JP7340727B1 - ニッケル粒子及びニッケル粒子の製造方法 - Google Patents
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したがって、本発明の課題は、電気抵抗を過度に高めることなく耐焼結性が高いニッケル粒子を提供することにある。
前記金属元素Mは、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種であり、
前記ニッケル粒子全体に対する前記金属元素Mの含有量が0.16質量%以上11.4質量%以下であり、
X線光電子分光分析によって前記ニッケル粒子の深さ方向において最表面からSiO2換算でのスパッタ深さ5nmまでの領域を測定したときに、該領域において、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合の最大値をX(at%)とし、
ICP発光分光分析法によって前記ニッケル粒子を測定したとき、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合をY(at%)としたとき、
X/Yの値が1.5以上30以下である、ニッケル粒子を提供するものである。
1質量部のポリエチレンイミンに対して、ポリビニルピロリドンを30質量部以上200質量部以下用い、
前記加熱によって前記水酸化ニッケル粒子をニッケル母粒子に還元し、
一部の前記水酸化ニッケル粒子が残存している状態で、前記混合液と金属元素Mの化合物とを混合し、該化合物を金属Mに還元して、前記ニッケル母粒子に、ニッケルと金属元素Mとの合金を含む表面域を形成する、ニッケル粒子の製造方法であって、
前記金属元素Mは、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種である、ニッケル粒子の製造方法を提供するものである。
具体的には、まずニッケル粒子がその表面域に金属元素Mを含み、該金属元素Mが主に金属状態であることを、X線光電子分光分析(以下「XPS」ともいう。)による測定によって確認する。次いで、前記ニッケル粒子のX線回折ピークにおけるa軸長が、ニッケル粒子のみを予め測定した得られたX線回折ピークにおけるa軸長よりも伸びていることを確認する。X線回折ピークにおけるa軸長が伸びることは、物質が固溶していることを意味する。したがって、XPSの測定によって確認された金属元素Mがニッケル粒子の表面域に金属状態で存在していることに加えて、a軸長の比較によって確認された金属元素Mとニッケルとが固溶していることから、該ニッケル粒子がその表面域にニッケル・金属M合金を含むことを確認できる。
前記の「ニッケル粒子の最表面」とは、ニッケル粒子の表面に例えば有機酸やアミン等の表面処理剤が存在している場合には、該表面処理剤を含んだニッケル粒子の最外面のことを指す。ニッケル粒子の表面に、表面処理剤が存在していない場合には、粒子の表面そのものを指す。
金属元素Mがスズである場合、前記と同様の観点から、ニッケル粒子全体に対するスズ元素の含有量は、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることが更に好ましく、1質量%以上であることが一層好ましい。また、ニッケル粒子全体に対するスズ元素の含有量は、6質量%以下であることがより好ましい。
金属元素Mが亜鉛である場合、前記と同様の観点から、ニッケル粒子全体に対する亜鉛元素の含有量は、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることが更に好ましく、0.5質量%以上であることが一層好ましい。また、ニッケル粒子全体に対する亜鉛元素の含有量は、6.7質量%以下であることがより好ましく、3.4質量%以下であることが更に好ましい。
ニッケル粒子全体に対する金属元素Mの含有量は、後述するICP発光分光分析法によって測定することができる。
ニッケル粒子全体に含まれる金属元素Mの原子数の割合であるYの値はICP発光分光分析法によって測定する。具体的には、まずICP発光分光分析法によってニッケル粒子全体を測定し、ニッケル元素の含有割合及び金属元素Mの含有割合を求める。次いで、ニッケル元素の含有割合(質量%)をニッケル元素の原子量(58.7)で除して、該含有割合をニッケル元素の原子数ANiに換算する。また、金属元素Mの含有割合(質量%)を金属元素Mの原子量(スズは118.7、亜鉛は65.4)で除して、該含有割合を金属元素Mの原子数AMに換算する。そして、ニッケル元素の原子数ANiと金属元素Mの原子数AMに対する金属元素Mの原子数の割合(AM/(ANi+AM)×100)を算出し、前記Yの値を求める。
粗大粒子存在割合は0%に近ければ近いほど、内部電極間の短絡発生の防止に有効であるが、0.01%程度に粗大粒子存在割合が低ければ、内部電極間の短絡発生を効果的に防止できる。
粗大粒子の尺度として、D50の1.5倍以上の粒径を有する粒子を選定した理由は、D50の1.5倍以上の粒径では、導電膜を形成した際に導電膜の表面が粗くなる一因となり、そのことがMLCCの内部電極間の短絡発生とに極めて深く関与していることを本発明者が見出したことによるものである。
変動係数は0%に近ければ近いほど、導電膜の表面粗さの低下に一層寄与するが、8%程度に変動係数が低ければ、十分に満足すべき程度に導電膜の表面粗さを低下させることができる。
ニッケルの結晶性は、粒径D50(nm)に対する結晶子サイズCs(nm)の比率であるCs/D50で評価する手法が、金属粉の技術分野においてしばしば用いられる。Cs/D50の値が大きいほど、ニッケルはその結晶性が高いと評価できる。この観点から、本発明のニッケル粒子においては、Cs/D50の値が0.3以上であることが好ましく、0.34以上であることが更に好ましく、0.37以上であることが一層好ましい。
Cs/D50はその値が大きいほどニッケル粒子が焼結して収縮が開始する温度が上昇するところ、本発明においては、Cs/D50の値が好ましくは0.6以下であれば、当該温度を十分に高くすることが可能であり、この観点からCs/D50の値は0.55以下であることが更に好ましく、0.52以下であることが一層好ましい。
WPPF法に基づくニッケルの結晶子サイズの測定方法の詳細については後述する実施例において説明する。
ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール1,5-ペンタンジオール及びポリエチレングリコール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのポリオールのうちエチレングリコールは、分子量に対してヒドロキシ基が占める割合が大きいために還元性能が高く、また常温で液状であり取り扱い性に優れることから好ましい。
以上の観点から、PEIとして、直鎖状のものを用いるよりも、分岐鎖状のものを用いることが有利である。同様の観点から、数平均分子量が600以上10000以下、特に800以上5000以下、とりわけ1000以上3000以下であるPEIを用いることも好ましい。
〔1〕 ニッケルと金属元素Mとの合金を含む表面域を有するニッケル粒子であって、
前記金属元素Mは、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種であり、
前記ニッケル粒子全体に対する前記金属元素Mの含有量が0.16質量%以上11.4質量%以下であり、
X線光電子分光分析によって前記ニッケル粒子の深さ方向において最表面からSiO2換算でのスパッタ深さ5nmまでの領域を測定したときに、該領域において、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合の最大値をX(at%)とし、
ICP発光分光分析法によって前記ニッケル粒子を測定したとき、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合をY(at%)としたとき、
X/Yの値が1.5以上30以下である、ニッケル粒子。
〔2〕 走査型電子顕微鏡による測定から算出された円相当直径に基づく粒度分布において、累積個数50個数%における個数累積粒径をD50としたとき、D50が20nm以上200nm以下であり、
前記粒度分布における粒径の標準偏差をσ(nm)としたとき、変動係数(σ/D50)(%)の値が14%以下である、〔1〕に記載のニッケル粒子。
変動係数(%)=(σ/D50)×100
〔3〕 走査型電子顕微鏡による測定から算出された円相当直径に基づく粒度分布において、累積個数50個数%における個数累積粒径をD50としたとき、D50の1.5倍以上の粒径を有する粒子の存在割合が0.5個数%以下である、〔1〕又は〔2〕に記載のニッケル粒子。
〔4〕 走査型電子顕微鏡による測定から算出された円相当直径に基づく粒度分布において、累積個数50個数%における個数累積粒径をD50とし、WPPF法によって測定された結晶子サイズをCs(nm)としたとき、Cs/D50の値が0.3以上0.6以下である、〔1〕ないし〔3〕のいずれか一に記載のニッケル粒子。
〔5〕 水酸化ニッケル粒子、ポリオール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンイミンを含む混合液を加熱してニッケル粒子を製造する方法であって、
1質量部のポリエチレンイミンに対して、ポリビニルピロリドンを30質量部以上200質量部以下用い、
前記加熱によって前記水酸化ニッケル粒子をニッケル母粒子に還元し、
一部の前記水酸化ニッケル粒子が残存している状態で、前記混合液と金属元素Mの化合物とを混合し、該化合物を金属Mに還元して、前記ニッケル母粒子に、ニッケルと金属元素Mとの合金を含む表面域を形成する、ニッケル粒子の製造方法であって、
前記金属元素Mは、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種である、ニッケル粒子の製造方法。
〔6〕 〔1〕ないし〔4〕のいずれか一に記載のニッケル粒子を内部電極に用いた、積層セラミックコンデンサ。
500mlのビーカーに、445gのエチレングリコール、64gの水酸化ニッケル粒子、12gのポリビニルピロリドン、0.14gのポリエチレンイミン、及び0.13mlの硝酸パラジウム水溶液(濃度:100g/l)を加えて混合液を調製した。ポリエチレンイミンは分岐鎖状のものであり、数平均分子量は1800であった。混合液を撹拌しながら加熱し、大気圧下において198℃で5時間還元反応を行った。この時点で、水酸化ニッケルの還元は、仕込み量の水酸化ニッケルに対して80mol%進行していた。次いで、その後、スズ酸ナトリウム3水和物を0.5g添加し、大気圧下において198℃で更に10時間還元反応を行った。加熱を停止して還元を終了させ、室温まで自然放冷した。このようにして、多数のニッケル粒子を得た。
得られたニッケル粒子の分散液を含むビーカーの底に磁石を配置して該ニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。
ビーカーの底から磁石を取り除いた後、純水50gを加えて分散液を10分間撹拌した。その後、ビーカーの底に磁石を再び配置してニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。一連の操作を5回繰り返した。
次いで、メタノール50gを加えて分散液を10分間撹拌した。磁石を用いることによって上澄みの除去を3回繰り返し、分散液中の溶媒をメタノールに置換した。その後、80℃で真空乾燥を行い、ニッケル粒子を得た。
硝酸パラジウム水溶液の添加量及びスズ酸ナトリウム3水和物の添加量、並びに混合液の加熱を開始してから該混合液にスズ酸ナトリウム3水和物を添加するまでの時間を表1に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にしてニッケル粒子を得た。
スズ酸ナトリウム3水和物に代えて水酸化亜鉛を添加した。硝酸パラジウム水溶液の添加量及び水酸化亜鉛の添加量を表1に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にしてニッケル粒子を得た。
500mlのビーカーに、445gのエチレングリコール、64gの水酸化ニッケル粒子、8gのポリビニルピロリドン、0.14gのポリエチレンイミン、及び0.13mlの硝酸パラジウム水溶液(濃度:100g/l)を加えて混合液を調製した。ポリエチレンイミンは分岐鎖状のものであり、数平均分子量は1800であった。混合液を撹拌しながら加熱し、198℃で6.5時間還元反応を行った。加熱を停止して還元を終了させ、室温まで自然放冷した。このようにして、多数のニッケル粒子を得た。
得られたニッケル粒子の分散液を含むビーカーの底に磁石を配置して該ニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。
ビーカーの底から磁石を取り除いた後、純水50gを加えて分散液を10分間撹拌した。その後、ビーカーの底に磁石を再び配置してニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。一連の操作を5回繰り返した。
次いで、メタノール50gを加えて分散液を10分間撹拌した。磁石を用いることによって上澄みの除去を3回繰り返し、分散液中の溶媒をメタノールに置換した。その後、80℃で真空乾燥を行い、ニッケル粒子の粉末を得た。
水酸化ニッケルの還元反応を行う前にスズ酸ナトリウム3水和物を添加した以外は、実施例1と同様にしてニッケル粒子を得た。
500mlのビーカーに、445gのエチレングリコール、64gの水酸化ニッケル粒子、8gのポリビニルピロリドン、0.14gのポリエチレンイミン、及び0.13mlの硝酸パラジウム水溶液(濃度:100g/l)を加えて混合液を調製した。ポリエチレンイミンは分岐鎖状のものであり、数平均分子量は1800であった。混合液を撹拌しながら加熱し、198℃で6.5時間還元反応を行った。加熱を停止して還元を終了させ、室温まで自然放冷した。このようにして、多数のニッケル粒子を得た。
得られたニッケル粒子の分散液を含むビーカーの底に磁石を配置して該ニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。
ビーカーの底から磁石を取り除いた後、純水50gを加えて分散液を10分間撹拌した。その後、ビーカーの底に磁石を再び配置してニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。一連の操作を5回繰り返した。
この分散液に、純水300g及びヒドラジン1水和物を加えて60℃に昇温後、スズ酸ナトリウム3水和物を1g添加し、5時間撹拌を行い、スズによる表面処理をニッケル粒子に施した。
得られたニッケル粒子の分散液を含むビーカーの底に磁石を配置して、該ニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。
ビーカーの底から磁石を取り除いた後、純水50gを加えて分散液を10分間撹拌した。その後、ビーカーの底に磁石を再び配置してニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。一連の操作を5回繰り返した。
次いで、メタノール50gを加えて分散液を10分間撹拌した。磁石を用いることによって上澄みの除去を3回繰り返し、分散液中の溶媒をメタノールに置換した。その後、80℃で真空乾燥を行い、スズによる表面処理が施されたニッケル粒子の粉末を得た。ニッケル粒子の表面域はニッケルとスズとの合金を含まず、スズ表面層が形成されていることを後述の〔評価1〕に記載のとおり確認した。
実施例1ないし12及び比較例1ないし3で得られたニッケル粒子について、以下のXPS分析方法でXの値及びX1の値を求めた。
また、ICP発光分光分析法によってニッケル粒子全体に対するスズ元素及び亜鉛元素の含有量及びYの値を求めた。
また、上述の方法で粒度分布を測定し、粒径D50、粗大粒子存在割合及び変動係数を求めた。
また、以下の方法でWPPF法に基づくニッケルのa軸長及び結晶子サイズCsを求めた。
また、上述の方法でニッケル粒子の表面域にニッケルとスズとの合金を含むか否か、またニッケルと亜鉛との合金を含むか否かを確認した。
以上の結果を以下の表1に示す。また、実施例3及び比較例2で得られたニッケル粒子のSEM像を図1及び2に示す。
XPS用の測定対象試料には、プレス機を用いてニッケル粒子をペレット状に成形したものを用いた。詳細には、φ5.2mm及び高さ2.5mmの寸法を有するアルミニウム製容器に粒子試料を10mg程度入れた。次いで、プレス機(アズワン製、品番:1-312-01)及びアダプター(品番:1-312-03)を用い、所定のストローク(25mm)でアルミニウム製容器とともに加圧した。次いで、アルミニウム製容器に支持されたニッケル粒子のペレット成形物を取り出した。
得られたペレット成形物について、最表面測定及びArモノマーイオンでのスパッタリングによる試料表面から内部に向かっての深さ方向測定を行った。測定条件は以下のとおりである。
・励起X線:単色化Al-Kα線(1486.7eV)
・出力:50W
・加速電圧:15kV
・X線照射径:200μmφ
・X線走査面積:1000μm×300μm
・検出角度:45°
・パスエネルギー:26.0eV
・エネルギーステップ:0.1eV/step
・スパッタイオン種:Arモノマーイオン
・スパッタレート:3.3nm/min(SiO2換算)
・スパッタ間隔:20s
・測定元素:C1s、Ni2p3、Sn3d5、Zn2p3
・エネルギー補正値:C1sにおけるC-C結合及びC-H結合(284.8eV)
データ解析ソフトウェア(アルバック・ファイ社製「マルチパックVer9.9」)を用いてXPSデータの解析を行った。バックグラウンドモードはShirleyを使用した。
実施例1ないし6では、Ni2p3とSn3d5の計2元素の合計原子数に対するSn3d5の原子数の割合をX(at%)とした。実施例7ないし12では、Ni2p3とZn2p3の計2元素の合計原子数に対するZn2p3の原子数の割合をX(at%)とした。
実施例及び比較例で得られたニッケル粒子のa軸長及び結晶子サイズCsを、X線回折測定によって得られるニッケルに由来する回折ピークから、WPPF法を用いて算出した。
<装置構成>
波長
・ターゲット:Cu
・波長タイプ:Kα1
・Kα1:1.54059(Å)
・Kα2:1.54441(Å)
・Kβ:1.39225(Å)
・Kα12強度比:0.4970
・水平偏光率:0.500
回折装置
・ゴニオメーター:SmartLab
・アタッチメントベース:Zステージ単独
・アタッチメント:ASC6-反射
<測定条件>
・光学系属性:集中法
・CBO選択スリット:BB
・入射平行スリット:Soller_slit_5.0deg
・入射スリット:2/3deg
・長手制限スリット:10.0mm
・受光スリット1:20.000mm
・受光平行スリット:Soller_slit_5.0deg
・受光スリット2:20.000mm
・アッテネーター:Open
・検出器:D/teX Ultra250
・スキャン軸:2θ/θ
・スキャンモード:連続
・スキャン範囲:5.0000~140.0000deg
・ステップ幅:0.0100deg
・スキャンスピード/計測時間:2.015572deg/min
・データ点数:13501点
・管電圧:45kV
・管電流:200mA
・HV:0.00
測定対象のニッケル粒子を測定ホルダに敷き詰め、ニッケル粒子からなる層の厚さが0.5mmで、且つ測定表面が平滑となるように、ガラスプレートを用いて平滑化した。
・解析用ソフトウェア:Rigaku製PDXL2
・解析手法:WPPF法
・データ処理:自動プロファイル処理
(リガク社 PDXLユーザーマニュアル p.305)
実施例1ないし12及び比較例1ないし3で得られたニッケル粒子について、以下の方法で、ニッケル粒子の収縮開始温度、ニッケル粒子を含む焼結膜の比抵抗及び表面粗さRzを測定した。以上の結果を以下の表1に示す。
TMAの測定装置としてセイコーインスツル株式会社製のTМA/SS6000を用いた。0.2~0.3gのニッケル粒子をφ5.0mmのステンレス製の金型容器に入れ、ニッケル粒子に92MPaの圧力が加わるように加圧成形してペレットを作製した。得られたペレットのペレット長を測定し測定対象試料として用いた。これを測定装置にセットし、荷重49mN、1体積%水素/99体積%窒素雰囲気下において試料を5℃/minで昇温した。室温(25℃)から測定を開始し、温度と収縮率(%)との関係を示すグラフを得た。得られたグラフから、収縮開始温度を求めた。
4gのターピネオールに0.1gのエチルセルロースを溶解させ、次いで5gのニッケル粒子を添加して混合物を得た。この混合物を、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製の「あわとり練太郎(登録商標)」)を用いて混合した。次いで、この混合物を3本ロールに4回通して解砕した。3本ロールのギャップは8μmに設定した。このようして塗布液を得た。
この塗布液を、アルミナ基板に塗布して塗膜を形成した。塗膜の厚みは30μmであった。この塗膜を、1体積%水素/99体積%窒素雰囲気下で800℃、60分間で焼結させて焼結膜を得た。この焼結膜について、三菱アナリテック社製の四探針法比抵抗測定装置であるロレスタMCP-T600を用い、比抵抗(Ω・cm)を測定した。
前記の焼結膜の表面粗さRzを、SURFCOM 130Aを用いて測定した。測定条件は、評価長さ6.0mm、測定速度0.6mm/sとした。
また、表1に示す結果から明らかなとおり、XPSの測定によって、実施例7ないし12で得られたニッケル粒子はその表面域に金属状態の亜鉛元素を含むことが確認された。更に、実施例で得られたニッケル粒子のa軸長は、亜鉛化合物を用いなかった比較例1で得られたニッケル粒子のa軸長よりも伸びていた。これらの結果から、実施例7ないし12で得られたニッケル粒子はその表面域にニッケルと亜鉛との合金を含むことが分かる。
また、表1に示す結果から明らかなとおり、実施例1ないし12で得られたニッケル粒子は、比較例1ないし3で得られたニッケル粒子と比べて高い収縮開始温度を示した。これによって、実施例1ないし12で得られたニッケル粒子は高い耐焼結性を示すことが分かる。
特に実施例1ないし5と実施例6との対比から明らかなとおり、ニッケル粒子に含まれるスズの量をコントロールすることで、該ニッケル粒子から得られる焼結膜の比抵抗をコントロールできることが分かる。
また、ニッケルとスズとの合金が形成された表面域を有するニッケル粒子を製造した実施例1ないし6は、ニッケル粒子全体においてニッケルとスズとの合金が形成された比較例2と比べて、焼結膜の表面が平滑なものとなった。これらによって、ニッケルとスズとの合金を含む表面域を有するニッケル粒子によれば、焼結膜の表面粗さが低くなることが分かる。
更に、実施例3に対応する図1及び比較例2に対応する図2を比較すると、図1のニッケル粒子の粒径は均一であることが見て取れるのに対して、図2のニッケル粒子の粒径は不均一であった。
Claims (6)
- ニッケルと金属元素Mとの合金を含む表面域を有するニッケル粒子であって、
前記金属元素Mは、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種であり、
前記ニッケル粒子全体に対する前記金属元素Mの含有量が0.16質量%以上11.4質量%以下であり、
X線光電子分光分析によって前記ニッケル粒子の深さ方向において最表面からSiO2換算でのスパッタ深さ5nmまでの領域を測定したときに、該領域において、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合の最大値をX(at%)とし、
ICP発光分光分析法によって前記ニッケル粒子を測定したとき、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合をY(at%)としたとき、
X/Yの値が1.5以上30以下である、ニッケル粒子。 - 走査型電子顕微鏡による測定から算出された円相当直径に基づく粒度分布において、累積個数50個数%における個数累積粒径をD50としたとき、D50が20nm以上200nm以下であり、
前記粒度分布における粒径の標準偏差をσ(nm)としたとき、変動係数(σ/D50)(%)の値が14%以下である、請求項1に記載のニッケル粒子。
変動係数(%)=(σ/D50)×100 - 走査型電子顕微鏡による測定から算出された円相当直径に基づく粒度分布において、累積個数50個数%における個数累積粒径をD50としたとき、D50の1.5倍以上の粒径を有する粒子の存在割合が0.5個数%以下である、請求項1に記載のニッケル粒子。
- 走査型電子顕微鏡による測定から算出された円相当直径に基づく粒度分布において、累積個数50個数%における個数累積粒径をD50とし、WPPF法によって測定された結晶子サイズをCs(nm)としたとき、Cs/D50の値が0.3以上0.6以下である、請求項1に記載のニッケル粒子。
- 水酸化ニッケル粒子、ポリオール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンイミンを含む混合液を加熱してニッケル粒子を製造する方法であって、
1質量部のポリエチレンイミンに対して、ポリビニルピロリドンを30質量部以上200質量部以下用い、
前記加熱によって前記水酸化ニッケル粒子をニッケル母粒子に還元し、
一部の前記水酸化ニッケル粒子が残存している状態で、前記混合液と金属元素Mの化合物とを混合し、該化合物を金属Mに還元して、前記ニッケル母粒子に、ニッケルと金属元素Mとの合金を含む表面域を形成する、ニッケル粒子の製造方法であって、
前記金属元素Mは、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種である、ニッケル粒子の製造方法。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載のニッケル粒子を内部電極に用いた、積層セラミックコンデンサ。
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