電解還元反応により銅-ニッケル合金微粒子を生成させ、得られた銅-ニッケル合金微粒子の評価を行った。
(1)銅-ニッケル合金微粒子の調製
銅イオンとして酢酸銅(II)の1水和物((CHCOO)Cu・1HO)20g、ニッケルイオンとして酢酸ニッケル(II)の4水和物((CHCOO)Ni・4HO)2.6g、有機添加剤としてN−ビニル−2−ピロリドン(炭素原子数:6)30g、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(炭素原子数:4)の25%水溶液3.7g、及びアルカリ金属イオンとして酢酸ナトリウムの3水和物(CHCOONa・3HO)1.36gを使用して、還元反応水溶液1L(リットル)を調製した([(L+A)/銅-ニッケル(M)]質量比:4.9)。還元反応水溶液のpHは約5.5であった。
次に該還元反応水溶液中で実施例1に記載したと同様の方法により電解還元してカソード外表面付近に銅-ニッケル合金微粒子を析出させた。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅-ニッケル合金微粒子を得た。
(2)生成した銅-ニッケル合金微粒子の評価
(イ)微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、微粒子の一次粒子径は、10〜200nmの範囲で、平均一次粒子径は40nmであった。また、微粒子に対してエネルギー分散型X線分析装置(EDX)による分析を行ったところ、金属組成は、銅89.8質量%、ニッケル10.2質量%(以下、銅−10.2%ニッケル合金のように表示することがある。)であった。
(ロ)銅-ニッケル合金微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅-ニッケル合金微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅-ニッケル合金微粒子の平均二次粒子径は、155nmであった。これらの銅-ニッケル合金微粒子の平均アスペクト比は1.2で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅-ニッケル合金微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅-ニッケル合金微粒子の分析では、有機添加剤であるN−ビニル−2−ピロリドンとテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆された銅-ニッケル合金微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L+A)/銅-ニッケル合金微粒子(P)]×100(質量%))は、4.3質量%であった。また、銅-ニッケル合金微粒子をメタノールに分散させた溶液から得られたラマンスペクトルから、ラクタム系化合物(L)と第4級アンモニウム化合物(A)の質量比(A/L)は、1.2であった。
[比較例1]
(1)銅微粒子の調製
還元反応水溶液中の有機添加剤としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの代わりに2−アミノエタノール(E)を使用し、その濃度を100g/L(1.63モル/リットル)とした以外は実施例1と同様に、還元反応水溶液を調製し、銅イオンを電解還元により還元して銅微粒子を得た。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅微粒子を得た。
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、微粒子の一次粒子径は、100〜500nmの範囲で、平均一次粒子径は150nmであった。また、結晶形状がデンドライト状に凝集した、1〜10μmの凝集体が混在していることが観察された。
(ロ)銅微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅微粒子の平均二次粒子径は、500nmであった。これらの銅微粒子の平均アスペクト比は1.7であった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、2−アミノエタノールに由来する第1級アミン基(NH 2R)に帰属するピークが検出された。しかし、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピークは検出されなかった。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(E)/銅微粒子(P)]×100(質量%))は、0.05質量%であった。
[比較例2]
(1)銅微粒子の調製
還元反応水溶液中の有機添加剤としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの代わりにN,N−ジメチルホルムアミド(E)を使用し、その濃度を100g/L(1.36モル/リットル)とした以外は実施例1と同様に、還元反応水溶液を調製し、銅イオンを電解還元により還元して銅微粒子を得た。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅微粒子を得た。
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、微粒子の一次粒子径は、55〜470nmの範囲で、平均一次粒子径は90nmであった。また、結晶形状がデンドライト状に凝集した、1〜10μmの凝集体が混在していることが観察された。
(ロ)銅微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅微粒子の平均二次粒子径は、420nmであった。これらの銅微粒子の平均アスペクト比は1.5であった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N,N−ジメチルホルムアミドに由来する第3級アミド基(NR 2CO)に帰属するピークが検出された。しかし、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピークは検出されなかった。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(E)/銅微粒子(P)]×100(質量%))は、0.05質量%であった。
[比較例3]
(1)銅微粒子の調製
還元反応水溶液中の有機添加剤として2−ピロリドンの代わりにポリビニルピロリドン(E)を使用した以外は実施例3と同様に、還元反応水溶液を調製し、銅イオンを電解還元により還元して銅微粒子を得た。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅微粒子を得た。
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、微粒子の一次粒子径は、40〜400nmの範囲で、平均一次粒子径は80nmであった。
(ロ)銅微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅微粒子の平均二次粒子径は、350nmであった。これらの銅微粒子の平均アスペクト比は1.3で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、ポリビニルピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークと、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、有機添加剤であるポリビニルピロリドンとテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆された銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(A+E)/銅微粒子(P)]×100(質量%))は、0.06質量%であった。
[比較例4]
(1)銅微粒子の調製
還元反応水溶液中に1-n-オクチル-2-ピロリドンを添加しなかった以外は実施例4と同様に、還元反応水溶液を調製し、銅イオンを電解還元により還元して銅微粒子を得た。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅微粒子を得た。
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、微粒子の一次粒子径は、45〜420nmの範囲で、平均一次粒子径は85nmであった。また、結晶形状がデンドライト状に凝集した、1〜10μmの凝集体が混在していることが観察された。
(ロ)銅微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅微粒子の平均二次粒子径は、380nmであった。これらの銅微粒子の平均アスペクト比は1.5であった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに由来する四級アンモニウム基(NR)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、有機添加剤であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆された銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(A)/銅微粒子(P)]×100(質量%))は、0.04質量%であった。
[比較例5]
(1)銅微粒子の調製
還元反応水溶液中の有機添加剤としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを使用しなかった以外は実施例1と同様に、還元反応水溶液を調製し、銅イオンを電解還元により還元して銅微粒子を得た。還元反応終了後の反応水溶液を、カーボン支持膜をとりつけたアルミメッシュ上に採取し、水洗して溶媒を乾燥除去した後、200mgの銅微粒子を得た。
(2)生成した銅微粒子の評価
(イ)微粒子の一次粒子径、金属種の同定
前記走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)による観察の結果、微粒子の一次粒子径は、20〜300nmの範囲で、平均一次粒子径は55nmであった。
(ロ)銅微粒子の二次粒子径、アスペクト比等
動的光散乱型粒度分布測定装置を用いて銅微粒子の二次粒子径の測定を行ったところ、該銅微粒子の平均二次粒子径は、200nmであった。これらの銅微粒子の平均アスペクト比は1.2で、形状は顆粒状であり、デンドライト状の凝集は観察されなかった。
(ハ)被覆有機添加剤の分子構造の同定
得られた銅微粒子をナノ構造電極上に塗布して顕微ラマン分光装置、及びフーリエ変換赤外分光光度計で解析したところ、N−ビニル−2−ピロリドンに由来するピロリドン基(CNO)に帰属するピークが検出された。
(ニ)有機添加剤の被覆量
炭素・硫黄分析計を用いた銅微粒子の分析では、有機添加剤であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで被覆された銅微粒子(P)における、有機添加剤の割合([有機添加剤(L)/銅微粒子(P)]×100(質量%))は、0.5質量%であった。
上記実施例1〜10における、実験条件と評価結果を表1に、上記実施例11〜15、及び比較例1〜5における、実験条件と評価結果を表2にそれぞれまとめて示す。
Figure 2016011448
Figure 2016011448
[実施例16]
上記実施例で作製した微粒子を焼結して得られた焼結導電体の抵抗率の評価を行った。
上記実施例1〜4、8〜9、13〜15で得られた微粒子を、濃度が50質量%となるようにエタノールを添加した後、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌して微粒子分散溶液とした。乾燥後の塗布膜の厚みが3μm程度となるように微粒子分散溶液をスピンコータでガラス基板(サイズ:2cm×2cm)に塗布して、試料を雰囲気制御型の熱処理炉内に設置し、窒素ガス雰囲気中、50〜70℃の温度範囲で加熱して塗膜からエタノールを除去させて乾燥粉末膜とした。その後、熱処理炉内で3%水素混合窒素ガス雰囲気中、200〜300℃の温度範囲で10分間加熱・焼成した後、熱処理炉中でゆっくりと室温まで炉冷し、焼結導電体を得た。直流四端子法(使用測定機:三菱化学(株)製、型式:ロレスターGP(四端子電気抵抗測定モード))を使用して、該焼結導電体の抵抗率を測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 2016011448
[比較例6]
実施例16の微粒子を比較例1、3〜5で得られた生成物とした以外は実施例16と同様の方法で、実験試料を調製した後、熱処理炉内における乾燥粉末膜の加熱処理による焼成を実施して、形成された焼結導電体の抵抗率を測定した。これらの評価結果を表5に示す。
[実施例17]
(1)実験試料の調製
上記実施例1〜4、8〜9、13〜15で得られた微粒子に、濃度が20〜70質量%の範囲となるように有機化合物(S1)を含有している有機溶媒(S)を添加した後、超音波ホモジナイザーを用いてよく撹拌し、評価用の微粒子分散溶液を得た。
(2)焼結導電体の抵抗率
得られた微粒子分散溶液をスピンコータでガラス基板(サイズ:2cm×2cm)上の全面に、焼結後の焼結導電体の厚みが10μmとなるようにそれぞれ塗布した。その後、試料を雰囲気制御型の熱処理炉内に設置し、窒素ガス雰囲気中150〜300℃の温度範囲で20〜40分間加熱・焼成した後、熱処理炉中でゆっくりと室温まで炉冷し、焼結導電体を得た。直流四端子法(使用測定機:三菱化学(株)製、型式:ロレスターGP(四端子電気抵抗測定モード))を使用して、該焼結導電体の抵抗率を測定した。測定結果を表4に示す。
(3)導電接続部材のダイシェア強度
得られた微粒子分散溶液を銅基板(サイズ:2cm×2cm)に焼結後の導電接続部材の厚みが40μmとなるように乾燥塗布した。その後、半導体シリコンチップ(サイズ:4mm×4mm)を4MPaの加圧力で塗布膜上に押し付けた試料を雰囲気制御型の熱処理炉内に設置し、窒素ガス雰囲気中150〜300℃の温度範囲で20〜40分間加熱・焼成した後、熱処理炉中でゆっくりと室温まで炉冷し、焼結体を介して半導体素子と導体基板とを接合した。基板表面に接合されたシリコンチップを米国MIL‐STD‐883に準拠したダイシェア強度評価装置を用いて、25℃において、ダイシェア強度を評価した。測定結果を表4に示す。
Figure 2016011448
[比較例7]
実施例17の微粒子を比較例1、3〜5で得られた生成物とした以外は実施例17と同様の方法で、実験試料を調製した後、熱処理炉内における加熱処理による焼成を実施して、形成された焼結導電体の抵抗率、及び導電接続部材のダイシェア強度を測定した。これらの評価結果を表5に示す。
Figure 2016011448
[焼結膜の導電性についての考察]
比較例1〜5で得た微粒子又は微粒子分散液から調製した焼成膜についての抵抗率は、170〜1500μΩ・cmであったのに対し、実施例1〜15で得た微粒子又は微粒子分散液から調製した焼成膜についての抵抗率は、25〜165μΩ・cmと小さい抵抗率を示した。このように、本発明の炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)と炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)で被覆された微粒子を用いることで、銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される微粒子の焼結性を向上させることが可能であることが確認された。
[接合体の接合強度についての評価]
実施例1〜15で得た微粒子の分散液を用いて基板表面に接合されたシリコンチップのダイシェア強度は10〜35N/mm、比較例1〜5で得られた微粒子の分散液を用いて基板表面に接合されたシリコンチップのダイシェア強度は1〜7N/mmであった。このように、本発明の本発明の炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)と炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)で被覆された微粒子の分散溶液を用いることで、半導体素子と導体基板の接合強度を向上させることが可能であることが確認された。

Claims (21)

  1. 炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)と炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)とで被覆された、一次粒子の粒子径が1〜300nmの金属元素(M)からなる微粒子。
  2. 前記金属元素(M)が銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の微粒子。
  3. 前記微粒子の表面層が金属元素(M)の酸化物からなり、X線源としてCuKαを用いたX線回折において、金属元素(M)の最大強度であるメインピークの2θでのピーク高さをH、金属元素(M)の酸化物の最大強度であるメインピークの2θでのピーク高さをHとしたときのX線回折ピーク強度比(H/[H+H])が0.75以下の、コア部が金属であり、シェル部の一部又は全体が金属酸化物であるコア/シェル構造を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の微粒子。
  4. 前記ラクタム系化合物(L)が五員環構造を有する、2−ピロリドン、アルキル−2−ピロリドン、及びヒドロキシアルキル−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の微粒子。
  5. 前記アルキル−2−ピロリドンがN−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−n−プロピル−2−ピロリドン、N−n−ブチル−2−ピロリドン、N−iso−ブチル−2−ピロリドン、N−n−オクチル−2−ピロリドン、3−メチル−2−ピロリドン、4−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−3−メチル−2−ピロリドン、及びN−メチル−4−メチル−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の微粒子。
  6. 前記ヒドロキシアルキル−2−ピロリドンがN−(ヒドロキシメチル)−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、及びN−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の微粒子。
  7. 前記第4級アンモニウム化合物(A)がテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルエチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルジプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、モノメチルトリエチルアンモニウムハイドロオキサイド、モノメチルトリプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、及びトリオクチルメチルアンモニウムクロリドから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の微粒子。
  8. 前記微粒子(P)における、ラクタム系化合物(L)及び第4級アンモニウム化合物(A)の割合が質量百分率([(L+A)/P]×100)で0.1〜20質量%であることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の微粒子。
  9. 前記微粒子(P)における、第4級アンモニウム化合物(A)とラクタム系化合物(L)の質量比(A/L)が0.05〜19であることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の微粒子。
  10. 少なくとも、金属元素(M)のイオン、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)、及び炭素原子数4〜12のラクタム系化合物(L)が溶解している還元反応水溶液において、金属元素(M)のイオンの電解還元反応により、一次粒子の粒子径が1〜300nmの金属元素(M)が第4級アンモニウム化合物(A)とラクタム系化合物(L)で被覆された、微粒子(P)を析出させることを特徴とする、微粒子の製造方法。
  11. 前記微粒子(P)を、炭素原子数4〜25の第4級アンモニウム化合物(A)が含まれる溶媒に添加して、第4級アンモニウム化合物(A)の追加被覆を行うことを特徴とする、請求項10に記載の微粒子の製造方法。
  12. 前記金属元素(M)が銅、亜鉛、スズ、及びニッケルの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の微粒子の製造方法。
  13. 前記ラクタム系化合物(L)が五員環構造を有する、2−ピロリドン、アルキル−2−ピロリドン、及びヒドロキシアルキル−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項10から12のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
  14. 前記アルキル−2−ピロリドンがN−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−n−プロピル−2−ピロリドン、N−n−ブチル−2−ピロリドン、N−iso−ブチル−2−ピロリドン、N−n−オクチル−2−ピロリドン、3−メチル−2−ピロリドン、4−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−3−メチル−2−ピロリドン、及びN−メチル−4−メチル−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項13に記載の微粒子の製造方法。
  15. 前記ヒドロキシアルキル−2−ピロリドンがN−(ヒドロキシメチル)−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、及びN−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ピロリドンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項13に記載の微粒子の製造方法。
  16. 前記第4級アンモニウム化合物(A)がテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルエチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルジプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、モノメチルトリエチルアンモニウムハイドロオキサイド、モノメチルトリプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、及びトリオクチルメチルアンモニウムクロリドから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項10から15のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
  17. 前記微粒子(P)における、ラクタム系化合物(L)及び第4級アンモニウム化合物(A)の割合が質量百分率([(L+A)/P]×100)で0.1〜20質量%であることを特徴とする、請求項10から16のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
  18. 前記微粒子(P)における、第4級アンモニウム化合物(A)とラクタム系化合物(L)の質量比(A/L)が0.05〜19であることを特徴とする、請求項10から17のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
  19. 前記電解還元反応が、還元反応水溶液中に設けられたアノードとカソード間に電位を加えることにより金属元素(M)イオンを還元して、カソード表面付近に金属元素(M)の微粒子を析出させる還元反応であることを特徴とする、請求項10から18のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
  20. 前記請求項1から9のいずれかに記載の微粒子(P)が、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物(S1)を含む有機溶媒(S)に分散していることを特徴とする、微粒子分散溶液。
  21. 前記少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物(S1)がメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2ジメチル−1−プロパノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、及び1,2,4−ブタントリオールの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項20に記載の微粒子分散溶液。
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