JP7340727B1 - ニッケル粒子及びニッケル粒子の製造方法 - Google Patents

ニッケル粒子及びニッケル粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

ニッケルと金属元素Mとの合金を含む表面域を有するニッケル粒子である。金属元素Mは、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種である。ニッケル粒子全体に対する金属元素Mの含有量が0.16質量%以上11.4質量%以下である。X線光電子分光分析によってニッケル粒子の深さ方向において最表面からSiO2換算でのスパッタ深さ5nmまでの領域を測定したときに、該領域において、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合の最大値をX(at%)とし、ICP発光分光分析法によってニッケル粒子を測定したとき、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合をY(at%)としたとき、X/Yの値が1.5以上30以下である。

Description

本発明はニッケル粒子及びその製造方法に関する。
電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサ(以下「MLCC」ともいう。)の内部電極の形成には、一般にニッケル粒子が用いられている。MLCCの製造において、ニッケル粒子を含む内部電極と誘電体層との積層体を同時に焼成する場合、原料の焼結温度の違いにより、内部電極に欠陥が生じることがある。このような不都合を防ぐ目的で、ニッケル粒子の耐焼結性の向上が求められている。
例えば特許文献1には、PVD法又はCVD法によって得られたスズ又は亜鉛を含むニッケル粉末をMLCCの内部電極の形成に用いる技術が開示されている。同文献には、ニッケル粉末にスズ等の非磁性金属を添加することでニッケルの結晶構造が歪み、これによって該ニッケル粉末の焼結温度が向上すると記載されている。
特許文献2には、略球形状の粒子形状を有し、スズによって表面処理がされているニッケル粉末を、MLCCの内部電極の形成に用いる技術が開示されている。また、同文献には、スズに加えて亜鉛を用いて表面処理することも開示されている。同文献には、同文献に記載のニッケル粉末によれば、その焼結挙動が改善されると記載されている。
国際公開第2014/080600号パンフレット 特開2018-104819号公報
ところで、近年の電子機器の高性能化に伴い、MLCCにおいては内部電極に発生し得る欠陥に起因した不都合を一層防ぐことが要求されている。この要求に応える目的で、ニッケル粒子は、耐焼結性が一層向上したものであることに加えて、該ニッケル粒子を用いて内部電極を形成したときに該電極の電気抵抗を過度に高めることのないものであることが望まれている。
したがって、本発明の課題は、電気抵抗を過度に高めることなく耐焼結性が高いニッケル粒子を提供することにある。
本発明は、ニッケルと金属元素Mとの合金を含む表面域を有するニッケル粒子であって、
前記金属元素Mは、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種であり、
前記ニッケル粒子全体に対する前記金属元素Mの含有量が0.16質量%以上11.4質量%以下であり、
X線光電子分光分析によって前記ニッケル粒子の深さ方向において最表面からSiO換算でのスパッタ深さ5nmまでの領域を測定したときに、該領域において、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合の最大値をX(at%)とし、
ICP発光分光分析法によって前記ニッケル粒子を測定したとき、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合をY(at%)としたとき、
X/Yの値が1.5以上30以下である、ニッケル粒子を提供するものである。
また本発明は、水酸化ニッケル粒子、ポリオール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンイミンを含む混合液を加熱してニッケル粒子を製造する方法であって、
1質量部のポリエチレンイミンに対して、ポリビニルピロリドンを30質量部以上200質量部以下用い、
前記加熱によって前記水酸化ニッケル粒子をニッケル母粒子に還元し、
一部の前記水酸化ニッケル粒子が残存している状態で、前記混合液と金属元素Mの化合物とを混合し、該化合物を金属Mに還元して、前記ニッケル母粒子に、ニッケルと金属元素Mとの合金を含む表面域を形成する、ニッケル粒子の製造方法であって、
前記金属元素Mは、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種である、ニッケル粒子の製造方法を提供するものである。
図1は、実施例3で得られたニッケル粒子の走査型電子顕微鏡像である。 図2は、比較例2で得られたニッケル粒子の走査型電子顕微鏡像である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明のニッケル粒子は、ニッケル母粒子と、該母粒子の表面に位置するニッケルと金属元素Mとの合金(以下、「ニッケル・金属M合金」ともいう。)を含む表面域とを有している。本明細書における「ニッケル母粒子」とは、ニッケル元素から実質的に構成され、残部に不可避元素を含む粒子のことである。不可避元素は例えば大気中の酸素や二酸化炭素に由来する酸素元素及び炭素元素、並びにニッケル粒子の製造過程で混入することのある窒素元素等である。
ニッケル粒子におけるニッケル母粒子は、その表面にニッケル・金属M合金を含む表面域を有している。本明細書において「ニッケル・金属M合金」とは、後述する金属元素Mを含むニッケル基合金のことである。ニッケル・金属M合金は、ニッケル元素と金属元素Mとの合金から実質的に構成され、残部に不可避元素を含む。ニッケル・金属M合金を含む表面域において、金属元素Mは、その一部が金属元素Mの単体の状態(すなわち金属の状態)で存在してもよい。あるいは金属元素Mは、その一部が金属元素Mの化合物の状態で存在してもよい。あるいは金属元素Mは、これらを二種以上組み合わせた状態で存在してもよい。金属元素Mが前記金属元素Mの化合物の状態でニッケル・金属M合金を含む表面域に存在している場合、該化合物としては例えば金属Mを含む酸化物、水酸化物、硫化物、硫酸化物、ホウ化物、リン化物等が挙げられるが、これらに限られない。尤もニッケル・金属M合金を含む表面域における金属元素Mは、実質的にニッケルとの合金のみからなることが、本発明のニッケル粒子が本来的に有する利点を最大限発揮させる観点から望ましい。本明細書において「実質的にニッケルとの合金のみからなる」とは、意図的にニッケルとの合金以外の金属元素Mを前記表面域が含むことを排除し、且つ、ニッケル粒子の製造過程において不可避的に混入する微量の金属元素Mの単体又は金属元素Mの化合物を許容する趣旨である。
ニッケル粒子における金属元素Mは、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。金属元素Mがスズ又は亜鉛であることで、ニッケル粒子の電気抵抗を過度に高めることなく耐焼結性を一層高めることができる。金属元素Mは、スズ及び亜鉛のどちらか一方を用いてもよく、あるいはスズ及び亜鉛の双方を用いてもよい。以下の説明において金属元素M(又は金属M)というときには、文脈に応じスズ若しくは亜鉛又はスズ及び亜鉛の双方を意味する。
ニッケル粒子がその表面域にニッケル・金属M合金を含むことは、以下の方法によって確認できる。
具体的には、まずニッケル粒子がその表面域に金属元素Mを含み、該金属元素Mが主に金属状態であることを、X線光電子分光分析(以下「XPS」ともいう。)による測定によって確認する。次いで、前記ニッケル粒子のX線回折ピークにおけるa軸長が、ニッケル粒子のみを予め測定した得られたX線回折ピークにおけるa軸長よりも伸びていることを確認する。X線回折ピークにおけるa軸長が伸びることは、物質が固溶していることを意味する。したがって、XPSの測定によって確認された金属元素Mがニッケル粒子の表面域に金属状態で存在していることに加えて、a軸長の比較によって確認された金属元素Mとニッケルとが固溶していることから、該ニッケル粒子がその表面域にニッケル・金属M合金を含むことを確認できる。
ニッケル粒子がその表面域に金属元素Mを含む割合はXPSによって測定できる。詳細には、XPSによってニッケル粒子の深さ方向において最表面からSiO換算でのスパッタ深さ5nmまでの領域(以下、この領域のことを「粒子表面領域」ともいう。)を測定したときに、該粒子表面領域において、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合の最大値であるXの値が0.5at%以上であることが好ましい。前記の「最大値」とは、粒子表面領域の厚み方向に沿って測定された複数のXの値が異なる場合における、当該Xの値の最大値のことをいう。Xの値が0.5at%以上である部位を有するように金属元素Mが存在していることが、後述するニッケル粒子の耐焼結性を一層高める観点から好ましい。同様の観点から、Xの値(at%)は0.5at%以上であることがより好ましく、1at%以上であることが更に好ましく、2at%以上であることが一層好ましい。また、同様の観点から、Xの値(at%)は70at%以下であることがより好ましく、30at%以下であることが更に好ましく、20at%以下であることが一層好ましい。Xの値の測定方法は後述する実施例において説明する。
前記の「ニッケル粒子の最表面」とは、ニッケル粒子の表面に例えば有機酸やアミン等の表面処理剤が存在している場合には、該表面処理剤を含んだニッケル粒子の最外面のことを指す。ニッケル粒子の表面に、表面処理剤が存在していない場合には、粒子の表面そのものを指す。
ニッケル粒子は、該ニッケル粒子全体に対して、金属元素Mを0.16質量%以上11.4質量%以下含有することが好ましい。ニッケル粒子に対する金属元素Mの含有量がこの範囲内にあることで、ニッケル粒子の電気抵抗を過度に高めることなく耐焼結性を一層高めることができる。
金属元素Mがスズである場合、前記と同様の観点から、ニッケル粒子全体に対するスズ元素の含有量は、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることが更に好ましく、1質量%以上であることが一層好ましい。また、ニッケル粒子全体に対するスズ元素の含有量は、6質量%以下であることがより好ましい。
金属元素Mが亜鉛である場合、前記と同様の観点から、ニッケル粒子全体に対する亜鉛元素の含有量は、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることが更に好ましく、0.5質量%以上であることが一層好ましい。また、ニッケル粒子全体に対する亜鉛元素の含有量は、6.7質量%以下であることがより好ましく、3.4質量%以下であることが更に好ましい。
ニッケル粒子全体に対する金属元素Mの含有量は、後述するICP発光分光分析法によって測定することができる。
本発明のニッケル粒子は、ニッケル粒子全体に対する金属元素Mの含有量が上述の範囲を満たすことを条件として、該ニッケル粒子全体において、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合であるYの値(at%)は0.15at%以上6at%以下であることが好ましい。Yの値がこの範囲内となるように金属元素Mが存在していることが、ニッケル粒子の電気抵抗を過度に高めることなく耐焼結性を一層高める観点から好ましい。同様の観点から、Yの値は、特に0.2at%以上、とりわけ0.5at%以上であることが好ましい。また、Yの値は、特に6at%以下、とりわけ3at%以下であることが好ましい。
ニッケル粒子全体に含まれる金属元素Mの原子数の割合であるYの値はICP発光分光分析法によって測定する。具体的には、まずICP発光分光分析法によってニッケル粒子全体を測定し、ニッケル元素の含有割合及び金属元素Mの含有割合を求める。次いで、ニッケル元素の含有割合(質量%)をニッケル元素の原子量(58.7)で除して、該含有割合をニッケル元素の原子数ANiに換算する。また、金属元素Mの含有割合(質量%)を金属元素Mの原子量(スズは118.7、亜鉛は65.4)で除して、該含有割合を金属元素Mの原子数Aに換算する。そして、ニッケル元素の原子数ANiと金属元素Mの原子数Aに対する金属元素Mの原子数の割合(A/(ANi+A)×100)を算出し、前記Yの値を求める。
本発明者の検討の結果Xの値とYの値との関係が、ニッケル粒子の耐焼結性に影響を及ぼすことが判明した。詳細には、X/Yの値を1.5以上30以下とすることで、焼結によってニッケル粒子の収縮が開始する温度が上昇すること、つまり耐焼結性が高くなることが判明した。耐焼結性が高い本発明のニッケル粒子は、これを用いて例えばMLCCを製造する場合に、製造の一工程である焼成工程において、ニッケル粒子の焼結により内部電極が収縮する温度を、誘電体粒子の焼結により誘電体層が収縮する温度に極力近づけることができる。内部電極と誘電体層とのそれぞれが収縮する温度の差を小さくすることは、焼成工程の昇温過程において、内部電極と誘電体層とが収縮する時間が重なる点から有利である。具体的には、MLCCの焼成工程において、内部電極と誘電体層とが収縮する温度や収縮率の違いに起因するクラックやデラミネーション(内部電極と誘電体層の界面における層間剥離)といった構造欠陥の発生を効果的に防止し得る観点から有利である。
以上の利点を一層顕著なものとする観点から、ニッケル粒子におけるX/Yの値は、3.7以上であることがより好ましい。また、ニッケル粒子におけるX/Yの値は、20以下であることがより好ましく、15以下であることが更に好ましく、13以下であることが一層好ましく、10以下であることが更に一層好ましい。
粒子表面領域においては、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合の値は深さ方向において一定でもよく、あるいは変動していてもよい。前記割合の値が深さ方向において一定でない場合、前記割合の値は例えばニッケル粒子の表面から中心に向かうにつれて連続的に又はステップ状に減少していてもよい。特に、XPSによってニッケル粒子の最表面からSiO換算でのスパッタ深さ20nmまでの領域を測定したときに、前記割合の値が、最表面からスパッタ深さ20nmに向けて漸減していることが、ニッケル粒子の耐焼結性が更に一層高くなることから好ましい。この場合、ニッケル粒子の最表面からスパッタ深さ5nmまでの領域における前記割合の最大値をXとし、スパッタ深さ20nmにおける前記割合の最大値をX1としたとき、X/X1の値が3.0以上15以下であることが、ニッケル粒子の耐焼結性の更に一層の向上の点から好ましい。同様の観点から、X/X1の値は、3.8以上であることがより好ましく、4.3以上であることが更に好ましい。また、X/X1の値は、10以下であることがより好ましく、7.8以下であることが更に好ましく、6.1以下であることが一層好ましい。X1の測定方法は後述する実施例において説明する。
X1そのものの値については、ニッケル粒子の耐焼結性を更に一層高くする観点から、0.2以上10以下であることが好ましく、0.5以上6以下であることがより好ましく、0.7以上4.1以下であることが更に好ましく、1.7以上4.1以下であることが一層好ましい。
本発明のニッケル粒子は、累積個数50個数%における個数累積粒径であるD50の値が20nm以上200nm以下であることが好ましい。換言すれば本発明のニッケル粒子は微粒であることが好ましい。ニッケル粒子の粒径D50がこの範囲内であることによって、本発明のニッケル粒子を各種の用途、例えばMLCCの内部電極として用いた場合に、該内部電極間の短絡が起こりづらくなるという利点がある。この利点を一層顕著なものとする観点から、ニッケル粒子の粒径D50は20nm以上170nm以下であることがより好ましく、20nm以上150nm以下であることが更に好ましく、40nm以上150nm以下であることが一層好ましく、40nm以上100nm以下であることが更に一層好ましい。ニッケル粒子の粒径D50は、該ニッケル粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することによって測定される。詳細には、ニッケル粒子をSEMによって拡大倍率50000倍で撮影し、撮影されたニッケル粒子の面積を求める。その面積から円相当直径を算出する。算出された円相当直径に基づき粒度分布を求める。粒度分布は、グラフの横軸に円相当直径をとり、縦軸に個数頻度をとる。このようにして得られた粒度分布曲線において、累積個数50個数%における個数累積粒径をD50と定義する。
前記の「粒度分布曲線」を得るに際しては、5000個以上のニッケル粒子について円相当直径を求める。円相当直径の算出には、画像解析粒度分布測定ソフトウェア(株式会社マウンテック社製Mac-View)を用いる。観察対象とするニッケル粒子の最小単位は、SEMによって、独立した一つの粒子として認められる粒子界面が観察されるか否かで判断する。したがって、複数個の粒子からなる凝集塊が観察されたとしても、該凝集塊に粒子界面が観察される場合は、該粒子界面によって画定される領域が一つの粒子であると認定する。
本発明のニッケル粒子は、微粒であることに加えて、粗大粒子の存在割合が小さいことが好ましい。粗大粒子の存在は、本発明のニッケル粒子を例えばMLCCの内部電極に用いた場合に、該内部電極間の短絡の一因となることがある。ニッケル粒子における粗大粒子の存在割合を低減することで、この短絡を効果的に防止することができる。この観点から、本発明のニッケル粒子においては、D50の1.5倍以上の粒径を有する粒子の存在割合(以下「粗大粒子存在割合」ともいう。)が0.5個数%以下であることが好ましく、0.3個数%以下であることが更に好ましく、0.1個数%以下であることが一層好ましい。
粗大粒子存在割合は0%に近ければ近いほど、内部電極間の短絡発生の防止に有効であるが、0.01%程度に粗大粒子存在割合が低ければ、内部電極間の短絡発生を効果的に防止できる。
粗大粒子の尺度として、D50の1.5倍以上の粒径を有する粒子を選定した理由は、D50の1.5倍以上の粒径では、導電膜を形成した際に導電膜の表面が粗くなる一因となり、そのことがMLCCの内部電極間の短絡発生とに極めて深く関与していることを本発明者が見出したことによるものである。
本発明のニッケル粒子は、微粒であり、粗大粒子の存在割合が低いことに加えて、粒径が可能な限り均一であることが好ましい。換言すれば粒度分布曲線がシャープであることが好ましい。粒度分布曲線のシャープさは、粒径の変動係数によって評価できる。変動係数は、粒度分布における粒径の標準偏差をσ(nm)としたとき、(σ/D50)×100(%)で定義される値である。本発明のニッケル粒子は、この変動係数の値が14%以下であることが、該ニッケル粒子から形成される導電膜の表面粗さを低くする観点から好ましい。導電膜の表面粗さを一層低くする観点から、変動係数は13%以下であることが更に好ましく、12%以下であることが一層好ましい。
変動係数は0%に近ければ近いほど、導電膜の表面粗さの低下に一層寄与するが、8%程度に変動係数が低ければ、十分に満足すべき程度に導電膜の表面粗さを低下させることができる。
本発明のニッケル粒子は、ニッケルの結晶性が高いことが好ましい。ニッケルの結晶性が高いことは、本発明のニッケル粒子が焼結して収縮が開始する温度が上昇することを意味する。換言すればニッケルの結晶性が高いことは、上述のとおり、該ニッケル粒子が高い耐焼結性を示すことを意味する。
ニッケルの結晶性は、粒径D50(nm)に対する結晶子サイズCs(nm)の比率であるCs/D50で評価する手法が、金属粉の技術分野においてしばしば用いられる。Cs/D50の値が大きいほど、ニッケルはその結晶性が高いと評価できる。この観点から、本発明のニッケル粒子においては、Cs/D50の値が0.3以上であることが好ましく、0.34以上であることが更に好ましく、0.37以上であることが一層好ましい。
Cs/D50はその値が大きいほどニッケル粒子が焼結して収縮が開始する温度が上昇するところ、本発明においては、Cs/D50の値が好ましくは0.6以下であれば、当該温度を十分に高くすることが可能であり、この観点からCs/D50の値は0.55以下であることが更に好ましく、0.52以下であることが一層好ましい。
結晶子サイズCsそのものの値については、ニッケル粒子が焼結して収縮が開始する温度を十分に高くする観点から、15nm以上70nm以下であることが好ましく、18nm以上70nm以下であることが更に好ましく、20nm以上70nm以下であることが一層好ましい。
結晶子サイズの測定方法としては、金属粉の技術分野において様々なものが知られているところ、本明細書における結晶子サイズとはWPPF(whole powder pattern fitting)法によって測定された値のことである。結晶子サイズの測定方法としては、WPPF法の他にシェラー法が知られているところ、結晶の歪みの程度が大きい場合には、シェラー法に基づき求められた結晶子サイズの値は信頼性に欠けるものとなることから、そのようなおそれが少ないWPPF法を本発明では採用した。
WPPF法に基づくニッケルの結晶子サイズの測定方法の詳細については後述する実施例において説明する。
本発明のニッケル粒子は、電気抵抗を過度に高めるものではないことが好ましい。そのようなニッケル粒子を例えばMLCCの内部電極に用いた場合、該MLCCの性能をより向上させることができる。そこで電気抵抗を過度に高めないようにする目的で、ニッケル・金属M合金を含む表面域を有するニッケル粒子中における、純ニッケル成分が多くなるように、該ニッケル粒子の結晶構造をコントロールすることが好ましい。この観点から、本発明のニッケル粒子においては、ニッケルの結晶構造における結晶格子のa軸長が3.520Å以上3.529Å以下であることが好ましく、3.523Å以上3.526Å以下であることが更に好ましく、3.524Å以上3.526Å以下であることが一層好ましい。
ニッケル粒子の結晶構造における結晶格子のa軸長は、後述する実施例に記載のとおり、CuKα1線を用いたX線回折装置によって測定することができる。解析には、後述する実施例に記載のとおり、WPPF法により求める。
本発明のニッケルの結晶構造における結晶子サイズや結晶格子のa軸長は、例えば該ニッケル粒子がその表面域に金属元素Mを含む割合を調整したり、ニッケル粒子が有するニッケル・金属M合金を含む表面域の厚さを薄くしたりすることによって達成される。これに加えて、又はこれに代えて、後述するニッケル粒子の製造方法における条件を適切に調整することによっても達成される。
本発明のニッケル粒子の耐焼結性の程度は、該ニッケル粒子を対象として熱機械分析(TMA)によって評価できる。本発明において室温(25℃)を基準とするTMA収縮率(%)が5%となる温度を、収縮開始温度と定義する。当該温度は500℃以上であることが、ニッケル粒子の耐焼結性を更に一層高める点から好ましい。この利点を一層顕著なものとする観点から、530℃以上であることがより好ましく、550℃以上であることが更に好ましく、570℃以上であることが一層好ましい。
次に、本発明のニッケル粒子の好ましい製造方法について説明する。本製造方法においては、いわゆるポリオール法によってニッケル粒子を製造する。ポリオール法とは、還元剤を兼ねた溶媒としてポリオールを用いる方法である。ポリオール法においては、ニッケルの化学種をポリオール中に存在させた状態下に加熱を行うことでニッケル母粒子への還元反応を生じさせ、該還元反応の終了前に金属元素Mの化合物を混合し、更に加熱を行って金属Mへの還元反応を生じさせ、該ニッケル母粒子にニッケル・金属M合金を含む表面域を形成させる。
本製造方法においては、ニッケル粒子を生成させるためのニッケルの化学種として水酸化ニッケルを用いることが、目的とするニッケル粒子を首尾よく得られる観点から好ましい。水酸化ニッケルは、ポリオール、ポリビニルピロリドン(以下「PVP」ともいう。)及びポリエチレンイミン(以下「PEI」ともいう。)を含む混合液に添加される。取り扱い性の観点から、水酸化ニッケルとしては粒子状の形態を有するものを用いることが好ましい。
混合液に含まれるポリオールは、上述のとおり、溶媒として用いられ且つ水酸化ニッケルの還元剤としても用いられる。
ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール1,5-ペンタンジオール及びポリエチレングリコール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのポリオールのうちエチレングリコールは、分子量に対してヒドロキシ基が占める割合が大きいために還元性能が高く、また常温で液状であり取り扱い性に優れることから好ましい。
ポリオールの使用量は、これを還元剤という観点で考えれば、混合液中の水酸化ニッケルの量に応じて適宜調整されればよいので、特段の限定を設ける必要性はない。一方、溶媒として機能させようとする場合には、混合液中のポリオールの濃度に応じて混合液の性状が変化するので、ある一定の適正な濃度範囲が存在する。この観点から混合液中のポリオールの濃度は50質量%以上99.8質量%以下の範囲に設定することが好ましい。
PVPは、水酸化ニッケルの分散剤として用いられる。PVPは分散剤としての効果が顕著であり、還元で生じたニッケル粒子の粒度分布をシャープにできるので好ましい。これらのPVPの分子量は、その水溶性の程度や分散能に応じて適切に調整すればよい。混合液中におけるPVPの量は、水酸化ニッケルをニッケルに換算した100質量部に対して0.01質量部以上30質量部以下とすることが好ましい。この範囲に設定することで、混合液の粘度を過度に高くすることなく、分散効果を十分に発現させることができる。
PEIは、混合液中にニッケルの核が生成している間、混合液中のニッケルイオンの数を減少させて、核生成と核成長とが同時に進行しないようにする働きを有する。この理由は、(a)PEIはニッケルイオンに対して相互作用を有する非共有電子対を有しており、ニッケルイオンと配位結合が可能であること、(b)PEIは前記非共有電子対を多量に有していること、及び(c)PEIは、混合液中に未溶解状態で存在している水酸化ニッケルの表面と相互作用が可能な水素結合部位を有していることによるものである。
PEIが混合液中に存在していることによって、ニッケルの核生成と、生成した核の成長とを順次行うことが可能になる。その結果、微粒で且つ均一な粒径を有するニッケル粒子が首尾よく得られる。このこととは対照的に、還元による従来のニッケル粒子の製造においては、核生成と核成長とが同時に生じるので、粗大粒子が生成しやすく、その上、粒径にばらつきが生じやすい。
以上の観点から、PEIとして、直鎖状のものを用いるよりも、分岐鎖状のものを用いることが有利である。同様の観点から、数平均分子量が600以上10000以下、特に800以上5000以下、とりわけ1000以上3000以下であるPEIを用いることも好ましい。
特に本製造方法においては、混合液に含まれるPVPとPEIとの比率を特定の範囲に設定することで、ニッケルの核生成と、核成長とを順次行うことが確実になる。詳細には、1質量部のPEIに対して、PVPを30質量部以上200質量部以下用いることが好ましく、40質量部以上150質量部以下用いることが更に好ましく、50質量部以上130質量部以下用いることが一層好ましい。
混合液中のPEIの量は、PVPとPEIとの比率が上述の範囲を満たすことを条件として、PVPの量に応じて適切に設定される。
混合液には貴金属触媒を含有させることもできる。これによって、還元の初期段階において貴金属の微細な核粒子が生成し、その核粒子を起点としてニッケルが円滑に還元するようになる。貴金属触媒としては、例えば貴金属の水溶性塩等の貴金属化合物を用いることができる。貴金属の水溶性塩の例としては、パラジウム、銀、白金、金等の水溶性塩が挙げられる。貴金属としてパラジウムを用いる場合には、例えば塩化パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、塩化アンモニウムパラジウム等を用いることができる。銀を用いる場合には、例えば硝酸銀、乳酸銀、酸化銀、硫酸銀、シクロヘキサン酸銀、酢酸銀等を用いることができる。白金を用いる場合には、例えば塩化白金酸、塩化白金酸カリウム、塩化白金酸ナトリウム等を用いることができる。金を用いる場合には、例えば塩化金酸、塩化金酸ナトリウム等を用いることができる。これらのうち、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、硝酸銀及び酢酸銀は、安価で経済性がよいので好ましく用いられる。貴金属触媒は、前記の化合物の形態で又は該化合物を水に溶解させた水溶液の形態で添加して用いることができる。混合液に含有させる貴金属触媒の量は、水酸化ニッケルをニッケルに換算した100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下、特に0.01質量部以上1質量部以下であることが好ましい。
以上の各成分を含む混合液を撹拌しながら加熱して、水酸化ニッケルの還元を行う。加熱温度は、使用するポリオールの種類にもよるが、大気圧下において好ましくは150℃以上200℃以下、更に好ましくは170℃以上200℃以下、一層好ましくは190℃以上200℃以下で加熱することによって、水酸化ニッケルのニッケル母粒子への還元を首尾よく行うことができる。
次に、水酸化ニッケルの還元反応が終了する前に、前記混合液に金属元素Mの化合物を混合する。換言すれば一部の水酸化ニッケルが残存している状態で、前記混合液に金属元素Mの化合物を混合する。ここでいう「水酸化ニッケルの還元反応が終了する前」とは、仕込み量の水酸化ニッケルに対して80mol%以上が還元される前のことをいう。金属元素Mがスズである場合、後述する金属元素Mの化合物の還元反応において、ニッケル母粒子にニッケル・金属M合金を含む表面域を首尾よく形成させる観点から、該化合物としてはスズ酸ナトリウム3水和物、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましく、スズ酸ナトリウム3水和物を用いることが特に好ましい。また、金属元素Mが亜鉛である場合、前記と同様の観点から、該化合物としては硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、水酸化亜鉛及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましく、水酸化亜鉛を用いることが特に好ましい。
金属元素Mがスズである場合、ニッケル母粒子にニッケルとスズとの合金を含む表面域を首尾よく形成させる観点から、混合液中におけるスズ化合物の量はスズに換算して、仕込みの1質量部のニッケル量に対して、0.016質量部以上とすることが好ましく、0.003質量部以上とすることがより好ましく、0.004質量部以上とすることが更に好ましく、0.01質量部以上とすることが一層好ましい。また、混合液中におけるスズ化合物の量はスズに換算して、仕込みの1質量部のニッケル量に対して、0.12質量部以下とすることが好ましく、0.06質量部以下とすることがより好ましい。
金属元素Mが亜鉛である場合、ニッケル母粒子にニッケルと亜鉛との合金を含む表面域を首尾よく形成させる観点から、混合液中における亜鉛化合物の量は亜鉛に換算して、仕込みの1質量部のニッケル量に対して、0.016質量部以上とすることが好ましく、0.002質量部以上とすることがより好ましく、0.004質量部以上とすることが更に好ましく、0.005質量部以上とすることが一層好ましい。また、混合液中における亜鉛化合物の量は亜鉛に換算して、仕込みの1質量部のニッケル量に対して、0.12質量部以下とすることが好ましく、0.070質量部以下とすることがより好ましく、0.034質量部以下とすることが更に好ましい。
次に、以上の金属元素Mの化合物を含む混合液を撹拌しながら加熱して、前記混合液中の水酸化ニッケル及び該化合物の還元を行う。この還元反応によって、混合液中に残存していた水酸化ニッケルがニッケルに還元され、金属元素Mがスズである場合は金属元素Mの化合物はスズに還元され、金属元素Mが亜鉛である場合は金属元素Mの化合物は亜鉛に還元される。この還元反応において、水酸化ニッケルと金属元素Mの化合物とを同時に還元させることで、ニッケル母粒子の表面に、ニッケル元素と金属Mとが均質に固溶したニッケル・金属M合金を含む表面域が形成される。なお、本発明の効果が奏される限りにおいて、金属元素Mの一部が金属元素Mの単体の状態、金属元素Mの化合物の状態、あるいはこれらを二種以上組み合わせた状態で存在することは許容される。
前記の混合液の加熱温度は、使用するポリオールや金属元素Mの化合物の種類にもよるが、大気圧下において好ましくは150℃以上200℃以下、更に好ましくは170℃以上200℃以下、一層好ましくは190℃以上200℃以下である。加熱温度をこの範囲内とすることによって、水酸化ニッケル及び金属元素Mの化合物を同時に還元させ、ニッケル母粒子の表面に、ニッケル・金属M合金を含む表面域を首尾よく形成させることができる。
その後、必要に応じて、得られたニッケル粒子の分散液中のポリオールを水で置換し、次いで置換した水をメタノールで再置換して該ニッケル粒子を洗浄し、真空乾燥を行う。このようにして本発明のニッケル粒子を製造することができる。
金属元素Mを含むニッケル粒子を製造する場合、ニッケル原料に金属元素Mの原料を添加してPVD法又はCVD法を行うことができる。その場合のニッケル粒子はその全体にニッケル・金属M合金が形成されることになる。しかし、このニッケル粒子の耐焼結性を高めようとする場合、ニッケル粒子全体における金属元素Mであるスズ及び/又は亜鉛の含有量が過度に高くなり、その結果電気抵抗が高くなるという課題があった。このことに加えて、ニッケル粒子の粒径が不均一になることで、該ニッケル粒子を用いて導電膜を形成した際に導電膜の表面が粗いものとなり、MLCCの内部電極間の短絡発生の原因の一つとなるという課題があった。また、金属元素Mを含むニッケル粒子を製造する別の方法として、特許文献2に記載されているとおり、水酸化ニッケルの全量を還元させた後に金属元素Mの化合物を添加する方法が知られている。この場合、ニッケル粒子の表面にニッケルよりも融点が低い金属元素Mであるスズ及び/又は亜鉛の単体の層が形成される。しかし、このニッケル粒子の耐焼結性は、粒子の表面がスズ及び/又は亜鉛の単体の層からなることに起因して高いものとならなかった。これに対して、ニッケル母粒子とその表面に配置されたニッケル・金属M合金からなる本発明のニッケル粒子によれば、電気抵抗を過度に高めることなく耐焼結性を高くすることができる。更に、本発明のニッケル粒子を用いて導電膜を形成すると、該導電膜の表面を平滑なものとすることができる。これらの理由から、上述のとおり、一部の水酸化ニッケルが残存している状態で、該水酸化ニッケルと金属元素Mの化合物とを同時に還元させてニッケル粒子を製造することが好ましい。
以上の方法で製造されたニッケル粒子は、微粒且つ均一な粒径でありながら、該ニッケル粒子の表面にニッケル・金属M合金を含む表面域を有するという特徴を活かして様々な分野に用いられる。特にMLCCの内部電極の形成に好適に用いられる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、本発明のニッケル粒子はその表面にニッケル・スズ合金を含む表面域を有するが、スズ元素に代えて亜鉛元素を用いてニッケル粒子を製造した場合においても、上述した利点が十分に奏されることが本発明者の検討の結果判明した。換言すれば、ニッケル・亜鉛合金を含む表面域を有するニッケル粒子であって、該ニッケル粒子全体に対する亜鉛元素の含有量が所定の範囲にあり、X線光電子分光分析によって該ニッケル粒子の深さ方向において最表面からSiO換算でのスパッタ深さ5nmまでの領域を測定したときに、該領域において、ニッケル元素と亜鉛元素の合計原子数に対する亜鉛元素の原子数の割合の最大値をX2とし、ICP発光分光分析法によって該ニッケル粒子を測定したとき、ニッケル元素と亜鉛元素の合計原子数に対する亜鉛元素の原子数の割合をY1としたとき、X2/Y1の値が所定の範囲にあるニッケル粒子によっても、上述した利点が十分に奏されることが本発明者の検討の結果判明した。このようなニッケル粒子は、上述した本発明のニッケル粒子の好ましい製造方法において、スズ元素に代えて亜鉛元素を用いることで容易に製造することができる。更に、上述の製造方法において、スズ元素とともに亜鉛元素を用いることで、ニッケル・スズ・亜鉛合金を含む表面域を有するニッケル粒子を製造した場合においても、上述した利点は十分に奏される。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。
前記実施形態に関し、更に以下のニッケル粒子及びその製造方法を開示する。
〔1〕 ニッケルと金属元素Mとの合金を含む表面域を有するニッケル粒子であって、
前記金属元素Mは、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種であり、
前記ニッケル粒子全体に対する前記金属元素Mの含有量が0.16質量%以上11.4質量%以下であり、
X線光電子分光分析によって前記ニッケル粒子の深さ方向において最表面からSiO換算でのスパッタ深さ5nmまでの領域を測定したときに、該領域において、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合の最大値をX(at%)とし、
ICP発光分光分析法によって前記ニッケル粒子を測定したとき、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合をY(at%)としたとき、
X/Yの値が1.5以上30以下である、ニッケル粒子。
〔2〕 走査型電子顕微鏡による測定から算出された円相当直径に基づく粒度分布において、累積個数50個数%における個数累積粒径をD50としたとき、D50が20nm以上200nm以下であり、
前記粒度分布における粒径の標準偏差をσ(nm)としたとき、変動係数(σ/D50)(%)の値が14%以下である、〔1〕に記載のニッケル粒子。
変動係数(%)=(σ/D50)×100
〔3〕 走査型電子顕微鏡による測定から算出された円相当直径に基づく粒度分布において、累積個数50個数%における個数累積粒径をD50としたとき、D50の1.5倍以上の粒径を有する粒子の存在割合が0.5個数%以下である、〔1〕又は〔2〕に記載のニッケル粒子。
〔4〕 走査型電子顕微鏡による測定から算出された円相当直径に基づく粒度分布において、累積個数50個数%における個数累積粒径をD50とし、WPPF法によって測定された結晶子サイズをCs(nm)としたとき、Cs/D50の値が0.3以上0.6以下である、〔1〕ないし〔3〕のいずれか一に記載のニッケル粒子。
〔5〕 水酸化ニッケル粒子、ポリオール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンイミンを含む混合液を加熱してニッケル粒子を製造する方法であって、
1質量部のポリエチレンイミンに対して、ポリビニルピロリドンを30質量部以上200質量部以下用い、
前記加熱によって前記水酸化ニッケル粒子をニッケル母粒子に還元し、
一部の前記水酸化ニッケル粒子が残存している状態で、前記混合液と金属元素Mの化合物とを混合し、該化合物を金属Mに還元して、前記ニッケル母粒子に、ニッケルと金属元素Mとの合金を含む表面域を形成する、ニッケル粒子の製造方法であって、
前記金属元素Mは、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種である、ニッケル粒子の製造方法。
〔6〕 〔1〕ないし〔4〕のいずれか一に記載のニッケル粒子を内部電極に用いた、積層セラミックコンデンサ。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
500mlのビーカーに、445gのエチレングリコール、64gの水酸化ニッケル粒子、12gのポリビニルピロリドン、0.14gのポリエチレンイミン、及び0.13mlの硝酸パラジウム水溶液(濃度:100g/l)を加えて混合液を調製した。ポリエチレンイミンは分岐鎖状のものであり、数平均分子量は1800であった。混合液を撹拌しながら加熱し、大気圧下において198℃で5時間還元反応を行った。この時点で、水酸化ニッケルの還元は、仕込み量の水酸化ニッケルに対して80mol%進行していた。次いで、その後、スズ酸ナトリウム3水和物を0.5g添加し、大気圧下において198℃で更に10時間還元反応を行った。加熱を停止して還元を終了させ、室温まで自然放冷した。このようにして、多数のニッケル粒子を得た。
得られたニッケル粒子の分散液を含むビーカーの底に磁石を配置して該ニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。
ビーカーの底から磁石を取り除いた後、純水50gを加えて分散液を10分間撹拌した。その後、ビーカーの底に磁石を再び配置してニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。一連の操作を5回繰り返した。
次いで、メタノール50gを加えて分散液を10分間撹拌した。磁石を用いることによって上澄みの除去を3回繰り返し、分散液中の溶媒をメタノールに置換した。その後、80℃で真空乾燥を行い、ニッケル粒子を得た。
〔実施例2ないし6〕
硝酸パラジウム水溶液の添加量及びスズ酸ナトリウム3水和物の添加量、並びに混合液の加熱を開始してから該混合液にスズ酸ナトリウム3水和物を添加するまでの時間を表1に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にしてニッケル粒子を得た。
〔実施例7ないし12〕
スズ酸ナトリウム3水和物に代えて水酸化亜鉛を添加した。硝酸パラジウム水溶液の添加量及び水酸化亜鉛の添加量を表1に示すとおりとした。これら以外は実施例1と同様にしてニッケル粒子を得た。
〔比較例1〕
500mlのビーカーに、445gのエチレングリコール、64gの水酸化ニッケル粒子、8gのポリビニルピロリドン、0.14gのポリエチレンイミン、及び0.13mlの硝酸パラジウム水溶液(濃度:100g/l)を加えて混合液を調製した。ポリエチレンイミンは分岐鎖状のものであり、数平均分子量は1800であった。混合液を撹拌しながら加熱し、198℃で6.5時間還元反応を行った。加熱を停止して還元を終了させ、室温まで自然放冷した。このようにして、多数のニッケル粒子を得た。
得られたニッケル粒子の分散液を含むビーカーの底に磁石を配置して該ニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。
ビーカーの底から磁石を取り除いた後、純水50gを加えて分散液を10分間撹拌した。その後、ビーカーの底に磁石を再び配置してニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。一連の操作を5回繰り返した。
次いで、メタノール50gを加えて分散液を10分間撹拌した。磁石を用いることによって上澄みの除去を3回繰り返し、分散液中の溶媒をメタノールに置換した。その後、80℃で真空乾燥を行い、ニッケル粒子の粉末を得た。
〔比較例2〕
水酸化ニッケルの還元反応を行う前にスズ酸ナトリウム3水和物を添加した以外は、実施例1と同様にしてニッケル粒子を得た。
〔比較例3〕
500mlのビーカーに、445gのエチレングリコール、64gの水酸化ニッケル粒子、8gのポリビニルピロリドン、0.14gのポリエチレンイミン、及び0.13mlの硝酸パラジウム水溶液(濃度:100g/l)を加えて混合液を調製した。ポリエチレンイミンは分岐鎖状のものであり、数平均分子量は1800であった。混合液を撹拌しながら加熱し、198℃で6.5時間還元反応を行った。加熱を停止して還元を終了させ、室温まで自然放冷した。このようにして、多数のニッケル粒子を得た。
得られたニッケル粒子の分散液を含むビーカーの底に磁石を配置して該ニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。
ビーカーの底から磁石を取り除いた後、純水50gを加えて分散液を10分間撹拌した。その後、ビーカーの底に磁石を再び配置してニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。一連の操作を5回繰り返した。
この分散液に、純水300g及びヒドラジン1水和物を加えて60℃に昇温後、スズ酸ナトリウム3水和物を1g添加し、5時間撹拌を行い、スズによる表面処理をニッケル粒子に施した。
得られたニッケル粒子の分散液を含むビーカーの底に磁石を配置して、該ニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。
ビーカーの底から磁石を取り除いた後、純水50gを加えて分散液を10分間撹拌した。その後、ビーカーの底に磁石を再び配置してニッケル粒子を磁石に引き寄せた。この状態下に、前記分散液の上澄みを除去した。一連の操作を5回繰り返した。
次いで、メタノール50gを加えて分散液を10分間撹拌した。磁石を用いることによって上澄みの除去を3回繰り返し、分散液中の溶媒をメタノールに置換した。その後、80℃で真空乾燥を行い、スズによる表面処理が施されたニッケル粒子の粉末を得た。ニッケル粒子の表面域はニッケルとスズとの合金を含まず、スズ表面層が形成されていることを後述の〔評価1〕に記載のとおり確認した。
〔評価1〕
実施例1ないし12及び比較例1ないし3で得られたニッケル粒子について、以下のXPS分析方法でXの値及びX1の値を求めた。
また、ICP発光分光分析法によってニッケル粒子全体に対するスズ元素及び亜鉛元素の含有量及びYの値を求めた。
また、上述の方法で粒度分布を測定し、粒径D50、粗大粒子存在割合及び変動係数を求めた。
また、以下の方法でWPPF法に基づくニッケルのa軸長及び結晶子サイズCsを求めた。
また、上述の方法でニッケル粒子の表面域にニッケルとスズとの合金を含むか否か、またニッケルと亜鉛との合金を含むか否かを確認した。
以上の結果を以下の表1に示す。また、実施例3及び比較例2で得られたニッケル粒子のSEM像を図1及び2に示す。
〔X線光電子分光分析(XPS)測定〕
XPS用の測定対象試料には、プレス機を用いてニッケル粒子をペレット状に成形したものを用いた。詳細には、φ5.2mm及び高さ2.5mmの寸法を有するアルミニウム製容器に粒子試料を10mg程度入れた。次いで、プレス機(アズワン製、品番:1-312-01)及びアダプター(品番:1-312-03)を用い、所定のストローク(25mm)でアルミニウム製容器とともに加圧した。次いで、アルミニウム製容器に支持されたニッケル粒子のペレット成形物を取り出した。
得られたペレット成形物について、最表面測定及びArモノマーイオンでのスパッタリングによる試料表面から内部に向かっての深さ方向測定を行った。測定条件は以下のとおりである。
・測定装置:アルバック・ファイ株式会社製 VersaProbeIII
・励起X線:単色化Al-Kα線(1486.7eV)
・出力:50W
・加速電圧:15kV
・X線照射径:200μmφ
・X線走査面積:1000μm×300μm
・検出角度:45°
・パスエネルギー:26.0eV
・エネルギーステップ:0.1eV/step
・スパッタイオン種:Arモノマーイオン
・スパッタレート:3.3nm/min(SiO換算)
・スパッタ間隔:20s
・測定元素:C1s、Ni2p3、Sn3d5、Zn2p3
・エネルギー補正値:C1sにおけるC-C結合及びC-H結合(284.8eV)
〔XPSデータの解析〕
データ解析ソフトウェア(アルバック・ファイ社製「マルチパックVer9.9」)を用いてXPSデータの解析を行った。バックグラウンドモードはShirleyを使用した。
〔Xの値〕
実施例1ないし6では、Ni2p3とSn3d5の計2元素の合計原子数に対するSn3d5の原子数の割合をX(at%)とした。実施例7ないし12では、Ni2p3とZn2p3の計2元素の合計原子数に対するZn2p3の原子数の割合をX(at%)とした。
〔a軸長及び結晶子サイズCsの測定〕
実施例及び比較例で得られたニッケル粒子のa軸長及び結晶子サイズCsを、X線回折測定によって得られるニッケルに由来する回折ピークから、WPPF法を用いて算出した。
装置名 SmartLab(9KW):リガク社製
<装置構成>
波長
・ターゲット:Cu
・波長タイプ:Kα1
・Kα1:1.54059(Å)
・Kα2:1.54441(Å)
・Kβ:1.39225(Å)
・Kα12強度比:0.4970
・水平偏光率:0.500
回折装置
・ゴニオメーター:SmartLab
・アタッチメントベース:Zステージ単独
・アタッチメント:ASC6-反射
<測定条件>
・光学系属性:集中法
・CBO選択スリット:BB
・入射平行スリット:Soller_slit_5.0deg
・入射スリット:2/3deg
・長手制限スリット:10.0mm
・受光スリット1:20.000mm
・受光平行スリット:Soller_slit_5.0deg
・受光スリット2:20.000mm
・アッテネーター:Open
・検出器:D/teX Ultra250
・スキャン軸:2θ/θ
・スキャンモード:連続
・スキャン範囲:5.0000~140.0000deg
・ステップ幅:0.0100deg
・スキャンスピード/計測時間:2.015572deg/min
・データ点数:13501点
・管電圧:45kV
・管電流:200mA
・HV:0.00
<X線回折用試料の調製>
測定対象のニッケル粒子を測定ホルダに敷き詰め、ニッケル粒子からなる層の厚さが0.5mmで、且つ測定表面が平滑となるように、ガラスプレートを用いて平滑化した。
上述の測定条件にて得られたX線回折パターンを用いて、以下の条件にて、解析用ソフトウェアによって解析した。解析では、米国国立標準技術局(NIST)が提供する標準物質である六ホウ化ランタン粉末(SRM660シリーズ)から得られたデータを用いて補正した。a軸長及び結晶子サイズCsは、WPPF法を用いて算出した。
<測定データ解析条件>
・解析用ソフトウェア:Rigaku製PDXL2
・解析手法:WPPF法
・データ処理:自動プロファイル処理
(リガク社 PDXLユーザーマニュアル p.305)
〔評価2〕
実施例1ないし12及び比較例1ないし3で得られたニッケル粒子について、以下の方法で、ニッケル粒子の収縮開始温度、ニッケル粒子を含む焼結膜の比抵抗及び表面粗さRzを測定した。以上の結果を以下の表1に示す。
〔収縮開始温度の測定〕
TMAの測定装置としてセイコーインスツル株式会社製のTМA/SS6000を用いた。0.2~0.3gのニッケル粒子をφ5.0mmのステンレス製の金型容器に入れ、ニッケル粒子に92MPaの圧力が加わるように加圧成形してペレットを作製した。得られたペレットのペレット長を測定し測定対象試料として用いた。これを測定装置にセットし、荷重49mN、1体積%水素/99体積%窒素雰囲気下において試料を5℃/minで昇温した。室温(25℃)から測定を開始し、温度と収縮率(%)との関係を示すグラフを得た。得られたグラフから、収縮開始温度を求めた。
〔比抵抗の測定〕
4gのターピネオールに0.1gのエチルセルロースを溶解させ、次いで5gのニッケル粒子を添加して混合物を得た。この混合物を、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製の「あわとり練太郎(登録商標)」)を用いて混合した。次いで、この混合物を3本ロールに4回通して解砕した。3本ロールのギャップは8μmに設定した。このようして塗布液を得た。
この塗布液を、アルミナ基板に塗布して塗膜を形成した。塗膜の厚みは30μmであった。この塗膜を、1体積%水素/99体積%窒素雰囲気下で800℃、60分間で焼結させて焼結膜を得た。この焼結膜について、三菱アナリテック社製の四探針法比抵抗測定装置であるロレスタMCP-T600を用い、比抵抗(Ω・cm)を測定した。
〔表面粗さRzの測定〕
前記の焼結膜の表面粗さRzを、SURFCOM 130Aを用いて測定した。測定条件は、評価長さ6.0mm、測定速度0.6mm/sとした。
Figure 0007340727000001
表1に示す結果から明らかなとおり、XPSの測定によって、実施例1ないし6で得られたニッケル粒子はその表面域に金属状態のスズ元素を含むことが確認された。更に、実施例で得られたニッケル粒子のa軸長は、スズ化合物を用いなかった比較例1で得られたニッケル粒子のa軸長よりも伸びていた。これらの結果から、実施例1ないし6で得られたニッケル粒子はその表面域にニッケルとスズとの合金を含むことが分かる。
また、表1に示す結果から明らかなとおり、XPSの測定によって、実施例7ないし12で得られたニッケル粒子はその表面域に金属状態の亜鉛元素を含むことが確認された。更に、実施例で得られたニッケル粒子のa軸長は、亜鉛化合物を用いなかった比較例1で得られたニッケル粒子のa軸長よりも伸びていた。これらの結果から、実施例7ないし12で得られたニッケル粒子はその表面域にニッケルと亜鉛との合金を含むことが分かる。
また、表1に示す結果から明らかなとおり、実施例1ないし12で得られたニッケル粒子は、比較例1ないし3で得られたニッケル粒子と比べて高い収縮開始温度を示した。これによって、実施例1ないし12で得られたニッケル粒子は高い耐焼結性を示すことが分かる。
特に実施例1ないし5と実施例6との対比から明らかなとおり、ニッケル粒子に含まれるスズの量をコントロールすることで、該ニッケル粒子から得られる焼結膜の比抵抗をコントロールできることが分かる。
また、ニッケルとスズとの合金が形成された表面域を有するニッケル粒子を製造した実施例1ないし6は、ニッケル粒子全体においてニッケルとスズとの合金が形成された比較例2と比べて、焼結膜の表面が平滑なものとなった。これらによって、ニッケルとスズとの合金を含む表面域を有するニッケル粒子によれば、焼結膜の表面粗さが低くなることが分かる。
更に、実施例3に対応する図1及び比較例2に対応する図2を比較すると、図1のニッケル粒子の粒径は均一であることが見て取れるのに対して、図2のニッケル粒子の粒径は不均一であった。
本発明によれば、電気抵抗を過度に高めることなく耐焼結性が高いニッケル粒子が提供される。

Claims (6)

  1. ニッケルと金属元素Mとの合金を含む表面域を有するニッケル粒子であって、
    前記金属元素Mは、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記ニッケル粒子全体に対する前記金属元素Mの含有量が0.16質量%以上11.4質量%以下であり、
    X線光電子分光分析によって前記ニッケル粒子の深さ方向において最表面からSiO換算でのスパッタ深さ5nmまでの領域を測定したときに、該領域において、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合の最大値をX(at%)とし、
    ICP発光分光分析法によって前記ニッケル粒子を測定したとき、ニッケル元素と金属元素Mの合計原子数に対する金属元素Mの原子数の割合をY(at%)としたとき、
    X/Yの値が1.5以上30以下である、ニッケル粒子。
  2. 走査型電子顕微鏡による測定から算出された円相当直径に基づく粒度分布において、累積個数50個数%における個数累積粒径をD50としたとき、D50が20nm以上200nm以下であり、
    前記粒度分布における粒径の標準偏差をσ(nm)としたとき、変動係数(σ/D50)(%)の値が14%以下である、請求項1に記載のニッケル粒子。
    変動係数(%)=(σ/D50)×100
  3. 走査型電子顕微鏡による測定から算出された円相当直径に基づく粒度分布において、累積個数50個数%における個数累積粒径をD50としたとき、D50の1.5倍以上の粒径を有する粒子の存在割合が0.5個数%以下である、請求項1に記載のニッケル粒子。
  4. 走査型電子顕微鏡による測定から算出された円相当直径に基づく粒度分布において、累積個数50個数%における個数累積粒径をD50とし、WPPF法によって測定された結晶子サイズをCs(nm)としたとき、Cs/D50の値が0.3以上0.6以下である、請求項1に記載のニッケル粒子。
  5. 水酸化ニッケル粒子、ポリオール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンイミンを含む混合液を加熱してニッケル粒子を製造する方法であって、
    1質量部のポリエチレンイミンに対して、ポリビニルピロリドンを30質量部以上200質量部以下用い、
    前記加熱によって前記水酸化ニッケル粒子をニッケル母粒子に還元し、
    一部の前記水酸化ニッケル粒子が残存している状態で、前記混合液と金属元素Mの化合物とを混合し、該化合物を金属Mに還元して、前記ニッケル母粒子に、ニッケルと金属元素Mとの合金を含む表面域を形成する、ニッケル粒子の製造方法であって、
    前記金属元素Mは、スズ及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種である、ニッケル粒子の製造方法。
  6. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載のニッケル粒子を内部電極に用いた、積層セラミックコンデンサ。
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